トピックス
2023.02.27
教職員対象「令和4年度 FD研修会」を開催しました。
2023年2月21日(火)に本学教職員(非常勤教員含む)対象の「FD研修会」を開催し、43名の参加がありました。FDとはFaculty Development(ファカルティ デベロップメント)の略で、授業の内容や方法を改善し、向上させるための組織的な取り組みの総称です。 今回のテーマは、「学生の声に耳を傾ける~学生授業評価の理論と実際」と題し、米谷 淳先生(兵庫学習センター客員教授/神戸大学名誉教授)をお迎えし、ご講演いただきました。米谷先生には、2019年度のFD研修会(2020年3月)でも本学へお越しいただく予定で準備を進めていましたが、予想だにしなかった新型コロナウイルス感染症の発生により、急遽中止となりました。今回のFD研修会の講師依頼においても快諾いただき、3年の月日を経てようやく本学でのご講演を実現することができました。 ▼ご講演いただいた米谷淳先生 今回のテーマでもある「学生の声に耳を傾ける」ということに関して、 ●対人コミュニケーションの基本は、まず相手(授業の場合は学生)の声を聞くことから始まる。 ●特に、自分が相手に送ったメッセージに対する相手からの送り返しをしっかり受け止めることが大切。 ●学生の声を生かすためには、事後対応としてのフィードバックではなく、事前準備としてのフィードフォワードができるようになることで、授業がより良いものになっていく。 と、米谷先生のご専門である社会心理学の視点も踏まえながら、分かりやすい言葉でお話いただきました。 本学では毎学期末、学生の皆さんに授業アンケートへの協力をお願いしています。そこで寄せられる皆さんの真摯な声にどのように向き合い、どう生かしていくかをより深く考える貴重な機会になりました。 これまで大学教育や看護教育、保育士養成等、様々な分野の研究をされてこられたご経験に基づくお話は、実学教育を実践し学生を育てていく本学にとって、大変学びや気づきの多い研修会となりました。 ご講演いただきました米谷先生に厚く御礼申し上げます。 【関連記事】 令和4年度SD研修を実施しました。 令和2年度 遠隔授業説明会(研修会)を開催しました。 平成30年度FD研修会を開催しました。 平成29年度「FD研修会」を開催しました。 教職員対象「平成28年度FD研修会」を開催しました。 平成27年度FD研修会を開催しました
2023.02.22
第21回畿央大学公開講座「うま味とコクの新常識/古都奈良と近代建築」を開催しました。
本学では、地域の皆さまに生涯教育の場を提供することを目的とした「畿央大学公開講座」を毎年開催しています。新型コロナウイルス感染症の影響によりオンラインでの開催が続いていましたが、今年度は3年ぶりに対面での開催となりました。 2023年2月18日(土)には「第21回畿央大学公開講座」を2部制で開催し、大テーマである「衣食住」のうち「食」と「住」を取り扱いました。 【第1部】「おいしさを生み出すうま味とコクの新常識~味覚と脳のメカニズム~」 【講師】健康栄養学科 山本 隆教授 「コクのあるおいしさとは何か?~味覚と脳のしくみ~」をテーマに、健康栄養学科の山本 隆教授が講演しました。生体が活動するために欠かすことのできない「食事」。その食事で感じる“おいしさ”には「生きるためのおいしさ」「快楽のためのおいしさ」の2種類が存在するとして、この“おいしさ”を生み出す「うま味」「コク味」のメカニズムや、味覚と脳との関連を解説しました。 好き嫌いをなくすためには幼少期の食習慣が重要で、実際に「うま味のついた食事」、「ついてない食事」を食べ比べた時の幼児の反応の違いの動画や、またそこから関連して初めて「甘いものを食べたとき」や、「酸っぱいものを食べたとき」の幼児の動画が流れ、会場からはあまりの可愛さに笑いも起こっていました。 講義後の質疑応答では、「一度その味を経験し、嫌いになった食べ物を克服してもらうためには何か良い具体策はないでしょうか」などの具体的な質問も飛び交いました。また「再度スライド資料を見せていただきたい」とリクエストの上、熱心にメモを取られる方もいらっしゃいました。 【第2部】「古都奈良と近代建築」 【講師】人間環境デザイン学科 前川 歩講師 タイトルのとおり、奈良には古代から藤原京、平城京といった都が成立し、また奈良帝室博物館(現在の奈良国立博物館)等の近代建築が存在しています。そういった古くからの歴史が残る奈良ならではの、近代建築の特徴や魅力について、多くの写真とともに詳しく紹介いただきました。 その中で河合町にある「旧豆山荘」も近代建築の一つとして紹介され、河合町ご在住の参加者の方から「自分の住む町にこんな古い建築物があることは知らなかった。ぜひ町内でもワークショップをしてほしい」といった感想もいただきました。 講座終了後のアンケート 「コクが科学的に説明されていて興味深い」「漠然としか知らなかったことを角度から教えてもらえてよく分かった」「長年旧奈良市内に住んでいたので、様々な建築物について非常に興味深かったです。いくつかの懐かしい建物が見ることができました。」といった好評なご感想や、「次はさらに専門的な内容を複数回に分けてぜひ聞きたい」「社会人向けの公開講座をもっと開催してほしい」といったご要望もいただきました。 3年ぶりの対面での開催でしたが、各講座それぞれ70名近くの方にご参加いただき、中には両講座とも受講される方もいらっしゃいました。ご参加いただきありがとうございました。 引き続き、2/25(土)に「衣」を取り扱った内容として、第22回畿央大学公開講座「入浴着にできること~乳ガン患者のQOL向上から入浴着のユニバーサル化まで~」を開催いたします。 お申込みいただきました皆様、ご来場をお待ちしています。 【関連記事】 第20回畿央大学公開講座「コロナ時代におけるこれからの認知症ケア」をオンライン開催しました。 第19回畿央大学公開講座「感染症を知ろう~新型コロナウイルスとこれからの生活~」をオンライン開催しました。 第18回畿央大学公開講座「当事者とともに創る認知症ケア」を開催いたしました。 第17回畿央大学公開講座「認知症の正しい理解」を開催しました。 第16回畿央大学公開講座を開催しました。 第15回畿央大学公開講座B・C(2日目)を開催しました。 第15回畿央大学公開講座 講座Aを開催しました。 第14回畿央大学公開講座を行いました。 第13回畿央大学公開講座を開催しました。 第12回畿央大学公開講座「健康長寿のための食と運動」を開催しました。
2023.02.21
慢性腰痛の運動時痛に対する経皮的電気刺激の効果~理学療法学科・健康科学研究科
