2020年のトピックス一覧
2020.12.24
慢性腰痛患者の筋活動異常は疼痛関連因子と複合的に絡み合って能力障害を引き起こす~畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター
慢性腰痛患者の筋活動の特徴として、立位でおじぎの姿勢をした時に、腰の筋肉をリラックスさせることができないことが報告されています。しかしながら、このような慢性腰痛患者に特徴的な筋活動が、痛みへの恐怖心、破局的思考などの疼痛関連因子とどのように組み合わさって能力障害を引き起こしているのかについては十分に明らかになっていませんでした。畿央大学大学院博士後期課程の 重藤 隼人 氏と森岡 周 教授らは、慢性腰痛症例を対象に筋活動異常と疼痛関連因子の評価を行い、おじぎをした時に腰の筋肉をリラックスできないことが、疼痛関連因子と複合的に組み合わさることで能力障害が起こりやすくなるという関連性をアソシエーションルール分析で明らかにしました。この研究成果は、PLOS ONE誌 (Combined abnormal muscle activity and pain-related factors affect disability in patients with chronic low back pain: An association rule analysis)に掲載されています。 研究概要 慢性腰痛患者の筋活動の特徴として、立位で体幹を屈曲した(おじぎをした)時に、完全屈曲位(おじぎをした状態)を保持した時に腰の筋肉をリラックスさせることができないことが報告されており、これは「屈曲弛緩現象の低下」と呼ばれています。加えて、慢性腰痛患者は、腰の曲げ伸ばしの反復動作時に特定の部位の筋肉のみが活動し、背筋群を全体的にまんべんなく使うことができないことが報告されています。一方で、慢性腰痛患者の痛みや能力障害には、心理的因子や身体知覚異常などの多角的な因子が関連することが報告されています。しかし、慢性腰痛患者に特徴的な筋活動が、疼痛関連因子とどのように組み合わさることが能力障害に影響を及ぼすのかについて十分に明らかになっていませんでした。本研究では、筋活動と疼痛関連因子の評価を行い、アソシエーションルール分析を用いて、筋活動異常と疼痛関連因子の能力障害に対する影響度および筋活動異常と疼痛関連因子が組み合わさることで影響度が変化するかといった複合的な関連性を検証しました。その結果、屈曲弛緩現象の低下が疼痛関連因子と複合的に組み合わさることで能力障害がより起こりやすくなるという複合的な関連性があることを明らかにしました。 本研究のポイント ■ 慢性腰痛患者の筋活動異常と疼痛関連因子の能力障害に対する複合的な関連性をアソシエーションルール分析で検討した。 ■ 単独因子としては、屈曲弛緩比率の低下が最も能力障害に関連する因子として抽出された。 ■ 複合的な関連性としては、屈曲弛緩比率の低下が痛み・心理的因子・身体知覚異常と関連することで、より能力障害に影響する複合的な関連性を示した。 研究内容 慢性腰痛患者を対象に、疼痛関連因子の評価と筋活動の評価を行いました。疼痛関連因子の評価として、疼痛:腰部の疼痛(NRS pain)、痛みの性質(SFMPQ-2)、心理的因子:破局的思考(PCS-4)、不安・抑うつ(HADS)、運動恐怖(TSK-11)、腰部の運動恐怖(NRS fear)、自己効力感(PSEQ-2)、身体知覚異常:FreBAQ、能力障害:RMDQを評価しました。筋活動は表面筋電図を用いて、立位体前屈課題時(図1)の脊柱起立筋の筋活動を測定し、腰の筋肉のリラックス度合いの指標である屈曲弛緩比率:FRR、筋活動部位の偏りの指標である筋活動分布変動性を算出しました。 図1:立位体前屈課題 各変数は等頻度区間法で「高値」・「低値」の2群に分類し、アソシエーションルール分析を用いて、筋活動異常と疼痛関連因子の能力障害に対する影響度および筋活動異常と疼痛関連因子が組み合わさることで能力障害に対する影響度が変化するかといった複合的な関連性を検証しました。アソシエーションルール分析では、Confidence:ルールの正確性、Support:ルールの出現率、Lift値:ルールの有用性、の3つの指標に基づいてルールを抽出しました。複合的な関連ルールの抽出は、ルールの正確性の指標であるConfidenceが80%以上であることを条件に抽出し、階層的クラスター分析を用いて類似したルールにまとめました。 単独の変数では、屈曲弛緩不良のLift値が最も大きく(Lift値:1.64)、最も能力障害に影響する変数として抽出されました。 *全体の中で能力障害の症例が抽出される確率と比べると、FRR低値の症例の中から能力障害の症例が抽出される確率の方が64倍大きいことを示しています。 