健康科学専攻(修士課程)の新着情報一覧
2019.04.11
心理的因子と痛みの関係における中枢性感作の媒介効果~畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター
中枢性感作は、心理的因子とともに痛みを増悪する因子であることが報告されています。しかし、中枢性感作と心理的因子がどのような関係性で痛みを増悪しているかは明らかにされていませんでした。畿央大学大学院博士後期課程の重藤隼人氏と森岡周教授らは、外来を受診している筋骨格系疼痛患者を対象に媒介分析を用いて、心理的因子が中枢性感作をもたらして痛みを重症化させていることを明らかにしました。この知見は、今後中枢性感作に焦点をあてた介入手段の重要性を示唆するものとして期待されます。この研究成果は、Pain Research and Management誌(The Mediating Effect of Central Sensitization on the Relation between Pain Intensity and Psychological Factors: A Cross-Sectional Study with Mediation Analysis)に掲載されています。 本研究のポイント ■ 心理的因子が中枢性感作をもたらして、痛みを重症化させているという仮説を、媒介分析を用いて検証した。 ■ 媒介分析の結果、不安、抑うつ、破局的思考と痛みとの関係において中枢性感作の媒介効果を認めた。 研究内容 外来受診患者を対象に、中枢性感作の評価として「中枢性感作」(Central Sensitization Inventory:CSI)、「痛み」(Short-form McGill Pain Questionnaire-2:SFMPQ2)、「破局的思考」(Pain Catastrophizing Scale-4:PCS)、「不安・抑うつ」(Hospital Anxiety and Depression Scale:HADS)、「運動恐怖」(Tampa Scale for Kinesiophobia-11:TSK) を評価しました。独立変数を「不安」、「抑うつ」、「破局的思考」、「運動恐怖」、従属変数を「痛み」、媒介変数を「中枢性感作」としたブートストラップ法による媒介分析を行いました。 媒介分析の結果、各心理的因子と疼痛強度における総合効果は「不安」、「抑うつ」、「破局的思考」、「運動恐怖」で認められましたが、直接効果は「破局的思考」のみ認められ、他の心理的因子では認められませんでした。また、媒介変数を「中枢性感作」とした間接効果は「不安」、「抑うつ」、「破局的思考」で認められました (図1) 図1:心理的因子と痛みの関係における中枢性感作の媒介効果 本研究の臨床的意義および今後の展開 本研究成果は、心理的因子によって増悪する痛みが中枢性感作を介して引き起こされていることを示唆するものです。そのため、中枢性感作に焦点をあてた介入手段の重要性を提唱する臨床研究となります。 論文情報 Shigetoh H,Tanaka Y,Koga M,Osumi M,Morioka S The Mediating Effect of Central Sensitization on the Relation between Pain Intensity and Psychological Factors: A Cross-Sectional Study with Mediation Analysis. Pain Research and Management 2019 問い合わせ先 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター センター長 森岡 周(モリオカ シュウ) Tel: 0745-54-1601 Fax: 0745-54-1600 E-mail: s.morioka@kio.ac.jp
2019.04.02
平成31年度入学式を行いました。
2019(平成31)年4月2日(火)、畿央大学健康科学部334名、教育学部203名、健康科学研究科28名(修士課程23名、博士後期課程5名)、教育学研究科修士課程2名、助産学専攻科10名、臨床細胞学別科3名、あわせて580名の新しい畿央生が誕生しました。学部は午前10時、大学院・専攻科・別科は午後3時から入学式を行いました。 冬木記念ホールで開催された学部の入学式では、学科長が新入生を一人ひとり呼名し、冬木正彦学長による入学許可をいただきました。 学長式辞では「建学の精神『徳をのばす、知をみがく、美をつくる』を実践し、充実した大学生活を送ってほしい」と述べられました。 続いてご来賓の山村吉由広陵町長、香芝市の吉田弘明市長、岡﨑亜矢子後援会長よりエールをいただきました。 