腰痛をもつ日本人は38%程度と推定されており、社会経済に与える影響は少なくありません。腰痛治療の一つに、弱い電流を流して痛みを軽減する経皮的電気刺激(Transcutaneous Electrical Nerve Stimulation: TENS)がありますが、TENSの慢性腰痛の運動時痛に対する効果を検証した報告は限られていました。そこで、畿央大学健康科学部理学療法学科の瀧口 述弘助教、庄本 康治教授と高松 昇三(健康科学研究科博士課程2年/オムロンヘルスケア株式会社)らは、腰部運動時痛に対してTENSの効果を検証し、周波数を変調したTENSによって慢性腰痛の運動時痛が軽減することを明らかにしました。この研究成果は、物理療法科学誌「慢性腰痛患者の運動時痛に対する経皮的電気刺激の効果:ランダム化比較試験」(https://doi.org/10.57337/jjeapt.21-21)に掲載されています。 研究概要 エビデンスレベルが高いといわれているランダム化比較試験という研究デザインを用いて検証しました。腰部に周波数を変調した(刺激の感覚が変わる)TENSを実施すると、プラセボTENS(電気を流していると説明しているが実際は流していない)と比較して、腰部運動時痛が低下しました。この結果から、周波数を変調したTENSを実施することで、慢性腰痛の運動時痛が軽減されることが明らかになりました。 研究のポイント ・慢性腰痛の運動時痛はTENSで軽減する。 ・周波数を変調させた方が、運動時痛が低下した。 研究内容 慢性腰痛患者80名を高周波数TENS群、変調周波数TENS群、プラセボTENS群に分類して、腰部運動時痛に対して効果を比較しました。腰部運動時痛は、腰部の運動テストでよく用いられる指床間距離を測定し、その時の痛みを運動時痛として測定しました。痛みの程度はVisual Analogue Scale (0 – 100で痛みの程度を示す。0: 全く痛くない 100: 想像できる最悪の痛み)を用いて測定しました。変調周波数TENSはプラセボ経皮的電気刺激と比較して、運動時痛が低下しました。 HF-TENS: 高周波数TENS MF-TENS: 変調周波数TENS 本研究の臨床的意義及び今後の展開 TENSは副作用がほとんどなく、近年では操作が簡単な家庭用の機械も販売されています。本研究の結果から、動作中の痛みを軽減できる可能性が示唆されました。今後は、日常生活場面で経皮的電気刺激を併用し、日常生活動作での腰痛が軽減するかを明らかにする必要があります。 論文情報 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjeapt/advpub/0/advpub_21-21/_article 問合せ先 畿央大学 健康科学部 理学療法学科 助教 瀧口述弘 TEL:0745-54-1601 FAX:0745-54-1600 E-mail: n.takiguchi@kio.ac.jp
2023.02.17
教職員対象「令和4年度 人権教育推進委員会主催学内研修会」を開催しました。
2023年2月16日(木)に本学教職員対象の「人権教育推進委員会主催学内研修会」を開催しました。 前年度と同様、対面と遠隔を同時に開催するハイフレックス型での開催となりましたが、80名を超える教職員が参加しました。今年度は、在日コリアンカウンセリング&コミュニティセンター(ZAC)でセンター長をされている丸一 俊介先生を講師にお迎えし、「日常生活に埋め込まれたマイクロアグレッション」をテーマにご講演いただきました。 “マイクロアグレッション”とは「意図の有無に関わらずマイノリティに侮辱と侮蔑を伝える、日常的で認識しづらい敵意や見下し」を意味し、日常の親しい関係や支援の場でも無意識に生じることがあります。この“マイクロアグレッション”について、身近にみられる様々な事例をもとに、それらが無意識的に起こる背景とその影響について解説いただきました。 例えば、海外出身者と思われる人に対し「日本語が上手ですね」と言ったり、女性がリーダーシップを発揮することに対し、「女性なのに頼りになるね」と言ったりと、発言者は善意や褒めているつもりの言葉の中に無意識的な「見下し」や「けなし」が含まれているケースも多くあります。これらに対し、マイノリティの価値観や属性を理解していくことが大切ですが、個人の意識だけでは変えられない部分も多く、社会的な影響も大きいと指摘。社会と個人の相互採用で認識がつくられる中で、認識が作られる前の介入の必要性なども示唆されました。 ▼質疑応答の様子 またマイクロアグレッションは相談場面でも起こりうることであり、安易な共感や「たいしたことじゃないよ」というような過小評価は支援への障壁となり、相談者にさらに深刻なダメージを与えることにもつながる可能性があるということもお話しいただきました。 改めて自身の発する言葉一つひとつの意味や重みを考える機会となり、教育に関わる立場として大切な気付きにつながる研修会となりました。 【関連記事】 令和3年度 人権教育推進委員会研修会「コロナ禍においてあらためて部落差別について考える」 令和2年度 人権教育推進委員会研修会「コロナ禍における人権問題について」 令和元年度 学園ハラスメント防止委員会・畿央大学人権教育推進委員会 共催研修会「LGBT(ハラスメントと人権)~多様性を認め合う社会をめざして~」 平成29年度 人権教育推進委員会研修会「LGBTって何?ーつながるための第一歩ー」 平成28年度 人権教育推進委員会研修会「子どもの声を聴き権利を守るー子どもアドボカシーとはー」 平成27年度 人権教育推進委員会研修会「ヘイト・スピーチとは何かーだれの、何を傷つけるの?ー」 平成26年度 人権教育推進委員会研修会「発達障害を持つ学生への対応について」
2023.02.10
健康栄養学科の学生が大和茶を使った洋菓子をパティシエと共同開発!奈良銘品館・奈良まほろば館他で販売~ヘルスチーム菜良
大和茶を使用した「緑茶マドレーヌ」「緑茶ヴィーガンクッキー」を共同開発 奈良県内管理栄養士養成課程(畿央大学・近畿大学・帝塚山大学・奈良女子大学)の学生で構成された食育ボランティアサークル「ヘルスチーム菜良(なら)」に所属する畿央nutrition egg team(畿央大学ヘルスチーム菜良)は、社会福祉法人せせらぎ会の田中貴也パティシエと、「Nyu farm」(奈良市丹生町)の大和茶を使用した「緑茶マドレーヌ」「緑茶ヴィーガンクッキー」を共同開発しました。 2月6日より、奈良銘品館奈良公園バスターミナル店、東京にある奈良まほろば館、大和高田市のOhisama・lunchでの販売を実施しております。また3月4日は香芝市のお祭りである「冬彩」でも販売を予定しております。 本商品は畿央大学の学園祭「畿央祭」で販売したところ、すぐに売り切れるほど大好評。ぜひお買い求めください! 販売場所 奈良銘品館奈良公園バスターミナル店(奈良市登大路町76) 奈良まほろば館(東京都港区新橋1丁目8-4 1F・2F SMBC新橋ビル 2階) Ohisama・lunch(奈良県大和高田市神楽3-8-8) 冬彩 ※3/4のみ(今池親水公園・香芝市役所南側:香芝市下田西3丁目9-3) 販売価格 1個 280円(税込) ▼緑茶マドレーヌ ▼緑茶ヴィーガンクッキー 問い合わせ先 畿央大学 健康科学部 健康栄養学科 野原 潤子 Tel: 0745-54-1601 Fax: 0745-54-1600 E-mail: j.nohara@kio.ac.jp
