トピックス
2022.11.14
患者教育と運動指導が腰痛による運動制御障害を改善させるか?~畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター
腰痛によって引き起こされる「身体を動かすことへの恐怖心(運動恐怖)」は、体幹の運動制御障害に悪影響を与えることが知られています。また、運動恐怖に対する介入として、痛みの神経生理学に基づいた患者教育や運動指導が有用とされています。しかしながら、これら介入によって生じる腰痛症状の改善と体幹の運動制御障害の変化や、その時間的関連性は明らかとされていませんでした。畿央大学大学院博士後期課程 修了生の藤井 廉 氏と森岡 周 教授らは、腰痛を有する就労者1例に対して一連の介入を実施し、運動恐怖が改善したとしても、運動制御障害が残存した場合、やがて腰痛症状が再発する可能性を示しました。 この研究成果は、SAGE Open Medical Case Reports誌(Changes in task-specific fear of movement and impaired trunk motor control by pain neuroscience education and preliminary single-case study of a worker with low back pain)に掲載されています。 研究概要 運動恐怖(身体を動かすことへの恐怖心)は、腰痛症状を慢性化させる要因であることが報告されています。腰痛を有する就労者においては、この運動恐怖が作業動作時の体幹の運動を乱すことで、腰部への負荷を大きくし、やがて労働能力の低下をもたらすと考えられています。 畿央大学大学院博士後期課程 修了生の藤井 廉 氏、森岡 周 教授らの研究チームは、腰痛を有する就労者1例に対して、痛みの神経生理学に基づいた患者教育と運動指導を用いた介入を実施し、運動恐怖と体幹の運動制御障害の変化を詳細に分析しました。その結果、介入によって運動恐怖は改善しましたが、運動制御障害は変化を認めませんでした。フォローアップ終了後(介入後からおよそ8ヶ月後)も同様の傾向を示しており、最終的には痛み強度の増加を認めました。本症例の一連の経過から、運動制御障害が残存した場合、やがて腰痛症状が再燃する可能性が示されました。 本研究のポイント ■ 腰痛を有する就労者1例に対して、痛みの神経生理学に基づいた患者教育と運動指導による介入を実施しました。 ■ 介入によって、運動恐怖をはじめとした腰痛症状は改善しましたが、運動制御障害は不変なままでした。 ■ 運動制御障害が残存したまま就労を継続することによって、いずれ腰痛症状が再燃する可能性が示されました。 研究内容 本研究の対象は、慢性腰痛を有しながらも就労を継続していた20歳代の男性介護士でした。「重い物を持ち上げる際、痛みはあまり感じないが、腰を動かすことに怖さがある」といった訴えを認めていました。 研究デザインはABAデザインを適用し、A1期:ベースライン期、B期:介入期(痛みの神経生理学に基づいた患者教育と運動指導)、A2期:フォローアップ期としました。評価は、重量物持ち上げ動作の運動学的解析と、作業動作中に生じた課題特異的な運動恐怖を測定しました。 介入の結果、介入期以降で、課題特異的な運動恐怖や体幹運動の緩慢さ(最大体幹屈曲・伸展角速度)、その他腰痛症状(痛み強度や能力障害)に改善を認めました。その一方で、体幹の運動制御障害(運動の一致度)は不変なままでした。さらに、フォローアップ期以降においても、これらの指標は同様の傾向を示し、最終的には痛み強度の増悪を認めました(図1)。 本研究より、一連の介入によっても、運動制御障害は改善しづらく、その問題が残存したまま就労を継続することで、やがて腰痛症状の再燃に影響する可能性が示されました。 図1.各評価指標の時系列的変化 ベースライン期、介入期、フォローアップ期、フォローアップ期終了後から3ヵ月・8ヶ月時点で収集された評価指標を、時系列に示しています。 本研究の臨床的意義および今後の展開 本症例研究では、介入によって運動恐怖は改善しましたが、運動制御障害は不変なままでした。そして、運動制御障害が残存することによって、やがて腰痛症状が再燃する可能性が示されました。今後の展開として、運動恐怖をさらに詳細に分析することで運動制御障害が残存した要因を明確にするとともに、運動制御障害を改善するためのアプローチ方法を開発しその効果を検証していく必要があると考えています。 論文情報 Fujii R, Imai R, Shigetoh H, Tanaka S, Morioka S. Changes in task-specific fear of movement and impaired trunk motor control by pain neuroscience education and exercise: A preliminary single-case study of a worker with low back pain. SAGE Open Med Case Rep. 2022 Oct 24;10:2050313X221131162. 関連する先行研究 Ren Fujii, Ryota Imai, Shinichiro Tanaka, Shu Morioka. Kinematic analysis of movement impaired by generalization of fear of movement-related pain in workers with low back pain. PLoS ONE. 2021; 16 (9): e0257231. Ren Fujii, Ryota Imai, Hayato Shigetoh, Shinichiro Tanaka, Shu Morioka. Task-specific fear influences abnormal trunk motor coordination in workers with chronic low back pain: a relative phase angle analysis of object-lifting. BMC Musculoskelet Disord. 2022; 23 (1): 問い合わせ先 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 畿央大学大学院健康科学研究科 教授 森岡 周 Tel: 0745-54-1601 Fax: 0745-54-1600 E-mail: s.morioka@kio.ac.jp
2022.11.02
行為と結果の規則性の知覚感度の発達変化~畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター
定型発達乳児は生後の発達早期に、自己の運動とその結果の繋がり、すなわち行為と結果の規則性が知覚できるとされています。例えば、頭上にあるモビールと足首を絹紐で結びつけられた生後9~12週齢の赤ちゃんは、自分の足を動かすとモビールが動くことに気付き、それが楽しい報酬となり、足の運動をより活発にしていきます。このように自分の行為と外部刺激との間の規則的な関係性を検出する能力である「行為と結果の規則性の知覚」は既に乳児期に存在することが分かっていますが、その後、幼児期から青年期に渡って一定なのか、あるいは発達変化するのかは分かっていませんでした。畿央大学ニューロリハビリテーション研究センターの信迫悟志 准教授らは、温文(Wen Wen) 特任准教授(東京大学)、中井昭夫 教授(武庫川女子大学)らと共同で、行為-結果の規則性の知覚感度の発達変化について調査しました。この研究成果は、Scientific Reports誌(Developmental changes in action-outcome regularity perceptual sensitivity and its relationship to hand motor function in 5-16-year-old children)に掲載されています。 