新入生代表の理学療法学科1回生の大澤一輝さんから宣誓、在学生代表の長あかりさんから歓迎の言葉があり、閉式となりました。 閉式後には、学部長・学科長・1回生の担任の教員紹介、畿央パフォーマンスチーム「KiPT」とアカペラ部「ADVANCE#」による学歌披露・歓迎LIVEパフォーマンスで新入生を歓迎しました。 午後3時からは大学院健康科学研究科・教育学研究科・助産学専攻科および臨床細胞学別科の入学式が行なわれました。入学生全員の名前が読み上げられ、入学を許可された後、それぞれの研究科長・専攻科長・別科長から祝辞をいただき、より高度な学びと研究活動に向けての決意を固める日となりました。 公式Facebookページでは入学式のフォトレポートをご覧になれます。
2019.03.18
平成30年度 卒業パーティーレポートvol.1~理学療法学科編
平成30年度卒業証書・学位記・修了証書授与式が3月15日(金)、冬木記念ホールにて挙行され、566名の卒業生が巣立ちました。今年度から卒業パーティーは学科・専攻科にわかれて開催することになりました。 第1弾は「理学療法学科」です! 理学療法学科13期生の西谷真由子です。3月15日(金)、ホテルモントレグラスミア大阪にて卒業パーティーが開催されました!理学療法学科は卒業パーティーを"謝恩会"とし、4年間お世話になった先生方へたくさんの感謝を込めて先生18名、大学院生を含む卒業生94名の合計102名が参加しました。 森岡先生による乾杯の掛け声とともに一気に盛りあがった会場は、友達と写真を撮る人、先生と思い出話を語り合う人、とにかく食べまくる人など…それぞれの楽しい時間を過ごしました。 各ゼミから個性溢れる先生方へのビデオメッセージでは、先生のあるあるネタやあいうえお作文などで感謝の気持ちを表しました。私たちらしく、少しの感動と多くのネタが盛り込まれたビデオメッセージに、先生方はもちろん、会場全体がたくさんの笑いに包まれました。 大学院生からは、それぞれの指導教員である庄本先生・森岡先生・岡田先生に記念品が贈呈されました。 臨床に出ても更なるステップアップを求めて、修士・博士後期課程を修了された先輩方を拝見し、私たち学部生にも大きな刺激となりました。学部生からはゼミ担任の先生方へ花束やアルバム、記念品が贈呈され、卒業研究でたくさんの苦労や楽しさを分かち合った担任の先生を前にし、涙ぐむ学部生もいました。 先生方お一人ずつからいただいたメッセージでは4年間の出来事1つ1つ鮮明に思い出し、苦しかった試験も、楽しかった学生生活も全て13期生のみんなと共に乗り越えてきたんだと改めて気付きました。また、先生方にはいつもそんな私たちのそばで私たちの成長を見守って下さっていたことに感謝の気持ちでいっぱいになりました。 そんな笑いあり、涙ありの卒業パーティーは庄本先生の『閉会!!!』の言葉で、無事閉会しました。 私たちはそれぞれが抱いていた理学療法士になりたいという夢を、畿央大学で、素晴らしい先生方のもとで、素晴らしい仲間と共に、叶えられたことを誇りに思います。今後も大学生活で学んだことを決して忘れず、患者様のために日々勉強を重ねていきたいと思います。 お世話になった先生方、これから先もずっとずっと私たち13期生の成長を見守っていてください!!!! そして、さらに大きくなった姿でまたお会いできることを楽しみにしています!ありがとうございました。 理学療法学科13期生 西谷真由子 ●大学公式facebookページで卒業式のフォトレポート!(facebookアカウントをお持ちでない方もご覧になれます) ≪他学科の卒業パーティーレポート≫ 平成30年度 卒業パーティーレポートvol.5~健康栄養学科編 平成30年度 卒業パーティーレポートvol.4~看護医療学科編 平成30年度 卒業パーティーレポートvol.3~現代教育学科編 平成30年度 卒業パーティーレポートvol.2~人間環境デザイン学科編
2019.03.18
平成30年度卒業証書・学位記・修了証書授与式を行いました。
平成30年度卒業証書・学位記・修了証書授与式が3月15日(金)、冬木記念ホールにて挙行され、健康科学部317名(理学療法学科64名・看護医療学科91名・健康栄養学科98名、人間環境デザイン学科64名)、教育学部215名、助産学専攻科8名、大学院26名(健康科学研究科修士課程16名、博士後期課程4名、教育学研究科修士課程6名)の合計566名を送り出しました。 午前10時に開式し、国歌・学歌の斉唱の後、学部学科ごとの代表者に卒業証書・学位記・修了証書が手渡されました。その後、学長表彰が行われ、特に優秀な成績を修めた学生が各学科から1名選ばれ、表彰状と記念品が手渡されました。 冬木正彦学長による式辞では、「卒業してからも、建学の精神である『徳をのばす、知をみがく、美をつくる』を実践し、常に仲間との絆や支えてくださる周囲の皆さんへの感謝の気持ちを忘れず、社会で大いに活躍してください。」という言葉が送られました。 続いて山村吉由広陵町長、岡崎亜矢子後援会長、唄大輔畿桜会長よりご祝辞をいただきました。 その後、学生自治会である畿友会長の大津留黎さんが在学生を代表して送辞を、卒業生を代表して現代教育学科の松岡紗夜さんが答辞を述べました。 卒業生の皆さん、おめでとうございます。 大学公式facebookページに式典のフォトレポートを掲載しておりますので、合わせてご覧ください。 (facebookアカウントをお持ちでない方もご覧になれます)
