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看護医療学科の新着情報一覧

看護医療学科の新着情報一覧

2025.07.10

公衆衛生看護学管理論 奈良県統括保健師講義~ 看護医療学科

公衆衛生看護学管理論は、保健師を目指す学生の4年次必須選択科目で、保健師が行う住民の健康レベル・QOL向上のための公衆衛生看護活動の展開における管理・運営に関するシステムや組織体制およびケアシステムの構築および健康危機管理における保健師の役割を理解し、集団や個人に対する支援について考えることができるようになることを目標とした科目です。 現在、行政保健の場(都道府県及び市町村)では、組織を超えた横断的活動を実践し、人材育成の担当としても重要な役割を果たす“統括保健師”の役割が重要視されていることを踏まえ、奈良県福祉保険部医療政策局健康推進課参事である統括保健師田中様を7月4日(金)に講師として招聘し、統括保健師の機能や役割・管理職としての思い、奈良県の保健師人材育成の状況についての講義をして頂きました。またこの講義は、奈良県の人材確保事業の一貫として行われました。     講義は、4年次生だけでなく、3年次および2年次生も受講可能とし、この秋に保健所や市町村の実習に向けて地域診断等の準備を行っている4年次生13名と、保健師科目を選択している3年次生7名、2年次生2名の計22名が聴講しました。 田中統括保健師は、奈良県における保健活動~活動の魅力と課題~と題して、 1.奈良県の概況 2.県内保健師の配置状況 3.健康に関する主な県の施策 4.県保健師の人材育成(キャリアラダー) 5.これからの保健師に求められるもの 6.統括保健師の役割 の構成で、それぞれの現状について、わかりやすいスライドを用いて、学生に語りかけるように説明されました。またスライドで提示された2040年の奈良県の姿としての統計データから、学生に対して健康上および生活上の課題について考える時間が設けられ、学生は、自分が考えたことを発表する体験をしました。講義後の質問タイムでは、学生から、保健師になって良かったと感じた出来事等率直な質問があり、ご自身の経験を踏まえて丁寧に回答されました。     学生がこの講義で理解できたことや学んだこととして、以下のことが受講票に挙げられていました。   看護師は病院の目の前の対象者を短いスパンで援助していくが、保健師は、地域や社会規模で目の前の問題だけでなく、将来を予測して長く活動していくことを学んだ。また保健師は求められる能力が多いからこそ、統括保健師を中心に日々成長していく必要性があると考えた。(2年次生) 統括保健師は、自分の所属部署に課せられた役割だけでなく、様々な活動のマネジメントを行い、リーダーシップを取りながら、より良い保健師活動ができるように人材育成の促進を行っていることが理解できた。(3年次生) 統括保健師は、組織内で横断的に様々な分野に携わり、それぞれの保健師が自身の能力を最大限に活かすことができるように支援していることが理解できた。そうすることで地域の方に対して間接的に貢献することにもつながっていると学んだ。(4年次生)   最初から最後まで温かく柔らかい雰囲気の中で講義をして頂き、学生にとって、保健師とはどういう姿勢で活動することが必要なのかを体感できた時間であったと授業担当教員として感じました。ご多忙な業務の中で、本講義の調整を頂きましたことを深く感謝いたします。   看護医療学科 教授 松本泉美

2025.07.09

「認知症の人の家族支援を考える」 ~看護実践研究センター認知症ケア部門研修会

2025.07.03

<看護医療学科 3回生> 就活準備講座を開催しました!  ~看護師としての第一歩を踏み出すために~

看護医療学科3回生対象の就活準備講座を開催しました。まず、内定を決めた4回生の先輩からのリアルな体験報告が行われました。参加した3回生からは、「すごい!」という声もあがり、現実的なアドバイスに多くの刺激と学びがあったようです。続いて、株式会社マイナビ様より就職活動スタートアップ講座として、就活スケジュールの確認から、自己分析や病院研究の大切さなど、今やるべき就活準備についてのお話を伺いました。いずれも将来に直結する実践的な内容に学生の皆さんは、メモを取りながら真剣な眼差しで話に聴き入っていました。就活への第一歩を踏み出す有意義な時間となりました。           後期には、より具体的に就職活動を進めていくための「就職対策講座」のほか、学内就職説明会、グループ面接対策の実施を予定しています。 実習の中で深まるそれぞれの看護師像、看護観の実現に向けて、キャリアセンターが一丸となって応援していきます。

