看護医療学科の新着情報一覧
2019.05.28
「エンゼルメイク」を学ぶ!~看護医療学科「終末期ケア論」
看護医療学科3年次に選択科目として開講している「終末期ケア論」ですが、今年は58名の履修登録がありました。この授業では、死にゆく対象の理解を深め、適切な援助技術を理解することをめざしています。 2019年5月24日(金)の授業では、臨死期の看護技術の一つであるエンゼルメイク(逝去時に身体や頭髪をきれいに整え、故人の生前の表情や血色に近いメイク)演習をしました。 闘病による苦しみから解放された方の表情を柔らかくするためのマッサージをしています。 グループでの演習ですが、メンバーと協力しながら、ファンデーションの色を決め、丁寧にメイクしています。 この科目は6名男子学生が履修しています。普段したことがないメイクに戸惑う様子がありましたが、女子学生のアドバイスを受けながら実施していました。 メイクが完成すると、学生間で「もっと赤みがあるほうがいいのでは?」「口紅が赤すぎるのでは?」と客観的に評価していました。 エンゼルメイクを実施した人形を見てみると、1人、1人お顔が違います。それぞれ、穏やかな顔をしています。学生は演習を通して、エンゼルメイクが遺族のケアにつながることを実感したと思います。 死にゆく対象がその人らしく過ごし、穏やかな最期を迎えるために、今後も学生と共に学び、考えていきたいと思います。 看護医療学科講師 大友絵利香・對中百合 【関連記事】 「グループホームの看護職のための終末期ケア研修会」を開催!~看護医療学科 ホスピス見学実習での学びを共有!~看護医療学科「終末期ケア論」 緩和ケア病棟を見学実習!~看護医療学科「終末期ケア論」
2019.05.27
3回生対象「第10回 基礎看護技術自己学修会」を開催!~看護医療学科
3回生を対象とした「第10回基礎看護技術自己学修会」を開催しました。 2019年5月24日(金)、3回生を対象とした「第10回基礎看護技術自己学修会」を行い、45名の学生が参加しました。今年度の学修会は、学生がより主体的に取り組むことをねらいとして、各自で学修する内容を計画・実施する形式に変更しています。 4月の学修会では、援助の実施以前に、必要物品の準備であたふたする様子も見られましたが、回数を重ねるごとに準備から実施・後片付けまでの一連の流れが、スムーズに行えるようになってきました。また、「麻痺のある患者さんを想定した寝衣交換」といった、基本的な技術を元に応用も考えて援助を実施している学生もいました。その様な中で、「寝衣の袖を脱がせることができない」「身体の下に処置用シーツが敷けない」「シーツが濡れてしまった」「床に水をこぼしてしまった」と、学生が戸惑う様子がところどころで見受けられました。 頭の中で考えていた計画や、テキストで調べていた方法も、いざ実践してみると思うようにいかないことが多々あります。健康な学生同士であっても上手くいかないのですから、健康障害を持つ患者さんへの援助がいかに難しいものであるのか、想像に難くないことだと思われます。 今回の学修会は、学生が自分自身で考えた援助を実践し、「考えていたような援助ができなかった」という体験からの学びを得る機会となったのではないかと思います。学修会では失敗を恐れずにチャレンジし、様々な体験を重ねて、基礎看護技術の修得をめざしてほしいと思います。そして、一人ひとりの学生が、3回生後期の各看護学実習で、患者さんに適したより良い援助を提供できるよう心から願っています。 看護医療学科 基礎看護学領域 林有学・須藤聖子・小林智子・中西恵理 【関連記事】 3回生対象「第9回 基礎看護技術自己学修会」を開催!~看護医療学科 3回生対象「第8回 基礎看護技術自己学修会」を開催!~看護医療学科 市立東大阪医療センターの合同災害訓練に、学生が患者役として参加!~看護医療学科 教育・教授活動に関する自主学習会を行いました~看護医療学科教員レポート
2019.05.24
7/13(土)助産学専攻科主催「マタニティ・カフェ」のご案内
畿央大学助産学専攻科は今年で開設8年目となり、これまで52名の助産師を育成してまいりました。本学専攻科の教育の特徴の一つは、入学時に学生が描いた理想の“めざす助産師像”に、近づくために自己と他者を理解しながら、自らの助産師としてのアイデンティティを一歩一歩育んでいくことを大切にしていることです。そして、妊産婦の皆様に心から寄り添える助産師に成長して欲しいと一番に願っております。また、助産師にとって必要な知識や技術は、その専門性の高い外部講師をお招きし、更に最新で確実な情報のもと学修しております。その甲斐ありまして、臨床から高い評価を頂けることが多くなってまいりました。このことは、講師の皆様および学生の努力と、臨床指導者の皆様、そして、何よりも助産師学生のケアに快諾いただきました妊産婦ならびにご家族の皆様のご協力のおかげと思っております。 今回、ご協力いただきました地域の妊産婦及びご家族の皆様の健康向上のため、マタニティカフェを開催することにいたしました。産婦人科医の植田政嗣先生(本学健康科学部長)、「世にも珍しいマザークラス」を全国で開催しておられる助産師の佐藤香代先生(国際医療福祉大学大学院 助産学分野教授)をお招きしております。 先着約50名ですが、是非ご参加いただきますよう、よろしくお願いいたします。 日 時 2019年7月13日(土)13:00~15:30 会 場 畿央大学 L202教室・L203教室 第1部13:00~13:20 「婦人科医のワンポイントアドバイス」 講師:産婦人科医 植田政嗣先生(畿央大学健康科学部長) 第2部13:20~14:50 「世にも珍しいマザークラス」(奈良初開催) 講師:助産師 佐藤香代先生(国際医療福祉大学大学院助産学分野教授) 第3部15:00~15:30 「カフェしながら何でもトーク」 定員 50名 受講料 無料 申込方法 kio-josan@kio.ac.jpまで下記内容をメールでお送りください。 ①ご氏名(ご一緒に参加する方も) ②出産予定日 ③ご住所 ④電話番号 ⑤駐車場ご使用の有無 ※お送りいただきました個人情報は、今回のマタニティ・カフェ以外には使用いたしません。 ▼画像クリックでPDFが開きます。
