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2024.01.05
【お見舞い】令和6年能登半島地震について
1月1日(月)に発生した令和6年能登半島地震の被害に遭われた皆様に対しまして、心よりお見舞いを申し上げます。 本学では学生等の安全確認や状況の把握に努めています。被災地の一日も早い復興をお祈り申し上げます。 畿央大学
2024.01.04
令和6年1月4日(木)消防訓練(教職員対象)を実施しました。
令和6年の新年のスタートに合わせて消防訓練を実施しました。 今年はC棟1階調理実習室からの火災が起きる設定とし、①火災報知機の作動、②構内全域へ非常放送(避難指示)、③消防署へ119番通報、④避難指定場所への避難を行い実際の火災時に備えて訓練を行いました。 避難後は訓練に参加した教職員の安否を確認し、その後は模擬消火器を使用した消火訓練を行いました。 今後も学生・教職員等の安全確保の為、防災意識の向上、及び防火・防災対策の更なる徹底に努めてまいります。
2024.01.04
2024(令和6)年 冬木学園「仕事始め式」を行いました。
令和6(2024)年1月4日(木)午前10時30分より、学校法人冬木学園の「仕事始め式」を、畿央大学冬木記念ホールで行いました。 はじめに、冬木理事長・学長より、令和6年能登半島地震と羽田空港航空機事故へのお見舞いの言葉が述べられました。 引き続き、昨年は畿央大学開学20周年を迎え、記念式典や記念講演、シンポジウム等を実施し、今年の3月末まで記念行事が行われていることに触れられ、さらなる飛躍の一年になるよう一致団結して臨んでいくことを参加した教職員で共有しました。 続いて植田健康科学部長・健康科学研究科長・臨床細胞学別科長、前平教育学部長・教育学研究科長・畿央大学付属広陵こども園園長、西川関西中央高等学校長からそれぞれ年頭のあいさつがありました。 昨年は開学20周年を節目にした記念事業・イベントの展開、畿央大学付属広陵こども園の開設といった本学園にとって重要な1年になりました。それぞれの取り組みを振り返るとともに、学生・生徒に「建学の精神」のもと充実した教育が行われていることを確認し、参加者それぞれが学園の一員として決意を新たにしました。 社会環境が大きく変化する中、学園全体の更なる発展に挑み、建学の精神「徳をのばす」「知をみがく」「美をつくる」の具現化に向けて教職員が一丸となって邁進してまいります。 本年も学校法人冬木学園および畿央大学をよろしくお願い申し上げます。 なお、参加できない教職員には別途オンデマンド視聴ができるよう配慮して実施しました。
2023.12.28
2/10(土)講演会「高齢者看護・ケアに活かすホリスティック・ナーシング」を開催します~看護実践研究センター
畿央大学看護実践研究センター認知症ケア部門では、「高齢者看護・ケアに活かすホリスティック・ナーシング」をテーマに講演会を開催いたします。渡米30年、米国で活動するDPN(Doctor of Nursing Practice 高度実践看護師)であり、米国上級ホリスティックナースの資格を有する安井豊子先生をお招きし、アメリカでの看護実践を聴講するとともに、日本の現場で活動する看護師の実践報告から、私たちの看護・ケアのあり方はもちろん、自らをケアすることの大切さを考える機会をもちませんか?超高齢化社会の中でこれからの生活を前向きに捉えるきっかけとなれば幸いです。どうぞお気軽にご参加下さい。 実施要項 受講対象 看護職・介護職・教職員・学生ほか 開催日 2024(令和6)年2月10日(土)14:00~16:30 会 場 畿央大学P棟3階 P301講義室 定 員 50名(先着順) 参加費 無料 申込締切 2024(令和6)年2月2日(金) 申込方法 申込フォームより必要箇所を入力し、お申込みください(申込先着順となります) 申込ページ ※当日、会場でアロマを焚く時間を予定しています。香りや刺激が苦手な方は、あらかじめ下記連絡先にお問い合わせください。 ▼クリックすると、チラシPDFが開きます。 お問い合わせ 畿央大学看護医療学科 室谷(むろや) Tel:0745-54-1601(代表) 内線:5129 Fax:0745-54-1600 E-mail:m.muroya@kio.ac.jp
