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2021.07.09

トルコからの留学生Burcu Dilekさんの研究成果が国際雑誌「Clinical EEG and Neuroscience」に掲載!~畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター

2019年5月~8月に畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター(以下、ニューロリハ研究センター)へ短期留学していたBurcu Dilekさんとの共同研究が国際雑誌Clinical EEG and Neuroscienceに掲載されました。 この研究は、ヒトが痛みを怖がっている時の脳波活動を記録・解析したもので、痛みを怖がると運動プログラムが破綻することが明らかになりました。この研究は、留学中に計画・実施したものであり、その成果がこのように公表されることを嬉しく思います。 ちなみにBurcu Dilekさんは畿央大学へ留学する前にトルコで「運動をイメージするリハビリテーション」の研究をしており、痛みを有する患者さんに運動をイメージさせると痛みが低減することを明らかにしていました。 【参考】Dilek B, Ayhan C, Yagci G, Yakut Y. Effectiveness of the graded motor imagery to improve hand function in patients with distal radius fracture: A randomized controlled trial. J Hand Ther. 2018 Jan-Mar;31(1):2-9.e1.) 2019年の留学では、そんな彼女自身の研究経緯と、畿央大学のアイディア・研究設備が見事に相互作用して、良い研究成果が生まれたのだと思います。とはいえ、Burcu Dilekさん自身は脳活動の計測は初めてのことだったようで、非常に苦労しました。実際には、畿央大学で計測したデータをトルコで解析して、解析して、そして解析して....の繰り返しでしたが、持ち前の好奇心、行動力でそれらを乗り越えてくれました。留学から2年間が経ちますが、ここまで継続した努力に敬意を表したいです。彼女の今後の活躍を楽しみにしています。 【留学時の様子】 畿央大学に短期留学中のトルコ人研究者にインタビュー!後編~ニューロリハビリテーション研究センター 畿央大学に短期留学中のトルコ人研究者にインタビュー!~ニューロリハビリテーション研究センター トルコ人研究者に日本や理学療法のあれこれを聞いてみた!~Burcu Dilekさんロングインタビュー  ちなみに、現在は、トルコのトラキア大学(Trakya University)のHealth Science Faculty Occupational Therapy Departmentに助教として勤務しているようです。そんな彼女のコメントと現在の写真が届いていますので、紹介させていただきます。  【Burcu Dilekさん コメント】 When I first visited the laboratory, which was established under Prof. Morioka's leadership, I was very excited and also motivated that I should work with the team. His team's research areas were very unique to me. All of them were talented and well-equipped scientists in their fields. Dr. Osumi helped to design the study in line with his experiences. Dr. Nobusako supported me in other technical and hardware aspects. Other employees of Kio University always had a smiling face and always found a solution when I had any problems. I quite adopted the study subject proposed to me and in the following periods, I want to continue working in this research area with Prof. Morioka's team. I am very happy that all our efforts have paid off. I want to thank all the staff of Kio University, especially Prof Morioka, Dr. Osumi and Dr. Nobusako. 森岡教授のリーダーシップのもと設立されたニューロリハ研究センターを初めて訪問した時、とても興奮して「このチームと一緒に働くべきだ」と意欲を掻き立てられました。研究分野は私にとって非常にユニークで、全員が各分野で才能にあふれ、かつ専門的な知識をそなえた研究者した。大住准教授はご自身の経験に沿って研究のデザインを手伝ってくださいました。信迫准教授はその他の技術的・ハード的な面で私をサポートしてくださいました。畿央大学の他の教職員もいつも笑顔で、問題に直面した時には必ず解決策を見つけてくれました。提案された研究テーマをかなり採用しましたし、今後も森岡教授のチームと研究を続けていきたいと思っています。私たちの努力が報われてとても嬉しく思っています。畿央大学のすべてのスタッフ、特に森岡教授、大住准教授、信迫准教授に感謝いたします。 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 健康科学研究科 准教授 大住 倫弘 【論文情報】 Dilek B, Osumi M, Nobusako S, Erdoğan SB, Morioka S. Effect of Painful Electrical Stimuli on Readiness Potential in the Human Brain. Clin EEG Neurosci. 2021 Jul 2:15500594211030137.

