2022年の健康科学専攻(修士課程)の新着情報一覧
2022.09.07
夏のスポーツ実習2022「アダプテッド・スポーツ」レポート vol.3
畿央大学では夏期、冬期の集中講義として「スポーツ実習Ⅱ・B」(1年次配当・選択科目)を開講しています。今年度からは新たな取り組みとして、アダプテッド・スポーツ、コアトレ・ウォーキング、バスケットボール及びバドミントンの4種目群から1種目を選択して履修します。 アダプテッド・スポーツは、性別や年齢、体力、スポーツ経験の有無に関わらず誰でも気軽に参加して楽しむことができるよう、ルールや用具を工夫し適合(adapt)させたスポーツのこと。 初日は座学での講義、2日目に車椅子・片麻痺・視聴覚障害体験などを行い、9月6日(火)実施の3日目は、「シッティングバレー」「ゴールボール」「ボッチャ」の3競技を体験しました。1回目より講師を担当している理学療法学科卒業生で大学院健康科学研究科修了生の加納希和子さん(スポーツ認定理学療法士、中級障がい者スポーツ指導員)に加え、同じく舞洲障がい者スポーツセンターでスポーツ指導員をされている三上大成さんに指導していただきました。 ▼講師の三上大成さん シッティングバレー シッティングバレーは、臀部を地面につけて行うバレーのことです。臀部を地面につけたまま素早く移動することが難しく、なかなかラリーを続けることができませんでした。また、レシーブをするときに臀部を浮かしてしまうことも多くあり、立たないようにすることが難しかったです。 サーブやレシーブを練習してから、みんなでゲームをしました。最初はなかなかボールがつながりませんでしたが、人数やボールを変えるなど工夫をしてみると、だんだんとラリーが続くようになり、ゲームらしくなっていきました。私たち健常者になじみのあるバレーボールと変わらないのに、座っているというだけでとても難しく感じました。 ゴールボール ゴールボールは、視覚障害者を対象としたスポーツで、ボールから鳴る鈴の音を頼りにボールを止めて投げることを繰り返します。ボールは重たく勢いがついているので、全身を使ってボールを止める必要があり、体を張ったスポーツだなと思いました。 また、コートには自分の位置がわかるようタコ糸で印がされていますが、ゲームをしていると見失ってしまい、正面や自分の位置などがわからなくなりました。味方ともっと声を掛け合うなどしっかりと連携することや、怖がらずに思い切ってボールを止めたりすることが大切だなと思いました。 ボッチャ ボッチャは、自分のチームのボールを白色のジャックボールに近づけて点数を獲得するスポーツです。ボッチャ特有の技もあり、三上先生に得点の数え方等細かく実演してくださいました。 ボッチャのボールは想像よりも重たく、投げるときの力加減が難しかったです。投げる練習をした後、みんなでゲームをしました。チーム内で利き手、非利き手、車いすと投げる役割を3つに分けましたが、普通に投げたり、車いすに乗って投げたりすると投げやすく、とても良い一投ができることが多くありました。しかし、利き手ではない手で投げると思っていた方向に飛ばなかったり、投げる力が弱すぎたりしました。ゲームは接戦が続き、白熱して楽しかったです。 今回3つのゲームを行いましたがそれぞれコートを作るところから始め、ルール説明を受けて投げ方などを練習し、みんなでゲームをしました。 始めはみんなとてもぎこちなく、声掛けなども少なかったですが、最後にはみんなで声を掛け合い、楽しくゲームをすることができました。どのスポーツでも、チーム内でコミュニケーションをとったり、お互いに声を掛け合ったりしながら、全力で楽しむことが、楽しくスポーツをする秘訣だと思いました。 三上先生、加納先生、本日はありがとうございました。 現代教育学科 2年生 長谷川慈 【関連記事】 夏のスポーツ実習2022「アダプテッド・スポーツ」レポート vol.2 夏のスポーツ実習2022「アダプテッド・スポーツ」レポート vol.1 東京五輪に理学療法士として本学教員・卒業生4名が参加します。
2022.08.31
夏のスポーツ実習2022「アダプテッド・スポーツ」レポート vol.1
畿央大学では夏期、冬期の集中講義として「スポーツ実習Ⅱ」(1年次配当・選択科目)を開講しています。今年度からは新たな取り組みとして、アダプテッド・スポーツ、コアトレ・ウォーキング、バスケットボール及びバドミントンの4種目群から1種目を選択して履修します。 8月30日(火)からは「アダプテッド・スポーツ」がスタートしました! アダプテッド・スポーツは、性別や年齢、体力、スポーツ経験の有無に関わらず誰でも気軽に参加して楽しむことができるよう、ルールや用具を工夫し適合(adapt)させたスポーツのこと。初日はアダプテッド・スポーツとパラスポーツの理解、スポーツ大会と障がいのクラシフィケーション、年齢・障がいによる身体機能とリスク管理について座学での講義を行いました。 講師を務める加納希和子さんは本学の理学療法学科の卒業生かつ大学院健康科学研究科修了生です。現在は大阪市舞洲障がい者スポーツセンターで理学療法士(スポーツ認定理学療法士、中級障がい者スポーツ指導員)として活躍、東京五輪にもTOKYO2020MEDスタッフとして参加されました。 ▼講師の加納希和子さん <受講した学生の感想> 私は小さいころからソフトテニスをしていました。その影響で車いすテニスを見ることも多々あり、他のパラスポーツももっと知りたいと思いこの授業を履修しました。また東京オリンピックにも理学療法士・メディカルスタッフとして参加された福本先生、加納先生のお話が聞けるということにも魅力を感じたからです。 一日目は座学ばかりでしたが、とても内容の濃いものでした。障害の程度に合わせて位が分けられていたり、平等に競技ができるようにされていることなど初めて知ることもたくさんありました。その中で私がもっとも印象に残っていることは「教科書に記載していることだけが正解ではない」ということです。「一人一人を知るなかで、その人の個性が見つかる」と加納先生がおっしゃっていました。 ▼講義の様子 これから理学療法士になるための知識を吸収するだけではなく、ボランティア活動などにも積極的に参加し、たくさんの個性を持った人と接し、経験を積む必要があるなと改めて感じることができました。明日からは実技がメインとなってくるので、楽しみながら学習できたらいいなと思います! 理学療法学科 1回生 櫻井 瑞希 【関連記事】 東京五輪に理学療法士として本学教員・卒業生4名が参加します。
2022.08.25
しびれ感に対する新たな経皮的神経電気刺激の効果~畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター
しびれ感は「感覚神経伝導路の障害によって起こる自発性異常感覚」と定義される神経症状であり、ADL(日常生活動作)やQOLが著しく阻害されます。長崎大学生命医科学域(保健学系)および畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター客員研究員の西 祐樹らは、しびれ感に対する新たなリハビリテーション介入として“しびれ同調TENS”を開発し、脊髄機能不全症例における即時効果を明らかにしました。この研究成果はFrontiers in Human Neuroscience(A novel form of transcutaneous electrical nerve stimulation for the reduction of dysesthesias caused by spinal nerve dysfunction: A case series)に掲載されています。 研究概要 脊髄損傷や頚椎症性脊髄症等の脊髄機能不全を呈する多くの患者において、ビリビリ、チクチク、ヒリヒリと表現されるしびれ感が生じます。しびれ感は「感覚神経伝導路の障害によって起こる自発性異常感覚」と定義され、ADLやQOLが著しく阻害されます。そのため、しびれ感に対する治療介入の必要性は極めて高いといえます。しかしながら、しびれ感に対する薬物療法は効果が乏しく、有害事象のリスクが高いことがシステマティックレビューにおいて報告されています。また、リハビリテーションによる改善は困難とされており、しびれ感に対する体系的な介入は十分に確立されていないのが現状でした。 長崎大学生命医科学域(保健学系)および畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター客員研究員 西 祐樹らは、経皮的神経電気刺激(TENS)の周波数と強度をしびれ感に同調させる“しびれ同調TENS”を開発し、即時的効果を検証しました。その結果、しびれ同調TENSによりしびれ感が著明に改善したことを明らかにしました。加えて、しびれ感の改善に伴い、感覚障害や触るだけで痛い症状(アロディニア)の改善も認めました。 本研究のポイント ■脊髄機能不全によるしびれ感に対して、TENSの周波数と強度をしびれ感に一致させる”しびれ同調TENS”を行った。 ■その結果、しびれ感だけでなく、感覚障害やアロディニアも改善した。 ■既存のTENSの理論では説明できない新たな作用機序による効果の可能性がある。 研究内容 脊髄損傷や頚椎症性脊髄症等の脊髄機能不全症例9名に対して、まず電気刺激に対するしびれ感の評価を行いました。具体的には経皮的神経電気刺激(TENS)の周波数と強度を、主観的なしびれ感の細かさ(ビリビリ、チクチクの間隔)と強度に同調させる手続きを行います。これにより、しびれ感をニューロンの発火頻度を反映する「周波数」と動員される神経線維数を反映する「刺激強度」というパラメータにて定量的にしびれ感を評価することが可能になります。そして、しびれ感に同調したTENS(しびれ同調 TENS)の実施前および実施中にマクギル痛み質問票ならびに定量的感覚検査(QST)を行いました。 図1.しびれ同調TENSによる効果 しびれ感や感覚障害、アロディニアに対して、しびれ同調TENSが従来の高周波TENSよりも効果があることを示しています。 その結果、しびれ同調TENSにより即時的にしびれ感の著明な改善が観察されました。多くの症例において「しびれ感とTENSによる電気が流れる感覚が打ち消し合ってどちらもなくなった」と表現しており、感覚障害や触るだけで痛いアロディニアも有意に改善されました。