図2:能力障害に関連するルール 複合的な関連ルールを抽出した結果、「屈曲弛緩不良」ルール、「抑うつ」ルール、「運動恐怖」ルール、「中枢性感作症候群」ルール、「破局的思考」ルールが抽出されました(図2)。特に「屈曲弛緩不良」ルールではLift値が最大で2.18まで増加がみられ、能力障害に対する影響が強くなっていることを示しています。 本研究の意義および今後の展開 本研究成果は、慢性腰痛患者の筋活動異常が疼痛関連因子と関連することで能力障害に強く影響するサブグループが存在することを示唆するものです。そのため、今後はこれらの複合的な関連性が経時的な経過にどのように影響するか検討するとともに、疼痛関連因子を考慮した慢性腰痛患者の筋活動に対するアプローチを提唱する臨床研究を進めていく予定です。 論文情報 Shigetoh H, Nishi Y, Osumi M and Morioka S Combined abnormal muscle activity and pain-related factors affect disability in patients with chronic low back pain: An association rule analysis PLoS One 2020 問い合わせ先 畿央大学大学院健康科学研究科 博士後期課程 重藤隼人 E-mail: hayato.pt1121@gmail.com 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 畿央大学大学院健康科学研究科 教授 森岡 周 Tel: 0745-54-1601 Fax: 0745-54-1600 E-mail: s.morioka@kio.ac.jp
2020.12.22
年末年始の休業期間について(冬季休業期間12/29~1/3)
2020年12月29日(火)~2021年1月3日(日)は冬季休業とさせていただきます。ご不便をおかけしますが、ご了承くださいますようお願いいたします。 お問合せについて 上記期間中は電話・FAXでのお問い合わせには対応できません。Eメールでお問い合わせいただいた場合、ご返信は1月4日(月)以降となりますのでご了承ください。また、キャンパス内への立ち入りもできません。 なお、本学学生の冬季休業期間中における新型コロナウイルス感染症に対する対応については以下を参照してください。 新型コロナウイルス感染症に対する対応について 資料請求について 上記期間中にご請求いただいた資料の発送は、1月4日(月)以降となります。なお、テレメールによる資料請求の場合は、12月31日(木)・1月1日(金)を除き通常通り発送を行っていますので、お急ぎの方はご利用ください。 → 資料請求フォームはこちら 一般入試前期日程・大学入学共通テスト利用入試前期日程の出願受付について 出願期間は2020年12月18日(金)~2021年1月17日(日)です。出願期間中はいつでもインターネットで出願登録を行うことができますが、冬季休業期間中はお問い合わせには対応できません。誠に申し訳ございませんが、お問い合わせは1月4日(月)以降にお願いいたします。また受験票の発送は、1月4日(月)以降に開始いたします。 → 一般入試前期日程 → インターネット出願
2020.12.22
発達性協調運動障害を有する児は本当に視覚に頼りがちなのか!?~畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター
飛んでくるボールをキャッチするためには、視覚によってボールの位置と速度を捉えることが重要になります。しかしながらボールを捕捉し返球する際には、ボールの大きさや重さ、性状といったプロパティを手の感覚(体性感覚)で捉えることの方が重要になります。このようにヒトは、現在遂行している運動にとって最も重要な感覚情報を、常に提供され続ける五感の中から取捨選択することによって、運動を成功に導きます。しかしながら、発達性協調運動障害(Developmental Coordination Disorder: DCD)を有する児においては、運動を実行する際に、五感の中でも視覚に頼りすぎる傾向があり、その視覚依存傾向が運動の不器用さに繋がっていることが示唆されていました。畿央大学ニューロリハビリテーション研究センターの信迫悟志 准教授らは、中井昭夫 教授(武庫川女子大学)、前田貴記 講師(慶應義塾大学)らと共同で、DCDを有する児の感覚依存特性を定量的に調べる初めての研究を実施しました。この研究成果は、Human Movement Science誌(Increased visual bias in children with developmental coordination disorder: Evidence from a visual-tactile temporal order judgment task)に掲載されています。 