2021.07.09

慢性疼痛患者における疼痛律動性のタイプ分類~畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター

近年、日内で疼痛強度が変動する「疼痛律動性」の存在が注目されています。こうした疼痛律動性を把握することは慢性疼痛への治療戦略を考えるうえで有用であり、様々な疾患で律動性の調査が行われています。しかし、これまでの研究では疾患横断的に調査されたものはなく、律動性が疾患由来で生じるのか?神経障害性や心理状態といった個人の要因で生じるのか?といった点が明らかになっていませんでした。畿央大学大学院博士後期課程 田中 陽一 氏と森岡 周 教授 らは、慢性疼痛患者56名を対象にクラスター分析を用い、疼痛律動性の類似性から群分けを行い、リズムタイプの異なる3タイプの存在を明らかにしました。また、神経障害性疼痛の重症度がこれらの群間で異なっていることを報告しました。 この研究成果は、Medicine誌 (Classification of circadian pain rhythms and pain characteristics in chronic pain patients:An observational study)に掲載されています。   研究概要 これまで疾患別に疼痛律動性の存在が多数報告されてきました。しかし、疼痛律動性が生じる原因について論じられたものはなく、律動性が疾患由来で生じているのか、個人因子の影響が強いのかといった点が明らかになっておりませんでした。そこで、畿央大学大学院博士後期課程 田中 陽一 氏 と 森岡 周 教授 らは、慢性疼痛患者56名の疼痛律動性を疾患横断的に調査しました。 その結果、リズムタイプの異なる3タイプの律動性の存在を明らかにし、更に神経障害性疼痛の重症度に群間差があることがわかりました。こうした疼痛律動性の把握は、時間帯を考慮した生活活動の導入や身体活動の管理などの介入に有用であると考えられます。また、3群間で疾患に有意差を認めなかったことから、疾患では疼痛律動性を把握することは困難であり、本研究で群間差が見られた神経障害性の要素などの個別的な評価が必要であることが示唆されました。   本研究のポイント ■ 慢性疼痛患者を対象に疼痛律動性を調査した。 ■ 律動性の異なる3タイプの存在が明らかになった。 ■ 群間で神経障害性疼痛の重症度に有意差があったことから、こうした疼痛のリズムには疼痛の性質が影響していることが示唆された。   研究内容 慢性疼痛患者56名を対象に、疼痛律動性は1日6時点(起床時・9時・12時・15時・18時・21時)を7日間評価しました。6時点の7日間平均に標準化処理(Zスコア)を行った6変数でクラスター分析を行い、律動性の類似性から分類を行いました。   クラスター分析の結果、起床時に最も疼痛強度が高く、時間経過とともに疼痛が減少していくタイプ、起床時に疼痛強度が高いが日中に低下し、夕方から夜間にかけて疼痛が再度増悪していくタイプ、これらのタイプとは逆に起床時に最も疼痛強度が低く、時間経過とともに疼痛が増強していくタイプの3タイプの律動性を明らかにしました(図1)。   図1.疼痛律動性のリズム分類   クラスター分析により、異なる特徴を持つ3つのクラスターが抽出された。CL1では、起床時の痛みスコアが最も高かったが、時間の経過とともに痛みスコアは低下する傾向にあった。CL2では、起床時に痛みスコアが高く、日中は減少したが、15時以降は徐々に増加した。CL3では、時間の経過とともに痛みスコアが徐々に上昇する傾向が見られた。     また、3群間の比較において疾患や疼痛罹患期間、服薬の有無には有意差は見られませんでしたが、神経障害性疼痛の重症度に群間差を認めました(図2)。CL1・2とCL3の間で有意差が見られたことから神経障害疼痛の重症度が起床時の高い疼痛強度に関与していることが考えられます。本研究の結果から、疼痛律動性は疾患由来ではなく、神経障害性などの疼痛性質に強く影響を受けていることが示唆されました。   図2.3群間の比較 CL1とCL2は、CL3よりも神経障害性の重症度の総得点が高かった。また、誘発痛については、CL1がCL3よりも高いスコアを示した。   本研究の臨床的意義および今後の展開 本研究は、疼痛律動性が疾患由来ではなく疼痛性質によって生じていることを示唆し、個別的な評価によって律動性を評価する必要性が示されました。今後は、疼痛律動性を踏まえた、治療介入の効果と限界について研究される予定です。   論文情報 Yoichi Tanaka, Hayato Shigetoh, Gosuke Sato, Ren Fujii, Ryota Imai, Michihiro Osumi, Shu Morioka Classification of circadian pain rhythms and pain characteristics in chronic pain patients: An observational study. Medicine, 2021   関連する論文 ■ Tanaka Y, Sato G, Imai R, Osumi M, Shigetoh H, Fujii R, Morioka S. Effectiveness of patient education focusing on circadian pain rhythms: A case report and review of literature. World J Clin Cases 2021; 9(17): 4441-4452   ■ 田中 陽一, 大住 倫弘, 佐藤 剛介, 森岡 周. 日中の活動が慢性疼痛の日内変動に及ぼす影響─右腕神経叢損傷後疼痛を有する1症例での検討─. 作業療法 2019; 38: 117-122, 2019   問い合わせ先 畿央大学大学院健康科学研究科 田中 陽一(タナカ ヨウイチ)   畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター  森岡 周(モリオカ シュウ) E-mail: s.morioka@kio.ac.jp   Tel: 0745-54-1601 Fax: 0745-54-1600  