研究概要 自分の行為と外部刺激との間の規則的な関係性を検出する能力のことを、行為と結果の規則性の知覚と呼びます。最近、行為と結果の規則性の知覚は、コンパレータモデル以外の運動主体感(Sense of Agency: SoA)を生成する重要な情報源として注目されており、また適応的運動学習パフォーマンスにも関与することが示されています。行為-結果の規則性の知覚は、コンパレータモデルに基づく運動制御過程とは異なり、各動作の結果を正確に予測する必要がない点で重要です。上述したように、生後9~12週齢の乳児は、自分の足を動かすとモビールが動くことに気付くと、それを報酬として、足の運動をより活発にしていきます。また生後2~4ヶ月の乳児では、おしゃぶりを吸うと視覚や聴覚フィードバックが与えられるようにすると、その吸啜行動が増強されます。このように、行為-結果の規則性を検出する能力は、生後2~4カ月の乳児にも備わっていることが明らかになっていますが、この時期の乳児は最低限の運動能力しかなく、目標とする動作に必要な正確な順・逆モデルを持ちません。したがって、乳児が示す探索行動(足の運動や吸啜行動)の強化は、自身の行動と外界の事象との間に規則的な関係があると認識することに起因すると考えられています。しかしながら、その行為-結果の規則性の知覚が、その後の幼児期から青年期にかけて発達的に変化するか否かは不明でした。そこで畿央大学ニューロリハビリテーション研究センターの信迫悟志 准教授らは、5~16歳における行為-結果の規則性の知覚感度を調べました。その結果、年齢の増加に伴い規則性の知覚感度は向上し、9~16歳児の規則性の知覚感度は、5~6歳児と比較して高いことが明らかになりました。加えて、手先の器用さが低下した児では、手先の器用さが中程度から高い児と比較して、規則性の知覚感度が低下していることも示されました。 本研究のポイント ■ 行為-結果の規則性の知覚は、5~6歳児ではまだ未成熟であった。 ■ 5~16歳において、規則性の知覚感度は年齢の増加と共に発達向上する。 ■ 5~16歳において、手先の器用さが低下した児では、規則性の知覚感度が低下している。 研究内容 5~16歳までの子ども200名は、温文(Wen Wen) 特任准教授(東京大学)が開発した行為-結果規則性検出課題(図1)を完了しました。この課題において、子どもたちはタッチパッド上で10秒間自由に指を動かし、モニターに表示された3つのドットのうち、自分がコントロールすることができる/自分の指の動きを最も反映していると感じられたドット(検出目標ドット)を検出することが求められました。1つの検出目標ドットには、子どもが制御できる/指の動きを反映する割合に応じて、7制御条件(0、20、40、50、60、80、100%)が設定され、それぞれ6試行、合計で42試行ありました。他の2つのドットは0%制御のディストラクタードットになっていました。この課題の成績から、規則性検出閾値(Regularity Detection Threshold: RDT)を算出し、行為-結果の規則性の知覚感度の定量指標としました。加えて、微細運動技能(M-ABC2 Manual dexterity test)も測定されました。 図1:行為-結果規則性検出課題 結果、5~6歳児のRDTは、9~16歳児と比較して高値を示し、5~6歳児ではまだ行為-結果の規則性の知覚が未成熟であることが明らかになりました(図2)。またRDTの低下と年齢の増加との間には、有意な相関関係が示され、5~16歳において、年齢の増加と共に行為-結果の規則性の知覚感度は発達向上することが示されました。そして、低微細運動技能を示した児では、中-高微細運動技能を示した児と比較して、行為-結果の規則性の知覚感度が低下していることも示されました(図3)。 図2:各年齢帯における規則性の知覚感度 図3:各微細運動技能群における規則性の知覚感度 本研究の臨床的意義および今後の展開 本研究は、幼児期から青年期にかけて、行為-結果の規則性の知覚感度が発達向上することを初めて明らかにし、5~6歳では行為-結果の規則性の知覚がまだ未成熟であることを示しました。今後は、成人期や老年期も含めて、ヒトの一生における行為-結果の規則性の知覚の変化とそれがSoAの生成や運動制御/運動学習にどのように関与するかについて明らかにしていく必要があります。また脳性麻痺、発達性協調運動障害、自閉症スペクトラム障害を有する児では、運動障害があり、SoAの変容があることも示されています、したがって、これら障害と行為-結果の規則性の知覚感度との関係性について調べ、これら障害のさらなる病態理解と有効なリハビリテーション手段開発に貢献していく必要があります。 論文情報 Nobusako S, Wen W, Nagakura Y, Tatsumi M, Kataoka S, Tsujimoto T, Sakai A, Yokomoto T, Takata E, Furukawa E, Asano D, Osumi M, Nakai A, Morioka S. Developmental changes in action-outcome regularity perceptual sensitivity and its relationship to hand motor function in 5-16-year-old children. Sci Rep. 2022 Oct 20;12(1):17606. 問い合わせ先 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 畿央大学大学院健康科学研究科 准教授 信迫悟志 Tel: 0745-54-1601 Fax: 0745-54-1600 E-mail: s.nobusako@kio.ac.jp
2022.10.24
第20回 畿央祭・ウェルカムキャンパスを開催しました。
約3年ぶりに学外の方をお招きして開催! 2022年10月22日(土)・23日(日)の2日間にわたって、第20回畿央祭・ウェルカムキャンパスを実施しました。2020年は見合わせ、2021年は在学生限定での開催でしたが、今年は感染対策を講じたうえで対面とオンラインの併用とし、卒業生や保護者の方、地域にお住まいの方、高校生の方などにもご参加いただきました。 感染・安全対策に加えて事前予約、人数制限と新しいスタイルでの開催となった畿央祭は、準備から当日の運営、片付けまでを白いつなぎに袖を通した畿央祭実行委員231名が担当。来場者の笑顔のために試行錯誤を重ねた2日間に、のべ2100名をこえる方にご来場いただきました。ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました! 第20回畿央祭テーマ『紬~つむぐ~』 開会式 初日の9時30分。学長先生、畿友会(学生自治会)会長の開会のあいさつに続き、実行委員が色とりどりのバルーンを飛ばして第20回畿央祭がスタート! 受付 正門で検温をしてから入構。エントランス前で消毒・受付をしたら、受付完了マークの「紬~つむぐ~」シールとパンフレットをもらって、いざ畿央祭へ! ステージ企画 冬木記念ホールと野外ステージでは、アカペラ部、軽音楽部、アコースティック部、ダンス部、チアリーディング部、ジャグリングクラブ、学生有志などが練習の成果を披露しました! *パフォーマンス中はマスクを外しています。あわせてホールでは、感染予防対策としてパーテーションを使用しています。 展示企画 キャンパスにいつもと違う彩りを加えてくれたのは、実行委員制作のステンドグラスやちぎり絵、書道部の作品展示。畿央祭恒例、地下食堂でのお化け屋敷では、老若男女の叫び声が響き渡りました。 統括企画 畿央祭実行委員メンバーが学園祭を盛り上げるために企画!ビンゴ、紬 LOHAS MARKETやスタンプラリーなど、たくさんの方々に参加していただきました。ディスプレイなども今年のテーマに合わせていて統一感があります。 アリーナ企画 小さなお子さんも一緒に楽しめるイベントがたくさんあるアリーナ企画!お魚釣り・ダーツゲーム・輪投げ・ペットボトルボーリングなどの手作りのミニ屋台が家族連れで賑わいました。アリーナ奥では、ミニ運動会で体を動かしました。 