2023.02.08
感覚運動レベルにおける行為主体感の頑健性~畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター
行為/運動主体感(sense of agency:SoA)とは「このボールを蹴っているのは私だ」とか「このお皿を割ったのは私だ」など、日常生活で起こる行為の結果を自分に帰属させる主観的な意識のことです。感覚・運動に障害が生じると予測と実際の感覚が一致しないことがあり、それにより行為時の快適さが失われ不快感を訴えるケースがみられます。これは後遺症によって生涯にわたって頑健(つまり「適応できない」)に継続するのかは不明でした。畿央大学健康科学部理学療法学科4回生 三嶋 瑞穂さん、森岡 周教授、ニューロリハビリテーション研究センター 林田 一輝客員研究員らは、東京大学大学院人工物研究センター 温 文特任准教授と共同で、実験的に感覚予測と結果を一致あるいは不一致させる群を設け、一定の期間それに暴露させることで行為主体感が変化するかを調べました。その結果、短期間では行為主体感は変化しない、すなわち頑健であることが明らかになりました。この研究成果はBehavioral Sciences誌(Adaptability of the Sense of Agency in Healthy Young Adults in Sensorimotor Tasks for a Short Term)に掲載されています。 研究概要 行為/運動主体感(sense of agency)とは「ある運動・出来事を引き起こしている、生み出しているのは自分自身である」という主観的な制御の感覚・意識のことです。行為主体感は感覚予測と実際の感覚結果が一致すれば起こり、それらが一致しなければ低下あるいは喪失すると考えられています。例えば、神経疾患、統合失調症、自閉症スペクトラム障害では行為主体感の低下や喪失が報告されています。こうしたケースは、行為のたびに予測と結果に不一致が生じ、自らの行為への不快感につながることが示唆されます。脳卒中後の運動障害は残りやすく、行為に対する不快感が頑健(すなわち「非適応的」)に継続する可能性が考えられます。しかしながら、一定の期間、感覚予測と実際の感覚結果の不一致に暴露されることによって、行為主体感が適応的に変化するか否かは不明でした。また、行為主体感に影響する抑うつ傾向、統合失調症傾向、感覚過敏などの心理状態の個人差がその適応性に影響するかは不明でした。そこで畿央大学健康科学部理学療法学科4年生 三嶋 瑞穂さん、森岡 周教授、ニューロリハビリテーション研究センター 林田 一輝客員研究員らは、東京大学大学院人工物研究センター 温 文特任准教授が開発した実験課題(PCカーソルの自己制御比を実験的に操作することで行為主体感の変化を検出するもの)を用いて、一定期間、感覚予測と実際の感覚結果の一致(一致群)あるいは不一致(不一致群)の暴露による行為主体感の変化を捉えました。その結果、一致群と不一致群の行為主体感の変化に有意な差はみられず、行為主体感が適応的でなく頑健である可能性を示しました。また一致群のみ、暴露前後の行為主体感の変化が抑うつ傾向と関係することがわかりました。 本研究のポイント ■ 感覚予測-結果の不一致への暴露によって行為主体感は適応的に変化するかを調べた。 ■ その結果、感覚運動水準においては、行為主体感は適応的でない(頑健)であることがわかった。 研究内容 33名の健康な実験参加者を感覚予測と実際の感覚結果の一致群(一致群)と不一致群に分けました。MATLABとPsychtoolbox (MathWorks, USA) を使用して、行為主体感を検出する課題を作成しました。参加者はタッチパッドを使用してPC画面上のドットを4秒以内に自由に操作するように指示されました。なお、ドットの動きを自分の操作0~100%の中で10%ごとにランダムに反映させました。試行数は1試行4秒間の操作を計110試行(0~100%を10%ごとに各10回)とし、「“ドットの動きに違和感があっても”自分が動かしていると感じれば Yes と答える」よう参加者に要求し、個人の行為主体感の閾値を算出しました。図1は実験課題の例ですが、タッチパッドを使用して画面上のドットを操作した際、そのドットが自分によってコントロールできていると感じているかどうかが評価されました(図は100%または50%コントロールの例)。不一致群では算出した個人の閾値より10%低い値を100試行、一致群では完全に自分の動きで100試行実施させました。 図1.行為主体感を捉える実験課題 参加者はタッチパッドを使用して PC 画面上のドットを操作し、4 秒以内にドットを自由に操作するように指示されました。そのドットをコントロールできていると感じるかどうかで行為主体感が評価されました。図は100%または50%コントロールの例を示しています。 行為主体感の曖昧さの指標である傾きと50%の確率で「Yes」と回答する主観的等価点(Point of Subjective Equality:PSE)をロジスティック回帰曲線を使用して算出しました。また、参加者の抑うつ傾向、統合失調症傾向、感覚過敏を各種質問紙を用いて調べました。行為主体感を表すロジスティック回帰曲線の傾き、PSEに群間差はありませんでした(図2)。つまり感覚予測と感覚結果の不一致への非適応性が示され、感覚運動課題を用いた感覚運動レベルにおいては、不一致を受け入れることが難しいことが示唆されました。一方で、一致群のみで暴露前後の行為主体感の変化が抑うつ傾向と有意な相関関係を示しました。この結果は、抑うつ傾向の場合、感覚予測と結果の一致経験によって行為主体感を向上させる可能性が示唆されました。しかし、長期にわたる感覚予測と結果の不一致の暴露の影響は不明なままです。今後は、長期間の暴露による思考の変化といった認知レベルが感覚予測と結果の不一致といった感覚運動レベルにどのように影響するかを調べる必要があります。 図2.行為主体感の変化 行為主体感の指標であるロジスティック回帰曲線の勾配 ( A ) とPSE ( B ) の群別の結果(平均 ± 標準偏差)を表します。検定の結果、交互作用と主効果はどちらも有意ではありませんでした。