2023.12.28
振動を用いた接触タイミング知覚生起が脳卒中後上肢機能に及ぼす影響:症例報告~ニューロリハビリテーション研究センター
脳卒中後の麻痺した手指の感覚運動機能障害に対するリハビリテーションとして、視覚刺激、電気刺激、聴覚刺激が使用されていますが、これらは物品を操作する際に必要な手指と物品との間の摩擦(動摩擦)情報をリアルタイムにフィードバックすることはできません。本学 理学療法学科4年生 淡路彩夏氏、岸和田リハビリテーション病院及び本学客員研究員 渕上健氏、森岡周教授らは、感覚運動障害を持ち回復が停滞している脳卒中後の症例に対し、動摩擦情報をリアルタイムにフィードバック可能な新しいリハビリテーション装置を使用して介入を行い、その有効性を報告しました。この研究成果は、「Cureus」誌において「Effects of Vibration-Based Generation of Timing of Tactile Perception on Upper Limb Function After Stroke: A Case Study」として掲載されています。 研究概要 脳卒中後の感覚運動機能障害に対するリハビリテーションとして、視覚刺激や電気刺激、聴覚刺激を用いることが紹介されています。しかし、手指での物体の把持・操作においては、手指と物品との摩擦(動摩擦)情報が重要になります。本学理学療法学科4回生 淡路彩夏氏、岸和田リハビリテーション病院および本学の客員研究員である渕上健氏、そして 森岡周教授らは、脳卒中後の感覚運動障害により麻痺側上肢機能の回復が停滞している患者に対して、動摩擦情報をリアルタイムでフィードバックできるウェアラブル装置を用いたリハビリテーション介入を実施し、手の感覚運動機能障害の改善効果を検証しました。 本研究のポイント ■ 脳卒中後の感覚運動機能障害により、麻痺側上肢機能の回復が遅延している症例を対象としました。 ■ リハビリテーション介入に、動摩擦情報をリアルタイムでフィードバックできるウェアラブル装置を使用しました。 ■ 停滞していた麻痺側上肢機能が回復し、物品操作時の過剰なつまみ動作や物品落下頻度の減少が確認されました。 研究内容 患者は70歳代の男性で、出血性脳梗塞による左上下肢麻痺と診断され、発症後20日目にリハビリテーション病院に転院しました。転院後、毎日2時間以上のリハビリテーションを1ヵ月実施し、Fugl-Meyer Assessment Upper Extremity(FMA-UE)は51/66点、Box and Block Test(BBT)は20個、9-Hole Peg Test(9-HPT)は86.6秒まで回復しましたが、上肢の表在感覚と深部感覚に障害を認め、麻痺の回復はその時点で停滞し、依然として物体操作時に物体の落下が生じていました。 そこで、動摩擦情報をリアルタイムでフィードバックできるウェアラブル装置を介入に取り入れました。この装置は左手指に取り付けた触覚センサーで左手指の触覚情報を取得し、その情報を振動情報に変換し、左鎖骨遠位端に装着した振動子から伝達する仕組みになります(図1-A)。9-HPT(図1-B)を毎日5回、計15日間実施し、そのうち6日目から10日目にウェアラブル装置を装着しました。 図(A)ウェアラブル装置はセンサーを麻痺側人差し指に装着し、物品に触れた際の触覚情報を振動に変換し、鎖骨に装着した振動子から伝達します。(B)9-Hole Peg Test(9-HPT)は皿からペグを9つの穴に入れ、再び皿に戻すまでの所要時間を計測します。ペグをテーブルに落とした場合はエラーとして始めからやり直しました。介入プロトコルは1〜5日目と11〜15日目はウェアラブル装置を装着せずに9-HPTを毎日5回実施し、6〜10日目はウェアラブル装置を装着して9-HPTを毎日5回実施しました。 評価はFMA-UE、BBT、感覚評価とし、15日間の前後に実施しました。