2023年の看護医療学科の新着情報一覧
2023.07.19
4回生から3回生へ学びの伝達「緩和ケア病棟の実際―病院インターンシップ実習を経験した上級生とのディスカッションー」~看護医療学科「終末期ケア論」
「終末期ケア論」は、看護医療学科3年前期に必修科目として開講しています。この授業では、がんで大切な家族を失った遺族の体験を聴く、がん終末期の対象や療養場所やそれぞれの場でのサポートを考えるなど、看護実践の場で終末期ケアを行う医療人として学びを深めることをめざした授業構成になっています。その一つに、病院インターンシップ実習をホスピス・緩和ケア病棟で経験した4回生から、3回生に現場での学びを紹介する授業があります。 2023年7月11日(火)の授業では、4回生の秋山遥香さん、平田優奈さん、三代木洸瑠さん、近澤奈央さん、橋本恵梨奈さん、平田希安さん6名が講師として、6月に実施された「病院インターンシップ実習」での学びについて語ってくれました。その授業の様子を4回生の学生がレポートします。 ◎国保中央病院緩和ケアホーム「飛鳥」実習生から3回生へ 国保中央病院の緩和ケアホーム「飛鳥」で実習させていただいたグループでは、グループワークとして「苦痛のある患者に対しての関わりについて」を話し合ってもらいました。 終末期にある患者さんは、症状による身体的苦痛や、死を近くに感じていることに対する精神的苦痛など、多くの苦痛を感じています。また、患者さんの多くは認知症やせん妄などにより、自身で苦痛を正確に伝えることが難しい状態にあります。様々な状態の患者さんを想像しながら、どのような関わりをすることで患者さんの苦痛に寄り添うことができるのか考える機会になっていれば嬉しいです。 看護医療学科 4回生 秋山 遥香、平田 優奈、三代木 洸璃 ◎市立東大阪医療センター実習生から3回生へ 市立東大阪医療センターの緩和ケア病棟で実習させていただいたグループでは、「デスケースカンファレンスの検討」を実施しました。「デスケースカンファレンス」とは、患者さんへの看護の中で「できたこと」「できなかったこと」を振り返り、次の看護につなげてケアの質を向上させること、死に直面した看護師の精神的なケアとして重要なカンファレンスです。私たちが実際に参加させていただいたデスケースカンファレンスの2つの症例を3回生に紹介し、グループに分かれてディスカッションをしてもらいました。 実施後、患者さんや家族に対して考えたことを発表してもらいました。 講義ではなかなか聞くことのない、実際に臨死期にある患者さんや家族の症例を踏まえて必要なケアを考えるきっかけになったのではないかと思います。また、実際にディスカッションを通して考える機会となったことで、患者さんや家族がどのような想いを抱くのか理解し、看護師としてどのように関わるべきか考えることができたと思います。この学びをもとに、緩和ケアだけでなく一般病棟においても必要となる「患者さんの苦痛に寄り添う看護」とは何かを考え、実習に活かしてもらえると嬉しいです。 看護医療学科 4回生 近澤 奈央、橋本 恵梨奈、平田 希安 【関連記事】 「臨死期の看護を学ぶ」エンゼルメイクの演習を実施! ~看護医療学科「終末期ケア論」 2023年度 離島・へき地医療体験実習(川上村)レポート~看護医療学科 外部講師による講義「看取りを体験した遺族に対する看護の課題」~看護医療学科「終末期ケア論」 3回生10名が「いこまスポーツの日」にボランティアとして参加!~看護医療学科 NPO法人奈良難病連におけるピアサポート事業等の活動と当事者としての思いを学ぶ ~看護医療学科「公衆衛生看護学概論」
2023.07.04
「臨死期の看護を学ぶ」エンゼルメイクの演習を実施! ~看護医療学科「終末期ケア論」
「終末期ケア論」は、看護医療学科3年前期に必修科目として開講しています。この授業では、多死社会を迎える社会で「死にゆく対象の理解」を深め、適切な援助技術を理解することをめざしています。また、自らの死生観について問いながら、一生の終わりに、その人らしさを支える看護師の役割について考える授業を展開しています。今回は、臨死期の看護技術の一つであるエンゼルメイクの演習についてレポートします。 エンゼルケアは、逝去時にご遺体を整える・感染を予防する・旅立ちの支度をする・故人に敬意を払うことを目的として行います。 日本人は、一般的に死後もその人らしい顔貌を残すことを重んじるという死生観を持っていると言われています。生前の面影を可能な限り取り戻すために行う死化粧を、エンゼルメイクとよびます。 演習では、闘病による苦しみから解放された方の表情を柔らかくするためのマッサージや汚れを除去し血色の良い顔になっていただくことをめざして、モデル人形を用いたメイクを実施しました。 その際には、実際に医療現場で使用されているエンゼルメイクキットを使用しました。これらは、死後時間の経過とともに「皮革化」といって皮膚が乾燥して古い皮革製品のような亀裂が起こる現象を防ぐ効果があるという特徴があります。履修している学生の中には、10名の男子学生が含まれています。男子のグループは、「普段化粧をすることがないから、難しい。眉を整えるにはどうしたら綺麗になるのだろう」と試行錯誤しながらグループメンバーで智恵を出し合って、人形の顔にマッサージや、化粧をしていました。