Congruent group(一致群)、Incongruent group(不一致群) 本研究の臨床的意義および今後の展開 本研究における感覚予測と結果の不一致の暴露プロセスは、脳卒中後の片麻痺プロセスを想定しており、学習された不使用の原因に接近する可能性があると予想しています。一方、感覚予測と結果が一致する課題は抑うつ傾向を改善させる選択肢となる可能性が示唆されました。今後は、感覚運動水準の課題に文脈や思考など認知水準の手続きを加え、柔軟に適応できるかどうかを調べる必要があります。 論文情報 Mizuho Mishima, Kazuki Hayashida, Yoshiki Fukasaku, Rento Ogata, Kazuki Ohsawa, Ken Iwai, Wen Wen, Shu Morioka Adaptability of the Sense of Agency in Healthy Young Adults in Sensorimotor Tasks for a Short Term Behavioral Sciences, 2023 問い合わせ先 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 畿央大学大学院健康科学研究科 教授 森岡 周 Tel: 0745-54-1601 Fax: 0745-54-1600 E-mail: s.morioka@kio.ac.jp
2023.02.03
サーマルグリル錯覚に特徴的な脳波律動~畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター
温かいモノと冷たいモノを同時に触ると、本当は熱くないはずなのに、それを「痛い」と経験することがあり、この経験は”サーマルグリル錯覚”と呼ばれています。畿央大学大学院 健康科学研究科 修士課程を修了した浦上 慎司さん(現:星ヶ丘医療センター 理学療法士)とニューロリハビリテーション研究センター大住 倫弘 准教授は、サーマルグリル錯覚を経験している時の脳波活動を計測・分析し、特徴的な脳波活動を明らかにしました。この研究成果はNeuroReport誌(Cortical oscillatory changes during thermal grill illusion)に掲載されています。 研究概要 ”サーマルグリル錯覚”とは、温かい棒と冷たい棒が交互に並べられている棒に手を置くと、痛みをともなう灼熱感が惹起される現象です(図1)。この現象は、中枢神経メカニズムによって生じると説明されていますが、そのメカニズムは十分に明らかにされていません。畿央大学大学院 健康科学研究科 修士課程を修了した浦上 慎司さん(現:星ヶ丘医療センター 理学療法士)とニューロリハビリテーション研究センター大住 倫弘 准教授は、健常者を対象に、サーマルグリル錯覚中における脳波活動を計測・分析しました。その結果、サーマルグリル錯覚を経験している時には、痛み関連脳領域/ペインマトリックス(Pain Matrix)の代表である島皮質周辺の脳波律動が特徴的に変化することが明らかになりました。この研究は、サーマルグリル錯覚における中枢神経メカニズムの一端を明らかにしたことになります。 本研究のポイント ■ 温かい棒と冷たい棒が交互に並べられているグリルの上に手を置くと痛みを感じる ■ サーマルグリル錯覚中では島皮質に特徴的な変化が生じる 研究内容 健常21名を対象にして、サーマルグリル錯覚によって生じる脳波活動を計測・分析しました。具体的には、①暖かい棒だけが並べられているグリルに手を置く条件(コントロール条件)と、②温かい棒と冷たい棒が交互に並べられているグリルに手を置く条件(サーマルグリル錯覚条件)で脳波活動を計測し、それらの脳波活動を比較することによってサーマルグリル錯覚に特徴的な脳波成分を抽出しました。 その結果、痛み関連脳領域/ペインマトリックス(Pain Matrix)の代表である島皮質が、サーマルグリル錯覚を引き起こす脳領域であることが明らかになりました。島皮質は、暖かい/冷たいという感覚が入力されているだけでなく、”痛い”という情動経験にも関与します。加えて、この島皮質は中枢性疼痛をもたらす脳領域としても知られています。今回の結果は、中枢性疼痛のメカニズム解明に役立つ基礎研究になることが考えられます。 論文情報 Uragami S, Osumi M. Cortical oscillatory changes during thermal grill illusion. NeuroReport 2023 問い合わせ先 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 准教授 大住 倫弘(オオスミ ミチヒロ) Tel: 0745-54-1601 Fax: 0745-54-1600 E-mail: m.ohsumi@kio.ac.jp
2023.01.24
令和5年度 在外研究員 研究計画説明会を開催しました。
教育研究水準の向上および国際交流の進展に資するため、学術の研究・調査等のため外国に在外研究員を派遣する制度があります。令和5年度の在外研究員には理学療法学科 松本 大輔准教授が選ばれ、2023(令和5)年4月1日から2024(令和6)年3月31日までの期間、フランス南西部トゥールーズにあるInstitute of Aging, Gérontôpole, Toulouse University Hospitalで研究活動を行われます。これに先立ち、2023年1月19日(木)に在外研究説明会を開催し、教職員24名が参加しました。 研究課題名:Association and interaction between intrinsic capacity and environment factors for functional ability decline 受入研究者:Prof. Philipe de Souto Barreto, Prof. Bruno Vellas 在外研究機関:Institute of Aging, Gérontôpole, Toulouse University Hospital(フランス) 松本先生は、高齢者の介護予防・ヘルスプロモーションに向けた関連要因および地域格差の検討、身体活動およびフレイルに関する行動遺伝学的研究等を専門とした研究をしておられます。チーム医療ふれあい実習、海外インターンシップ等の担当授業のほか、本学が広陵町と連携した「広陵町×畿央大学KAGUYAプロジェクト」の取り組みや健康支援学生チーム「TASK」の活動支援などを通じて地域での介護予防や健康増進に力を入れてこられました。 世界的に高齢化が進み、ヘルシーエイジングに向けた取り組みが重要になってきています。