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健康科学専攻(修士課程)の新着情報一覧

2023年の健康科学専攻(修士課程)の新着情報一覧

2023.11.30

第44回バイオメカニズム学術講演会(SOBIM2023 in 北九州)に教員・大学院生が参加しました!~健康科学研究科

第44回バイオメカニズム学術講演会(SOBIM2023 in 北九州)~人間中心社会の躍進を支えるバイオメカニズム~ (主催:バイオメカニズム学会)が2023年11月25日~26日の2日間にわたり、福岡県北九州市の北九州国際会議場にて行われました。 本学からは瓜谷大輔准教授と瓜谷研究室の神田泰志さん(修士課程2年)が講演しました。講演を終えた感想を、現地での写真とともに神田さんに報告していただきました! 第44回バイオメカニズム学術講演会(SOBIM2023)に参加し、「斜位が歩行に及ぼす影響の検討」の研究発表を口述発表で行いました。     研究発表後は視覚と歩行速度の推進力増加メカニズムや心理的因子、デジタルデバイスの長時間使用による視機能への負荷が姿勢制御与える可能性など、他大学の先生方と深く討論を重ねることができました。 今回の経験を糧に、視覚とキネマティクスの関わりについて学術活動にさらに邁進したいと思います。     <発表演題>   神田 泰志(畿央大学 健康科学研究科 修士課程2年) 久保 峰鳴(大阪河﨑リハビリテーション大学) 瓜谷 大輔(畿央大学 健康科学研究科准教授) 「斜位が歩行に及ぼす影響の検討」       健康科学研究科 修士課程2年  瓜谷研究室 神田 泰志     【関連記事】 瓜谷ゼミ「インソールセミナー」学部生レポート!~理学療法学科 瓜谷ゼミがインソールのセミナーに参加しました!~理学療法学科 「第11回日本運動器理学療法学会学術大会」院生レポート~健康科学研究科 「第11回日本運動器理学療法学会学術大会」在学生レポート~理学療法学科 学部生と大学院生が第11回日本運動器理学療法学会学術大会に参加しました~理学療法学科・健康科学研究科 卒業研究に向けて、瓜谷研究室が合同勉強会を実施!~理学療法学科 奈良学園大学 池田教授による質的研究勉強会を開催!~健康科学研究科 瓜谷研究室 大学院生が「第33回岐阜県理学療法学会学術集会」で奨励賞に選出!~健康科学研究科 瓜谷准教授の研究成果が2年連続で学会表彰されました!~健康科学研究科 「第10回日本筋骨格系徒手理学療法研究会学術大会」に教員・大学院生が参加!~健康科学研究科

2023.11.29

地域在住ロバスト高齢者における新型コロナウイルス流行下での運動実施と基本チェックリストの下位項目との関連~健康科学研究科

新型コロナウイルスの感染拡大により、身体活動量が減少し、フレイル*の新規発生率が増加しています。フレイル予防には運動習慣などの健康的な生活習慣が重要で、コロナ禍でも同様に運動や社会性の確保、十分な栄養補給が推奨されています。高齢者の運動実施に関する要因は、数多く報告されていますが、コロナ禍のような社会生活が制限された環境下での運動実施の可否に関する要因についてのエビデンスはまだ十分ではありません。 また、わが国では各地方自治体において、要介護状態のリスクが高い高齢者を抽出するために基本チェックリスト**が用いられています。しかし、多くの基本チェックリストを使用した研究では、総該当数によるフレイル判定に用いられており、実際に行政が活用している基本チェックリストの下位項目に着目した報告は少ないのが現状です。 本学大学院健康科学研究科修士課程の中北智士、健康科学研究科の松本大輔准教授、高取克彦教授は、地域在住高齢者を対象にした調査を行いました。その結果、ロバスト高齢者であっても、抑うつ項目(基本チェックリストの下位項目の一つ)に該当する者は、コロナ禍のような社会生活が制限される環境下において運動を実施することが難しいことを明らかにし、その内容を地域理学療法学に発表しました。   *フレイル:健康から障害に至る前段階の状態と位置付けられ、機能予後や要介護度に影響し、早期の死亡リスクを高める。フレイルの段階として、ロバスト(健常)、プレフレイル、フレイルに分けられる。 **基本チェックリスト:二次予防事業対象者の選定のために厚生労働省が作成した。全25項目7つのドメイン(生活機能、運動機能、栄養状態、口腔機能、閉じこもり、認知機能、抑うつ)で構成されている。 研究概要 A市在住の高齢者3,698名を調査し、2018年の基本チェックリストの下位項目と2020年のコロナ禍での運動実施の有無の関連について検討しました。 本研究のポイント 高齢者に対する調査によって、年齢、性別、家族構成、主観的健康感、痛みによる制限、各下位項目を調整しても、抑うつ項目該当者は、該当しない者と比べて、コロナ禍で運動を実施できていない割合が約1.5倍高いことが明らかとなりました。   図1:コロナ禍での運動非実施と抑うつとの関連(オッズ比)   図2:抑うつ者における運動実施・非実施群でのフレイル新規発生率の比較   また、ベースライン時に抑うつ項目該当者であってもコロナ禍で運動実施できている者では、運動実施できていない者に比べてフレイル発生率は有意に少なく(運動実施群14.0% vs 運動非実施群29.4%)、抑うつ該当者でも適切な支援を実施することでフレイルを抑制できる可能性が示唆されました。 本研究の臨床的意義及び今後の展開 本研究は実際に行政が活用している基本チェックリストの下位項目に着目した数少ない研究です。ロバスト高齢者であっても抑うつ傾向にあるものは、コロナ禍のような環境で運動実施することが難しいことが明らかになりました。介護予防に認められている予後予測に基づいた明確な目標設定や支援方法の選定の一助になると考えられます。今後もより地域施策に還元できるような研究に発展させていきたいと思います。 謝辞 研究にご協力いただきました住民の皆様、役場の方々に感謝申し上げます。 論文情報 中北智士,松本大輔,高取克彦. 地域在住ロバスト高齢者における新型コロナウイルス流行下での運動実施と基本チェックリストの下位項目との関連. 地域理学療法学. 公開日2023/11/03. DOI https://doi.org/10.57351/jjccpt.JJCCPT23002   問合せ先 畿央大学大学院健康科学研究科 修士課程 中北智士 准教授 松本大輔 Tel: 0745-54-1601 Fax: 0745-54-1600 E-mail: d.matsumoto@kio.ac.jp