2019.03.14
10/19(土)理学療法特別講演会「スポーツを通じた共生社会の実現」を開催します。
畿央大学卒業生向けのリカレント教育(卒後教育)を兼ねて行われている「理学療法特別講演会」。2020東京オリンピック・パラリンピックを前に、今年は広島大学病院スポーツ医科学センターの平田和彦先生から、理学療法士のスポーツへの関わりについて、お話し頂きます。なお、本講演は受講料1000円にて卒業生以外の医療関係者にも公開させて頂きます。 ▲昨年の様子 日 時 2019年10月19日(土)10:30~12:00 (10:00~受付) 会 場 畿央大学P棟2階 P201講義室 講 演 スポーツを通じた共生社会の実現 ~障がい者スポーツへの関わりを通して~ 講 師 平田 和彦 先生 /広島大学病院 スポーツ医科学センター 受講料 1000円(卒業生・在学生は無料) 備考 今年は、懇親会は行いません。卒業生は同窓会サロンにお越しください。 申込方法 下記①~⑥を明記の上、E-mail、ハガキ、FAXのいずれかでお申し込みください。受講証の発行は致しません。当日、直接受付にお越しください。 ①氏名(ふりがな) ②卒業年度 ③住所(郵便番号から) ④電話番号 ⑤メールアドレス(お持ちの方) ⑥所属先(団体名、病院名等) 申込締切 2019年10月15日(火) 申込先 〒635-0832 奈良県北葛城郡広陵町馬見中4-2-2 畿央大学 広報センター 理学療法特別講演会係 FAX : 0745-54-1600 E-mail:dousoukai@kio.ac.jp (件名に「理学療法特別講演会」と明記) 問合せ先 TEL:0745-54-1603(担当:畿央大学広報センター増田、鈴木、伊藤) ※公共交通機関を利用してご参加ください。
2019.03.11
平成30年度運動器リハビリテーションセミナー「臨床編」を開講しました。
平成31年3月9日(土)、畿央大学運動器リハビリテーションセミナー<臨床編>を開催しました。今回は、昨年7月29日に開催予定だったものが台風のため延期となり、日程が大幅に変更されたにも関わらず、近畿圏内をはじめ、ご遠方からもたくさんの方にお越しいただきました。 今回のセミナーは、上肢・下肢・体幹のつくりを知り、その運動療法の基礎と関連する最新知見について学ぶことを目的としています。 講義は、「肩関節のリハビリテーションと最新の知見」「運動器の痛みとリハビリテーション」、「変形性膝関節症とその人工関節の最新知見とリハビリテーション」「足部の機能障害と理学療法」という4つに分けておこなわれました。これらは運動器の理学療法分野に従事するうえで、皆様が多く触れる機会のあるテーマであり、また講義内容は単なる文献のレビューではなく、講師陣の経験や実技も交えたものでとても充実したものでした。 次年度もまた、引き続き運動器リハビリテーションセミナーを開催予定です。 今後もさらにブラッシュアップした知見をお持ち帰りいただき、臨床経験や臨床研究に生かしていただければと思っております。 詳細は決定次第、畿央大学ホームページにアップされますのでご確認ください。 皆様の受講を心よりお待ち申し上げております。 理学療法学科 准教授 福本貴彦 【関連記事】 平成30年度運動器リハビリテーションセミナー「臨床実践編 (膝関節)」を開講しました。 平成30年度 運動器リハビリテーションセミナー「エビデンス編」を開講しました。
2019.03.04
ニューロリハビリテーション研究センター「シンポジウム企画 × プロジェクト研究報告会」を開催しました。