2019.05.24
「畿央大学看護実践研究センター開設記念シンポジウム」を開催しました。
2019年4月1日に開設した「畿央大学看護実践研究センター」のキックオフイベントとなる開設記念シンポジウムを5月19日(日)に開催しました。来賓に公益社団法人奈良県看護協会会長の平葉子様、本学名誉教授の伊藤明子様、愛知県立大学副学長の百瀬由美子様ほか多数お迎えし、さらに卒業生10名を含む約100名の参加者にお越しいただきました。 最初に冬木正彦学長による開催の挨拶があり、引き続いて、山崎尚美看護実践研究センター長による挨拶とセンター設立の経緯、センターの目的や組織、事業内容と本日のシンポジウムの趣旨について説明がありました。 「看護実践研究センターは、看護実践学の発展・社会的地位の向上、地域住民の健康増進や卒業生を含めた医療職・福祉職の資質向上の具現化と、現在まで行ってきた認知症ケア・地域包括ケア・国際交流などの研究や事業を系統的にスマート化し、教職員にとって進めやすい環境の整備を目指し、設立されました。また、このセンターが研究機関として機能することで看護実践学に基づく看護学のさらなる発展を期待し、今後、認知症ケア部門・地域包括ケア部門・助産学部門・卒後教育部門・国際交流部門の5つの部門で事業展開を行っていきます。 本日は看護実践研究センター事業の第一回目として、『認知症高齢者の緩和ケア』に関するシンポジウムを認知症部門・卒後教育部門・国際交流部門合同で企画しました。 卒業生・医療現場の方々・地域住民の皆様とともに部門担当者一同、一丸となって邁進していく所存でございます。今後とも、ご指導ご鞭撻のほどお願い申し上げます。」 山崎センター長の挨拶の後、本年3月まで老年看護学准教授として勤務されていた南部登志江先生(現 森之宮医療大学教授)よりお祝いの花束が贈呈されました。 ▼南部先生からの花束贈呈 第一部 講演「意思決定支援コミュニケーションツールの開発」 講師:Ms. Julie Paul (オーストラリア緩和ケアNP(AIPEACS CEO)) オーストラリアで先駆的に緩和ケアの教育活動をされているジュリー・ポールさんにお越しいただき、アドバンスト・ケア・プランニング(ACP)の意義・あり方・意思決定支援ツールの開発の現状についてご講演いただきました。 ▼ジュリー・ポール氏による講演 第二部 シンポジウム「これからの緩和ケアのあり方-実践者の立場から再考する-」 シンポジストとして緩和ケア病棟に勤務されている卒業生の中嶋優弥さん(看護医療学科3期生)とグループホームやナーシングホームで緩和ケア認定看護師として活動中の看護医療学科の大友絵利香講師の二人から病院と施設のそれぞれの立場から認知症の方の緩和ケアの実践について報告していただきました。それぞれの講演の後、参加者の方との質疑応答の時間を持ち、最後にジュリー・ポールさんからシンポジストの実践内容に対するコメントをいただきました。参加者の方からは、「看護の力を感じた」「ケアの振り返りができた」といった意見も頂戴しました。 ▼シンポジストの中嶋優弥氏(本学看護医療学科3期生) ▼シンポジストの大友絵利香氏(緩和ケア認定看護師) ▼質疑応答の様子 第三部 情報交換会 第三部では情報交換会が開催されました。約40名が一堂に会し、認知症の人を介護する家族、実習施設の指導者様、研修企画者、臨床実践家などの参加者の方々がご活躍されている領域でのご紹介をいただき、互いに交流を深め、終始和やかな雰囲気の会となりました。最後にセンターの各部門担当者が今後の抱負を説明し、閉会となりました。 ▼情報交換会の様子 認知症の方の意思決定支援は、終末期になってからでは困難をきたしますが、ジュリー・ポールさんから意思決定支援の具体例としてメルボルンと日本の「意思決定支援カード」の意義について学ぶことができ、また今後の日豪共同研究企画の紹介がされました。臨床の場から、中嶋さんからは意思決定支援のあり方として「認知症だから何もわからないのではなく、軽度な時期にケア提供者が最大限の工夫をすること、殊に穏やかになることを助けること、そのためには本人に聞くことが大切である」という認知症ケアの基本や、また大友講師からは認定看護師の役割とともに、緩和ケアの実践の中で「特別でない日常の中での死を学ぶ」姿勢を看護師は持つこと、そうすることで認知症高齢者が「大切にされていると実感してもらえる」関わりが重要であることを学びました。 【関連記事】 第2回看護医療学科卒後教育研修会を開催しました。 看護医療学科開設10年記念講演会・第1回卒後教育研修会を開催しました。 認知症高齢者の緩和ケアをテーマに「第1回 認知症高齢者の終末期ケア研修会」を開催しました。
2019.05.24
離島・へき地医療体験実習(山添村)レポート~看護医療学科