2025.07.02

「フィールドワーク:自分たちにできること、共生社会の在り方を考えよう」~ 看護医療学科「認知症ケア論」

今回の認知症ケア論(1年次配当)のフィールドワークでは「一般社団法人SPSラボ若年性認知症サポートセンターきずなや」を訪問しました。若年性認知症の人の語りから、認知症の人の思いや生活を理解すること。また、若年性認知症と認知症の異なる生活課題を有することを理解し、現場の取り組みや地域の支援体制を学ぶことを目的としました。   令和7年6月21日(土)、梅雨がどこへいきましたか?と聞きたくなるような暑い日になりました。バス停から長い上り坂をひたすら歩いて15分、キャンプ場や梅林の付近にセンターがあります。学生たちは、いつもの笑顔で元気よく上ってきてくれました。元々民家ということもあり、玄関を開けて「ただいま」と言いたくなるような雰囲気の落ち着くセンターで講義が始まりました。   今回は、ピアサポーターである平井正明氏、センター代表・グループホーム管理者若野達也氏、グループホームの介護福祉士松本氏から講義を受け、ミャンマーから日本にきて介護の仕事をされているニェインさんとの交流会が行われました。   若年性認知症と診断されて8年が経過する平井氏からは、発症から現在に至るまでの経緯や思い、当事者としての活動などを聞かせて頂きました。平井さんの優しい雰囲気と声が学生の気持ちを和ませて頂けたのか、学生からは一人ひとりが質問や感想を発表することができました。また、若野氏からは、ソーシャルワーカーになるきっかけや今現在の活動を力強く伝えて頂きました。     学生たちは今の社会問題について自分なりに考えるきっかけとなり、将来の自分像も少し見えたのかなと感じました。5年後10年後の制度・政策に対して、広い視野と柔軟な考えをもつ学生さんたちに期待をしたいと思います。   グループホームで介護福祉士として働かれている松本氏からは、多職種の立場でお話しを聞かせて頂きました。認知症である入所者さんとの関わりや看護職への期待と要望などを聞かせて頂き、看護職を目指す学生として真摯に受け止めることができたのではと思いました。   最後は、同世代のニェインさんとの交流会でした。母国であるミャンマーの内戦事情、大地震による影響など私たちの日常生活にはない経験を聴かせて頂きました。また、ミャンマーでの高齢者事情や認知症についても教えて頂きました。日本に来る前に1年間日本語と介護の勉強をしたというニェインさんですが、とても日本語が上手で学生との交流での質問にもとても分かりやすく答えて頂きました。特に印象的だったのは、高齢者の方ととても丁寧に関わり、家族のように思って接してられていることでした。家族から離れ、日本で仕事を続けるニェインさんの力強さを感じ、私自身もパワーを頂きました。     今回は、時間の都合で追分梅林やキャンプ場などには行けませんでしたが、来年は梅の収穫時期に合わせてフィールドワークを考え、他大学生や様々な年代の方との交流も出来れば良いなと思っております。   机上では学ぶことができない経験や交流が、未来の看護職としてだけでなく、一人の人として成長できる「認知症ケア論」だなと実感した一日でした。       看護医療学科 助教 伊藤 千春 関連記事 ▼▼ 2025年度「認知症ケア論」に関する記事 ▼▼ 1回生集中講義「認知症ケア論」が開講しました!~看護医療学科 認知症マフづくり&交流会を開催しました!~ 看護医療学科「認知症ケア論」   ▼▼ 看護医療学科に関する記事 ▼▼ 「精神看護学援助論Ⅱ」の授業でロールプレイングを行いました。~ 看護医療学科 2025年度「へき地医療体験実習」実践報告会を開催しました! ~ 看護医療学科 2025年度へき地医療体験実習レポート(川上村)~ 看護医療学科 2025年度へき地医療体験実習レポート(山添村)~看護医療学科 国際看護Ⅰの授業で「海外インターンシップ」発表 ~ 看護医療学科

