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2022.11.14
患者教育と運動指導が腰痛による運動制御障害を改善させるか?~畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター
腰痛によって引き起こされる「身体を動かすことへの恐怖心(運動恐怖)」は、体幹の運動制御障害に悪影響を与えることが知られています。また、運動恐怖に対する介入として、痛みの神経生理学に基づいた患者教育や運動指導が有用とされています。しかしながら、これら介入によって生じる腰痛症状の改善と体幹の運動制御障害の変化や、その時間的関連性は明らかとされていませんでした。畿央大学大学院博士後期課程 修了生の藤井 廉 氏と森岡 周 教授らは、腰痛を有する就労者1例に対して一連の介入を実施し、運動恐怖が改善したとしても、運動制御障害が残存した場合、やがて腰痛症状が再発する可能性を示しました。 この研究成果は、SAGE Open Medical Case Reports誌(Changes in task-specific fear of movement and impaired trunk motor control by pain neuroscience education and preliminary single-case study of a worker with low back pain)に掲載されています。 研究概要 運動恐怖(身体を動かすことへの恐怖心)は、腰痛症状を慢性化させる要因であることが報告されています。腰痛を有する就労者においては、この運動恐怖が作業動作時の体幹の運動を乱すことで、腰部への負荷を大きくし、やがて労働能力の低下をもたらすと考えられています。 畿央大学大学院博士後期課程 修了生の藤井 廉 氏、森岡 周 教授らの研究チームは、腰痛を有する就労者1例に対して、痛みの神経生理学に基づいた患者教育と運動指導を用いた介入を実施し、運動恐怖と体幹の運動制御障害の変化を詳細に分析しました。その結果、介入によって運動恐怖は改善しましたが、運動制御障害は変化を認めませんでした。フォローアップ終了後(介入後からおよそ8ヶ月後)も同様の傾向を示しており、最終的には痛み強度の増加を認めました。本症例の一連の経過から、運動制御障害が残存した場合、やがて腰痛症状が再燃する可能性が示されました。 本研究のポイント ■ 腰痛を有する就労者1例に対して、痛みの神経生理学に基づいた患者教育と運動指導による介入を実施しました。 ■ 介入によって、運動恐怖をはじめとした腰痛症状は改善しましたが、運動制御障害は不変なままでした。 ■ 運動制御障害が残存したまま就労を継続することによって、いずれ腰痛症状が再燃する可能性が示されました。 研究内容 本研究の対象は、慢性腰痛を有しながらも就労を継続していた20歳代の男性介護士でした。「重い物を持ち上げる際、痛みはあまり感じないが、腰を動かすことに怖さがある」といった訴えを認めていました。 研究デザインはABAデザインを適用し、A1期:ベースライン期、B期:介入期(痛みの神経生理学に基づいた患者教育と運動指導)、A2期:フォローアップ期としました。評価は、重量物持ち上げ動作の運動学的解析と、作業動作中に生じた課題特異的な運動恐怖を測定しました。 介入の結果、介入期以降で、課題特異的な運動恐怖や体幹運動の緩慢さ(最大体幹屈曲・伸展角速度)、その他腰痛症状(痛み強度や能力障害)に改善を認めました。その一方で、体幹の運動制御障害(運動の一致度)は不変なままでした。さらに、フォローアップ期以降においても、これらの指標は同様の傾向を示し、最終的には痛み強度の増悪を認めました(図1)。 本研究より、一連の介入によっても、運動制御障害は改善しづらく、その問題が残存したまま就労を継続することで、やがて腰痛症状の再燃に影響する可能性が示されました。 図1.各評価指標の時系列的変化 ベースライン期、介入期、フォローアップ期、フォローアップ期終了後から3ヵ月・8ヶ月時点で収集された評価指標を、時系列に示しています。 本研究の臨床的意義および今後の展開 本症例研究では、介入によって運動恐怖は改善しましたが、運動制御障害は不変なままでした。