研究概要 DCDとは、協調運動技能の獲得や遂行に著しい低下がみられる神経発達障害の一類型であり、その症状は、字が綺麗に書けない、靴紐が結べないといった微細運動困難から、歩行中に物や人にぶつかる、縄跳びができない、自転車に乗れないといった粗大運動困難、片脚立ちができない、平均台の上を歩けないといったバランス障害まで多岐に渡ります。DCDの頻度は学童期小児の5-6%と非常に多く、注意欠陥多動性障害、自閉症スペクトラム障害、学習障害などの他の神経発達障害とも頻繁に併存することが報告されており、近年では脳性麻痺ともリスクファクターを共有する連続体である可能性も指摘されています。またDCDと診断された児の過半数が青年期・成人期にも協調運動困難が残存するとされており、DCDの病態理解と有効なハビリテーション技術の開発は、ニューロリハビリテーション研究における喫緊の課題の一つとされています。 運動を遂行する際には、その運動を成功させるのに最も重要な感覚に優先性をつける必要があります。昼間の明るいところで歩く際には視覚から得られる情報は重要になりますが、暗闇で歩く際には視覚に頼れないので、その分、身体感覚や平衡感覚、あるいは聴覚から得られる情報に重きを置くことになります。以前からDCDを有する児では、運動において視覚情報に頼る傾向があり、この視覚情報への依存度の増加が運動パフォーマンスに悪影響を及ぼしている可能性が示唆されていました。しかしながら、これらはいずれも行動観察に基づく示唆であり、DCDを有する児が本当に他の感覚と比べて視覚に依存する特徴を持っているという確固たる証拠はありませんでした。そこで畿央大学ニューロリハビリテーション研究センターの信迫悟志 准教授らの研究チームは、定型発達(Typically developing: TD)児とDCDを有する児に参加して頂き、感覚依存特性を定量的に調査しました。その結果、DCDを有する児は、TD児と比較して、視覚依存傾向が有意に強いことが示されました。加えて、感覚依存特性と微細運動スキル(手先の器用さ)との間には相関関係が認められ、これは視覚依存傾向が増加するほど、微細運動スキルが低下することを示しました。 本研究のポイント ■ DCDを有する児は、触覚よりも視覚に依存する傾向を示した。 ■ 触覚よりも視覚に依存する傾向が強いほど、微細運動機能は低下していた。 研究内容 6~11歳までのDCDを有する児19名*と年齢と性別を揃えたTD児19名が本研究に参加し、視覚-触覚時間順序判断課題**を実施してもらいました(図1)。この課題では、視覚刺激(光)と触覚刺激(振動)が様々な時間間隔(刺激開始非同期)で呈示され、子どもたちは視覚と触覚のどちらの感覚刺激が早く呈示されたのかを回答します。例えば、実際には触覚刺激が先に呈示されたのに、「視覚刺激の方が早かった」と回答すれば、それは視覚を優先する傾向が強いというように、感覚依存特性(視覚と触覚のどちらに知覚の偏りがあるか)を定量化する課題です。この課題の成績を解析することで得られる主観的等価点(視覚が早いと回答する割合と触覚が早いと回答する割合が丁度50%となる時間間隔)が感覚依存特性の定量指標となりました。 *視覚障害も触覚障害もない。 **Keio Method: Maeda T. Method and device for diagnosing schizophrenia. International Application No.PCT/JP2016/087182. Japanese Patent No.6560765, 2019. 図1:視覚-触覚時間順序判断課題(Keio method: Maeda et al. 2019) 触覚刺激よりも視覚刺激の方が早く呈示される条件、視覚刺激よりも触覚刺激の方が早く呈示される条件、および視覚刺激と触覚刺激が同期して呈示される条件があり、参加児は視覚刺激と触覚刺激のどちらが先に呈示されたかを回答した。 結果として、DCDを有する児は明らかな視覚依存傾向を示し、TD児ではやや触覚に依存する傾向を示しました(図2)。このことは、TD児では、視覚と触覚がほぼ同時に与えられた際に、「触覚刺激が早かった」と答える割合が多いのに対し、DCDを有する児では、「視覚刺激が早かった」と答える割合が多いことを意味しました。加えて以前の研究(Nobusako et al. Brain Sci, 2020)と一致して、感覚依存特性と微細運動スキルとの間には相関関係が認められ、視覚依存傾向が強くなるほど、微細運動スキルは低下していました。以前より微細運動スキルには、手先の触覚情報が重要とされており、それを反映した結果と考えられました。 図2:DCDを有する児とTD児における感覚依存特性の違い 本研究の意義および今後の展開 本研究は、DCDを有する児では触覚障害がないにも関わらず、触覚よりも視覚に依存しやすい特徴を持っていることを定量的に初めて明らかにし、この視覚依存特性の増加と微細運動スキルの低下には相関関係があることを示しました。