健康科学専攻(博士後期課程)
2018.03.14
金子章道健康科学研究科長・健康科学部長の最終講義が行われました。
2018年3月13日(火)、本学にて健康科学研究科長・健康科学部長である金子章道教授の「最終講義」が行われました。 金子教授は2007年に畿央大学に赴任され、11年間にわたり本学で教鞭をとってこられました。学部生、大学院生のご指導、後継の研究者育成にご尽力いただいた功績から、栄誉教授の称号が付与されます。 「網膜研究とともに過ごした50余年 ― 三色説から側抑制まで ― 」と題して行われた最終講義では、学部生、大学院生、卒業生、修了生、教員、職員、金子教授の共同研究者など120名を超える多くの方々が出席され、熱心に聴講しました。 最終講義終了後には金子教授の長年にわたる研究・教育に対するご尽力とご功績に感謝と敬意を込めて、感謝の会を行ないました。 畿央大学関係者一同、金子教授の研究者、教育者としての熱意を受け継ぎ、教育研究活動に邁進してまいります。 ▶畿央大学公式facebookページ(最終講義のフォトレポート)
2017.11.06
平成29年度の科研費採択件数、私立大学で全国8位に(学生数5,000人未満)
学生数5,000人未満の私立大学で採択件数が全国8位(関西1位)にランクイン 文部科学省から科学研究費助成事業(通称「科研費」)の配分結果が公表されました。本学における平成29年度科研費は、新規応募件数49件に対し、新規採択件数20件(新規採択率40.8%)という結果でした。現在継続中の研究課題とあわせて、平成29年度は本学から49件の研究課題が採択されています。在籍者数1)5,000人未満の私立大学2)では全国8位(5,000人以上の大学を含めると全国56位)、関西私立大学で1位(平成28年度に引き続き2年連続)に位置しています。 1) 大学の在籍者数は私立大学協会「大学ポートレート」各大学 学生情報>在籍者数2017年より抜粋 2) 医歯薬学部附属病院をもつ大学を除く 【科研費について】科学研究費助成事業は、人文・社会科学から自然科学まで全ての分野にわたり、あらゆる「学術研究」を格段に発展させる独創的・先駆的な研究に対する助成を行うものです。科研費は国の最大の研究支援であり、大学の研究力を表す指標の一つと言えます。 また、新規応募件数40件以上の大学で、新規採択率40.8%は全国6位、私立大学では全国1位でした。科研費採択結果は本学の研究力の高さを客観的に示しており、高い研究力に裏付けられた質の高い教育が提供されている証明の一つと言えます。 全国私立大学 科研費採択件数ランキング ※医歯薬学部附属病院のある大学を除く 全国56位/在籍者数5,000人未満の私立大学で全国8位 ※黄色マーカーは在籍者数5,000人未満の大学 応募件数40件以上での科研費新規採択率 ※新規採択件数÷新規応募件数 全国6位/私立大学では全国1位 科研費関連の過去記事およびランキング記事 平成29年度科研費交付内定、採択率は50%に 科研費採択件数、学生数5,000人以下の私立大学で関西1位に(平成28年度) 就職率関西4位~AERAムック「就職力で選ぶ大学2018」
2017.11.02
軽く身体に触れることでもたらされる無意識的な二者間姿勢協調と社会的関係性の関係を解明~畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター
介護者やリハビリテーション専門家がバランス能力の低下した対象者の身体に触れ、 姿勢や動作を介助することの社会心理学的意義を明らかに ヒトが静かに立っている時は、一見動いていないように見えて、実は狭い範囲で揺れながら安定しています。この揺らぎは、相手の身体に軽く触れるだけで互いに同調するという現象が報告されており、”二者間姿勢協調”と呼ばれています。畿央大学大学院健康科学研究科の石垣智也らは、この二者間姿勢協調が「仲の良さ」に影響されているのではないかという仮説を立てて検証しました。参加者は知人や友人、親友など、既に顔見知りにある同性ペアであり、それぞれパートナーへの仲の良さを心理アンケートにて評価しました。立っている時の身体の揺らぎは、重心動揺計を用いて「相手に軽く触れた状態(ライトタッチ)」で計測しました。その結果、ペアになっている2人の仲が良ければ良いほどお互いの身体の揺らぎが似てくるという結果が得られました。 つまり、“二者間姿勢協調”は二者間の良好な親密性と関係していることが明らかになりました。本研究結果は、ヒトとヒトの姿勢協調のメカニズムにおける社会心理学的側面を明らかにしたもので、介護者やリハビリテーション専門家がバランス機能の悪い患者さんの身体に触れることの社会心理学的意義を明らかにしたものとなります。 この研究成果は、Frontiers in Psychology誌(Association between Unintentional Interpersonal Postural Coordination Produced by Interpersonal Light Touch and the Intensity of Social Relationship)に掲載されています。 研究概要 手をつないで歩く、ペアでのダンス、そして介護やリハビリテーション場面における動作介助など、身体接触を介して二者の姿勢や運動が影響し合うことがあります。この際、身体接触から加えられる情報は、接触による力学的要因と感覚的要因に分けられます。加えられる力による姿勢や運動への影響は明らかなことですが、本研究では、後者の感覚的要因、つまり身体接触により生じる触覚情報の影響に着目しています。ヒトの安静立位は一見すると安定しており、運動は生じていないようにみえますが、実際には狭い範囲で常に姿勢は揺ぎながら安定しています。この際、二者が互いに軽い身体接触を行うと、両者の姿勢の揺らぎが無意識的に類似すること(二者間姿勢協調)が知られています。これは、姿勢を制御するために用いている感覚情報に、パートナーの姿勢の揺らぎを反映した触覚情報が取り入れられるために生じると考えられています。一方、社会心理学的な知見によると、運動の二者間協調(模倣や身体同調などとも呼ばれています)は両者の社会心理学的な関係の良さを反映するとともに、良好な関係を形成する“社会的接着剤”として機能していることが知られています。しかし、これまでの研究では、立位姿勢の揺らぎという複雑で無意識的な運動の二者間協調に対して、社会的な関係の良さが影響しているかは明らかになっていませんでした。そこで研究グループは、身体接触による触覚情報から生じる無意識的な二者間姿勢協調と、相互作用する二者の社会的関係性との関係を検討しました。 実験では、既存の社会的関係(知人、友人または親友)にある同性ペアを対象に、それぞれパートナーへの関係性(親密度)を評価しました。その後、閉眼安静立位姿勢にて身体接触を行わない条件(非接触条件)と、接触による力学的影響を最小化するライトタッチという方法(約102g未満の接触力)で軽い身体接触を行う条件(接触条件)の姿勢の揺らぎを二者同時測定し、姿勢の揺らぎの類似性とペアの親密度との関係を分析しました。結果、対象者の自覚なしで接触条件では非接触条件に比べて高い揺らぎの類似性を認め、接触条件で無意識的な二者間姿勢協調を生じていることが確認されました。さらに、この姿勢協調の程度とペアの親密度との関係を分析したところ、左右方向(パートナーが立っている側)における姿勢協調の程度と親密度においては正の関係(親密度が高いほど姿勢の揺らぎが類似する)を示したのに対し、前後方向では負の関係(親密度が低いほど姿勢の揺らぎが類似する)を示しました。 つまり、身体接触による触覚情報から生じる無意識的な二者間姿勢協調は、相互作用する二者の社会的な関係性(親密度)と関係していることが明らかとなりました。 本研究のポイント 軽く身体に触れることで示される無意識的な姿勢の揺らぎの類似性は、相互作用する二者の親密度と関係することを明らかにしました。 