そして、運動制御障害が残存することによって、やがて腰痛症状が再燃する可能性が示されました。今後の展開として、運動恐怖をさらに詳細に分析することで運動制御障害が残存した要因を明確にするとともに、運動制御障害を改善するためのアプローチ方法を開発しその効果を検証していく必要があると考えています。 論文情報 Fujii R, Imai R, Shigetoh H, Tanaka S, Morioka S. Changes in task-specific fear of movement and impaired trunk motor control by pain neuroscience education and exercise: A preliminary single-case study of a worker with low back pain. SAGE Open Med Case Rep. 2022 Oct 24;10:2050313X221131162. 関連する先行研究 Ren Fujii, Ryota Imai, Shinichiro Tanaka, Shu Morioka. Kinematic analysis of movement impaired by generalization of fear of movement-related pain in workers with low back pain. PLoS ONE. 2021; 16 (9): e0257231. Ren Fujii, Ryota Imai, Hayato Shigetoh, Shinichiro Tanaka, Shu Morioka. Task-specific fear influences abnormal trunk motor coordination in workers with chronic low back pain: a relative phase angle analysis of object-lifting. BMC Musculoskelet Disord. 2022; 23 (1): 問い合わせ先 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 畿央大学大学院健康科学研究科 教授 森岡 周 Tel: 0745-54-1601 Fax: 0745-54-1600 E-mail: s.morioka@kio.ac.jp
2022.11.02
行為と結果の規則性の知覚感度の発達変化~畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター
定型発達乳児は生後の発達早期に、自己の運動とその結果の繋がり、すなわち行為と結果の規則性が知覚できるとされています。例えば、頭上にあるモビールと足首を絹紐で結びつけられた生後9~12週齢の赤ちゃんは、自分の足を動かすとモビールが動くことに気付き、それが楽しい報酬となり、足の運動をより活発にしていきます。このように自分の行為と外部刺激との間の規則的な関係性を検出する能力である「行為と結果の規則性の知覚」は既に乳児期に存在することが分かっていますが、その後、幼児期から青年期に渡って一定なのか、あるいは発達変化するのかは分かっていませんでした。畿央大学ニューロリハビリテーション研究センターの信迫悟志 准教授らは、温文(Wen Wen) 特任准教授(東京大学)、中井昭夫 教授(武庫川女子大学)らと共同で、行為-結果の規則性の知覚感度の発達変化について調査しました。この研究成果は、Scientific Reports誌(Developmental changes in action-outcome regularity perceptual sensitivity and its relationship to hand motor function in 5-16-year-old children)に掲載されています。 研究概要 自分の行為と外部刺激との間の規則的な関係性を検出する能力のことを、行為と結果の規則性の知覚と呼びます。