模擬店 今年の模擬店は17店舗。クラス・クラブ・サークル・ゼミ単位などいろいろなグループが出店しました。 ウェルカムキャンパス 畿央祭と同時開催している「ウェルカムキャンパス」は、畿央大学教員が、地域のみなさまに参加していただき、教員の研究を体験したり、学生の学びを知ってもらえるイベントを企画しています。今年の企画は以下の通りです。 ◧ 運動の器用さにチャレンジしてみよう【ニューロリハビリテーションセンター】 ◧ がんカフェ「きらめき」【看護医療学科】 ◧ 健康チェックテスト【理学療法学科】 ◧ 食育サッとシステム【健康栄養学科】 ◧ プログラミングでドローンを飛ばそう!!【現代教育学科】 ◧ 学びのギャラリー【人間環境デザイン学科】 畿桜会(同窓会)役員会・総会・同窓会サロン 卒業生とご家族あわせて約70名が母校に帰ってきました!詳しくは、畿桜会HPをご覧ください。 ▼同窓会サロンに来てくださった卒業生とそのご家族の皆さん。家族連れで母校に戻ってくれるアットホームさは、畿央大学ならでは! ご来場、ご協力いただいた皆さま、どうもありがとうございました。畿央祭に関わったすべての方にとって、長く思い出が”つむがれる”2日間でありますように! 【関連記事】 2022畿央祭・ウェルカムキャンパスで、がんカフェ「きらめき」 を3年ぶりに対面実施!~看護医療学科 【プレイバック畿央祭2021】フォトレポートを掲載しました。
2022.10.07
ノートPC無償貸与の取り組みが、マイクロソフト社のホームページで紹介されました。
本学は他大学に先駆け2014年度から新入生全員へのノートPCを無償貸与する先進的な取り組みを進めています。2022 年度の一斉貸与PCにはマイクロソフト社の「Surface Laptop Go」を採用しました。Surface Laptop Goの新入生全員への無償貸与は国内大学初です。 この度、本学での導入事例ならびにICT活用の取組みや効果について取材いただいた内容が、マイクロソフト社のホームページに掲載されました。 Surface Laptop Go を採用し、社会を担う人材育成を強化。畿央大学の ICT 活用におけるノート PC の 1 人 1 台貸与がもたらす効果とは 本学では新入生全員へのノートPCだけでなく、Microsoft 365 Education や Microsoft Azure といったマイクロソフトのソリューションを導入し、ICT環境を整備しています。 また、2021年4月に今後の社会ニーズに応えられる幅広い教養をもった人材育成のために「次世代教育センター」を立ち上げ、2021年8月には教養科目「情報処理演習」が関西私大5校のみとなる文部科学省「数理・データサイエンス・AI教育プログラム(リテラシーレベル)」に初年度で認定されました。 畿央大学は医療・デザイン・教育分野においても今後必要不可欠となるICTスキルを兼ね備えた実学のスペシャリスト育成を、今後も進めてまいります。 【関連記事】 2022年度全新入生向け無償貸与PCに、マイクロソフトのSurface Laptop Go採用を決定!(国内大学初) 入学生全員にノートPCを無償貸与する理由って?(YouTube)
2022.10.07
日本初の乳がん術後女性のための使い捨て入浴着が「グッドデザイン賞」を受賞!
人間環境デザイン学科の村田浩子教授、小松智菜美助手、看護医療学科中西恵理講師、理学療法学科福森貢教授、村田ゼミの学生らの研究グループが開発した乳がん術後女性のQOL向上を支援する「入浴着」が、公益財団法人日本デザイン振興会が主催する「2022年度グッドデザイン賞」を受賞しました。本学としては初めての快挙となります。 受賞したのは株式会社GSIクレオスとの産学連携で生まれた「BATHTIME TOPS」です。 ▼左から中西講師、小松助手、村田教授、福森教授 入浴着「BATHTIME TOPS」 発売元:株式会社GSIクレオス 「入浴着」を2021年6月に学会発表して以降、NHKなどのメディアや「ピンクリボンのお宿」の会合でも紹介され、宿泊施設の「アメニティ」の一つとして採用されるなど活用が広がっています。今回の受賞に際し、「入浴着」(商品名:BATHTIME TOPS )は「乳がん術後患者のために開発されたプロダクトで、リサーチの元、入浴時の快適性や着脱を考慮し、手術痕をカバーするための形の工夫がなされ、必要な機能を取り入れ実現していることが評価された。程よい厚みの不織布生地ですっきりと機能的に仕上げ、使い捨てであることや価格も含めバランス良く仕上げている。」と、評価されました。 「入浴着」は、「ケアとデザイン」をテーマに10月22日(土)から11月7日(月)まで西武百貨店池袋本店で開催される「暮らしのデザイン展2022 ケアとアートとデザインと」に、本年度受賞したケアに関するデザインとして展示されます。 受賞のコメント(村田教授) 「乳がん術後の女性も気兼ねなく大きなお風呂に入れるようにしたい」という看護医療学科の中西先生からの提案で始まった入浴着の研究で、2022年度グッドデザイン賞をいただくことができました。 グッドデザイン賞に応募したきっかけは、私たちが開発した入浴着をより多くの方に知っていただきたい、そして温浴施設で入浴着を着用して入浴を楽しめるようになって欲しいと考えたことからでした。研究が始まった2016年当時は入浴着の認知度は低く、奈良県の入浴施設では入浴着はほとんど普及していませんでした。私たちは乳がん患者の方、入浴施設の方への調査を行い入浴着に求められる要件を探ると同時に、入浴着にふさわしい素材を探して数多くの生地メーカーを回りました。「疎水性の繊維」を見つけると、生地を編んでもらい入浴着を試作、試着を繰り返しましたが、なかなか入浴着に求められるお湯切れがよい生地を実現することが出来ませんでした。そのような中、偶然にも本入浴着に使用している不織布との出会いがあり、一気に研究が進展しました。コロナ禍であったことから衛生的、清潔をキーワードに「持ち込み式入浴着」から「使い切り入浴着」の開発へと舵を切ることにしたのです。この入浴着は小さな衣料ですが、乳がん患者さんからいただいた声、入浴施設からの要望、研究チームの願いなどが沢山詰まっています。素材、デザイン、着脱、清潔、着用感など色々な工夫を行ったことで、グッドデザイン賞として評価されたのだと思います。 県内では奈良健康ランドや杉の湯さんから始まり、ピンクリボンのお宿でもある和倉温泉 加賀屋さんでも導入され、大手ECサイトでの取り扱いも広がり、新聞やテレビでも取り上げていただきました。乳がんになった友人の娘さんが偶然この入浴着を見つけて購入し、実際に利用していると聞き、この研究が人の役に立っていることを実感しました。誰もが温泉を安心して楽しめる環境になることを祈っています。 最後に本入浴着を開発するにあたり、ご協力いただいたみなさまに心から感謝申し上げます。 グッドデザイン賞 1957年に創設された日本で唯一の総合的なデザイン評価・推奨の仕組みです。デザインを通じて産業や生活文化を高める運動として、国内外の多くの企業やデザイナーが参加しています。受賞のシンボルである「Gマーク」は、良いデザインを示すシンボルマークとして広く親しまれています。 問い合わせ先 人間環境デザイン学科 教授 村田 浩子 Email:h.murata@kio.ac.jp 商品に関しては、株式会社GSIクレオスまで直接お問い合せください。 マテリアル部 営業第二課 Tel:03-5643-3140 0120-50-6036 関連記事 グッドデザイン賞ホームページ(バスタイムトップス) 日本初、乳がん術後女性のQOL向上を支援する「使い捨て入浴着」が商品化されました。 【プレスリリース】日本初、乳がん術後女性のQOL向上を支援する「使い捨て入浴着」を開発 人間環境デザイン学科
2022.09.30
【事前予約制】第20回畿央祭を10/22(土)、23(日)に開催します