WHO(世界保健機関)では、高齢者の内在的能力の低下を管理するための地域レベルでの介入ガイドラインとして高齢者のための統合ケア(ICOPE)を推奨しています。 受入機関であるToulouse University Hospitalは、WHO Collaborating Centre for Frailty,Clinical & Geroscience Research, and Geriatric Training であり、WHO ICOPEの実装パイロット研究を進めている機関でもあります。松本先生は国際論文も多数執筆しておられる世界的権威Bruno教授、Philipe教授の下で、ブラジルや台湾、メキシコ、スペインからの研究者と一緒に研究されます。 ▼Bruno教授(中央)、Philipe教授(左) 松本先生の研究計画はWHOが提唱する内在的能力の6つのドメインと物理的環境要因とその相互作用や、機能的能力およびウェルビーイングとの関連性などについて検討することとしています。 松本先生には、専門とする高齢者の介護予防・ヘルスプロモーションの専門知識と本学で近隣地域と連携して取り組んでこられた豊富な経験を国際的な場で活かし、日本国内では経験できないような発展的な研究を進めていただくことを期待しています。 【関連記事】 平成29年度在外研究報告会を開催しました。 平成29年度 在外研究説明会を開催しました。 平成28年度 在外研究説明会を開催しました。 畿央大学開学10周年記念プロジェクト研究中間報告会及び在外研究報告会を開催しました。
2023.01.20
小学校教諭85.4%、養護教諭64.7%、公立幼稚園・保育士100%!〜2023年3月卒業生
追加合格で過去最高を更新! 小学校教諭85.4%、難関の養護教諭で64.7%! 公立幼稚園・保育士も全員合格! 2023年度公立学校教員採用試験が終了しました。教育学部現代教育学科4回生のうち、70名が小学校教諭、11名が養護教諭、3名が特別支援学校教諭、2名が中・高校教諭(英語)の採用試験に現役合格をはたしました。また公立幼稚園教諭・保育士採用試験には25名が挑戦し、全員が現役合格を手にしています。 小学校教諭の現役合格率は過去最高だった昨年の77.8%をさらに上回る85.4%となり、コロナ禍でも4年連続7割以上というきわめて高い水準で推移しています。 小学校教諭 2023年卒 2022年卒 2021年卒 2020年卒 現役合格率 85.4% 77.8% 71.2% 75.6% 受験者 82 90 73 82 合格者 70 70 52 62 養護教諭でも過去2番目に高い64.7%と、狭き門ながら着実に現役合格者を輩出しています。 養護教諭 2023年卒 2022年卒 2021年卒 2020年卒 現役合格率 64.7% 35.7 % 36.4% 46.2% 受験者 17 14 22 13 合格者 11 5 8 6 そのほか特別支援学校教諭が100%、中・高教諭(英語)で66.7%、健康栄養学科でも栄養教諭で57.1%が現役合格をはたしました。 また公立幼稚園教諭・保育士も3年ぶりの100%で、5年連続で9割以上が現役合格という快挙を達成しています。 公立幼稚園・保育士 2023年卒 2022年卒 2021年卒 2020年卒 現役合格率 100.0% 97.0% 94.6% 100.0% 受験者 25 33 37 27 合格者 25 32 35 27 教採・公務員対策室では、学科教員と連携した「ダブル担任制」で学生をサポートしています。2回生前期からコロナ禍に突入し、難しい時期も経験しながら走り続けた現4回生の頑張りはもちろん、できる限りの教育と支援を尽くしてくださった先生方にも敬意を表します。 今後は講師等の採用も含め、畿央生を最後の一人まで応援していきます。夢に向かって頑張れ、畿央生! 教採・公務員対策室 公立学校教員採用試験 現役合格率ならびに都道府県・市別の合格者数 公立小学校教諭 85.4% 合格者70名/受験者82名(現代教育学科) ➡過去最高の現役合格率を2年連続で更新! 都道府県・市 1次受験者 1次合格者 (辞退者) 2次受験者 最終合格者 奈良県 37 36 1 35 22 大阪府 14 14 - 14 11 大阪市 12 11 - 11 8 堺市 8 8 - 8 7 京都府 3 3 - 3 2 京都市 1 1 - 1 1 兵庫県 5 5 - 5 2 神戸市 1 1 - 1 1 和歌山県 11 11 5 6 5 滋賀県 29 15 - 15 2 三重県 4 4 1 3 3 愛知県 31 31 3 28 17 岡山県 18 11 10 1 1 鳥取県 20 19 8 11 10 高知県 74 69 13 56 24 千葉県 3 3 - 3 3 公立学校養護教諭 64.7% 合格者11名/受験者17名(現代教育学科) ➡コロナ禍でも過去2番目に高い現役合格率を達成! 都道府県・市 受験者 1次合格者 (辞退者) 2次受験者 最終合格者 奈良県 4 4 - 4 2 大阪市 5 3 1 2 2 京都府 1 1 - 1 1 兵庫県 1 1 - 1 1 北海道 2 2 1 1 1 高知県 18 6 4 2 1 鳥取県 7 6 1 5 4 福岡県 1 1 - 1 1 鹿児島県 1 1 - 1 1 公立特別支援学校教諭 100% 合格者3名/受験者3名(現代教育学科) ➡2年連続で全員合格! 都道府県・市 受験者 1次合格者 (辞退者) 2次受験者 最終合格者 大阪府 1 1 - 1 1 愛媛県 1 1 - 1 1 鳥取県 3 3 - 3 3 神奈川県 1 1 - 1 1 公立中学・高校教諭(英語) 66.7% 合格者2名/受験者3名(現代教育学科) 都道府県・市 受験者数 1次合格者数 (辞退者) 2次受験者 最終合格者 大阪府 3 3 - 3 2 公立学校栄養教諭 57.1% 合格者4名/受験者7名(健康栄養学科) 都道府県・市 受験者 1次合格者 (辞退者) 2次受験者 最終合格者 大阪府 3 3 - 3 2 愛知県 4 3 1 2 1 北海道 5 5 2 3 3 公立幼稚園教諭・保育士採用試験 自治体別の合格者数 公立幼稚園教諭・保育士 100% 合格者 25名/受験者 25名(現代教育学科) ➡5年連続で9割以上が現役合格! ➡2023年4月、畿央大学付属広陵こども園開設! 都府県・市(町) 1次受験者 1次合格者 辞退者 最終合格者 奈良県香芝市 14 14 8 5 奈良県生駒市 3 3 - 1 奈良県大和郡山市 14 14 2 4 奈良県天理市 7 6 3 2 大阪府大阪市 9 9 1 8 大阪府東大阪市 2 2 1 1 大阪府八尾市 2 2 1 1 大阪府柏原市 2 2 1 1 大阪府吹田市 7 7 1 2 大阪府豊中市 7 7 2 3 大阪府藤井寺市 3 3 - 2 大阪府河南町 1 1 - 1 京都府京田辺市 2 2 - 2 兵庫県伊丹市 1 1 - 1 滋賀県高島市 1 1 - 1 注1.過年度卒業生を含みません(すべて2023年3月卒業見込者)。 注2.2023年1月20日現在の判明者数です。今後変動する場合があります。 注3.一部試験での1次試験免除者を含みます。 関連リンク 2022年、教育学部が深化します。 小学校教諭77.8%、公立幼・保97.0%、養護教諭40.0%が現役合格!〜2022年3月卒業生
