看護医療学科の新着情報一覧
2021.07.06
令和3年度「保護者懇談会」を開催しました。
2021年(令和3年)7月3日(土)に保護者懇談会を開催しました。昨年度は新型コロナウイルス感染症拡大の影響により実施することができませんでしたが、今年度はオンライン会議システムによるリアルタイム配信とオンデマンドによる動画配信を併用した形で開催しました。 学長による挨拶と進路支援部によるキャリアガイダンスは、本学ホームページ上にてオンデマンドにより一定期間配信し、保護者懇談会終了後もご覧いただくことができるようにしました。 ▼保護者懇親会用のページ すでに視聴されている保護者の方からは、「コロナ禍における就職活動の状況やサポート体制がよくわかった」「就職活動に対する保護者の心構えなどがよく分かった」という感想をいただきました。 保護者懇談会当日は、オンライン会議システムを使用して5学科の学科別説明会を実施し、250名を超える保護者様にご参加いただきました。「学科長のお話もとてもわかりやすく、学生すべてに配慮してくださっている様子がよく分かりました」「学校の方針や卒業までのスケジュールが把握でき、非常に有意義な懇談会でした」「大学や先生方がコロナ禍の中、学生達のことを考えて色々、試行錯誤しながら授業等を進めてくださっていることがよく分かりました」などのお声をいただきました。 ▼学科別説明会の様子 保護者の方と担任教員による個人面談についても、同じくオンライン会議システムを使用して実施しました。「どんな先生と関わっているのか、親としての不安なことなど色々聞けて良かったです」「個人懇談がリモートで出来てとてもよかったです。親身になってくださる先生にとても感謝しています」などの感想を多くいただき、顔を見ながら面談ができたことで保護者の皆さまにもご安心いただけたようです。 ご参加、ご視聴いただいた保護者の皆さま、ありがとうございました。コロナ禍の影響により直接お会いすることはできず、また保護者の皆さま同士の交流もかないませんでしたが、本学の取組や学生の現状を少しでも知っていただく機会になったのではないかと考えています。 これからも保護者の皆さまのご意見を参考に、教育の改善につなげてまいります。来年度も多くの保護者の皆様のご参加をお待ちしております。
2021.07.05
離島・へき地医療体験実習(川上村)で応急手当ポケットカードを作成!~看護医療学科
看護医療学科4回生の必修科目である「離島・へき地医療体験実習」では、新型コロナウイルス感染拡大防止のため学生が現地を訪れることができませんでしたが、5月にインターネット等様々な方法を活用して、へき地で生活されている方々や、保健・医療・福祉を支えている方々と交流をし、多くの学びを得ることができました。 吉野郡川上村での実習では、学生が「母子」「学校」「成人」「高齢者」「包括」と5つのグループにわかれて活動をし、各発達段階における健康課題に着目して媒体作成を行いました。 成人グループは、一般社団法人 吉野かわかみ社中の上田一仁様にインタビューを行い、林業に携わる方々の業務の実状についてお話を伺いました。その中で、作業中に緊急性の高い傷病者が発生した場合には防災ヘリコプターでの救助を要請されることと、作業している場所によっては携帯電話が使用できず、救助までに時間を要することを知りました。 そこで、救助を待つ間に林業従事者の方々自身で傷病者への対応ができることを目的に「安心!応急手当てポケットカード~命を守ろう~」という媒体を作成しました。インタビューで、林業従事者の方々が受傷される原因として、伐採した木に脚を挟まれることによる骨折が多いということをお聞きし、媒体では骨折・出血への対処方法と心肺蘇生法に関する内容を取り上げました。 また、上田様からのアドバイスで、山林での作業に携帯していただけるようなサイズとし、防水のためのラミネート加工を施しました。内容のわかりやすさ、文字やイラストの見やすさについても林業従事者の方々に確認していただき、完成することができました。 完成したポケットカードは、吉野かわかみ社中を通じて、川上村で働くすべての林業従事者の方々に配付していただきました。さらにご希望をいただき、令和3年7月1日(木)開催の全国労働安全週間イベントで、村内の土木建築事業所や製造事業所にもポケットカードを配付していただくことになりました。 上田様からは以下のような感想をいただきました。 