また、運動主体感の変化を捉えました。さらに、5日間ごとの9-Hole Peg Test(9-HPT)のエラー数(ペグをテーブルに落下させた回数)と所要時間を算出し、それらの関係をクロスラグ相関分析にて確認しました。 介入による不快感や重大な有害事象は示しませんでした。FMA-UEは51/66点から61/66点となり、BBTは20個から23個に増えましたが、感覚機能の変化ありませんでした。ウェアラブル装置を取り入れていた6〜10日目の期間で「手指の感覚がわかった」という発言が出現し、その後の11〜15日目の期間にはウェアラブル装置がないにも関わらず「自分の動きの感覚がわかり、(物体を)見なくてもできるようになった」という内省が聞かれました。また、運動主体感の指標からも改善していることが確認されました。15日間における9-HPTのエラー数と所要時間について、どちらも時間経過とともに改善し、物品操作時の過剰なつまみ動作や物品落下頻度も減少しました。またクロスラグ相関分析から、エラー数が減少した後に所要時間が減少するという時間差の関係が確認されました。 これらの結果から、脳卒中後の感覚運動障害を有する上肢運動機能障害に対して、動摩擦情報をリアルタイムでフィードバックできるウェアラブル装置を取り入れたリハビリテーション介入が有効である可能性が示唆されました。 本研究の臨床的意義および今後の展開 脳卒中後、感覚運動機能障害により上肢運動機能の回復が停滞している患者のリハビリテーションに、動摩擦情報をリアルタイムでフィードバックできるウェアラブル装置を使用しました。その結果、それまで停滞していた上肢運動機能の回復が確認でき、物品把持に伴う過剰なつまみ動作と物品の落下頻度の両方が減少しました。これにより、動摩擦情報による知覚生成を用いたリハビリテーション介入が、脳卒中後の手指の感覚運動障害に対する新しい治療戦略となる可能性が見つかりました。 論文情報 Ayaka Awaji, Takeshi Fuchigami, Rento Ogata, Shu Morioka Effects of Vibration-Based Generation of Timing of Tactile Perception on Upper Limb Function After Stroke: A Case Study Cureus, 2023 問合せ先 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 畿央大学大学院健康科学研究科 センター長/教授 森岡 周 Tel: 0745-54-1601 Fax: 0745-54-1600 E-mail: s.morioka@kio.ac.jp
2023.12.27
2023年度 年末年始の窓口事務取扱について(12月27日~1月4日)
2023年度年末年始の窓口事務取扱時間について以下のとおりお知らせします。 12月27日(水)~1月4日(木) 空調更新工事のため、1階事務室を閉室します。 学生支援センターの窓口はiデザインルーム(C棟2階)に移して対応を行います。 (キャリアセンター、教採・公務員対策室、教育学習基盤センター、健康支援センターは通常どおり開室しています) なお、期間中は以下の対応ができませんので、ご了承ください。 ・各種証明書の発行 ・学割証の発行 ・各種申込書の発行 日付 学生支援センターの対応場所 事務取扱時間 12月27日(水) 12月28日(木) iデザインルーム(C棟2階) 8:40~18:00 12月29日(金)~ 1月3日(水) 休業日 休業日 1月4日(木) iデザインルーム(C棟2階) 8:40~18:00 ※12月29日(金)~1月3日(水)は休業日です(電話・メール等の対応もできません。また、同期間中はキャンパス内への立ち入りもできません) 1月5日(金)以降は通常どおり開室します。 ご不便をおかけしますが、ご理解とご協力の程よろしくお願いいたします。
2023.12.26
外傷性脳損傷後の両眼性複視患者に対する眼球運動訓練と視線分析:症例報告~ニューロリハビリテーション研究センター
