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トピックス

2019.02.16

冬木学園教職員対象 平成30年度「ハラスメント研修会」を開催しました。

平成31年2月14日(木)15:00より学校法人冬木学園のハラスメント研修会が開催され、関西中央高等学校、畿央大学付属幼稚園の教職員も含めて計77名の教職員が参加しました。     今年は「社内で起こったハラスメント事例の対応と解説」をテーマに、元サントリーホールディング株式会社の特定社会保険労務士をされていた三宅喜太氏にご講演いただきました。     最後には、教員から質問も飛び交って、ハラスメントの事を考える有意義な研修会となりました。     今後も毎年コツコツとこのような取り組みを続けることで、ハラスメントを許さない学園をめざしていきます。     【関連記事】 平成29年度ハラスメント研修会 平成28年度ハラスメント研修会

2019.02.13

「広陵町・香芝市×畿央大学 介護予防リーダー養成講座」を開講しました。

平成31年2月12日(火)10:40より本学にて、包括連携協定を締結している広陵町、香芝市および畿央大学が連携して行う「広陵町・香芝市×畿央大学 介護予防リーダー養成講座」の開講式および第1回目の講座が開催されました。     広陵町としては第5回目、香芝市としては第4回目の取り組みとなり、今年度は広陵町からは6名、香芝市からは9名が参加されます。3月下旬までに本学にて全11回の講座を受講し、講座終了後には介護予防リーダー KEEP(Koryo/Kashiba Elderly Encouragement Project)として認定され、介護予防の担い手として実際に地域の健康づくり(地域イベントやサロン等)に貢献されます。人材育成にとどまらず、活動の機会とフォローアップまでを行うことが本講座の大きな特長です。   畿央大学では、この取り組みに理学療法学科の高取克彦准教授と松本大輔助教が全面協力し、「KAGUYAプロジェクト」(私立大学戦略的研究基盤形成支援事業)の一環として協働していきます。     ▼理学療法学科 高取准教授   開講式では広陵町増田福祉部長と香芝市黒越健康福祉部長のご挨拶があり、これからの広陵町、香芝市の健康づくりのリーダーとして活躍し、地域を元気にする中心となるよう期待の言葉がかけられました。     開講式に続いて第1回目の講義があり、広陵町および香芝市の介護福祉課職員の方から、介護予防の現状と課題について説明がされました。その後、自己紹介とグループワークが行われ、最初は緊張気味の参加者もグループワークを通じて徐々に笑顔が見られ、和やかな雰囲気になりました。     全11回の長丁場ですが、本学も積極的にサポートしていきます。   【関連リンク】 広陵町・香芝市×畿央大学「介護予防リーダー養成講座」説明会が開催されました。 平成30年度開講式の様子 KAGUYAプロジェクト紹介リーフレット 広陵町×畿央大学KAGUYAプロジェクトfacebookページ 畿央大学ヘルスプロモーションセンター

2019.02.12

現役合格率 小学校教諭64.5%、公立幼・保96.9%、特別支援学校教諭83.3%!~2019年3月卒業予定者

今年も多くの畿央生が教員採用試験で夢を実現!   2019年度公立学校教員採用試験が終了しました。教育学部現代教育学科4回生のうち、49名が公立小学校教諭、1名が高校英語教諭、2名が養護教諭、5名が特別支援学校教諭の採用試験に現役で合格しました。小学校の現役合格率は64.5%となり、厳しい環境の中、5年連続で6割を超える合格率を残してくれました。一方、公立幼稚園教諭・保育士の試験では31名が現役で合格を勝ち取り、合格率は96.9%となっています。 畿央大学では「教採・公務員対策室」を中心に、教育学部教員と連携した支援を行ってきましたが、他学科の教員採用試験においても栄養教諭のように顕著な成果が出ています(7名中4名合格)。主役はもちろん頑張った学生諸君ですが、それを支えていただいた教員や対策室のメンバーに敬意を表したいと思います。今後は講師の紹介など進路未決定者への対応とともに、現3回生への支援を始めていきます。全員の夢がかなうまで頑張れ、畿央生!   教採・公務員対策室長 【関連記事】 養護教諭の採用試験で、看護医療学科からも現役合格! 栄養教諭の採用試験で健康栄養学科が躍進! 公立学校教員採用試験 都府県・市別の合格者数 【小学校教諭採用試験】現代教育学科 現役合格率64.5%(合格者49名/受験者76名) 都道府県・市 1次受験者 1次合格者 (辞退者) 2次受験者 最終合格者 奈良県 36 30 4 26 17 大阪府 26 25 0 25 14 大阪市 6 6 0 6 6 豊能地区 1 1 0 1 1 堺市 8 8 1 7 4 和歌山県 2 2 0 2 1 三重県 4 2 0 2 2 千葉県 6 6 0 6 4 神奈川県 2 2 1 1 1 高知県 55 49 45 4 4 沖縄県 1 1 0 1 1 【中学校・高校(英語)教諭採用試験】現代教育学科 現役合格率50.0%(合格者1名/受験者2名) 都道府県 1次受験者 1次合格者 (辞退者) 2次受験者 最終合格者 神奈川県 1 1 0 1 1 【特別支援学校教諭】現代教育学科 現役合格率83.3%(合格者5名/受験者6名) 都道府県 1次受験者 1次合格者 (辞退者) 2次受験者 最終合格者 奈良県 6 6 0 6 5 静岡県 1 1 0 1 1 【栄養教諭採用試験】健康栄養学科 現役合格率57.1%(合格者4名/受験者7名) 都道府県 1次受験者 1次合格者 (辞退者) 2次受験者 最終合格者 奈良県 1 1 0 1 1 大阪市 4 2 0 2 2 愛知県 3 2 0 2 2 福井県 1 1 0 1 1 【養護教諭採用試験】現代教育学科・看護医療学科 現役合格率16.7%(合格者3名/受験者18名) 都道府県 1次受験者 1次合格者 (辞退者) 2次受験者 最終合格者 兵庫県 3 3 0 3 1 滋賀県 1 1 0 1 1 三重県 2 2 0 2 1 東京都 2 1 0 1 1   公立幼稚園教諭・保育士採用試験 自治体別の合格者数 【公立幼稚園教諭・保育士】現代教育学科 現役合格率96.9%(合格者31名/受験者32名) 都府県・市(町)1次受験者1次合格者辞退者最終合格者 奈良県香芝市 1 1 0 1 奈良県橿原市 7 5 0 1 奈良県大和高田市 2 2 1 1 奈良県桜井市 1 1 0 1 奈良県奈良市 1 1 0 1 奈良県大和郡山市 1 1 0 1 奈良県宇陀市 2 2 1 1 奈良県斑鳩町 2 2 0 2 奈良県三郷町 2 2 0 2 奈良県王寺町 2 2 0 1 奈良県安堵町 1 1 0 1 大阪府大阪市 5 4 2 1 大阪府吹田市 2 2 0 2 大阪府寝屋川市 2 2 1 1 大阪府藤井寺市 2 2 1 1 大阪府東大阪市 2 2 0 1 大阪府松原市 2 2 0 1 大阪府羽曳野市 3 3 0 2 大阪府八尾市 3 3 0 2 大阪府和泉市 1 1 0 1 大阪府岸和田市 1 1 0 1 兵庫県神戸市 22 19 0 8 兵庫県尼崎市 1 1 0 1 京都府京田辺市 5 5 1 2 滋賀県長浜市 2 2 1 1 三重県名張市 2 2 0 2 愛知県名古屋市 2 2 0 2 東京都日野市 1 1 0 1 東京都三鷹市 1 1 0 1   注1. 過年度卒業生を含みません(すべて2019年3月卒業見込者)。 注2. 2019年2月1日現在の判明者数です。今後変動する場合があります。 注3. 大阪府1次合格者数は2次合格者数です。