研究内容 本研究では、身体接触による触覚情報から生じる無意識的な二者間姿勢協調と、相互作用する二者の社会的な関係性との関係を検討しました。実験は、既存の社会的関係(知人、友人または親友)にある同性ペアを対象に行い、はじめに、それぞれ別室でパートナーとの関係性を問う複数の心理アンケート行い、その結果をもとにパートナーへの親密度を評価しました。その後、安静立位姿勢にて軽い身体接触を行う条件(非接触条件)と、接触による力学的影響を最小化するライトタッチという方法(約102g未満の接触力)で軽い身体接触を行う条件(接触条件)(図1)の姿勢の揺らぎを二者同時測定し、測定後に「相手と自分の姿勢の揺らぎが似ていると感じたか」という問いに対する内省を得ました。 【図1 実験条件】安静閉眼立位でパートナーの側方に位置し、示指でパートナーの示指に軽く接触を行います。※軽く接触する程度はライトタッチ(約102g未満の接触力)の設定で行われています。 結果、対象者の自覚なしに接触条件では非接触条件に比べて高い揺らぎの類似性を認め(図2)、接触条件で無意識的な二者間姿勢協調を生じていることが確認されました。 【図2 姿勢の揺らぎの類似性】左右方向・前後方向の揺らぎともに、接触条件では非接触条件に比べて高い揺らぎの類似性を認めています さらに、この二者間姿勢協調の程度とペアの親密度との関係を、階層線形モデリングという個人とペアのデータ構造を扱う統計手法で分析したところ、左右方向(パートナーが立っている側)における姿勢協調の程度とペアの親密度は正の関係(両者が親密と感じているほど強く協調する)を示し、前後方向では負の関係(両者が親密と感じているほど協調は弱い)を示しました(図3)(図4)。 【図3 接触条件における二者間姿勢協調と親密度との関係】ダイヤが個々の値、丸がペアでの値を示します。いずれの値も左右方向における二者間姿勢協調の程度と親密度において正の関係を示しており、前後方向では負の関係が示されていることを確認できます 【図4 階層線形モデリングの結果】左右・前後ともに接触条件の揺らぎの類似性が、それぞれペアの親密度に対して正の関係、負の関係を示す要因であることを示しています。 この研究結果に対して研究グループは、良好な親密度は、姿勢制御のために用いられる感覚情報として、パートナーの揺らぎを反映した触覚情報を自身の揺らぎの情報よりも優先的に取り入れるように作用するため、二者間姿勢協調と親密度に関係が示されたと考察しています(図5)。また、揺らぎの方向で関係が異なったことについては、側方に二者が近接して位置された立位条件で実験が行われており、左右方向において強くパーソナルスペースに侵入する設定になっていたことが要因ではないかと考察しています。 【図5 本研究結果のモデル図】ペアの親密度がお互いのパートナーからの情報を取り込む程度を調整することを示しており、ペアの親密度が良好であれば合成された情報の多くに、パートナーの姿勢の揺らぎを反映した情報(自身の情報は相対的に減少)が含まれることを意味しています。 本研究の意義および今後の展開 本研究成果は、触覚情報を用いたヒトとヒトの姿勢運動制御の相互作用を理解する基礎的知見のひとつになるものと期待されます。また、この基礎的知見は、介護者やリハビリテーション専門家がバランス能力の低下した対象者の身体に触れ、姿勢や動作を介助することの社会心理学的意義の解釈を示唆しているものとも言えます。本研究により、二者間姿勢協調における社会心理学的側面の一部が明らかとなりましたが、運動学的側面や神経科学的側面の理解は未だ明らかになっていない点が多く、この点に対する更なる基礎研究が望まれます。さらに、今後はこのような二者間協調の視点をもって、療法士と患者などを対象とした臨床場面における研究展開も望まれます。 論文情報 Association between Unintentional Interpersonal Postural Coordination Produced by Interpersonal Light Touch and the Intensity of Social Relationship. Ishigaki T, Imai R, Morioka S. Frontiers in Psychology. 2017 (doi: 10.3389/fpsyg.2017.01993) 問い合わせ先 畿央大学大学院健康科学研究科 博士後期課程 石垣 智也(イシガキ トモヤ) Tel: 0745-54-1601 Fax: 0745-54-1600 E-mail: p0611006@gmai.com 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター センター長 森岡 周(モリオカ シュウ) Tel:0745-54-1601 Fax: 0745-54-1600 E-mail: s.morioka@kio.ac.jp
2017.10.17
腱振動刺激による運動錯覚の鎮痛メカニズムに新たな発見~ニューロリハビリテーション研究センター
腱振動刺激による運動錯覚の惹起で鎮痛効果と運動機能の改善を確認 畿央大学大学院健康科学研究科博士後期課程の今井亮太らは、橈骨遠位端骨折(ころんで手をついた際におこる骨折で、頻度の高い疾患)術後患者に腱振動刺激による運動錯覚を引き起こすことで痛みの軽減と運動機能の改善が認められたことを確認してきました。(2016 / 2017) 本研究は、この振動刺激による運動錯覚の鎮痛効果に関与する神経活動(脳波研究)を調査したものであり、感覚運動関連領域の興奮と鎮痛との間の関係性を確認したものです。この研究成果は、NeuroReport誌(Effects of illusory kinesthesia by tendon vibratory stimulation on the post-operative neural activities of distal radius fracture patients)に掲載されています。 研究概要 2016年、2017年に今井らは、橈骨遠位端骨折術後患者に対して腱振動刺激による運動錯覚(腱に振動刺激を加えると筋紡錘が興奮し、刺激された筋が伸張しているという情報が脳内へ伝えられることによって「あたかも関節運動が生じているような運動錯覚」が生じる現象)を惹起させることで、痛みの感覚的側面や情動的側面の改善だけではなく、運動機能にも改善が認められたことを報告してます。運動錯覚時には実際に運動するときと同様の脳活動が得られることと、鎮痛には運動関連領域の活動が関与していることが明らかにされていました。しかしながら、この運動錯覚時に認められる感覚運動関連領域の活動が鎮痛効果に関与するかどうかは不明瞭なままでした。 そこで本研究では、橈骨遠位端骨折術後患者に対して腱振動刺激による運動錯覚を惹起させ、脳波を用いて運動錯覚中の感覚運動関連領域と痛みとの関連性を調査しました。その結果、すべての患者が運動錯覚を惹起したわけではありませんでしたが、運動錯覚を惹起した群(9名中6名)は、運動時や運動錯覚時に認められる脳活動が感覚運動関連領域に認められました。 つまり、痛みが強く運動が困難な術後患者でも、運動錯覚を惹起していることが脳活動の側面から示されました。そして、感覚運動関連領域の活動の程度と痛みの変化量(術後7日目~術後1日目)に有意な負の相関関係(脳活動が高いほど痛みの減少量が大きい)が認められました。 これらのことから、術後早期から運動錯覚が惹起可能であり、かつ振動刺激によって感覚運動関連領域が強く興奮する患者においては、痛みに対する介入効果が大きいことを示しました。 本研究のポイント ●術後翌日から腱振動刺激による運動錯覚を惹起させることで、感覚運動関連領域の神経活動が認められた。 ●感覚運動関連領域の活動の程度が鎮痛の効果量に関係している。 