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すべての新着情報一覧

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2026.03.03

安堵町の認知症カフェ「しゃべり場」に室谷ゼミの学生が参加!~ 看護医療学科

地域包括ケアと老年看護学を担当する室谷研究室では、地域の関係機関と連携し、学生の地域活動を積極的に支援しています。2026年1月28日(水)と2月25日(水)の2回にわたり、室谷ゼミの学生4名が、安堵町東安堵公民館で開催されている認知症カフェ「しゃべり場」へボランティアとして参加しました。   学生によるアクティビティの実施 学生たちは、心身の活性化を目的とした「アクティビティ・ケア」を担当し、以下の企画を行いました。 1月:書き初めワークショップ 参加者全員がミニ色紙に「今年の抱負」を一文字ずつ丁寧に書き上げました。それぞれの目標や思いを披露し、語り合う賑やかな新年の幕開けとなりました。 2月:昭和歌謡「イントロ・ドン!」 懐かしのメロディを流し、曲名当てや歌手にまつわるクイズを実施。当時の記憶を呼び起こす「回想タイム」として、会場は大いに盛り上がりました。     その後は地域のボランティアさんの企画にも合流し、多世代での交流を深めました(1月はカルタ、2月はおひな様づくり)。   参加者・学生の声 参加者の皆さまより:「学生さんが来ると楽しい」「笑顔を見ているだけで元気になる」といった温かいお言葉をいただきました。   参加した学生より:「地域にこうしたつながりの場がある大切さを実感した」「皆さんがお元気で、自分たちも元気をいただいた。ぜひまた参加したい」と、学びの多い時間となったようです。   今後の展望 超高齢社会において、誰もが住み慣れた地域で安心して暮らし続けるためには、世代を超えた「相互理解」と「つながり」が欠かせません。今後も室谷ゼミでは、多様な人々が尊厳をもって生き生きと暮らせる社会を目指し、学生と共に地域活動を積極的に展開してまいります。   最後になりますが、安堵町「しゃべり場」の皆さま、貴重な機会をありがとうございました。   看護医療学科 准教授 室谷 牧子 関連記事 カンボジアの病院でBLS(一次救命処置)講習を実施!~ 看護医療学科教員 認知症マフづくり&交流会を開催しました!~ 看護医療学科「認知症ケア論」 「慢性期看護学援助論Ⅰ」卒業生による授業―筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者の看護― ~ 看護医療学科 長島愛生園を訪問し、正しい知識を持ち、語り継ぐことの重要性を学ぶ ~ 看護医療学科「健康学特論」|KIO Smile Blog    

2026.03.02

2025年度「教職課程FD研修会」を開催しました。

2026年2月19日(木)、教職課程FD研修会を開催し、49名の教職員が参加しました。   今回の研修会は、「教採・公務員対策室での指導を通して考える学生の”いま、これから”」をテーマに、進路支援部 教採・公務員対策室の藤田 和義先生にご講話いただきました。   藤田先生は奈良県立の高等学校において21年もの間、教員として勤務され、さらに奈良県立教育研究所や奈良県教育委員会では人権教育の推進に尽力されました。奈良西養護学校、高田高校等の校長を経て本学に着任された後は、本学教採・公務員対策室で学生の指導に当たってこられました。また、健康科学部の正課科目「人権教育」の授業もご担当いただいています。今回の研修会では、そうしたさまざまな立場から学生を見てこられた先生だからこそわかる「本学の学生の姿」や「その変化」、私たちの指導の在り方について語っていただきました。     まず前段として教員採用試験、公務員試験の実情についてご説明がありました。   教員採用試験は近年、志願倍率が低下傾向にあります。また、3回生受験制度の導入や試験の共同実施の導入が計画されたり、SPIが一部導入されたりするなど大きな変化が起きています。   公務員試験においても同様に志願者の減少傾向が見られます。今回のお話では2019年3月以降の本学卒業生の公務員合格者数の推移や、実際に合格を手にした卒業生の声(いつ頃から、どのような受験対策をしていたか)など具体的な事例を交えながら、特にコロナ禍以降、顕著になっている試験方法の変化に関する実情が紹介されました。さらには、こうした変化が学生のモチベーションや試験に向かう姿勢にどのような影響を与えているかについて、先生の見方が示されました。   長年のご指導を経て特に感じておられることとして挙げられたのは「自身の経験や思考、仕事へのイメージを言語化する力」の低下とそれを高める重要性でした。先に述べた試験実施方法の変化には教科の知識よりも多様な手法の面接(録画面接・ディベート等)によって「行動に表れる能力、特性」や「結果や成果と結びつく能力、特性」を図ろうとする「コンピテンシー型評価」への移行という特徴が見られます。急速に進化する生成型AI等の影響で、従来のエントリーシート等では個人差を測りにくくなったことも要因と考えられますが、このような試験を突破するためには自身の経験を自身の言葉で説明する力がより強く求められることになります。   「予測不能な時代」といわれる今、社会で活躍する学生を送り出すためには、学生の「内にある思い」に火をつけることが大切であると述べられました。そして「明るい未来は熱い思いをもつところにやってくると信じて」という言葉でご講話を締め括られました。     今回の研修会では、教員採用試験や公務員試験の最新の動向を知ることができただけでなく、長年にわたり学生指導の前線に立ってこられた先生の熱い思いを共有していただけたと感じています。真面目で熱心な学生の皆さんと、高校の担任以上に距離が近いともいわれる教職員の存在――そうした本学の特色をいかして、ここでしか学べない魅力ある教育をこれからも推し進めていかなければならないと改めて感じました。 貴重なお話を聞かせていただいた藤田先生に改めて感謝申し上げます。