2019.02.06

KAGUYAプロジェクト高齢者向けアンケート発送に関してのお詫び

広陵町と畿央大学の協働で行っておりますKAGUYAプロジェクト高齢者向けアンケート発送に際し、前回のアンケートにご協力いただきました皆様にアンケートを発送いたしましたが、広陵町におけるデータ抽出作業の手違いにより、既にお亡くなりになられた方および転出された方に対してもお送りすることになってしまいました。 関係の皆様に多大なご迷惑をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます。   広陵町ホームページ「KAGUYAプロジェクト高齢者向けアンケート発送に関してのお詫び」

2019.01.31

【訃報】学校法人冬木学園 冬木智子名誉学園長 逝去のお知らせ

本学園 冬木智子名誉学園長が、平成31年1月26日(土)に逝去されました(享年97歳)。ここに生前のご厚誼に深謝するとともに、謹んでお知らせいたします。 通夜・告別式は、ご遺族の意向により個人葬にて学園の協力のもと執り行われました。   後日、冬木学園としてお別れの会を開催する予定です。日時・場所等の詳細は決まり次第、改めてお知らせいたします。   平成31年1月31日 学校法人 冬木学園      

2019.01.17

「広陵町・香芝市×畿央大学 介護予防リーダー養成講座」説明会が開催されました。

団塊の世代が後期高齢者となる2025年に向け「元気な高齢者が虚弱高齢者を支える仕組みづくり」は重要課題となっており、健康づくり・介護予防の担い手の育成が急速に高まっています。しかし、その養成と養成後に実際の地域活動につなげるのは容易ではありません。 広陵町と香芝市では自主的な健康づくりの活動を行える地域支援の「リーダー」を養成することをめざしており、その一環として、「介護予防リーダー養成講座」を開講しております。     この養成講座を修了すると、受講者はKEEP(Koryo・Kashiba Elderly Encouragement Project)として認定され、地域における介護予防の担い手として実際に地域の健康づくり(地域イベントやサロン等)に貢献していただけることが大きな特徴となっています。     平成30年度の介護予防リーダー養成講座は2月から3月にかけて全11回の講座が開講され、広陵町は5期生、香芝市は4期生を輩出することとなります。その事前説明会が平成31年1月16日(水)に畿央大学で開催され、広陵町と香芝市から13名の方が参加されました。 始めに香芝市菊川福祉課長のご挨拶があり、畿央大学理学療法学科高取克彦准教授から昨年度の実例をもとに、本事業の概要を説明していただきました。その後、広陵町および香芝市の介護福祉課職員の方から、養成講座修了後の地域活動について説明をいただきました。     畿央大学では、この取り組みに理学療法学科の高取克彦准教授と松本大輔助教が全面協力し、今年度は広陵町×畿央大学KAGUYAプロジェクト(私立大学戦略的研究基盤形成支援事業)の一環として協働しています。   【関連リンク】 平成30年度開講式の様子 KAGUYAプロジェクト紹介リーフレット 広陵町×畿央大学KAGUYAプロジェクトfacebookページ 畿央大学ヘルスプロモーションセンター

2019.01.15

養護教諭の採用試験で、看護医療学科からも現役合格!