「多くの林業従事者は日常作業の一貫として、立木伐採などの業務を行っておられるので、危険を伴う作業であるという認識が薄れがちになります。加えて、村内で重篤な林業事故が発生する頻度も高くないことから、突発的なアクシデントが発生した際に、自身の知識だけで冷静に対処できるかは未知数です。そのような場面で、このカードを携帯していれば手順に従って適切に処置できるので、現場での安心感は高まると思います。このカードを使う機会が訪れず、お守り代わりにカバンに入ったままというのが理想ですが…。」 また、ポケットカードを作成した学生からは以下のような感想がありました。 ポケットカードを作成時は、どのような場面、場所で活用するのかを想像し、より必要性のあるものになるように心がけました。緊急時に活用していただきたいです。 看護医療学科4回生 青木千春 ポケットカードを作成してみて、看護職だけでなく労働者の方が自分たちで救命措置を行うことができることは、とても重要なことであると考えました。初めてポケットカードを見る方でも、救命措置を行うことができるよう、絵や詳しい手順を記載することができたと思います。緊急時に活用していただきたいと思います。 看護医療学科4回生 板谷彩夏 ポケットカードを作成するにあたって、使用者のことを思いながら作成することがとても大切だとわかりました。緊急時に活用していただきたいです。 看護医療学科4回生 羽柿和也 緊急時に誰が見てもすぐに理解でき、実践できるようなわかりやすいパンフレット作成ができたと思います。林業従事者の方々が安全に働けるような環境づくりの一部に少しでも力になれて嬉しいと感じています。 看護医療学科4回生 安井優奈 今回の媒体作成では、山林での傷病者への対処ということを念頭に置き、どのような内容であれば林業従事者の方々に実践していただけるのかということを重視して作成しました。学生にとって、これまで学修した知識を、一般論ではなく対象となる方々の状況や個別性にあわせて活用することの重要性を学ぶ機会となりました。「安心!応急手当てポケットカード~命を守ろう~」が林業や建設業・製造業に携わる皆様方にとって安全のお守りとなることを願っています。 最後になりましたが、お忙しい中、離島へき地医療体験実習にご協力を賜りました皆様方に、心から感謝申し上げます。 看護医療学科 教授 松本泉美 講師 中西恵理 特任助教 松川真葵 助手 山本広大 【関連記事】 離島・へき地医療体験実習(山添村)レポート~看護医療学科 離島・へき地医療体験実習(宇陀市大宇陀地区)レポート~看護医療学科 離島・へき地医療体験実習(川上村)レポートvol.2~看護医療学科 離島・へき地医療体験実習(川上村)レポートvol.1~看護医療学科
2021.07.02
逝去時の看護を学ぶ-エンゼルケア演習 ~看護医療学科「終末期ケア論」
「終末期ケア論」は、看護医療学科3回生前期に必修科目として開講しています。 授業では、「がん患者を看取った遺族の体験を聴く」「ホスピス実習を終えた4年生からホスピス緩和ケアについて学ぶ」など終末期ケアの現場で求められている看護師の役割について考える力を養うための内容を盛り込んでいます。 今年度は、5月以降オンデマンド型の授業を行っていましたが、大阪府に発出されていた緊急事態宣言の解除後は、対面型授業を再開しました。 今回は、令和3年6月25日(金)の授業で行った「エンゼルケア演習」の様子を報告します。 この演習は、臨死期に出現する症状や逝去時のケアを理解する授業のなかで行われています。 ▲学生は、ユニフォームを着用し身だしなみを整えて演習に臨みました エンゼルケア(逝去時に身体や頭髪をきれいに整え、故人の生前の表情や血色に近いメイクを施し、「旅立ちにむけた整え」を行うこと)は、逝去時の看護技術であり残されたご遺族への心のケアにつながるといわれています。 授業では、闘病による苦しみから解放された方の表情を柔らかくするためのマッサージや汚れを除去し血色の良いお顔になっていただくためのエンゼルメイクを実施しました。 ▲フェイスマネキンを使って、表情を柔らかくするマッサージをする様子 学生のなかには、毎日化粧をする習慣のある人と習慣のない人、また男子学生もおり、化粧への関心や思いは様々です。しかし、共通していたのはご遺体を想定したメイクには微妙な色合わせや表情のなかに生前の面影を残すなど、これまでに触れたことが無い対象を思い浮かべながら、メイクすることの難しさでした。 