2023.11.17

サーマルグリル錯覚を過敏にさせる脳損傷領域の探索~畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター

サーマルグリル錯覚は温かいモノと冷たいモノを同時に触ることで灼熱痛に似た痛みや不快感を経験する錯覚です。サーマルグリル錯覚は中枢神経系の感覚情報処理の過程で生じるといわれており、最近では中枢性感作の有用な指標として提案されています。畿央大学大学院 博士後期課程 松田 総一郎、大住 倫弘 准教授を中心とする研究グループは、サーマルグリル錯覚が視床外側周囲の損傷によって過敏になることを明らかにしただけでなく、その過敏さは脳卒中患者における中枢性感作の症状と相関していることを明らかにしました。この研究成果はJournal of pain research誌(Thermal Grill Illusion in Post-Stroke Patients: Analysis of Clinical Features and Lesion Areas)に掲載されています。 研究概要 サーマルグリル錯覚は温かいモノと冷たいモノを同時に触ることで灼熱痛に似た痛みや不快感を経験する錯覚です。サーマルグリル錯覚は中枢神経系の感覚情報処理の過程で生じるといわれており、最近では中枢性感作と呼ばれる脳の問題による痛みの治りにくさを測るツールとして提案されてきています。しかしながら、そのメカニズムは不明なところが多く、多方面からの研究が求められている真っ只中にあります。畿央大学大学院 博士後期課程 松田 総一郎、大住 倫弘 准教授を中心とする研究グループは、サーマルグリル錯覚のメカニズム解明の一端を担うために、脳卒中後患者にを対象に「どのような脳の損傷によってサーマルグリル錯覚に過敏になるのか」を探索しました。その結果、サーマルグリル錯覚の過敏さは視床外側周囲の損傷と有意に関連していることが明らかになりました。また、興味深いことに、サーマルグリル錯覚の過敏さは、中枢性感作症状の1つであるワインドアップ現象(繰り返される痛み刺激によって徐々に痛みをつよく感じる現象)と相関していることが示されました。このことは、サーマルグリル錯覚が中枢性感作症状を安全に測ることのできる臨床ツールとなり得ることを示唆しています。 本研究のポイント 脳卒中後患者におけるサーマルグリル錯覚と臨床的特徴・損傷領域の関連性を検証した。 サーマルグリル錯覚によって経験する痛みや不快感が脳卒中後患者の中枢性感作を反映している可能性が示唆された。 サーマルグリル錯覚によって経験する不快感は視床外側の損傷と有意に関連していた。 研究内容 サーマルグリル錯覚を惹起するためには温刺激と冷刺激を同時に触る必要があります。そこで、本研究では直径 1 cm の銅の棒とプラスチックのチューブに水を流し、患者の接触面に温 (40 °C) と冷 (20 °C) の刺激を与えるように水温を調整しました。4本の温かい銅棒と 4本の冷たい銅棒を交互に配置することで、被験者が銅棒に触れるとサーマルグリル錯覚を生じるように設定しました(図1)。     図1:サーマルグリル刺激の実験条件   サーマルグリル錯覚の検査では、健側→患側の順番で銅棒の上に手のひらを最大30秒間置きました。その後、検査中に経験した痛みと不快感の強度をそれぞれ0(痛みなし)~10(想像できる最大の痛み)と0(不快感なし)~10(想像できる最大の不快感)で回答させました。その結果、サーマルグリル錯覚による痛みとワインドアップ比の間に有意な関連性を認めました。 また、脳画像解析(voxel-based lesion–symptom mapping)の結果、サーマルグリル錯覚による不快感は内包後脚および視床外側核周囲の病変と有意に関連していることが明らかになりました(図2)。     図2:サーマルグリル錯覚と損傷領域の分析   サーマルグリルによる不快感は内包後脚および視床外側核周囲の病変と有意に関連していました。 研究グループは、この結果について、内包や視床を損傷することで脳内での痛みや温度感覚情報処理の問題が生じ、サーマルグリル錯覚が過敏になると考えています。 本研究の臨床的意義及び今後の展開 本研究成果は、脳卒中後患者の中枢性感作を「痛くない刺激」を用いて安全に定量評価することを示しているだけでなく、サーマルグリル錯覚のメカニズム解明および脳卒中後疼痛の病態解明の一助となると考えられます。 論文情報 Soichiro Matsuda, Yuki Igawa, Hidekazu Uchisawa, Shinya Iki, Michihiro Osumi Thermal Grill Illusion in Post-Stroke Patients: Analysis of Clinical Features and Lesion Areas Journal of pain research, 2023 問合せ先 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 畿央大学大学院健康科学研究科 博士後期課程 松田 総一郎 准教授 大住 倫弘 Tel: 0745-54-1601 Fax: 0745-54-1600 E-mail: m.ohsumi@kio.ac.jp