しかし、メイクの出来栄えは上々で、柔らかな表情と血色の良さを上手に創り出していました。 ▼男子学生たちも慣れないメイクに挑みました。 学生たちは、「エンゼルケアは遺族へのグリーフケアの大切な第一歩」であることを意識しながら、モデル人形にも「これからお体を綺麗にして、お顔を整えますね」と声をかけ、合掌するなど「生物学的な死」を迎えた対象にも敬意を払う姿勢で臨んでいました。女子のグループでは、「自分のメイクとは違って、まったく表情を持たないモデル人形に生き生きとした活気を与え、柔らかく穏やかな表情を作り出す自然なメイクが難しかった」という声がありました。しかし、色味のあるチークを顎や鼻先、耳たぶに入れるなど、工夫を凝らした結果、どの人形もそれぞれ違った印象に仕上がりました。 ▼ナチュラルで穏やかな表情に仕上がっています。 授業の中では、臨死期に出現する身体症状やそれに対して看護師が行えるケア、「最期の数時間に起こったことは、遺族の心にとどまり続ける」と言われていることを踏まえ、どのような態度で臨死期の患者とその家族に向き合うかについて学生たちは、真摯に考察していたようです。 ▼看取りに立ち会う職業人となることを自覚しながら丁寧にケアしました。 この演習を通じて学生たちは、 医療は多職種チームで展開するけれど、死亡されてからも患者さんや家族にケアができるのは、看護師特有の役割。それを誇らしく思う。 可能であれば、遺族の方にもエンゼルメイクに参加してもらって、元気な時のお話などができると、病的な悲嘆に陥ることを防げると考える。 終末期後期に出現する症状について理解し、症状緩和のために何ができるのかしっかりと知識と技術を身に着けたい。 など、4月以降の授業での学びを振り返っていました。 ▼メイク後のモデル人形を披露しあう様子 2022年度の死亡者数は、すでに150万人を超えています。そのような社会背景を考えると、私たち看護師は、地域や施設・医療機関で人々の「死」に触れ、死が迫った対象にケアをする機会に日常的に遭遇します。学生たちには、対象の人間理解に努め、最期まで関心を寄せ続けるケア態度を磨いてほしいと願っています。 看護医療学科 准教授 大友 絵利香 准教授 對中 百合 【関連記事】 2023年度 離島・へき地医療体験実習(川上村)レポート~看護医療学科 外部講師による講義「看取りを体験した遺族に対する看護の課題」~看護医療学科「終末期ケア論」 3回生10名が「いこまスポーツの日」にボランティアとして参加!~看護医療学科 NPO法人奈良難病連におけるピアサポート事業等の活動と当事者としての思いを学ぶ ~看護医療学科「公衆衛生看護学概論」
2023.06.30
【開学20周年】6/25(日)橿原市吹奏楽団ファミリーコンサート in 畿央大学を開催しました。
2023年6月25日(日)、畿央大学冬木記念ホールにおいて橿原市吹奏楽団を招いて畿央大学開学20周年記念イベント「橿原市吹奏楽団ファミリーコンサート in 畿央大学」を開催しました。 橿原市吹奏楽団は、1973年に橿原市内の吹奏楽愛好家たちによって立ち上げられた50年の歴史がある由緒ある楽団です。団員は10代の高校生、働き盛りの40~50代、リタイアされた方まで幅広い年代の方々で構成されています。6月初旬に募集を開始してから1週間足らずで満員御礼となり、当日は広陵町内や近隣地域から500名近い来場をいただきました。 また当日は在学生ボランティア16名が受付や場内誘導などに運営協力し、イベントに華を添えてくれました。 開催に先駆けて冬木正彦学長から、開学20周年を迎えられたことの感謝や、生の演奏を肌で感じることの大切さが述べられ、「大きくなったら畿央大学に来てくださいね」という言葉には会場からは笑いがあふれるなど、ファミリーコンサートにふさわしいスタートとなりました。 前半の部は橿原市吹奏楽団による単独公演で、「宇宙戦艦ヤマト」「白雪姫セレクション」など小さいお子様から高齢者の方まで様々な年齢層に合わせた楽曲を演奏いただきました。 休憩をはさみ、後半の部では本学の吹奏楽サークル(Piu a poco)と吹奏楽団とのコラボレーション演奏が実現しました。 コロナ禍の影響で実は吹奏楽サークルとしては初めての活動がこの大舞台となりましたが、練習を積み重ね、MCにも挑戦して会場を大いに盛り上げました。 「ダンスホール(Mrs. GREEN APPLE)」や「ジャンボリミッキー」、「鬼滅の刃メドレー」など最近話題になった楽曲やアニメソングが選曲され、馴染みのある音楽が流れると、会場のあちこちで子どもたちの元気いっぱいの掛け声や音楽にあわせて踊る姿がたくさん見られました。 鳴りやまない拍手にこたえる形でのアンコールは、吹奏楽の定番曲「宝島」と「翼をください」の2曲。最後の「翼をください」では、吹奏楽の演奏に合わせて来場者全員で合唱し、音楽を通して会場内が一つになる瞬間が感じられました。 演奏終了後には、吹奏楽サークルの代表から橿原市吹奏楽団へ花束が贈呈されました。 橿原市吹奏楽団のみなさま、吹奏楽サークルのみなさん、当日運営をサポートしてくれた学生ボランティアのみなさん、ありがとうございました。 ファミリーコンサートに引き続き、開学20周年記念イベントとして、7月23日(日)に柔道史上初、また全競技を通じてアジア人初となるオリンピック3連覇を達成した野村忠宏氏をお招きした特別講演(参加費無料、7/5事前予約受付開始)を開催しますので、ぜひご参加ください。 ▼橿原市吹奏楽団、吹奏楽サークル、ボランティア学生と冬木学長で最後に記念撮影! 【関連リンク】 畿央大学開学20周年特設サイト 【申込ページはこちら】広陵町名誉町民 野村忠弘氏特別講演会「折れない心」