2019年3月2日(土)に、畿央大学ニューロリハビリテーション研究センターによる「シンポジウム企画 × プロジェクト研究報告会」を開催しました。今回は「身体性・社会性システムからニューロリハビリテーションを考える」というテーマで、教員がプロジェクト研究として実施してきたこれまでの研究成果を中心に、以下の内容を報告させて頂きました。 松尾 篤:「社会におけるコミュニケーションの役割」 信迫悟志:「発達性協調運動障害の病態分析から見える必要なニューロリハとは?」 前岡 浩:「痛みと情動とリハビリテーション」 大住倫弘:「疼痛に対するニューロリハの“具体的”な効果」 冷水 誠:「社会心理学的知見から考える運動学習戦略の検証」 岡田洋平:「姿勢、歩行制御の障害を理解するための行動および神経生理学的分析」 森岡 周:「身体意識の視点から神経障害の種々の病態を捉える」 多岐にわたった研究プロジェクトにみえるかもしれませんが、身体性・社会性システムからニューロリハビリテーションを考える取り組みは一貫しており、どちらが疎かになってもニューロリハビリテーションとして成り立たないことが再確認されました。例えば、“痛み”は身体的問題のみならず、情動的問題にもアプローチする必要があり、それは自分を取り巻く社会のかかわりによって大きく左右されることが報告されました。あるいは、“運動学習”は1人で黙々と練習をするだけでなく、激励や技術共有といったコミュニケーションが欠かせないことも報告されました。このように、ニューロリハビリテーションを“身体性”と“社会性”の両面から考えることによって、その解釈が立体的になり、リハビリテーションの奥深さをみることができると考えています。 このような背景も含め、来年度から再スタートする「ニューロリハビリテーションセミナー」では、“人間理解”と“リハビリテーション”を一緒に学ぶ機会にしていこうと考えています。こちらはホームページ・Facebook等で後日お知らせ致しますので、今後ともどうぞ宜しくお願い致します。 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 助教 大住倫弘 関連リンク ●畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター ●畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター Facebook
2019.02.25
「今北ゼミ&福本ゼミ同門会」を開催!~同窓会レポート
畿桜会(畿央大学・畿央大学短期大学部・桜井女子短期大学同窓会)では、卒業後の同窓生のつながりを活性化することを目的に、一定数以上集まる同窓会の開催を補助しています。 ▶同窓会開催にかかわる補助について(大学ホームページ) 今回は、今北ゼミ&福本ゼミ同門会レポートをお届けします! 2019年2月10日(日)に、今北ゼミ・福本ゼミ合同で同門会を実施しました! 今年春に卒業予定の4回生から理学療法士として働いている社会人まで、総勢20名以上の会となりました。 今回は、大学で午前中から勉強会がスタートし、前半8名の卒業生に発表して頂きました。内容は臨床・研究・外部活動など様々な分野で発表をして下さいました。その後は、今北教授・福本准教授に特別講演をして頂きました。同じ理学療法士という職業でも、社会で活躍されている場面は様々で、改めて理学療法士の可能性の幅広さを感じました。私は社会人2年目になりますが先輩方や先生方の話を聞いて、私もこの場で自分の成果を発表出来るようにしていきたいと思いました。 勉強会の後は、奈良の大和平群のかんぽの宿へ移動し、宴会が行われました。勉強会の時とはまた違った雰囲気で沢山お話しを聴くことができました。 宴会の後は、さすが運動器ゼミ!と言わんばかりの本気の卓球大会が開催されました。1点入るごとに歓声が湧いたり、楽しい時間を過ごすことができました。 今年の同門会で、また更に縦と横の繋がりが深まったと感じました。また来年も参加させて頂きたいです。 理学療法学科11期生(2016年度卒業生) 安浦優佳
2019.02.21
脳卒中後の上肢運動機能に関連する運動イメージ能力~畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター
畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター長の森岡 周教授らの研究グループは、両手協調運動課題(bimanual circle-line coordination task:BCT)を用いて、脳卒中片麻痺患者を対象に、運動イメージ能力、上肢運動機能、そして、日常生活における上肢の使用頻度ならびに動作の質との関係を調べました。一側上肢で直線を描きながら、反対側上肢で円を描くと、それに干渉されてしまい、直線が楕円化するといった現象が確認されています。BCTはそれをもとに開発された課題ですが、本研究では、対象者に非麻痺側上肢で直線を描いてもらいながら、麻痺側上肢で円を描くイメージを求め、その際の楕円化の程度を調べ、その楕円化の程度を運動イメージ能力の定量的指標としました。結果として、中等度〜軽度の上肢運動障害を有している脳卒中患者において、運動イメージ能力は、麻痺側上肢の日常生活における使用頻度を増大させ、その使用の際の動作の質に直接的に関係していることがわかりました。