2026.02.28

「プロジェクトゼミA・B成果発表会」を開催しました~人間環境デザイン学科

人間環境デザイン学科では、2回生後期から3回生にかけて「プロジェクトゼミ」という授業を履修します。この授業の目標は、フィールドワークや学生・関係者との対話を通して現状の課題を見つけ出し、具体的な解決策を考える力を身につけることです。2回生後期の「プロジェクトゼミA」、3回生の「プロジェクトゼミB」を、学年を超えたゼミ活動として開講しています。学生たちは実際に現地を歩き、行政や企業が抱える課題に対して、より良い解決策を提案する実践的なグループ活動に取り組んできました。   先日、2025年度の活動を締めくくる成果発表会を開催しました。今年度の個性豊かな活動テーマを紹介します。 2025年度プロジェクトゼミ一覧 ※関連リンクを貼っています(一部、実施年度が異なる場合があります) 村田ゼミ エコールマミでの残糸を使ったものづくりワークショップ ストリート織り機の取り組み(ソファーカバーの作成) 草木染め、綿摘み体験 李ゼミ 食品における色のイメージ 名刺の色における第一印象への影響 バレンタインカラーイメージ 𠮷村ゼミ 高島理容室のリノベーション提案 宇陀ワークショップへの参加(ななめ格子による耐震壁の施工) 輝建設との古民家リノベーションプロジェクト 清水ゼミ きたまちインターカレッジフォーラムへの参加 苦楽園地区コミュニティバスの実態把握とバス運行ルート、車両ステッカーデザイン作成 地域の方々と高齢者のDX化を推進する取り組み~スマホ講座の開講~ 前川ゼミ 生駒市史のための建造物調査(安藤家住宅、ウチモトカフェ) 旧豆山荘、田原本聖救主教会、帯解里山プロジェクトの保存再生デザイン Woodyコンテスト他への参加 陳ゼミ 明日香村「岡みんなの縁側」の活用、飛鳥岡板・おもちゃの製作 「佐味田みんなの縁側」を通じたイベントの開催 スポーツ・健康まちづくりデザイン学生コンペティションへの参加   東ゼミ 「癒し」についての一考察 林田ゼミ 解築学コンペへの参加 桜井市中央部観光マップの改修 日本中央住販との合同プロジェクト~販売センターの内装提案~ 𠮷永ゼミ ダイワハウスコンペティションへの参加 「2125年の住宅」~これまでの100年とこれからの100年の住宅を考える~ アカビルプロジェクト 今年度は、多くのゼミで関西万博に行きました。   また、今年度は大阪・関西万博が開催され、多くのゼミが見学に訪れました。世界規模の視点に触れた一方で、自分たちが取り組んできた地域課題やものづくりの重要性を再認識する貴重な機会となりました。     課題を発見し、現地に足を運び、試行錯誤を繰り返す経験を通じて、学生たちは多くの学びと気づきを得られたはずです。特に、先輩後輩が手を取り合ったプロジェクトゼミでの活動は、チームで成し遂げる達成感を知る貴重な機会となりました。       今年度も多くの企業、自治体、そして地域の皆さまのご協力のおかげで、実践的で実り多い学びを展開することができました。この場を借りて、深く御礼申し上げます。   3回生はいよいよ、4年間の集大成である卒業研究がスタートします。プロジェクトゼミで培った力を存分に発揮し、納得のいく研究となるよう期待しています。   人間環境デザイン学科 助教 小松 智菜美 関連記事 ▶ プロジェクトゼミについての紹介記事はこちら ▼ 人間環境デザイン学科についての過去のブログ 台湾2大学との国際合同設計演習!「2026年国際木造建築設計プログラム」1日目~人間環境デザイン学科 台湾2大学との国際合同設計演習!「2026年国際木造建築設計プログラム」2日目~人間環境デザイン学科 台湾2大学との国際合同設計演習!「2026年国際木造建築設計プログラム」3日目 ~ 人間環境デザイン学科   「屋根のある建築作品コンテスト2025」で本学教員が住宅部門「優秀賞」を受賞!~ 人間環境デザイン学科 「スポーツ・健康まちづくりデザイン 学生コンペティション2025」デザイン部門 「優秀賞」 受賞~人間環境デザイン学科 陳ゼミ 京都府主催「第9回Woodyコンテスト」で3回生が「佳作」に!~人間環境デザイン学科 第5回近畿学生住宅大賞で2回生が「企業賞」に!~ 人間環境デザイン学科 築56年の住宅地建替えコンペで「審査員特別賞」に!~人間環境デザイン学科 吉永ゼミ  