2023.11.16

卒業生らの研究が国際学術雑誌に掲載されました!~理学療法学科

この度、理学療法学科1期生の中村 潤二さん(本学客員准教授/博士後期課程修了)、4期生辻本 直秀さんの研究が国際学術誌に掲載されました。 お二人の勤める西大和リハビリテーション病院は、本学の学生も実習施設としてもお世話になっており、多くの卒業生が理学療法士として勤務している施設の一つです。今回、卒業生の論文が同時期に同施設から掲載されるというのは快挙です。   中村さんと辻本さんのお二人から論文内容をそれぞれご紹介いただきました。   中村 潤二さん(理学療法学科1期生) 【論文名】 Effects of postural-control training with different sensory reweightings in a patient with body lateropulsion: A single subject design study   脳卒中後には、様々なバランス障害が生じますが、その中の一つであるBody lateropulsion (BL)は、座位や立位、歩行などの際に身体の側方傾斜が生じる障害です。この原因には、前庭脊髄路などの姿勢の制御に関連する神経機構の障害が関連していることが考えられています。しかし、このBLメカニズムもまだ明らかではなく、治療方法についてもほとんど調査されていません。   この研究では、BLを呈した症例の方に、バランス機能やバランス制御に関連する神経機構の評価などを詳細に行ったうえで、視覚情報に頼った状態でのバランス練習や、視覚に頼らずに体性感覚情報に頼った状態でのバランス練習を行った際の影響を比較しました。その結果、この症例では、視覚に頼らず、体性感覚情報に重きを置いた状態での練習の方が、バランス機能の向上がみられました。またバランス制御に関連する神経機構の評価を行った結果、神経機構の変化自体は乏しく、あくまでも代償的なバランス機能の改善であることが示されました。   今回は、一例のみの報告ですが、国際学術誌にBLの治療介入の調査報告が示されたのは、世界初であり、BLの方の理学療法を推進するための貴重な情報になると思われます。   辻本 直秀さん(理学療法学科4期生) 【論文名】 Predictors indicating the continuous need for a knee-ankle-foot orthosis in stroke patients at 1 month after onset   脳卒中発症後に重度の片麻痺を呈した方は、踏ん張ることができずに立つ、歩くことが困難になります。そのような方に立つ、歩くための練習を行う場合、膝や足首の固定性を高め、踏ん張りをサポートする長下肢装具を使用します。この練習効果を考えるうえで、長下肢装具は患者の足の長さや太さに合わせたものを使用することが望ましく、長期的に使用する場合には、本人用の長下肢装具を作製することが推奨されています。   しかし、脳卒中の急性期では、長下肢装具が完成するまでの2週間という非常に短い期間に足の麻痺が改善し、長下肢装具が不要になる患者も存在します。これまで、急性期病院で長下肢装具を作製するか否かの判断は、臨床家の経験に依存する側面が大きく、客観的な判断基準は確立されていませんでした。   私達が行った研究では、以前所属していた急性期病院で実施された装具作製についてのカンファレンス実績から、多種多様なデータを解析し、長下肢装具が必要であった患者の状態を調査し、麻痺側膝関節の自動伸展角度が高い精度で発症1か月後の長下肢装具の必要性を予測し得ることを報告しています。   ▲:写真左より(中村氏、辻本氏)   これらの成果が得られたのも、畿央大学在学中から高いレベルの教育を受けることができたことや、学術活動の重要性を教えていただいてきたからこそだと思います。この場を借りて、日頃から支援いただいている畿央大学の皆様に深く感謝申し上げます。   西大和リハビリテーション病院 理学療法士 中村 潤二、辻本 直秀 論文情報 Nakamura J, Nishimae T, Uchisawa H, Okada Y, Shiozaki T, Tanaka H, Ueta K, Fujita D, Tsujimoto N, Ikuno K, Shomoto K. Effects of postural-control training with different sensory reweightings in a patient with body lateropulsion: a single-subject design study. Physiother Theory Pract. 2023.   Tsujimoto N, Abe H, Okanuka T, Seki T, Fujimura M, Predictors indicating the continuous need for a knee-ankle-foot orthosis in stroke patients at 1 month after onset. Journal of Stroke and Cerebrovascular Diseases. 2023.     関連記事 修了生が「第21回日本神経理学療法学会学術大会」で奨励賞を受賞!~健康科学研究科 本学教員、大学院生の論文が学術優秀賞に選ばれました~理学療法学科・健康科学研究科 客員研究員の渕上 健さんの総説論文が「Journal of CLINICAL REHABILITATION」に掲載されました〜ニューロリハビリテーション研究センター