山添村のへき地実習でコミュニティナースの役割について学びました! 看護医療学科4回生の必修科目である「離島・へき地医療体験実習」の現地実習が2019年5月14日(火)~5月16日(木)の3日間で行われ、学生たちは奈良県内4か所の実習地にわかれて参加しました。そのうちの1か所である山添村には24名の学生が参加しました。地域の方々、山添村役場保健福祉課、2カ所の村立国保診療所をはじめとする村内各機関のみなさまのご協力のもと、素晴らしい実習ができました。特に、コミュニティナースについて、多くを学ぶことができました。3日間の様子をご報告いたします。 1日目(5月14日) 初日は、山添村の保健医療の概況を知ることから始めました。山添村役場保健福祉課の前川課長と社会福祉協議会の浦局長から山添村の概況や健康課題のお話をお伺いしました。 その後、バスで村内を移動し、コミュニティナースの荏原さんより村内を案内していただきながら日常の活動についてお伺いしました。あいにくの雨だったので、観光スポットでもある「めえめえ牧場」で羊とたわむれることはかないませんでしたが、井久保工房にお邪魔して昼食をいただきました。 井久保さんは退職後、子どもを対象とした木工体験を行っていらっしゃいます。村民の方にあたたかく迎えていただき、木の温もりを感じながらほっこりとした時間を過ごしました! 午後は、東山診療所と波多野診療所を見学しました。 村の医療の現状や、隣接している市の医療機関の先生方と顔の見える関係を築き、連携しながら医療を提供していることや、必要に応じて往診を行い地域に密着した活動を行っていることをお聞きしました。水口先生、大久保看護師に講話を行っていただき、山添村へき地医療について学びを深めることができました。ご協力感謝いたします。 2日目(5月14日) 2日目は、お茶摘みや農業体験、地域の活動や集会に参加させていただき、山添村の方々の仕事や日々の暮らしを伺い交流を深めました。 山添村は古くからの大和茶の産地です。保育所跡地を活用した「かすががーでん」ではお茶摘み体験をさせていただきました。斜面いっぱいに広がる緑の中で「一芯二葉」のやわらかいお茶っ葉を一枚一枚摘んでいきます。摘んだ茶葉は釜煎りし、3日目の骨密度測定会に来てくださった地域の方々に召し上がっていただくことにしました。 昼食は、地域の伝統食であるフキ俵や、その場で調理してくださった旬の野菜をおいしくいただきました。このフキ俵は、学生自身にも包む体験をさせてくださり、よい体験となりました。 「かすががーでん」では、県外の人に向けた地域活性化のイベントも積極的に行っていました。 お昼からは、各班に分かれ農作業体験や、特定非営利活動法人どうで、地域の女子会での交流、ガソリンスタンドではコミュニティナース疑似体験をしました。 ▲(農業体験)元気に育ってね! 愛情をこめて育てています。 ▲写真左:(どうで)人生初の巻き割り! 写真右:(女子会)初対面とは思えない盛り上がり! ▲(農協ガソリンスタンド)ここは幅広い年代のお客さんが声をかけてくれます。コミュニティナースの活動拠点です。 山添村で暮らす方々の生活や思いを肌で感じ、病院実習だけでは経験できない学びができた貴重な一日となりました。ご協力いただきました皆様方、本当にありがとうございました。 3日目(5月16日) 3日目最終日の午前中は学生が準備に最も時間をかけた骨密度測定会が公民館で実施されました。 測定会では、骨密度のほかに足趾力、握力も測定し、百歳体操を住民の皆さんと一緒に行いました。測定会は前日の宣伝もあり、34名の方々に来ていただきました。測定会場に設けた休憩コーナーでは、2日目に学生が摘んだ手もみ新茶がふるまわれ、好評を博しました。 コミュニティナースの活動のお話を聞いたのち、お昼は山添村で営業されているレストランにお願いしたお弁当をいただきました。 午後に訪問した児童館では、館長さん自ら手書きの色紙で温かく迎えていただきました。村内には下校後、自宅で一人になる子供が少なくなく、小学生47名、保育園児1名が現在利用しています。村内の子供の数は減っていますが、児童館の利用数は増えているという現状です。児童館は子供の居場所であり、社会性を育む場として重要な役割を担っていることを学びました。 3日間のへき地実習で学生たちは多くのことを学びました。今後、看護職に就いた後もこの経験は役に立つと思います。 最後になりましたが、この実りある3日間の実習のために多くのご協力を賜りました関係者の皆様、地域の皆様に深く感謝いたします。 看護医療学科 准教授 文鐘聲 堀江尚子 講師 田中陽子 助手 髙橋朝江 【関連記事】 離島・へき地医療体験実習(宇陀市大宇陀地区)レポート~看護医療学科 離島・へき地医療体験実習(川上村)レポートvol.2~看護医療学科 離島・へき地医療体験実習(川上村)レポートvol.1~看護医療学科
2019.05.20
2019年度 奈良県認知症ケア専門士会総会&第13回研修会を開催しました!~看護医療学科
2019年度 奈良県認知症ケア専門士会総会と第13回研修会が、令和元(2019)年5月18日(土)に畿央大学において総勢38名(講師1人・スタッフ8人を含む)の参加で開催されました。 認知症ケア専門士は、わが国における認知症ケア技術の向上ならびに保健・福祉に貢献することを目的に日本認知症ケア学会が認定する資格です。生涯教育が特徴の一つであり、常に認知症について新しく学び続けることが求められる資格で、意識の高い方々が集まっておられます。奈良県認知症ケア専門士会の会員数は約400名、保健・福祉・医療関係の職員などが、その多くを占めています。 ▲奈良県認知症ケア専門士会の会長である山崎尚美教授のご挨拶 ●2019年度 奈良県認知症ケア専門士会 総会 会の活動報告と活動計画、そして、会計報告と予算について報告されました。とりわけ、奈良県認知症ケア専門士会では、予算が厳しい状況の中でも会員拡大を最も大きい課題の1つと考え、その障壁の1つになる会費を、今年も無料として頑張っていくことが確認されました。ぜひ皆様も会の趣旨にご賛同いただき、会へのご入会をお願い申し上げます。認知症ケアについて、仲間と語り合うことで元気になれますよ。 ▲総会での活動報告をする理事の吉川聡史様 ▲会計報告と予算について説明する森ノ宮医療大学の南部登志江教授 ●奈良県認知症ケア専門会 第13回研修会 「介護業界への外国人受け入れに関する人材育成のあり方 ― 認知症の人を支える人材育成 ― 」 と題して、奈良東病院事務局長・近畿社会福祉専門学校留学生担当責任者の岡田智幸様に、ご講演をいただきました。介護職不足はメディアを通じて広く報道されていますが、厚生労働省の統計や受給見通し、離職率の高さを見ても人員不足は非常に深刻です。いわゆる団塊の世代がすべて75歳以上の後期高齢者となる2025年には、手立てをしなければ約50万人の介護職不足が起きる予測さえあります。そんな中、介護業界への外国人受け入れをスムーズにする取り組みにも大きな期待がかけられています。 岡田講師の働いている法人では2001年ごろより、その取り組みを始め先進的な経験を蓄えておられて、興味深いものでした。経済連携協定(EPA)以外にも3つの法的な制度があり、その実情についても詳しく伺いました。 日本人の人材教育も大事であるが、外国から来ていただいている方への教育も大切です。日本の介護教育機関での受け入れも先進的に取り組んでおられることが説明されました。例えばベトナムでのケアの教育プログラム作成に日本が協力すれば、その国のケアの力が上がると同時に、その教育を受けたベトナムの方が来日されるならプラスに働くことになります(会長でもある本学の山崎教授も関わって推進しています)。 そして何より、実際にベトナム、中国、インドネシアからの介護士さんが参加しておられ、介護される方のほぼ100%の方が、彼女たちを好意的に受け取っているという調査結果も、発言やその後の交流から納得できるものでした。皆さんとってもいい感じです。 大変貴重なご講演ありがとうございました。 ▲講演をする岡田智幸様 ●world café(ワールドカフェ) 研修会の後半は、ワールドカフェという参加者によるグループワークをしました。カフェということで、飲み物とチョコやスナック菓子をいただきながら、テーマ「認知症の人を支える人材育成」について話しました。そして、時間になれば、グループメンバーはホストを残して別のグループに移動して、新たに展開している話題や内容について話し合いを繰り返し、認識を深めていきます。そこで語られる現場の声が大変新鮮で、参加者の皆さんのケアへの熱意に元気づけられました。 ▲ ワールドカフェの様子。全体をファシリテートする理事の原嶋清香様 次の研修会は2019年10月10日(木) 「笑顔で生きる –私たちの希望と願い- (仮) 」オレンジドア代表 丹野智文様の講演会とVR体験を予定しています。是非ご参加ください。お待ちしております。 看護医療学科准教授 上仲久 ●日本県認知症ケア専門士会公式HPはコチラから! ●日本県認知症ケア専門士会公式Facebookはコチラから! ●奈良県認知症ケア専門士会公式Facebookはコチラから! 【関連記事】 認知症啓発の列島リレー「RUN伴」に参加・協力!~看護医療学科 畿央祭教員企画「第12回奈良県認知症ケア専門士会研修会」~看護医療学科 平成30年度奈良県認知症ケア専門士会 第1回研修会を開催しました。
2019.05.20
離島・へき地医療体験実習(宇陀市大宇陀地区)レポート~看護医療学科
宇陀市の高齢化に伴う医療・介護の課題に向き合うことができました! 看護医療学科4回生の必修科目である「離島・へき地医療体験実習」の現地実習が2019年5月14日(火)~5月16日(木)の3日間で行われ、学生たちは奈良県内4か所の実習地にわかれて参加しました。そのうちの1か所である宇陀市大宇陀地区には20名の学生が参加しました。地域の医療職や介護職の方々、交通の便が悪い山中にお住いの高齢者の方々に多大なご協力を得て、たくさんの体験や感動、学びがありました。その様子を報告させていただきます。 1日目(5月14日) 朝から小雨の降る中、学生は宇陀郡曽爾村と大宇陀地区に分かれて実習に向かいました。曽爾村では2名の学生が、奈良県看護協会宇陀訪問看護ステーション東宇陀支所の訪問看護師さんに同行し、限界集落で疾患を持ちながら生活されている高齢者の訪問看護を見学しました。大宇陀地区に向かった学生18名は、まずこの実習の拠点となる大宇陀特別養護老人ホームラガールに向かいました。ラガールは1999年に開設された特別養護老人ホームで、玄関を入るとすぐに開放感のある広いホールが広がっています。大きなこいのぼりも私達を出迎えてくれました。 ラガールでは乃美施設長が、宇陀市の高齢化に伴う医療・介護の課題や行政との連携などを踏まえた地域全体での高齢対策の取り組みをわかりやすく説明してくださいました。また、へき地における高齢者施設としての役割や目標についても明確に提示して頂き、学生は真剣な表情でメモを取っていました。 ▲ラガール・乃美施設長の講義の様子(左)と訪問記念写真(右) 施設長の説明の後は、ラガールのデイサービスを利用しておられた皆さんに対して、生活調査や体力測定をさせていただきました。 午後からは、訪問入浴に同行するグループ、引き続きデイサービスで体力測定などを行うグループ、高齢者の自宅訪問をするグループに分かれて実習を行いました。 デイサービスに残ったグループは、利用者さんと一緒に理学療法士の方が行う体操に参加した後、自分達で準備した食生活の話や歌詞抜きカラオケ、ズンドコ体操などを披露し、利用者さん達との交流を深めました。 高齢者の自宅訪問グループは、2件のお宅にそれぞれ4人ずつ伺い、へき地で暮らす高齢者の生活状況を見聞させていただきました。 1件のお宅は、独居暮らしの90歳代の女性でした。