このことは視覚よりも他の感覚を優先しなければならないような運動においては、とりわけ運動の不器用さが強調される可能性を示唆しています。 今後は、DCDを有する児で観察された視覚依存特性の原因(なぜ視覚に優先性を置くのか?)、視覚依存特性の利点と欠点の明確化(視覚依存特性はどのようなことにメリットがあり、逆にどのようなことにはデメリットがあるのか?***)、そして感覚依存特性の変化が協調運動技能の獲得や遂行に及ぼす影響について調べるさらなる研究が必要です。 ***今回の研究では、視覚依存特性の増加は微細運動スキルにはマイナスの影響を与えていましたが、他の活動(行動面、認知面)にはポジティブな影響を与えている可能性があります。 関連する論文 Nobusako S, Tsujimoto T, Sakai A, Shuto T, Furukawa E, Osumi M, Nakai A, Maeda T, Morioka S. Manual Dexterity is not Related to Media Viewing but is Related to Perceptual Bias in School-Age Children. Brain Sciences. 2020 Feb 13;10(2):100. 論文情報 Nobusako S, Osumi M, Furukawa E, Nakai A, Maeda T, Morioka S. Increased visual bias in children with developmental coordination disorder: Evidence from a visual-tactile temporal order judgment task. Human Movement Science. 2021; 75: 102743. 問い合わせ先 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 畿央大学大学院健康科学研究科 准教授 信迫悟志 Tel: 0745-54-1601 Fax: 0745-54-1600 E-mail: s.nobusako@kio.ac.jp
2020.12.15
救命救助活動にかかわった本学学生2名に感謝状が贈呈されました。
2020年10月15日(木)に本学周辺で発生した交通事故現場において、現代教育学科保健教育コース4回生の前畑真菜さんと湯川莉乃さんが救命救助活動に従事しました。12月15日(火)に広陵消防署で「消防協力者感謝状贈呈式」が執り行われ、奈良県広域消防組合広陵消防署長から前畑さん、湯川さんを含む3名の救命活動従事者に感謝状が贈呈されました。 ▼湯川さん(前列中央)、前畑さん(前列右)、現代教育学科橋本教授(後列右)が贈呈式に参加 事故発生当時、前畑さんと湯川さんはAEDを現場に持参しました。緊張する場面で1秒でも早い対応が求められるなかでの行動が命をつなぐことになりました。まさに”やさしさを「チカラ」に変える。"行動でした。 以下、贈呈式に参加したお三方からコメントをいただきました。 【前畑さんコメント】 学内だけでなく学外での救命講習にも受けたこともあり、日頃からどこにAEDがあるかを考えるようにしていましたが、いざ現場に遭遇すると湯川さんと一緒にいたからこそ行動できたと思います。頭でわかっていたとしても、遭遇したときに行動する勇気や責任感が必要だと実感しました。 【湯川さんコメント】 今回の経験を経て、まだまだ勉強しないといけないなと思いました。事故発生当時、AED本体を収納しているケースの開け方がわからなくなってしまい、少し戸惑ってしまいました。冷静に対応できるように、緊急事態に向けての練習をこれからもしていきたいと思います。 ▼左から湯川さん、前畑さん、橋本教授 (※感染対策を取り撮影しています) 【橋本教授コメント】 養護教諭として子どもたちの生命を守る学びが、今回の救命活動に活かされたことを心より嬉しく思い表彰式に参列させていただきました。表彰式では、広陵消防署長の野下様から「交通量の多い交差点での事故で、自らの危険も伴う中、救命活動に勇気をもって取り組んでもらったことで尊い生命が救われた」との謝辞の言葉がありました。 恐怖感を覚えながらも勇気をもって行動した二人の貴重な救命体験を通し、事故現場等を想定した緊張感のある実践的なトレーニングが必要となることや勇気の支えとなる使命感を育てる学びの必要性を実感するよい機会となりました。また、二人の勇気のある救命活動は、他の学生のみなさまの救命の学びの深まりや勇気をも引き出してくれるものと期待するところです。
2020.12.11
2/13(土)畿央大学公開講座「コロナ時代におけるこれからの認知症ケア」を開催します。