2026.02.27

3/25(水)オープンキャンパスを開催します。

2026.02.27

3/29(日)オープンキャンパスを開催します。

2026.02.27

JST CREST領域内研究交流報告 ― 内受容・予測的処理とNarrabody理論の接点 ― ~ ニューロリハビリテーション研究センター

2026年2月17日(火)、JST CREST「生体マルチセンシングシステムの究明と活用技術の創出」領域における研究交流の一環として、名古屋大学・大平 英樹教授の研究室を訪問し、理論的および実証的討議を行いました。   大平教授らは「多様な迷走神経情報から創発する内受容感覚の脳統合」プロジェクト(代表・佐々木拓哉 東北大学教授)を推進しており、内受容感覚および予測的処理を基盤とした脳―身体―情動統合の神経機構を明らかにすることを目的としています。本交流は、我々が推進するNarrabodyプロジェクト(身体を媒介とした時間的自己再構築の理論化・実証化)との理論的接続可能性を検討する重要な機会となりました。   今回は、森岡グループから、森岡 周、大住 倫弘、佐々木 遼(JSPS特別研究員)、大西 空(CREST特任研究員)、産屋敷 真大(修士課程)が参加しました。   CRESTは国内の競争的科学研究費としてはトップに位置するもので、本学 森岡 周教授らの日仏合同研究チームが2.74億円(5年6ヵ月/3研究室合同)の研究費を取得しています。   【プレスリリース】森岡周教授らの共同研究が2023年度 CRESTに採択されました。 当日の発表テーマについて 当日は、以下のテーマについて発表を行い、活発な議論が交わされました。 脳卒中回復過程におけるナラティブ変容 森岡(大西)は、脳卒中患者における運動機能回復過程とナラティブ変容の関連について話題提供しました。   本発表では、機能回復と主観的回復の乖離に着目し、運動機能の改善が単なるパフォーマンス向上にとどまらず、「時間的自己モデル」の再構築過程に関与する可能性を提示しました。また、内受容感覚の変化が自己物語の再編とどのように同期するかについて、意見交換しました。 サーマルグリル錯覚と予測誤差モデル 佐々木研究員は、サーマルグリル錯覚を用いた痛みの質的評価と予測誤差との関連について報告しました。   特に、内受容予測モデルの不整合が主観的痛み経験の質を規定し得ることが示唆されました。議論では、内受容予測誤差の再重み付けが重要論点となりました。これは、予測誤差を単に最小化する対象としてではなく、「意味生成過程の一部」として再解釈するNarrabodyの理論的立場と接続するものです。 脳卒中患者における身体感情の評価枠組み 産屋敷(修士課程)は、脳卒中患者が自身の身体に抱く感情の構造について報告しました。身体への否定的感情は、単なる情動反応ではなく、身体所有感や行為主体感の回復過程でもあり、それは時間的自己連続性の再構築と密接に関連する可能性があります。今後は、内受容指標・行動指標・ナラティブ評価を統合した多層的評価枠組みの構築が課題であり、その方向性を意見交換しました。 慢性疼痛における脳内ネットワーク再編 大住准教授は、慢性疼痛患者における脳内機能ネットワークの異常結合について報告しました。異種ネットワーク間の機能的過結合が、症状の持続や多様性に関与する可能性が示されました。Narrabodyの視点からは、これを「神経ネットワークの異常」ではなく「時間的自己モデルの固定化」として再解釈する理論的展開の可能性が議論されました。     本領域横断的対話は、神経科学・リハビリテーション科学・現象学的自己理論を統合するための基盤をさらに強化するものとなりました。   今後は、マルチセンシング指標とナラティブ評価を統合した実証研究へと展開する予定です。 関連記事 森岡周教授らの共同研究が2023年度 CRESTに採択されました。  日仏国際共同研究CREST-ANR NARRABODY 1st Meetingが開催されました!~ニューロリハビリテーション研究センター 日仏国際共同研究CREST-ANR NARRABODY 2nd Meetingが開催されました!~ニューロリハビリテーション研究センター 日仏国際共同研究CREST-ANR NARRABODY 3rd Meetingが開催されました!~ニューロリハビリテーション研究センター フランス・リヨン神経科学研究センターのHugo ARDAILLON 氏が畿央大学を訪問されました!~ ニューロリハビリテーション研究センター CREST「マルチセンシング」研究領域の領域会議が開催されました!~ ニューロリハビリテーション研究センター