2021.07.09

新型コロナウイルス感染症 陽性者の発生状況について

このたび、本学の学生複数名が新型コロナウイルスに感染していることが判明いたしました。感染者や濃厚接触となった学生は特定されており、療養中または経過観察中です。   保健所及び本学の調査により、学外での行動を共にしたことにより感染が拡がったものと考えております。7月7日(水)より、該当学生が属する学年・学科については登学を停止し、全ての授業を遠隔授業に切り替えております。   また保健所とは適宜連携をとっており、その他の学年・学科では、対面授業と遠隔授業を併用しつつ、感染拡大防止に全力で取り組んでおります。   「感染リスクが高まる5つの場面」で提唱されている、『飲酒を伴う懇親会』、『大人数や長時間に及ぶ飲食』、『マスクなしでの会話』、『狭い空間での共同生活』、『居場所の切り替わり』については十分気を付けるように指導をしてまいりましたが、今後も保健所、関係諸機関と連携し、感染予防対策の徹底にさらに尽くしてまいります。   感染者及び関係者の人権尊重と個人情報の保護にご理解とご配慮を賜りますよう、お願いいたします。   感染された学生の一日も早い回復をお祈りいたします。   7月9日 畿央大学 新型コロナウイルス対策本部   【7月16日追記】 今回濃厚接触となった全ての学生のPCR検査が陰性と判明しております。現時点で、学内での接触による感染は確認されておりません。

2021.07.07

畿友会(学生自治会)だよりvol.71~畿友会主催『緊急対応講習会』を開催!

こんにちは!学生自治会「畿友会運営委員会」です! 令和3年7月1日(木)の昼休みに、全クラブ(運動系・文化系)及び運動系サークルを対象とした緊急対応講習会を開催しました。コロナ禍での開催のため、完全対面ではなく登学している方は対面で講義室のスクリーンを通して、また遠隔参加の方はZoomを使って開催しましたので、報告させていただきます。   ▼対面の方は、E104講義室で参加しました   今年度の緊急対応講習会では、以下の6つの内容を扱いました。 ◎健康支援センターからの講習  ①怪我発生時の初期対応  ②救命処置の流れ  ③過呼吸の対処  ④熱中症の対処・対策 ◎学生支援センターからの講習  ⑤課外活動中に急病・怪我をしたとき  ⑥スポーツ安全保険について     ▼当日はスライド資料をもとに説明がありました   関西圏でも緊急事態宣言が解除され、課外活動を再開する団体も多いと思います。とても嬉しいことですが、まだまだ油断はできないため、感染予防対策は忘れずに行いましょう! また、暑さも厳しくなっているため、熱中症や脱水症対策をしっかり行ってくださいね!! 本日の講習会は全体の8割以上の団体の参加がありました。 代表者の方々、参加いただきありがとうございました!!   畿友会広報部 現代教育学科3回生 下岸あすか   ▶畿友会に関連するブログ記事 KIO Smile Blog