コロナ時代における「認知症ケア」について 本学では、地域の方々に生涯教育の場を提供することで、地域社会に貢献することを目的とした公開講座を毎年実施しています。今年度は、コロナウイルス感染症の影響に鑑み、直接ではなくオンライン(Zoomウェビナー)で講座を開催することといたしました。インターネットに接続できる環境があれば、パソコン・スマートフォンからご視聴いただくことが可能です。多くの皆さまのご参加をお待ちしております。 ※「きおとれ」アプリ体験を希望される方のみ(先着20名限定)直接参加の募集をします。 開催日時 2021年2月13日(土) 13:00~13:40 第20回畿央大学公開講座 13:40~14:00 「きおとれ」アプリ体験(先着20名限定)※直接参加のみ 開催方法 オンライン(Zoomウェビナー) ※視聴用のURLは後日お知らせします。 定員 各回100名(先着順) ※2020年12月14日(月)から申込を開始します。 参加費 無料 第20回 畿央大学 公開講座 13:00~13:40 「コロナ時代におけるこれからの認知症ケア 」 畿央大学 看護医療学科 教授 山崎 尚美 コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、社会情勢や生活様式が以前と比べると大きく変化しています。それに伴い認知症 ケア の在り方も変わらざるを得ない状況となり、例えば面会を対面ではなくタブレットを介してバーチャルな形で 行うといった変化も起こっています。このような変化は「新しい生活様式」やこれらのリソースに対応できる人と対応できない人との間で差が生じており、これからの介護において大きな課題となっています。人と人がつながりにくい、少し生きにくいとも言えるような状況下で、今後どのように介護と向き合っていくべきなのか、講座を通して一緒に考えていきましょう。 「きおトレ」アプリ体験 13:40~14:00 「きおトレ」アプリ体験【先着20名】 ※直接参加を希望される方にご参加いただけます “きおトレ”とは ご自身の認知機能を知ることが出来るスクリーニングアプリです。 (体験の際に使用していただくタブレット機器は、こちらでご準備 いたします 。) 【注意事項】 ※コロナウイルス感染症防止対策を万全にして講座・体験を実施しますが、実施日前14日以内に以下に該当する場合は、参加を控えてくださいますようお願いします。 ①発熱( 37.5 度以上)、息苦しさやだるさ、風邪の症状等の体調不良がある。 ②新型コロナウイルス感染症に罹患された方との接触がある。 ③同居者に前述の症状がある。 ④ご自身及び同居されいてる方に海外への渡航歴がある。 ◆マスクの着用とアルコールによる手指消毒の徹底をお願いします。 ◆受付時に検温をさせていただき、発熱( 37.5 度以上)や呼吸症状の以上 などが見られる場合は参加をご遠慮いただくことがあります。 ◆アプリ体験では 、講師及びスタッフ 、また受講者の方々にもフェイスシールドを着用していただき実施いたします 。 申込方法 【以下のいずれかの方法でお申し込みください。12/14(月)~受付開始】 E-mailでお申込みの場合 ①氏名(フリガナ)、②年齢、③住所、④電話番号を明記の上、info@kio.ac.jpまでお申し込みください。 専用フォームによるお申し込みの場合 申込フォーム(下記QRコード) からお申込みください(メールアドレス必須)。 開催前に参加用URLを申込メールアドレス宛に送信します。 【QRコード】※フォームの公開は12/14(月)から お申し込み・受講にあたっての注意事項 ・本講座は、Zoom(アプリケーション)を利用したZoomウェビナーです。インターネット環境があればパソコン・スマートフォン・タブレットから受講することが可能です。 ・Zoomアプリは必ず最新版にアップデートの上ご覧ください。 ・受講者は顔や名前が他の受講者に表示されることはありません。 ・講座当日までに、お申し込みいただいたE-mailへ受講のためのURLをお送りします。 ・講座の映像・音声等を許可なくスクリーンショットや写真・動画・音声で記録すること、またそれらを第三者に共有・公開することを固くお断りいたします。 ・講座を受講するために必要なURL・パスワードを第三者に共有・公開することを固くお断りいたします。 ・お預かりした個人情報は、本講座に関わる業務にのみ使用します。また、予め本人の同意を得ることなく第三者に提供することはいたしません。 問い合わせ先 畿央大学 教育推進部 公開講座係 E-mail:info@kio.ac.jp TEL:0745-54-1601 ▼ポスターPDF(画像をクリックすると、PDFデータがご覧いただけます。) 【過去の公開講座の開催レポート】 第18回畿央大学公開講座 第17回畿央大学公開講座 第16回畿央大学公開講座 第15回畿央大学公開講座B・C 第15回畿央大学公開講座A 第14回畿央大学公開講座 第13回畿央大学公開講座 第12回畿央大学公開講座
2020.12.08