2023.06.30
真美ケ丘子ども会の児童に、認知症の啓発活動!~認知症ケアサークルOrange Project®畿央大学
Orange Project®とは、熊本県(熊本大学・熊本保健大学・崇城大学)と奈良県(畿央大学)、愛知県(同朋大学)を中心に活動している認知症啓発のための学生ボランティア団体です。 “認知症になっても安心してくらせるまちづくりに貢献する”をコンセプトに、認知症啓発運動を行っている学生を中心とした団体で、2020年にはロゴやマークが商標登録されました。 2019年9月に畿央大学では「認知症にやさしい広陵町、認知症に強い畿央大学」となることを目的に、サークルとして発足しています。 2023年6月25日(日)、香芝市にある「真美ケ丘自治会館」にお邪魔させていただき幼稚園・保育園児~小学校低学年のお子様および保護者の方を対象にOrange Projectが作成した紙芝居「えがおのわ」を通して、認知症について学んでいただきました。 はじめに私たちが挨拶をさせていただき、「認知症」という言葉を知っているかを子どもたちに問いかけてみました。 そうすると、挙手をしてくれたり「聞いたことある!」「知ってる!」という発言がありました。幼稚園・保育園児~小学校低学年にはなじみがなく、難しい言葉なのではないかと考えていましたが、「認知症」という言葉を聞いたことがある・知っているという子どもたちがいることがわかりました。 紙芝居を読み聞かせする前に認知症について簡単に説明し、紙芝居の読み聞かせに入りました。 今回、紙芝居の読み聞かせをするにあたって工夫した点は「子どもたちが理解しやすいような言葉を使うようにする」ということです。Orange Projectがこの紙芝居を使用して、子どもたちに対し認知症啓発の活動をしたことは初めてではありません。しかし、これまでは小学校高学年に対してだったため、小学生高学年用の台本から幼稚園・保育園児~小学校低学年が理解できるように台本を作成する必要がありました。 例えば、「日付」という言葉です。私たちにとっては日常生活でも用いられ通じる言い回しかもしれないですが、特に幼稚園・保育園児にとっては少し理解しがたい表現ではないかと話し合い「日付がわからない」というセリフを「今日が何日かわからない」という表現にする等、参加メンバーで試行錯誤しました。 紙芝居の中には、クイズもあります。1つ目は「道端で認知症のおじいさんがきょろきょろして困っている」という場面です。「このおじいさんはどうして困っているのでしょうか」という2択のクイズに、Orange Projectのお兄さん・お姉さんが問題番号を手で示して立ち、正解だと思う方に集まってもらうというかたちで答えてもらいました。皆正解でした。 2つ目は「道端で困っているおじいさんがいます。みんなだったらどうしますか」というクイズです。このクイズには、挙手で答えてもらいました。「声をかけてあげる」「助ける」といったとても素晴らしい意見を沢山出してくれました。 このような、クイズに対する答えや紙芝居の感想を聞くと「面白かった!」などの声があり、とても集中して紙芝居を見てくれていて、紙芝居を通して少しでも認知症についての知識を得てもらうことができたのでないかと感じました。 紙芝居の後は、オレンジ色のモールを3本使って「ロバ隊長」の作成をしました。 ロバの特徴は長い耳に短い足です。長い耳は「何回でも何回でも気長に耳を傾けます」という気持ちを、短い足は「急がず、ゆっくりを意識して接する」ことを、オレンジ色のモールを使うのは「温かい気持ちで見守る」ことをそれぞれ意味します。これらのロバ隊長の特徴は認知症の人と接する時の心がまえを象徴するものです。 それぞれOrange Projectのメンバーが数人ずつお子様と保護者の方たちを担当して作成しました。 やや作るのが難しく、苦戦したところもありますがとても上手にロバ隊長を作ることができました。 みんなOrange Projectメンバーや保護者の方に「見てみて!できたよ!」と自身の作ったロバ隊長を見せに来てくれており、ロバ隊長の出来に満足しているようで微笑ましく思いました。 最後はじゃんけん列車でお菓子を渡す順番を決めてお菓子を渡し、お別れの時間となりました。 今回、真美ケ丘自治会館でこのような活動をさせていただくにあたり、幼稚園・保育園児~小学校低学年に対してどのようにすれば伝わるか、これで良いのか、興味を示してくれるのか、楽しんでくれるのか様々な不安がありました。しかし、私たちの問いかけに対して元気に答えてくれて、紙芝居やロバ隊長作り・じゃんけん列車などの私たちの企画を楽しんでくれている様子が見受けられ、とても嬉しく達成感がありました。