2021.07.06

令和3年度「保護者懇談会」を開催しました。

2021年(令和3年)7月3日(土)に保護者懇談会を開催しました。昨年度は新型コロナウイルス感染症拡大の影響により実施することができませんでしたが、今年度はオンライン会議システムによるリアルタイム配信とオンデマンドによる動画配信を併用した形で開催しました。   学長による挨拶と進路支援部によるキャリアガイダンスは、本学ホームページ上にてオンデマンドにより一定期間配信し、保護者懇談会終了後もご覧いただくことができるようにしました。      ▼保護者懇親会用のページ     すでに視聴されている保護者の方からは、「コロナ禍における就職活動の状況やサポート体制がよくわかった」「就職活動に対する保護者の心構えなどがよく分かった」という感想をいただきました。   保護者懇談会当日は、オンライン会議システムを使用して5学科の学科別説明会を実施し、250名を超える保護者様にご参加いただきました。「学科長のお話もとてもわかりやすく、学生すべてに配慮してくださっている様子がよく分かりました」「学校の方針や卒業までのスケジュールが把握でき、非常に有意義な懇談会でした」「大学や先生方がコロナ禍の中、学生達のことを考えて色々、試行錯誤しながら授業等を進めてくださっていることがよく分かりました」などのお声をいただきました。   ▼学科別説明会の様子    保護者の方と担任教員による個人面談についても、同じくオンライン会議システムを使用して実施しました。「どんな先生と関わっているのか、親としての不安なことなど色々聞けて良かったです」「個人懇談がリモートで出来てとてもよかったです。親身になってくださる先生にとても感謝しています」などの感想を多くいただき、顔を見ながら面談ができたことで保護者の皆さまにもご安心いただけたようです。   ご参加、ご視聴いただいた保護者の皆さま、ありがとうございました。コロナ禍の影響により直接お会いすることはできず、また保護者の皆さま同士の交流もかないませんでしたが、本学の取組や学生の現状を少しでも知っていただく機会になったのではないかと考えています。   これからも保護者の皆さまのご意見を参考に、教育の改善につなげてまいります。来年度も多くの保護者の皆様のご参加をお待ちしております。

2021.07.05

パーキンソン病患者、高齢者の方向転換時の移動軌跡、足接地位置の特性~畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター

方向転換を円滑に行うには、移動軌跡や足の接地位置を適切に制御することが重要であると考えられます。畿央大学の岡田洋平 准教授、福本貴彦 准教授、慶應義塾大学の高橋正樹 教授、同大学院 萬礼応(現筑波大学 助教)、京都大学の青山朋樹 教授らの研究グループは、レーザーレンジセンサー(慶応義塾大学 高橋正樹 教授、萬礼応ら 開発)を用いた高精度歩行計測システムにより、パーキンソン病患者と高齢者がTimed up and go test(TUG)で方向転換を行う際の移動軌跡と足接地位置の特性について調査しました。その結果、パーキンソン病患者は、TUGにおいてマーカーの近くに足を接地して方向転換し、その傾向が強い人ほど方向転換時の歩幅が低下することを明らかにしました。一方、高齢者はTUGにおいて歩隔(足の横幅)を広くして、マーカーのより奥の空間に足を接地して方向転換することが示されました。 この研究結果はGait & Posture誌(Footsteps and walking trajectories during the Timed Up and Go test in young, older, and Parkinson’s disease subjects)に掲載されています。   研究概要 方向転換は、加齢やパーキンソン病により障害されます。高齢者は方向転換時の歩数が増加し、速度が低下し、転倒リスクの増加につながります。パーキンソン病患者は、方向転換の速度がより低下し、歩幅も低下することなどが示されています。円滑な方向転換には、移動軌跡や足の接地位置を適切に制御することが重要であると考えられますが、これまで高齢者やパーキンソン病患者が、方向転換時にどのように移動軌跡や足接地位置をとる傾向にあるのか、またその傾向は方向転換時の歩幅などにどのように関連するかについては明らかにされていませんでした。畿央大学の岡田洋平准教授、福本貴彦准教授、慶應義塾大学の高橋正樹教授、同大学院 萬礼応(現筑波大学助教)、京都大学の青山朋樹教授らの研究グループは、レーザーレンジセンサー(慶応義塾大学 高橋正樹 教授、萬礼応ら 開発)を用いた高精度歩行計測システムにより、高齢者やパーキンソン病患者がTimed up and go test(TUG)で方向転換を行う際の移動軌跡と足接地位置の特性について検討しました。 その結果、パーキンソン病患者はTUGにおいてマーカーの近くに足を接地して方向転換し、その傾向が強い人ほど方向転換時の歩幅が低下することを明らかにしました。また、高齢者はTUGにおいて歩隔(足の横幅)を広くして、マーカーのより奥の空間に足を接地して方向転換することが示されました。   本研究のポイント ■ パーキンソン病患者と高齢者の方向転換時の移動軌跡と足接地位置を、レーザーレンジセンサーを用いた高精度歩行計測システムにより評価した。 ■ パーキンソン病患者はTUGにおいてマーカーの近くに足を接地して方向転換し、その傾向が強いほど方向転換時の歩幅が低下することが明らかになった。 ■ 高齢者は、方向転換において歩隔(足の横幅)を広くして、マーカーのより奥の空間に足を接地して方向転換することが示された。   研究内容 パーキンソン病患者、健常高齢者、健常若年者を対象に、レーザーレンジセンサー(LRS)を用いた高精度歩行計測システム(図1)により、TUGを行う際の脚移動軌跡と足接地位置について比較検証しました。従来のTUGは、椅子から立ち上がり、3m歩いて、180度方向転換し、戻ってきて、椅子に座るまでの所要時間を計測するのみでした。しかし、今回我々はLRSを用いた計測システムを利用することにより、肢移動軌跡や足接地位置に関する指標(マーカーと足接地位置の最短距離、スタート地点と足接地位置の最大前方距離、足接地位置の最大横幅など)や歩行の時空間指標(歩幅、歩隔、歩行率)もマーカーレスで計測可能でした。   図1 レーザーレンジセンサー(LRS)を用いた計測システム   その結果、パーキンソン病患者はTUGにおいてマーカーの近くに足を接地して方向転換し、その傾向が強いほど、方向転換時の歩幅が低下することが明らかになりました。この結果は、パーキンソン病患者はTUGにおいてマーカーの近くに足を接地してより鋭い角度で方向転換しようとすることにより、方向転換時の歩幅の低下の程度が大きくなる可能性を示唆しています。一方、高齢者はTUGにおいて歩隔が広く、方向転換時のスタート地点と足接地位置の最大前方距離が大きいことが示されました。この結果は、高齢者が方向転換時に歩隔を広くして、側方への動的不安定性を減少させるための代償戦略をとっていることを表している可能性があります。   図2 結果 a. 3群のTUGにおける移動軌跡および足接地位置の代表例 b. マーカーと足接地位置の最短距離の群間比較 *<0.05 c. マーカーと足接地位置の最短距離と方向転換時の歩幅の関連(パーキンソン病患者)   本研究の臨床的意義および今後の展開 本研究の結果、パーキンソン病患者と高齢者の方向転換時の足接地位置や移動軌跡の特性が初めて示されました。今回得られた知見は、パーキンソン病患者の方向転換時の歩幅の低下の助長を防ぐため、あるいは高齢者の動的不安定性を軽減するための運動療法や動作指導を行う上で有用であると考えられます。今後は、パーキンソン病患者や高齢者の方向転換時の足接地位置や移動軌跡に関連する要因や他疾患における傾向についても検証していきたいと考えています。   論文情報 Okada Y, Yorozu A, Fukumoto T, Morioka S, Shomoto K, Aoyama T, Takahashi M. Footsteps and walking trajectories during the Timed Up and Go test in young, older, and Parkinson’s disease subjects.  Gait & Posture, 2021.   問い合わせ先 畿央大学 ニューロリハビリテーション研究センター 岡田 洋平(オカダ ヨウヘイ)   Tel: 0745-54-1601 Fax: 0745-54-1600 E-mail: y.okada@kio.ac.jp  