対面・オンラインを併用して開催! 昨年は対面企画については在学生限定での開催でしたが今年は学外の方にもご参加いただけるよう、人数限定・事前申込制(申込先着順)で開催いたします!対象者の属性や参加企画によって申込フォームが異なりますので、下記ページをご覧の上、事前予約をお願いいたします。 ▼クリックでジャンプします 地域・一般の方向け「ウェルカムキャンパス」 卒業生対象「畿桜会総会・同窓会サロン」 在学生対象 保護者対象 受験生・高校生対象「ミニオープンキャンパス in 畿央祭」 開催日時 2022年10月22日(土)・23日(日) 10:00~17:00 各プログラムの内容やタイムテーブルは畿央祭特設HPで随時更新していきます! 畿央祭ホームページ 1.地域・一般の方向け「ウェルカムキャンパス」 10月1日(土)事前予約スタート! ご希望のプログラムに参加していただいた前後には、畿央祭の他のプログラムにもご参加いただけます。申込先着順となりますので、予めご了承ください。 ウェルカムキャンパス 2.卒業生対象「畿桜会総会・同窓会サロン」※10/23のみ コロナ禍で対面開催できていなかった「畿桜会総会」を、畿央祭の2日目に、3年ぶりに対面で行うことになりました。また、総会に引き続いて「同窓会サロン」も開催します。恒例のガラガラ抽選会も! 畿桜会ホームページ 3.在学生対象 10/3(月)事前予約スタート! 9/28(水)に発信されたKiTssのお知らせをご覧の上、事前予約をしてください。 畿央祭ホームページへ 4.保護者対象 10/3(月)事前予約スタート! 申込方法は、9/29発送の「後援会だより」をご確認ください。 畿央祭ホームページへ 5.受験生・高校生対象 10月3日(月)事前予約スタート! 高校生の方向けには、ミニオープンキャンパスを開催します。畿央祭の雰囲気を楽しめるオープンキャンパスはこの2日間限定です! 入試総合サイトへ
2022.09.29
河合町と包括連携協定の調印式を行いました。
畿央大学は2022年9月28日、河合町役場において「河合町・畿央大学との包括的な連携協力に関する協定書」を取り交わす調印式を行いました。 この調印式には河合町から清原和人町長、谷本昌弘議長、田中敏彦副町長、清原正泰教育長、森嶋雅也企画部長、本学から冬木正彦学長、植田政嗣健康科学部長、前平泰志教育学部長、三井田康記地域連携センター長、小野巧大学事務局長に出席いただきました。協定の趣旨について説明された後、清原町長と冬木学長が協定書に署名いたしました。 現時点では具体的な取り組みとして、 授業「ランドスケープ演習」を通した地域課題の解決につながる取組 河合町特産の大和の黒豆「KAWAI BLACK」を活用したレシピ提案 お互いの街を知り交流を深めるための「竹馬クイズラリー」 を既に行っています。 今後は河合町と畿央大学相互が人的・知的資源の交流・活用を図り、河合町におけるまちづくり、健康づくり、子育て支援や教育等の充実等多岐にわたる分野で協力し、地域社会の総合的な発展と大学の学術研究の深化に継続して努めてまいります。 河合町との包括的な連携協力は奈良市・香芝市・大和高田市・御所市・橿原市・広陵町・斑鳩町・宇陀市・田原本町に続き10市町村目となります。 【関連リンク】 自治体等との協定一覧 【広陵町×河合町】小学生を対象とした「竹馬★クイズラリー」を実施しました!~人間環境デザイン学科清水ゼミ 河合町の親子減塩教室「みんなで減塩マスターになろう!」に参加しました!~ヘルスチーム菜良~
2022.09.13
11/26(土)看護実践研究センター 第8回研修会「医療的ケア児と家族が安心して暮らせる地域づくり」を開催します。
畿央大学看護実践研究センター地域包括ケア部門では、下記要領で「医療的ケア児と家族が安心して暮らせる地域づくり」をテーマにした研修会を対面・オンラインにて開催いたします。ぜひご参加ください。 日時 2022年11月26日(土)13:30~15:30 開催方法 講演60分・質疑応答等30分 ①対面開催 畿央大学P201講義室(先着50名) ②Zoomウェビナー開催(先着50名) ※事前にZoomのダウンロードをお願いします。 ①②のどちらかをお選びください。 対象 看護師・保健師・教育関係者ほか 講師 絹川 美鈴氏 大阪発達総合療育センター医療コーディネート事業室 (同センター 元訪問看護ステーションめぐみ所長) 参加費 無料 申込方法 下記の申込ページ(チラシのQRコードからも読み取り可)からお申込みください。 インターネット環境がない方はFAXでもお申込みいただけます(チラシ裏面を参照ください)*申込期限が11月16日(水)から11月24日(木)までに延長になりました。 申込ページ 問い合わせ先 畿央大学看護実践研究センター地域包括ケア部門 田中陽子 TEL:0745-54-1601(代)【平日 9:00~17:00】 E-mail:y.tanaka@kio.ac.jp ▼画像クリックでチラシPDFが開きます。
2022.09.07
令和4年度SD研修を実施しました。
令和4(2022)年9月2日(金)、本学事務職員を対象としてSD研修会を実施しました。SDとはStaff Developmentの略で「職員が大学などの運営に必要な知識・技能を身に付け能力・資質を向上させるための研修」を意味しています。 第1部 上半期の総括や自己点検、トピックスの共有 事務局各部署、プロジェクトチームなどからの報告により情報の共有を行いました。 第2部 救急処置研修 教育学部の髙田恵美子教授(専門:健康教育・学校保健)、毛利春美准教授(専門:看護学・学校看護)、そして健康支援センターの西尾明子先生の3人を講師に迎え、救急処置研修を行いました。 本研修では万が一の事故や災害が発生した場合、被害を必要最小限にするため、適正かつ迅速に対処できるよう胸骨圧迫やAED、止血法といった応急手当について学びました。 講義の後は、小グループにわかれての実践です。 いつ、どのような事故や災害等で応急手当を必要とする場面に遭遇するかはわかりません。もし、第一発見者となった場合には、冷静に状況を判断することが大切です。傷病者のそばを離れない、周囲の人に助けを求める、状況を記録するなど適切に対処するためにも救急処置に必要な正しい知識・技術を身につけることが必要不可欠であることを全職員で共有しました。 発生時に迅速かつ適正に応急手当をすることで、救命できる可能性が高まります。 常に起こりうる状況として意識し、日頃から危機管理意識をもって業務に取り組んでいきます。 【過去のSD研修】 令和2年度SD研修「感染予防対策による新生活・勤務を共に生き抜く」を実施しました。 全教職員対象「FD・SD研修会」を開催しました。
2022.08.25
しびれ感に対する新たな経皮的神経電気刺激の効果~畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター
しびれ感は「感覚神経伝導路の障害によって起こる自発性異常感覚」と定義される神経症状であり、ADL(日常生活動作)やQOLが著しく阻害されます。長崎大学生命医科学域(保健学系)および畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター客員研究員の西 祐樹らは、しびれ感に対する新たなリハビリテーション介入として“しびれ同調TENS”を開発し、脊髄機能不全症例における即時効果を明らかにしました。この研究成果はFrontiers in Human Neuroscience(A novel form of transcutaneous electrical nerve stimulation for the reduction of dysesthesias caused by spinal nerve dysfunction: A case series)に掲載されています。 研究概要 脊髄損傷や頚椎症性脊髄症等の脊髄機能不全を呈する多くの患者において、ビリビリ、チクチク、ヒリヒリと表現されるしびれ感が生じます。しびれ感は「感覚神経伝導路の障害によって起こる自発性異常感覚」と定義され、ADLやQOLが著しく阻害されます。そのため、しびれ感に対する治療介入の必要性は極めて高いといえます。しかしながら、しびれ感に対する薬物療法は効果が乏しく、有害事象のリスクが高いことがシステマティックレビューにおいて報告されています。また、リハビリテーションによる改善は困難とされており、しびれ感に対する体系的な介入は十分に確立されていないのが現状でした。 