2025.07.02

国保中央病院 緩和ケア病棟「飛鳥」の見学に行きました。~ 看護医療学科「終末期ケア論」

終末期ケア論では終末期におけるケアを学び、学生自らの死生観を構築し人生最終段階における看護師の役割について考えることを目的に授業を行っています。今回、終末期ケア論を履修している学生に希望を募って国保中央病院 『飛鳥』の見学に行きました。     6月中旬、むせ返るような暑さの中、学生8名、教員2名で訪れると、飛鳥の玄関先に緩和ケア病棟の牧野師長さんが私たちをお迎えしてくださいました。病院棟とは別棟の飛鳥は3階建てで構成され、学生とともに緊張しながら建物に入っていくと、広いロビーは開放的で緑と光が満ち溢れた庭園が目の前に広がりました。 ASUKAホールにご案内いただき、事前にお渡ししていた学生からの質問を踏まえて牧野師長さんから講義いただきました。     治癒を目的とした治療が困難となった患者様の身体的、精神的な苦痛を緩和し最後までその人らしく尊厳をもって有意義に過ごすことができるように援助するため、緩和ケア病棟『飛鳥』が平成17年に開設されてということでした。 緩和ケアホームでは身体的な苦痛を取り除くための治療を行うだけでなく、精神的な苦痛、孤独、不安などを軽減し患者様と御家族が大切な時間をできる限り快適に過ごされるように看護されていることを知りました。学生たちは師長さんの終末期における患者さまやご家族様への看護の実体験を聞き入り、終末期の看護の実際について学ぶことができました。     案内していただいた3階は空と山や田畑が広がる美しい景色が広がっており、そこにご家族の控室が設置されていました。畳が引かれており、「横になるだけでもご家族は楽になるのよ。介護って大変だから。」と牧野師長さんに教えていただき、ご家族のサポートをされていることを知りました。     その後2階に伺い、病室の案内を受けました。病室はお花の名前で統一され床や家具が木目調でできており家に近い雰囲気が感じられました。     後期からの領域実習で学生たちは、予後不良の対象や人生の最終段階を迎える対象のケアを経験することがあると思います。この見学で得た学びが、様々な実習で役立つことを願っています。 また、4回生になるとインターンシップ実習で緩和ケア病棟への実習の機会もあります。ホスピスケア・緩和ケアに関心を持ち続けて終末期における患者の看護を深めて欲しいと思います。   お忙しい中、緩和ケア病棟の見学にご協力いただきました国保中央病院の皆様に感謝申し上げます。ありがとうございました。   関連記事 「フィールドワーク:自分たちにできること、共生社会の在り方を考えよう」~ 看護医療学科「認知症ケア論」 「精神看護学援助論Ⅱ」の授業でロールプレイングを行いました。~ 看護医療学科 2025年度「へき地医療体験実習」実践報告会を開催しました! ~ 看護医療学科 認知症マフづくり&交流会を開催しました!~ 看護医療学科「認知症ケア論」 2025年度へき地医療体験実習レポート(川上村)~ 看護医療学科 2025年度へき地医療体験実習レポート(山添村)~看護医療学科 1回生集中講義「認知症ケア論」が開講しました!~看護医療学科