そしてそれら2つの要因を媒介し、上肢運動機能に間接的に関係することがわかりました。この成果は2月18日付けで米国科学誌『Annals of Clinical and Translational Neurology』(Motor‐imagery ability and function of hemiplegic upper limb in stroke patients)に掲載されました。 本研究のポイント ■ bimanual circle-line coordination task(BCT)は、麻痺側上肢の運動イメージ能力を定量的に評価できる手法である。 ■ 脳卒中患者における麻痺側上肢の運動イメージ能力は、日常生活における麻痺側上肢の使用頻度・動作の質に関係し、それらを媒介して上肢運動機能に関係する。 研究内容 本研究ではBCTを用いて、運動イメージ能力を定量的に調べ、運動イメージ能力が片麻痺上肢の運動機能や麻痺肢の使用頻度などに関係するかを明らかにしたものです。 対象は脳卒中片麻痺患者31名でした。BCTにはタブレット型PCを使用し、その課題は(1)unimanual-line(U-L):非麻痺側のみで直線を描く条件、(2)bimanual circle-line(B-CL):非麻痺側で直線を描き麻痺側で円を描く条件、(3)imagery circle-line(I-CL):非麻痺側で直線を描き麻痺側で円を描くイメージを行う3条件(図1)で行い、各々12秒間3セット、ランダムに実施しました。描かれた直線を記録し、その軌跡を1周期ごとに分解し、その歪みを数値化するためにovalization index(OI =[X軸データの標準偏差/Y軸データの標準偏差]×100)を算出しました。 図1: BCT課題の概要 A: 3条件の概要、U-L condition;非麻痺側上肢で直線を描く課題、B-CL condition;非麻痺側上肢で直線を描きつつ麻痺側上肢で円を描く課題、I-CL condition;非麻痺側上肢で直線を描きつつ麻痺側上肢で円を描くイメージを行う課題。B: 代表的なケースの軌跡、向かって左はU-Lの軌跡、右はI-CLの軌跡。I-CLのovalization indexからU-Lのovalization indexを減算した値をImage OI(運動イメージ能力)と定義しました。 運動麻痺の評価にはFugl-Meyer Motor Assessment(FMA)、日常生活での使用頻度にはMotor Activity Log(MAL)のAmount of Use(AOU)、動作の質にはMALのQuality of Movemen(QOM)を用いて評価しました。 OI値は、ULに対してBCLおよびICLで有意な増加を認めました。BCLとICLの間には有意差が見られず、BCLあるいはICLのOI値からULのOI値を減算したImage OI値においても、BCLとICLの間に有意差が見られませんでした。ゆえに、脳卒中片麻痺患者においても、運動イメージ能力を有していることが明らかになりました。 FMAとAOUの値を用いてクラスター分析した結果、2つのクラスター(クラスター1:10名、クラスター2 :21名)に分けられました。このうち、クラスター2のみFMAとAOUあるいはQOMに有意な相関が得られました。 クラスター2のデータを用いて媒介分析を行ったところ、媒介なしの場合ではImage OIとFMAの間に有意な相関が認められましたが、AOUあるいはQOMを媒介させると、それらの間に有意な相関が示されず、Image OIとAOUあるいはQOMの間に有意な相関、そして、AOUあるいはQOMとFMAの間に有意な相関が確認されました(図2)。 図2: 媒介分析の結果 媒介なしの場合ではImage OIとFMAの間に有意な相関をみとめましたが、AOUあるいはQOMを媒介させると有意な相関がみられなくなりました。一方、AOU媒介モデル(A)では、Image OIとAOUの間に有意な相関、AOUとFMAの間に有意な相関を認めました。他方、QOMモデル(B)においてもImage OIとQOMの間に有意な相関、QOMとFMAの間に有意な相関を認めました。AOUあるいはQOMを介したImage OIとFMAの間接効果は、ブーストラップ信頼区間(95%CI)から有意な正の効果を示すことがわかりました。 これらの結果から、脳卒中片麻痺患者において、運動イメージ能力の存在を定量的に確認することができました。一方で、運動イメージ能力は運動麻痺の程度に直接には関係しないものの、麻痺肢の使用頻度や動作の質に関係し、それらを媒介し、運動麻痺の程度に間接的に関係することが明らかになりました。 