慢性腰痛症例の筋活動と疼痛関連因子の経時的な関連性~畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター
慢性腰痛患者には、立位で体幹を屈曲した時に、完全屈曲位で背筋群が弛緩する屈曲弛緩現象が減弱・消失することが報告されています。また、完全屈曲位から体幹を伸展させる時に背筋群の筋活動が増強もしくは減弱することも報告されています。これらの慢性腰痛患者に特徴的な筋活動と疼痛関連因子の関連性は十分に明らかになっておらず、特に経時的な変化については、同時に変化するのか、どちらかの要素が先行して変化するのかといった経時的な関連性は検討されていませんでした。畿央大学大学院博士後期課程の 重藤 隼人 氏と森岡 周 教授 らは、慢性腰痛症例を対象に経時的に筋活動と疼痛関連因子の評価を行い、シングルケースにおけるcross-lag correlation analysisを用いて、筋活動異常の改善と疼痛関連因子の改善が同時に生じることを明らかにしました。この研究成果は、Journal of Pain Research誌 (Temporal Associations Between Pain-Related Factors and Abnormal Muscle Activities in a Patient with Chronic Low Back Pain: A Cross-Lag Correlation Analysis of a Single Case)に掲載されています。 研究概要 慢性腰痛患者の筋活動の特徴として、立位で体幹を屈曲した時に、完全屈曲位を保持した時に背筋群が弛緩する屈曲弛緩現象が減弱・消失することや、完全屈曲位から体幹を伸展させる時に背筋群の筋活動が増強もしくは減弱することが報告されています。また、慢性腰痛患者の痛みや能力障害には心理的因子や身体知覚異常などの多角的な因子が関連することが報告されています。しかし、慢性腰痛患者の筋活動と疼痛関連因子の間の経時的な関連性は明らかにされていませんでした。本研究では、経時的に筋活動と疼痛関連因子の評価を行い、シングルケースにおけるcross-lag correlation analysisを用いて、筋活動と疼痛関連因子の間の経時的な関連性を検証しました。その結果、筋活動異常の改善と疼痛関連因子の改善が同時に生じることを明らかにしました。 本研究のポイント ■ 慢性腰痛を有する1症例の筋活動と疼痛関連因子の経時的な関連性をシングルケースにおけるcross-lag correlation analysisを用いて検討した。 ■ 立位体前屈における屈曲弛緩現象の低下の改善と身体知覚異常の改善が同時期に生じるを示した。 ■ 体幹を伸展する時の筋活動の改善と痛み、心理的因子、能力障害の改善が同時期に生じることを示した。 研究内容 慢性腰痛を有する1症例を対象に、疼痛関連因子の評価と筋活動の評価を経時的に行いました。疼痛評価としてShort-form McGill Pain Questionnaire-2 (SFMPQ-2)、心理的因子の評価としてÖrebro Musculoskeletal Screening Questionnaire-12 (OMSQ-12)、身体知覚異常の評価としてFremantle Back Awareness Questionnaire (FreBAQ)、能力障害の評価としてPatient-Specific Functional Scale (PSFS)を評価しました。筋活動は表面筋電図を用いて、立位体前屈課題時の脊柱起立筋の筋活動を測定し(図1)、屈曲弛緩現象の指標である屈曲弛緩比率:FRR、完全屈曲位(完全屈曲相)での筋活動、伸展させている時(伸展相)の筋活動を算出しました。 図1:立位体前屈課題 経時的に測定した筋活動と疼痛関連因子の経時的な関連性を検討するために、シングルケースにおけるcross-lag correlation analysisを行いました。 図2:筋活動指標と疼痛関連因子の同時期における相関係数 各図形は〇:疼痛、△:能力障害、◇:身体知覚異常、□:心理的因子と筋活動指標との相関係数を示しています。塗りつぶされた図形は有意な相関関係であったことを示しています。 本研究の意義および今後の展開 本研究成果は、慢性腰痛患者の経時的な疼痛関連因子の変化が経時的な筋活動の変化に影響することを示唆するものです。そのため、今後はサンプルサイズを増やしてさらなる経時的な関連性の特徴を検討するとともに、疼痛関連因子を考慮した慢性腰痛患者の筋活動に対するアプローチを提唱する臨床研究を進めていく予定です。 