最近、行為と結果の規則性の知覚は、コンパレータモデル以外の運動主体感(Sense of Agency: SoA)を生成する重要な情報源として注目されており、また適応的運動学習パフォーマンスにも関与することが示されています。行為-結果の規則性の知覚は、コンパレータモデルに基づく運動制御過程とは異なり、各動作の結果を正確に予測する必要がない点で重要です。上述したように、生後9~12週齢の乳児は、自分の足を動かすとモビールが動くことに気付くと、それを報酬として、足の運動をより活発にしていきます。また生後2~4ヶ月の乳児では、おしゃぶりを吸うと視覚や聴覚フィードバックが与えられるようにすると、その吸啜行動が増強されます。このように、行為-結果の規則性を検出する能力は、生後2~4カ月の乳児にも備わっていることが明らかになっていますが、この時期の乳児は最低限の運動能力しかなく、目標とする動作に必要な正確な順・逆モデルを持ちません。したがって、乳児が示す探索行動(足の運動や吸啜行動)の強化は、自身の行動と外界の事象との間に規則的な関係があると認識することに起因すると考えられています。しかしながら、その行為-結果の規則性の知覚が、その後の幼児期から青年期にかけて発達的に変化するか否かは不明でした。そこで畿央大学ニューロリハビリテーション研究センターの信迫悟志 准教授らは、5~16歳における行為-結果の規則性の知覚感度を調べました。その結果、年齢の増加に伴い規則性の知覚感度は向上し、9~16歳児の規則性の知覚感度は、5~6歳児と比較して高いことが明らかになりました。加えて、手先の器用さが低下した児では、手先の器用さが中程度から高い児と比較して、規則性の知覚感度が低下していることも示されました。 本研究のポイント ■ 行為-結果の規則性の知覚は、5~6歳児ではまだ未成熟であった。 ■ 5~16歳において、規則性の知覚感度は年齢の増加と共に発達向上する。 ■ 5~16歳において、手先の器用さが低下した児では、規則性の知覚感度が低下している。 研究内容 5~16歳までの子ども200名は、温文(Wen Wen) 特任准教授(東京大学)が開発した行為-結果規則性検出課題(図1)を完了しました。この課題において、子どもたちはタッチパッド上で10秒間自由に指を動かし、モニターに表示された3つのドットのうち、自分がコントロールすることができる/自分の指の動きを最も反映していると感じられたドット(検出目標ドット)を検出することが求められました。1つの検出目標ドットには、子どもが制御できる/指の動きを反映する割合に応じて、7制御条件(0、20、40、50、60、80、100%)が設定され、それぞれ6試行、合計で42試行ありました。他の2つのドットは0%制御のディストラクタードットになっていました。この課題の成績から、規則性検出閾値(Regularity Detection Threshold: RDT)を算出し、行為-結果の規則性の知覚感度の定量指標としました。加えて、微細運動技能(M-ABC2 Manual dexterity test)も測定されました。 図1:行為-結果規則性検出課題 結果、5~6歳児のRDTは、9~16歳児と比較して高値を示し、5~6歳児ではまだ行為-結果の規則性の知覚が未成熟であることが明らかになりました(図2)。またRDTの低下と年齢の増加との間には、有意な相関関係が示され、5~16歳において、年齢の増加と共に行為-結果の規則性の知覚感度は発達向上することが示されました。そして、低微細運動技能を示した児では、中-高微細運動技能を示した児と比較して、行為-結果の規則性の知覚感度が低下していることも示されました(図3)。 図2:各年齢帯における規則性の知覚感度 図3:各微細運動技能群における規則性の知覚感度 本研究の臨床的意義および今後の展開 本研究は、幼児期から青年期にかけて、行為-結果の規則性の知覚感度が発達向上することを初めて明らかにし、5~6歳では行為-結果の規則性の知覚がまだ未成熟であることを示しました。今後は、成人期や老年期も含めて、ヒトの一生における行為-結果の規則性の知覚の変化とそれがSoAの生成や運動制御/運動学習にどのように関与するかについて明らかにしていく必要があります。