2025.06.27

「精神看護学援助論Ⅱ」の授業でロールプレイングを行いました。~ 看護医療学科

精神看護学援助論Ⅱは看護医療学科3年前期の必修科目として開講しています。後期より始まる臨地実習に向けて、授業の後半では事例展開を行います。6月25日(火)は、「情報収集」として、患者役の教員と学生とのロールプレイングを行いました。 精神看護学実習におけるコミュニケーションのつまずきと情報収集の難しさ 看護学生にとって、精神看護学実習は他の領域とは異なる、独自の難しさを抱える実習の一つです。中でも「患者さんとのコミュニケーションの取りづらさ」と「看護に必要な情報が得られにくいこと」は、多くの学生が実際に直面する課題です。   たとえば、身体疾患の領域では「どこが痛みますか?」「食欲はありますか?」といった質問が比較的スムーズに行えます。しかし精神科領域では、精神症状のある患者さんは、他者との接触自体を負担に感じている場合も多く、返答が得られなかったり、拒絶されたような印象を受けることがあります。実際に、「あいさつをしても無視された」「質問をしても答えてもらえなかった」と落ち込む学生も少なくありません。   このような体験に、学生が「話しかけてよいのだろうか」「私の関わりで症状が悪化してしまわないか」といった不安を抱くのは自然なことです。そうした不安や戸惑いに向き合うために、本学ではロールプレイを取り入れた授業を行いました。     授業では、本学の強みである教育学習基盤センターの協力のもと、病室に見立てた研究室でロールプレイを実施し、その様子を遠隔授業システムを通じて、講義室にリアルタイムで中継しました。   看護師役以外の学生は、映像を見ながらグループワークに取り組み、患者さんの言動の意味やコミュニケーション技術について考える時間を持ちました。最初に看護師役を務めた学生は、戸惑いや緊張からなかなか言葉がでない様子でしたが、回を重ねるごとに、患者さんの視線の先や細かな言動からの気づきをもとに、少しづつ関わり方の工夫がみられました。     今回の授業では、学生が「対応の難しさ」を安全な環境で練習し、失敗し、仲間と振り返る中で、精神看護に必要な「関わり方の準備」ができたのではないかと思います。   実習に向けて不安を抱える学生もいるかもしれませんが、一歩づつ確実に力をつけている皆さんに、心からエールを送ります!   看護医療学科 精神看護学領域 准教授 紅林佑介 講師 中谷香江 助手 田中三代 関連記事 2025年度「へき地医療体験実習」実践報告会を開催しました! ~ 看護医療学科 認知症マフづくり&交流会を開催しました!~ 看護医療学科「認知症ケア論」 2025年度へき地医療体験実習レポート(川上村)~ 看護医療学科 2025年度へき地医療体験実習レポート(山添村)~看護医療学科 1回生集中講義「認知症ケア論」が開講しました!~看護医療学科 国際看護Ⅰの授業で「海外インターンシップ」発表 ~ 看護医療学科

2025.06.25

地域の育児支援活動ー支援者に必要なスキルを見出すためにー ~看護実践研究センター

2025.05.30

2025年度「へき地医療体験実習」実践報告会を開催しました! ~ 看護医療学科

本学独自の実習である「へき地医療体験実習」は、交通や医療などの利便性が十分でない地における住民の生活フィールドに学生が赴き、地域住民の生活に直接触れ、医療(看護)・保健・福祉の実際を理解し、住民の生活と健康観や価値観・健康との関連を考え、住民の生活基盤に立った看護のあり方など看護の本質を考えることを目的としています。 今年度の実習地域は、奈良県の山添村、川上村、宇陀市大宇陀地区、五條市大塔地区の計4地域でした。   ▶▶ 今年度のへき地医療体験実習の様子はこちら 「2025年度 へき地医療体験実習 実践報告会」を開催 2025年5月21日(水)に畿央大学冬木記念ホールにて、「2025年度 へき地医療体験実習 実践報告会」を開催しました。     4月初旬から始まった学内実習での準備期間中、学生たちは他の授業を並行しながら、自分たちで目標や行動計画を立て、地域の医療状況や生活環境を事前に調べ、インタビュー内容の作成や家庭訪問の計画立案、測定会に必要な問診票や結果説明に使用するパンフレットを作成するなど、忙しい毎日を過ごしました。     そして、5月13日(火)~15日(木)に現地で実習を行い、診療所やこども園や学校、社会福祉協議会や保健センターなどの保健福祉機関、住民の働く場、集いの場などを訪問し、支援者や住民の方に支援の実際についてのお話を聞かせていただきました。     地区踏査では地域の環境を観察したり、出会った住民の方のお話から、へき地で暮らす人々の生活の実際を把握し、そこから健康課題を導き出し、健康ニーズに沿ったケアの提供について考えることができました。 また、住民の方への骨密度測定や健康チェックなどの実施を通して、得られたデータからと健康と生活、環境との関連を考察することができました。     山間部であることの生活環境からの健康課題が挙げられましたが、不便さはあっても、豊かな自然と地域の住民同士のつながりや絆などの強みを見つけることができており、「ここで生活し続けたい」という希望を叶えるための看護の在り方について考える貴重な機会となったと信じています。       今回、3回生も先輩である4回生の発表を聞きました。住民の方も毎年学生が実習に来ることを楽しみにしておられます。ぜひ3回生にも来年は今年の発表を踏まえた実習をしてもらいたいと思います。   今回の実習に際し、ご理解ご協力いただきました各地域の関係者の皆様、明日香村の武田先生に感謝いたします。ありがとうございました。   看護医療学科 教授 文 鐘聲        准教授 室谷 牧子        講師 松川 真葵        助教 古井 あゆみ        助手 田中 三代 関連記事 ▼▼ 2025年度看護医療学科「へき地医療体験実習」について ▼▼ 2025年度看護医療学科「へき地医療体験実習」がスタートしました! 2025年度へき地医療体験実習レポート(山添村)~看護医療学科 2025年度へき地医療体験実習レポート(川上村)~ 看護医療学科   ▼▼ 看護医療学科についての関連記事 ▼▼ 認知症マフづくり&交流会を開催しました!~ 看護医療学科「認知症ケア論」 1回生集中講義「認知症ケア論」が開講しました!~看護医療学科 国際看護Ⅰの授業で「海外インターンシップ」発表 ~ 看護医療学科