よく片付いて掃除の行き届いたお宅は、「2人の嫁が月ごとに交代しながら、毎週帰ってきて掃除をしてくれる」と仰ってました。食事は毎食自分で調理し、家の近所を毎日30分ほど散歩するのが日課だそうです。また、近くに弟や従姉妹が住んでいて、病院に連れて行ってくれたり、食事に誘ってくれたりするそうです。「デイサービスに参加するときは歩いて行き、帰りは弟と待ち合わせて風呂に入って、車で送ってもらう」と仰っていました。公共交通機関が十分でない地域でも、まわりのサポートを受け、工夫しながら不自由なく生活しておられる姿に感銘を受けました。 学生が、準備していたちぎり絵をしはじめたときには、「指先がしびれてできへんわ。」と仰っていましたが、「じゃあ私が小さくちぎります。」「私は台紙に糊をつけていくので、ここにちぎった色紙を張ってください。」と役割分担をし、どんどん朝顔の花が出来上がっていきました。 するとみるみるうちに興味を持ったのか「こんなんしたの初めてや。楽しいな。」と笑顔になられ、出来上がった朝顔を見て「ええわ。きれいやな。」と作品を眺めながら何度も繰り返しておられました。さすがは4回生!!対応力が素晴らしい! 最後は出来上がった作品とともに記念写真です。 学生を温かく迎え入れてくださり、貴重なお話を聴かせていただいたことに感謝いたします。 2日目(5月15日) この日は前日の雨もあがり、新緑が眩しいくらいの天気になりました。前日に曽爾村へ行っていた2名も合流し、朝から介護予防事業会場の準備グループと、グループホーム ラガールに行くグループとに分かれて活動しました。 グループホームでは、デイサービスを利用される方たちに対してバイタルサイン測定、体力測定、骨密度測定を行いました。 グループホームでは仲の良い利用者さん同士、和気あいあいと会話を楽しんでおられました。 午後からは、宇陀市介護予防事業『マダヤール』で介護予防をさせていただきました。『マダヤール』って何語?と思ったら、“まだまだやるよ!”の『マダヤール』で、体力と機能維持を目的とした取組みだからこのネーミングだと伺って納得しました。 マダヤールでは、2時間半の持ち時間で学生が企画から準備・実施・片付けまですべて主体的に行う、実習のメイン行事でした。 ▲準備に抜かりはありません。笑顔もバッチリ!準備オッケーです。 ▲参加者さんが来られました。問診をとる姿も落ち着いています。(左)バイタルサイン測定もこの笑顔!(右) ▲骨密度測定は慣れたもの。手際よく測定し、説明も完璧!? ▲お一人ずつに測定結果と、生活上の注意点をわかりやすく説明します。 測定が終わったら、認知症予防の内容に入ります。 ▲参加者の方々とやり取りしながら司会進行を行います。 ▲認知症予防には食事と運動、脳への刺激が大切であることを、図を用いながら講義してくれました。 次は体操です。氷川きよしの“ずんどこ節”に合わせて振付を準備し、参加者と学生が2人一組になって踊るズンドコ体操をしました。 ▲ズンドコ体操の様子。 ▲指を使った脳トレです。 カラオケで“高校3年生”“上を向いて歩こう”を歌い、すっきりした後は全員で交流会を行いました。 ▲交流会の様子。 交流会では、人生の先輩としてのアドバイスなども飛び出し、とても和やかで楽しい時間を過ごすことができました。 介護予防事業を終えた学生達は、少し周辺を散策した後、再びグループホームへ戻り宇陀市キャラバンメイト連絡会主催の認知症サポーター養成講座に参加しました。これは、畿央大学が実習に来ると知って、学生のために企画してくださったもので、特別養護老人ホームの介護支援員でキャラバンメイトの川北様がご講演をしてくださいました。川北様は、自身が体験した認知症の人を取り巻く他市町村の現状をお話しされ、「地域の支えあいという言葉をよく耳にするが、もっとみんなが認知症のことを理解しないと地域で支えることはできない」と熱く語っておられました。また、宇陀市医療介護あんしんセンターの紹介やICT宇陀けあネットの紹介などもしていただきました。遅くまでかかった講義でしたが、学生の態度がとても熱心で感心したとお褒めいただきました。 3日目(5月16日) 最終日は、高齢者の自宅訪問に行くグループ、道の駅宇陀路阿騎野で健康調査出張診断に行くグループ、宇陀訪問看護ステーション東宇陀支所に行くグループに分かれて活動しました。 訪問看護ステーションでは、胃がんのターミナル期にありながら住み慣れた我が家がいいと一人暮らしをされている80歳代女性や、神経難病で気管切開をされ、胃ろうチューブをつけながら、ご家族が手厚く介護しておられる90歳代男性のお宅などを訪問しました。男性のお宅では、週に4回の訪問看護が行われ、週2回の訪問リハビリが入り、2週間に1回医師が往診に来られるそうです。口腔ケアをする際の開口器はリハビリの方が、洗髪用のシャワーボトルはお家の方が作られたもので、へき地で暮らすからこそ資源の少ない状態をいかにカバーするか、至るところに工夫が感じられ、学びの多い実習となりました。 自宅訪問のグループは、片麻痺のある80歳代女性のお宅を訪問し、庭の草抜きのお手伝いや、ちぎり絵をしながら生活の現状を聴かせていただきました。 道の駅で出張健康診断を行ったグループは、道の駅に来られている人たちに声をかけ、測定をしながらその地域を訪れる方々との交流を楽しみました。 この3日間を通じ、体験を通して座学では理解しきれないたくさんの学びを得ることができました。 最後になりましたが、3日間私たちを温かく迎え入れ、学生の学びを深めるために様々なご協力を賜りました実習関係者の方々、地域にお住いの皆さまに深く感謝いたします。ありがとうございました。 看護医療学科助手 島岡昌代 【関連記事】 離島・へき地医療体験実習(川上村)レポートvol.2~看護医療学科 離島・へき地医療体験実習(川上村)レポートvol.1~看護医療学科