また脳性麻痺、発達性協調運動障害、自閉症スペクトラム障害を有する児では、運動障害があり、SoAの変容があることも示されています、したがって、これら障害と行為-結果の規則性の知覚感度との関係性について調べ、これら障害のさらなる病態理解と有効なリハビリテーション手段開発に貢献していく必要があります。 論文情報 Nobusako S, Wen W, Nagakura Y, Tatsumi M, Kataoka S, Tsujimoto T, Sakai A, Yokomoto T, Takata E, Furukawa E, Asano D, Osumi M, Nakai A, Morioka S. Developmental changes in action-outcome regularity perceptual sensitivity and its relationship to hand motor function in 5-16-year-old children. Sci Rep. 2022 Oct 20;12(1):17606. 問い合わせ先 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 畿央大学大学院健康科学研究科 准教授 信迫悟志 Tel: 0745-54-1601 Fax: 0745-54-1600 E-mail: s.nobusako@kio.ac.jp
2022.10.24
第20回 畿央祭・ウェルカムキャンパスを開催しました。
約3年ぶりに学外の方をお招きして開催! 2022年10月22日(土)・23日(日)の2日間にわたって、第20回畿央祭・ウェルカムキャンパスを実施しました。2020年は見合わせ、2021年は在学生限定での開催でしたが、今年は感染対策を講じたうえで対面とオンラインの併用とし、卒業生や保護者の方、地域にお住まいの方、高校生の方などにもご参加いただきました。 感染・安全対策に加えて事前予約、人数制限と新しいスタイルでの開催となった畿央祭は、準備から当日の運営、片付けまでを白いつなぎに袖を通した畿央祭実行委員231名が担当。来場者の笑顔のために試行錯誤を重ねた2日間に、のべ2100名をこえる方にご来場いただきました。ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました! 第20回畿央祭テーマ『紬~つむぐ~』 開会式 初日の9時30分。学長先生、畿友会(学生自治会)会長の開会のあいさつに続き、実行委員が色とりどりのバルーンを飛ばして第20回畿央祭がスタート! 受付 正門で検温をしてから入構。エントランス前で消毒・受付をしたら、受付完了マークの「紬~つむぐ~」シールとパンフレットをもらって、いざ畿央祭へ! ステージ企画 冬木記念ホールと野外ステージでは、アカペラ部、軽音楽部、アコースティック部、ダンス部、チアリーディング部、ジャグリングクラブ、学生有志などが練習の成果を披露しました! *パフォーマンス中はマスクを外しています。あわせてホールでは、感染予防対策としてパーテーションを使用しています。 展示企画 キャンパスにいつもと違う彩りを加えてくれたのは、実行委員制作のステンドグラスやちぎり絵、書道部の作品展示。畿央祭恒例、地下食堂でのお化け屋敷では、老若男女の叫び声が響き渡りました。 統括企画 畿央祭実行委員メンバーが学園祭を盛り上げるために企画!ビンゴ、紬 LOHAS MARKETやスタンプラリーなど、たくさんの方々に参加していただきました。ディスプレイなども今年のテーマに合わせていて統一感があります。 アリーナ企画 小さなお子さんも一緒に楽しめるイベントがたくさんあるアリーナ企画!お魚釣り・ダーツゲーム・輪投げ・ペットボトルボーリングなどの手作りのミニ屋台が家族連れで賑わいました。アリーナ奥では、ミニ運動会で体を動かしました。 模擬店 今年の模擬店は17店舗。クラス・クラブ・サークル・ゼミ単位などいろいろなグループが出店しました。 ウェルカムキャンパス 畿央祭と同時開催している「ウェルカムキャンパス」は、畿央大学教員が、地域のみなさまに参加していただき、教員の研究を体験したり、学生の学びを知ってもらえるイベントを企画しています。今年の企画は以下の通りです。 ◧ 運動の器用さにチャレンジしてみよう【ニューロリハビリテーションセンター】 ◧ がんカフェ「きらめき」【看護医療学科】 ◧ 健康チェックテスト【理学療法学科】 ◧ 食育サッとシステム【健康栄養学科】 ◧ プログラミングでドローンを飛ばそう!!【現代教育学科】 ◧ 学びのギャラリー【人間環境デザイン学科】 畿桜会(同窓会)役員会・総会・同窓会サロン 卒業生とご家族あわせて約70名が母校に帰ってきました!詳しくは、畿桜会HPをご覧ください。 ▼同窓会サロンに来てくださった卒業生とそのご家族の皆さん。家族連れで母校に戻ってくれるアットホームさは、畿央大学ならでは! ご来場、ご協力いただいた皆さま、どうもありがとうございました。畿央祭に関わったすべての方にとって、長く思い出が”つむがれる”2日間でありますように! 【関連記事】 2022畿央祭・ウェルカムキャンパスで、がんカフェ「きらめき」 を3年ぶりに対面実施!~看護医療学科 【プレイバック畿央祭2021】フォトレポートを掲載しました。
2022.10.07
ノートPC無償貸与の取り組みが、マイクロソフト社のホームページで紹介されました。
本学は他大学に先駆け2014年度から新入生全員へのノートPCを無償貸与する先進的な取り組みを進めています。2022 年度の一斉貸与PCにはマイクロソフト社の「Surface Laptop Go」を採用しました。Surface Laptop Goの新入生全員への無償貸与は国内大学初です。 この度、本学での導入事例ならびにICT活用の取組みや効果について取材いただいた内容が、マイクロソフト社のホームページに掲載されました。 Surface Laptop Go を採用し、社会を担う人材育成を強化。畿央大学の ICT 活用におけるノート PC の 1 人 1 台貸与がもたらす効果とは 本学では新入生全員へのノートPCだけでなく、Microsoft 365 Education や Microsoft Azure といったマイクロソフトのソリューションを導入し、ICT環境を整備しています。 また、2021年4月に今後の社会ニーズに応えられる幅広い教養をもった人材育成のために「次世代教育センター」を立ち上げ、2021年8月には教養科目「情報処理演習」が関西私大5校のみとなる文部科学省「数理・データサイエンス・AI教育プログラム(リテラシーレベル)」に初年度で認定されました。 畿央大学は医療・デザイン・教育分野においても今後必要不可欠となるICTスキルを兼ね備えた実学のスペシャリスト育成を、今後も進めてまいります。 【関連記事】 2022年度全新入生向け無償貸与PCに、マイクロソフトのSurface Laptop Go採用を決定!(国内大学初) 入学生全員にノートPCを無償貸与する理由って?(YouTube)
2022.10.07
日本初の乳がん術後女性のための使い捨て入浴着が「グッドデザイン賞」を受賞!
人間環境デザイン学科の村田浩子教授、小松智菜美助手、看護医療学科中西恵理講師、理学療法学科福森貢教授、村田ゼミの学生らの研究グループが開発した乳がん術後女性のQOL向上を支援する「入浴着」が、公益財団法人日本デザイン振興会が主催する「2022年度グッドデザイン賞」を受賞しました。本学としては初めての快挙となります。 受賞したのは株式会社GSIクレオスとの産学連携で生まれた「BATHTIME TOPS」です。 ▼左から中西講師、小松助手、村田教授、福森教授 入浴着「BATHTIME TOPS」 発売元:株式会社GSIクレオス 「入浴着」を2021年6月に学会発表して以降、NHKなどのメディアや「ピンクリボンのお宿」の会合でも紹介され、宿泊施設の「アメニティ」の一つとして採用されるなど活用が広がっています。今回の受賞に際し、「入浴着」(商品名:BATHTIME TOPS )は「乳がん術後患者のために開発されたプロダクトで、リサーチの元、入浴時の快適性や着脱を考慮し、手術痕をカバーするための形の工夫がなされ、必要な機能を取り入れ実現していることが評価された。程よい厚みの不織布生地ですっきりと機能的に仕上げ、使い捨てであることや価格も含めバランス良く仕上げている。」と、評価されました。 