2026.02.27

入院中の脳卒中者はなぜ歩行を重要と認識しているか-歩行に関する語りから重要性を探索~ ニューロリハビリテーション研究センター

脳卒中を発症すると、多くの人が歩行能力の低下を経験し、日常生活や社会参加にさまざまな影響を受けます。しかし、入院中の脳卒中者が、どのような理由で歩行を重要と捉えているのかについては、これまで十分に明らかにされていませんでした。畿央大学大学院博士後期課程の三枝 信吾氏と森岡 周教授らは、回復期リハビリテーション病棟に入院中の脳卒中者19名を対象にインタビュー調査を行い、歩行の重要性に関する認識を質的に分析しました。この研究成果は Frontiers in Neurology誌(Perceived importance of walking among hospitalized patients with stroke: A thematic analysis)に掲載されています。 本研究のポイント 回復期リハビリテーション病棟に入院中の脳卒中者を対象に、歩行の重要性について半構造化インタビューを行い、質的に分析した。 歩行は、日常生活の再開や健康の促進および機能低下の予防に加え、歩行に伴う不安、他者との関係性、歩行能力低下のラベリング、さらに社会環境とも深く結びついていることが明らかとなった。 研究概要 脳卒中を発症すると、多くの人が歩行能力の低下を経験します。歩行は移動手段としてだけでなく、日常生活の自立や社会参加、健康維持にも深く関わる重要な活動です。しかし、入院中の脳卒中者が、どのような理由で歩行を重要と捉えているのかについては、これまで十分に明らかにされていませんでした。畿央大学大学院博士後期課程の三枝 信吾氏と森岡 周教授らの研究チームは、回復期リハビリテーション病棟に入院中の脳卒中者19名を対象に、歩行の重要性について半構造化インタビューを実施し、質的分析を行いました。その結果、歩行は発症前の生活を再開するための重要な要素として強調されていました。一方で、歩行は健康を維持するために重要ではあるが、環境への適応に対する不安も示されました。そして、参加者は歩行能力低下が他者との関係性に悪影響を及ぼすことを懸念していることや、他者からの視線を通じて脳卒中者として捉えられることを避けたいという思いも示されました。さらに、歩行の重要性は経済的負担や交通手段、外部支援の必要性といった、より広範な社会的課題にまで及んでいました。本研究は、入院中の脳卒中者が歩行を重要と捉える理由を質的に明らかにした初めての研究です。 研究内容 本研究では、回復期リハビリテーション病棟に入院中の脳卒中者19名を対象に、歩行の重要性に関する対面での半構造化インタビューを実施しました。インタビューに先立ち、Community Integration Questionnairを用いて、発症前の生活状況や社会参加の背景を把握しました。次に、歩行の自立性、バランス、質、距離、速さの5つの歩行要素の中から、参加者が最も重要と認識している要素を選択してもらい、その理由について詳しく語ってもらいました。インタビューはすべて音声録音され、逐語録として文字起こしされた後、体系的にコーディングされてテーマを生成するための分析が行われました(図1)。     図1.インタビューの手順と内容   結果、6つの主要なテーマが抽出されました。 (1) 日常生活の再開:歩行は、発症前に行っていた活動や生活習慣に戻るために不可欠な要素として認識されていました。 (2) 健康の維持および機能低下の予防:参加者は、歩行は健康を維持し、身体機能の低下を防ぐために重要であると捉えていました。 (3) 歩行に伴う不安:参加者は、歩行時に生じる身体的および環境的な困難について語っていました。 (4) 他者との関係性:歩行の困難さが、家族や周囲の人々との関係性に影響を及ぼす可能性について懸念が示されていました。 (5) 歩行能力低下のラベリング:参加者は、自身の歩き方が他者からどのように見られているかを強く意識していました。 (6) 社会環境:歩行は、仕事や交通手段といった、より広範な社会的要因と結びついていました。   研究グループは、これらの結果から、入院中の脳卒中者にとって歩行は、発症前の生活の再構築や健康の維持、人間関係および社会環境への再適応と深く関わる行為であると考えています。一方で、歩行は他者からの視線をはじめとする周囲との関係性といった心理社会的側面からもその重要性が形づくられており、今後の歩行リハビリテーションでは、身体機能や移動能力といった視点に加えて、個々人が認識する歩行観を踏まえた包括的な支援が必要であると考察しています。 本研究の臨床的意義および今後の展開 本研究の臨床的意義は、理学療法士等が歩行リハビリテーションを行う際に、脳卒中者自身が歩行に見出している意味や価値に着目する必要性を示しています。今後は縦断データを使用し、時間の経過に伴歩行の捉え方の変化を検討する必要があります。なお、本研究は科学技術振興機構(JST)戦略的創造研究推進事業CREST研究領域「生体マルチセンシングシステムの究明と活用技術の創出」における研究課題「ナラティブ・エンボディメントの機序解明とVR介入技術への応用」の支援を受けて実施しました。 論文情報 Mitsue S, Ogawa T, Minamikawa Y, Shimada S and Morioka S (2026) Perceived importance of walking among hospitalized patients with stroke: a thematic analysis. Front. Neurol. 17:1742132. 関連記事 本研究の出版報告は、NARRATIVE EMBODIMENT PROJECT(NARRA BODY)のウェブサイトにも掲載されています。 問い合わせ先 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 博士後期課程 三枝 信吾 教授 森岡 周 Tel: 0745-54-1601 Fax: 0745-54-1600 E-mail: s.morioka@kio.ac.jp    