研究内容 橈骨遠位端骨折術後から腱に振動刺激を与えながら(図1)、その時の脳活動を脳波計で測定しました。 そして、運動錯覚が惹起した群と惹起しなかった群の脳活動と痛みを比較しました。 図1:腱振動刺激による運動錯覚の課題状況 脳波解析の結果、運動錯覚を惹起した群では感覚運動関連領域の活動が認められましたが、運動錯覚を惹起しなかった群では認められませんでした。(図2) 図2:腱振動刺激時に認められた脳活動(*青色の方が活動の強いことを意味する) 左:動錯覚を惹起した群 右:運動錯覚を惹起しなかった群 安静時痛の変化量と感覚運動関連領域の活動に有意な負の相関関係が認められました。(図3) つまり、感覚運動関連領域の活動が大きいほど、鎮痛の効果量も大きいことが示されました。 図3:左感覚運動領域と右感覚運動領域の活動と安静時痛の変化量 今後の展開 痛みが抑制されたメカニズムが明確になっていないため,今後は神経生理学メカニズムの詳細を明らかにしていきます。 関連する先行研究 Imai R, Osumi M, Morioka S. Influence of illusory kinesthesia by vibratory tendon stimulation on acute pain after surgery for distal radius fractures: A quasi-randomized controlled study. Clin Rehabil. 2016; 30: 594-603. Imai R, Osumi M, Ishigaki T, Morioka S. Effect of illusory kinesthesia on hand function in patients with distal radius fractures: a quasi-randomized controlled study. Clin Rehabil. 2017.31:696-701 論文情報 Imai R, Osumi M, Ishigaki T, Kodama T, Shimada S, Morioka S. Effects of illusory kinesthesia by tendon vibratory stimulation on the postoperative neural activities of distal radius fracture patients. Neuroreport. 2017 Oct 11. 問い合わせ先 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター センター長 森岡 周(モリオカ シュウ) Tel: 0745-54-1601 Fax: 0745-54-1600 E-mail: s.morioka@kio.ac.jp
2017.09.27
運動‐知覚の不協和が主観的知覚と筋活動に及ぼす影響~ニューロリハビリテーション研究センター
運動-知覚の不協和が運動麻痺の回復を遅らせる重要な要因であることを明らかに 脳卒中後に運動麻痺が生じると“自分の手が思い通りに動かない”、いわゆる運動の意図と実際の感覚フィードバックが解離した状態になります。このことは「運動‐知覚の不協和 (Sensorimotor incongruence)」と呼ばれており、さまざまな問題を引き起こす要因として考えられてきました。畿央大学ニューロリハビリテーション研究センターの森岡周教授と大住倫弘特任助教らは、明治大学理工学部の嶋田総太郎教授らと共同で、仮想的に“自分の手が思い通りに動かない”という実験環境を用いて、運動‐知覚の不協和が身体の違和感だけでなく、実際の運動をも変容させてしまうことを実験的に明らかにしました。この研究成果はHuman Movement Science誌(Sensorimotor incongruence alters limb perception and movement)に掲載されています。 本研究は明治大学理工学部 嶋田総太郎教授らと共同で行われたものです。また、文部科学省 科学研究費補助金 新学術領域研究「脳内身体表現の変容機構の理解と制御」の支援(研究課題番号15H01671)を受けて実施されています。 研究概要 脳卒中によって生じる運動麻痺によって“自分の手が思い通りに動かない”という訴えは臨床現場で非常に多く聴かれます。これは「動かそう」という意図に反して、「実際には動かない」という感覚フィードバックに直面した結果としての訴えであり、「運動‐知覚の不協和」と呼ばれたりします。畿央大学ニューロリハビリテーション研究センターの森岡周教授と大住倫弘特任助教らは、明治大学理工学部の嶋田総太郎教授らと共同で、映像遅延システムを用いて仮想的な運動‐知覚の不協和を起こすことによって “手が自分のもののように感じない” “手が重だるくなってきた”という主観的な異常感覚を惹起させるだけでなく、実際の筋活動量も減少させてしまうことを明らかにしました。この研究成果は、運動‐知覚の不協和そのものが運動単位の動員を妨げることを明らかにしたとともに、運動‐知覚の不協和が起こることによって、運動麻痺の回復を遅延させてしまう重要な要因を示したものです。 本研究のポイント 映像遅延システムを用いた実験によって、運動‐知覚の不協和が主観的な異常感覚だけでなく、運動実行までも変容させてしまうことを明らかにした。 研究内容 健常大学生を対象に、映像遅延システム(図1)の中で手首の曲げ伸ばしを反復させます。映像遅延システムでは、被験者の手の鏡像をビデオカメラで捉えて、そのカメラ映像を「映像遅延装置」経由でモニターへ出力させます。出力されたモニター映像を鏡越しに見ることによって自分の手を見ることができるものの、映像遅延装置によって作為的に映像出力が時間的に遅らされるため、被験者は“あれ?自分の手が遅れて見えるんだけど” “うぅ…自分の手が思い通りに動いてくれない”という状況に陥ることになります。 図1:映像遅延システムを用いた実験自分で動かした手が時間的に遅れて映し出される細工がされている。こうすることによって、ヒトの運動‐知覚ループを実験的に錯乱させることができ、“思い通りに動かない”という状況を仮想的に設定することができる。(技術提供:明治大学 理工学部 嶋田総太郎 教授) 実際の実験では、① 0ミリ秒遅延、② 150ミリ秒遅延、③ 250ミリ秒遅延、④ 350ミリ秒遅延、⑤ 600ミリ秒遅延の5条件で手首の反復運動を被験者に実施してもらいました。運動中の筋活動は無線筋電計で計測し、「身体所有感」と「手の重だるさ」はアンケートで定性的に評価しました。 実験の結果、動かした手の映像を250ミリ秒以上遅らせて視覚的にフィードバックさせると、“自分の手のように感じない”や“手が重だるくなってきた”という変化が生まれました。遅延時間をさらに長くするとそれらの異常知覚が増大することも確認されました(図2)。 図2:運動-知覚の不協和による主観的異常知覚の惹起 一方で、反復運動中の筋活動量と運動リズムは、動いている手の映像を150 ミリ秒遅らせただけで変容することが確認されました(図3)。 以上のことから、“手が思ったように動かない” 状況は異常知覚だけでなく、運動実行までをも変容させてしまうということが明らかにされました。 図3:筋活動量と反復運動のペースは,動いている手の映像を150 ミリ秒遅らせただけで変化が生じる. 本研究の意義および今後の展開 本研究成果は、運動‐知覚の不協和が運動麻痺の回復を遅らせてしまう重要な要因の1つであることを示唆するものです。そのため、理学療法士や作業療法士による運動アシストによって運動‐知覚の不協和を最小限にしながらリハビリテーションを進める、あるいは錯覚技術を駆使して“思い通りに動かすことができる”経験を積むことの重要性を提唱する基礎研究となります。今後は、運動‐知覚の不協和を最小限にするリハビリテーションを開発する予定です。 関連する先行研究 Shimada S et al. Rubber hand illusion under delayed visual feedback. PLoS One. 2009 Jul 9;4(7):e6185. 論文情報 Osumi M, Nobusako S, Zama T, Taniguchi M, Shimada S, Morioka S. Sensorimotor incongruence alters limb perception and movement. Human Movement Science 2017. 問合せ先 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センターセンター長 森岡 周(モリオカ シュウ)Tel: 0745-54-1601Fax: 0745-54-1600E-mail: s.morioka@kio.ac.jp