2019.05.17
離島・へき地医療体験実習(川上村)レポートvol.2~看護医療学科
川上村の各家庭に訪問し、「川上村で住み続けられる仕組み」について学びました! 看護医療学科では、4回生の統合実習として、奈良県内のへき地である4つの地域に出向き、地域の人々の生活や保健医療福祉と教育の分野で住民を支える人々の実際の活動から、看護の本質を考える「離島・へき地医療体験実習」を行っています。 学内での事前学習で地域の状況から健康上の課題の検討から、自分たちが学びたい実習計画を立案し、2019年5月14日(火)~16日(木)の3日間の臨地実習に臨み、今回は、2日目と3日目のレポートです。 ~2日目~ 2日目の5月15日(水)は、村役場から10km離れた井光地区に出向き、午前中は、学生2人ペアで家庭訪問をし、健康状態や生活習慣、暮らし向きについての調査票を用いた聞き取り調査をしました。山の斜面に沿うように住宅が密集している井光地区は、人口減少と高齢化が著しく、独り暮らしの高齢者が増えています。学生が「おはようございます!畿央大学の学生です。」と玄関で大きな声で呼びかけても不在のところが多く、見知らぬ学生にお断りされる家庭もあり、最初はなかなか思うようにいきませんでしたが、庭に出ていらした方に声かけさせていただき、聞き取りをさせていただきました。 独居の高齢者の方は、移動手段がないことや足が不自由になることで自宅に閉じこもりがちになっていらっしゃることが多く、地区の近所の方の声かけがないと話をする人がいないことがあり、最初は話すことがないとおっしゃっていても、聞いていくとたくさんのことをお話ししてくださいました。離れて住む子供家族との連絡があまりない場合は、近所の方の互助が生命線になります。高齢化が進み、高齢者が高齢者を支援することになっているため、共助と公助以外のその隙間を埋める役割を担う機関や人々の支援が必要となります。 学内ではイメージしにくかった、「村で最後まで暮らし続けること」が容易なことではないことが明確になってきました。 午後は、公民館で、血圧、骨密度、握力、足趾把持力の測定を行い、結果に基づく保健指導を行いました。開始時間前から、続々と住民の方が来てくださり、大急ぎで開始しました。骨密度計の結果プリントアウトができないなどのハプニングや予想していなかったことの出現に慌てる場面もあり、事前の入念な準備が必要であることを学ぶ機会となりました。畑仕事をされている方は男女ともよい結果で、日ごろの生活状況が身体機能にも影響することを学びました。 また学校グループは、午後に中学校へ出向き、直接中学校生徒の皆さんと話をする場を設けていただきました。中学生の村での生活に関する思いや、高校がないことで村外への進学で村を離れることについて、集団生活が送れるよう自己肯定感を高める教育を推進されていることを学びました。 ~3日目~ 3日目の16日(木)の午前は、村内に商業施設がないことや交通手段の課題で買い物が困難な村民の支援を行う「かわかみらいふ」に行き、その活動の一つである移動スーパーに同行し、移動販売車と一緒に地区に出向いているコミュニティーナースの活動を体験しました。 「かわかみらいふ」は、吉野郡内のスーパーとならコープが事業連携をし、介護保険や福祉制度ではできない買い物を通した生活ニーズを把握し、必要な機関や職種と連携した支援活動を展開されています。 移動販売車の後を追いながら地区に行くと、スピーカーから流れる「川上小唄」を聞きつけ、地区の方が集まってきました。「あれある?前回頼んでたんやけど」と言われると販売員の方は、「○○さんが好きなのはこれでしたね。」と奥の棚にある商品を見せて確認されていました。その人のニーズに合わせた商品を提供できるように「買い物ができない不便さ」をできるだけゼロにしようという取り組みがなされていました。ヘルパーの方も、利用者の好物を探しておられ、限られたサービス提供時間の中で介護が可能になると話されていました。 移動販売車での看護師は、販売車に来られた気になる方に体調を聞き、これから気を付けてほしいことを話されていました。顔を見ると健康状態や生活背景が理解できているので、変化に応じた必要な対応をしていくとのことでした。 そして、移動販売車は、村の山の上の小さな集落に向けて、狭くて急な坂道を進んでいきました。山の上なのに急に土地が開けた集落に着き、販売が始まると3人の住民の方が集まりました。現在住民が5人で、仕事や外出をしている人以外の全住民が買い物に出てきたことになると販売スタッフの方のお話しでした。集まると井戸端会議ならぬ日常の出来事の話が始まり、地区のコミュニケーションの場になっていました。そういう働きもこの移動販売車は担っていることを学生は学ぶことができました。 その後販売車に買いものに来られた方のお誘いで、ご自宅に伺い生活の様子を聞きました。自給自足できないものを地区まで来てくれる移動販売車で買えるようになり、便利になったと話されていました。80歳代後半での独居生活は、慣れた土地で畑仕事をしながら地区の人と話をすれば寂しくはないが、時間を持て余すので小物を作っていると話され、手作りのストラップをいただきました。 私たちからは考えられないような環境でも、普通の暮らしの場であり、その暮らしを支える支援があれば、暮らし続けることができるということを実感した貴重な体験でした。 この3日間の体験や学びをとおして、へき地における看護活動の可能性について学内でまとめ、発表に臨みたいと思います。 看護医療学科 教授 松本泉美 【関連記事】 離島・へき地医療体験実習(川上村)レポートvol.1~看護医療学科 平成30年度離島・へき地医療体験実習(山添村)レポート~看護医療学科 平成30年度離島・へき地医療体験実習(野迫川村)レポートvol.2~看護医療学科 平成30年度離島・へき地医療体験実習(宇陀市大宇陀地区)レポートvol.2~看護医療学科 平成30年度離島・へき地医療体験実習(野迫川村)レポートvol.1~看護医療学科 平成30年度離島・へき地医療体験実習(宇陀市大宇陀地区)レポートvol.1~看護医療学科
