トピックス一覧
2026.08.12
公立学校教員採用試験(1次試験)速報〜2027年3月卒業予定者
2027年度公立学校教員採用試験の1次試験結果が発表され、昨年同様、今年も多くの学生が1次試験を突破しました。教員採用試験は終盤に差し掛かっていますが、教採・公務員対策室では、1人でも多くの学生が初期の目標を達成できるよう、受験する自治体に対応した2次試験対策を実施しているところです。 一人ひとりの夢がかなうように、大学一丸となって最後まで応援していきます。頑張れ、畿央生! 教採・公務員対策室 ▶2026年3月卒業生の実績(小学校教諭72.1%、公立幼・保100%、養護教諭40.9%) 公立学校教員採用試験 都道府県・市別の合格者数 公立小学校教諭ー現代教育学科 都道府県・市 受験者数 1次合格者数 1次合格率 奈良県 31 30 96.8% 大阪府 18 18 100% 大阪市 19 18 94.7% 堺市 6 5 83.3% 京都府 3 2 66.7% 京都市 1 1 100% 三重県 1 1 100% 愛知県 2 2 100% 北海道 1 1 100% 茨城県 4 4 100% 千葉県 22 21 95.5% 東京都 1 1 100% 横浜市 2 2 100% 川崎市 2 2 100% 富山県 1 1 100% 浜松市 2 1 50.0% 鳥取県 17 17 100% 島根県 8 8 100% 山口県 1 1 100% 高知県 19 19 100% 福岡県 1 1 100% 北九州市 3 3 100% 大分県 1 1 100% 公立中学・高校(数学)教諭ー現代教育学科 都道府県・市 受験者数 1次合格者数 1次合格率 奈良県 3 2 66.7% 大阪府 3 3 100% 大阪市 1 1 100% 茨城県 1 1 100% 島根県 3 3 100% 愛媛県 3 2 66.7% 高知県 7 2 28.6% 福岡県 1 1 100% 熊本県 1 1 100% 公立中学・高校(英語)教諭ー現代教育学科 都道府県・市 受験者数 1次合格者数 1次合格率 奈良県 2 2 100% 大阪府 1 1 100% 茨城県 1 1 100% 高知県 2 2 100% 公立学校養護教諭ー現代教育学科 都道府県・市 受験者数 1次合格者数 1次合格率 奈良県 3 1 33.3% 大阪府 5 3 60.0% 京都市 5 4 80.0% 和歌山県 2 2 100% 愛知県 1 1 100% 茨城県 5 1 20.0% 東京都 6 3 50.0% 川崎市 1 1 100% 浜松市 2 1 50.0% 鳥取県 4 3 75.0% 島根県 5 2 40.0% 愛媛県 5 2 40.0% 高知県 4 3 75.0% 特別支援学校教諭ー現代教育学科 都道府県・市 受験者数 1次合格者数 1次合格率 奈良県 1 1 100% 大阪府 1 1 100% 愛知県 1 1 100% 鳥取県 1 1 100% 栄養教諭ー健康栄養学科 都道府県・市 受験者数 1次合格者数 1次合格率 奈良県 2 1 50.0% 北海道 1 1 100% 千葉県 1 1 100% 川崎市 1 1 100% 鳥取県 1 1 100% 家庭科教諭ー人間環境デザイン学科 都道府県・市 受験者数 1次合格者数 1次合格率 奈良県 2 2 100% 大阪府 1 1 100% 注1. 過年度卒業生を含みません(すべて2027年3月卒業見込者)。 注2. 2026年8月12日現在の判明者数です。今後変動する場合があります。 注3. 一部、試験での1次試験免除者を含みます。
2026.08.06
2026年7月29日 教職員対象 「学校安全」研修会~学生の命を守る安全管理体制の構築~を開催しました。