外傷性脳損傷後には両眼性複視を含む眼球運動障害を合併することが多いとされています。これらの障害は転倒による骨折の可能性を高め、日常生活活動や生活の質の回復に悪影響を及ぼします。特に複視症状を呈した患者の治療経過をまとめた報告はほとんどありません。岸和田リハビリテーション病院 中村 兼張 氏、本学客員研究員 渕上 健 氏、本学 森岡 周 教授らは、外傷性脳損傷後に両眼性複視を呈した患者に対して眼球運動訓練を実施し、その治療経過をまとめました。この研究成果は、Journal of Medical Case Reports誌(Eye movement training and gaze analysis for a patient with binocular diplopia after traumatic brain injury: a case report)に掲載されています。 研究概要 外傷性脳損傷患者の約90%が両眼性複視を含む眼球運動障害を発症すると報告されています。両眼性複視とは、1つの物体が2つの物体に知覚される状態であり、左右の眼球の視軸のズレによって引き起こされます。複視を含む両眼視機能の障害は、転倒による骨折の可能性を高め、運動能力や日常生活動作、QOLの回復に悪影響を及ぼします。複視に関連する輻輳、追視、およびサッカードに関する眼球運動訓練は既に臨床現場で導入されており、治療効果が報告されています。しかし、これまでの研究では、輻輳や近視、眼球運動障害に焦点が当てられることが多く、専門機器で測定できる複視症状に関する亜急性期からの長期的な追跡調査報告はほとんどありません。岸和田リハビリテーション病院の 中村 兼張 氏、本学 客員研究員 渕上 健 氏、本学 森岡 周 教授らは、両眼性複視を呈した患者に対して眼球運動訓練を実施し、眼球運動機能、複視症状のみでなく、視線推移の評価も加えて経過を追跡しました。 本研究のポイント ■ 両眼性複視に対する眼球運動訓練の治療経過を追跡した。 ■ 効果判定には、眼球運動機能と複視症状、そして視線推移を評価した。 ■ 治療効果が確認されるとともに、障害側だけでなく非障害側への訓練の必要性が示唆された。 研究内容 患者は30代男性で、外傷性脳損傷後に右眼球の外転方向への運動機能低下と両眼性複視症状を呈していました。運動麻痺や感覚障害、高次脳機能障害は認めませんでした。毎日2回、40分間の眼球運動訓練を行い、これを4週間継続しました。眼球運動訓練の内容は、セラピストがゆっくりまたは素早く右側に動かしたレーザーポインターを追視させること、右眼球を外転方向へ最大に動かし保持させること、@ATTENTION(クレアクト社製)に搭載された機能で点滅するターゲットを追視させることでした。 治療経過は、右眼球の外転方向への運動距離、正中からの複視出現角度、Holmesの複視質問票を用いて追跡しました。さらに、@ATTENTIONに搭載されている視線推移も計測しました。 右眼球の外転距離と複視出現角度(左図)、視線推移(右図)、視線座標の誤差ともに改善し、複視質問票の点数も介入前の76点から、2週後に26点、4週後に12点と改善を認めました。 左図:右眼球外転距離と複視出現角度の介入前、2週後、4週後の結果 右眼球外転距離(A)は介入前と比べて、2週後と4週後の距離が増加していました。複視出現角度(B)は介入前から2週後、4週後と経過する中で、出現角度が大きくなっていることから、複視が出現しにくくなっていることがわかりました。 右図:@ATTENTIONによる視線推移評価の結果 経過とともに視線推移のばらつきが減少していることが確認できました。 これらの結果から、眼球運動訓練を行うことで、障害されていた右眼球外転運動や複視が改善し、視線も安定することが確認できました。また、4週後には障害側の的と視線との誤差よりも、反対側の的と視線との誤差が大きくなっていたことから、障害側だけでなく、非障害側への眼球運動訓練の必要性が示唆されました。 