2026.02.27

歩行中の“身体軽量感”錯覚 ー偶然発見された新たな錯覚現象~ニューロリハビリテーション研究センター

身体が重たいと感じることにより身体活動量が低下してしまい、心身の健康に悪影響を及ぼすことがしばしばあります。畿央大学ニューロリハビリテーション研究センターの林田一輝 客員研究員(宝塚医療大学助教)と同センター長の森岡周 教授らは、偶然発見された特殊な視覚フィードバックを利用することによって、健常若年者において歩行中に身体軽量感の錯覚を誘発できる可能性について報告しました。   この成果は、CREST(ナラティブ・エンボディメントの機序解明とVR介入技術への応用)の一環として行われ、Frontiers in Psychology誌(The illusion of a “sense of body lightness” while walking: A preliminary exploratory study)に掲載されています。 本研究のポイント 歩行中の身体軽量感錯覚を誘発できる可能性について視覚遅延フィードバック課題を用いて行った。 身体軽量感錯覚は、主観的先行フィードバックによって誘発できる。 身体重量感などの不快な主観的経験に対する手立てになる可能性を秘めている。 研究概要 錯覚現象は歴史的に知覚過程に関する情報を明らかにするために用いられてきました。最近の研究では、予測される体性感覚フィードバックと比較してわずかに遅れた視覚フィードバックを与えられた実験参加者が身体の重さを感じたと報告されています。これはフィードバック間のわずかな誤差が身体知覚にネガティブな影響を与えるということがいえます。   身体重量感というネガティブな身体知覚は、心身への悪影響を及ぼすことが知られていますが、その解決策はわかっていませんでした。畿央大学ニューロリハビリテーション研究センターの林田一輝 客員研究員(宝塚医療大学助教)と同センター長の森岡周 教授らの研究チームは、歩行中に身体の軽さを感じるという新たな錯覚現象について報告しました。   30名の実験参加者がトレッドミル歩行中に「主観的に先行するフィードバック」を経験した際、9名が身体軽量感の錯覚が誘発されたと報告されています。この報告では、主観的に先行するフィードバックの生成方法、身体軽量感錯覚を誘発するメカニズム、およびこの錯覚の応用可能性について記載しています。   フィードバック間のわずかな誤差の知覚は、ポジティブな効果も生む可能性について論じています。この研究は予備的・探索的研究な段階ではありますが、この新たな錯覚は医療・リハビリテーション分野だけでなく、拡張現実技術やその他の学際分野にも貢献する可能性を秘めています。 研究内容 身体が重たいと感じるその原因に感覚運動不一致が挙げられています。感覚運動不一致とは、脳内で予測されたフィードバックと実際のフィードバック間のわずかなズレ(不一致)の認識を指します。感覚運動不一致を実験的に扱う方法に視覚遅延フィードバックを用いた研究があります。以前に畿央大学の林田 一輝客員研究員(宝塚医療大学助教)と同センター長の森岡 周教授らの研究チームは、視覚遅延フィードバックによって歩行中にも身体重量感を実験的に誘発できることを報告していました。しかし中には身体軽量感を報告する者が一定数存在することがわかっていましたが、その理由は不明なままでした。   ある日、研究チームが実験終了後に実験参加者の内省を聴取していると「遅れが大きくなりすぎると少し未来の自分を見ている状態になる。その時に身体が軽く感じる」という内容が報告され、研究チームが意図していなかった偶発的に作りだされた実験状況が身体軽量感錯覚に寄与する可能性が発覚しました。