畿央大学では、2016年に発生した水泳実習中の事故を教訓とし、この事故のあった7月29日を「二度と命を失うような事故を起こさない」という思いを全教職員で共有し、「安全について確認し合う日」と定めています。 今年度は7月29日(水)に、桃山学院大学 人間教育学部の村上 佳司教授を講師にお迎えし、「学生の命を守る安全管理体制の構築」をテーマとした学校安全研修会を実施しました。講演では、「大学における危機管理の見直し」「安全安心を脅かす要因と予防・対策」「生涯安全生活の視点」の3つのテーマを中心に、大学における安全管理のあり方についてご講義いただきました。 当日は授業の最終週でしたが、教職員63名が参加し、会場となった講義室はほぼ満席となりました。 講演では、事故を風化させず、組織として学び続けることの重要性や、想定外の事態にも柔軟に対応できる危機管理体制の必要性について説明がありました。また、ヒヤリ・ハット事例の共有や心理的安全性の確保、安全文化の醸成など、日常的な取組が学生の命を守ることにつながることを学びました。 さらに、大学には学生の安全を守るだけでなく、自ら安全に行動できる人材を育成する役割もあることが示され、教職員一人ひとりが高い危機管理意識を持ち続けることの重要性について理解を深める機会となりました。 また、講演後の質疑応答でも、4人の教職員から質問が出て、先生の具体的なご経験も交えながら、丁寧にお答えいただきました。 今回の研修会で得た学びを今後の教育活動や安全管理体制の充実に活かしながら、教職員が日々の確認と対話を積み重ね、学生の安全確保に努めてまいります。
2026.08.04
【ヘルスチーム菜良】学生考案レシピによるお惣菜フェアを開催!
奈良県内4大学 ヘルスチーム菜良 管理栄養士を目指す学生のアイデアが詰まった、お惣菜フェアを開催します 奈良県内の管理栄養士養成課程(畿央大学・近畿大学・帝塚山大学・奈良女子大学)の学生で構成された食育ボランティアサークル「ヘルスチーム菜良(なら)」では、奈良のうまいものプラザ協力のもと、学生が考案したレシピによる健康メニューをランチバイキングにて提供します。 奈良県産食材を使用し、栄養バランスとおいしさにこだわって学生が考案したお惣菜メニュー。 この機会に、ぜひご賞味ください。 イベント情報(奈良のうまいものプラザ ランチバイキングでのメニュー提供) 日 時 【畿央大学考案メニュー提供日】 2026年8月23日(日)11:00~ なくなり次第終了 ※上記のほか、8/22(土)帝塚山大学、8/29(土)近畿大学、8/30(日)奈良女子大学がそれぞれ考案メニューを提供します。 場 所 奈良のうまいものプラザ(JR奈良駅1階) 奈良のうまいものプラザ チラシ 問い合わせ先 畿央大学 健康科学部 健康栄養学科 野原 潤子 Tel: 0745-54-1601 Fax: 0745-54-1600 E-mail: j.nohara@kio.ac.jp
2026.08.03
自分への思いやりが、ジャンクフード喫食の低さを介して 自殺念慮の低さと関連~看護医療学科
― 超加工食品の摂取頻度と自殺念慮の関連を、生活習慣精神医学の視点から検証 ― 本研究のポイント セルフコンパッションが高い人ほど、基本的心理欲求(自律性・有能感・関係性)が満たされている傾向が示されました。 基本的心理欲求が満たされている人ほど、超加工食品の摂取頻度が低い傾向が示されました。 超加工食品の摂取頻度が高い人ほど、自殺念慮が強い傾向が示されました。 これらを統合し、セルフコンパッション・日常の食行動・自殺念慮をつなぐ新しいモデルを提案しました。 本研究は、本学看護医療学科の紅林 佑介准教授による成果で、国際誌「Archives of Psychiatric Nursing」に掲載されました。 研究の背景 自殺念慮につながる要因は、心理的苦痛だけでなく、睡眠、食事、身体活動、社会的つながりなどの日常生活とも関係する可能性があります。近年、生活習慣精神医学では、こころの健康と食行動の関連が注目されています。なかでも、加工度が高く、糖・脂質・塩分を多く含みやすい超加工食品は、精神的健康との関連が報告されるようになりました。 一方で、超加工食品の摂取を単に「控えるべき行動」として扱うだけでは、なぜその行動が生じるのか、どのように支援できるのかは十分に説明できません。本研究では、困難に直面した際に、過度な自己批判を弱め、自分に思いやりを向ける心理的資源であるセルフコンパッションと呼ばれる心理特性に着目しました。さらに、自己決定理論に基づく基本的心理欲求、すなわち「自律性」「有能感」「関係性」が、セルフコンパッションと食行動をつなぐ心理的機序になり得るとも考えられました。 