本研究の臨床的意義および今後の展開 両眼性複視に対する眼球運動訓練の経過を追跡し、その有効性が認められました。さらに、視線推移分析から、障害側への眼球運動訓練だけでなく、非障害側への眼球運動訓練も必要であることが示唆されました。今後は、症例数を増やし、前向き研究デザインで効果を検証していく必要があります。 論文情報 Kaneharu Nakamura, Takeshi Fuchigami, Shu Morioka Eye movement training and gaze analysis for a patient with binocular diplopia after traumatic brain injury: a case report. Journal of Medical Case Reports, 2023 問合せ先 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 畿央大学大学院健康科学研究科 センター長/教授 森岡 周 Tel: 0745-54-1601 Fax: 0745-54-1600 E-mail: s.morioka@kio.ac.jp
2023.12.25
負傷競技者の感情調整行動に影響を与える個人差について~現代教育学科
負傷競技者が負傷によって引き起こされた陰性情動を持続的に抑制すると、リハビリテーションのような未来志向の対処行動に集中できないことや、過剰適応することで怪我の再発、深刻な場合は精神的な障害を引き起こすことがあります。一方で、陰性情動を抑制することによる影響は不適応な側面ばかりではなく、現状を肯定的に再解釈できているのであれば、必ずしも不適応的ではありません。つまり、負傷によって示す反応が適応的かどうかを判断する際は、抑制の視点だけではなく、現状を肯定的に再解釈できているかどうかの可能性を検討する必要があります。 現代教育学科の辰巳教授は陰性情動の抑制に影響すると考えられる要素を取り上げ、肯定的再解釈ができているかどうかを調査することで、不適応な反応をする可能性のある競技者を選別できるのではないかと考え、一定の負傷基準に基づく180名の対象者に対して調査を行いました。その結果、感情伝達困難さの傾向が強い負傷競技者は、負傷により生起させた陰性情動の表出を抑制することに終始する傾向があることで、不適応な反応を起こしやすいことを導きました。 この研究成果は、PLoS ONE誌(Individual-differences affecting emotion regulation behaviors of injured athletes: A retrospective quantitative study)に掲載されています。 本研究のポイント ■個人変数としてスポーツ倫理コミットメント、競技者アイデンティティー及び感情伝達困難さの3つを取り上げ調査 ■3つの個人変数と陰性情動への情動調整行動に関する表出抑制、肯定的再解釈との関連について、2つの仮説を検討 ■感情伝達困難さの傾向が強い負傷競技者は、負傷により生起させた陰性情動の表出を抑制することに終始する傾向が疑われる 研究内容 本研究では先行研究をふまえ、陰性情動に対する表出抑制の行使と関連する個人変数として、スポーツ倫理コミットメント、競技者アイデンティティー及び感情伝達困難さの3つを取り上げました。 スポーツ倫理とは、競技スポーツ界に浸透している組織合理を優先させる集団規範の内容(図1)をさし、抑制との関連が指摘されてきました。 図1.スポーツ倫理コミットメントに対する検証的因子分析結果 競技者アイデンティティーは、競技者としての自己意識を指し、このアイデンティティーが強固な負傷競技者は、スポーツ倫理に強く同調していることが仮定されます。感情伝達困難さは、自己感情の記述や伝達を困難にしている個人の傾向を指し、アレキシサイミア傾向を捉える一側面として知られています。 以上の3つの個人変数と陰性情動への情動調整行動に関する表出抑制、肯定的再解釈との関連について、回顧法による質問紙調査に基づく量的研究デザインを採用し、以下の2つの仮説を検討しました。 