2021.07.05

手遊びと紙人形劇の動画を公開!~2021年度「マミポコ・親子ひろば」前期第2回活動

「マミポコ・親子ひろば」は、近隣の未就園児とその保護者の皆さんに遊びと交流の場を提供する取り組みです。親・子・大学生のコミュニケーションの場として、自由遊び、手遊び、絵本の読み聞かせ、体操遊びなどを提供し、元気いっぱい活動をしてきました。   現在はコロナ禍により対面での実施が難しいため、「おうちでできる簡単な遊び」を企画・製作しました。今回は七夕にちなんで、セリフや動きも自分たちで考え、きらきら星の手遊びと彦星と織姫の出会いの物語をペープサート(紙人形劇)で演じました。是非おうちでお子様と一緒に楽しんでください! 親子一緒にお家で楽しめる遊びを考え、動画配信することになりました。まだまだ皆さんと会うことが難しい中で、少しでも明るく楽しい気持ちになっていただければと思います。   【第2回:7/1(木)】 〇手遊び「きらきら星」 〇ペープサート(紙人形劇)「彦星と織姫の出会い」     〈準備の様子〉  ※感染対策を徹底したうえで、練習や準備作業をしています。   〈撮影の様子〉   これからも、より安心・安全に楽しく活動できるような内容を考えていきたいと思います。 子ども達や保護者の方々の笑顔を見られることを楽しみにしています! 動画は順次配信していく予定ですので、チェックしてください!   現代教育学科3回生 荒井斗子 岡村遥佳   【関連記事】 親子で簡単にできる手あそび動画を公開!~2021年度「マミポコ・親子ひろば」前期第1回活動