研究の概要 そこで、本研究では、20~59歳の成人400名を対象に、セルフコンパッション、基本的心理欲求、超加工食品の摂取頻度、自殺念慮の関連を横断的に検討しました。分析では、セルフコンパッションから基本的心理欲求、超加工食品の摂取頻度を経て自殺念慮へ至る連続的な媒介経路を検証しました。 その結果、セルフコンパッションは基本的心理欲求の充足と正に関連し、基本的心理欲求の充足は超加工食品の摂取頻度の低さと関連しました。また、超加工食品の摂取頻度は自殺念慮の高さと関連しました。さらに、セルフコンパッションと自殺念慮の関連は、基本的心理欲求を介した間接的な関連として示されました。 新知見と意義 本研究の新知見は、第一に、超加工食品の摂取頻度が自殺念慮と関連する生活習慣上の要因として示された点です。自殺念慮は多くの要因によって形成されるため、食行動だけで説明できるものではありません。しかし、日常的で修正可能な行動である食品選択が、自殺念慮という重篤な精神健康指標と関連したことは、生活習慣精神医学および精神看護学にとって重要な知見と言えます。 第二に、セルフコンパッションが基本的心理欲求を介して、超加工食品の摂取頻度の低さと関連した点です。これは、健康的な食品選択には心理状態も影響する可能性を示唆しています。つまり、健康的な食行動になるよう支援するためには、「健康的な食行動を教える」だけでなく、本人の自律性を尊重し、有能感を高め、周囲とのつながりを支える心理的サポートも必要である可能性も示唆します。 第三に、セルフコンパッション、基本的心理欲求、食行動、自殺念慮を一つのモデルで統合した点です。セルフコンパッションを高める支援は、単に気分を和らげるだけでなく、基本的心理欲求を満たし、より健康的な生活行動を選びやすくなり、結果として自殺念慮を軽減する可能性があります。 看護実践への示唆 本研究は、精神保健上の健康教育に対して、次のような示唆を与えたと言えます。自殺念慮の軽減を目指した新しい複合的看護介入、つまりセルフコンパッションや基本的心理欲求を満たす心理教育と、健康的な食事選択および食習慣改善へのサポートを組み合わせる介入の開発につなげられる可能性があります。 今後の展望 本研究は横断研究であるため、因果関係を断定することはできません。今後は、縦断研究や介入研究によって、セルフコンパッション、基本的心理欲求、超加工食品の摂取頻度、自殺念慮の時間的関係を検証する必要があります。 論文情報 Yusuke Kurebayashi Mapping the self-compassion–suicidal ideation link: A serial multiple mediation path analysis involving basic psychological needs and ultra-processed food intake Archives of Psychiatric Nursing. 2026 July 22;64:152186 問い合わせ先 畿央大学 健康科学部看護医療学科 大学院 健康科学研究科 准教授 紅林佑介 〒635-0832 奈良県北葛城郡広陵町馬見中4-2-2 y.kurebayashi@kio.ac.jp 関連記事 看護医療学科 紅林 佑介准教授が国際学術誌 PLOS ONE のAcademic Editorに就任しました 自分を優しく思いやる心(セルフ・コンパッション)が「不眠」と「孤独感」を解消する仕組みを解明:本学看護学科による国際共同研究 — 看護医療学科 紅林准教授、国際学術誌『SAGE Open Nursing』の編集査読委員に就任
2026.06.23
令和8年度「冬木智子特別奨励賞」「畿央大学特別奨励賞」授与式を執り行いました。