このしびれ感とともにTENSの感覚までも減弱する現象は、従来の下降性疼痛抑制系やゲートコントロール理論では説明できず、新たなメカニズムによりしびれ感が改善している可能性があります。一方、体性感覚誘発電位が消失している、つまり重度感覚障害の症例においては、しびれ感にTENSを同調させることができず、適応とはなりませんでした。これらのことから、知覚に関連した脳領域におけるしびれ感の抑制や、しびれ感に関連した末梢神経線維を選択的に遮断するbusy line effectが作用メカニズムとして推察されます。 本研究の臨床的意義および今後の展開 しびれ同調TENSは、治療に難渋してきたしびれ感に対する新たな介入手法であり、リハビリテーションの介入領域を拡大する可能性があります。今後はしびれ同調TENSの長期的効果の検証や作用機序の解明に取り組む予定です。 論文情報 Nishi Y, Ikuno K, Minamikawa Y, Igawa Y, Osumi M, Morioka S A novel form of transcutaneous electrical nerve stimulation for the reduction of dysesthesias caused by spinal nerve dysfunction: A case series Frontiers in Human Neuroscience, 2022 問い合わせ先 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 客員研究員 西 祐樹 センター長 森岡 周 Tel: 0745-54-1601 Fax: 0745-54-1600 Mail: s.morioka@kio.ac.jp
2022.08.23
「第12回呼吸・循環リハビリテーション研究大会」を開催!~田平研究室
2022年8月20日(土)~21日(日)に「第12回呼吸・循環リハビリテーション研究大会」を大阪府吹田市の大和大学にて開催しました。 ※撮影時のみマスクを外しています。 本研究大会は毎年、田平教授をはじめ在学生と卒業生を中心に行っており、修士・博士論文の進捗状況の報告や研究計画のプレゼンテーションなどを実施しています。昨今のCOVID-19の影響で一昨年は中止、昨年度は完全webでの開催でしたが、今年度は万全の感染対策を実施した上で、対面とwebのハイブリッド形式での開催となりました。私は残念ながらwebでの参加となりましたが、現地参加とweb参加と併せて28名の参加があり、大盛況のうちに終了となりました。 発表内容は呼吸・循環器系に関する報告を中心に小児リハビリテーションの発表など多岐に渡り、どれも非常に興味深い内容でした。発表に対して、田平教授をはじめ、卒業生や在学生からも厳しくも温かく鋭い質問が多く寄せられて、今後研究をおこなっていく上で非常に有意義なディスカッションが行われました。 COVID-19の影響で、様々な活動が制約され、この3年間で私たちの生活様式も大きく変化しましたが、少しずつではありますがようやく従来の形を取り戻すことができており、喜びを感じております。webでのミーティングは非常に簡便で、利便性の面では非常に有用ですが、やはり、直接顔を合わせて行うディスカッションはその場にいないと体感できない熱量や雰囲気・緊張感を味わうことができ、とても貴重な経験だな、と今まで当たり前だった日常のありがたさを改めて痛感しています。COVID-19の国内情勢を鑑みて、残念ながら懇親会は行えず寂しい気持ちもありましたが、来年こそは懇親会も行えることを信じて、日々の研究活動に励んでいきたいと思います。 8月の厳しい暑さの中での開催でしたが、厳しい暑さに負けない研究室の熱さで非常に充実した2日間を送ることができました。 当研究室の活動に興味のある方は是非ご連絡をいただければと思います。呼吸・循環リハビリテーション分野における日々の臨床的疑問を共に解決していきましょう!研究室スタッフ一同お待ちしています。 畿央大学大学院 健康科学研究科 博士後期課程 野中 裕樹 【関連記事】 「第10回呼吸・循環リハビリテーション研究大会」を開催!~田平研究室 「第9回呼吸・循環リハビリテーション研究大会」レポート 「第8回呼吸・循環リハビリテーション研究大会」を開催!~田平研究室 「第7回呼吸・循環リハビリテーション研究大会」を開催!~田平研究室
2022.08.12
生駒市の地域リハビリテーション活動支援事業に向けて卒業生が集結!~地域リハビリテーション研究室with TASK