2017.05.20
経頭蓋直流電流刺激によって社会的認知機能が向上することを明らかに~畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター
経頭蓋直流電流刺激により社会的認知機能が向上することを明らかに 自閉症スペクトラムに関連する社会性の神経メカニズムを説明する基礎的知見へ 「自他区別」、すなわち自分の思いや考えと他者の思いや考えは異なることがあると理解した上で、他者の考えや意見を参考にしつつ、自身の考えや意見をより良いものにしていく能力は、社会生活において重要です。一方で、「視点取得」すなわち他者の視点に立って物事を考える能力は、他者の意図や感情といった心的状態を適切に理解する上で重要です。畿央大学ニューロリハビリテーション研究センターの信迫悟志らは,経頭蓋直流電気刺激(transcranial Direct Current Stimulation:以下,tDCS)を用いて、右頭頂-側頭接合部および右下前頭皮質の神経活動を促進すると、「自他区別」や「視点取得」といった社会的認知機能が向上することを明らかにしました。これは、社会性の神経基盤を説明する基礎的知見になるものと期待されます。この研究成果は、Frontiers in Behavioral Neuroscience誌(Transcranial direct current stimulation of the temporoparietal junction and inferior frontal cortex improves imitation-inhibition and perspective-taking with no effect on the Autism-Spectrum Quotient score)に掲載されています. 研究概要 自閉症スペクトラムは、主に社会性に困難を認める発達障害です。自閉症スペクトラムの神経科学的な説明として、右頭頂-側頭接合部(Temporo-Parietal Junction:以下、TPJ)や右下前頭皮質(Inferior Frontal Cortex:以下、IFC)の機能不全が指摘されています。TPJは他者の心的状態を見出したり推論したりする能力(メンタライジング)の中核領域とされています。IFCは、模倣や共感の神経基盤とされるミラーシステムの主要領域です。 「自他区別」や「視点取得」のような社会的認知能力を客観的かつ定量的に測定するのには、困難が伴います。そんな中、自他区別能力を反映する課題として、模倣抑制課題(図1)があります。この課題は、画面上に表示された数字に従って、人差し指か中指を持ち上げる課題です(①なら人差し指、②なら中指)。その際、指示と動画が一致している条件と異なっている条件があります。通常、ヒトは目前の他者の運動を真似ることよりも、他者の運動と異なる運動をすることの方が難しくなります。これは模倣や共感を担うミラーシステムの自動的活性化によるためとされています。したがって、ミラーシステムの働きによって、一致条件の反応時間や正答率は促進され、逆に不一致条件では他者運動に干渉を受けて、反応時間が遅くなったり、正答率が低下します。つまり他者の運動につられてしまうわけです。この影響を「模倣干渉効果」と呼び、それが小さくなるほど自他区別がしっかりできていることの一指標となります。 図1:模倣抑制課題 また視点取得課題(図2)では、素早く他者の視点に立って物事を見る能力を定量的に測定することができます。図2の視点取得条件をご覧ください。あなたはラックの手前に立っています。ラックの向こう側では、男性があなたに向かって「1番大きなコップに触れてください」と指示を出しています。実際、1番大きなコップは青丸で囲んだコップですが、この条件では指示を出している男性からはそのコップが見えていないことに気が付く必要があります。そして、男性が言っている1番大きなコップとは、赤丸で囲んだコップだと認識する必要があります。 図2:視点取得課題 信迫らの研究グループは、DCSという脳活動を修飾することできるニューロモデュレーション技術を用いて、自閉症スペクトラムにおいて機能不全が指摘されているTPJとIFCの脳活動を一時的に促進させた際の模倣抑制、視点取得、そして自閉症スペクトラム指数(Autism spectrum Quotient:以下,AQ)に与える影響について検討を行いました。AQとは、個人の自閉症傾向を測定するスクリーニング検査です。その結果、TPJ刺激とIFC刺激の両方において模倣抑制と視点取得が促進されることが示されました。一方で、AQには影響を及ぼさないことも示されました。 本研究のポイント tDCSによるニューロモデュレーション技術によって、自他区別や視点取得に関係する大脳皮質領域を明らかにした。 研究内容 本研究ではtDCSを用いて、TPJとIFCの神経活動を一時的に促進する手続きを加えることで示される模倣抑制や視点取得、AQへの影響を検討しました。実験では、右TPJを刺激する群と右IFCを刺激する群の二群を設定し、それぞれプラセボ刺激(脳活動に影響を及ぼさない刺激)を加え、模倣抑制課題と視点取得課題の正答率、反応時間およびAQを測定しました。その結果、TPJ刺激とIFC刺激の両方の群において、AQに対しては影響を及ぼさないものの、模倣抑制と視点取得の反応時間を促進することが示されました(図3,4). 図3:模倣抑制課題の結果 図4:視点取得課題の結果 模倣抑制は、眼前の他者運動を抑制して指示に従う必要があるため、他者を抑制し、自己を促進する課題とも言えます。一方で、視点取得は自分の見えを抑制して他者の視点に立つ必要があるため、自己を抑制し、他者を促進する課題とも言えます。このように一見すると対照的な課題ですが、本研究ではTPJとIFCの両方が両課題に関与していることが示されました。この研究結果に対して研究グループは、IFC(ミラーシステム)とTPJ(メンタライジング)は社会的認知において競合するシステムではなく、所与の行動的状況において適切な社会的相互作用を確実にするために、お互い相乗的・相補的に働くシステムであると考察しています。 本研究の意義および今後の展開 本研究成果は、自閉症スペクトラムに関連する社会性の神経メカニズムを説明する基礎的知見のひとつになるものと期待されます。本研究により、TPJとIFCの両方が自他区別と視点取得に貢献していることが明らかになりましたが、自閉症スペクトラム傾向を反映するAQとの関連については未だ明らかになっておらず、この点に対する更なる研究が望まれます。また、本研究成果は、模倣抑制や視点取得といった運動・行動課題による訓練が社会性の向上につながる可能性も示唆しており、今後は社会性向上を目指したニューロリハビリテーションに関する研究も望まれています。 論文情報 Satoshi Nobusako, Yuki Nishi, Yuki Nishi, Takashi Shuto, Daiki Asano, Michihiro Osumi, Shu Morioka. Transcranial direct current stimulation of the temporoparietal junction and inferior frontal cortex improves imitation-inhibition and perspective-taking with no effect on the Autism-Spectrum Quotient score. Frontiers in Behavioral Neuroscience. 2017 問合せ先 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 畿央大学大学院健康科学研究科 特任助教 信迫 悟志(ノブサコ サトシ) Tel: 0745-54-1601 Fax: 0745-54-1600 E-mail: s.nobusako@kio.ac.jp