2023.11.14

大学院生が第2回超適応国際シンポジウムでポスター発表!〜健康科学研究科

2023年10月28〜29日に京都大学でThe 2nd International Symposium on Hyper-Adaptabilityが開催されました。 ニューロリハビリテーション研究センターからは、修士課程1年の大西空さん(宝塚リハビリテーション病院/本学理学療法学科13期生)と修士課程2年の木下 栞さん(JCHO星ヶ丘医療センター)と私、佐藤悠樹(宝塚リハビリテーション病院/本学理学療法学科14期生)がポスター発表を行いました。     発表演題 大西 空 Relationship of the corticospinal tract in the uninjured hemisphere to lower limb motor function and gait in severe stroke patients(重度脳卒中患者における非損傷側の皮質脊髄路の興奮性と下肢運動機能および歩行能力との関係) 木下 栞 Mirror Visual Feedback Modulate Cortico-Muscular Coherence -Case series-(ミラー視覚フィードバックは皮質-筋コヒーレンスを変調する -ケースシリーズ研究-) 佐藤 悠樹 Effects of Anodal tDCS on the Cerebellum Combined with Physical Therapy on Sway in Cerebellar Ataxia Patient: An ABA Single Case Study(小脳への陽極tDCSと理学療法の組み合わせが小脳性失調患者の重心動揺に与える影響:ABAシングルケースデザイン)   本シンポジウムは,文部科学省科学研究費補助金によって立ち上げられた新学術領域「身体-脳の機能不全を克服する潜在的適応力のシステム論的理解(略称名:超適応)」の国際シンポジウムです。本領域は脳機能への障害に対する神経系の超適応原理を脳神経科学とシステム工学の密な連携によってアプローチすることを目的としており、超適応メンバーの先生方の研究結果の発表に加えて、海外から招待された研究者の講演が行われました。また国際シンポジウムということで、全ての講演や質疑応答が英語で行われ、終始レベルの高い活発な議論がなされていました。最新の脳神経科学やシステム工学に関する知見を学ぶことができ、理学療法士として未来のリハビリテーションのあり方を考える大変貴重な機会になりました。また海外の研究者の講演では、世界トップレベルのリハビリテーションについて学び、海外のリハビリテーション技術の発展には大変驚かされ刺激になりました。 本研究室からは大西さんと私がそれぞれ脳卒中の非損傷側の皮質脊髄路の興奮性と下肢機能および歩行能力の関係ならびに小脳に対する経頭蓋直流電気刺激が小脳性失調患者の重心動揺に与える影響についてポスター発表を行いました。参加者はリハビリテーション職以外の方が多かったですが、著名な先生方や他分野の研究者の方々からの質問をいただき、様々な視点から意見を交換することができました。今後はいただいた意見をもとに、研究の課題解決やさらなる研究の発展に繋げていきたいと思います。 最後になりましたが、このような貴重な経験ができたのは森岡周教授、大住倫弘准教授をはじめとする研究室の仲間のご指導と、畿央大学の手厚い支援があったからであり、ここに深く感謝申し上げます。     大学院 健康科学研究科 修士課程2年 佐藤 悠樹 宝塚リハビリテーション病院 理学療法士 畿央大学 健康科学部 理学療法学科 2020年3月卒業   関連記事 学部卒で研究成果が「Brain Sciences」に掲載!理学療法学科13期生大西 空さんをインタビュー! 大学院生2名が4週にわたってラジオ出演!~FM大阪「マクセルmeetsカレッジナレッジ」 修了生が「第21回日本神経理学療法学会学術大会」で奨励賞を受賞!~健康科学研究科 しびれ感に対する新たな経皮的神経電気刺激の効果~畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 第12回IAGGアジア/オセアニア国際老年学会議および第65回日本老年医学会学術集会で教員、大学院生らが発表!〜理学療法学科・健康科学研究科 大学院生が「第33回岐阜県理学療法学会学術集会」で奨励賞に選出!~健康科学研究科 大学院生が国際学会「ESOC2023」でポスター発表!〜健康科学研究科 日本物理療法合同学術大会2023で大学院生が優秀賞を受賞!~健康科学研究科