長崎大学生命医科学域(保健学系)および畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター客員研究員 西 祐樹らは、経皮的神経電気刺激(TENS)の周波数と強度をしびれ感に同調させる“しびれ同調TENS”を開発し、即時的効果を検証しました。その結果、しびれ同調TENSによりしびれ感が著明に改善したことを明らかにしました。加えて、しびれ感の改善に伴い、感覚障害や触るだけで痛い症状(アロディニア)の改善も認めました。 本研究のポイント ■脊髄機能不全によるしびれ感に対して、TENSの周波数と強度をしびれ感に一致させる”しびれ同調TENS”を行った。 ■その結果、しびれ感だけでなく、感覚障害やアロディニアも改善した。 ■既存のTENSの理論では説明できない新たな作用機序による効果の可能性がある。 研究内容 脊髄損傷や頚椎症性脊髄症等の脊髄機能不全症例9名に対して、まず電気刺激に対するしびれ感の評価を行いました。具体的には経皮的神経電気刺激(TENS)の周波数と強度を、主観的なしびれ感の細かさ(ビリビリ、チクチクの間隔)と強度に同調させる手続きを行います。これにより、しびれ感をニューロンの発火頻度を反映する「周波数」と動員される神経線維数を反映する「刺激強度」というパラメータにて定量的にしびれ感を評価することが可能になります。そして、しびれ感に同調したTENS(しびれ同調 TENS)の実施前および実施中にマクギル痛み質問票ならびに定量的感覚検査(QST)を行いました。 図1.しびれ同調TENSによる効果 しびれ感や感覚障害、アロディニアに対して、しびれ同調TENSが従来の高周波TENSよりも効果があることを示しています。 その結果、しびれ同調TENSにより即時的にしびれ感の著明な改善が観察されました。多くの症例において「しびれ感とTENSによる電気が流れる感覚が打ち消し合ってどちらもなくなった」と表現しており、感覚障害や触るだけで痛いアロディニアも有意に改善されました。このしびれ感とともにTENSの感覚までも減弱する現象は、従来の下降性疼痛抑制系やゲートコントロール理論では説明できず、新たなメカニズムによりしびれ感が改善している可能性があります。一方、体性感覚誘発電位が消失している、つまり重度感覚障害の症例においては、しびれ感にTENSを同調させることができず、適応とはなりませんでした。これらのことから、知覚に関連した脳領域におけるしびれ感の抑制や、しびれ感に関連した末梢神経線維を選択的に遮断するbusy line effectが作用メカニズムとして推察されます。 本研究の臨床的意義および今後の展開 しびれ同調TENSは、治療に難渋してきたしびれ感に対する新たな介入手法であり、リハビリテーションの介入領域を拡大する可能性があります。今後はしびれ同調TENSの長期的効果の検証や作用機序の解明に取り組む予定です。 論文情報 Nishi Y, Ikuno K, Minamikawa Y, Igawa Y, Osumi M, Morioka S A novel form of transcutaneous electrical nerve stimulation for the reduction of dysesthesias caused by spinal nerve dysfunction: A case series Frontiers in Human Neuroscience, 2022 問い合わせ先 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 客員研究員 西 祐樹 センター長 森岡 周 Tel: 0745-54-1601 Fax: 0745-54-1600 Mail: s.morioka@kio.ac.jp
2022.08.12
8/21(日)つなげるマーケットにて、学生が考案した大和伝統野菜「大和丸なす」を使ったメニューを販売します。
大和伝統野菜「大和丸なす」を使った新メニューを開発! 「冷やし揚げ出しなす」をつなげるマーケットで販売! 健康栄養学科 野原研究室では大和伝統野菜「大和丸なす」のおいしさを家庭に身近な料理として伝達することにより奈良県内の個人消費を拡大し販路を多様化させ、県内消費を向上させるべく、研究しております。この研究成果として、健康栄養学科岩田研究室でも大和丸なすの美味しい食べ方研究で提案されたレシピをもとに「フライドナス」「冷やし揚げ出しなす」の2品のメニューを改良開発しました。 今回はその1品である「冷やし揚げ出しなす」を、大和郡山市三橋地区の生産者組合である「丸三出荷組合」と協働で「丸三×Kio」として、金魚すくい選手権大会全国大会と同日の8月21日(日)10時~15時に、大和郡山市つなげる広場で開催されている「つなげるマーケット」にて、150食限定で販売されます(販売価格200円)。レシピも無料配布します。 「冷やし揚げ出しなす」は、大和丸なすを1/3個分贅沢に使用し、なんとこれだけで1日の1/3の野菜が摂取できます。また、苦手な人も多いなすの「トロっ」とした食感ではなく、濃い出汁につけても崩れない、しっかりとした大和丸なす特有の食感で、暑い真夏の日でも冷たく美味しく頂けますので、ぜひ食べに来てください! *(注)雨天中止・少雨決行 大和郡山市三橋地区で戦後まもなくから栽培されている大和の伝統野菜「大和丸なす」は、東京、大阪、京都の料亭などでも用いられる高級食材として好評を得ていますが、地元奈良では販売機会が少なく、知名度アップが課題となっています。これに加え、一昨年度からのコロナ禍で県外料亭等での消費が減り、地元での消費が緊急の課題となっています。 また、奈良県では特定農業振興ゾーンとして「大和丸なす」の生産地である大和郡山市三橋地区が設定され「新たなレシピ開発による個人消費(大和丸なすファン)の拡大」を目指して取り組んでいることから、奈良県と地産地消・野菜摂取向上・特産品でのまちづくりを目指す大和郡山市から支援を受け、畿央大学野原研究室では「大和丸なす」のおいしさを家庭に身近な料理として伝達することにより奈良県内の個人消費を拡大し販路を多様化させ、県内消費を向上させるべく、研究しております。 ※画像をクリックすると、PDFデータが開きます。 【問い合わせ先】 畿央大学 健康科学部 健康栄養学科 野原 潤子 Tel: 0745-54-1601 Fax: 0745-54-1600 E-mail: j.nohara@kio.ac.jp
2022.08.12
公立学校教員採用試験(1次試験)速報〜2023年3月卒業予定者
2023年度公立学校教員採用試験はピークをむかえ、各都道府県や市で実施された1次試験の結果が続々と発表されています。畿央大学でも多くの学生が1次試験を突破しました。教採・公務員対策室では現在、学生が実際に受験する都道府県や市に対応した2次試験対策講座を実施しています。1人でも多くの学生が所期の目標を達成できることを祈りつつ、これからも様々な支援を行っていく予定です。 一人ひとりの夢がかなうように、大学一丸となって最後まで応援していきます。ゴールは近い。頑張れ、畿央生! 