2021.07.05

離島・へき地医療体験実習(川上村)で応急手当ポケットカードを作成!~看護医療学科

看護医療学科4回生の必修科目である「離島・へき地医療体験実習」では、新型コロナウイルス感染拡大防止のため学生が現地を訪れることができませんでしたが、5月にインターネット等様々な方法を活用して、へき地で生活されている方々や、保健・医療・福祉を支えている方々と交流をし、多くの学びを得ることができました。 吉野郡川上村での実習では、学生が「母子」「学校」「成人」「高齢者」「包括」と5つのグループにわかれて活動をし、各発達段階における健康課題に着目して媒体作成を行いました。   成人グループは、一般社団法人 吉野かわかみ社中の上田一仁様にインタビューを行い、林業に携わる方々の業務の実状についてお話を伺いました。その中で、作業中に緊急性の高い傷病者が発生した場合には防災ヘリコプターでの救助を要請されることと、作業している場所によっては携帯電話が使用できず、救助までに時間を要することを知りました。 そこで、救助を待つ間に林業従事者の方々自身で傷病者への対応ができることを目的に「安心!応急手当てポケットカード~命を守ろう~」という媒体を作成しました。インタビューで、林業従事者の方々が受傷される原因として、伐採した木に脚を挟まれることによる骨折が多いということをお聞きし、媒体では骨折・出血への対処方法と心肺蘇生法に関する内容を取り上げました。   また、上田様からのアドバイスで、山林での作業に携帯していただけるようなサイズとし、防水のためのラミネート加工を施しました。内容のわかりやすさ、文字やイラストの見やすさについても林業従事者の方々に確認していただき、完成することができました。     完成したポケットカードは、吉野かわかみ社中を通じて、川上村で働くすべての林業従事者の方々に配付していただきました。さらにご希望をいただき、令和3年7月1日(木)開催の全国労働安全週間イベントで、村内の土木建築事業所や製造事業所にもポケットカードを配付していただくことになりました。     上田様からは以下のような感想をいただきました。   「多くの林業従事者は日常作業の一貫として、立木伐採などの業務を行っておられるので、危険を伴う作業であるという認識が薄れがちになります。加えて、村内で重篤な林業事故が発生する頻度も高くないことから、突発的なアクシデントが発生した際に、自身の知識だけで冷静に対処できるかは未知数です。そのような場面で、このカードを携帯していれば手順に従って適切に処置できるので、現場での安心感は高まると思います。このカードを使う機会が訪れず、お守り代わりにカバンに入ったままというのが理想ですが…。」   また、ポケットカードを作成した学生からは以下のような感想がありました。   ポケットカードを作成時は、どのような場面、場所で活用するのかを想像し、より必要性のあるものになるように心がけました。緊急時に活用していただきたいです。   看護医療学科4回生 青木千春   ポケットカードを作成してみて、看護職だけでなく労働者の方が自分たちで救命措置を行うことができることは、とても重要なことであると考えました。初めてポケットカードを見る方でも、救命措置を行うことができるよう、絵や詳しい手順を記載することができたと思います。緊急時に活用していただきたいと思います。   看護医療学科4回生 板谷彩夏   ポケットカードを作成するにあたって、使用者のことを思いながら作成することがとても大切だとわかりました。緊急時に活用していただきたいです。 看護医療学科4回生 羽柿和也   緊急時に誰が見てもすぐに理解でき、実践できるようなわかりやすいパンフレット作成ができたと思います。林業従事者の方々が安全に働けるような環境づくりの一部に少しでも力になれて嬉しいと感じています。 看護医療学科4回生 安井優奈   今回の媒体作成では、山林での傷病者への対処ということを念頭に置き、どのような内容であれば林業従事者の方々に実践していただけるのかということを重視して作成しました。学生にとって、これまで学修した知識を、一般論ではなく対象となる方々の状況や個別性にあわせて活用することの重要性を学ぶ機会となりました。「安心!応急手当てポケットカード~命を守ろう~」が林業や建設業・製造業に携わる皆様方にとって安全のお守りとなることを願っています。   最後になりましたが、お忙しい中、離島へき地医療体験実習にご協力を賜りました皆様方に、心から感謝申し上げます。   看護医療学科 教授 松本泉美 講師 中西恵理 特任助教 松川真葵 助手 山本広大   【関連記事】 離島・へき地医療体験実習(山添村)レポート~看護医療学科 離島・へき地医療体験実習(宇陀市大宇陀地区)レポート~看護医療学科 離島・へき地医療体験実習(川上村)レポートvol.2~看護医療学科 離島・へき地医療体験実習(川上村)レポートvol.1~看護医療学科