奈良県生駒市は全国的にも介護予防の先進地として全国から視察が訪れるほど有名な自治体です。また国のモデル事業を通して、リハビリテーション専門職の積極的関わりによる効果を示したことでも知られています。 地域リハビリテーション研究室では約10年前から生駒市の地域リハビリテーション活動支援事業(住民主体の通いの場支援)に協力しています。Covid-19の影響により中断しておりましたが、今年度から状況をみながら再開することになりました。生駒市役所と連携を取りながら高取教授と松本准教授の指揮のもと、現役理学療法士チームで住民主体の通いの場90ヶ所を巡回します。 ▼会議に参加したメンバー(撮影時のみマスクを外しています) ※写真の○が私、仲村渠です 参加する理学療法士を募ったところ、研究室の院生を含む7期生から15期生の21名の畿央卒業生が集まりました。そのほとんどが健康支援学生チーム「TASK(Think, Action, Support for Health by Kio University)」のOB・OGたち。多くが急性期病院に務めており、普段は地域の介護予防事業に関わることが少ない現状ですが、学生時代から地域に出て学んできたことの経験と団結力が今回の集結に繋がったと思います。学生時代のTASKでの経験にプラスして理学療法士としての経験を踏まえて、地域のリハビリテーション活動支援事業に貢献していきます。会議に参加できなかったメンバーも多かったですが、連携がとりやすいのが畿央卒メンバーで構成された大きな強みだと感じています。 活動制限による人との繋がりの希薄化が地域在住高齢者の方々に与えた影響は非常に大きく、介護予防だけでなく生活の質を改善するために地域リハビリテーション研究室の役割も大きくなっています。同じく活動が思うようにできない現役TASKメンバーに先輩としての姿を見せられる良い機会になれば幸いです。 ▼TASK創立3年目の集合写真(今回の参加メンバーの学生時代です) ※写真内の○が私、仲村渠です 今回は事業の関係上で理学療法士のみの集まりとなりましたが、設立9年目となるTASKには現場で活躍している全ての学部・学科の卒業生がいます。創立3年目(私が4回生)の時は100人以上の全学科で構成された畿央で最も大きい学生団体でした。畿央生の健康診断以外にも、奈良県や大阪府の幼稚園児から高齢者までの幅広い方を対象に健康支援活動を行っており、それに向けた勉強会を毎月学生主体で実施していました。勿論、畿央大学には他学科で交流できる部活動は数多くあります。しかし、普段の学習を学生レベルで学部・学科を超えて共有し、実践で活かし、そこから新たに学ぶことはTASKの強みであったと改めて感じます。 もう少し今の状況が落ち着けば、卒業生と学生との交流もできればと思います!それぞれの特性を活かし、学部・学科を超えた活動や学びに興味がある方は是非TASKに入っていただきたいです。学生団体から始まった活動が地域の支援に繋がっている現状を踏まえ、今後の地域支援の為にも学生さんの参加を心からお願い致します。 淀川キリスト教病院 畿央大学大学院 地域リハビリテーション研究室 客員研究員 TASK初代代表 仲村渠 亮 【関連リンク】 地域リハビリテーション研究室 理学療法学科 大学院 健康科学研究科 【関連記事】 第64回日本老年医学会学術集会で教員が発表!~健康科学研究科 香芝市市政施行30周年記念事業の一環として本学教員監修の「フレイル予防体操」がリリースされました〜理学療法学科 第8回日本予防理学療法学会学術大会で大学院生と客員研究員が発表!~健康科学研究科 TASK(健康支援学生チーム)活動レポート 第2回「次世代リーダー育成セミナー」を開催!~理学療法学科 第1回「次世代リーダー育成セミナー」を開催!~理学療法学科
2022.08.04
歩行速度が遅いと「まるで人間ではないみたい」と感じてしまう~畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター
脳卒中患者は、歩行中の自身のことを「まるでロボットみたい」「人間ではないみたい」と訴えることがあります。しかしながら、どのような要因がそのような経験をしているのかは明らかにされていませんでした。畿央大学ニューロリハビリテーション研究センターの 林田 一輝 客員研究員 と 森岡 周 教授らは、歩行速度が主観的な人間らしさと関係していることを明らかにしました。この研究成果はRehabilitation Process and Outcome誌(Association Between Self-Perceived General Human-Likeness During Walking and Walking Speed in Stroke Patients: A Preliminary Study)に掲載されています。 研究概要 多くの脳卒中患者において、社会生活で自立した生活を送るために、歩行能力の回復を優先していることがわかっており、特に歩行速度が日常生活に重要な要因となることが多くの先行研究で明らかとなっています。しかし、たとえ歩行を再獲得することができたとしても運動麻痺などの影響で、健常人と同じような速度で歩くことが難しいことも事実です。他方、脳卒中患者は、歩行中の自身について「まるでロボットみたい」「人間ではないみたい」といった悲観的な感情について頻繁に訴えることがあります。このような悲観的な感情は、身体に障害を患った自分自身と健康的な人たちとを比べてしまうことで湧き上がってしまうと考えられ、他者との交流が必須である社会参加を妨げてしまう可能性があります。しかしながら、どのような要因が脳卒中患者の歩行中の「人間らしさ」に関わっているのか、これまでの研究では全く検討がなされていませんでした。 そこで、畿央大学ニューロリハビリテーション研究センターの 林田 一輝 客員研究員ら の研究チームは、歩行中の主観的人間らしさには、歩行速度が関連すると仮説を立て、脳卒中患者を対象とした横断調査を行いました。