実際に、死の直後から経時的にご遺体に起こる変化を具体的にイメージしながら、「顎関節が硬直しないうちに義歯を装着して、口が閉じられるように頭部を挙上する」「死後硬直がすすまないうちに旅立ちの衣装に着替える」「エンゼルケアを行って葬儀を終えて出棺するときまでには2日程度の時間があるので、そのときに最高の表情で旅立てるようにメイクをする」などの学びがあったようです。 ▲逝去後の経時的な変化を予測して表情を作っていきます ▲日ごろはメイクをしない男子学生も慣れない手つきで丁寧なメイクを施します 授業の中では、実際ご遺体をきれいに清拭し旅立ちの準備をする動画も視聴しましたが、学生は「いのちが終わってからも生前と同じように声をかけたり、プライバシーに配慮しながら、旅立ちの準備をすることが大切と感じました」と逝去後も対象を大切にケアすることの重要性を学んでいたようです。 また、エンゼルケアの目的の一つとしてご遺体の感染予防があります。感染を予防するために体液や排せつ物が漏れ出さないような処置を行うときに用いる物品なども手にとってみました。 感染予防という視点から「COVID-19 」によって逝去された対象のご遺体の扱いについてとりあげ、ご遺体と対面することができない遺族の苦悩について考えました。 ▲エンゼルケアの実際を動画で学ぶ様子 先輩たちは、この演習の経験を活かして、病院実習の場で逝去された患者さんへのエンゼルケアをさせていただいたことがあります。卒業後どのような領域で看護師として働いた場合にも必ず看取りの場に直面する機会があります。そのようなときに、「ご遺体に尊厳を持った態度でケアする」姿勢を忘れないでほしいと思います。 ▲同じ顔をしたマネキンへのメイクですがグループによって少しずつ表情が違っています 「最期の数時間に起こったことは、残された者の記憶に留まりつづける」といわれているように、お別れの時に穏やかな表情で送ることは、遺族ケアの第一段階であることを学生と共有できた貴重な演習となりました。 看護医療学科 講師 大友絵利香 【関連記事】 看取りを体験した遺族に対する看護の課題~看護医療学科「終末期ケア論」 第15回 奈良県認知症ケア専門士会オンラインセミナー「〜コロナ時代におけるこれからの看取り〜」参加者レポート~看護医療学科 国保中央病院「緩和ケアホーム飛鳥」での見学実習!~看護医療学科「終末期ケア論」
2021.06.22
「絵本・紙芝居で子どもから社会へつなげよう」活動報告ー当事者の方へのインタビュー~認知症ケアサークル「Orange Project®」
Orange Project®とは、熊本県(熊本大学・熊本保健大学・崇城大学)と奈良県(畿央大学)を中心に活動している認知症啓発のための学生ボランティア団体で、“認知症になっても安心してくらせるまちづくりに貢献する”をコンセプトに、認知症啓発運動を行っている学生を中心とした団体です。2020年には、ロゴやマークが商標登録されました。 畿央大学の卒業生たちは2019年から、在学中に熊本大学・熊本保健大学・崇城大学と共に、Orange Project®(認知症支援プロジェクト)に参画し、認知症になってもやさしい町づくりなどに、学生主体に取り組み始めました。そして「認知症にやさしい広陵町、認知症に強い畿央大学」となることを目的に2019年9月にサークルとして発足しています。 今回は、畿央大学が「多世代まちづくりプロジェクト2020コンペティション」で参加賞をいただいた企画、「絵本・紙芝居で子どもから社会へつなげよう」の活動の一環を報告させていただきます! この企画では、認知症の当事者の実体験をもとに紙芝居を作成するため、当事者の方からのお話をとおして、情報を得る必要がありました。 そこで、Orange Project®では、 ・2021年5月6日(木)18時より、若年性アルツハイマー病と診断された丹野智文さん ・2021年5月8日(土)13時より、若年性認知症と診断された竹内裕さん に、ZOOMでインタビューをさせていただきました。 【丹野智文さんへのインタビュー】 はじめに、畿央大学「Orange Project®」の活動紹介を行い、多世代の紙芝居を作成していることをお伝えしました。紙芝居は、学生が一から手書きで作成しています。 ぜひ皆さんも、完成をお楽しみにしていてください! 