2021.07.02

逝去時の看護を学ぶ-エンゼルケア演習 ~看護医療学科「終末期ケア論」

「終末期ケア論」は、看護医療学科3回生前期に必修科目として開講しています。 授業では、「がん患者を看取った遺族の体験を聴く」「ホスピス実習を終えた4年生からホスピス緩和ケアについて学ぶ」など終末期ケアの現場で求められている看護師の役割について考える力を養うための内容を盛り込んでいます。 今年度は、5月以降オンデマンド型の授業を行っていましたが、大阪府に発出されていた緊急事態宣言の解除後は、対面型授業を再開しました。     今回は、令和3年6月25日(金)の授業で行った「エンゼルケア演習」の様子を報告します。 この演習は、臨死期に出現する症状や逝去時のケアを理解する授業のなかで行われています。   ▲学生は、ユニフォームを着用し身だしなみを整えて演習に臨みました   エンゼルケア(逝去時に身体や頭髪をきれいに整え、故人の生前の表情や血色に近いメイクを施し、「旅立ちにむけた整え」を行うこと)は、逝去時の看護技術であり残されたご遺族への心のケアにつながるといわれています。 授業では、闘病による苦しみから解放された方の表情を柔らかくするためのマッサージや汚れを除去し血色の良いお顔になっていただくためのエンゼルメイクを実施しました。   ▲フェイスマネキンを使って、表情を柔らかくするマッサージをする様子   学生のなかには、毎日化粧をする習慣のある人と習慣のない人、また男子学生もおり、化粧への関心や思いは様々です。しかし、共通していたのはご遺体を想定したメイクには微妙な色合わせや表情のなかに生前の面影を残すなど、これまでに触れたことが無い対象を思い浮かべながら、メイクすることの難しさでした。 実際に、死の直後から経時的にご遺体に起こる変化を具体的にイメージしながら、「顎関節が硬直しないうちに義歯を装着して、口が閉じられるように頭部を挙上する」「死後硬直がすすまないうちに旅立ちの衣装に着替える」「エンゼルケアを行って葬儀を終えて出棺するときまでには2日程度の時間があるので、そのときに最高の表情で旅立てるようにメイクをする」などの学びがあったようです。   ▲逝去後の経時的な変化を予測して表情を作っていきます   ▲日ごろはメイクをしない男子学生も慣れない手つきで丁寧なメイクを施します   授業の中では、実際ご遺体をきれいに清拭し旅立ちの準備をする動画も視聴しましたが、学生は「いのちが終わってからも生前と同じように声をかけたり、プライバシーに配慮しながら、旅立ちの準備をすることが大切と感じました」と逝去後も対象を大切にケアすることの重要性を学んでいたようです。 また、エンゼルケアの目的の一つとしてご遺体の感染予防があります。感染を予防するために体液や排せつ物が漏れ出さないような処置を行うときに用いる物品なども手にとってみました。 感染予防という視点から「COVID-19 」によって逝去された対象のご遺体の扱いについてとりあげ、ご遺体と対面することができない遺族の苦悩について考えました。   ▲エンゼルケアの実際を動画で学ぶ様子   先輩たちは、この演習の経験を活かして、病院実習の場で逝去された患者さんへのエンゼルケアをさせていただいたことがあります。卒業後どのような領域で看護師として働いた場合にも必ず看取りの場に直面する機会があります。そのようなときに、「ご遺体に尊厳を持った態度でケアする」姿勢を忘れないでほしいと思います。   ▲同じ顔をしたマネキンへのメイクですがグループによって少しずつ表情が違っています   「最期の数時間に起こったことは、残された者の記憶に留まりつづける」といわれているように、お別れの時に穏やかな表情で送ることは、遺族ケアの第一段階であることを学生と共有できた貴重な演習となりました。                       看護医療学科 講師 大友絵利香   【関連記事】 看取りを体験した遺族に対する看護の課題~看護医療学科「終末期ケア論」 第15回 奈良県認知症ケア専門士会オンラインセミナー「〜コロナ時代におけるこれからの看取り〜」参加者レポート~看護医療学科 国保中央病院「緩和ケアホーム飛鳥」での見学実習!~看護医療学科「終末期ケア論」