2023.10.25

第18期畿桜会(同窓会)役員会・総会・畿央祭同窓会サロンを開催しました。

2023.10.20

「第11回日本運動器理学療法学会学術大会」院生レポート~健康科学研究科

10月13日(金)~15日(日)に開催された第11回日本運動器理学療法学会学術大会で、瓜谷研究室の関連として、6つの研究発表を行いました。前回の学部生(4回生)からのレポートに引き続き、大学院生の山藤 滉己さんに学会に参加した様子をレポートいただきました。 第11回日本運動器理学療法学会学術大会は福岡県にある福岡国際会議場で開催され、本学からは瓜谷 大輔准教授と共に以下の学生が参加し発表して参りました。   <健康科学研究科 健康科学専攻> 粕渕 賢志、山野 宏章(博士後期課程3年) 安浦 優佳(博士後期課程2年) 森 一晃、山藤 滉己(修士課程2年) 佐々木 紀奈子(修士課程 修了生)   <健康科学部 理学療法学科> 八色 凜汰朗、天野 洋和、田中 章太郎、天野 亜美、平田 奈々子(4回生)     瓜谷 大輔准教授がご登壇されたクリニカルディベートは本学会から初めて開催されたプログラム内容でした。臨床現場でよく遭遇する腰痛に対する考え方において「局所のメカニカルストレスに対する身体的側面を重視した考え方」あるいは「中枢神経系由来に起こる腰痛を重視した考え方」がありどちらが正しいかは、私自身非常に難しい問題だと感じておりました。     中枢・局所の領域で活躍されている先生方が登壇され、瓜谷 大輔准教授からは腰痛患者様の抱える痛みの一因が身体的側面にある場合の対処として使用できる「Classification system」についてご講演をされました。 瓜谷 大輔准教授はじめ他の先生方の意見も踏まえると、腰痛患者に対する理学療法の展開は、介入した時点から動作によって起こる局所由来なのかあるいは過去の痛み経験によっておこる中枢由神経由来の問題なのか総合的に評価し捉えていく事の重要性を再認識させていただきました。     院生や学部生の演題発表に対しては否定的な質疑は非常に少なく、我々の研究をさらに患者様に還元できるような前向きな意見をいただくことができました。また、通常よりもディスカッションの時間が長く、より多くの意見を伺えたと思います。     今回、学部生にとっては初めての全国学会の参加であり、参加者の大半が臨床現場で働く理学療法士の先生である中で非常に緊張をしていたと思います。一方、学部生の方々は堂々とポスター発表をしており、自身たちが行った研究内容に対する質問もスムーズに対応しておりました。   我々の演題名は以下となります。いずれも様々な意見をいただき多くの議論ができました。   <発表演題> 瓜谷 大輔准教授 クリニカルディベート「「腰痛に対する理学療法~局所か中枢か~」 「Classification systemに基づいた腰痛患者の理学療法~運動の専門家としての理学療法士の腰痛患者への関わり方~」   <口述発表> 粕渕 賢志(健康科学研究科 健康科学専攻 博士後期課程3年) 「慢性足関節不安定性有症者の着地動作における前額面での下肢衝撃吸収機能の検討」 山野 宏章(健康科学研究科 健康科学専攻 博士後期課程3年) 「変形性膝関節症患者における自律神経機能の特徴」 山藤 滉己(健康科学研究科 健康科学専攻 修士課程2年) 「変形性膝関節症患者における抑うつ症状が長期的な健康関連QOLに与える影響」   <ポスター発表> 八色 凜汰朗(健康科学部 理学療法学科4回生) 「伸縮性テープの貼付が歩行時の下腿三頭筋の張力に与える影響」 佐々木 紀奈子(健康科学研究科 健康科学専攻 修士課程 修了生) 「臨床で行える方法で評価した肩甲骨運動と肩関節機能の関係」     このような全国規模の学会で院生と学部生が発表する経験ができたのは瓜谷 大輔准教授をはじめとする研究室の仲間の意見やご指導のおかげです。この場を借りて深く感謝申し上げます。   健康科学研究科 健康科学専攻 修士課程2年 山藤 滉己   【関連記事】 「第11回日本運動器理学療法学会学術大会」在学生レポート~理学療法学科 学部生と大学院生が第11回日本運動器理学療法学会学術大会に参加しました~理学療法学科・健康科学研究科 卒業研究に向けて、瓜谷研究室が合同勉強会を実施!~理学療法学科 奈良学園大学 池田教授による質的研究勉強会を開催!~健康科学研究科 瓜谷研究室 大学院生が「第33回岐阜県理学療法学会学術集会」で奨励賞に選出!~健康科学研究科 瓜谷准教授の研究成果が2年連続で学会表彰されました!~健康科学研究科 「第10回日本筋骨格系徒手理学療法研究会学術大会」に教員・大学院生が参加!~健康科学研究科