2019.01.15

徒手牽引の鎮痛効果を「信号検出理論」で検証~畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター

徒手牽引は鎮痛手段の1つとして用いられていますが、その鎮痛効果が“主観的なバイアス”によるものか“徒手牽引そのもの”による効果なのか明らかになっていませんでした。畿央大学大学院博士後期課程の重藤隼人氏と森岡周教授らは、心理物理学的手法である信号検出理論による実験で、徒手牽引はAδ線維由来の一次痛に対して主観的なバイアスよりも、徒手牽引そのものによって鎮痛効果が引き起こされていることを明らかにしました。この知見は、徒手牽引を介入手段として選択する際の意思決定に役立つ基礎的知見になるものと期待されます。この研究成果は、Pain Medicine誌(Experimental Pain Is Alleviated by Manual Traction Itself Rather than Subjective Bias in the Knee: A Signal Detection Analysis)に掲載されています。   研究概要 徒手牽引は臨床場面で鎮痛を目的とした治療に用いられています。しかし、徒手牽引の鎮痛効果が主観的なバイアスによるものか、徒手牽引によるものかは明らかにされていませんでした。また、徒手牽引に伴う触刺激自体も鎮痛効果を有しているとされていますが。徒手牽引と触刺激の鎮痛効果の違いは明らかになっていませんでした。そこで、疼痛研究分野で応用されつつある「信号検出理論」と呼ばれる心理物理学的手法を用いて、徒手牽引および触刺激のAδ線維由来の一次痛およびC線維由来の二次痛に対する鎮痛効果が、疼痛感受性の低下によるものか、主観的なバイアスによるものかを鑑別し検討しました。その結果、徒手牽引は一次痛に対して鎮痛効果を有し、触刺激は一次痛および二次痛に対して鎮痛効果を有していることがわかりました。そして、徒手牽引の一次痛の鎮痛効果は、主観的なバイアスよりも疼痛感受性の低下によって引き起こされていることが明らかになりました。   本研究のポイント ■ 信号検出理論による解析によって、鎮痛効果を疼痛感受性と主観的なバイアスの影響に鑑別した。 ■ 徒手牽引はAδ線維由来の一次痛に鎮痛効果を有し、触刺激はAδ線維由来の一次痛およびC線維由来の二次痛に鎮痛効果を認めた。 ■ 徒手牽引の一次痛に対する鎮痛効果は、主観的なバイアスよりも疼痛感受性の低下による影響が大きかった。   研究内容 健常成人を対象に、1)徒手牽引×Aδ線維、2)触刺激×Aδ線維、3)徒手牽引×C線維、4)触刺激×C線維、の4条件の実験を実施しました。介入(図1)前後に疼痛強度の選択課題を実施させます。この課題では、「低強度」・「高強度」の2つの刺激強度を設定し、ランダムに「低強度」もしくは「高強度」の電気刺激を被験者に実施し、被験者は電気刺激が「低強度」・「高強度」どちらであったか回答を行いました。 回答は下記の4パターンに分類され、各回答の割合を解析に用いました。 Hit:高強度を高強度と回答 Miss:高強度を低強度と回答 False Alarm:低強度を高強度と回答 Correct Rejection:低強度を低強度と回答 本研究ではHit率(Hitの割合)の低下を鎮痛効果と定義しています。 信号検出理論による解析では、Hit率およびFalse Alarm率を用いて、d`(感度)とC(バイアス)を算出することができ、d`の低下が識別能力の低下(≒疼痛感受性の低下)による鎮痛を示し、Cの低下が主観的なバイアスの増大による鎮痛を示しています。   図1:徒手牽引(A)、触刺激(B) 実験の結果、徒手牽引ではAδ線維でHit率の低下を認め、触刺激ではAδ線維およびC線維でHit率の低下を認めました(図2)。鎮痛効果を認めた徒手牽引のAδ線維のd`(感度)とC(バイアス)に着目すると、C(バイアス)よりもd`(感度)の変化が大きく認められました(図2)。つまり、徒手牽引によるAδ線維由来の痛みの軽減は、主観的なバイアスよりも疼痛感受性の低下によって引き起こされていました。   図2:A.Aδ線維での徒手牽引・触刺激前後のHit率とFalse Alarm率、d`(感度)とC(バイアス). B.C線維での徒手牽引・触刺激前後のHit率とFalse Alarm率、d`(感度)とC(バイアス). *p<0.05. #p<0.10.     本研究の臨床的意義および今後の展開 本研究成果は、徒手牽引はAδ線維由来の痛みに対して有効であり、その鎮痛効果は主観的なバイアスによるものではなく徒手牽引そのものによって引き起こされていることを示唆するものです。徒手牽引による鎮痛効果が、主観的バイアスによるものではないという事実は、臨床的には意義がある基礎研究と考えられます。   論文情報 Sigetoh H, Osumi M, Morioka S. Experimental Pain Is Alleviated by Manual Traction Itself Rather than Subjective Bias in the Knee: A Signal Detection Analysis Pain Medicine 2019  問合せ先 畿央大学大学院健康科学研究科 博士後期課程 重藤隼人(シゲトウ ハヤト) Tel: 0745-54-1601 Fax: 0745-54-1600   畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター センター長 森岡 周(モリオカ シュウ) Tel: 0745-54-1601 Fax: 0745-54-1600 E-mail: s.morioka@kio.ac.jp