2019.05.16
離島・へき地医療体験実習(川上村)レポートvol.1~看護医療学科
川上村で実際に診療所の往診に同行し、医療と生活の関連を体験! 看護医療学科では、4回生の統合実習として、奈良県内のへき地である4つの地域に出向き、地域の人々の生活や保健医療福祉と教育の分野で住民を支える人々の実際の活動から、看護の本質を考える「離島・へき地医療体験実習」を行っています。 学内での事前学習で地域の状況から健康上の課題の検討から、自分たちが学びたい実習計画を立案し、5月14日(火)~16日(木)の3日間の臨地実習に臨んでいます。 川上村では、「へき地における地域包括ケアシステム」を軸として、20名の学生が学内実習で「母子」「学校」「成人」「高齢者」「包括」の5つのグループに分かれ、それぞれの分野における住民の状況の情報収集を行いながら健康課題を検討し、その対応を考えるための実際の生活を把握する内容や支援活動をしている主要な人々へのインタビューを検討してきました。そして、5月14日(火)に実習がスタートし、川上村にバスで向いました。 川上村の歴史上、下流地域の洪水による被害をなくすため多くの住民の方の居住地移転を余儀なくされ建設された大滝ダムを見学し、村役場で実習の挨拶をしました。そして最初の学習として、「森と水の源流館」で川上村の歴史と生命の源である水と豊かな自然を守るための取り組みを学びました。 午後からは、それぞれのグループに分かれて、事前に計画していた施設や人々を訪問し、お話を聞く活動を行いました。 「母子」グループは、村外から移住され子育てサロンなどの活動をされている方のお宅に訪問しました。村の方からあたたかく受け入れられ、保育園無料など子育てしやすい環境である反面、子どもが少ないことで孤立しがちになる離れた地区に住んでいる移住者と村の方が交流できる場づくりをされていることを知り、移住促進を図るうえで移住後の生活や子育てに関する支援の重要性を学びました。 「学校」グループは、小学校の歯科検診を見学させていただき、検診の結果から歯科受診に繋げ、予防と悪化防止活動がなされていることを学びました。また村では、高校がないため、小学生の時から「自立」を目指した生活や学習面の取り組みが行われていることを学びました。 「成人」グループは、森林組合を訪問し、村の基幹産業である林業従事者の現状や健康管理についてお話を伺い、危険で厳しい労働環境である林業従事者の減少が著しく、人材確保が課題であることを学びました。また診療所訪問では、往診に同行させていただき、在宅医療の実際を体験することができました。ご本人だけでなく介護する家族の生活の様子を把握しながら、在宅生活の継続に向けた支援には、医師と看護師の連携のほか、介護保険外のサービスとの連携も重要であることを学びました。へき地医療は、マンパワーや設備上の限界があるため、その限界を少しでも減らすための他の医療機関や救急体制などの連携など医療提供のネットワーク化が重要であることを学びました。また住民自身も急病や急変などに対応できる情報提供や受診行動などの「自助」力を高めることも必要であることを学びました。 「高齢者」グループは、村唯一のデイサービスを訪問し、利用者の方に口腔機能向上のため”健口”体操を実演しました。利用者の方に楽しんで一緒にしていただけるよう学内でプログラムと媒体作成と練習を重ねて実演に挑みました。利用者の方々も楽しんでくださったようです。またデイサービス終了後の送りにも同行させていただき、山道を通って生活の場である住居を観て、高齢化が進む村での生活を支えるには、介護サービスによる共助や行政の公助には限界があり、身近な住民の方の「互助」による見守りや支えあいが重要となることを学びました。 「包括」グループは、村の移住促進とアートの融合として日本でも珍しい芸術家の移住促進取り組み施設である「匠の聚」で芸術家のアトリエ兼住居を訪問し、お話を聞きました。施設のある地区に住みながら、芸術を通して村の人々との交流を促進していらっしゃることや一住民として、村ならではの豊かな自然生活の中で刺激を受けながら芸術活動ができるメリットが語られ、地区の支えあいの「互助」にも参加されていることを理解できました。また、ギャラリーでは、芸術家の方々の作品が村の特産品である吉野杉の床や家具を活用した展示されていて、カフェでは、作品販売のほか、村の2つダムをモチーフにした「ダムカレー」が話題をなっていることなど村外の方との交流の場にもなっていることを学びました。 第1日目は、それぞれのグループが、川上村の施設や人々が、「自助」や「互助」に関連する活動をされていることを学ぶことができたと思います。 看護医療学科 教授 松本 泉美 【関連記事】 平成30年度離島・へき地医療体験実習(山添村)レポート~看護医療学科 平成30年度離島・へき地医療体験実習(野迫川村)レポートvol.2~看護医療学科 平成30年度離島・へき地医療体験実習(宇陀市大宇陀地区)レポートvol.2~看護医療学科 平成30年度離島・へき地医療体験実習(野迫川村)レポートvol.1~看護医療学科 平成30年度離島・へき地医療体験実習(宇陀市大宇陀地区)レポートvol.1~看護医療学科 学生広報スタッフblog vol.225~看護医療学科「離島・へき地医療体験実習」レポート!