2017.04.28
平成29年度 理学療法特別講演会「地域を支える理学療法士を目指して」(卒業生対象)
特別講演会は毎年、畿央大学卒業生に向けてリカレント教育(卒業後も幅広い知識を養う)を兼ねて行っています。地域での認知症予防・フレイル予防に従事しておられる鹿児島大学医学部保健学科の牧迫飛雄馬先生に、今後の理学療法士の動向についてお話し頂きます。 なお本講演は、受講料1000円にて卒業生以外の医療関係者にも公開させて頂きます。 日 時 2017(平成29)年11月26日(日)10:30~12:00 (10:00~受付) 会 場 畿央大学 L棟1階 L103講義室 講 演 地域を支える理学療法士を目指して ー今後理学療法士にどのような動きが求められるかー 講 師 牧迫 飛雄馬 先生 / 鹿児島大学医学部保健学科 受講料 無料(卒業生以外は1000円) 懇親会 12:30~14:00 講演会終了後、懇親会を予定しています。軽食・ソフトドリンクを用意しています(無料) 申込方法 下記①~⑥を明記の上、E-mail、ハガキ、FAXのいずれかでお申し込みください。受講証の発行は致しません。当日、直接受付にお越しください。 ①氏名(ふりがな) ②卒業年度 ③住所(郵便番号から) ④電話番号 ⑤メールアドレス(お持ちの方) ⑥所属先(団体名、病院名等) 申込み締め切り 2017年11月20日(月)必着 ※定員に若干の余裕があるため引き続き申し込みは受け付けますが、資料準備のため事前申込にご協力をお願いいたします。 郵送先 〒635-0832 奈良県北葛城郡広陵町馬見中4-2-2畿央大学 広報センター 理学療法特別講演会係 FAX : 0745-54-1600 E-mail:dousoukai@kio.ac.jp (件名に「理学療法特別講演会」と明記) お問合せ TEL:0745-54-1603(担当:増田、伊藤、鈴木) ※公共交通機関を利用してご参加ください。
2017.04.05
平成29年度入学式を行いました。
607名の新たな畿央生が誕生! 2017(平成29)年4月4日(火)、畿央大学健康科学部346名、教育学部220名、健康科学研究科28名(修士課程22名、博士後期課程6名)、教育学研究科(修士課程)4名、助産学専攻科9名あわせて607名の新しい畿央生が誕生しました。学部は午前10時、大学院と助産学専攻科は午後3時から入学式を行いました。 門出を祝うように雲ひとつない快晴のもと、新入生と保護者の方々でキャンパスは華やぎました。学科長から一人ひとり呼名され、初々しい面持ちで新入生が起立、冬木正彦学長による入学許可の言葉をしっかりと受け止めていました。学長式辞では、「冬木学園の一員として建学の精神を身につけ、能動的に学んでいただきたい。」と述べられました。 続いてご来賓の山村吉由広陵町長、香芝市の廣瀬教育長、清水隆平後援会長からも新入生へのエールの言葉をいただきました。 新入生代表健康栄養学科1回生の家崎明日佳さんから宣誓、在学生代表松岡紗夜さんから歓迎の言葉があり、閉式となりました。その後、教職員の紹介、学歌の紹介、学生による歓迎行事と続き、ジャグリング部とチアリーディング部が華を添えました。 また午後3時からは、大学院 健康科学研究科・教育学研究科および助産学専攻科の入学式が行なわれました。 大学院および専攻科の入学生、全員の名前が読み上げられ入学を許可された後、それぞれの研究科長、専攻科長から祝辞をいただきました。より高度な学びと研究活動に向けての決意を固める、緊張した中にも和やかな入学式となりました。 入学式の様子は、大学公式facebookページでもご覧になれます。
2017.03.16
平成28年度卒業証書・学位記・修了証書授与式を行いました。
2016(平成28)年度卒業証書・学位記・修了証書授与式が3月15日(水)に冬木記念ホールにて挙行され、健康科学部281名(理学療法学科67名・看護医療学科92名・健康栄養学科75名、人間環境デザイン学科47名)、教育学部153名、助産学専攻科7名、大学院27名(健康科学研究科修士課程22名、博士後期課程2名、教育学研究科修士課程3名)の合計468名を送り出しました。 10時に開式、国歌斉唱を終えると、学部学科ごとの代表者に卒業証書・学位記・修了証書が手渡されました。その後、学長表彰が行われ、特に優秀な成績を修めた学生が各学科1名選ばれ、表彰状と記念品が手渡されました。 冬木正彦学長による式辞では、「建学の精神である『徳をのばす、知をみがく、美をつくる』を卒業後も実践し、大学で培った仲間との絆や支えてくださる周囲の皆さんへの感謝の気持ちを忘れず、社会で活躍してください。」という言葉が送られました。続いて山村吉由広陵町長、清水隆平後援会長、唄大輔畿桜会長よりご祝辞をいただきました。 その後、学生自治会である畿友会長の光岡克真さんが在学生を代表して送辞を、卒業生を代表して現代教育学科の土山小梅さんが答辞を述べました。 午後4時からは会場をホテルニューオータニ大阪に移して「卒業パーティー」が開催されました。女子学生たちは袴姿からドレス姿にお色直しして再登場。全学科が一つのキャンパスにある本学では学科をこえた交流も多く、恩師を囲みながら仲間たちと終始笑顔の絶えない時間となりました。 大学公式facebookページに式典およびパーティーのフォトレポートを掲載しておりますので、合わせてご覧ください。 (facebookアカウントをお持ちでない方もご覧になれます) 卒業式 フォトレポート 卒業パーティー フォトレポート
2017.02.07
科研費採択件数、学生数5,000人以下の私立大学で関西1位に
学生数5,000人以下の私立大学で関西1位に、関西全体でも16位にランクイン 文部科学省から科学研究費助成事業(通称「科研費」)の配分結果が公表され、平成28年度は本学から39件1)の研究課題が採択されました。学部生在籍数5,000人以下の大学では関西1位となり、関西私立大学全体でも16番目に位置しています。 1)平成28年度に新たに採択された研究課題と平成28年度以前に採択された研究課題のうち、研究期間中にあるものを合算した件数 ※科学研究費助成事業は、人文・社会科学から自然科学まで全ての分野にわたり、あらゆる「学術研究」を格段に発展させる独創的・先駆的な研究に対する助成を行うものです。科研費は国の最大の研究支援であり、大学の研究力を表す指標の一つと言えます。例えばノーベル賞受賞者の東京工業大学 大隅良典栄誉教授や京都大学 山中伸弥教授も科研費による助成を得て研究をされてこられました。 科研費保有率は全教員の29.3%で、教員約3人に1人が科研費に採択されていることになります。本学の研究力の高さが証明された結果となりました。「教育」「研究」「社会貢献」がコラボしながら高いレベルで展開されていることが、本学の大きな特色と言えます。 関西私立大学 科研費採択件数ランキング(医科大・歯科大を除く) 順位機関名採択件数学部生数 1 立命館大学 527 32,580 2 近畿大学 410 32,325 3 同志社大学 366 27,053 4 関西大学 261 28,569 5 関西学院大学 256 23,498 6 龍谷大学 142 19,233 7 京都産業大学 121 12,806 8 甲南大学 83 9,256 9 大阪工業大学 82 6,745 10 摂南大学 78 8,083 10 武庫川女子大学 78 8,439 12 神戸学院大学 68 10,792 13 佛教大学 55 6,859 14 同志社女子大学 53 6,456 15 京都女子大学 40 6,102 16 畿央大学 39 2,116 16 追手門学院大学 39 6,500 ※採択件数は文部科学省ホームページから、学部生数は大学ポートレート(私学版)より抜粋 【その他のランキング記事】 週間東洋経済「本当に強い大学」 関西の私立大学で10位 2016年3月卒の就職率 関西3位~AERAムック「親子で探す 就職力で選ぶ大学2017」