2021.06.30

10/13(水)第14回理学療法特別講演会「2020東京五輪の活動報告」を開催します。

2020東京オリンピック・パラリンピックの理学療法サービス部門で「TOKYO2020MEDスタッフ」として奈良県から参加する4名はすべて本学理学療法学科の教員・卒業生・修了生で、選手村や競技場の救護室に配置されてアスリート支援を行う予定です。理学療法学科の福本貴彦准教授はTOKYO2020MEDスタッフの一人として、準備の段階から、運営、現場対応まで関わっています。   そこで、畿央大学卒業生向けのリカレント教育(卒後教育)を兼ねて行われている「理学療法特別講演会」の14回目は、東京五輪のサポートに入る福本貴彦先生にオリンピック・パラリンピックでの経験をもとに、アスリート支援やスポーツ理学療法の発展性や面白さについてご講演いただきます。後半は福本先生とともに東京オリンピック・パラリンピックで活動した卒業生・修了生を交えて、座談会形式でざっくばらんに対話を楽しんでいただきます。ぜひたくさんの卒業生の皆さんに参加していただき、同窓生が少しでもつながり合って楽しめる時間にできれば幸いです。   なお、今年度は卒業生・在学生のみ(学科は不問)対象のオンライン開催とさせていただきます。あらかじめご了承ください。   日 時 2021年10月13日(水)19:30~21:00 【Zoomウェビナー】 講 演 2020東京五輪の活動報告 ~理学療法サービス部門としてのレガシー~ 講 師 ■福本 貴彦 理学療法士(運動器専門理学療法士) 畿央大学理学療法学科 准教授/畿央大学大学院 健康科学研究科 准教授 <学歴> 九州リハビリテーション大学校 理学療法学科 1995年卒業 九州工業大学 工学部 機械知能工学科 2003年卒業 和歌山県立医科大学大学院 医学研究科 修士課程 2007年卒業 <東京2020大会 活動内容> オリンピック・パラリンピック:選手村総合診療所(伊豆分村、河口湖分村) <社会活動> 奈良県理学療法士協会 スポーツメディカルサポート委員会 委員長 奈良県理学療法士協会 学校保健・特別支援担当委員会 委員長 奈良県教育委員会学校保健課題解決ワーキング会議構成員 講師 ・学校における運動器検診について実施要領などを選定 奈良県教育委員会運動部活動指導の工夫・改善支援事業 コンディショニング担当 ・依頼のあった学校の運動部でコンディショニング指導 ・自治体教育委員会からの依頼でスポーツテスト 斑鳩町教育委員会(中学生) 田原本町教育委員会(小学生・幼稚園児) 宇陀市教育委員会(幼稚園児) 三宅町教育委員会(幼稚園児) NPO奈良スポーツ育成選手を守る会 理事 ・奈良県下のスポーツ検診を実施 <メディカルサポート> 全国高等学校野球選手権大会(夏の甲子園大会) センバツ高等学校野球大会(春の甲子園大会) 奈良県高等学校野球連盟主催大会(春季・秋季近畿大会予選、夏大会予選) 奈良マラソン 鳥人間コンテスト(京都大学ShootingStars)パイロット指導 セレッソ大阪、ギラヴァンツ北九州、奈良クラブ、ポルベニル飛鳥、バンビシャス奈良も正式なスタッフにはなっていませんが、今も関わっています。   ■唄 大輔 理学療法士(運動器専門理学療法士) 社会医療法人 平成記念会 平成記念病院 リハビリテーション課 主任 畿央大学大学院 健康科学研究科 客員研究員 <学歴> 畿央大学 健康科学部 理学療法学科 2008年卒業 畿央大学大学院健康科学研究科 修士課程 2015年修了 奈良県立医科大学大学院 博士課程 2021年修了 <東京2020大会 活動内容> オリンピック・パラリンピック:選手村総合診療所(東京:晴海) パラリンピック:選手村総合診療所(静岡:河口湖)   ■加納 希和子 理学療法士(スポーツ認定理学療法士、中級障がい者スポーツ指導員) 医療法人 勝井整形外科 畿央大学大学院 健康科学研究科 客員研究員 <学歴> 畿央大学理学療法学科 2012年卒業 畿央大学大学院健康科学研究科 修士課程 2019年修了 <東京2020大会 活動内容> オリンピック・パラリンピック:自転車競技(トラック、ロード)の競技会場@静岡:伊豆ベロドローム、富士スピードウェイ 申込方法 下記URLより、お申込みください。卒業生・在学生のみ(学科は不問)対象 https://kiouniv.slc.page/forms/60e40b17a5539d002d318139/fields 受講料 無料 申込締切 2021年10月11日(月) 備考 Zoomを利用できる環境でご参加ください。 問合せ先 畿桜会事務局 (畿央大学 広報センター) TEL:0745-54-1603 FAX : 0745-54-1600 E-mail:dousoukai@kio.ac.jp

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