その結果、脳卒中患者の歩行中の主観的人間らしさと歩行速度に正の相関関係があることを示しました。 本研究のポイント ・脳卒中患者の歩行中の人間らしさの主観的側面を評価した。 ・主観的な人間らしさは速く歩く能力が高い人ほど感じられる。 研究内容 32名の脳卒中患者を対象にして、10m歩行テストを快適歩行速度と最大歩行速度の2条件で測定し、歩行直後に人間らしさについて、7段階のリッカート尺度にて評価しました。臨床的評価では、運動麻痺の指標であるFugl-Meyer assessment、自身に対する主観に影響しうる抑うつSelf-Rating Depression ScaleとアパシーApathy Scaleについて評価しました。 その結果、快適歩行速度および最大歩行速度において、主観的な人間らしさとそれぞれ正の相関関係があることが示されました(図1)。つまり、歩行速度が遅い程、人間らしさを感じにくい傾向があることが示されました。一方で、抑うつやアパシーといった心理バッテリーと人間らしさには相関関係を認めませんでした。先行研究での報告では、健康な高齢者の快適歩行速度と最大歩行速度の差は約0.45m/sですが、本研究で確認された脳卒中患者の快適歩行速度と最大歩行速度の差は0.23m/sでした。このように、快適歩行速度と最大歩行速度との幅が狭いことは、歩行速度を自由に選択できないことを示しており、今回の対象者は人間らしい歩行に対する主観的な認識を低下させている可能性が示唆されます。 上田ら(2003)は、ICF(International Classification of Functioning, Disability and Health, 国際生活機能分類)の観点において患者の主観的体験を理解することの重要性が強調されている。本研究では、歩行時の人間らしさに対する認識が、ICFにおける活動制限の主観的側面と関連する可能性を示唆しています。歩行時のネガティブな主観的体験による参加制限の可能性を理解することは、患者の地域活動への参加を促す上で有用な情報となり得る、と主張されています。 図1:歩行中の人間らしさと歩行速度との関係 脳卒中患者における歩行中の人間らしさと歩行速度に正の相関関係があることを示す。 本研究の臨床的意義および今後の展開 本研究成果は、歩行中の人間らしさについて調査した初めての研究です。このような主観的側面は、社会参加を妨げる一つの要因となる可能性があり、今後は、このような主観的側面と社会参加との関連性について研究される予定です。 論文情報 Kazuki Hayashida, Ryota Nakazono, Nami Yamamichi, Masa Narita, Koichiro Onishi and Shu Morioka Association Between Self-Perceived General Human-Likeness During Walking and Walking Speed in Stroke Patients: A Preliminary Study Rehabilitation Process and Outcome, 2022 問い合わせ先 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 客員研究員 林田一輝 センター長 森岡 周 Tel: 0745-54-1601 Fax: 0745-54-1600 Mail: s.morioka@kio.ac.jp
2022.07.29
大学病院で働くということ~理学療法学科 第2回「やさしさをチカラに変える次世代リーダー育成セミナー」を開催
最前線で活躍する卒業生が隔月で講演! 第2回テーマは「大学病院」「小児リハ」 理学療法学科では今年度から新たに「やさしさをチカラに変える次世代リーダー育成セミナー」を開催しています。 リーダーシップをもった次世代の理学療法士育成を目的にし、臨床現場はもちろん、スポーツ現場や地域リハ、教育機関など幅広い分野の第一線で活躍する卒業生がその魅力や想いを後輩のためだけに語ります。在学生にとっては入学後早期から職業理解を深め、自らのキャリアを考えることやモチベーション向上へとつなげる絶好の機会になります。 他大学に先駆けて理学療法学科を開設した畿央大学にしかできない先進的な取り組みです。 第1回の徳田光紀さん(1期生/平成記念病院リハビリテーション科主任)に続いての登場は、4期生で滋賀医科大学医学部附属病院で理学療法部門主任を務める飛田良さん。 テーマはズバリ、「大学病院の理学療法士とは?」です。飛田さんは入職後5年間は主に心臓リハビリテーションを中心とした内部障害理学療法に携わり、その後「病院初の小児科専属セラピスト」となりました。現在は主に小児がん、新生児を中心に日々診療に当たっています。 大学病院で働く理学療法士は全体の2%に過ぎないことや、特殊な雇用形態を含む大学病院勤務のメリット・デメリット、常勤をめざす場合の意識すべきポイントやアドバイスなどを、ご自身の体験をふまえて惜しみなく披露していただきました。 