令和8年度「冬木智子特別奨励賞」ならびに「畿央大学特別奨励賞」の授与式が、2026年6月18日(木)12:30よりC棟エントランスホールにて執り行われました。 「冬木智子特別奨励賞」は、冬木智子名誉理事長が私財を寄付し設立した特別奨励基金により、学業成績・人物ともに優秀な学生に対し、表彰状および奨励金の授与を行うものです。各学科から1名、合計5名が選ばれました。 また、「畿央大学特別奨励賞」は、学業成績・人物ともに優秀な学生のこれまでの努力を賞し、今後さらなる活躍を期待し表彰状および奨励金の授与を行うものです。2回生から4回生の各学科1名(教育学部のみ2名)、合計18名が選ばれました。 多くの教職員と学生たちが見守る中、冬木正彦理事長より表彰状と奨励金が受賞者一人ひとりに手渡されました。 授与後、冬木正彦理事長から、受賞学生の日々の努力を称えるとともに、「他の学生の模範となり、大学の学びで多様な感性を養いながら大きく成長し、新しい社会に貢献できる人材になってもらいたい。」と、今後の活躍を願う言葉が送られました。 受賞された学生のみなさん、おめでとうございます。これからも夢の実現に向けてさらに頑張ってください。
2026.06.22
2028年4月「ビジネスデータサイエンス学部(仮称)」誕生!(設置構想中)
2026.06.12
令和8年度 在外研究員 研究計画説明会を開催しました。
本学には、教育研究水準の向上と国際交流の進展に資するため、学術の研究・調査等のために外国に在外研究員を派遣する制度があります。令和8年度は理学療法学科森岡教授と現代教育学科中垣准教授の2名がこの制度を利用され、在外研究員として赴任されます。海外赴任に先立ち、2026年6月4日(木)に研究計画説明会を開催し、教職員35名が参加しました。 研究課題名:脳卒中リハビリテーションにおける文化的背景の影響:身体的自己の再構築と神経理学療法教育の日仏比較研究 受入研究者:Yves Rossetti 教授 在外研究機関:Centre de Recherche en Neurosciences de Lyon, Université Claude Bernard Lyon 1, Inserm, CNRS 在外研究期間:令和8年7月1日~令和9年3月31日 理学療法学科 森岡 周教授は、2026(令和8)年7月1日から2027(令和9)年3月31日までの期間、フランスのリヨン神経科学研究センターで研究されます。 森岡教授は神経リハビリテーション学・身体性認知科学が専門で、今回の在外研究以前からJST-CREST「Narrabody(ナラティブ・エンボディメント)」プロジェクトを通じて、哲学教育や自己を言語化する文化を持つフランスとの共同研究を進められており、受入研究者の Yves Rossetti 教授はその仏側代表者でもあります。 日本とフランスの文化の違いを踏まえ、脳卒中者の回復過程を「身体機能」だけでなく「自己の再構築(語り)」を含む多層的なプロセスとして捉え、「患者がどう生き直すか」に焦点を当てた新しい回復過程に関する理論を提唱し、それを神経理学療法教育に活かそうとされています。 また、リヨン神経科学研究センターは Inserm・CNRS・リヨン第1大学が共同で運営する「ジョイントユニット(UMR)」という日本にはない仕組みの研究拠点で、森岡教授は客員教授として、大学院生や研究者の指導にもあたられます。 ▼ボジョレーでの日仏国際共同研究CREST会議の様子 研究課題名:児童が主体的に外国語(英語)を学ぶことのできる教材・指導法の開発 -自己調整学習、ISLA、および母語の影響を踏まえた言語学的視点から- 受入研究者:白井恭弘教授 在外研究機関:Case Western Reserve University (アメリカ) 在外研究期間:令和8年8月1日~令和9年7月31日 現代教育学科 中垣准教授は2026(令和8)年8月1日から2027(令和9)年7月31日までの期間、アメリカのCase Western Reserve Universityで研究活動をされます。 中垣先生の専門は英語教育学です。在外研究期間中は、アメリカのCase Western Reserve Universityにおいて、白井 恭弘教授のもと、日本の児童が主体的に英語を学ぶための教材や指導法の開発に関する研究に取り組まれます。 滞在中は、白井教授が担当される「応用言語学」や「第二言語習得論」の授業にも参加し、専門的な知見を深める予定です。また、ホームステイを通して現地での生活を経験しながら、アメリカの文化や教育についての理解も深められるそうです。 お二人の先生方には、日本国内では経験できないような発展的な研究でグローバルにご活躍いただくことを期待しています。