次に参加学生の紹介後、丹野さんより自己紹介を行っていたただいた後、学生から丹野さんへのインタビューTIMEとなりました。 特に3回生は以前に、丹野さんが執筆された書籍『丹野智文 笑顔で生きる-認知症とともに-』を拝読させていただいていたため、実際にお話ができるということで、とてもわくわくしていました。 インタビュー時に出た主な質問内容としては、 ・若くに認知症と診断されたときの心情 ・現在の日常生活で工夫していること ・認知症の方に対してどのようなサポート(声掛け)をするべきなのか というような内容でした。 認知症と聞けば、忘れることが多くなる、できないことが多くなるというようなマイナスなイメージに目を向けがちではありますが、できることはたくさんあります。 その人ができることに目を向け、一緒に考え、一緒に日常生活を工夫してゆくことが大切であると学ぶことができました。 そして丹野さんはオレンジドアという活動も行われています。 認知症と診断されてから引きこもりがちになる方が多く、社会とのつながりが失われることが多いそうです。そのような方が少しでも減少するよう、診察室の近くに丹野さんなどが待機し、認知症と診断されてからすぐ当事者同士でお話する場があり、社会とのつながりをつくっておられます。 また、多くの参加学生が、認知症の人には優しくしなければ、何かしてあげられることはないか、と思っていました。 ですが、それは反対に認知症の方ができることを先回りして支援することになり、できることを奪っていってしまうのだということが、参加学生にとってとても印象に残ることでした。 【竹内裕さんへのインタビュー】 開始前に竹内さんがZOOMに参加できていない!というような、少しハプニングもありましたが、、、(笑) 開始後は、初めに「なんでもきいてください!」とおっしゃってくださり、楽しくインタビューを実施することができました。 質問内容としては、 ・認知症と診断された時の心情 ・認知症と診断されたときの家族の反応 ・日常生活で工夫していること ・どのようなサポートがあると良いか というような、内容を質問させていただきました。 竹内さんは、認知症と診断された後、引きこもることが多くなったそうです。そのような状況から抜け出すきっかけが、旧友との還暦祝いのパーティでした。すなわち、家族以外の人との繋がり、社会との繋がりです。 また、紙芝居についても、幼稚園生や小学生にもなにか認知症の人にできることはないかと考え、その対応の仕方などの意見をいただくことができ、本当に楽しい時間を過ごすことができました。 最期に、丹野さんと竹内さんとのインタビューに共通して、認知症の人が住みやすい、暮らしやすい環境を作るうえで、いかに”人との繋がり”が大切であるのかを実感することができました。 コロナ禍ということもあり、ZOOMでの実施となりましたが、積極的に学生は質問を行い、丹野さんや竹内さんは、快くお答えくださいました。 学生にとっては、認知症に対しての理解を深め、今の私達には何ができるのかを考える良い機会となり、貴重な時間を過ごすことができました。 これからも、認知症についてさらに学び、少しでも多くの認知症の人との繋がりを作り、認知症の人が住みやすい街づくりに貢献できるよう、コロナ禍でもできる活動を続けてまいりたいと思います! Orange Project®に興味がある方は、ぜひご参加ください! 看護医療学科3回生 谷﨑華穂 【関連記事】 認知症ケアサークル「畿央大学OrangeProject®」、2021年度第1回ミーティングを開催! 多世代まちづくりプロジェクト2020コンペティションで「参加者賞」を受賞 ▶オレンジプロジェクトに関連するブログ記事 KIO Smile Blog
2021.06.12
児童養護施設「飛鳥学院」を見学!~助産学専攻科「乳幼児の成長・発達」