教採・公務員対策室 公立学校教員採用試験 都道府県・市別の合格者数 公立小学校教諭ー現代教育学科 都道府県・市 受験者数 1次合格者数 1次合格率 奈良県 37 36 97.3% 大阪府 14 14 100% 大阪市 12 11 91.7% 堺市 8 8 100% 豊能地区 1 1 100% 京都府 3 3 100% 京都市 1 1 100% 兵庫県 5 5 100% 神戸市 1 1 100% 和歌山県 11 11 100% 滋賀県 29 15 51.7% 三重県 4 4 100% 愛知県 31 31 100% 岡山県 18 11 61.1% 鳥取県 20 19 95.0% 高知県 74 69 93.2% 香川県 2 2 100% 神奈川県 4 4 100% 千葉県 3 3 100% 静岡市 1 1 100% 北九州市 5 5 100% 宮崎県 1 1 100% 公立中学・高校(英語)教諭ー現代教育学科 都道府県・市 受験者数 1次合格者数 1次合格率 大阪府 3 3 100% 大阪市 1 1 100% 茨城県 1 1 100% 公立学校養護教諭ー現代教育学科・看護医療学科・教育学研究科 都道府県・市 受験者数 1次合格者数 1次合格率 奈良県 4 4 100% 大阪府 5 2 40.0% 大阪市 5 3 60.0% 京都府 1 1 100% 兵庫県 1 1 100% 和歌山県 2 2 100% 三重県 3 2 66.7% 愛知県 4 2 50.0% 広島県 3 1 33.3% 島根県 4 1 25.0% 鳥取県 7 6 85.7% 高知県 18 6 33.3% 愛媛県 2 1 50.0% 東京都 1 1 100% 埼玉県 1 1 100% 北海道 2 2 100% 福岡県 1 1 100% 北九州市 1 1 100% 鹿児島県 1 1 100% 特別支援学校教諭ー現代教育学科 都道府県・市 受験者数 1次合格者数 1次合格率 奈良県 1 1 100% 大阪府 1 1 100% 広島県 1 1 100% 高知県 2 2 100% 愛媛県 1 1 100% 鳥取県 3 3 100% 神奈川県 1 1 100% 長崎県 1 1 100% 栄養教諭ー健康栄養学科 都道府県・市 受験者数 1次合格者数 1次合格率 奈良県 4 4 100% 大阪府 3 3 100% 滋賀県 5 1 20.0% 三重県 1 1 100% 愛知県 4 3 75.0% 広島県 3 1 33.3% 静岡県 1 1 100% 北海道 5 5 100% 注1. 過年度卒業生を含みません(すべて2023年3月卒業見込者)。 注2. 2022年8月10日現在の判明者数です。今後変動する場合があります。 注3. 一部試験での1次試験免除者を含みます。
2022.08.04
就職率は4年連続で関西4位に!~2022年3月卒業生
2022年3月卒業生の就職率ランキングが発表され、300人以上の卒業者がいる国公私立大学の中で本学が関西4位にランクインしました(調査/株式会社大学通信)。 同ランキングでは 4年連続で関西4位(2019~2022年卒) 13年連続で関西8位以内(2010~2022年卒) と安定してきわめて高い水準を維持しており、全卒業生16年間就職率は95.3%(就職希望者に限ると99.2%)になっています。 めざす業界や職種により就職活動や採用試験の内容は大きく異なりますが、さらにコロナ禍で対面・オンライン両面での対策も求められています。畿央大学はどんな状況でも「100%進路保証」をめざして、学生一人ひとりに寄り添う教育とサポートをつづけてまいります。 【参考リンク】 2023年、教育学部が「深化」します! 理学療法士98.7%、看護師・保健師・助産師100%、管理栄養士98.9%、小学校教諭77.8%、公立幼・保97.0%、養護教諭40.0%が現役合格!~2022年3月卒業生 畿央大学が就職に強い4つの理由 関西私大で5校だけ!文部科学省「数理・データサイエンス・AI教育プログラム」に認定されました。
2022.08.04
歩行速度が遅いと「まるで人間ではないみたい」と感じてしまう~畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター
脳卒中患者は、歩行中の自身のことを「まるでロボットみたい」「人間ではないみたい」と訴えることがあります。しかしながら、どのような要因がそのような経験をしているのかは明らかにされていませんでした。畿央大学ニューロリハビリテーション研究センターの 林田 一輝 客員研究員 と 森岡 周 教授らは、歩行速度が主観的な人間らしさと関係していることを明らかにしました。この研究成果はRehabilitation Process and Outcome誌(Association Between Self-Perceived General Human-Likeness During Walking and Walking Speed in Stroke Patients: A Preliminary Study)に掲載されています。 研究概要 多くの脳卒中患者において、社会生活で自立した生活を送るために、歩行能力の回復を優先していることがわかっており、特に歩行速度が日常生活に重要な要因となることが多くの先行研究で明らかとなっています。しかし、たとえ歩行を再獲得することができたとしても運動麻痺などの影響で、健常人と同じような速度で歩くことが難しいことも事実です。他方、脳卒中患者は、歩行中の自身について「まるでロボットみたい」「人間ではないみたい」といった悲観的な感情について頻繁に訴えることがあります。このような悲観的な感情は、身体に障害を患った自分自身と健康的な人たちとを比べてしまうことで湧き上がってしまうと考えられ、他者との交流が必須である社会参加を妨げてしまう可能性があります。しかしながら、どのような要因が脳卒中患者の歩行中の「人間らしさ」に関わっているのか、これまでの研究では全く検討がなされていませんでした。 そこで、畿央大学ニューロリハビリテーション研究センターの 林田 一輝 客員研究員ら の研究チームは、歩行中の主観的人間らしさには、歩行速度が関連すると仮説を立て、脳卒中患者を対象とした横断調査を行いました。その結果、脳卒中患者の歩行中の主観的人間らしさと歩行速度に正の相関関係があることを示しました。 本研究のポイント ・脳卒中患者の歩行中の人間らしさの主観的側面を評価した。 ・主観的な人間らしさは速く歩く能力が高い人ほど感じられる。 研究内容 32名の脳卒中患者を対象にして、10m歩行テストを快適歩行速度と最大歩行速度の2条件で測定し、歩行直後に人間らしさについて、7段階のリッカート尺度にて評価しました。臨床的評価では、運動麻痺の指標であるFugl-Meyer assessment、自身に対する主観に影響しうる抑うつSelf-Rating Depression ScaleとアパシーApathy Scaleについて評価しました。 その結果、快適歩行速度および最大歩行速度において、主観的な人間らしさとそれぞれ正の相関関係があることが示されました(図1)。つまり、歩行速度が遅い程、人間らしさを感じにくい傾向があることが示されました。一方で、抑うつやアパシーといった心理バッテリーと人間らしさには相関関係を認めませんでした。先行研究での報告では、健康な高齢者の快適歩行速度と最大歩行速度の差は約0.45m/sですが、本研究で確認された脳卒中患者の快適歩行速度と最大歩行速度の差は0.23m/sでした。このように、快適歩行速度と最大歩行速度との幅が狭いことは、歩行速度を自由に選択できないことを示しており、今回の対象者は人間らしい歩行に対する主観的な認識を低下させている可能性が示唆されます。 上田ら(2003)は、ICF(International Classification of Functioning, Disability and Health, 国際生活機能分類)の観点において患者の主観的体験を理解することの重要性が強調されている。本研究では、歩行時の人間らしさに対する認識が、ICFにおける活動制限の主観的側面と関連する可能性を示唆しています。歩行時のネガティブな主観的体験による参加制限の可能性を理解することは、患者の地域活動への参加を促す上で有用な情報となり得る、と主張されています。 図1:歩行中の人間らしさと歩行速度との関係 脳卒中患者における歩行中の人間らしさと歩行速度に正の相関関係があることを示す。 本研究の臨床的意義および今後の展開 本研究成果は、歩行中の人間らしさについて調査した初めての研究です。このような主観的側面は、社会参加を妨げる一つの要因となる可能性があり、今後は、このような主観的側面と社会参加との関連性について研究される予定です。 論文情報 Kazuki Hayashida, Ryota Nakazono, Nami Yamamichi, Masa Narita, Koichiro Onishi and Shu Morioka Association Between Self-Perceived General Human-Likeness During Walking and Walking Speed in Stroke Patients: A Preliminary Study Rehabilitation Process and Outcome, 2022 問い合わせ先 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 客員研究員 林田一輝 センター長 森岡 周 Tel: 0745-54-1601 Fax: 0745-54-1600 Mail: s.morioka@kio.ac.jp