2023.01.16
令和5年1月4日(水)消防訓練(教職員対象)を実施しました。
令和5年の新年のスタートに合わせて、本学の自衛消防隊の組織体制を確認し、消防訓練を実施しました。 C棟1階の調理実習室から出火という設定で、火災報知機を作動させ、構内には非常放送が流れました。実際に消防署へ119番通報する通報訓練、避難誘導班による避難誘導と教職員が中庭へ避難する避難訓練、模擬消火器を使用した消火訓練を行いました。 ▼消火訓練の様子 初期消火時には周囲に火災発生が分かるように「火事だ!」と大きな声を出すことが大切であることを再確認しました。 学生・教職員等の安全確保の為、防災意識の向上、及び防火・防災対策の更なる徹底に努めてまいります。
2023.01.12
2022年度人間環境デザイン学科 卒業研究・作品展を開催します。
2022年度の人間環境デザイン学科 『卒業研究・作品展』は、橿原市にあるミグランス(橿原市役所分庁舎)で行います。 在学生の4年間の集大成となる卒業研究・作品61点が展示される予定です。 みなさまのご来場を心よりお待ちしております。 会 場 ミグランス(橿原市役所分庁舎) (4階コンベンションルーム・10階展望フロア) 奈良県橿原市内膳町1丁目1番60号 【TEL】0744-47-2924 ※近鉄大阪線 大和八木駅より徒歩3分 ※一般来場者用の駐車場はございません。 主 催 畿央大学 健康科学部 人間環境デザイン学科 後 援 橿原市/橿原市教育委員会 日 時 2023年3月4日(土)9:00~17:00 2023年3月5日(日)9:00~16:00 備 考 入場無料 ▲画像はクリックで拡大できます。 《ポスターデザイン 人間環境デザイン学科2回生 山田 汐音》 【関連リンク】 ●人間環境デザイン学科「2021年度卒業研究・作品展」を開催しました。 ●令和2年度 卒業研究講評会および学内展示会を開催しました。 ●人間環境デザイン学科「2018年度卒業研究・作品展」を開催しました。 …コロナ前のイベントレポート ●人間環境デザイン学科 作品ギャラリー …過去の卒業作品をまとめた特設サイト
2023.01.10
【食支援プロジェクト】日替わりメニューを20円で提供しています(物価高に伴う食の支援)
ウクライナ戦争の勃発による世界的な原材料の高騰や急激な円安を原因として、物価が上昇し食品の値上げが相次いでいます。畿央大学では、経済的に困窮が生じている学生へ「食支援プロジェクト」として、学食の定食メニューの補助を2023年1月5日(木)より実施しています。 本プロジェクトでは、食の支援を必要とする学生に対し20円にてランチを提供し、多くの学生が利用していす。食堂は連日大盛況となっています! 学生からは「こういった支援は非常に助かる」「今後も支援を継続してほしい」等の声がありました。 昼食のみの支援ではありますが、少しでも経済的困窮を救済するための一助となればと考え、今回の施策を実施いたします。 食支援プロジェクト 支援内容 20円にて食堂メニューを日替わり提供 対象者 物価高の影響に伴い、経済的な悪影響が生じている方 実施期間 2023年1月の食堂営業日<2023年1月5日(木)~1月27日(金)> ※早期終了の可能性あり お問い合わせ 畿央大学 教育推進部 学生生活担当 Tel 0745-54-1601
2023.01.07
【満員御礼】3/11(土)教育学研究科シンポジウムー「憐れみ」で終わらせない障害理解教育ーを開催します。
【満員御礼】 定員に達しましたので、申込みを締切ました! 畿央大学大学院教育学研究科では、現代の教育課題の中から「生徒指導」「特別支援教育」「ICT」の3分野に焦点を当て、現場の学校教員をはじめとして教育に関わる社会人に教育実践力を養う教育課程の実施と教育課題の解決に向けての研究活動に取り組んでいます。 今回は、研究活動の中から「特別支援教育」の分野でシンポジウムを実施します。テーマは「憐れみ」で終わらせない障害理解教育ー何が社会的不利益を生み出すのかを考えるためにです。 下記①~③の講演を事前視聴のうえ、シンポジウムにはZoom(ウェビナー)でご参加ください。 講演(YouTubeでの事前視聴) ① 人間の<しょうがい(Disability)>をどのように理解する必要があるのか?ー<しょうがい(Disability)>理解教育の創造の手がかりのためにー 木全 和巳氏(日本福祉大学 社会福祉学部社会福祉学科 教授) ② 女という『不利益』 あかた ちかこ氏(京都精華大学 非常勤講師) ③ 日本における障害理解教育研究の概観と課題 大久保 賢一(畿央大学大学院 教育学研究科 教授) 2月中旬頃に限定公開します(準備が整いましたら、申込メールアドレスにURLをお知らせします) 3/18(土)まで視聴可能です。 シンポジウム(Zoomウェビナー) 日 時 2023年3月11日(土) 13:30~15:00 趣旨説明・話題提供 15:20~16:30 全体討議 参加費 無料(定員500名) 登壇者 木全 和巳氏(日本福祉大学 社会福祉学部社会福祉学科 教授) あかた ちかこ氏(京都精華大学 非常勤講師) 大久保 賢一(畿央大学大学院 教育学研究科教授) コメンテーター:塩原 佳典(畿央大学大学院 教育学研究科 准教授) 申 込 ※申込定員に達しましたので、受付を終了しました。 講演がYouTubeで視聴できる環境が整いましたら、申込みメールアドレス宛に事前視聴用URLとZoom(ウェビナー)のURLをお知らせします。【2月中旬予定】 事前講演をYouTubeで視聴のうえ、シンポジウムにZoomで参加してください。 問合せ 畿央大学総務部 教育学研究科研究会係 TEL 0745-54-1602 FAX 0745-54-1600 ▼クリックすると、チラシPDFが開きます。
2023.01.04
2023(令和5)年 冬木学園「仕事始め式」を行いました。