2019.05.14
2019年度第1回「Kio オレンヂ喫茶(カフェ)in 津越」を開催!~看護医療学科
「kio オレンヂ喫茶(カフェ) in 津越」は、西吉野町津越地区で文部科学省の科学研究費助成(挑戦的萌芽研究16K15979: 代表 島岡昌代)を受けて行っている認知症施策推進事業(新オレンジプラン)に基づく事業で、「たとえ認知症になったとしても安心して暮らし続けることのできる地域づくり」を目標に、五條市地域包括支援センターや高齢者総合福祉施設はるす・西吉野さんの協力を得ながら地域住民の方たちとともに創りあげていく認知症カフェです。 認知症カフェとは、認知症の方とその家族が気軽に立ち寄れるカフェのことで、地域の人たちと交流ができる場所です。本人や家族だけでなく、地域の住民、介護や医療の専門職など誰もが参加できる場所として、お茶を飲みながら話をし、相談をし合いながら、交流を深めることができます。 今回の参加者は、地域住民の方14名、高齢者施設の職員の方1名と施設利用者1名、他の施設からの見学者3名、畿央大学からは看護医療学科老年看護学の教員5名と学生5名です。 『認知症カフェ』についてのミニレクチャー 畿央大学の島岡先生から地域住民の方々に、認知症カフェについてミニレクチャーがありました。認知症カフェは、認知症施策推進総合戦略(通称新オレンジプラン)の中心施策の一つとして全国で行われています。昨年度に実施したKioオレンヂ喫茶(カフェ)in津越の振り返りや、全国の認知症カフェ実施者に対する実態調査の結果から、認知症カフェの現状について知ることができました。 ▲ミニレクチャーの様子 『後出しじゃんけん』 講義の後は、学生によるアクティビティ・ケアです。学生に勝つ、もしくは負けるように、後出しでじゃんけんをするゲームです。勝つように後出しじゃんけんをするのは皆さん簡単そうでしたが、負けるように後出しじゃんけんをするのは少し難しそうで、「あっ、間違えた!」と言いつつも、皆さん笑顔で、楽しみながら実施してくださいました。 ▲後出しじゃんけんの様子 『手遊び ~『もしもしかめよ』のリズムにあわせて~』 続いて、手遊びを実施しました。皆さんに輪になってもらい、片手がグー、もう片方の手がパーになるよう、手を一回叩くごとに交互に変えていきます。グーにした方の手を、隣の人のパーにした手の上に乗せるのですが、これがなかなか難しく、「これは難しいな」、「どっちがグー?」という声も聞かれました。少し慣れてきたら『もしもしかめよ』のリズムにあわせて行いました。皆さん難しいと言いながらも笑顔で一生懸命手を動かし、うたも歌いながら実施してくださいました。こちらも和やかな雰囲気で楽しむことができました。 ▲『もしもしかめよ』のリズムにあわせて 『認知症について語る会』 アクティビティ・ケアを楽しんだ後は、コーヒーやお菓子を味わいながら、皆さんと認知症について意見を出し合いました。物忘れのエピソードや、自分は認知症ではないかという不安など、住民の方々から多くの発言がみられました。また認知症カフェについても、「また参加したい」、「人と交流できて嬉しい」といった意見も挙げられました。今回、住民の皆さんが楽しそうに交流している姿をみて、認知症カフェのように住民の方々が集まれる場があることは大切だと感じました。 ▲認知症について語る会 看護医療学科4回生 中西美月 「Kio オレンヂ喫茶(カフェ)in 津越」では、畿央大学健康科学部看護医療学科の山崎ゼミ、上仲ゼミの認知症ケアに興味を持つ学生が、ボランティアとして認知症カフェを盛り上げてくれています。受付やアンケートの補助など、学生が積極的に参加者の方々に関わり、コミュニケーションを取りながら上手に対応してくれていました。また、学生のアクティビティ・ケアはとても好評で、「体を動かすだけでなく、脳の活性化にもなった。」「笑いもあって楽しくすごせた。」「普段はあまり人とも出会わないところで生活しているから、学生さんが来てくれると賑やかでとても良かったわ。」などたくさんのお褒めの言葉をいただきました。また、学生自身も振り返りの中で、「認知症カフェではみんなが集まることが大事だとわかった。このような集まる機会の場を自分も作っていきたい。」との発言もあったので、今後の活躍を期待しています。 看護医療学科 助手 島岡昌代 ▲アンケートの記入の様子 「Kio オレンヂ喫茶(カフェ) in 津越」の次回開催は11月です。 【関連記事】 平成30年度第4回「Kio オレンヂ喫茶(カフェ)in 津越」を開催!~看護医療学科 平成30年度第3回「Kio オレンヂ喫茶(カフェ)in 津越」を開催!~看護医療学科 平成30年度第2回「Kio オレンヂ喫茶(カフェ)in 津越」を開催!~看護医療学科