2019.01.11

大学院生の研究成果が神経科学分野で権威ある雑誌「Cortex」に掲載されました。

脳卒中後に生じる高次脳機能障害「半側空間無視」 のあらたな評価手法を開発 畿央大学大学院博士後期課程の大松聡子氏、森岡 周教授、国立障害者リハビリテーションセンター神経筋機能研究室の河島則天室長(畿央大学大学院健康科学研究科客員教授)らの研究グループは、脳卒中後に生じる高次脳機能障害の一つである「半側空間無視」症状の新たな評価手法を開発しました。半側空間無視は損傷を受けた脳と反対側の空間の物体やできごとが認識できなくなる不思議な症状で、症状が慢性化すると日常生活に大きな支障を来します。大松氏たちは、視線分析によって半側空間無視症状を簡便かつ定量的に評価できる手法を開発し、その有用性に関する重要な知見を得ました。従来の検査は紙面検査や日常生活の行動観察によるもので、検査に時間を要することや、重症度の高い患者の評価が困難であるなどの限界点がありました。開発手法は、PC画面上に提示された対の左右反転画像を見ているときの視線の分布特性を分析することで無視症状の程度や特徴を捉えるもので、今後、臨床場面での活用が期待されます。 この成果は1月5日付けで、神経科学分野で権威ある英国科学誌『Cortex』に掲載されました。    国立障害者リハビリテーションセンター プレスリリース 畿央大学 プレスリリース 研究概要 半側空間無視は、脳卒中後に生じる高次脳機能障害の一つで、損傷を受けた大脳半球の反対側の空間にある物体や事象を無視してしまう神経症状です。脳卒中後のリハビリテーションでは、紙面検査や行動観察によって無視症状についての評価を行うことが一般的ですが、検査実施に時間を要すること、患者側に集中力や認知的負荷を強いることなどの問題点があり、加えて重症度の高い患者では評価が困難であるなどの限界点があります。空間無視、という言葉に表れるように、この症状は空間上の物体や事象を認識できなくなる症状で、筆記検査や言語での回答を要求するような検査手法では、症状の特性を捉える上で限界があります。 今回発表した論文では、視線分析を用いて直観的かつ定量的に無視症状を捉えるための手法を開発し、その有用性についての検証を行いました。単に様々な画像を注視した際の視線分析を行うのではなく、左右を反転させた対の画像を用い、注視対象の空間配置に応じて視線がどのように推移するかを分析する工夫を施しました(図1)。     【図1 開発手法の概要】 患者さんにコンピュータスクリーン上に提示される画像をただ見るのみ、という課題を行いました(A)。提示される画像は、図Bで示される元画像6種類(B)に、それぞれを左右反転した画像、計12画像でした。分析は、対の左右反転画像の視線データを合わせ、平均したものを視線偏向(°)として用いました(C )。     図中に示すような対の左右反転画像を自由に見ている(Free viewing)ときの私たちの視線は、画面の右空間に注視対象があれば右空間に集中し、画像の左右空間を反転することで注視対象が左に移れば視線もまた、左空間に集中します(図1C、図2:健常群)。一方、半側空間無視をもつ患者群では、右空間に注視対象があるときこそ右に視線が集中するものの、画像を左右反転させ、注視対象が左に移ったとしても対象を探索できず、依然として右空間を注視するような特徴を持ちます(図2:無視群)。私たちはこの特性を利用して、無視症状の特徴を捉えることを試みました。左右反転画像を用いるメリットは、元画像と左右反転画像に含まれる物理的(輝度や色彩など)、認知的要素(意味性や文脈など)を統一した状態で、左右の空間的位置関係のみを反転できる、ということになります。また、画像間の視線分布の違いに表れるように、注視対象の特性(生物or無生物、単数or複数、配列の方向性や意味性)により、無視空間への視線配分に変化を認めました(図2)。つまり、半側空間無視症例が見せる『無視空間』は空間上の固定された範囲で生じるのではなく、画像に含まれる情報や要素に応じて変化することを示唆しています。これらの結果は、左右反転画像を用いた視線分析が、評価の視点だけでなく、リハビリテーション介入を考える上での重要な情報を提供し得るものと考えられます。   【図2 研究結果の概要】 画像ごとの視線分布の結果です。視線のカラーマップ(上:健常群、下:無視群)は赤くなっている箇所が、長く注視されていた部分です。折れ線グラフは、横軸が画像の横軸に対応しており、縦軸は横軸の各左右位置を見ていた時間の割合を示した図です。健常者は画像が反転すると視線も反転して、どちらも類似した箇所を見ていますが、無視群は右に偏った特徴があります。ただし、少女や金魚の画像では、他群と類似した視線分布となっていることが分かります。       【図3 全画像を通じた結果】     本論文で開発した左右反転画像の注視点分析による評価結果は、無視のない群と比較して無視群の視線が有意に右へ偏向しており、かつ通常臨床で使用される行動性無視検査(BIT)結果と有意な相関を示しました。開発手法は所要時間が数分足らずで実施可能で、かつ覚醒レベルの停滞や全般性注意障害、認知機能面の低下を合併しているような、BIT検査の実施が困難な症例にも実施可能です。本論文の対象のうち2名は、BIT検査が実施困難でしたが、開発手法による評価が実施可能でした。今後、臨床場面での無視症状の把握に活用することが期待できます。 論文情報 Ohmatsu S, Takamura Y, Fujii S, Tanaka K, Morioka S, Kawashima N. Visual search pattern during free viewing of horizontally flipped images in patients with unilateral spatial neglect.  Cortex 113: 83-95, 2019 補足情報 研究成果の一部は既に実用化され、株式会社クレアクトより製品販売されています。 https://www.creact.co.jp/item/welfare/attention/usn_attention/attention-top   問合せ先 畿央大学大学院健康科学研究科 博士後期課程 大松 聡子(オオマツ サトコ) Tel: 04-2995-3100(内線7190) Fax: 04-2995-3132 E-mail: ohmatsu-satoko@rehab.go.jp   畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター センター長 森岡 周(モリオカ シュウ) Tel: 0745-54-1601 Fax: 0745-54-1600 E-mail: s.morioka@kio.ac.jp   国立障害者リハビリテーションセンター 研究所運動機能系障害研究部 神経筋機能障害研究室長 河島 則天(カワシマ ノリタカ) Tel: 04-2995-3100(内線2520) Fax: 04-2995-3132 E-mail: nori@rehab.go.jp