2026.06.05
第1回日本理学療法学会連合学術総会において、森岡 周センター長が「臨床研究学術賞」を受賞します~ニューロリハビリテーション研究センター
畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター長の森岡周教授が、2026年7月24日(金)~26日(日)に開催される第1回日本理学療法学会連合学術総会において、「臨床研究学術賞」を受賞することが決定しました。 日本理学療法学会連合は、現在20の法人学会・研究会を束ね、理学療法学の多様な専門領域を横断する学術組織です。日本における理学療法が制度的な歩みを始めてから60年を超えた現在、その専門分化した学術領域を「連合」として結び直す第1回学術総会が開催されます。この歴史的な第1回総会において、臨床研究学術賞を受賞することは、本センターが継続してきた臨床研究の歩みにとって、大変意義深い栄誉です。 森岡教授は、1992年に理学療法士免許を取得して以降、臨床現場で生じる問いを研究へと発展させることを一貫して重視し、脳卒中後の運動障害、高次脳機能障害、身体性、慢性疼痛、神経リハビリテーションに関する研究を進めてきました。畿央大学では20年以上にわたり、臨床と研究を往還するニューロリハビリテーション研究を推進し、多くの共同研究者、大学院生、臨床家とともに研究活動を展開してきました。 また、同総会では、基礎研究学術賞を受賞された新潟医療福祉大学の大西秀明先生とともに、「理学療法学術賞受賞記念講演」が行われます。 理学療法学術賞受賞記念講演 日時:2026年7月24日(金) 10:00〜11:00 会場:札幌コンベンションセンター 第1会場(1F 大ホールA) 講師:大西 秀明、森岡 周 座長:網本 和 ※オンデマンド配信あり https://www.gakkai.co.jp/jspt1/program.html#02 今回の受賞を励みに、畿央大学ニューロリハビリテーション研究センターでは、今後も臨床に根ざした問いを大切にしながら、理学療法学およびニューロリハビリテーションの発展に貢献する研究・教育活動を推進してまいります。
2026.06.01
自他弁別閾値付近での運動経験は運動主体感の感度を向上させる-運動主体感の可塑性-~ニューロリハビリテーション研究センター
この運動は自分自身が引き起こしたと感じる意識経験を運動主体感といい、リハビリテーションにおいて大事な感覚とされています。畿央大学ニューロリハビリテーション研究センターの林田一輝 客員研究員(宝塚医療大学助教)と同センター長の森岡周 教授らの研究チームは、立教大学の温文 教授との共同研究において、自分の運動かどうかを判断できる境界付近での運動の繰り返し経験によって、運動主体感の感度を向上させることを報告しました。 この研究成果は、Acta psycologica誌(Near the self–other discrimination threshold, experience of goal-oriented movement increases the sensitivity of the sense of agency)に掲載されています。この研究は、CREST(ナラティブ・エンボディメントの機序解明とVR介入技術への応用)の一部として行われています。 研究概要 この運動は自分自身が引き起こしたものだと感じる意識経験を運動主体感といい、身体的な自己感を形成する上で重要な感覚と言われています。そのため運動主体感はリハビリテーションを進める上で大事な意識経験とされていますが、その可塑的変化の可能性についてほとんどわかっていませんでした。畿央大学ニューロリハビリテーション研究センターの林田一輝 客員研究員(宝塚医療大学助教)と同センター長の森岡周 教授らの研究チームは、立教大学の温文 教授との共同研究において、自分の運動かどうかを判断できる境界付近での目標志向運動の繰り返し経験によって、運動主体感の感度を向上させることを実験的に立証しました。対照実験として、自分の運動であることを容易に判断できる条件下での繰り返し経験では、運動主体感の変化は認められませんでした。