2022.07.08
令和4年度「保護者懇談会」を開催しました。
2022年(令和4年)7月2日(土)、3年ぶりに対面形式での「保護者懇談会」を開催いたしました。約300名の保護者の方にご参加いただき、大盛況の中、無事に懇談会を終了することができました。 当日は畿友会(学生自治会)の学生スタッフが受付や誘導でご参加の皆様をお出迎えしました。 冬木記念ホールで行なわれた全体会では冒頭に冬木正彦学長、後援会会長 中永和美様よりご挨拶がありました。 挨拶に引き続いて、進路支援部部長による講演「コロナ禍における就職活動状況について」を行いました。本学卒業生の就職実績、コロナ禍での就職活動の傾向と対策が各学科の特性を踏まえて説明されました。また、本学でのキャリア支援の紹介と各ご家庭での就職支援についての留意点なども説明されました。 【参考】全卒業生就職データ 全体会終了後は学科別に分かれ、教員の紹介や学科の取り組み・学修内容について、また普段の学生の生活の様子などについて説明が行なわれました。 個別相談会では、保護者の皆様から将来の就職や資格取得のこと、学生生活についての不安など、さまざまな事柄について熱心なご相談をいただきました。 3年ぶりの対面開催ということで、初めて本学キャンパスにお越しになった保護者の皆様も多く、事後アンケートでも「先生と直接話せてよかったです」「大学が身近に感じられました」などのご意見をいただきました。 お忙しい中、また大変暑い中お越しくださいました保護者の皆さまにはこの場をお借りして御礼申し上げます。これからも保護者の皆様のご意見を参考に、より有意義な保護者懇談会を企画してまいります。来年度も多くの保護者の皆様のご参加をお待ちしております。
2022.07.02
令和4年度 冬木智子特別奨励賞・畿央大学特別奨励賞授与式を執り行いました。
令和4(2022)年6月30日(木)のお昼休みに、令和4年度冬木智子特別奨励賞ならびに畿央大学特別奨励賞の授与式がC棟1階エントランスホールにて執り行われました。 「冬木智子特別奨励賞」は、冬木智子名誉理事長が私財を寄付し設立した特別奨励基金により、学業成績・人物ともに優秀な学生に対して表彰状および奨励金の授与を行うもので、各学科から1名、合計5名が選ばれました。 また、「畿央大学特別奨励賞」は、学業成績・人物ともに優秀な学生のこれまでの努力を賞し、今後さらなる活躍を期待し表彰状および奨励金の授与を行うものです。2回生~4回生の各学科1名(教育学部は2名)、合計18名が選ばれました。 教職員、在学生が見守る中、冬木正彦理事長より表彰状と奨励金が一人ひとりに手渡されました。 冬木理事長からは、受賞学生の日々の努力を称えられるとともに、「他の学生の模範となり、数理・データサイエンス・AIなどの次世代型教養をも身に付けた、困難な環境のなかでも自主的に仲間と協力をして問題解決のできる人材になってもらいたい。」と、今後の活躍を願う言葉が送られました。 受賞された学生の皆さん、おめでとうございました。
2022.06.21
脳卒中後運動障害は予測誤差と運動主体感の関係性を変容させる~畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター
「自分が自分の運動を制御している」という感覚である運動主体感は、運動の感覚フィードバックとその内的な予測の比較照合から得られる予測誤差に基づくことが報告されています。畿央大学大学院博士後期課程 修了生の宮脇裕氏(現・国立研究開発法人産業技術総合研究所人間拡張研究センター)と森岡周教授は、仁寿会石川病院リハビリテーション部の大谷武史室長と共同し、2名の脳卒中患者を対象に、脳卒中後の運動障害が予測誤差と運動主体感の関係性に及ぼす影響を検証しました。この研究成果は、Journal of Clinical Medicine誌(Impaired Relationship between Sense of Agency and Prediction Error Due to Post-Stroke Sensorimotor Deficits)に掲載されています。 研究概要 自己由来感覚と外界由来感覚を区別することは自他帰属と呼ばれ、感覚結果を自己帰属したときに「自分が自分の運動を制御している」という運動主体感が生じます。運動主体感は、運動の感覚フィードバックとその内的な予測の比較照合から得られる予測誤差に基づき、この誤差が小さい場合に生じることが報告されています。しかし、脳卒中後患者では、感覚運動障害を通した比較照合システムの破綻により、予測誤差と運動主体感の関係性が変容している可能性が提唱されています。 この可能性を精査するために、宮脇裕氏と森岡周教授は、大谷武史室長(仁寿会石川病院リハビリテーション部)と共同し、2名の脳卒中後患者および3名の健常成人を対象に、脳卒中後運動障害が予測誤差と運動主体感の相関関係に及ぼす影響を予備的に検証しました。その結果、運動障害がごく軽度の患者や健常者に比べて、強い運動障害を有する患者では、自他帰属のエラーが大きく、自他帰属と予測誤差間の相関が低いことが示されました。 本研究のポイント ■運動障害が軽度の患者に比べ、より強い運動障害を有する患者では、自他帰属に大きなエラーを認めた。 ■この患者では自他帰属に対する予測誤差の許容範囲が拡大しており、脳卒中後運動障害が自他帰属と予測誤差の関係性を変容させることが示唆された。 研究内容 中等度の運動障害を有する患者Aと運動障害がごく軽度の患者B、および3名の健常成人が実験に参加しました。本研究では、運動障害の影響を検証するために、高次脳機能障害を招きうる皮質損傷を有さない患者を対象としました(図1)。麻痺肢の運動機能については、上肢の脳卒中後運動障害の包括的評価法であるFugl-Meyer Assessment of upper extremityやAction Research Arm Testなどを用いて評価しました。 図1:患者A・Bの脳損傷部位 参加者は、モニタ上に表示されたターゲットラインをなぞるようにペンタブレット上で正弦曲線運動を遂行しました(図2)。この際、視覚フィードバックとしてカーソルが表示されました。カーソルの動きに、自分のリアルタイムの運動が反映されている場合(SELF条件)と、事前に記録した運動が反映されている場合(FAKE条件)がありました。参加者は、自分の実際のペン運動とカーソル運動の時空間的な一致性に基づいて、カーソルを自分が制御していると感じるかを「1(他者)~9(自己)」のスケールで主観的に判断することを求められました。この課題中に、参加者のペン位置とカーソル位置間の距離を予測誤差の指標として測定し、自他判断スコアとの相関係数を算出しました。 図2:実験セットアップ 結果として、患者Bや健常者に比べて患者Aでは、FAKE条件において自他判断のエラー(誤帰属)が大きく(図3)、予測誤差の指標であるペン-カーソル間距離と自他判断スコアの相関係数が低いことが示されました(図4)。一方で、SELF条件では、参加者間で自他判断のエラーに著明な差を認めませんでした。 図3:SELF条件とFAKE条件における誤帰属 図4:FAKE条件におけるペン-カーソル間距離(予測誤差)と自他判断スコアの相関関係 本研究の臨床的意義および今後の展開 これらの結果は、運動障害を有する患者では自他帰属に対する予測誤差の許容範囲が拡大している可能性を示し、脳卒中後運動障害が予測誤差と運動主体感の関係性を変容させることを示唆しています。さらなる研究により、運動障害を有する患者がどのように自他帰属をなしているのか、またその変容が身体機能などにどのような影響を及ぼすのかを明らかにする必要があると考えられます。 論文情報 Miyawaki Y, Otani T, Morioka S Impaired Relationship between Sense of Agency and Prediction Error Due to Post-Stroke Sensorimotor Deficits. Journal of Clinical Medicine, 2022 問い合わせ先 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 客員研究員 宮脇 裕 センター長 森岡 周 Tel: 0745-54-1601 Fax: 0745-54-1600 Mail: s.morioka@kio.ac.jp