大学病院を進路として視野に入れている在学生には、大変貴重な情報収集の機会になったのではないでしょうか? また小児がん患者に対するリハビリテーションの現状についても詳しくご紹介いただきました。 1万人に1人の確率で発症し、5年生存率は一部病型では9割に迫るものの、小児の死因第1位であること、半年以上の入院を強いられることから発生する体力低下や心理社会的なストレスの対応、リハの必要性がまだ十分に認知されていないことなど、厳しい現実も垣間見ながら、チーム医療の中で理学療法士だからできることをご提示いただきました。 飛田さんから後輩の皆さんへのメッセージ ▼大学案内2014に登場した際の飛田さん この度は、第2回「やさしさをチカラに変える次世代リーダー育成セミナー」に講師としてお招きをいただき、誠にありがとうございました。また、テスト期間中の忙しい時期にも関わらず、多数の在学生にお集まりいただいたことを重ねてお礼申し上げます。 今回は、「大学病院の理学療法士とは?」をテーマに、冒頭部分は超高齢化社会に置かれた日本の現状や未来予測の観点から、厚生労働省や理学療法士協会が「今、何に着目しているのか?」、「何が問題となっており、どんな対策を講じようとしているのか?」を紹介しました。高齢化が進む=リハビリの需要が高まるといった安易な考えは適切ではなく、今後ますます理学療法士数の需要と供給のバランスが崩れる可能性があります。在学されている内から、みなさんそれぞれが卒業された後に、”いかに理学療法士としてのアイデンティティを形成できるか?”について考えるいい機会になっていれば幸いです。 大学病院は、地域の中核施設として、教科書に載っていないような難病や障害、それに対するさまざまな治療を受けた患者さんが多く入院されています。また、大学病院の責務として、臨床・教育・研究の三本柱があり、目の前におられる患者さんの診療活動だけでなく、院内外への教育活動や臨床研究にも取り組まなければなりません。それには、それ相応の自己管理能力や覚悟が必要となります。卒業して10数年が経ちますが、「今だから言えること」、「今のうちからできること」を自身の大学時代を振り返りながら在学生に向けてアドバイスをさせていただきました。 理学療法士は、患者さんが直面するさまざまな困難に立ち向かう“チカラ”を与える存在だと思います。治療の過程で、喜びや悲しみを分かち合い、ともに目標に向かって歩んでいく存在であり、医療者の中で最も患者さんに近い存在だと私は思います。医療者には老若男女問わず、さまざまな立場や価値観をもつ患者さんに対し平等に接する必要があります。 今はコロナ禍で人と人との関わりが制限されていますが、ぜひみなさんも在学中から自分とは異なる立場や価値観をもつ方たちとたくさん接してください。そして、自分と関わってくれているすべての方々に感謝の気持ちを持ってください。そういった小さな積み重ねが、みなさんの後の人生にきっと役に立つはずです。 最後に、当院における”小児がん”の理学療法について紹介しました。小児がんの治療成績は、医療全体からみてもサクセスストーリーの一つとして取り上げられるほどに劇的な改善を得ていますが、その一方で治療入院期間は半年以上にわたり、その間で体力の低下だけでなく、心理社会的なストレスから、自己肯定感が低下するとされています。トータルケアの一環として、よりよいケアやQOLの向上に向けた関わりが求められています。 小児がんに限らず、今や理学療法士の職域は医療だけでなく、予防や健康増進の分野にも波及しており、みなさんも卒業後はそれぞれの分野で理学療法士との専門性を活かし、次世代のリーダーとして活躍されることを期待しています。 ▼庄本学科長と同じく卒業生でもある瀧口先生と 次回は9月16日(金)、尾川達也さん(3期生/西大和リハビリテーション病院勤務)を講師に迎え「チーム医療と理学療法士」をテーマに講演いただきます。在学生しか聞けない内容を盛りだくさんでお届けしますので、ぜひご参加ください! 【関連リンク】 理学療法学科 大学院健康科学研究科 第1回「やさしさをチカラに変える次世代リーダー育成セミナー」を開催!~理学療法学科 理学療法学科初の卒業生教員!瀧口先生ってどんな人?Part1~「学生時代」編 理学療法学科初の卒業生教員!瀧口先生ってどんな人?Part2~「臨床現場・大学院」編 理学療法学科初の卒業生教員!瀧口先生ってどんな人?Part3~「教員」編
2022.07.10
地域在住障害高齢者におけるバディスタイル介入が身体活動に与える効果:ランダム化比較試験の24週間追跡調査~健康科学研究科