つまり身体軽量感の錯覚は、「主観的に先行するフィードバック」と予測されたフィードバック間の不一致によって誘発される可能性があると研究チームは提案しています。   歩行は周期運動であるため、1歩分に近い遅延を導入すると、先行する視覚フィードバックが生じ得ます。図1に示すように、ある実験参加者の1歩分の時間が約1000ミリ秒で、例えばリアルタイム(遅延時間:0ミリ秒)が立脚後期の場合、1000ミリ秒の遅延フィードバックは、前の歩行周期の立脚後期を見ている状況になります。また、わずかな遅延フィードバック(図1では立脚中期)によって身体重量感が誘発されることは以前の研究から明らかになっていました(例:200ミリ秒;現在の周期、青色)。一方で、ほぼ1歩分の遅延(例:800ミリ秒;前の周期、オレンジ)により前遊脚期をフィードバックすると、実際は遅延フィードバックであるにも関わらず、わずかに先行する状況を主観的に経験することができます。この特殊な状況を「主観的先行フィードバック」と研究チームは呼んでいます。主観的先行フィードバックは、身体軽量感錯覚を引き起こす可能性があり、本研究の目的はこれを体系的に調査することでした。   図1.主観的先行フィードバックの誘発条件   ある実験参加者の1歩分の時間が約1000ミリ秒で、例えばリアルタイムが立脚後期の場合、遅延時間0ミリ秒および1000ミリ秒のフィードバックは、どちらも立脚後期に対応します。わずかな遅延フィードバック(ここでは立脚中期)では、身体重量感が誘発されます(例:200ミリ秒;現在の周期、青色)。ほぼ1歩分の遅延(例:800ミリ秒;前の周期、オレンジ)により前遊脚期のフィードバックを提示すると、実際には遅延フィードバックであるにも関わらず、わずかに先行する段階を主観的に経験することができます。   実験により、30名中9名で先行フィードバック時に明確な身体軽量感の錯覚が誘発したという結果が報告されています。本報告は予備的・探索的な性質のものですが、このシンプルなアイデアは、感覚運動不一致によって引き起こされる不快な主観的体験への介入手段として役立つ可能性が秘められています。 本研究の臨床的意義および今後の展開 新たな錯覚現象の発見によって、身体知覚生起のメカニズムおよび発展可能性を展望することができました。今後の研究では、身体軽量感を頑健に惹起する方法のさらなる探索をする必要があります。 論文情報 Hayashida K, Nishi Y, Osawa K, Inui Y and Morioka S (2026) The illusion of a “sense of body lightness” while walking: a preliminary exploratory study. Front. Psychol. 17:1741215. 関連する先行研究 Hayashida, K., Nishi, Y., Inui, Y., & Morioka, S. (2025). Sensorimotor incongruence during walking using delayed visual feedback. Psychological research, 89(5), 139. https://doi.org/10.1007/s00426-025-02170-9 問い合わせ先 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 客員研究員 林田 一輝 教授 森岡 周 Tel: 0745-54-1601 Fax: 0745-54-1600 E-mail: s.morioka@kio.ac.jp