論文情報 Shigetoh H, Nishi Y, Osumi M and Morioka S Temporal Associations Between Pain-Related Factors and Abnormal Muscle Activities in a Patient with Chronic Low Back Pain: A Cross-Lag Correlation Analysis of a Single Case Journal of Pain Research 問い合わせ先 畿央大学大学院健康科学研究科 博士後期課程 重藤隼人 E-mail: hayato.pt1121@gmail.com 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 畿央大学大学院健康科学研究科 教授 森岡 周 Tel: 0745-54-1601 Fax: 0745-54-1600 E-mail: s.morioka@kio.ac.jp
2020.12.01
1/13(木)に「VR認知症一人称体験オンラインセミナー」を開催します。
2021年1月13日(木)に奈良県認知症ケア専門士会主催、看護実践研究センター共催でVR認知症体験オンラインセミナーを開催します。この研修会は、本来10月に実施する予定の研修会が感染拡大防止の観点から延期になったため、オンラインセミナーとして企画しました。多くの方に認知症の理解を深めていただきたく、皆さまのご参加をお待ちしています。 昨年に続き、認知症の世界をVR(バーチャルリアリティ)で体験いただけます。ただし、今年度は感染防止を最優先として、パソコンやスマホ上でzoomオンラインでの開催となります。2部制となっていますが、第一部が一般の方・教職員、学生(看護医療学科2回生以外)の参加申し込みとなります。 認知症の人が増加する現在に、認知症になりきることはできませんが、認知症の人の体験を追体験することで認知症の人の生きにくさや困難について理解を深めることを目的に作成されています。このVRは当事者の方の生の声を聴き、作成されていますので、よりリアリティに近づくように作成され、2017年にはシンガポールで開催されたAsia Pacific Eldercare Innovation Awards 2017(アジア太平洋高齢者ケア・イノベーション・アワード)の、テクノロジー部門で「VR認知症体験」が最優秀賞を受賞され国際的にも評価されています。 ▼クリックでチラシ拡大します(申込用紙あり) 原則は、パソコンかスマホをお持ちで操作できる方がオンライン(zoom)での参加となります。多くの方に認知症の理解を深めていただきたく、皆さまのご参加をお待ちしています。 奈良県認知症ケア専門士会会長・畿央大学看護実践研究センター長 山崎 尚美(看護医療学科教授)
2020.12.01
2021年度の授業実施方針について
2020年度は新型コロナウイルス感染症拡大という予期せぬ事態に直面し、刻々と変わる情勢の中で、学生の皆さんの安全を確保することを最優先に授業を実施してきました。学生の皆さんには、これまでとまったく異なる授業運営に戸惑う場面も多かったことと思います。なおも予断を許さない状況はつづいており、今後も情勢の変化は予想されますが、本学では2021年度の授業を以下の方針に基づいて実施することとします。 本学での学びにおいて、対面による実践的な授業が重要であることは疑う余地がありません。そのため、2021年度はできるかぎり対面授業を中心とした授業運営を行うこととします。ただし、本学はこれまで全学生へのノートPC無償貸与やOpenCEASの導入などICT機器を活用した教育の充実に取り組んでまいりました。このような本学の特色と、科目の性質や教育効果を十分に考慮し、オンデマンド型遠隔授業も取り入れてまいります。 現在の状況を教育改革の好機と前向きにとらえ、学生の皆さんの安全確保とより質の高い教育内容を両立させうる、本学ならではの授業運営を引き続き模索・推進していきたいと思いますので、ご理解とご協力をよろしくお願いします。 ※なお、今後の感染状況の拡大等により上記方針を変更せざるをえなくなる場合がありますので、その点につきましてはご了承ください。
2020.12.01
日本学生支援機構による「新型コロナウイルス感染症対策助成事業」の実施について
在学生の皆さんへ 独立行政法人日本学生支援機構の「新型コロナウイルス感染症対策助成事業」の案内を受けて、本学では在学生を対象に、学生生活をおくるための食費支援を行うこととしました。 支給の対象となるにはいくつかの条件があります。詳細については学内メールの内容を確認し、対象者は期日までに申し込んでください。 【関連記事】 新型コロナウイルス感染症の影響による国民年金保険料の猶予に係る臨時特例手続き等の案内について(8/18更新) 新型コロナウイルス感染拡大に伴う本学の支援策について(8/4更新) 新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金のお知らせ(8/6更新)
2020.11.24