準備の際に感じていた不安はすぐになくなり、私たちもとても楽しく豊かな時間を過ごすことができました。 私たちの出会いを通して、本日参加してくれた方が少しでも認知症について興味をもってくれたり学びになれば幸いです。 新型コロナウイルスの影響により、これまで大学外での活動が制限されていましたが5類に引き下げられたことをきっかけに、このような啓発活動も積極的に行うなど今後の活動に繋げたいと思います。 Orange Project®の今後の活動をよろしくお願いします!! 看護医療学科3回生 髙辻萌衣 【関連記事】 エリシオン真美ケ丘・エリシオン真美ケ丘アネックス「ひまわりカフェ」活動報告!~認知症ケアサークルOrange Project®畿央大学 認知症ケアサークルOrange Project®が活動を再開!~エリシオン真美ケ丘「ひまわりカフェ」活動報告 認知症ケアサークルが「2022年度Orange Project®記念式典」にオンライン参加! 対面とZoomで「七夕交流会」を開催!~Orange Project®畿央大学 第1回エコマミ公開講座に山崎教授と学生が協力!~Orange Project®畿央大学 認知症啓発のための「絵本・紙芝居で子どもから社会へつなげよう」活動報告!~Orange Project®畿央大学
2023.06.13
6/11(日)畿央大学開学20周年・畿央大学付属広陵こども園開園記念式典・シンポジウムを開催しました。
2023(令和5)年6月11日(日)、冬木記念ホールにおいて、13時から「畿央大学開学20周年・畿央大学付属広陵こども園開園記念式典」、14時から「畿央大学開学20周年・畿央大学付属広陵こども園開園記念シンポジウム」を行い、総勢300名弱の方にご参加いただきました。 「記念式典」には、本学教職員・学園関係者・学生・卒業生の他、来賓として行政関係、大学、高等学校、関連企業の方々のご出席を賜りました。 冒頭の畿央大学アカペラ部「ADVANCE#」による学歌斉唱に引き続き、冬木智子名誉学園長の動画で建学の精神「徳をのばす」「知をみがく」「美をつくる」を振り返りました。 冬木正彦学長の式辞では、原点に立ち返り、自身の経験と建学の精神に触れられ、畿央大学付属広陵こども園と共に将来の展開と皆さまへの感謝の気持ちが述べられました。 引き続き、健康科学部長の植田政嗣、教育学部長であり畿央大学付属広陵こども園園長の前平泰志が挨拶をしました。 ご来賓を代表して山村吉由広陵町長から、広陵町における就学前教育の整備とさらなる包括連携の強化を期待しています、とのご祝辞をいただきました。 その後は、本学職員(人間環境デザイン学科4期生)による「大学開学20年のあゆみ(スライドショー)」と、畿央大学付属広陵こども園副園長による「畿央大学付属広陵こども園紹介(動画)」で、式典は閉会となりました。 14時からは、幼児教育施設や子育てに関心のある一般の方も加わり、「子どもの世界から見えてくるもの」と題して「記念シンポジウム」が行われました。 本シンポジウムでは、幼児教育にさまざまな方面で活躍している4名を登壇者としてお招きしました。前半はご自身の活動についてお話いただきました。 齋藤美和氏(しぜんの国保育園 園長) しぜんの国保育園は東京都町田市にある社会福祉法人東香会が運営する認可保育園であり、にぎやかな街並みから少し離れた場所にある当園は、「small village」という愛称があります。 園の特色として「すべてが子ども中心」という理念から始まっており、子どものやりたいことを優先してその日のスケジュールを決め、子どもたちの「今」を尊重した保育を実践しているとお話しいただきました。 岡本麻友子氏(森のようちえんウィズ・ナチュラ 代表) 森のようちえんウィズ・ナチュラは天理市内のキャンプ場にて、年間を通して野外での保育を実践しています。 雨の日でもカッパを着て外で活動を行って雨の日しかできない遊びを行うことで自然の中での体験活動を大切にしています。また、季節の行事やイベントを大切にし、誕生日であれば、誕生月の子を想いながら採ったものを木でできたケーキに飾り、その時だけの特別なケーキを作っています。 「自然保育はやり方ではなく在り方」であり、それを考えることが大事であるとお話しいただきました。 阪田隼也氏(リーベ式運動遊び) 「こどもがこどもを満喫できる環境づくり」を大事にしており、跳び箱やマット運動などの技術練習を並んで順番を待ち、一人ずつ行う指導スタイルではなく、とにかく動き続けることがリーベ式運動あそびの特徴の一つであり、子どもたちが不安や緊張を感じることなく自然と動き出せることを重要視しています。 「楽しい先にこそ育ちがある」と考え、今できることを大人も一緒に楽しんでほしいとお話しいただきました。 小泉昭男氏(造園家) 「答えより問いを探して」との考え方から、草木や虫、鳥などの自然環境を子どもたちが楽しく学んでいけるように、子どもの視線や感覚にもとづいて、園庭づくりをされています。 園庭を通して季節を感じ、生き物に出会うこと。五感を研ぎ澄まし、そこから得た経験が、その後の育ちや学び重要であること。子どもたちにとって、管理された環境よりも、多様性のある自然が保証された遊びの場こそが子どもの心や体を豊かに育んでいくとお話しいただきました。 