2022.05.30
慢性腰痛患者の筋活動分布には痛みの性質と疼痛部位が影響する~畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター
痛みは筋活動を変化させますが、慢性腰痛患者では屈曲位から体幹を伸展させる(おじぎをした状態から体を起こす)時に、痛みにより腰の筋肉の活動が増強もしくは減弱することが報告されています。しかしながら、痛みの強さと部位が筋活動にどのように影響するかは明らかにされていませんでした。 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター客員研究員 重藤 隼人らは、慢性腰痛症例を対象に、痛みの性質に着目して痛みの強さ・部位と筋活動分布の関連性を調査し、痛み強度が増すにつれて、痛みを感じている部位周囲の筋活動を抑制する運動適応が痛みの性質に依存することを明らかにしました。 この研究成果は、Pain Research and Management誌 (The pain intensity/quality and pain site associate with muscle activity and muscle activity distribution in patients with chronic low back pain: Using a generalized linear mixed model analysis)に掲載されています。 研究概要 慢性腰痛患者の筋活動の特徴として、立位で体幹を屈曲した時に、屈曲位から体幹を伸展させる時に背筋群の筋活動が増強もしくは減弱することが報告されています。また、痛みによって筋活動分布を変化させることも報告されています。しかし、疼痛強度と部位が筋活動にどのように影響するかは明らかにされておらず、そして疼痛の性質による筋活動への影響も検証されておらず、疼痛強度・部位および疼痛の性質と筋活動分布の関連性は明らかにされていませんでした。 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター客員研究員の重藤隼人らの研究チームは、疼痛の性質・強度・部位と筋活動分布の評価を行い、一般化線形混合モデル分析を用いて、疼痛の性質に着目して疼痛強度と部位がどのように筋活動分布に影響するかといった関連性を検証しました。 その結果、神経障害性疼痛の強度が増すと体幹屈曲位から伸展する時の背筋群の筋活動は抑制されることが明らかになりました。また、持続痛・間欠痛・神経障害性疼痛・感情表現に該当する疼痛の性質に依存して疼痛強度が増すにつれて、疼痛部位周囲の筋活動を抑制する運動適応が存在することを明らかにしました。 本研究のポイント ■ 疼痛の性質に着目して、疼痛強度・部位と筋活動分布の関係を調査した。 ■ 神経障害性疼痛の強度が増すと、屈曲位から伸展する時の背筋群の筋活動が抑制されることが明らかにされた。 ■ 疼痛強度が増すにつれて、疼痛部位周囲の筋活動を抑制する運動適応が痛みの性質に依存することが明らかにされた。 研究内容 慢性腰痛患者を対象に、疼痛部位・性質の評価と筋活動の評価を行いました。痛みの性質はSFMPQ-2を用いて評価しました。筋活動は表面筋電図を用いて、立位体前屈課題時(図1)の脊柱起立筋の筋活動を測定し、主動作筋の筋活動として体幹屈曲位から伸展させる時の筋活動と筋活動分布の重心を算出しました。また、疼痛部位と筋活動分布の重心との間の距離を算出しました。 図1.立位体前屈課題 © 2022 Hayato Shigetoh 一般化線形混合モデル分析という解析方法を用いて、疼痛強度・性質、疼痛部位および筋活動の関係を検証しました。筋活動に対する疼痛強度・性質の影響を検証した結果、「神経障害性疼痛」・「軽く触れるだけで生じる痛み」の疼痛強度が増すと背筋群の筋活動が抑制される関係が認められました。疼痛部位と筋活動分布の重心との間の距離に対する疼痛強度・性質の影響を検証した結果、「間欠痛」・「ずきんずきんする痛み」・「割れるような痛み」・「拷問のように苦しい」・「軽く触れるだけで生じる痛み」の疼痛強度が増すと距離が増大する関係が認められました。筋活動分布の重心は筋活動が高い部位を示していることから、疼痛強度が増大すると疼痛部位に近い部位の筋活動が抑制される反応が、疼痛性質に依存しているということを示しています(図2)。 図2.疼痛強度・部位と筋活動の相互作用を説明したモデル © 2022 Hayato Shigetoh 特定の疼痛性質の強度が増大すると、主動作筋の筋活動が抑制された。疼痛部位と筋活動分布の関係性に着目すると、特定の疼痛性質の強度が増大することによって疼痛部位近くの主動作筋の筋活動が抑制された。 研究グループは、この結果について、疼痛による主動作筋の筋活動の抑制を示す疼痛適応モデル(pain adaptation model)のメカニズムが反映された結果であり、疼痛性質に依存した筋活動の変化は、腰痛関連組織に由来した疼痛性質が筋活動に影響した結果であると考察しています。 本研究の臨床的意義および今後の展開 本研究成果は、疼痛の性質によって疼痛強度・部位による筋活動分布の変化が異なることが示され、痛みの性質に着目して痛みと運動制御の関連性を捉える重要性が示されました。今後は慢性腰痛患者の運動制御のメカニズムについて研究される予定です。 論文情報 Shigetoh H, Nishi Y, Osumi M, Morioka S The pain intensity/quality and pain site associate with muscle activity and muscle activity distribution in patients with chronic low back pain: Using a generalized linear mixed model analysis Pain Research and Management, 2022 関連する先行研究 1. Shigetoh H, Nishi Y, Osumi M, Morioka S. Combined abnormal muscle activity and pain-related factors affect disability in patients with chronic low back pain: An association rule analysis. PLoS One. 2020 Dec 17;15(12):e0244111. 2. Shigetoh H, Nishi Y, Osumi M, Morioka S. Temporal associations between pain-related factors and abnormal muscle activities in a patient with chronic low back pain: A cross-Lag correlation analysis of a single case. J Pain Res. 2020 Dec 3;13:3247-3256. 問い合わせ先 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 客員研究員 重藤 隼人 センター長 森岡 周 Tel: 0745-54-1601 Fax: 0745-54-1600 Mail: s.morioka@kio.ac.jp