2019.01.10

感覚運動の空間的不一致による異常知覚と運動制御に関わる神経活動~畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター

脳卒中や慢性疼痛患者における身体性変容の要因の1つとして、感覚情報の予測と実際に入力される感覚情報との間の不一致(感覚運動の時間的および空間的不一致)が考えられています。健常者においても、感覚運動の“時間的”不一致を生じさせると、四肢の重さの知覚変容、しびれ、奇妙さや嫌悪感の惹起に加えて、運動の正確性も低下することが明らかにされています(Katayama and Morioka et al 2018)。しかしながら、感覚運動の“空間的”不一致による異常知覚と運動制御に関わる神経活動は明らかになっていませんでした。 畿央大学大学院博士後期課程の片山脩氏と森岡周教授らは、健常者を対象に感覚運動の空間的不一致課題を実施し、感覚運動の空間的不一致による異常知覚と運動制御異常には、前補足運動野および帯状皮質運動野におけるベータ波帯域の神経活動性の低下が関わっていることを脳波の三次元画像解析(eLORETA)を用いて明らかにしました。この知見は、脳卒中や慢性疼痛患者の病態解明に貢献し、新たなニューロリハビリテーション技術開発に向けた基礎的知見になるものと期待されます。この研究成果は、Neuroscience Letters誌(Neural activities behind the influence of sensorimotor incongruence on dysesthesia and motor control)に掲載されています。   研究概要 脳卒中、慢性疼痛患者では患肢に対する知覚変容や運動制御の低下が生じます。この要因の1つとして、運動指令に基づいて脳内で生成される感覚情報の予測と、運動により実際に入力される感覚情報との間に生じる不一致(感覚運動の時間的および空間的不一致)が考えられています。実験的に感覚運動の時間的不一致を生じさせると、健常人であっても知覚変容や運動の正確性が低下することが明らかにされていました(Katayama and Morioka et al 2018)。しかしながら、感覚運動の空間的不一致による異常知覚と運動制御に関わる神経活動は明らかになっていませんでした。今回、健常者を対象に実験的に感覚運動の空間的不一致を生じさせ、異常知覚と運動制御に関わる神経活動を検討しました。その結果、感覚運動の空間的不一致により様々な異常知覚が惹起され、その中で奇妙さが有意に強く惹起されました。さらに、運動制御においては運動の正確性が低下することを確認しました。これらの異常知覚と運動制御には、前補足運動野と帯状皮質運動野のベータ波帯域の神経活動性の低下が関わっていることを脳波の三次元画像解析により明らかにしました。   本研究のポイント ■ 感覚運動の空間的不一致により、奇妙さをはじめとした異常知覚が惹起される。 ■ 感覚運動の空間的不一致により、運動の正確性が低下する。 ■ 異常知覚と運動制御に前補足運動野と帯状皮質運動野のベータ波帯域の神経活動性の低下が関わる。   研究内容 健常成人を対象に、片面がホワイトボードでもう片面が鏡となったボードを両上肢の間に設置し両手関節の掌背屈運動を実施させます(図1)。一側の手関節を背屈した際にもう一側を掌屈させる条件(図1D)では、鏡の後ろに隠された手関節の運動方向と、鏡に映る鏡像の運動方向が空間的に不一致した状態となります。この条件設定によって、ヒトの感覚運動ループを実験的に錯乱させることができ、“患肢の知覚変容”という状況を設定することができます。   図1:実験の条件設定 実際の実験では、A:ホワイトボード一致条件、B:ホワイトボード不一致条件、C:鏡一致条件、D:鏡不一致条件(感覚運動の空間的不一致条件)の4条件で手関節の反復運動を被験者に実施してもらいました。運動中の手関節の運動を電子角度計で計測し、身体に対する異常知覚についてアンケートで定性的に評価しました。 実験の結果、感覚運動の空間的不一致条件で、奇妙さが他の条件と比較して強く惹起され、多数の異常知覚が惹起されました(図2)。さらに、手関節における運動の正確性の低下が確認されました。   図2:惹起した異常知覚とその数の比較および運動の正確性の比較   脳波活動は、感覚運動の空間的不一致条件では、前補足運動野と帯状皮質運動野のベータ波帯域の神経活動性の低下を認めました(図3)。   図3:感覚運動の空間的不一致条件の神経活動領域   本研究の臨床的意義および今後の展開 本研究成果は、脳卒中や慢性疼痛患者の異常知覚や運動制御の低下に前補足運動野と帯状皮質運動野の神経活動性が関わっていることを示唆するものです。そのため、理学療法や作業療法の際には、感覚運動の空間的不一致を最小限にしながら臨床介入を進めることの重要性を提唱する基礎研究となります。今後は、実際に患肢の知覚変容や運動制御の低下が生じている症例を対象に神経活動性の検証をしていく予定です。   論文情報 Katayama O, Nishi Y, Osumi M, Takamura Y, Kodama T, Morioka S. Neural activities behind the influence of sensorimotor incongruence on dysesthesia and motor control. Neuroscience Letters 2019   問合せ先 畿央大学大学院健康科学研究科 博士後期課程 片山 脩(カタヤマ オサム) Tel: 0745-54-1601 Fax: 0745-54-1600 E-mail: b6725634@kio.ac.jp 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター センター長 森岡 周(モリオカ シュウ) Tel: 0745-54-1601 Fax: 0745-54-1600 E-mail: s.morioka@kio.ac.jp  