2023.10.20

痛みを難治化させる脳波ネットワーク異常~畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター

複合性局所疼痛症候群(Complex Regional Pain Syndrome:CRPS)は、比較的小さな外傷や手術などが契機となって激しい痛みが生じます。これまでの研究の中で、CRPSの脳機能を調べた研究は多くありますが、日常診療で使われる脳波を活用してCRPSの脳機能異常を明らかにした報告は少ないです。畿央大学ニューロリハビリテーション研究センターの 大住 倫弘 准教授らは、名古屋大学医学部 平田 仁 教授、岩月 克之 講師、東京大学附属病院 住谷 昌彦 准教授らと共同で、CRPSにおける脳波ネットワーク異常の特徴を明らかにしました。この研究成果は、Clinical EEG and Neuroscience(Resting-state Electroencephalography Microstates Correlate with Pain Intensity in Patients with Complex Regional Pain Syndrome)に掲載されています。 研究概要 複合性局所疼痛症候群(Complex Regional Pain Syndrome:CRPS)は、比較的小さな外傷や手術などが契機となって激しい痛みが生じます。これまでの研究で、何らかの脳機能異常によってCRPSが増悪・長期化することが明らかになっています。特に、何もしていない「安静時」の脳活動の異常について多く報告されています。しかしながら、多くの研究ではfMRIやMEGなどの大掛かりな機器を使っており、日常診療で使われている脳波データではどのような異常があるのかは明らかになっていませんでした。畿央大学ニューロリハビリテーション研究センターの 大住 倫弘 准教授らは、名古屋大学医学部 平田 仁 教授、岩月 克之 講師、東京大学附属病院 住谷 昌彦 准教授らと共同で、CRPSにおける脳波マイクロステートを分析し、安静時のデフォルトモードネットワークがCRPSの痛みのつよさと密接に関連していることを明らかにしました。 本研究のポイント CRPSにおける安静時の脳波活動を測定した。 マイクロステート解析を活用して脳波ネットワークの異常を観察した。 その結果、デフォルトモードネットワークの異常がCRPSの痛みのつよさと密接に関連していることが明らかになった。 研究内容 CRPSを有する者を対象に、安静時の脳波活動を計測して、脳波マイクロステート解析をしました(図1)。そして、それぞれのトポグラフパターンにおけるパラメータ(Mean Duration、 Time coverage etc…)とCRPSによる痛みのつよさとの相関関係を調べました。その結果、デフォルトモードネットワークで構成されていると考えられているトポグラフパターンのパラメータと痛みのつよさとの間に有意な相関関係がありました(図1)。つまり、デフォルトモードネットワークの異常がCRPSの痛みを増悪させている可能性が明らかになりました。加えて、初回の脳波測定日の6ヶ月後にも脳波を計測し、デフォルトモードネットワークの改善とともに痛みが緩和していることも確認されました。このことからデフォルトモードネットワークの改善がCRPSの痛みの緩和と密接に関連していることが考えられました。   図1:安静時脳波マイクロステート解析によって計算されるトポグラフパターンと痛みとの相関 本研究の臨床的意義及び今後の展開 日常診療で使われている脳波データを活用すればCRPSに生じている脳波ネットワーク異常を観察できる可能性を示唆しました。今後は、これらの脳波ネットワーク異常を改善させるためのリハビリテーションを検討していきます。 論文情報 Osumi M、 Sumitani M、 Iwatsuki K、 Hoshiyama M、 Imai R、 Morioka S、 Hirata H. Resting-state Electroencephalography Microstates Correlate with Pain Intensity in Patients with Complex Regional Pain Syndrome. Clin EEG Neurosci. 2023 その他の情報 本研究は以下の助成を受けて実施したものです。 Japan Agency for Medical Research and Development (AMED) 問合せ先 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 畿央大学大学院健康科学研究科 准教授 大住倫弘 Tel: 0745-54-1601 Fax: 0745-54-1600 E-mail: m.ohsumi@kio.ac.jp