障害のある高齢者でも身体活動には多くの利点があるにも関わらず、身体活動レベルの持続的な改善は報告されていません。そのため、身体活動を継続できるような取り組みが必要となります。 モニタリングやフィードバック、ソーシャルサポート等の行動変容介入は身体活動レベルの改善に有効である可能性があるとされています。また、これらの行動変容技法が含まれる取り組みとしてバディスタイル(二人一組でペアを組む)を用いる方法の有効性も報告されています。しかし、先行研究で報告されているバディスタイル介入は医療専門職の直接的な介入やバディになるボランティアの育成が必要でした。 そこで地域リハビリテーション研究室では、障害高齢者同士のバディスタイル介入が在宅運動プログラムの実施頻度を向上させるかどうかを検証し、その有効性を報告しました(https://doi.org/10.1177/02692155211041104)。しかし、運動の実施時間や介入終了後の持続効果については明らかになっていませんでした。 そこで畿央大学大学院健康科学研究科 博士後期課程 武田広道 氏と高取克彦 教授 らは、障害高齢者同士のバディスタイル介入研究の追跡調査として、運動の実施時間と介入終了後の持続効果について明らかにすることを目的に本研究を行いました。 この研究成果はClinical Rehabilitation に掲載されています。 研究概要 通所介護事業所を利用している障害高齢者65名に12週間の在宅運動プログラムを実施してもらいました。その際、無作為にバディスタイル介入群と対照群に分けて実施し、バディスタイル介入を追加することで在宅運動の実施時間が向上するかとその効果が持続するかどうかを分析しました。 本研究のポイント 障害高齢者同士のバディスタイル介入は12週間の在宅運動プログラムにおける運動実施時間が向上し、介入終了12週間後まで効果が持続することが分かりました。 研究内容 データ解析の結果、バディスタイル介入群は対照群と比較して12週間後の屋外歩行時間が増加し、その効果は介入後12週間経過した時点でも持続していました。 本研究の意義および今後の展開 今回の研究はバディスタイル介入が身体活動に与える持続効果を検討したものです。障害高齢者同士でバディを組み12週間の在宅運動プログラムを実施することで、介入終了後も効果が持続することを示唆しました。今後も地域高齢者の健康に資する研究をしていきたいと思います。 論文情報 Hiromichi Takeda, Katsuhiko Takatori https://doi.org/10.1177/02692155221111924 Clinical Rehabilitation, 2022. 地域リハビリテーション研究室HP: https://kio-community-rehab.studio.site/
2022.06.21
脳卒中後運動障害は予測誤差と運動主体感の関係性を変容させる~畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター
「自分が自分の運動を制御している」という感覚である運動主体感は、運動の感覚フィードバックとその内的な予測の比較照合から得られる予測誤差に基づくことが報告されています。畿央大学大学院博士後期課程 修了生の宮脇裕氏(現・国立研究開発法人産業技術総合研究所人間拡張研究センター)と森岡周教授は、仁寿会石川病院リハビリテーション部の大谷武史室長と共同し、2名の脳卒中患者を対象に、脳卒中後の運動障害が予測誤差と運動主体感の関係性に及ぼす影響を検証しました。この研究成果は、Journal of Clinical Medicine誌(Impaired Relationship between Sense of Agency and Prediction Error Due to Post-Stroke Sensorimotor Deficits)に掲載されています。 研究概要 自己由来感覚と外界由来感覚を区別することは自他帰属と呼ばれ、感覚結果を自己帰属したときに「自分が自分の運動を制御している」という運動主体感が生じます。運動主体感は、運動の感覚フィードバックとその内的な予測の比較照合から得られる予測誤差に基づき、この誤差が小さい場合に生じることが報告されています。しかし、脳卒中後患者では、感覚運動障害を通した比較照合システムの破綻により、予測誤差と運動主体感の関係性が変容している可能性が提唱されています。 この可能性を精査するために、宮脇裕氏と森岡周教授は、大谷武史室長(仁寿会石川病院リハビリテーション部)と共同し、2名の脳卒中後患者および3名の健常成人を対象に、脳卒中後運動障害が予測誤差と運動主体感の相関関係に及ぼす影響を予備的に検証しました。その結果、運動障害がごく軽度の患者や健常者に比べて、強い運動障害を有する患者では、自他帰属のエラーが大きく、自他帰属と予測誤差間の相関が低いことが示されました。 本研究のポイント ■運動障害が軽度の患者に比べ、より強い運動障害を有する患者では、自他帰属に大きなエラーを認めた。 ■この患者では自他帰属に対する予測誤差の許容範囲が拡大しており、脳卒中後運動障害が自他帰属と予測誤差の関係性を変容させることが示唆された。 研究内容 中等度の運動障害を有する患者Aと運動障害がごく軽度の患者B、および3名の健常成人が実験に参加しました。本研究では、運動障害の影響を検証するために、高次脳機能障害を招きうる皮質損傷を有さない患者を対象としました(図1)。麻痺肢の運動機能については、上肢の脳卒中後運動障害の包括的評価法であるFugl-Meyer Assessment of upper extremityやAction Research Arm Testなどを用いて評価しました。 図1:患者A・Bの脳損傷部位 参加者は、モニタ上に表示されたターゲットラインをなぞるようにペンタブレット上で正弦曲線運動を遂行しました(図2)。