2016.12.01
第14回日本神経理学療法学会で本学大学院生と客員研究員が主要3賞を受賞しました。
平成28年11月26日(土)27日(日)に開催された第14回日本神経理学療法学会学術集会にて、本学大学院生と客員研究員が最優秀賞・優秀賞・奨励賞を受賞しました.約180演題からの選出となっており、今回のトリプル受賞は本学における研究の質の高さが評価されたものです。 最優秀賞 藤井慎太郎さん(畿央大学大学院 修士課程) 「能動的注意と受動的注意からみた半側空間無視の病態特性 ―縦断記録による回復過程の把握―」 優秀賞 高村優作さん(畿央大学大学院 博士後期課程) 「能動的注意と受動的注意からみた半側空間無視の病態特性 ―クラスター分析による特徴抽出―」 奨励賞 生野公貴さん(畿央大学 客員研究員) 「脳卒中後の屈筋群優位な上肢緊張肢位を改善させる新たな機能的電気刺激方法の試み- 即時効果の検討 -」 当日の様子は最優秀賞に輝いた藤井さんが寄稿した畿央大学ニューロリハビリテーション研究センターホームページにてご覧になれます。
2016.10.13
ことばと表情の矛盾が信頼性を損ねることを脳波研究によって証明~ニューロリハビリテーション研究センター
ことばと表情の矛盾は信頼性を損ねる ー頭頂葉の働きに新たな発見ー 人間は言語のみならず、表情やしぐさといった非言語を用いてコミュニケーションをとっています。通常、これら言語、非言語の間には矛盾は起こらないのですが、状況によってはそれらに矛盾が生じる場合があります。例えば、ことばではもっともらしいポジティブなことを話していても、無意識にその表情がネガティブであるといったように。 畿央大学大学院健康科学研究科主任ならびに同大ニューロリハビリテーション研究センター長の森岡 周 教授らの研究グループは、社会的コミュニケーション手段における「言語」と「表情」の間に矛盾が起こると、その矛盾をあらわす人の信頼度が低下することを明らかにしました。また、表情を観察しながら、その人の信頼度をはかっている最中には、大脳皮質の中でも頭頂葉の働きが重要であることを脳波研究によって突き止めました。従来、ヒトの顔を認識している時には側頭葉が、行動の意思決定の際には前頭葉が働くことが明らかにされていましたが、頭頂葉の活動も他者の信頼度をはかるといった高次な認知処理に関与することが本研究によって明らかになりました。この研究成果は10月13日(US東部標準時間)付けで、国際学術雑誌の『PLOS ONE』に掲載されます。 研究のポイント ことばと表情の間に矛盾が起こると信頼度を損なうこと、そしてその信頼度をはかっている時には、頭頂葉の神経活動が重要であることを明らかにしました。 研究概要 人間は言語と非言語の両方を用いて適切にコミュニケーションをとっていますが、時折それらに矛盾が生じる場合があります。とりわけ、言語と表情の一致性・不一致性は円滑な社会的コミュニケーションにおいて重要な位置を占めています。 研究グループは、実験的に言語と表情の一致・不一致条件を作成し、その一致あるいは不一致を示す者に対する信頼度、ならびにその信頼度を評価している最中の脳活動を健康な成人で調べました。被験者に対してポジティブな意味を持つ「火事から子どもを救う」など15の文章、ネガティブな意味を持つ「友達を傷つける」など15の文章をランダムに呈示した後、笑顔の表情を示す顔、あるいは怒りの表情を示す顔を呈示し、その顔を観察した後、その表情を示す者に対する信頼度を被験者に決定させました。信頼度は金銭授受課題とし、被験者には「もしあなたの手元に10,000円があるとしたら、この人物(その表情を示す者)が金銭に困っている時、いくら与えることができますか」という問いを与え、被験者はモニタ上に呈示された「0円」「2,500円」「5,000円」「7,500円」「10,000円」の5水準から意思決定しました。その際の与えた金額ならびに意思決定までの反応時間を計測しました。その結果、反応時間に有意差は見られなかったものの、与えた金額において、ポジティブな言語に笑顔の表情といった矛盾がみられない場合に対して、ネガティブな言語に笑顔の表情といった矛盾がみられる場合において有意に低い値となりました(図1)。つまり、笑顔を示したとしても、言葉がそれにそぐわないと信頼度を損ねる結果が明らかになりました。 一方、その意思決定時の脳活動を脳波で記録したところ、矛盾が生じた場合、刺激呈示後300-700msに見られる遅い陽性波形(late positive potential: LPP)が頭頂葉で増加することが確認されました。本来、顔を観察している際には、側頭葉で観察される早い陰性波形(early posterior negativity : EPN)の振幅が増大することがこれまでの研究で示されていますが、今回はその波形には有意差がみられず、LPPに振幅増大を認めました(図2)。この結果は、頭頂葉が感覚情報や空間認知の処理に携わるだけでなく、人間がもつ社会的コミュニケーションに関連する機能を有していることが確認されました。 本研究の意義および今後の展開 本研究結果は、人間社会における円滑なコミュニケーションにとって重要な成果です。意識的に口では立派なことを言っても、無意識的に表情がそれにそぐわないなど、日常生活におけるコミュニケーションの齟齬に関する問題点を、信頼度の視点から突く成果となりました。とりわけ今回の結果は、ネガティブな言動の後、笑顔でごまかすといった状況が当てはまります。すなわち、自ら起こした行動や言動の失敗を時に笑ってごまかす場合がありますが、その場合、信頼性を損ねている可能性が十分に考えられる結果となりました。 これまでの研究から、意思決定の中枢としては前頭葉や前帯状回が挙げられていますが、今回の研究ではそれらに有意な活動の変化がみられませんでした。今後は本研究によって、脳波の振幅差が明確になった頭頂葉とそれら領域のネットワークについて調べ、言語・非言語コミュニケーションに関連するネットワークを調べる必要があります。 論文情報 Morioka S, Osumi1 M, Shiotani M, Maeoka H, Nobusako S, Okada Y, Hiyamizu M, Matsuo A. Incongruence between Verbal and Non-Verbal Information Enhances the Late Positive Potential. PLoS One. 2016, Oct 13. 問合せ先 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター センター長・教授 森岡 周(モリオカ シュウ) Tel: 0745-54-1601 Fax: 0745-54-1600 E-mail: s.morioka@kio.ac.jp