この研究成果は運動主体感への介入可能性についての発見であり、リハビリテーション領域のみならず、心理学分野における発展性にも貢献しうる可能性を秘めています。 本研究のポイント ■自分の運動かどうかを判断できる境界付近での繰り返し経験によって運動主体感の感度を向上させる可能性がある 研究内容 この運動は自分自身が引き起こしたものだと感じる意識経験を運動主体感といい、身体的自己(embodiment)を形成する上で重要な感覚と言われています。運動主体感はリハビリテーションを進める上で大事な意識経験とされていますが、その可塑的変化の可能性については不明でした。例えば、脳卒中後の感覚運動障害によって感覚運動不一致が生じた結果、運動主体感は低下しますが、その回復プロセスに応じて改善が期待されます。しかしながら、ごく短期間の可塑的変化についてもわかっていませんでした。本研究では、明確に定義された外部目標を持ち、かつ自他弁別許容範囲内の感覚運動不一致の運動経験を行うことは、運動制御への注意を向けさせ、それによって運動主体感に対する感受性を高める可能性を検証しました。 実験は、健常若年者を対象に行われ、自他弁別閾値付近の運動を経験する中程度不一致群とほとんど自己の運動と判断できる運動を経験する低不一致群に分けられました。事前段階、経験段階、事後段階の3段階で構成されました。事前および事後段階では、自己他者弁別課題を行いました(図1左)。この段階では、マウスカーソルの運動に対する視覚フィードバックが自己運動制御レベル100%(他者運動混入0%)から自己運動制御レベル0%(他者運動混入100%)をランダムに提示され、その視覚フィードバックが自己の運動に基づくかどうかを判断する不一致検出課題でした。この課題によって、運動主体感の感受性の定量化および個々の不一致検出閾値を設定することができました。経験段階では目標到達運動課題を行いました(図1右)この段階で中程度不一致群は、自己運動制御が閾値レベル、閾値より10%低いレベルおよび閾値より10%高い3つのレベルを経験しました。低不一致群は、自己運動制御が80%、90%および100%のレベルを経験しました。 図1.実験課題 実験参加者は連続的に五芒星を書くように求められました。この例でモニター上のカーソルは、実験参加者自身のマウス操作に関して「自己運動制御70%」の条件を表しています。各試行の後、「コントロールできていると感じたか」という質問に対して、動きを制御できていると感じた場合は「はい」と答えるよう指示されました。図1右.目標到達運動課題:上下左右にランダムに提示するターゲットにマウスで到達させる課題です。低不一致群は一貫して自己運動制御80-100%レベルでした。中等度不一致群では、例えば不一致検出閾値が50%の場合、自己運動制御が40%、50%、60%レベルで目標到達運動を遂行しました。 実験の結果、中等度不一致群では事前段階に比べて事後段階で運動主体感の感度が向上しました(図2).これまでは不一致の経験は運動主体感を低下させるというのが定説でしたが、本研究はこれに異議を唱える結果となっています。 図2.運動主体感の感受性の変化 自分の運動か判断できる絶妙なラインでの到達運動の繰り返し経験は、自己の運動制御にほどよい注意をもたらし、運動主体感の感受性をむしろ上げたのではないかと考えられます。これはリハビリテーションにおける運動課題の難易度を設定する上で重要なキーワードとなる可能性があります。運動課題をできるかできないかという視点のみならず、その運動が自己のもと判断できるかどうかという視点も合わせて考慮することで運動学習効果やリハビリテーション効果に寄与するかもしれません。 本研究の臨床的意義および今後の展開 本研究成果によって、運動主体感の可塑的変化の可能性について言及することができました。 今回は短時間での変化でしたが、この継続効果などを検証する必要があります。 論文情報 Kazuki Hayashida, Mizuho Mishima, Miho Ohnishi, Daito Iyanaga, Wen Wen, Shu Morioka Near the self–other discrimination threshold, experience of goal-oriented movement increases the sensitivity of the sense of agency Acta Psychol (Amst). 