後半は、会場からの質疑応答・ディスカッションが行われ、子どもに対しての大人のあり方について、意見が交わされました。 外から見ると参加していないように見えても、他の子どもが遊ぶ様子を見て自分も参加している気持ちをもっており、「楽しい」という気持ちがそこには存在するとの意見がありました。 子どもは未熟であるために、大人主導の保育となりがちですが、子どものペースを知ると、子どもがよく見えるので、子ども主体の保育が必要であると結びました。 子どもの世界を考える貴重な機会になり、大変有意義なシンポジウムとなりました。 16時からは、会場を食堂棟に移して「情報交換会」を行い、シンポジストを含む全ての参加者の方に交流していただきました。 途中、本学の発展にご尽力いただきました冬木学園の理事や同窓会長、栄誉教授・名誉教授から、開学に至る経緯や学園への思いや激励の言葉等をいただき、教職員は建学の精神のもと一丸となって次の10年に向かって教育を進めていく決意を新たにしました。 2003年の開学当初、1学部2学科200名の入学生でスタートした畿央大学ですが、現在は2学部5学科2研究科1専攻科1別科にまで成長し、7,000名以上の卒業生が社会で活躍しています。 そして、今年4月には、畿央大学付属広陵こども園を開設し、212名の園児を迎えることができました。 これもひとえに、皆さまのご支援とご厚情の賜と深く感謝し、今後とも畿央大学および畿央大学付属広陵こども園に、さらなる温かいご支援とご協力をお願いいたします。 畿央大学開学20周年特設サイト 畿央大学付属広陵こども園ホームページ
2023.05.23
エリシオン真美ケ丘・エリシオン真美ケ丘アネックス「ひまわりカフェ」活動報告!~認知症ケアサークルOrange Project®畿央大学
Orange Project®とは、熊本県(熊本大学・熊本保健大学・崇城大学)と奈良県(畿央大学)、愛知県(同朋大学)を中心に活動している認知症啓発のための学生ボランティア団体です。 “認知症になっても安心してくらせるまちづくりに貢献する”をコンセプトに、認知症啓発運動を行っている学生を中心とした団体で、2020年にはロゴやマークが商標登録されました。 2019年9月に畿央大学では「認知症にやさしい広陵町、認知症に強い畿央大学」となることを目的に、サークルとして発足しています。 2023年5月14日(日)、広陵町にある介護付き有料老人ホーム「エリシオン真美ヶ丘・エリシオン真美ケ丘アネックス」で開催されている「ひまわりカフェ」にボランティアとして参加させていただきました。前回の4月の参加に引き続き、2度目の参加です。あいにくの雨模様でしたが、雨でも楽しく参加できるように、入り口前から素敵な飾りつけで参加者の方々のお出迎え準備がしてありました。 「ひまわりカフェ」は認知症の方や認知症の家族がいらっしゃる方、地域の方々、施設ケアマネジャーや生活相談員、施設長などが集い、楽しいイベントや世間話、介護相談など地域の人々の交流の場として開催されています。 私たちはひまわりカフェの準備からお手伝いさせていただき、会場の飾りつけや机の設置を行いました。 今回のひまわりカフェには27名が参加されていました。夫婦や友達同士で参加されている方が多かったです。皆さんが集まられてから、施設長の挨拶と職員の紹介があり、その際に私たち学生も自己紹介させていただきました。 次に、施設の調理師によるオムライス実演があり、昼食をいただきました。オムライスにケチャップでお名前やハートなどをかかせていただき、オリジナルのオムライスをつくりました。 昼食の後はお家でできる脳トレ体験として、ストレッチや足の運動、棒を使った運動を行いました。棒を使った運動では、参加者の方々から「難しいわ~」や「これなら家でできるわ」という感想が聞かれ、運動を楽しんでいる様子でした。 運動を行って昼食後の眠気覚ましをしたところで、介護保険制度について、簡単で分かりやすい説明がありました。 最後に、ロールケーキを食べながらお茶会と介護相談が行われました。私たちもお席にお邪魔して楽しくおしゃべりさせていただきました。 新型コロナウイルスのため、これまで大学外での活動が制限されていましたが、今回、直接地域の方々と交流することができ、とても良い経験ができました。 今後はOrange Project®のメンバーでも何か企画をしたいと考えています。 エリシオン真美ヶ丘・エリシオン真美ヶ丘アネックスの皆様、参加者の皆様、ありがとうございました。 これからもOrange Project®をよろしくお願いします。 看護医療学科 上垣穂乃佳 岸田 知奈 【関連記事】 認知症ケアサークルOrange Project®が活動を再開!~エリシオン真美ケ丘「ひまわりカフェ」活動報告 認知症ケアサークルが「2022年度Orange Project®記念式典」にオンライン参加! 新たに「認知症ケア論」が開講しました!~看護医療学科 対面とZoomで「七夕交流会」を開催!~Orange Project®畿央大学 第1回エコマミ公開講座に山崎教授と学生が協力!~Orange Project®畿央大学 畿央大学看護実践研究センター第7回研修会 「地域で・笑顔で 生きるとは」を開催しました。 認知症啓発のための「絵本・紙芝居で子どもから社会へつなげよう」活動報告!~Orange Project®畿央大学 「2021年度Orange Project®記念式典」で学生3名が功労賞を受賞! 広陵中学校の認知症サポーター養成講座にリモートで協力!~Orange Project®畿央大学 多世代まちづくりプロジェクト2021コンペティション、2年連続で「参加者賞」に!~認知症ケアサークル「畿央大学Orange ProjectⓇ」 広陵町図書館での認知症啓発活動に参加!~認知症ケアサークル「畿央大学Orange ProjectⓇ」 地域連携センター