2021年5月20日(木)に「乳幼児の成長・発達」の授業で、奈良県桜井市にある児童養護施設「飛鳥学院」を見学させていただきました。 飛鳥学院では、様々な理由によって、環境上養護を必要とする子どもたちが入所し、自主性、社会性を持って自立することを支援するため、子どもたちへの温かい関わりをされています。 ▼基本理念:二宮尊徳翁(金次郎)の報徳精神。「勤倹」勤勉に働き、倹約すること、「分度」自己の社会的、経済的実力を知り、それに応じて生活の限度を定めること、「推譲」今日のものを明日に譲る、社会のために譲る。 施設は、70年ほど前に建てられた木造建築で重厚感があり、床はピカピカで掃除が行き届いており、木の温かみと清潔感を感じました。また、大きな保育園が隣接しており、とても賑やかで安心感を感じるような雰囲気がありました。 ▼飛鳥学院の玄関 ▼玄関からホールに続く廊下 院長の河村先生や児童指導員の清水先生からは、施設で生活をする子どもたちの教育にとても力を入れられていることをお話していただきました。施設の中には、塾、そろばんをする学習室があり、その他、部活動や子どもたち自身が興味のある習い事にも取り組むことができるような体制が整っています。勉強ができること、自分の強みを見つけられることで、自尊感情を高め、社会に出た時に大きな糧となるような関わりをされていて、子どもたちの将来にとても真剣に向き合っておられることを強く感じました。 職員の方々の関わりによって、子どもたちが社会に適応する力、社会で生きる力を身につけ、自立した生活ができるようになるのだということを感じました。 ▼河村院長 ▼清水先生の講義の様子 ▼こどもたちの学習室 ▼洗濯室(中学生以上は自分たちで洗濯を行っています) 今回の見学を通し、人に真摯に向き合う、誠実で親切な姿勢を忘れずに、子どもやお母さんをはじめとする家族の架け橋となるようなサポートをしていきたいと思いました。 ▼全員で集合写真(※撮影時のみマスクを外しています。) お忙しい中、私たち学生を温かく迎えてくださった河村院長、宮崎副院長、清水児童指導員、職員のみなさま、本当にありがとうございました。 助産学専攻科 寺林香織 安田悠未 【関連記事】 児童養護施設「飛鳥学院」を見学!~助産学専攻科 児童養護施設「飛鳥学院」を見学!~助産学専攻科 児童養護施設を見学!~助産学専攻科「乳幼児の成長・発達」
2021.06.03
セルフモニタリングが必要な患者のアセスメント・支援の演習~看護医療学科「慢性期看護学援助論Ⅱ」
看護医療学科3回生対象の授業「慢性期看護学援助論Ⅱ」で、令和3年5月17日(月)、24日(月)に、セルフモニタリングが必要な患者のアセスメントと支援についての演習を実施しました。演習は糖尿病の事例患者を基に2つのブロックに分かれ、1つは血糖自己測定(患者が自分で血糖を測定する)の教育支援、もう1つは事例患者の1日の食事メニューを作成する内容です。 血糖自己測定の教育支援のブロックでは、学生が事前に準備してきた血糖自己測定の説明用パンフレットと行動計画をもとに、患者役と看護師役になり、実施しました。 学生が作成したパンフレットは工夫を凝らした様々なものがあり、教育支援実施後はグループメンバーで共有し、良い点・改善点を話し合いました。 その後、教員が患者役となり学生が看護師役でのロールプレイングを実施しました。他の学生の教育支援を見学することで、事例患者の疾患や背景を考慮した関わり方などを考えた行動計画の立案が必要であることに気付いたようでした。 事例患者の1日のメニュー作成のブロックは、食品カード(そのまんま料理カード)を用いて実施しました。和洋中の様々な食品およびアルコールやパン、ケーキなどのカードもあり、グループメンバーと相談しながら、メニュー作りをしました。 作成後、カードの裏にある栄養成分表を見て再度検討し、メニューを作っていきました。何度も計算を繰り返し、食事療法の制限範囲に収めるメニュー作りの難しさに悲鳴をあげていました。 事例患者とはいえ、糖尿病という慢性疾患を持つ患者が生活していくうえで必要な食事療法と血糖自己測定の教育支援の演習を通して、生活者としての患者の療養を想定した支援が必要であることが理解できたようです。今後は臨床現場で患者に合わせた教育支援を考え、実践できるようになってほしいと思います。 看護医療学科教員(慢性期看護学)對中百合・山本裕子
2021.06.01
熟練助産師に学ぶ!母子のための骨盤ケア!~助産学専攻科「助産診断技術学Ⅰ」