2019.01.04

2019(平成31)年冬木学園「仕事始め式」を行いました。

2019(平成31)年冬木学園「仕事始め式」を行いました。2019(平成31)年1月4日(金)午前10時30分より、学校法人冬木学園の「仕事始め式」が冬木記念ホールにて行われ、畿央大学、関西中央高等学校、畿央大学付属幼稚園の教職員約150名が一堂に会し、新たな1年のはじまりをともに過ごしました。     冬木正彦理事長・学長、植田健康科学研究科長・健康科学部長、前平教育学研究科長・教育学部長、西川校長(関西中央高等学校)、宮本園長(畿央大学付属幼稚園)からそれぞれ年頭のあいさつがあり、今年も教職員が一丸となって建学の精神「徳をのばす」「知をみがく」「美をつくる」の具現化に向けて邁進していくことを確認しました。     また各校の教職員が集まる機会を利用してそれぞれの一年を映像で振り返り、学生、生徒、園児の生き生きとした表情から同じ「建学の精神」の下に充実した教育が行われていることを確認し、学園の一員として情報共有をいたしました。     本年も学校法人冬木学園および畿央大学をよろしくお願い申し上げます。

2018.12.27

年末年始の窓口対応について(冬季休業期間12/29~1/3)

2018年12月29日(土)~2019年1月3日(木)は冬季休業とさせていただきます。ご不便をおかけしますが、ご了承くださいますようお願いいたします。 お問合せについて 上記期間中は電話・FAXでのお問い合わせには対応できません。Eメールでお問い合わせいただいた場合、ご返信は1月4日(金)以降となりますのでご了承ください。また、キャンパス内への立ち入りもできません。  資料請求について 上記期間中にご請求いただいた資料の発送は、1月4日(金)以降となります。なお、テレメールによる資料請求の場合は、12月31日(月)・1月1日(火)を除き通常通り発送を行っていますので、お急ぎの方はご利用ください。 → 資料請求フォームはこちら 一般入試前期日程・センター試験利用入試前期日程の出願受付について 出願期間は2018年12月20日(木)~2019年1月15日(火)消印有効です。出願期間中はいつでもインターネットで出願登録を行うことができますが、冬季休業期間はお問い合わせには対応できません。誠に申し訳ございませんが、お問い合わせは1月4日(金)以降にお願いいたします。また受験票の発送および志願者速報の更新も休止させていただきますのでご了承ください。 → 一般入試前期日程 → インターネット出願    

2018.12.27

平成28年7月に発生した水泳実技指導中の事故に係る対応について

2018.12.27

大学院教育学研究科×現代教育研究所 プロジェクト研究成果報告会のご案内

畿央大学大学院教育学研究科では、「生徒指導」「特別支援教育」「ICT」の3つの教育課題を中心に 教育研究を進めています。今回は「生徒指導」の分野から「特別活動」を取り上げ、我が国と韓国の 特別活動を比較しながら、これからの時代に求められている特別活動や集団活動の指導について報告します。 畿央大学現代教育研究所では、近い未来の社会に生きる児童・生徒を育てる教育研究の視点を「特別支援教育」と「情報教育」に当て、基礎研究と実践研究に取り組んできました。この度、平成28年度から取り組んでまいりましたプロジェクト研究「教師としての資質や能力を育てる~ポスト現代教 育の在り方についての戦略的研究~」が最終年度を迎えましたので研究の成果を報告します。   プロジェクト研究の概要につきましては、下記URLをご参照下さい。 https://www.kio.ac.jp/rime/study/   日 時 2019年2月16日(土) 13:30~17:00 会 場 畿央大学P301講義室、P302講義室(受付 P棟3階)    →アクセスはこちら 内 容 【研究成果報告会】 13:00~13:30 受付 13:30~13:40 開会あいさつ 13:40~14:30 教育学研究科研究成果報告「今、求められている特別活動の指導」 14:30~14:40 休憩 14:40~14:50 基調提案「研究所が教育現場とつながることを目指す思い」 14:50~15:10 プロジェクト研究成果報告基礎研究1「ダイバーシティ教育開発の基礎的研究」 15:10~15:30 プロジェクト研究成果報告基礎研究2「教育メディア活用の在り方の基礎的研究」 15:30~15:40 休憩・移動    【現代教育研究所プロジェクト研究実践研究ポスターセッション】 15:40~16:20 イントロダクション          特別支援教育「インクルーシブ教育の視点を取り入れた授業改善に関する実践的検討」          情報教育「地域・社会における教育課題に応じる教育メディア活用の在り方の研究」          ポスターセッション          「地平線的目標設定からの図画工作科学習の改善」          「多様なニーズに対応する協同的な学習の実現を目指す音楽科の教材開発」          「双方向のコミュニケーション手段としての地図の活用を目指す小学校社会科の授業開発」          「小中連携を意図した英語Can-DoListの活用」          「小学校国語科における読みの学習を促す板書の検討」          「情報教育及び情報科教育の連携」 16:20~17:00 全体講評 17:00~     閉会挨拶 参 加 費 無料   【参加申込方法】  メールまたはFAXにて必要事項(氏名・所属・連絡先メールアドレス・電話番号)を記入の上、お申し込みください。 ※申込み票は、こちらからダウンロードできます。   【申込み先】 畿央大学総務部 FAX:0745-54-1600 E-mail:rime@kio.ac.jp   【お問い合わせ】 畿央大学総務部   TEL:0745-54-1602 なお、個人情報は本報告会以外では使用いたしません。 また、受付完了のご返信はいたしませんので、ご了承の上、当日受付までお越し下さい。 来場の際には、公共交通機関をご利用の上、お越しください。