2023.05.23
児童養護施設「飛鳥学院」を見学!~助産学専攻科「ヒューマンヘルス」
2023年5月16日(火)に「ヒューマンヘルス」の授業で、奈良県桜井市にある児童養護施設「飛鳥学院」を見学しました。飛鳥学院では、環境上養護を必要とする子どもたちの自立性・社会性を身につけるための支援をしています。 前半は副施設長の清水先生の講義を受け、児童養護施設の歴史や現状、児童が自立できるように支援するための計画について教えていただきました。子どもが、社会でいかに自立していくことができるように関わっていくかが施設の職員に求められていることであると学びました。 また、助産師として乳幼児とその家族を支援する立場となったとき、家族による虐待などのリスクを減らすことを意識して、出産・育児に向けて支援していきたいと思います。 後半は、施設見学をさせていただきました。 飛鳥学院では教育に力を入れられていることをお話しされており、施設の中には塾やそろばんなどの学習環境が充実しており、子どもたちにとって学習しやすい環境となっていました。また、職員の方々は、子どもたちが自分の強みを見つけて伸ばせるための関わりをされており、子どもたちは自信を持って社会に出ることができるようになると感じました。 施設見学を通して、主体性と責任感をもって子どもに向き合うことで子どもとの信頼関係を築いていくことができるとわかりました。 今回は、お忙しい中、学生を温かく迎えてくださった河村院長、清水副院長、職員の皆様、貴重な経験をさせていただき、本当にありがとうございました。 助産学専攻科 12期生 足立 百合菜 【関連記事】 産婦人科医に学ぶ超音波診断法~助産学専攻科「助産診断技術学Ⅰ」 2022年度 新生児蘇生法(NCPR)Aコース講習会を受講しました!~助産学専攻科 第11期生事例研究発表会を開催しました~助産学専攻科 外部講師に学ぶマタニティヨガとベビーマッサージ!~助産学専攻科 災害時の行動をロールプレイで学ぶ「地域母子保健論」~助産学専攻科 産婦人科医に学ぶ!会陰縫合理論と縫合技術~助産学専攻科「助産診断技術学Ⅱ」 熟練助産師から学ぶ分娩介助の応用「会陰保護技術と肩甲難産の分娩介助方法」~助産学専攻科 「分娩異常時の助産診断の実際(母体急変時の初期対応)」~助産学専攻科「生命倫理」 マタニティヨガ・ベビーマッサージの特別演習~助産学専攻科 児童養護施設「飛鳥学院」を見学!~助産学専攻科「乳幼児の成長・発達」 熟練助産師に学ぶ!母子のための骨盤ケア!~助産学専攻科「助産診断技術学Ⅰ」 産婦人科医に学ぶ!超音波診断法!~助産学専攻科「助産診断技術学Ⅰ」
2023.05.22
産婦人科医に学ぶ超音波診断法~助産学専攻科「助産診断技術学Ⅰ」
令和5年5月15日(月)に「助産診断技術学Ⅰ(妊娠期診断とケア)」の授業で、産婦人科医師である、健康科学部長の植田政嗣先生から、超音波検査について教えていただきました。 はじめに、講義を行い、超音波診断法についてのビデオを見ながら、仕組みや方法について学びました。 次に、演習を行い、植田先生に超音波診断装置を用いて、装置の使い方やプローブの持ち方、児頭大横径(BPD)・腹囲(AC)・大腿骨長(FL)の測定方法、そして、推定児体重(EFW)と妊娠週数の算出方法を実演しながら教えていただきました。 その後、実際に学生が一人ずつ超音波診断の練習をしました。プローブの扱いは、初めてだったため、測定に苦戦しました。 ですが、植田先生から、プローブの持ち方や扱い方について一人ずつ丁寧に指導していただくことで、全員が測定することができました。 また、測定している学生の様子をみんなで見て、学生間でアドバイスをし合いながら演習することができ、うまくいくとみんなで喜び合って、楽しみながら学ぶことができました。 超音波検査は、赤ちゃんが成長し大きくなっていく様子が目で見てわかる検査です。またお母さんにとって赤ちゃんの成長を感じられる場面であり、赤ちゃんの存在を感じられる場面でもあります。 エコー画像をみてお母さんに頭の場所や手の場所などをきちんと説明することで、お母さんはより赤ちゃんの成長を感じることができ、安心に繋がると思います。 助産師として、きちんと説明できるよう知識と技術の学習に日々努力していきたいです! 助産学専攻科12期生 岡田 七彩 【関連記事】 2022年度 新生児蘇生法(NCPR)Aコース講習会を受講しました!~助産学専攻科 第11期生事例研究発表会を開催しました~助産学専攻科 外部講師に学ぶマタニティヨガとベビーマッサージ!~助産学専攻科 災害時の行動をロールプレイで学ぶ「地域母子保健論」~助産学専攻科 産婦人科医に学ぶ!会陰縫合理論と縫合技術~助産学専攻科「助産診断技術学Ⅱ」 熟練助産師から学ぶ分娩介助の応用「会陰保護技術と肩甲難産の分娩介助方法」~助産学専攻科 「分娩異常時の助産診断の実際(母体急変時の初期対応)」~助産学専攻科「生命倫理」 マタニティヨガ・ベビーマッサージの特別演習~助産学専攻科 児童養護施設「飛鳥学院」を見学!~助産学専攻科「乳幼児の成長・発達」 熟練助産師に学ぶ!母子のための骨盤ケア!~助産学専攻科「助産診断技術学Ⅰ」 産婦人科医に学ぶ!超音波診断法!~助産学専攻科「助産診断技術学Ⅰ」