この際、視覚フィードバックとしてカーソルが表示されました。カーソルの動きに、自分のリアルタイムの運動が反映されている場合(SELF条件)と、事前に記録した運動が反映されている場合(FAKE条件)がありました。参加者は、自分の実際のペン運動とカーソル運動の時空間的な一致性に基づいて、カーソルを自分が制御していると感じるかを「1(他者)~9(自己)」のスケールで主観的に判断することを求められました。この課題中に、参加者のペン位置とカーソル位置間の距離を予測誤差の指標として測定し、自他判断スコアとの相関係数を算出しました。 図2:実験セットアップ 結果として、患者Bや健常者に比べて患者Aでは、FAKE条件において自他判断のエラー(誤帰属)が大きく(図3)、予測誤差の指標であるペン-カーソル間距離と自他判断スコアの相関係数が低いことが示されました(図4)。一方で、SELF条件では、参加者間で自他判断のエラーに著明な差を認めませんでした。 図3:SELF条件とFAKE条件における誤帰属 図4:FAKE条件におけるペン-カーソル間距離(予測誤差)と自他判断スコアの相関関係 本研究の臨床的意義および今後の展開 これらの結果は、運動障害を有する患者では自他帰属に対する予測誤差の許容範囲が拡大している可能性を示し、脳卒中後運動障害が予測誤差と運動主体感の関係性を変容させることを示唆しています。さらなる研究により、運動障害を有する患者がどのように自他帰属をなしているのか、またその変容が身体機能などにどのような影響を及ぼすのかを明らかにする必要があると考えられます。 論文情報 Miyawaki Y, Otani T, Morioka S Impaired Relationship between Sense of Agency and Prediction Error Due to Post-Stroke Sensorimotor Deficits. Journal of Clinical Medicine, 2022 問い合わせ先 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 客員研究員 宮脇 裕 センター長 森岡 周 Tel: 0745-54-1601 Fax: 0745-54-1600 Mail: s.morioka@kio.ac.jp
2022.06.16
修了生の幾嶋祥子さんと冬木正紀准教授の発明が特許を取得しました~健康科学研究科
大学院健康科学研究科の修了生である幾嶋祥子さん(修士(健康科学))と冬木正紀准教授が発明した乳汁分泌を促進する装置により、冬木学園が特許権を取得しました。この発明は、幾嶋さんの修士研究および本学の次世代研究開発プロジェクト(萌芽的研究)の成果であり、母乳育児を支援する発明です。 特許第7076079号 「乳汁分泌促進器」 幾嶋さんと冬木准教授からのコメント 本発明では、熟練助産師と同等の乳汁分泌促進マッサージを行える軽量でハンズフリーな人工筋肉リングを発明しました。 わが国では妊婦の約9割が母乳哺育を希望していますが、生後1ヶ月時点での母乳哺育率は5割に留まっています。このギャップは、母乳哺育を確立するまでに生じる様々な困難に起因しています。乳汁分泌促進は、産後早期から頻回に継続的に行うことが重要ですが、産後の母親は心身ともに非常に敏感で、乳汁分泌促進を含めたセルフケアを行うことは容易ではありません。 乳汁分泌促進を助けるツールとして、入院中は吸引式の電動搾乳器がありますが、家庭で使える程にはコンパクトではなく、また、使用時には手で持つ必要があるため、吸引式の電動搾乳器は、家庭で乳児の養育等に忙しい母親が継続的に使用するのは難しいです。 そこで、我々はハンズフリーで使用できる乳汁分泌促進用マッサージ器を発明しました。 下記の本発明の写真をご覧下さい。ウレタン製の3つの軟突起が付いた黒い人工筋肉リングが、滑りにくく通気性の良いウレタン製のメッシュ状固定パッドにより、搾乳トレーニングモデルの乳房に固定されています。写真下部の透明なチューブを通して人工筋肉リングに数気圧の圧縮ガスを給排すると、リングの内径が縮小拡大し、その動きに合わせて、リングの内側に取り付けた軟突起が助産師の指の様に乳房内部の乳管集約部を刺激します。 ▲:本発明の写真 そして、本発明が模倣している熟練助産師の手技の例を下記に示します。(株)MCP製の搾乳トレーニングモデルMC009を用いた熟練助産師の手技との比較実験では、仰臥位と立位に相当する平置きと縦置きの状態の同モデルにおいて、本発明により熟練助産師の手技と同程度量の模擬乳汁の漏出が確認されました。 ▲:本発明が模倣している熟練助産師の手技 本発明は母親が家庭内で日常的に使用することを想定したものですが、病院への適用も望まれます。今後は褥婦の方達によるモニタリングを行い、開発を進める予定です。 【関連記事】 イベントプログラム「これからも『ひと』と『ロボット』は共存できるのか」を開催! 健康科学研究科の庄本康治教授と冬木正紀准教授の発明が特許を取得しました。 冬木特任准教授らの光分解反応に関する洋書が出版されました~教育学習基盤センター 冬木特任准教授の発明が新たに特許を取得しました~教育学習基盤センター 教育学習基盤センター