2025.05.30

認知症マフづくり&交流会を開催しました!~ 看護医療学科「認知症ケア論」

この度、看護医療学科の室谷准教授が、日本認知症ケア学会2025年度地域活動支援事業に応募し採択され、看護医療学科の学生有志と認知症ケア論履修者に対する認知症教育活動の充実を目的とする活動に取り組むことになりました。 第1回目(5月20日)の活動として、認知症の人にやさしい「認知症マフ」(認知症の人たちの不安や不快感を軽減し、心身の緊張を解きほぐすために、カラフルなニット素材等にさまざまな飾りを縫い付けた筒状の小物)づくりと交流会を開催し、認知症ケア論の履修者12名と地域関係機関職員様、入居施設の利用者様、ボランティア様13名、教員3名の計28名が楽しく集いました。     緊張して始まった交流会でしたが、自己紹介で呼んでもらいたい名前を紹介していくと、いつの間にかみんなが和んでいきました。色鮮やかな好きな毛糸を手にとり、編み物が得意な住民の方や学生から真剣に編み方を教えて頂く姿が見られました。編針を持つと手が覚えていると編み物を始める高齢者の方もいらっしゃって、気が付けば皆さんが夢中になっていました。         地域の専門職の方からは、高齢者の方が得意なことを教えたり、披露したりすることや、大学生と交流しながらできるのがいい機会になるとお声を頂きました。   この交流会を通して感じたことは、地域のご高齢の方々は、得意なことがたくさんあるはずです。しかし、実際に披露をしたり、教えたりする機会が少ないのではと感じました。また、学生は地域の方や専門職の方とひとつのものを作りあげるという場面で、自然に交流ができる貴重な機会になったと感じました。     今回は、認知症マフを完成までは至りませんでした。しかし、誰かのために何かができるきっかけづくりになったと思います。この講義を受講する学生たちは、地域で行っている認知症カフェやイベントに参加するきっかけもできました。学生は専門職の方がどのような活動をしているかを知る機会になり、また地域の方々にとっては大学生を身近に感じて頂く機会になったのではと思います。学生の力は無限大で面白いと実感できる交流会でした。これからも色々なことに挑戦していく皆さんの姿を見ていけるのが、とても楽しみです。いつかこの認知症マフを高齢者施設や病院にお届けできればいいなと考えております。   ご協力頂きました皆さん、本当にありがとうございました。     看護医療学科 助教 伊藤 千春 関連記事 1回生集中講義「認知症ケア論」が開講しました!~看護医療学科 2025年度へき地医療体験実習レポート(川上村)~ 看護医療学科 2025年度へき地医療体験実習レポート(山添村)~ 看護医療学科 国際看護Ⅰの授業で「海外インターンシップ」発表 ~ 看護医療学科  