2023.05.19
【開学20周年記念】12/2(土)看護医療学科特別講演会「看護におけるリフレクション」を開催します。
畿央大学看護医療学科では開学20周年記念事業として、「看護におけるリフレクション」をテーマに講演会と意見交換会を企画しました。 看護実践において経験知・実践知を育み、やりがいを獲得するうえでリフレクション(reflection・省察)の意義は大きいとされています。また、リフレクションは現状への挑戦という前向きな行動を後押し、リフレクションによって看護行為が変化すると言われています。今回、畿央大学開学20周年を迎えるにあたり、今一度、リフレクションについて学び、自己の看護実践の振り返りを通して、実践の意味や価値を見出し、これからの看護を考える未来志向の機会にしたいと考えて企画しました。 プログラムの前半は講演会です。講師には順天堂大学教授 東 めぐみ氏(慢性疾患看護専門看護師・認定看護管理者)をお迎えします。東先生は臨床での実践、看護師のキャリア開発支援に長年携わり、看護リフレクションに関するご講演や著書の出版等、精力的に活動されています。後半では意見交換の場をもち、リフレクションを通して明日からの看護につながる元気と勇気を分かち合いたいと考えています。さらに、卒業生対象には看護医療学科の歩みを振り返り、卒業生と教員が交流できる場を設けます。 本学の教育・研究活動においてお世話になっている施設の皆さま、卒業生の皆さま、是非、お誘いあわせの上、ご参加ください。お子さま連れでのご参加も大歓迎です。多数の方の参加を心よりお待ちしております。 東 めぐみ氏 プロフィール 慢性疾患看護専門看護師(日本看護協会認定)、認定看護管理者(日本看護協会認定)として、駿河台日本大学病院、東京都済生会中央病院に勤務。その後日本赤十字北海道看護大学教授(成人看護学)を経て、2023年4月より順天堂大学保健看護学部教授(成人看護学)。臨床での実践、看護師のキャリア開発支援に長年携わり、看護経験から学ぶことによって得られる看護の確かさや誇りを、多くの仲間と共有したいと願い、活動されています。 『経験から学ぶ看護師を育てる 看護リフレクション(2021)』『看護リフレクション入門(2009)』他著書多数。 講演内容 講演名 看護医療学科特別講演会「看護におけるリフレクション」 開催日 2023年12月2日(土)13:00~16:00 会場 畿央大学 KB04講義室 R棟1F食堂 畿央カフェ「カトレア」※ご来場の際は、公共交通機関をご利用ください。 本学へのアクセス 参加費 無料 申込方法 事前予約制です。下記申込フォームに必要事項を入力のうえ、送信ください。 一般の方 臨地実習指導者の方 本学卒業生の方 問合せ先 畿央大学20周年事業係 電話:0745-54-1601 E-mail:20th@kio.ac.jp 畿央大学開学20周年記念事業のご案内
2023.05.16
2023年度 離島・へき地医療体験実習(川上村)レポート~看護医療学科
看護医療学科では、4回生の統合発達科目として、その人の顔が見える看護や保健医療を体験することで、看護の本質を考えることを目的とした「離島・へき地医療体験実習」のため2023年5月9日(火)~5月11日(木)の3日間、23名の学生と3名の教員で奈良県川上村に行ってきました。昨年は3年ぶりに臨地で日帰り実習を行いましたが、宿泊を交えた数日間の実習は2018年以来です。 5月9日(火)1日目:雨の天気予報が見事にはずれ、太陽と青空と緑がとても綺麗な晴天になりました。 まず、初日は川上村を理解する上で、下流領域の住民の水害を防止するために、村の中心部をダムに沈めたという歴史とそのダムの実際を理解するために村の入り口にある大滝ダムに行きました。想像以上にとても大きなダムで、雨の後で水が増水していたため、緑色の豊かなダム湖になっていました。このダム湖の底に村が沈んでいることは想像できませんでしたが、ダムの掲示物を観て、村を犠牲にしてでも治水の重要性があったことが理解できました。 次に、川上村が大事にしている森林と水の資料館である「森と水の源流館」へ行き、学芸員の方から紀ノ川へと続く吉野川の水脈や林業を生活の生業としてきた村の歴史とその中でものづくりを行ってきた村の人々の暮らしの移り変わりを丁寧に説明していただきました。「昔からの手作りの器具が後世に引き継がれるためには、今の高齢者の方から話を聴き、器具作りを教えてもらう必要があるが、その話をしているときの高齢の方々の表情がとても生き生きと活気づくので、話を聴くことの必要性を感じている」との学芸員の方のお話から、異世代間でのコミュニケーションの重要性が理解できました。