2026 May 21;267:107095 問い合わせ先 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 客員研究員 林田一輝 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 教授 森岡 周 Tel: 0745-54-1601 Fax: 0745-54-1600 E-mail: s.morioka@kio.ac.jp
2026.06.01
進行期パーキンソン病患者における足こぎ車椅子と手動車椅子の持久性および効率性:予備的研究~ニューロリハビリテーション研究センター
進行期パーキンソン病(Parkinson’s disease: PD)患者では、歩行能力の低下により車椅子が必要となります。手動車椅子では直進駆動や方向転換が困難となり、移動が制限される場合がありますが、足こぎ車椅子ではペダリング動作とジョイスティック操作によりそれらの制約が軽減され、効率的かつ持続的な駆動が可能となる可能性があります。しかし、その有用性はこれまで客観的に検証されていませんでした。畿央大学大学院博士後期課程の金蔵満百合氏と岡田洋平教授らは、進行期PD患者を対象に、6分間駆動テストを用いて足こぎ車椅子と手動車椅子の持久性および効率性を比較しました。その結果、足こぎ車椅子は、方向転換を含む走行路において、手動車椅子よりも長距離を効率的に移動できる可能性が初めて示されました。本研究成果はJournal of Movement Disorders誌(Endurance and Efficiency of Cycling and Manual Wheelchairs in Late-Stage Parkinson’s Disease: A Preliminary Study)に掲載されています。 研究概要 進行期パーキンソン病(Parkinson’s disease: PD)では、歩行能力の低下により車椅子での移動が必要となります。手動車椅子では直進駆動や方向転換が困難で、移動が制限される場合がありますが、足こぎ車椅子はペダリング動作とジョイスティック操作によりそれらの制約が軽減され、効率的で持続的な駆動が可能となる可能性があります。しかし、進行期PDにおいて方向転換を含む連続的な移動におけるそれらの比較検証は行われていませんでした。畿央大学大学院博士後期課程の金蔵満百合氏と岡田洋平教授らの研究チームは、Hoehn and Yahr stage 4~5の進行期PD患者9名を対象に、足こぎ車椅子と手動車椅子の持久性および効率性を比較する予備的研究を実施しました。対象者は、方向転換を含む走行路で、足こぎ車椅子と手動車椅子の両方による6分間駆動テストを実施し、総駆動距離、駆動速度、心拍数の変化量、効率性の指標であるPhysiological Cost Index(PCI)を評価しました。PCIは、心拍数の変化量を駆動速度で除して算出しました。 その結果、すべての対象者で、足こぎ車椅子は手動車椅子と比較して、6分間の総駆動距離と駆動速度が有意に高値を示しました。一方で、駆動前後の心拍数の変化量や主観的疲労感には有意差を認めず、より長距離かつ効率的な移動を可能にすることが示されました。 これらの結果から、進行期PD患者において、足こぎ車椅子は、方向転換を含む走行路で持久性と効率性の高い移動手段である可能性が初めて示されました。今後は、対象者数を増やした検証や、生活場面における実際の使用効果を明らかにする研究が期待されます。 本研究のポイント ■進行期パーキンソン病患者9名を対象に、方向転換を含む屋外走行路で、手動車椅子と足こぎ車椅子による6分間駆動テストを実施し、車椅子駆動における持久性と効率性を比較しました。持久性は総駆動距離と駆動速度で評価し、効率性は心拍数の変化量を駆動速度で除して算出されるPhysiological Cost Index(PCI)で評価しました。 ■足こぎ車椅子では、手動車椅子と比較して総駆動距離と駆動速度が大きく、方向転換を含む連続的な走行において、より長距離の移動が可能であることが示されました。Hoehn and Yahr stage 5の患者に限定した解析でも、同様に足こぎ車椅子で駆動距離と速度が大きい傾向が示されました。 ■足こぎ車椅子では、駆動効率を示すPCIが手動車椅子と比較して低く、より効率的な移動が可能であることが示されました。一方で、心拍数の変化量や主観的疲労感には有意差を認めず、足こぎ車椅子は心負荷や疲労感を増大させることなく、進行期PD患者の自律的な移動や生活範囲の拡大に貢献する可能性が示されました。) 研究内容 本研究は、進行期パーキンソン病(Parkinson’s disease: PD)患者における足こぎ車椅子および手動車椅子の持久性と効率性を比較検証することを目的とした予備的研究です。Hoehn and Yahr stage(HY) 4~5の進行期PD患者9名を対象に、足こぎ車椅子と手動車椅子の6分間駆動テストを実施しました。本研究では、屋外の平坦な走行路において、方向転換を含む条件で計測を行いました。すべての対象者は、より症状の軽い側へ方向転換する条件で走行を開始しました。持久性の指標として総駆動距離と駆動速度を評価し、効率性の指標として、心拍数の変化量を駆動速度で除して算出されるPhysiological Cost Index(PCI)を用いました。足こぎ車椅子はペダリングにより駆動し、対象者は利き手でジョイスティックを操作して方向転換しました(図1)。 図1:走行路および手動車椅子と足こぎ車椅子 その結果、足こぎ車椅子は手動車椅子と比較して、方向転換を含む走行路において、より長距離かつ効率的な移動を可能にすることが明らかになりました。一方で、心拍数の変化量や主観的疲労感には有意差を認めず、足こぎ車椅子は心拍数の上昇や疲労感を増大させることなく、より長距離の移動を可能にすることが明らかになりました。 図2:手動車椅子と足こぎ車椅子における総駆動距離および心拍数の変化量,駆動効率の比較 さらに、HY stage 5の6名のPD患者においても、足こぎ車椅子では手動車椅子と比較して駆動距離と駆動速度が大きく、PCIが低い傾向が示されました。これらの結果は、歩行能力が著しく低下した進行期PD患者においても、足こぎ車椅子がより長距離かつ効率的な移動を可能にすることを示唆しています。 以上より、進行期PD患者において、足こぎ車椅子は、手動車椅子と比較して持久性および効率性の高い移動手段である可能性が示され、今後は、対象者数を増やした検証や、生活場面における実際の使用効果を明らかにする研究が期待されます。 本研究の臨床的意義および今後の展開 本研究結果は、進行期PD患者における足こぎ車椅子および手動車椅子の持久性と効率性を明らかにし、移動手段が限られる進行期PD患者の自律的な移動や生活範囲の拡大を支援する上で重要な知見であると考えます。今後は、足こぎ車椅子の実生活場面での有用性を検証するとともに、手動車椅子における運動学的な特性についても検討し、進行期PD患者に適した車椅子移動支援のあり方を進めていく予定です。 論文情報 Mayura Konzo, Masaru Narita, Masaki Naito, Ayumi Ide, Taiyo Kai, Dai Wakabayashi, Wataru Fujita, Tomohiro Shibata, Yohei Okada Endurance and Efficiency of Cycling and Manual Wheelchairs in Late-Stage Parkinson’s Disease: A Preliminary Study J Mov Disord. 2026 Apr;19(2):203-207. 問い合わせ先 畿央大学大学院健康科学研究科 博士後期課程 金蔵満百合 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 教授 岡田 洋平 Tel: 0745-54-1601 Fax: 0745-54-1600 E-mail: y.okada@kio.ac.jp