令和5(2023)年1月4日(水)午前10時30分より、学校法人冬木学園の「仕事始め式」を、畿央大学の冬木記念ホールで行いました。 会場の感染予防対策を万全に行い、関西中央高等学校の教職員および参加できない畿央大学の教職員についてはオンデマンド配信で視聴できるよう配慮をして実施しました。 冬木理事長・学長、植田健康科学研究科長・健康科学部長、前平教育学研究科長・教育学部長・畿央大学付属広陵こども園園長予定者、西川校長(関西中央高等学校)からそれぞれ年頭のあいさつがありました。 畿央大学が開学20周年を迎え、4月には畿央大学付属広陵こども園の開設といった本学園にとって重要な1年になります。開学からの歩みも振り返りながら、学生・生徒に「建学の精神」のもとに充実した教育が行われていることを確認し、参加者それぞれが学園の一員として決意を新たにする場となりました。 開学20周年という節目に、新たな可能性に挑戦しながら、建学の精神「徳をのばす」「知をみがく」「美をつくる」の具現化に向けて教職員が一丸となって邁進してまいります。 本年も学校法人冬木学園および畿央大学をよろしくお願い申し上げます。
2022.12.23
慢性腰痛者における運動恐怖は予測的姿勢制御を乱してふらつきの原因になる~畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター
予測的姿勢調節(APA)は運動を効率的に実行する上で重要な機能ですが、慢性腰痛者のおけるAPAと運動・姿勢制御との関連性は明らかになっていませんでした。畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 西 祐樹 客員研究員とセンター長 森岡 周 教授らは、運動恐怖によるAPAの変化はその後の運動・姿勢制御に影響することを明らかにしました。この研究成果はScandinavian Journal of Pain(Anticipatory postural adjustments mediate the changes in fear–related behaviors in individuals with chronic low back pain)に掲載されています。 研究概要 慢性腰痛者では、運動恐怖によって“凍結行動”と呼ばれる運動時の腰部に対する過剰な保護や運動の緩慢化が生じます。一方、運動には身体の動揺が伴うため、運動実行前に姿勢を調整する“予測的姿勢調節(Anticipatory postural adjustment: APA)”によって効率的かつ正確に運動を制御できることが知られています。 しかしながら、慢性腰痛者の腰部運動においてAPAがどのように機能しているのかは明らかになっていませんでした。 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 西 祐樹 客員研究員 と センター長 森岡 周 教授 らは、 地域在住の慢性腰痛者を対象に重心動揺計上で体幹の屈曲伸展運動を計測しました。その結果、運動恐怖がAPAを媒介してその後の運動・姿勢制御に悪影響を及ぼしていることが明らかになりました。この成果は慢性腰痛による運動制御の更なる病態理解に寄与しました。 本研究のポイント ■ 慢性腰痛者および健常高齢者の体幹屈曲伸展運動における予測的姿勢制御や運動・姿勢制御を測定した。 ■ その結果、慢性腰痛者では予測的姿勢調節の機能の低下が生じていた。 ■ 加えて、運動恐怖のよる予測的姿勢調節の変化はその後の運動・姿勢制御に影響していた。 研究内容 慢性腰痛者48名および健常高齢者22名は体幹の屈曲伸展運動を行い、電子ゴニオメーターで腰部の角度を計測し、重心動揺計で足圧中心(COP)を計測しました(図1)。 COPの偏位開始から運動の開始までのAPAの期間を抽出するとともに、体幹屈曲伸展運動の運動および姿勢制御変数を算出しました。その結果、健常高齢者と比較して慢性腰痛者では、屈曲伸展の切り替え時間(運動制御)およびAPA時間が延長しました。加えて、課題前後でCOPの位置(姿勢制御)は前方に偏位していました。つまり、慢性腰痛者では、体幹の屈曲により前方に偏位したCOPが体幹の伸展に伴って正中へ偏位せず、前方位置に残存する現象が観察されました。次に、これらの変数を投入した媒介分析の結果、慢性腰痛者の切り替え時間はAPAの有意な間接効果と運動恐怖の直接効果を受け(部分媒介効果)、COPの前方偏位はAPAを介した運動恐怖の有意な間接効果を受けること(完全媒介効果)が明らかとなりました(図2)。 これらは運動恐怖症による「凍結行動」のような過剰な保護戦略は、予測的姿勢調節の機能不全をきたし、その後の運動および姿勢制御の変化に影響することが考えられています。 本研究の臨床的意義および今後の展開 慢性腰痛者では運動制御のみならず臨床場面で見落とされやすい姿勢制御においても運動恐怖によって凍結様の過剰な保護が生じることが明らかになりました。加えて、運動・姿勢制御には運動が始まる前の予測的な姿勢調節が影響していました。本研究成果は、慢性腰痛のさらなる病態理解に寄与する可能性があります。 論文情報 Nishi Y, Osumi M, Morioka S Anticipatory postural adjustments mediate the changes in fear-related behaviors in individuals with chronic low back pain Scand J Pain, 2022 関連する論文 Osumi M, Sumitani M, Otake Y, et al. Kinesiophobia modulates lumbar movements in people with chronic low back pain: a kinematic analysis of lumbar bending and returning movement. Eur Spine J. 2019;28(7):1572-1578. 問い合わせ先 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 畿央大学大学院健康科学研究科 教授 森岡 周 Tel: 0745-54-1601 Fax: 0745-54-1600 E-mail: s.morioka@kio.ac.jp
2022.12.22
2/18・25(土)畿央大学公開講座を2週連続で開催します。