2016.10.05
大学院生の研究成果が神経学領域で最も権威ある雑誌「Brain」に掲載されました~健康科学研究科
脳卒中後の回復過程についての新たな発見 本学大学院健康科学研究科博士後期課程の高村優作さん(医療法人穂翔会 理学療法士)、国立障害者リハビリテーションセンター研究所運動機能系障害研究部の河島則天室長(兼 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 客員教授)、畿央大学ニューロリハビリテーション研究センターの森岡周教授らの研究グループは、脳卒中後に生じる「半側空間無視」の回復過程での重要な特徴を発見しました。半側空間無視は、空間にある物体やできごとを認識できない不思議な現象で、症状が残存すると復職時の妨げとなったり自動車運転再開の困難を招くなど、日常生活に大きな影響を及ぼします。研究グループは、半側空間無視の回復過程にある症例の多くが無視空間に注意を向けすぎる傾向があることを明確にし、脳の前頭領域を過剰に活動させる結果、疲れやすさや運動遂行の非効率化を招いていることを明らかにしました。今後の研究により、過剰に注意配分を行うことなく無視空間への気づきを高められるようなリハビリテーションを構築することで、日常生活での困難改善につながる可能性があります。この成果は9月23日付けで、神経学領域で最も権威ある雑誌『Brain』に掲載されます。 臨床と研究を両立する理学療法士の研究成果が世界的な国際雑誌であるBrainに掲載されることは極めて稀であり、快挙です。 研究概要 臨床現場での無視症状の判定には行動性無視検査(Behavioral Inattention Test:BIT)が用いられ、この検査にて基準点以上となることが無視症状の改善を推察する一つの判断基準となります。しかし、臨床経験上、基準点を上回るものの日常生活では依然として無視症状が残存し、生活に困難を持っている症例がいることも良く認識されています。そこで研究グループは、患者群を、①BITで基準点を下回る無視症状が明確な群、②基準点を上回るものの日常生活での軽微な無視が残存する群、③無視症状のない右半球損傷群に分類し、コンピューター画面上に表示されるターゲットを眼で追うような反応課題を実施し、眼球運動の特性と、課題実施時の脳活動を計測しました。その結果、無視あり群では課題実施前の視線は非無視空間である右側に傾き、左無視空間のターゲットへの反応性が低下することを確認し(従来どおりの知見)、一方、軽微な無視群では視覚刺激呈示前の時点であらかじめ、左無視空間へ視線を配分して課題に臨んでいることを確認しました。 研究内容 【図1:研究結果の概要】 患者さんはコンピュータスクリーン上の5つの●のうち、赤点灯するオブジェクトにできるだけ早く視線を移動させる課題を行います。右図のように、無視のない症例(③黒線)の場合には、刺激呈示前にはほぼ真ん中に視線を位置しており、オブジェクトの点滅に応じて、左右対称な視線移動の特徴を示します。一方、無視症状のある症例の場合(①)には刺激呈示前から右空間に視線があり、左空間にあるオブジェクトが点滅しても反応することが困難です。そして、無視症状が軽微に残存する症例(②)では、刺激呈示前の段階からあらかじめ左方向に視線を配分する結果を認めました。 上記のような左空間への視線偏向は、無視症状への認識の高まりとともに、意図的に行われる「代償」的な戦略であると予測されます。そこで、この代償戦略の背景にある脳活動を明らかにするために、USN+群,RHD群を対象として課題実施中の脳波計測を実施しました。 【図2:脳波計測結果の概要】 軽微な無視症状のある群(左)では、課題実施前の段階で前頭領域の活動が大きく、その活動量は視線の偏りと関連を持つことが明らかになりました。 冒頭に述べたように、臨床経験上、基準点を上回るものの日常生活では依然として無視症状が残存する症例が多いことが良く認識されています。今回の結果は、臨床検査で無視症状が改善したと判定される症例の多くが、無視空間への注意配分を高めることで機能低下を「代償」する戦略をとっていることを示唆するものです。脳波計測によって明らかとなった前頭領域の活動増加は、患者の多くが訴える課題実施時の易疲労性と大きく関連している可能性を示しています。 本研究の臨床的意義および今後の展開 軽微な無視症状の残存は、復職時の妨げとなったり、自動車運転再開の困難を招くなど、日常生活に大きな影響を及ぼします。従来より、無視症状のためには『無視』が生じていることへの気づきが重要であり、リハビリテーション現場および病棟生活においては、無視空間に注意を向けるようセラピストが言語教示による働きかけを行ったり、無視空間への注意配分を高めるような課題を実施するということは通例となっています。今回の研究成果は、無視空間に注意を向けすぎることで前頭機能の過剰な活動が生じ、結果として疲労を招く原因となる可能性を示しています。すなわち、無視症状への気づきを高めることの重要性とともに、過剰に注意を向けすぎることの弊害を認識することが重要であると考えられます。今後の研究の進展により、過剰な注意配分を要することなく、無視空間への気づきを高められるようなリハビリテーションが可能となれば、日常生活での困難を改善させる手がかりとなるかもしれません。この点に関して、同研究グループは、半側空間無視症状の改善には、従来重要視されてきた意図的な注意配分を促すようなアプローチとともに、外からの刺激に対しての反応性を促すような、外発的な注意機能を高めることが重要であると考えており、現在,症状改善のための新しいリハビリテーション方法の開発を進めています。 なお、本研究はJST(日本科学技術振興機構)研究成果最適展開支援プログラムA-STEP フィージビリティスタディ(FS ステージ:探索タイプ)の助成を受けて実施したものです。研究成果の一部は既に実用化され、製品販売されています。 関連記事 本研究成果は国立障害者リハビリテーションセンター プレスリリースにも掲載されています. 論文情報 Takamura Y, Imanishi M, Osaka M, Ohmatsu S, Tominaga T, Yamanaka K, Morioka S, Kawashima N. Intentional gaze shift to neglected space: a compensatory strategy during recovery after unilateral spatial neglect. Brain. 2016 Sep 23. (オンライン先行) 問合せ先 畿央大学大学院健康科学研究科 博士後期課程 高村優作(タカムラ ユウサク) Tel: 0745-54-1601 Fax: 0745-54-1600 E-mail: takamura0437@yahoo.co.jp 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 教授 森岡 周(モリオカ シュウ) Tel: 0745-54-1601 Fax: 0745-54-1600 E-mail: s.morioka@kio.ac.jp 国立障害者リハビリテーションセンター 研究所 運動機能系障害研究部神経筋機能障害研究室 室長 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 客員教授 河島 則天(カワシマ ノリタカ) Tel: 04-2995-3100 Fax: 04-2995-3132 E-mail: kawashima-noritaka@rehab.go.jp
2016.09.14
第2回畿央大学シニア講座「脳を学んでもっと元気に、健康に!」を開催しました。