2025.05.27

精神科看護師の心理傾向と共感力の関係を解明 ― 自己批判・反芻・省察・自己への思いやりに着目したクラスター分析

精神科看護においては、患者の苦痛や混乱に寄り添い、関係性を築くための「対人援助能力」が重要視されています。その中でも、他者の感情を自らのことのように感じ取り理解する「情動的共感」は、精神科看護実践に不可欠な能力です。 本学 健康科学部 看護医療学科(大学院健康科学研究科)の紅林佑介准教授は、精神科看護師の内面的傾向が情動的共感にどのように関連するかを明らかにするため、大規模な調査研究を行いました。その結果、自己への態度や思考様式に基づく群分けと、それに伴う情動的共感の違いがあったことが、国際誌である「perspectives in psychiatric care」誌に掲載されました。 研究背景と目的 これまで、自己批判や反芻といった自己に向けた否定的思考は、看護師自身のストレスや抑うつと関連するネガティブな要素とされてきました。しかし一方で、こうした自己への態度が、自己理解や他者理解にどう影響するかについては十分に検討されていませんでした。 本研究では、精神科看護師が持つ「自己への思いやり(自己のいたわり)」「自己批判」、そして「反芻(ネガティブな反復思考)」と「省察(建設的な自己振り返り)」という4つの内面的特徴に着目し、それらが情動的共感とどのように関係するかを検討しました。 研究方法 対象は、全国7か所の精神科病院に勤務する572名の看護師です。次の心理尺度を用いてデータを収集しました: ① セルフ・コンパッション尺度(SCS) 自己への優しさ(思いやり)と自己批判を測定 ② 反芻‐省察尺度(RRQ) ネガティブな思考の繰り返し(反芻)と内省的な思考(省察)を評価 ③ 情動的共感尺度(EES) 他者の感情への温かさや感受性を測定 本研究では、特に「反芻」「省察」「自己への思いやり」「自己批判」の得点に注目し、これらの心理的特性に基づいて看護師を分類するためにクラスター分析を実施しました。 なぜこの4つを用いたか? これらはすべて「自己に向かう態度」や「思考のスタイル」を反映する指標であり、個人の内面的な成熟度や、他者に対する共感力に深く関わると考えられるためです。 特に精神科看護では、自己への適切な態度(例:過度な自己否定を避けつつ、自己理解を深める)が、対人援助能力に大きな影響を与えると考えられています。 主な結果 クラスター分析の結果、次の2つのグループが抽出されました: クラスター1:自己批判・反芻・省察すべてが高い群(自己注目・内省傾向の強い群) クラスター2:これらの傾向が比較的低い群(自己注目の低い群) 次に、この2群間で情動的共感の得点を比較したところ、クラスター1の方が情動的共感の得点が有意に高いことが明らかになりました。 つまり、自己に対して厳しく、繰り返し内省する傾向を持つ看護師ほど、患者の感情に対して敏感かつ温かく反応できる力が高い傾向がみられたのです。   研究の意義 この結果は、従来の「自己批判や反芻=ネガティブ」とする単純な理解に再考を促すものです。 自己への厳しい視点や内面的な葛藤も、それを省察に変換できる力があれば、むしろ対人援助に必要な情動的共感を育む重要な資源となり得ることが示唆されました。 精神科看護教育においては、単に自己批判や反芻を抑制するだけでなく、それらを建設的な内省へと導く支援が、共感的な看護師の育成につながる可能性があります。   研究の限界と今後の展開 本研究は日本の精神科看護師を対象としたため、文化的要素が影響している可能性があります。今後は国際比較研究や、縦断的研究による心理傾向と共感力の発達過程の検証が望まれます。 論文情報 Kurebayashi, Y. The hidden side of self-criticism: A cross-sectional cluster analysis of self-compassion, self-focus, and emotional empathy. Perspectives in Psychiatric Care doi.org/10.1155/ppc/3340560 問い合わせ先 畿央大学 健康科学部看護医療学科 大学院 健康科学研究科 准教授 紅林佑介 〒635-0832 奈良県北葛城郡広陵町馬見中4-2-2 y.kurebayashi@kio.ac.jp

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