「衣食住」をテーマに3年ぶりの対面開催! 本学では、地域の皆さまに生涯教育の場を提供し、地域社会に貢献することを目的とした「畿央大学公開講座」を毎年開催しています。今年度は3年ぶりに対面での開催となりました。健康栄養学科と人間環境デザイン学科の教員による、それぞれの研究テーマに即した衣食住に関するテーマを取り上げます。多くの皆様のご参加をお待ちしております。 申込フォーム 第21回畿央大学公開講座(2/18) 講座① おいしさを生み出すうま味とコクの新常識~味覚と脳のメカニズム~ 【日時】2023年2月18日(土)13:00-14:00 【講師】健康科学部 健康栄養学科 山本 隆 教授 栄養があり体にいいものを含む食べ物はおいしさに結びつきます。おいしさとは何でしょうか?最近そのメカニズムがわかってきました。日常的に食べるお料理のおいしさの基本はうま味とコクです。甘味や油ものなどのおいしいものは食べ過ぎてしまうという脳の仕組みは誰もが本能的に持っているのですが、うま味とコクを上手に組み合わせればおいしさは増強し、満足感を保ちつつ食べ過ぎを防ぐという魅力的な効果があります。おいしく食べることは健康に結びつくのですが、そのためにはどのような食生活をしたらいいのかを皆さんと一緒に考えていきたく思います。 講座② 古都奈良と近代建築 【日時】2022年2月18日(土)14:30-15:30 【講師】健康科学部 人間環境デザイン学科 前川 歩 講師 奈良は古代より都市が展開され、宮殿や役所、寺院、邸宅など多くの建築が建てられました。そして、奇跡的にも古代建築のいくつかは1300年以上の間この奈良の地に建ち続け、当時の雰囲気を今に伝えます。奈良県下の国宝建造物の数は64件、国内トップの保有件数になります。しかし、奈良の景観を彩るのはそうした古代建築だけではありません。奈良には明治以降に建てられた優れた近代建築も多く残っています。さらに興味深いことは、そうした近代建築に古都奈良ならではの特徴をみることができる点です。今回の公開講座では、現在の奈良の都市景観に欠くことのできない、古都奈良の近代建築の特徴と魅力をみていきたいと思います。 第22回畿央大学公開講座(2/25) 講座③ 「入浴着にできること」~乳がん患者のQOL向上から入浴着のユニバーサル化まで~ 【日時】2023年2月25日(土)13時から15時(終了時間は多少前後する予定です) 【講師】健康科学部 人間環境デザイン学科 村田 浩子 教授 村田教授を中心に開発に取り組んできた日本初の乳がん術後女性のための使い捨て入浴着「バスタイムトップス」が2022年度グッドデザイン賞を受賞したことを受け、入浴着の更なる普及を図るため、講演会形式にて公開講座を開催します。当日の流れは以下の通りです。 日本デザイン振興会 2022年度グッドデザイン賞について 村田教授 入浴着制作のこれまでの経緯とこれからの展開について 休憩 パネルディスカッション 概要と申込方法について 会 場 畿央大学において対面で開催 受講料 無料 定 員 講座① 100名 講座② 100名 講座③ 200名 ※すべて申込先着順となります。 申込 方法 2023年1月5日(木)より申込を開始します。 下記【申込フォーム】より必要事項を入力のうえお申し込みください。 申込フォーム なお、E-mailでもお申込みいただけます。件名を「公開講座参加希望」として、下記5点を明記のうえinfo@kio.ac.jpに送信をお願いします。 ①氏名 ②年齢 ③住所(市町村まで) ④電話番号 ⑤参加希望講座番号 問合せ 畿央大学 教育推進部 公開講座係 〒635-0832 奈良県北葛城郡広陵町馬見中4-2-2 【E-mail】info@kio.ac.jp 【Tel】0745-54-1601 ▶チラシPDF(クリックで開きます) 【関連記事】 第20回畿央大学公開講座「コロナ時代におけるこれからの認知症ケア」をオンライン開催しました。 第19回畿央大学公開講座「感染症を知ろう~新型コロナウイルスとこれからの生活~」をオンライン開催しました。 第18回畿央大学公開講座「当事者とともに創る認知症ケア」を開催いたしました。 第17回畿央大学公開講座「認知症の正しい理解」を開催しました。 第16回畿央大学公開講座を開催しました。 第15回畿央大学公開講座B・C(2日目)を開催しました。 第15回畿央大学公開講座 講座Aを開催しました。 第14回畿央大学公開講座を行いました。 第13回畿央大学公開講座を開催しました。 第12回畿央大学公開講座「健康長寿のための食と運動」を開催しました。
2022.12.22
年末年始の休業期間について(冬季休業期間12/29~1/3)
2022年12月29日(木)~2023年1月3日(火)は冬季休業とさせていただきます。ご不便をおかけしますが、ご了承くださいますようお願いいたします。 お問合せについて 上記期間中は電話・FAXでのお問い合わせには対応できません。Eメールでお問い合わせいただいた場合、返信は1月4日(水)以降となりますので、ご了承ください。また、同期間中はキャンパス内への立ち入りもできません。 なお、本学学生の冬季休業期間中における新型コロナウイルス感染症に対する連絡・相談については、休業期間中もこれまでと同様に『体調異変時報告フォーム』への入力をお願いします(なお、大学からの連絡は1月4日(水)以降となります)。 資料請求について 年内の資料の発送は12/28(水)にて終了させていただきます。年明け1月5日(木)以降は通常通り発送可能となります。なお、テレメールによる資料請求の場合は、12月31日(土)・1月1日(日)を除き通常通り発送を行っていますので、お急ぎの方はご利用ください。 →資料請求フォームはこちら 一般選抜前期日程・大学入学共通テスト利用選抜前期日程の出願受付について 出願期間は2022年12月16日(金)~2023年1月13日(金)です。出願期間中はいつでもインターネットで出願登録を行うことができますが、冬季休業期間中はお問い合わせには対応できません。誠に申し訳ございませんが、お問い合わせは1月5日(木)以降にお願いいたします。また受験票の発送は、1月5日(木)以降に開始いたします。 → 一般選抜前期日程 → インターネット出願
2022.11.15
【4組限定】親子のきずなサロン2023 「安心感の輪」子育てプログラムを開催します~看護実践研究センター
世界中で注目されているアタッチメント(愛着)に焦点づけたプログラムを開催! 畿央大学看護実践研究センター地域包括ケア部門では、子どもとの健全な関係を育むことを目的とした親子のきずなサロン「安心感の輪」子育てプログラムを開催します。ぜひご参加ください。 日程 2023年1月14日(土)~3月4日(土)の毎週土曜日午後2時から3時30分 全8回 *8回すべてご参加できる方歓迎! 定員 定員4組 *先着順とさせていただきます。 対象 未就学児のお子さんをもつ養育者で、Zoomでの参加が可能な方。障がいをもつお子さんの保護者・夫婦での参加も可能です。 開催方法 Zoomでのオンライン開催 *最終日のみ畿央大学にて対面開催。 講師 「安心感の輪」子育てプログラムファシリテーター 畿央大学健康科学部看護医療学科准教授 田中陽子(保健師) 参加費 無料 申込期間 2022年11月1日(火)~12月26日(月) 申込方法 下記の申込ページまたはチラシ記載のQRコードからお申込みください。 申込ページ 問い合わせ先 畿央大学 看護実践研究センター地域包括ケア部門 看護医療学科 准教授 田中陽子 E-mail:y.tanaka@kio.ac.jp ▼画像クリックでチラシPDFが開きます。