9月6日(火)、畿央大学では昨年に引き続き地域のシニア世代の方々を対象に、「健康」と「教育」について学びを深めるための「畿央大学シニア講座」を開催しました。昨年からスタートし第2回目である今回は、「腰痛の理解を通じて考える脳と痛みの関係」をテーマに、座学による講義だけでなく体験を交えながら最新の知見を学んでいただきました。 今回の定員は当初30名としておりましたがすぐに満席となる盛況ぶりで、急遽定員増を先生方と相談し40名まで増やしました。しかしながら、それでも定員充足による申込の締切でキャンセル待ちが発生しました。今回ご希望に沿うことが出来なかった方々には、この場を借りてお詫び申し上げます。 本日は、畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター大住倫弘助教、信迫悟志助教より、「痛みとは」「痛みの捉え方・伝わり方のしくみ」「脳と痛みの関係」などについて資料を提示しながら説明がありました。日々生活する中で、体の痛みと付き合いながら生活をされている参加者の方も多く見られ、熱心に耳を傾けていました。 途中休憩を挟んで、後半は実際に体を動かし体験を交えながら理解を深めていきました。痛みの箇所・タイプに応じた体操やストレッチの方法について参加者の皆さんが実際に取り組みました。 体操やストレッチの方法について具体的に質問したり、悩んでいる体の痛みについて相談したりする姿は講義中終了後も続きました。参加者の方からは、「痛みについて理解が深まった」「今後も継続して運動を行っていきたい」などの声を数多くいただき、第2回シニア講座は好評に終了しました。 「健康」と「教育」の分野で地域課題に取り組むことも、本学の大切な使命です。今後も地域社会と連携し、様々な形で地域貢献、社会貢献に取り組んでいきます。
2016.08.02
身体運動制御学/高次脳機能学とニューロリハビリテーション研究会を開催しました。
2016年7月30日(土)、31日(日)に、畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター主催の『第2回 身体運動制御学とニューロリハビリテーション研究会』と『第1回高次脳機能学とニューロリハビリテーション研究会』が開催されました。 招待講演として、井澤淳先生(筑波大学)、今水寛先生(東京大学大学院)、前田貴記先生(慶應義塾大学)、吉田正俊先生(生理学研究所)にご登壇頂きました。 井澤先生からは、「計算論からアプローチする運動学習・運動障害・機能回復」と題して、運動学習の計算理論、計算論的にみた様々な疾患における運動障害のメカニズムと機能回復の可能性について、お話頂きました。特に運動学習における2つのコンポーネントである内部モデル(順モデル)と再最適化のお話は、臨床で認められる患者さんの運動障害の様態と非常にマッチしており、参加された臨床セラピストの視点が広がったと思います。 今水先生からは、「認知・運動学習と脳のネットワーク」と題して、内部モデルが小脳で形成されること、運動学習におけるfast dynamicsを担う前頭-頭頂ネットワーク、slow dynamicsを担う小脳、そして運動学習前のresting stateから個人の運動学習能力を予測できることまで、非常に美しい研究成果の数々をご紹介頂きました。 前田先生からは、「自己意識の神経心理学」と題して、身体所有感や運動主体感に関することを神経心理学的にご説明して頂きました。また、運動主体感の定量的評価である「Keio Method」についても詳しくご解説して頂きました。また質問時間では非常に活発な意見交換が行われ、非常に良い雰囲気でした。 吉田先生からは、「マカクザルを用いた半側空間無視動物モデル」と題して、半側空間無視に関連する病巣について分かりやすくご説明して頂き、自身のマカクザルでの半側空間無視研究をご紹介して頂き、脳のネットワークとして捉える重要性について解説して頂きました。 またケースディスカッションや指定演題では、植田耕造先生(星ヶ丘医療センター)、菊地豊先生(脳血管研究所美原記念病院)、生野公貴先生(西大和リハビリテーション病院リハビリテーション科)、高村優作先生 (村田病院リハビリテーション科)にご登壇頂き、Lateropulsionを呈する症例、脊髄小脳変性症、半側空間無視のケーススタディおよび臨床研究をご紹介頂きました。どの先生も充実したサーベイから得られた豊富な知識に基づく仮説・検証作業を臨床実践されていました。 ポスターセッションでも研究者、臨床家などの垣根を超えたディスカッションが繰り広げられていました。 このように、第1線の研究者と臨床家が一堂に会して議論することで、未来のリハビリテーションが作られていくのだと思います。お集まり頂いた皆様に感謝致します。
2016.07.01
平成28年度 理学療法特別講演会のお知らせ
特別講演会は、毎年、畿央大学卒業生に向けてリカレント教育(卒業後も幅広い知識を養う)を兼ねて行っています。 今回の理学療法特別講演会では、現在、平成記念病院での臨床に加えて、畿央大学大学院の客員研究員としてご活躍されている徳田光紀先生(畿央大学理学療法学科1期生)をお招きし、大腿骨頚部骨折術後の理学療法についてご講演頂きます。大腿骨頚部骨折に対する理学療法の最新知見と徳田先生が実践している疼痛コントロールや筋力増強のための物理療法研究も含めてお話し頂きます。 なお本講演は、受講料1000円にて卒業生以外の医療関係者にも公開させて頂きます。 日 時 2016(平成28)年12月18日(日) 14:00~18:00 (13:30~受付) 会 場 畿央大学 L棟1階 L103講義室 講演 14:00~16:00 「大腿骨頚部骨折術後の理学療法の理論と実際」 徳田光紀 先生 平成記念病院 リハビリテーション科 主任 / 畿央大学大学院健康科学研究科 客員研究員 懇親会 16:20~18:00 講演会終了後、懇親会を予定しています。軽食・ソフトドリンクを用意しています(無料) 受講料 全て無料 (卒業生以外は1000円) 申込方法 下記①~⑥を明記のうえ、下記宛先にメールで申込みしてください。受講証の発行は致しません。当日、直接会場にお越しください。 ①氏名(ふりがな) ②卒業年度 ③住所(郵便番号から) ④電話番号 ⑤メールアドレス ⑥所属先(団体名、病院名等) 申込み締め切り 2016年12月14日(水)必着 宛先 E-mail:dousoukai@kio.ac.jp (畿桜会同窓会事務局) (件名に「理学療法特別講演会」と明記) お問合せ TEL:0745-54-1603(担当:増田、伊藤) ※公共交通機関を利用してご参加ください。
2016.04.12
7月17日(日)2017年度大学院説明会を開催します
2016.02.07
大学院同窓会 臨時総会を開催しました。
大学院同窓会の畿桜会(畿央大学同窓会)への統合が可決されました。 2016(平成28)年2月2日(火)19:30より、畿央大学大学院臨時総会が開催され、大学院修了生18名が参加しました。 今春、教育学研究科1期生が修了し同窓会に入会すること、また会の活動がスムーズに行われ大学院の活性化につなげるため、大学院同窓会の発展的解散と畿央大学同窓会「畿桜会」への統合が提案されました。 統合に向けては下記5点が合わせて提起されました。 ・畿桜会に「大学院部会」を置くこと ・大学院部会の代表幹事は松下会長および畿桜会会長に一任すること ・同窓会口座残金を畿桜会に移行すること ・正会員の終身会費は16,000円とし、大学院同窓会の正会員からは別途徴収しないこと ・大学院同窓会での同窓会補助については、松下会長が畿桜会会長と協議して、畿桜会総会に諮ること 上記内容は会則第12条5に従い、議長を除く総会の出席正会員全員賛成で可決されました。 この総会決議により、大学院同窓会は本年6月19日(日)の畿桜会総会での承認をもって畿桜会に統合され、そのことによって発展的に解散することになりました。 大学院修了生同士のつながりをより深めていくための解散・統合になるよう、畿桜会と連携しながら畿央大学もサポートを続けていきます。