2026.02.26

「教育における生成AIの役割と課題」を開催しました~畿央大学大学院教育学研究科プロジェクト研究会

2026年2月8日(日)に、教育学研究科プロジェクト研究会「教育における生成AIの役割と課題」を開催しました。当日は、朝から雪が舞うあいにくの悪天候でしたが、幼児教育から高等教育機関、そして特別支援学校、教育委員会、塾などさまざまな教育関係者や保護者、卒業生、学生など100名を超える方々にご参加いただきました。   畿央大学教育学研究科では、現代的教育課題の中から「生徒指導」「特別支援教育」「ICT」の3分野に焦点を当て、教育実践力の育成と教育課題の解決に向けたプロジェクト研究に取り組んでいます。本年度の研究会は、「ICT」グループの企画によるものです。   今回の研究会は、この数年、爆発的に使われるようになった「生成AI」をとりあげ、教育における役割と課題について考え、議論することを目的としました。文部科学省は、2024年12月に「初等中等教育段階における生成 AI の利活用に関するガイドライン(Ver.2.0)」を公表するとともに、教育活動や校務において生成AIの活用に取り組む生成AIパイロット校を指定し、効果的な教育実践の創出をすすめています。   文字通り日進月歩の技術の進歩とともに、文章だけではなく画像や動画までも生成されるようになり、コンピュータやスマートフォンなど日常的に我々が使う情報端末にも生成AIが標準搭載されるなど、生成AIはもはや日常的なツールの一つになったといっても過言ではないでしょう。しかし、生成AI利用の年齢制限もあるなか、近い将来子どもたちが扱うことについては、実際にどのように授業の中にとりいれていくべきか、思考力や判断力の育成、情報モラルの醸成などもふくめ、課題はたくさんあると言えます。   前半は、小学校での教職経験が長く、文部科学省の「学校DX戦略アドバイザー」も務めておられる、安井 政樹氏(札幌国際大学)に講演講師をお願いしました。参加者の間で話し合う時間も設けていただきつつ、「知識は更新されるもの」であることや、子どもたちの「○○したい」という目的のために使うものであることをわかりやすくお話しいただきました。特に、子どもたちの発達段階に応じて、「教師が生成AIを使用した実践を行う」「児童がAIと対話する」「生徒がAIを操作する」などさまざまな段階があることをご教示いただきました。また、最後にご講演の感想を、参加者のスマートフォン経由で収集され、その場で生成AIを活用し歌詞をつくり、さらに別のAIで作曲をして披露されました。     休憩時間には、実際に生成AIを使った実践をされておられる実践者の方や、生成AIを活用したドリル作成システムを開発されておられる企業の方などのポスター発表も行われ、参加されている皆さんのあいだにも活発なコミュニケーションが行われました。   後半は、安井先生にはそのままお残りいただき、奈良県で高校の教員をされ、奈良県立教育研究所、奈良県教育委員会事務局を経て、奈良市の教育CIO補佐官もされておられる小﨑 誠二氏(奈良教育大学)、畿央大学大学院教育学研究科准教授の小山内 秀和との3人でパネルディスカッションを行いました。さらに、指定討論者として、弊学学長の冬木 正彦も加わり、生成AIの身体性、認知負債、教師の役割の変化などさまざまな視点からの白熱した議論が行われました。     このプロジェクト研究会は、一つのグループが2年にわたって担当します。よって、来年度も、「ICT」グループからの企画になる予定です。この1年間で、生成AIがどのように変化し、また、教育現場の中でどのように活用されていくかについて実践研究を行い、来年度の研究会では、学校現場の先生はもちろんのこと、児童・生徒の皆さんからも、生成AIを活用した学習の成果を是非発表していただきたいと考えています。   ご講演いただいた安井先生、パネルディスカッションに登壇いただいた小﨑先生、ご参加・ご協力いただいた皆様方に改めて感謝申し上げます。     なお、2014年に畿央大学大学院教育学研究科が開設され、12年経ちました。今回の研究会では、修士修了生諸君に本研究会の運営をご助力いただきました。さらに現在、小学校や特別支援学校などで教員をしている、弊学教育学部の卒業生も数多く参加しておりました。   畿央大学大学院教育学研究科では、今後もプロジェクト研究を深め、その成果を広く発信し、次の世代の子どもたちを育てるという使命のもと、学校現場へ研究成果を還元していきたいと考えております。   教育学研究科 教授 西端 律子 関連リンク 「不登校の子どもの気持ちと支援」を開催しました。~ 畿央大学大学院教育学研究科プロジェクト研究会