本研究の臨床意義および今後の展開 本研究結果は、脳卒中後の運動イメージ能力の向上が麻痺肢の使用頻度を増加ならびに動作の質を改善させ、それに基づき運動障害が改善することを示唆するものですが、その関係性を明確なものとするためには、縦断的調査を試みる必要があると考え、現在、それに取り組んでいます。 論文情報 Morioka S, Osumi M, Nishi Y, Ishigaki T, Ishibashi R, Sakauchi T, Takamura Y, Nobusako S. Motor‐imagery ability and function of hemiplegic upper limb in stroke patients Annals of Clinical and Translational Neurology 2019 問合せ先 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター センター長 森岡 周(モリオカ シュウ) Tel: 0745-54-1601 Fax: 0745-54-1600 E-mail: s.morioka@kio.ac.jp
2019.01.30
平成30年度神経リハビリテーション研究大会を開催!~健康科学研究科(森岡研究室)
平成31年1月26・27日(土・日)に、信貴山観光ホテルにて神経リハビリテーション研究大会(院生合宿)が開催されました。この研究大会は今年で13年目を迎えました。本年度はニューロリハビリテーション研究センターの教員と大学院博士後期課程・修士課程のメンバーに加え、大学院博士課程修了生の平川善之さん、河村民平さんをお招きし、総勢28名での開催となりました。 初日は博士課程の院生3名の研究報告があり、その後に修了生の平川さんからCRPS症例に対する影絵を用いた介入について、河村さんから文の理解における再帰性との関連について話題提供をいただきました。いずれのプレゼンテーションも、内容、ディスカッションともに非常に密度の濃いものでした。目の前の現象をより深く理解しようとされている先輩方の研究者としての姿勢を見て、私も見習わないといけないと改めて感じました。 夕方には4つのグループに分かれて、修士課程1年の院生の研究計画に対するディスカッションが行われました。それぞれが研究背景や研究手続き、現在までの実験データを提示し、研究室のメンバーから意見やアドバイスをもらっていました。悩みながらも今より少しでもよい方向に進めようとする彼らの姿と昨年の自分が重なりました。是非来年は素晴らしい発表をしてほしいと思います。 夜の懇親会でもディスカッションは続き、毎年恒例ですが、日が変わるまで活発な議論が行われました。 2日目は、朝から修士課程の学位審査を控えた7名による予演会が行われました。それぞれが修士課程で取り組んできた内容を発表し、学位審査本番に向けてのアドバイスをいただきました。私を含め発表者は大変緊張しましたが、貴重なご意見やご助言をいただきましたので、本番まで準備を怠らず、修士課程の集大成として発表に望みたいと思います。 全ての発表が終わり、森岡教授による閉会の挨拶で無事に全日程を終えました。森岡教授からは、目先の研究発表や論文投稿だけでなく、今後の自分の研究や臨床への向き合い方を考えさせられるようなエールを頂きました。その中でも、「自信と謙虚さの狭間」という言葉が印象深く残っています。自信がないような態度ではいくら話しても相手にしてもらえません。一方で、自信ばかりで謙虚さを忘れると盲目的になります。いずれにしても他者からの信頼を得るためにはこの「自信と謙虚さの狭間」の意識が重要であると肝に銘じて、今後も研究や臨床に取り組み、リハビリテーションの対象者の方々へ貢献できるように、研究室一同ますます精進していきたいと考えています。 最後になりましたが、このような機会を与えてくださった森岡教授をはじめとする研究センターの皆様、神経リハビリテーション研究大会の開催にご尽力頂きました関係者の方々に深く感謝を申し上げます。 畿央大学大学院 健康科学研究科 修士課程2年 玉木義規 【関連サイト】 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 【関連記事】 ●「平成29年度 畿央大学神経リハビリテーション研究大会」 ●「平成28年度 畿央大学神経リハビリテーション研究大会」 ●「平成27年度 畿央大学神経リハビリテーション研究大会」 ●「平成26年度 畿央大学神経リハビリテーション研究大会」 ●「平成25年度 畿央大学神経リハビリテーション研究大会」 ●「平成24年度 畿央大学神経リハビリテーション研究大会」 ●「平成23年度 畿央大学神経リハビリテーション研究大会」 ●「平成21年度 畿央大学神経リハビリテーション研究大会」 ●「平成20年度 畿央大学神経リハビリテーション研究大会」