仮説1:スポーツ倫理コミットメントと競技者アイデンティティーは、抑制と肯定的再解釈の双方の行使を可能にさせる。具体には、スポーツ倫理コミットメントと競技者アイデンティティーは、抑制及び肯定的再解釈の双方に対し、正の関連を示す。 仮説2:感情伝達困難さは、肯定的再解釈を行使させず、抑制の行使のみに止まる。具体には、感情伝達困難さは、抑制に対しては正の関連を、肯定的再解釈に対しては負の関連を示す。 一定の負傷基準に基づく180名(平均年齢20.27歳,SD = 1.02;医師の診断に基づくスポーツ停止平均日数66.58日,SD = 87.13、同中央値は31日)を分析の対象としました。主な分析手順は、変数間の相関を検討し、重回帰分析よりパスの推定を行い、最終的に3つの個人変数を外生変数とし、2つの情動調整行動を内生変数とするモデルの適合性を構造方程式モデリングにより検討するというものでした。 分析の結果、2つの仮説は支持されました(図2)。 図2.構造方程式モデリングの結果 結果は、3つの個人変数全てが陰性情動の表出抑制の行使を促すことを示しています。次に、スポーツ倫理コミットメントと競技者アイデンティティーは肯定的再解釈の行使を促しますが、感情伝達困難さは肯定的再解釈の行使を妨げる可能性があることを示しています。また、スポーツ倫理コミットメントは競技者アイデンティティーと感情伝達困難さの双方と正の関連があることを示しています。 主な結論として、感情伝達困難さの傾向が強い負傷競技者は、負傷により生起させた陰性情動の表出を抑制することに終始する傾向があることから、アブノーマルな反応を顕在化させやすいと言えます。負傷競技者を取り巻く各種のプラクティショナーは、彼らがネガティブな情緒的反応の固着や反復を来していないか、情緒的反応の動向を注視する必要があります。 本研究の限界と今後の課題 本研究では調査協力者に対し、リハビリテーション期間全般の回顧を求め、マクロな視点から個人変数と情動調整行動の実態についての回答を求めました。この方法により、優勢であった情動調整行動を把握することができましたが、臨床現場で実際に示されている日々の反応は複雑であり、個別的です。本研究は仮説に基づく理論的傾向が示されたに過ぎません。知見の精緻化を図るには、調査協力者の記憶の偏りや調査時の心理状態が感情経験の想起に与える影響についても、十分に制御した計画にて研究を推進する必要があります。今後の研究では、負傷競技者を縦断的に追跡し、ノーマルな反応時とアブノーマルな反応時における変数間の関連の仕方の時系列を検討する必要があります。 論文情報 Tomonori Tatsumi Individual-differences affecting emotion regulation behaviors of injured athletes: A retrospective quantitative study PLoS ONE 2023 問い合わせ先 畿央大学 教育学部 現代教育学科 教授 辰巳 智則 Tel: 0745-54-1601 Fax: 0745-54-1600 E-mail: t.tatsumi@kio.ac.jp
2023.12.25
2月17日(土)第23回畿央大学公開講座を開催します。
本学では、地域の皆さまに生涯教育の場を提供し、地域社会に貢献することを目的とした「畿央大学公開講座」を毎年開催しています。理学療法学科と現代教育学科の教員から、それぞれの研究テーマに関する講座をお届けします。多くの皆様のご参加をお待ちしております。 申込フォーム 第23回畿央大学公開講座(2/17) 講座① 妊娠・出産とウィメンズヘルス~からだの変化とセルフケアを学ぼう~ 【日時】2024年2月17日(土)10:00-11:00 【講師】健康科学部 理学療法学科 梶原 由布 助教 妊娠すると、女性の身体には様々な変化が起こります。その変化は時に心身の不調をきたすことも…。妊娠・出産を中心に女性の身体のしくみを知り、健やかに過ごすコツや簡単なセルフケアを学びませんか?