2026.02.26

カンボジアの病院でBLS(一次救命処置)講習を実施!~ 看護医療学科教員

2026年2月24日(火)、カンボジアのプノンペンにある「国立クメールソビエト友好病院」にて、新人看護師30名を対象としたBLS(一次救命処置)講習会を開催しました。現地で講師を担当した看護医療学科の酒井准教授が講師を務めた活動をご報告いたします。 交流のきっかけは、カンボジアでの「海外インターンシップ」 今回の講習は、昨年度の「海外インターンシップ」でお世話になったNGO団体「Side by Side」の代表・佐々木明子氏よりお招きいただき、実現したものです。   カンボジアは交通量が多く交通事故が多発していますが、救急車の不足などにより「救えるはずの命が救えない」という厳しい現状があります。そのため「Side by Side」では、医療従事者だけでなく、一般市民へのBLS※普及にも力を入れて活動されています。   ※BLS(Basic Life Support)…一時救命措置のこと。具体的な手技としては「胸骨圧迫」「気道管理」「人工呼吸」「AED」のことを指します。   言葉の壁を越えて伝わる「命を救いたい」という情熱 講習では、酒井が英語でレクチャーを行い、現地の若手医師がポイントをクメール語に通訳する形で進められました。 レクチャー: 循環器の解剖、胸骨圧迫の評価ポイント、AEDの使い方など 実技演習: 胸骨圧迫やAEDの使い方など、一連のシナリオ     現地の看護師たちは非常に勉強熱心で、講習中は質問が飛び交いました。日本に比べると、BLSの知識や技術がまだ十分に浸透していない面も見受けられましたが、参加者の表情からは「目の前の命を救いたい」という強い使命感がひしひしと伝わってきました。説明をすると、何度もうなずいて聞いてくれる姿が印象的でした。     今後の展望 今回の経験を通じ、今後も継続的にこのような教育の機会を提供していく必要性を強く実感しました。     一昨年の「海外インターンシップ」という学生指導の縁から、このような国際的な社会貢献活動へとつながったことに、心より感謝申し上げます。これからも、国内外を問わず「命を支えるプロフェッショナル」の育成と支援に努めていきたいと思います。     看護医療学科 准教授 酒井啓子   関連記事 看護医療学科 海外インターンシップ2024 についての記事はこちら   教職員の「AIチャットサークル」が始動!新たな学びの場を創出~看護医療学科 「つながろう!国際交流、共同研究を目指して」交流集会で講演 ~ 看護医療学科 令和7年度「臨地実習指導者研修会」を開催!~看護医療学科

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