2018.12.27

2019年2月21日(木)第17回畿央大学公開講座のご案内

健康と教育のスペシャリストを育成する畿央大学では、2019年2月21日(木)に「認知症」をテーマに下記の要領で『第17回畿央大学公開講座』を開催します。受講料は無料ですので、ぜひ皆様奮ってご参加ください。   講座内容 認知症の正しい理解 -認知症かなと思ったときの対応-  健康科学部 看護医療学科 教授 山崎尚美 昨今、認知症の人は462万人を迎え、MIC(認知症予備軍)の人を含めると800万人時代と言われています。そして、認知症は今ではわが国だけではなく世界的にも注目されています。 畿央大学では、「認知症に強い畿央大学」をスローガンに2013年から地域に根差した認知症カフェの運営・企画や認知症サポーター養成講座、若年性認知症サポート事業、奈良県認知症ケア専門士会などにおいて、認知症の啓発活動や専門職に対する研修、認知症アプリケーションの開発および介護者の相談事業を行ってきました。 当日は、認知症を正しく理解するために①認知症に関するミニ講義、②模擬患者による演習、③簡単なもの忘れのチェック を予定しています。特に「認知症にならないためのヒケツ」や「認知症になったときにしておく準備」については参考になると思います。 多数の参加をお待ちしています。 開催日時 ■開催日時  2019年2月21日(木)14:00~15:10 【 受付13:30~ 】 ※ 1月7日(月)から申込を開始します。 ■定  員  200名(先着順) ■開催場所  畿央大学 P棟2階 P201講義室 ■参加費用  無料 ※筆記用具をご持参ください。 申込方法(1/7から申込受付開始) ① 氏名(ふりがな)、② 年齢、③ 住所、④ 電話番号(FAX番号)をご明記の上、E-mail、FAX、はがき、いずれかの方法でお申し込みください。 ※医療系職種に従事されている方はその旨ご記入ください。   お問合せ・申込先 〒635-0832 奈良県北葛城郡広陵町馬見中4-2-2 畿央大学教育推進部 公開講座係 E-mail:uketsuke@kio.ac.jp  TEL:0745-54-1601  FAX:0745-54-1600 ※受講証の発行は致しません。当日直接本学にお越しいただき、公開講座受付で会場をご確認ください。 ※公共交通機関を利用してご参加ください。     ▼ポスターPDF(画像をクリックするとPDFデータがご覧頂けます)

2018.12.26

平成30年度FD研修会を開催しました。

12月25日(火)13:00から、P202講義室にて、教育推進室主催「2018年度 教員FD研修会」が開催されました。 FDとはFaculty Development(ファカルティ デベロップメント)の略で、教員が授業の内容や方法を改善し、向上させるための組織的な取り組みの総称です。     今年の研修会のテーマは、よりよい授業を設計するために必要なインストラクショナルデザイン(Instructional Design: ID)について学ぶことです。そこで、熊本大学教授システム学研究センター長・大学院教授システム学専攻長の鈴木克明先生においでいただき、「学生の学びを助ける授業をデザインする」と題してご講演いただきました。   ▼ご講演いただいた鈴木克明先生   研修会は、向後千春先生(早稲田大学人間科学学術院教授)が提唱されたマイクロフォーマット形式に沿って、「レクチャー→グループ内の対話→全体シェア」の流れを繰り返すかたちで進められました。はじめに、IDとは何かについて鈴木先生からレクチャーがありました。鈴木先生がおっしゃるには、IDとは教育のお悩みを解決する道具であるとのことです。学生が一生懸命学びたくなるような授業を作りたい、そのためにこれまでの自分の教え方を変えたいと思った時に役立つのがIDであり、大学教員が共有すべき、いわば教育に関する共通言語に相当するのがIDであるとのことでした。     その後、鈴木先生から参加者に対し、「1)大学は講義と定期試験を続行すべきか否か」、「2)DP・CP・APの公表でカリキュラムが見直されたか」、「3)基礎からの積み上げ方式という非効率的・惰性は払拭できるか否か」という刺激的な命題が提示され、これらに対するグループディスカッションをはさみつつ講演は進んでいきました。     1)大学は講義と定期試験を続行すべきか否か 大学の授業を学生にとってより魅力的なものへと変えていくためには何が必要か。この問いに対し、鈴木先生は講義と定期試験の2つをやめることであると指摘されました。鈴木先生はご自身の授業において、指定したテキスト(初期はプリント)を学生に事前に予習して来るよう指示し、毎回授業の冒頭に予習範囲に関する確認テストを実施されているそうです。テキストがあるならば、わざわざその内容について授業中に説明するのはナンセンスであり、授業の時間は学生一人ではできない学びを経験させることに使うべきとのことでした。ただし、テキストを事前に読んで来るよう学生に指示するだけでは当然うまくいかないので、きちんと読んで来させるための工夫として毎回の確認テストをおこなっているとのことでした。授業をこのかたちにしてから学生はよく学ぶようになり、寝ている学生もいなくなったとのことです。   2)DP・CP・APの公表でカリキュラムが見直されたか 学生の実力(知識・スキル・態度)には、入口(入学時)の状態と出口(卒業時)の状態の間にギャップがあります。このギャップを埋めることこそが学生の成長プロセスであり、それを支援することが大学教育の役割であると鈴木先生はおっしゃいます。また、卒業生に身に着けさせる実力は、学問分野を参照基準として決めるのではなく、業界標準や就職先の卒業生への満足度、同窓生の追跡調査による有用度や新たなニーズを参照基準として決めるべきであるとのご指摘でした。入学時の実力と卒業時の実力のギャップを埋めていくために存在しているのがカリキュラムなので、カリキュラムを編成するにあたっては学生をスタート地点からゴールまでどう導くのかを考える必要があります。そのためには、各教員が担当する科目の責任範囲について話し合い、自分の担当科目の前後にどのような科目があるのか、自分の担当科目の役割はどこからどこまでなのかをしっかりと理解する作業が不可欠とのことでした。   3)基礎からの積み上げ方式という非効率的・惰性は払拭できるか否か これまで大学のカリキュラムは「基礎から応用へ」というかたちで編成されるのが一般的でした。しかし鈴木先生は、最初に学生に伝えるべきことは「大学で学ぶことで、自分がどんな人間になることができるのか」という具体的イメージであり、そのためにはまず応用から入るカリキュラムが必要であるとのご指摘でした。たとえば鈴木先生は、学生がある企業の新入社員になったという状況を可能な限りリアルに設定し、次々と降り注ぐ上司の指示に対処するためにどのような知識・スキルが必要かを考えさせ、それらの知識・スキルを各科目において獲得することで、課題をクリアしていくというストーリー仕立ての学びを実践されているとのことでした。大学で学ぶ知識・スキルがどういうところでどのように役に立つのかを学生自身にリアルに実感させてこそ、学生は具体的なビジョンを持って主体的に学ぶことができるのであり、失敗の過程で自らに基礎的な知識・スキルが不足していると認識すれば、学生は自ら進んで基礎的な知識・スキルを学ぼうとするとのことでした。     これからの大学教育にとって重要なのは、学生の実力の入口と出口のギャップを効果的・効率的かつ魅力的に埋めて、教員が教えるのではなく学生が学ぶ仕組みを作ることであると鈴木先生は述べられていました。そのためには今まで漫然と続けてきた教育について一度立ち止まって再検討したり、自分の大学について学生の学習環境としてどうなのかという視点から見直したりする必要があるとのことです。また、何より大事なのは学生を自分で学べる人に育てることであり、そのためには学び方を学ばせる必要があり、学生に実際にやらせてみて自分は何ができて何ができないかを認識させる(Learning by doing, Learning by mistaking)ような学びのあり方が重要になってくるとのご指摘でした。     会場からしばしばどよめきが起こるなど、鈴木先生のお話には私たちの固定観念を根底から揺さぶるような内容が数多く含まれていました。学生の学びを助け、より魅力ある大学を作っていくために私たちはどう変わっていくべきなのか、深く考えさせられる研修会となりました。ご講演いただきました鈴木先生に厚く御礼申し上げます。   【関連記事】 平成29年度「FD研修会」を開催しました。 教職員対象「平成28年度FD研修会」を開催しました。 平成27年度FD研修会を開催しました。