また館内の展示物がリニューアルされているとのことで、とてもわかりやすい状況で視覚や音響効果も含めて自然を守ることは村を守ることでもあるということを感じることができました。 次に村民への健康支援を行っている機関(役場保健師・社会福祉協議会・森林組合・診療所)の担当者に対して、事前に把握した事項から、看護者として可能な支援を検討するために考えた質問を学内期間中にまとめ、先方に送付した質問を各機関を訪問し、あるいは、学生の居場所であるやまぶきホールの研修室に来て頂き、インタビューをしました。 学生の質問は、村人の健康や安全な暮らしを守る支援を念頭において、コロナ禍で出来なくなっていたことの課題や、感染症分類が変更となることで今後を見据えた現状と活動の実際を理解しようとするもので、母子保健・成人保健・高齢者保健の活動だけでなく、先輩がこれまで提供してきた林業での救急措置対応媒体の活用の現状など先輩の活動を踏まえた質問を行っていました。また地域特性として、大雨による土砂災害が多いことと高齢化率が高く独居高齢者が多いことで、災害時の避難行動要支援者に対する支援の実際等、今までの実習成果を理解しさらに発展した支援を検討するものになっていました。インタビューを受けた担当者の方からは、「話の聞き方が上手で、通り一遍の質問ではなく、さらに関連することを掘り下げて聴く姿勢に感心した」との声がありました。 それぞれの機関や担当者とのインタビューは、時間を超過してご対応いただき、学びも沢山ありました。 また森林組合や診療所・保育園は、施設を訪問したことで村民の方々の生活の場・医療の場の理解につながったのではと感じました。 5月10日(水)2日目:今日も最高の天候に恵まれました。 2日目は、住民の方を対象にした健康測定を実施しました。学生たちは、スムーズに行えるように、学内での準備やシミュレーションを重ねてきました。会場や測定機器の設営も間隔を考えながら自分たちで全て行いました。会場となった川上村ふれあいセンターに偶然カフェを利用しに来られた方や、かわかみらいふのスタッフの方が呼びかけて下さった方23名の方が参加してくださいました。中には、以前にこのふれあいセンターで実施した骨密度測定に参加したことがあると平成28年の測定時の事をよく覚えてくださっていた80歳代の方もいらっしゃいました。 最初は緊張した様子の学生たちも、住民の方の温かいお言葉を頂き、和やかな雰囲気で健康測定を実施展開することができました。参加者の方から聞かせて頂く生活上でのお話は、大変興味深く、学生たちの目が輝いているように見えました。日頃の生活の様子をお伺いしながら問診をとり、血圧測定、握力測定、足趾把示力測定、結果に応じた保健指導を実施しました。学生が作成した各結果説明用パンフレットや保健指導用パンフレットを使い、転倒防止手帳を渡しながら一人ひとりに応じた結果説明や保健指導を一生懸命に行う学生の姿がとても頼もしく思えました。 また、かわかみらいふの活動の特徴である移動スーパーとコミュニティーナースの後を追って、山の中腹にある地区を訪れました。4世帯の独居高齢者のみで構成された集落で、足が不自由で移動スーパーまで歩いて行けない住民をコミュニティーナースと今年配属になった理学療法士と共に訪問して、健康状態の確認や、購入してほしい食品の聞き取りをしての買い物代行の状況を理解することができました。 学生の話によると、コミュニティーナースは医療者というよりは、知人のようにフレンドリーに話をしていて住民の事が良く理解できているようで、住民の方も「1週間ぶりに人と話したわ あれとこれが欲しい」ととても嬉しそうな表情が印象的だったとのことでした。 5月11日(木)3日目:日頃の行いが良い(?)見事な晴天でした。 3日目は、インタビューで把握できたことや健康測定の問診やデータの集計・まとめを行いました。それぞれのグループでディスカッションを行い、一人ひとりが学んだことや考えたことを共有し、問題ばかりを見つけずにお話を聴いたことや観察できたことで村の強みを再確認しながら、自分たち看護者として可能な支援のあり方を検討しました。 帰りは、匠の聚でインタビューを行ったあと、全員素晴らしい風景に見惚れました。バスの中からは、道を横断する猿に遭遇し、自然との共存も感じることができました。この実習を通して、実際に学生は自分たちの目で川上村の住民の方々の「生活」「暮らし」を観て感じ、またその中での健康と保健・医療・福祉・教育の関係性をインタビューを通して理解した上で、看護の役割を考える貴重な時間となりました。 お世話になった各機関の皆様、健康測定に参加して頂いた住民の皆様、本当にありがとうございました。 看護医療学科 助教 伊藤 千春 【関連記事】 「離島・へき地医療体験実習」発表会を開催しました!~看護医療学科 離島・へき地医療体験実習(川上村)で応急手当ポケットカードを作成!~看護医療学科 離島・へき地医療体験実習(山添村)レポート~看護医療学科 離島・へき地医療体験実習(宇陀市大宇陀地区)レポート~看護医療学科 離島・へき地医療体験実習(川上村)レポートvol.2~看護医療学科 離島・へき地医療体験実習(川上村)レポートvol.1~看護医療学科