2023.10.18

学部生と大学院生が第11回日本運動器理学療法学会学術大会に参加しました~理学療法学科・健康科学研究科

10月13日(金)~15日(日)の3日間、福岡国際会議場で開催された、第11回日本運動器理学療法学会学術大会に参加しました。瓜谷研究室の関連では6つの研究発表を行いました。   今回は理学療法学科4回生の八色 凜汰朗さんをはじめ、5人のゼミ生が自分たちの卒業研究の成果をポスター発表しました。この研究ではバイオメカニクス研究で数々の業績を残されている、埼玉県立大学の小栢 進也准教授にもご指導いただきました。研究計画からデータ測定・データ処理、ポスター作成まで、臨床実習や国家試験対策の勉強、就職活動にも取り組みながら頑張って準備してきました。     当日は堂々とした発表ができ、また質疑応答にもしっかりと対応できていました。困ったときのために私も学生たちの横で待機していましたが、私の出る幕は全くありませんでした。質疑応答では質問だけでなく、研究についての有益なアドバイスもたくさんいただきました。     今回の学会発表に至るまで色々とご指導いただきました小栢先生をはじめ、ご協力いただきましたすべての皆様に感謝いたします。ゼミの4回生たちには今回の経験を糧に大きく成長して欲しいと思っています。     当研究室関連の研究発表は以下の通りです(氏名は筆頭演者)。   <口述発表セレクション演題> 小栢 進也(埼玉県立大学) 「変形性関節症の痛みを多面的に評価する Intermittent and Constant Osteoarthritis Pain (ICOAP)日本語版の作成」   <口述発表> 粕渕 賢志(健康科学研究科 健康科学専攻 博士後期課程3年) 「慢性足関節不安定性有症者の着地動作における前額面での下肢衝撃吸収機能の検討」 山野 宏章(健康科学研究科 健康科学専攻 博士後期課程3年) 「変形性膝関節症患者における自律神経機能の特徴」 山藤 滉己(健康科学研究科 健康科学専攻 修士課程2年) 「変形性膝関節症患者における抑うつ症状が長期的な健康関連QOLに与える影響」   <ポスター発表> 八色 凜汰朗(健康科学部 理学療法学科4回生) 「伸縮性テープの貼付が歩行時の下腿三頭筋の張力に与える影響」 佐々木 紀奈子(健康科学研究科 健康科学専攻 修士課程 修了生) 「臨床で行える方法で評価した肩甲骨運動と肩関節機能の関係」   理学療法学科・健康科学研究科 准教授 瓜谷 大輔   【関連記事】 卒業研究に向けて、瓜谷研究室が合同勉強会を実施!~理学療法学科 奈良学園大学 池田教授による質的研究勉強会を開催!~健康科学研究科 瓜谷研究室 大学院生が「第33回岐阜県理学療法学会学術集会」で奨励賞に選出!~健康科学研究科 瓜谷准教授の研究成果が2年連続で学会表彰されました!~健康科学研究科 「第10回日本筋骨格系徒手理学療法研究会学術大会」に教員・大学院生が参加!~健康科学研究科 変形性膝関節症の患者さんは自らの病状とどのように向き合っているのか?~理学療法学科教員 患者教育プログラムは変形性膝関節症患者さんの自己効力感の向上に有効か?~理学療法学科教員 変形性膝関節症に関する研究の途中経過が学会誌に掲載されました~理学療法学科教員

2023.10.16

発達性協調運動障害における行為と結果の規則性の知覚感度~畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター

発達性協調運動障害(DCD)は、脳の適応的な運動制御・運動学習システムである内部モデルの働きの先天的・発達的問題として生じるとされています。一方で、定型発達(TD)乳児は生後の発達早期に、自己の運動とその結果の繋がり、すなわち行為と結果の規則的な関係性を知覚できるとされており、この行為と結果の規則性の知覚学習は、運動の多様性や内部モデルの発達に貢献すると考えられます。したがって、DCD児においては、行為と結果の規則性の知覚にも問題が生じている可能性がありますが、DCD児における行為と結果の規則性の知覚感度を調べた研究は皆無でした。そこで、畿央大学ニューロリハビリテーション研究センターの信迫 悟志 准教授らは、温 文(Wen Wen) 准教授(立教大学)、中井 昭夫 教授(武庫川女子大学)らと共同で、DCD児における行為-結果の規則性の知覚感度について調査しました。この研究成果は、Journal of Autism and Developmental Disorders(Action-outcome Regularity Perceptual Sensitivity in Children with Developmental Coordination Disorder)に掲載されています。 研究概要 DCDとは、協調運動技能の獲得や遂行に著しい低下がみられる神経発達障害の一類型であり、その症状は、字が綺麗に書けない、靴紐が結べないといった微細運動困難から、歩行中に物や人にぶつかる、縄跳びができない、自転車に乗れないといった粗大運動困難、片脚立ちができない、平均台の上を歩けないといったバランス障害まで多岐に渡ります。DCDの頻度は学童期小児の5-6%と非常に多く、自閉症スペクトラム障害、注意欠如多動性障害、限局性学習障害などの他の神経発達障害とも頻繁に併存することが報告されており、近年では脳性麻痺ともリスクファクターを共有する連続体である可能性も指摘されています。またDCDと診断された児の過半数が青年期・成人期にも協調運動困難が残存するとされており、DCDの病態理解と有効なハビリテーション技術の開発は、ニューロリハビリテーション研究における喫緊の課題の一つとされています。 自分の行為と外部刺激との間の規則的な関係性を検出する能力のことを、行為と結果の規則性の知覚と呼びます。この行為と結果の規則性の知覚は、コンパレータモデル以外の運動主体感(Sense of Agency: SoA)を生成する重要な情報源として注目されており、また適応的運動学習パフォーマンスにも関与することが示されています。行為と結果の規則性の知覚は、まだ内部モデルにおける正確な順・逆モデルを持ち合わせていない生後2カ月児にも存在することが明らかとなっており、子どもは行為と結果の規則的な関係性を知覚学習することにより、運動の多様性を獲得している可能性が示唆されています。また最近の研究で、この行為と結果の規則性の知覚感度は、6~15歳と年齢が増加するのに伴い発達向上すること、そして手先の器用さが低下した児では、行為-結果の規則性の知覚感度が低下していることが明らかになっていました。したがって、発達早期からの運動の不器用さを主な特性とするDCD児においては、行為と結果の規則性の知覚にも問題が生じている可能性がありますが、それを調べた研究はありませんでした。そこで畿央大学ニューロリハビリテーション研究センターの信迫悟志 准教授らは、DCD児における行為-結果の規則性の知覚感度を調べました。その結果、DCD児では、年齢と性別が一致したTD児と比較して、行為と結果の規則性の知覚感度が低下していることが明らかになりました。 本研究のポイント ■ DCD児の行為-結果規則性の知覚感度は低下しており、特に低年齢(6~10歳)DCD児で知覚感度が著しく低下していた。 ■ DCD児とTD児の両グループにおいて、年齢の増加に伴い行為-結果規則性の知覚感度は発達向上していた。 ■ DCD児における行為-結果規則性の知覚感度の低下は、いくつかの協調運動技能の低下と相関関係にあった。 ■ DCD児では発達早期の段階で行為-結果規則性の知覚感度が低下しており、そのことが運動の多様化や内部モデルの発達を阻害し、結果として協調運動技能の低下に陥っている可能性が示唆された。 研究内容 6~15歳までのDCD児20名と年齢と性別を揃えたTD児20名は、行為-結果規則性検出課題(図1)を完了しました。この課題において、子どもたちはタッチパッド上で10秒間自由に指を動かし、モニターに表示された3つのドットのうち、自分がコントロールすることができる/自分の指の動きを最も反映していると感じられたドット(検出目標ドット)を検出することが求められました。1つの検出目標ドットには、子どもが制御できる/指の動きを反映する割合に応じて、7制御条件(0、 20、 40、 50、 60、 80、 100%)が設定され、それぞれ6試行、合計で42試行ありました。他の2つのドットは0%制御のディストラクタードットになっていました。この課題の成績から、規則性検出閾値(Regularity Detection Threshold: RDT)を算出し、行為-結果の規則性の知覚感度の定量指標としました。   図1:行為-結果規則性検出課題   その結果、DCD児のRDTは、TD児と比較して高値を示し、DCD児では行為-結果の規則性の知覚感度が低下していることが明らかになりました(図2)。またDCD児とTD児の両グループにおいて、RDTの低下と年齢の増加との間には有意な相関関係が示され、DCD児においてもTD児においても、年齢の増加に伴い行為-結果の規則性の知覚感度は発達向上することが示されました。そこで、年齢を細分化して検討した結果、低年齢(6~10歳)のDCD児のRDTは、低年齢(6~10歳)および高年齢(11~15歳)のTD児と比較して、有意に高値であることが示され、特に低年齢のDCD児の行為-結果の規則性の知覚感度が低下していることが明らかになりました(図3)。またDCD児においては、RDTといくつかの協調運動技能との間に有意な相関関係が示され、行為と結果の規則性の知覚感度の低下とボールスキルなどの協調運動技能の低下との間に関連性があることが示されました。   図2:両グループにおける規則性の知覚感度度   図3:年齢を細分化した規則性の知覚感度の比較結果 本研究の臨床的意義および今後の展開 本研究は、DCD児における行為-結果の規則性の知覚感度が低下していることを初めて明らかにし、特にDCD児では低年齢の段階で規則性の知覚感度が著しく低下していることを示しました。このことは、DCD児では低年齢の段階で行為-結果の規則性の知覚感度が低下しており、そのことが運動の多様化や内部モデルの発達を阻害し、結果的に協調運動技能の低下に至っている可能性を示唆しました。今後、本研究で使用した行為-結果規則性検出課題と運動の多様性や内部モデルの働きを定量化する課題を併用し、縦断的に調査することで、この可能性を検証していく必要があります。 論文情報 Nobusako S, Wen W, Osumi M, Nakai A, Morioka S. Action-outcome Regularity Perceptual Sensitivity in Children with Developmental Coordination Disorder. J Autism Dev Disord. 2023 問い合わせ先 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 畿央大学 大学院 健康科学研究科 准教授 信迫 悟志 Tel: 0745-54-1601 Fax: 0745-54-1600 E-mail: s.nobusako@kio.ac.jp

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