現在妊娠中、子育て中の方だけでなくこれから妊娠を考えている方、パートナーのために知識を身に付けたい男性も大歓迎です! 講座② ロックと映画で見るイギリス~多文化社会の明暗から学ぶ~ 【日時】2024年2月17日(土)13:00-14:30 【講師】教育学部 現代教育学科 竹下 幸男 教授 ポピュラー音楽や映画を手掛かりにしてイギリスの異なる側面を一緒に見てみましょう。イギリスといえば、紅茶や王室といったイメージをいだきがちですが、多文化共生と対立という実績もあり、これらには深い関係があります。またこれらを巡る過去50年ほどのイギリスの葛藤は、これから日本が経験するかもしれないことです。本講座を通して、日本のこれからに一考を投じてみましょう。 講義で取り上げる予定の音楽・映画:ローリング・ストーンズ、エリック・クラプトン、スペシャルズ、クラッシュ、シネイド・オコナー、『白い暴動』、『バビロン』、『カセットテープ・ダイアリーズ』などなど(時間の都合などで全てを取り上げることができないこともあります)。 概要と申込方法について 会 場 畿央大学において対面で開催 受講料 無料 定 員 講座① 20組(ご夫婦、お子様連れでも参加可) 講座② 100名 ※すべて申込先着順となります。 申込 方法 2024年1月4日(木)より申込を開始します。 下記【申込フォーム】より必要事項を入力のうえお申し込みください。 申込フォーム なお、E-mailでもお申込みいただけます。件名を「公開講座参加希望」として、下記5点を明記のうえinfo@kio.ac.jpに送信をお願いします。 ①氏名 ②年齢 ③住所(市町村まで) ④電話番号 ⑤参加希望講座番号 問合せ 畿央大学 教育推進部 公開講座係 〒635-0832 奈良県北葛城郡広陵町馬見中4-2-2 【E-mail】info@kio.ac.jp 【Tel】0745-54-1601 ▶チラシPDF(クリックで開きます) 【関連記事】 第22回畿央大学公開講座「入浴着にできること」を開催しました。 第21回畿央大学公開講座「うま味とコクの新常識/古都奈良と近代建築」を開催しました。 第20回畿央大学公開講座「コロナ時代におけるこれからの認知症ケア」をオンライン開催しました。 第19回畿央大学公開講座「感染症を知ろう~新型コロナウイルスとこれからの生活~」をオンライン開催しました。 第18回畿央大学公開講座「当事者とともに創る認知症ケア」を開催いたしました。 第17回畿央大学公開講座「認知症の正しい理解」を開催しました。 第16回畿央大学公開講座を開催しました。 第15回畿央大学公開講座B・C(2日目)を開催しました。 第15回畿央大学公開講座 講座Aを開催しました。 第14回畿央大学公開講座を行いました。 第13回畿央大学公開講座を開催しました。 第12回畿央大学公開講座「健康長寿のための食と運動」を開催しました。
2023.12.22
2月12日(月)「令和5年度 畿央大学大学院 教育学研究科研修会」を開催します。
畿央大学大学院教育学研究科では、現代の教育課題の中から「生徒指導」「特別支援教育」「ICT」の3分野に焦点を当て、現場の学校教員をはじめとして教育に関わる社会人に教育実践力を養う教育課程の実施と教育課題の解決に向けての研究活動に取り組んでいます。 今回は、「生徒指導」の分野の研修会とし、2022(令和4)年12月に改訂された『生徒指導提要』を読み解き、これからの生徒指導のあり方について考える勉強会を実施します。 テーマ 『生徒指導提要』(改訂版) を読み解く ~これからの生徒指導のあり方と進め方~ 日 時 2024(令和6)年2月12日(月・休)14:00~16:00 会場 畿央大学P棟 P202講義室 参加費 無料 講師 七條 正典 氏(高松大学、日本生徒指導学会副会長) 申 込 申込フォームからお申し込みください。 申込フォーム 定員 50名 ※定員になり次第、受付終了 申込締切 2024(令和6)年2月7日(水)正午 問合せ 畿央大学総務部 教育学研究科研究会係 TEL 0745-54-1602 Email soumu@kio.ac.jp ▼クリックすると、チラシPDFが開きます。