令和3年5月13日(金)中井戸明美先生に「助産診断技術学Ⅰ(妊娠期診断とケア)」の授業の中で、「骨盤ケア」を教えていただきました。 中井戸先生は助産師として妊産婦さんの腰痛相談に携わっておられます。講義ではフィジカルサポート、骨盤の特徴、妊娠と骨盤の関係性について教わりました。母子のフィジカルサポートでは母と子がその人らしく妊娠・分娩・育児に適応できるように身体的特徴(姿勢や発達)をふまえたサポートを行うことをめざしています。 講義では腰痛や分娩の進行の変化(回旋異常・骨盤位・吸引分娩・帝王切開など)には骨盤の形やゆがみが大きく影響していることを教えていただきました。骨盤ケアを通して骨盤のゆがみを改善することで腰痛が緩和され、妊産婦さんのQOLの改善や出産時のスムーズなお産につながることを学びました。 その後の演習では、学生同士2人1組でお互いの立ち姿勢を観察し、肩の高さ、脇の開き具合、手を上げるスピードなどから身体のゆがみをチェックし、今まで気づかなかった自分たちの身体のゆがみに気づきました。そして、骨盤を支え、ゆがみを改善するために、さらしを巻いたり、体操を行ったりしました。また、バスタオルを使い、座ったときや寝たときの姿勢が楽になる方法も教えていただきました。 さらしで骨盤を支えると、姿勢がよくなり気持ちもスッキリしました。短い演習時間のなかで実践しただけでも、すぐに効果を実感することができました。少しでも支える位置がずれたり、強さがきつすぎたりすると、正しくケアを行うことができないため、学修を積み重ねていく必要性を感じました。 骨盤のゆがみや緩みによるトラブルを抱えている妊産褥婦さんは多いため、学んだ骨盤ケアをお母さんたちの妊娠中や産後の生活が快適になるような援助に活かしていきたいと思います。妊産褥婦さんが、正しい知識を理解して、実践することができるように、まずは助産師として接する私たち自身が、正しい知識と技術を身につけていきたいです。 助産学専攻科 桑野朋佳 辻本詩織 【関連記事】 産婦人科医に学ぶ!超音波診断法!~助産学専攻科「助産診断技術学」
2021.06.01
産婦人科医に学ぶ超音波診断法~助産学専攻科「助産診断技術学Ⅰ」
令和3年5月12日(水)の「助産診断技術学Ⅰ(妊娠期診断とケア)」の授業の中で、産婦人科医師である健康科学部長の植田政嗣先生に超音波検査について教えていただきました。 まず、講義で超音波診断法のビデオを見て、仕組みや方法について学びました。 演習では植田先生が超音波診断装置を用いて、装置の使い方やプローブの持ち方、児頭大横径(BPD)、腹囲(AC)、大腿骨長(FL)の測定方法、推定児体重(EFW)、妊娠週数の出し方を教えてくださりました。 その後、実際に学生が一人ずつ超音波診断を行いました。講義前は画像を見てもどこの部位か分からないだろうなと思っていましたが、植田先生の指導を受けて、どこの部位か理解できるようになり嬉しかったです。他の学生が実施している間も、実施している姿をみんなで応援したり、うまくいくとみんなで喜んだり、楽しく和やかに演習を実施することができました。 妊婦さんの立場に立つと、赤ちゃんの存在や成長を超音波の画像を通して感じることができ、大きな喜びを感じる場面だと思うので、一緒に喜びあうことが助産師の役割の一つだと考えました。 コロナ禍だとオンライン授業が多いですが、今回のように感染対策を十分に行いながら、直接演習することができる機会を大切にし、学びを深めていきたいと思います。 助産学専攻科 川﨑祐衣 山下華奈 【関連記事】 熟練助産師に学ぶ!母子のための骨盤ケア!~助産学専攻科「助産診断技術学Ⅰ」 産婦人科医に学ぶ!超音波診断法の理論と実際~助産学専攻科
2021.05.31
第3回卒後教育研修会「コロナ禍の看護の現状~やさしさをチカラに変える 現場の声から~」を開催しました。
2021年5月23日(日)14時より看護実践研究センター第3回卒後教育研修会「コロナ禍の看護の現状~やさしさをチカラに変える 現場の声から~」を開催しました。 卒後教育研修会は看護医療学科の卒業生に対するリカレント教育として畿桜会総会と同日に開催していますが、昨年度は感染拡大予防の観点により中止となり、今年度は畿桜会総会もWeb総会ということで、本研修会もZoomを使ったオンラインでの開催となりました。 今回は新型コロナウイルス感染症専用病棟で勤務する看護医療学科7期生の乾文乃さんを講師としてお招きし、新型コロナウイルス感染症患者さんのケアに携わっている現状について話していただきました。新型コロナウイルス感染症拡大の第1・2波と第3・4波の違いについて、乾さんの主観であると断ったうえで、重症化スピードの速さ、重症化患者の年齢層のピークが高齢層から壮年期へと移行していること、女性よりも男性の重症化が多いことが説明されました。 