2018.12.20

3/9(土)人間環境デザイン学科 卒業生交流会のご案内

人間環境デザイン学科初の 「卒業生交流会」を開催! 2018年3月に12回目の卒業生を送り出した人間環境デザイン学科。今回は初の試みとして、1~12期生を対象にした初めての「卒業生交流会」を開催いたします。退職した先生方も含めて多数の教員も、キャリアセンターの学科担当も参加予定する予定です。同日開催する【卒業研究・作品展】にも足をのばしつつ、4年間を過ごした母校で旧交を温めながら新たな出会いを創出できる機会として、ご活用ください。     出席予定の教職員 三井田康記先生、斉藤功子先生、岡井豊治先生、東実千代先生、藤井豊史先生、井上龍彦先生、西山紀子先生、李沅貞先生、 加藤信喜先生、村田浩子先生、清水裕子先生、陳建中先生、長井典子先生、中井千織先生(人間環境デザイン学科7期生、教員)、伊藤誠さん(元キャリアセンター職員)、谷口浩一(キャリアセンター職員)さん、辻谷進光(キャリアセンター職員)さん、鈴木理人さん(人間環境デザイン学科4期生、広報センター職員)など ※出席確定次第更新します。 ※都合により変更になる可能性があります。 予めご了承ください。   卒業生交流会の申込方法 参加を希望される方は「人間環境デザイン学科 卒業生交流会参加希望」と明記の上、 下記①~⑥の内容を、メール・FAXのいずれかでお申し込みください。 参加証などの発行は致しません。当日、直接受付にお越しください。 【申込み締め切り日:2019年3月6日(水)】 【メール】dousoukai@kio.ac.jp    ▶ ①氏名(旧姓) ▶ ②卒業年(西暦●年3月) ▶ ③所属先(会社名等) ▶ ④住所 ▶ ⑤電話番号 ▶ ⑥メールアドレス   ※当日参加も可能ですが、食事手配の都合上できるだけ事前申込へのご協力をお願いいたします。     問合せ先 TEL:0745-54-1603(同窓会事務局 担当:鈴木、伊藤、増田) ※公共交通機関を利用してご参加ください。   関連リンク ●【2018年度 人間環境デザイン学科卒業研究・作品展】の案内

2018.12.20

2018年度人間環境デザイン学科 卒業研究・作品展(学外)を開催します。

2018年度の人間環境デザイン学科 『卒業研究・作品展』は、大和高田さざんかホールで行います。在学生の4年間の集大成となる卒業研究・作品59点が展示される予定です。ご来場を心よりお待ちしております。 また、3月9日(土)夜には、畿央大学の学生食堂にて、初めてとなる「人間環境デザイン学科卒業生交流会」を予定しています。詳細は、卒業生宛の作品展案内ハガキの宛名面に記載しています。   人間環境デザイン学科卒業生交流会のご案内     会 場 大和高田さざんかホール 展示ホール奈良県大和高田市本郷町6-36【TEL】0745-53-8200  ※さざんかホールには一般来場者用の駐車場はございません。 お車でお越しの際は、JR高田駅西側の市営の立体駐車場をご利用ください。(有料) 主 催 畿央大学健康科学部人間環境デザイン学科 日 時 2019年3月9日(土)10:00~18:00 2019年3月10日(日)10:00~16:00 備 考 入場無料      【関連リンク】 ●人間環境デザイン学科「2017年度卒業研究・作品展」を開催しました。 …昨年のイベントレポート ●人間環境デザイン学科 作品ギャラリー …過去の卒業作品をまとめた特設サイト