「入浴着」は、「ケアとデザイン」をテーマに10月22日(土)から11月7日(月)まで西武百貨店池袋本店で開催される「暮らしのデザイン展2022 ケアとアートとデザインと」に、本年度受賞したケアに関するデザインとして展示されます。 受賞のコメント(村田教授) 「乳がん術後の女性も気兼ねなく大きなお風呂に入れるようにしたい」という看護医療学科の中西先生からの提案で始まった入浴着の研究で、2022年度グッドデザイン賞をいただくことができました。 グッドデザイン賞に応募したきっかけは、私たちが開発した入浴着をより多くの方に知っていただきたい、そして温浴施設で入浴着を着用して入浴を楽しめるようになって欲しいと考えたことからでした。研究が始まった2016年当時は入浴着の認知度は低く、奈良県の入浴施設では入浴着はほとんど普及していませんでした。私たちは乳がん患者の方、入浴施設の方への調査を行い入浴着に求められる要件を探ると同時に、入浴着にふさわしい素材を探して数多くの生地メーカーを回りました。「疎水性の繊維」を見つけると、生地を編んでもらい入浴着を試作、試着を繰り返しましたが、なかなか入浴着に求められるお湯切れがよい生地を実現することが出来ませんでした。そのような中、偶然にも本入浴着に使用している不織布との出会いがあり、一気に研究が進展しました。コロナ禍であったことから衛生的、清潔をキーワードに「持ち込み式入浴着」から「使い切り入浴着」の開発へと舵を切ることにしたのです。この入浴着は小さな衣料ですが、乳がん患者さんからいただいた声、入浴施設からの要望、研究チームの願いなどが沢山詰まっています。素材、デザイン、着脱、清潔、着用感など色々な工夫を行ったことで、グッドデザイン賞として評価されたのだと思います。 県内では奈良健康ランドや杉の湯さんから始まり、ピンクリボンのお宿でもある和倉温泉 加賀屋さんでも導入され、大手ECサイトでの取り扱いも広がり、新聞やテレビでも取り上げていただきました。乳がんになった友人の娘さんが偶然この入浴着を見つけて購入し、実際に利用していると聞き、この研究が人の役に立っていることを実感しました。誰もが温泉を安心して楽しめる環境になることを祈っています。 最後に本入浴着を開発するにあたり、ご協力いただいたみなさまに心から感謝申し上げます。 グッドデザイン賞 1957年に創設された日本で唯一の総合的なデザイン評価・推奨の仕組みです。デザインを通じて産業や生活文化を高める運動として、国内外の多くの企業やデザイナーが参加しています。受賞のシンボルである「Gマーク」は、良いデザインを示すシンボルマークとして広く親しまれています。 問い合わせ先 人間環境デザイン学科 教授 村田 浩子 Email:h.murata@kio.ac.jp 商品に関しては、株式会社GSIクレオスまで直接お問い合せください。 マテリアル部 営業第二課 Tel:03-5643-3140 0120-50-6036 関連記事 グッドデザイン賞ホームページ(バスタイムトップス) 日本初、乳がん術後女性のQOL向上を支援する「使い捨て入浴着」が商品化されました。 【プレスリリース】日本初、乳がん術後女性のQOL向上を支援する「使い捨て入浴着」を開発 人間環境デザイン学科
2022.09.30
【事前予約制】第20回畿央祭を10/22(土)、23(日)に開催します
対面・オンラインを併用して開催! 昨年は対面企画については在学生限定での開催でしたが今年は学外の方にもご参加いただけるよう、人数限定・事前申込制(申込先着順)で開催いたします!対象者の属性や参加企画によって申込フォームが異なりますので、下記ページをご覧の上、事前予約をお願いいたします。 ▼クリックでジャンプします 地域・一般の方向け「ウェルカムキャンパス」 卒業生対象「畿桜会総会・同窓会サロン」 在学生対象 保護者対象 受験生・高校生対象「ミニオープンキャンパス in 畿央祭」 開催日時 2022年10月22日(土)・23日(日) 10:00~17:00 各プログラムの内容やタイムテーブルは畿央祭特設HPで随時更新していきます! 畿央祭ホームページ 1.地域・一般の方向け「ウェルカムキャンパス」 10月1日(土)事前予約スタート! ご希望のプログラムに参加していただいた前後には、畿央祭の他のプログラムにもご参加いただけます。申込先着順となりますので、予めご了承ください。 