道具に対する視線探索における道具の新奇性と行為意図の影響~畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター
道具使用場面において、道具や対象物の物理的な特徴から使用方法を類推する技術推論作業が重要であることが報告されています。技術推論の程度は、道具の機能部分をどれだけ見るかということで定量化されますが、道具を使用する意図の有無による視線探索の違いは明らかになっていませんでした。畿央大学大学院健康科学研究科修士課程修了生(現:医療法人社団仁生会甲南病院)の玉木義規 氏と森岡 周 教授らは、被験者に馴染みのある道具と馴染みのない道具を提示し、自由観察した時、持ち上げを意図した時、使用を意図した時の視線探索の違いを調査しました。この研究成果は、Frontiers in Psychology 誌(Effects of tool novelty and action demands on gaze searching during tool observation)に掲載されています。 研究概要 技術的推論とは、物理的な特徴から道具の使い方を推論することです。技術的推論の程度は、道具の機能的な部分への累積注視時間によって示されます。本研究では、健常成人に対して、3つの条件(自由観察、持ち上げ意図、使用意図)で馴染みのある道具と馴染みのない道具を提示した時の視線探索を調べました。その結果、使用意図なく自由観察した場合でも使用を意図した場合と同様に道具の機能部分へ視線が偏向することが明らかになりました。この結果から、単に道具を見た場合でも道具使用のための技術推論作業が自動的に出現していることが示唆されました。しかし、自由観察時の技術的推論は使用意図時ほど強くはありませんでした。このような自由観察時と使用意図時における技術的推論の違いは、自動的な技術的推論と意図的な技術的推論の違いを示している可能性があります。 本研究のポイント 持ち上げることを意図した時に比べて、使用を意図した時だけでなく、使用意図を持たずに道具を自由観察した時にも道具の機能部分への累積注視時間が長くなることを示した。また、使用意図時(意図的な技術推論)と自由観察時(自動的な技術推論)における視線探索に異なる特徴があることを示した。 研究内容 右利きの健常成人14名が実験に参加しました。被験者は3つの条件でモニター上に6つの馴染みのある道具と6つの馴染みのない道具がランダムに呈示された際の視線移動をアイトラッカー(Tobii Pro X2-60)を用いて調べられました。条件1は画面を注視するだけの自由観察条件で、条件2は持ち上げるようなパントマイムを行う持ち上げ条件、条件3は使用するようなパントマイムを行う使用条件としました。2つのパントマイム条件では、モニターの前に実際に道具があることを想定して手をモニター手前まで到達させてから、指示に応じたパントマイムを行いました(図1)。 図1:(A)実験プロトコル (B)実験風景 道具の機能的な部分への累積注視時間は、技術的推論の程度の定量的な指標としました。 道具種別(馴染みの有無)と条件についての二元分散分析を行ったところ、累積注視時間は持ち上げ条件と比較して自由観察条件および使用条件で有意に増加しました。また、馴染みのない道具における累積注視時間は、自由観察条件と比較して、持ち上げ条件では有意に減少し、使用条件では有意に増加しました(図2)。 図2(左):注視点の可視化 (A)注視点ヒートマップ (B)累積注視位置のヒストグラム 図2(右):機能部分への累積注視時間 本研究の意義および今後の展開 本研究では、馴染みの度合いの異なる道具観察課題において、使用意図時と自由観察時の視線探索の比較によって技術推論の程度が判別できる可能性を示唆しました。今後、道具使用障害を呈する患者に対して同様の課題を実施し、道具使用障害の病態メカニズムの探求につなげていくことが重要です。 論文情報 Tamaki Y, Nobusako S, Takamura Y, Miyawaki Y, Terada M, and Morioka S Effects of tool novelty and action demands on gaze searching during tool observation. Frontiers in Psychology. 2020; 11: 587270. 問い合わせ先 医療法人社団仁生会 甲南病院 リハビリテーション部 筆頭主任・作業療法士 玉木 義規(タマキ ヨシノリ) E-mail: ot44tama@gmail.com 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 畿央大学大学院健康科学研究科 教授 森岡 周 Tel: 0745-54-1601 Fax: 0745-54-1600 E-mail: s.morioka@kio.ac.jp