また、呼吸状態が急速に重症化するために、日中、夜間を問わずに気管挿管が行われ、その都度、看護師の勤務調整が求められること、感染症ということで看護補助者やリハビリ介入などの他職種の支援を受けにくく、そのため看護師の業務が膨大になっていること、そして、感染予防のために看護師自身の行動を制限せざるを得ず、家族と会うことも躊躇しているという厳しく過酷な状況に看護師が置かれていることが語られました。 一方で、そのような過酷な状況にあっても、患者さんとその家族へのケアに注力していることも語られました。感染予防のために家族は面会を制限されますが、なかには家族が濃厚接触者として自宅待機をせざるをえない場合もあるそうです。だからこそ、家族の気持ちを思い、患者さんの身だしなみを整え、患者さんの身体を傷つけないように細心の注意を払っているとのことでした。そして、家族への病状説明が長くなされていない場合には医師に病状説明を働きかけ、残念にも患者さんがお亡くなりになった場合は、感染予防に気をつけて可能な範囲で家族と最期のお別れができるように配慮しているということでした。 新型コロナウィルス感染症患者さんに対する看護のリアルな話は、参加者の胸に刺さるものでした。と同時に卒業生の活躍を頼もしく感じました。 講演に続いて、林田准教授(看護医療学科/看護実践研究センター)とのディスカッションにより、講演内容をさらに深めていきました。そして、参加者の方々からもチャット機能を使用して、リアルタイムで質問や感想が寄せられ、コロナ禍の看護について共有し、これからの看護に求められているものを一緒に考え、中身の濃い研修会となりました。 今回は初めてのオンライン開催ということで、不行き届きな点もあったかと思いますが、参加者の皆様からは「看護の力をフル稼働しながら頑張っていることを共有できたことは、大変よかった」「煩雑な業務の中でもお一人おひとりと大切に向き合っている様子が伝わり、大変感動した」など概ね良い評価をいただきました。 来年の今頃は新型コロナウィルス感染症も収束して対面での研修会が開催でき、皆様と膝突き合わせてディスカッションができることを期待しております。本研修会は畿桜会総会と同日の午後に開催しますので、どうぞ、来年の予定に入れておいてください。 最後になりますが、貴重なお話をしてくださいました乾さんに感謝申し上げます。 看護実践研究センター 卒後教育部門 山本 林田 【関連記事】 「畿央大学看護実践研究センター開設記念シンポジウム」を開催しました。 第2回看護医療学科卒後教育研修会を開催しました。 看護医療学科開設10年記念講演会・第1回卒後教育研修会を開催しました。
2021.05.07
看取りを体験した遺族に対する看護の課題~看護医療学科「終末期ケア論」
令和3年4月30日(金)看護医療学科3回生の履修科目である「終末期ケア論」では、ご両親を看取った経験を持つ遺族として足立朋子先生をお迎えし、ご講義いただきました。 講義の前半は足立先生が、ボランティアで活動されている人形を使った「腹話術」を見せていただきました。 男の子の人形は「かんちゃん」です。「かんちゃん」が出題するクイズに学生たちも挑戦しました。 また講義の最後には、女の子の人形「いとちゃん」による素敵な歌声を聞かせてくれました。 このようなレクリエーションに加え、ご自身のお母さまを看取った経験から、看護師などの医療従事者に対する思いや寄り添うことの大切さについてご講義いただきました。 ご自身が教師であったという経験から、人と関わる際には、観察をしてアセスメントする重要性は理解していたものの、看護師や医療従事者の方々の観察力や何気ない声掛け、気配りは本当に有難かったと話されていました。また、お母さまが残されていたメモから、お母さまが生きる上で大切にされていたことについて教えていただきました。 新型コロナウイルス感染症の影響で、学生たちの学習にも大きな影響を及ぼしています。このような状況下でも足立先生のお母さまが残されたメモにあるように、「逆境に立ち向かい」「明るく前向きに」一日一日を大切に過ごしてほしいと思います。 看護医療学科 准教授 對中百合 講師 大友絵利香 【関連記事】 第15回 奈良県認知症ケア専門士会オンラインセミナー「〜コロナ時代におけるこれからの看取り〜」参加者レポート~看護医療学科 国保中央病院「緩和ケアホーム飛鳥」での見学実習!~看護医療学科「終末期ケア論」 「エンゼルメイク」を学ぶ!~看護医療学科「終末期ケア論」