ウェルカムキャンパス 2.卒業生対象「畿桜会総会・同窓会サロン」※10/23のみ コロナ禍で対面開催できていなかった「畿桜会総会」を、畿央祭の2日目に、3年ぶりに対面で行うことになりました。また、総会に引き続いて「同窓会サロン」も開催します。恒例のガラガラ抽選会も! 畿桜会ホームページ 3.在学生対象 10/3(月)事前予約スタート! 9/28(水)に発信されたKiTssのお知らせをご覧の上、事前予約をしてください。 畿央祭ホームページへ 4.保護者対象 10/3(月)事前予約スタート! 申込方法は、9/29発送の「後援会だより」をご確認ください。 畿央祭ホームページへ 5.受験生・高校生対象 10月3日(月)事前予約スタート! 高校生の方向けには、ミニオープンキャンパスを開催します。畿央祭の雰囲気を楽しめるオープンキャンパスはこの2日間限定です! 入試総合サイトへ
2022.09.29
【卒業生限定】10/23(日)畿桜会(同窓会)総会・同窓会サロンを開催します。
2022.09.29
河合町と包括連携協定の調印式を行いました。
畿央大学は2022年9月28日、河合町役場において「河合町・畿央大学との包括的な連携協力に関する協定書」を取り交わす調印式を行いました。 この調印式には河合町から清原和人町長、谷本昌弘議長、田中敏彦副町長、清原正泰教育長、森嶋雅也企画部長、本学から冬木正彦学長、植田政嗣健康科学部長、前平泰志教育学部長、三井田康記地域連携センター長、小野巧大学事務局長に出席いただきました。協定の趣旨について説明された後、清原町長と冬木学長が協定書に署名いたしました。 現時点では具体的な取り組みとして、 授業「ランドスケープ演習」を通した地域課題の解決につながる取組 河合町特産の大和の黒豆「KAWAI BLACK」を活用したレシピ提案 お互いの街を知り交流を深めるための「竹馬クイズラリー」 を既に行っています。 今後は河合町と畿央大学相互が人的・知的資源の交流・活用を図り、河合町におけるまちづくり、健康づくり、子育て支援や教育等の充実等多岐にわたる分野で協力し、地域社会の総合的な発展と大学の学術研究の深化に継続して努めてまいります。 河合町との包括的な連携協力は奈良市・香芝市・大和高田市・御所市・橿原市・広陵町・斑鳩町・宇陀市・田原本町に続き10市町村目となります。 【関連リンク】 自治体等との協定一覧 【広陵町×河合町】小学生を対象とした「竹馬★クイズラリー」を実施しました!~人間環境デザイン学科清水ゼミ 河合町の親子減塩教室「みんなで減塩マスターになろう!」に参加しました!~ヘルスチーム菜良~
2022.09.20
10/21(金)第15回理学療法特別講演会「脳卒中急性期のリハビリテーションを語ろう」をオンライン開催します。
2022.09.13
11/26(土)看護実践研究センター 第8回研修会「医療的ケア児と家族が安心して暮らせる地域づくり」を開催します。
畿央大学看護実践研究センター地域包括ケア部門では、下記要領で「医療的ケア児と家族が安心して暮らせる地域づくり」をテーマにした研修会を対面・オンラインにて開催いたします。ぜひご参加ください。 日時 2022年11月26日(土)13:30~15:30 開催方法 講演60分・質疑応答等30分 ①対面開催 畿央大学P201講義室(先着50名) ②Zoomウェビナー開催(先着50名) ※事前にZoomのダウンロードをお願いします。 ①②のどちらかをお選びください。 対象 看護師・保健師・教育関係者ほか 講師 絹川 美鈴氏 大阪発達総合療育センター医療コーディネート事業室 (同センター 元訪問看護ステーションめぐみ所長) 参加費 無料 申込方法 下記の申込ページ(チラシのQRコードからも読み取り可)からお申込みください。 インターネット環境がない方はFAXでもお申込みいただけます(チラシ裏面を参照ください)*申込期限が11月16日(水)から11月24日(木)までに延長になりました。 申込ページ 問い合わせ先 畿央大学看護実践研究センター地域包括ケア部門 田中陽子 TEL:0745-54-1601(代)【平日 9:00~17:00】 E-mail:y.tanaka@kio.ac.jp ▼画像クリックでチラシPDFが開きます。