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2026.06.02

2026年度 新入学生研修 学科別レポート ~ 現代教育学科 その②

2026年4月7日(火)に現代教育学科の新入学生研修を実施しました。今年度から研修に関わった在学生の皆さんからレポートで報告してもらう取り組みを企画しました。2回生から4回生まで、それぞれの視点や想いがあったようです。学生主体による企画、運営による研修レポートです。今回は4回生のレポートです。 今回、新入生研修のスタッフとして参加しました。普段は参加者側としてイベントに関わることが多い中で、「運営側」として関わる経験は初めてに近く、とても新鮮で学びの多い一日となりました。今回は、運営を通して感じた新入生研修の意義と学びをお伝えします。   当日は朝から会場準備や出席確認など、スムーズに研修を進行するための基盤づくりからスタートしました。特に印象的だったのは、遅刻者や欠席者の把握、担当教員との連携など、「当たり前に見える運営の裏側」に多くの配慮が必要であるという点です。普段は気に留めないような細かい確認作業が、全体の円滑な進行に大きく関わっていることを実感しました。 午前の部 午前の部では、自己紹介やビンゴゲームなどを通して新入生同士の交流を促すプログラムが行われました。最初は緊張していた新入生たちが、徐々に笑顔を見せて打ち解けていく様子がとても印象的でした。特にビンゴゲームでは、自然と会話が生まれ、場の雰囲気が一気に和らいだことから、「仕掛け」の重要性を感じました。ただ自己紹介をするだけでなく、楽しみながら関係を築ける工夫が、新入生の不安を軽減するうえで効果的であると学びました。先生たちの性格なども垣間見えて、親しみを感じることのできるよい時間になったと思います。   昼食のランチタイムでは、班ごとに分かれての食事を通して、より深い交流が見られました。たくさんの豪華なお料理が並んでいて新入生たちもたくさん食べていました。私達も美味しい料理を頂いて元気をチャージできました!   ▲やりがいと緊張が学修を充実させてくれます 午後の部 午後の部では、学部紹介やコース説明が行われ、新入生にとって今後の大学生活を具体的にイメージする機会となっていました。私達数学教員を目指すチームの所にもたくさんの新入生が聞きに来てくれました!説明の仕方一つで伝わり方が大きく変わることを実感し、「分かりやすく伝える力」の重要性を改めて感じました。これは将来教員を目指す上でも非常に重要な視点であり、自分自身の課題として意識したいと感じました。   また、レクリエーションではクイズやゲームを通して、さらに場の一体感が高まりました。2回生が一生懸命考えてくれた企画で、とても盛り上がりました!特に学年をこえた関わりが生まれていた点が印象的で、新入生にとって「安心できる居場所」を感じるきっかけになっていたように思います。   今回の経験を通して、イベント運営は単なる「進行作業」ではなく、「人と人をつなぐ場をデザインすること」であると感じました。特に教育に関わる立場として、学習だけでなく人間関係の構築や安心感の提供も重要な役割であることを強く意識するようになりました。   ▲もうとにかく笑うしかない!   この経験で得た「相手の立場に立って考える視点」や「場づくりの工夫」は、将来教員として生徒と関わる際にも大いに活かせると感じています。   現代教育学科 4回生 道田 太希 関連記事 ▼2026年度 現代教育学科 新入学生研修レポート 2026年度 新入学生研修 学科別レポート ~ 現代教育学科 その①|KIO Smile Blog 2026年度 新入学生研修 学科別レポート ~ 現代教育学科 その③|KIO Smile Blog   ▼他学科の2026年度 新入学生研修 学科別レポート 2026年度 新入学生研修 学科別レポート ~看護医療学科 2026年度 新入学生研修 学科別レポート ~ 人間環境デザイン学科   ▼現代教育学科についての過去の記事 ▼ 身近すぎて、その価値に気づかないものを地域全体で学習しよう! ~ 現代教育学科 小さなことからコツコツとーできることから始めるまちおこし~ 現代教育学科 畿央生が学会発表デビュー!全国地理教育学会でポスター発表! ~ 現代教育学科岡田ゼミ 学会にて奈良の魅力を案内!~ 現代教育学科岡田ゼミ 畿央大学✕野迫川村連携事業 【夏の笑顔★大集合!~ 畿央大学と野迫川村のきずな~】開催!vol.1 畿央大学✕野迫川村連携事業 【夏の笑顔★大集合!~ 畿央大学と野迫川村のきずな~】開催!vol.2 小学校一日見学を実施しました 〜 現代教育学科  

2026.06.01

2026年度 新入学生研修 学科別レポート ~ 現代教育学科 その①

2026年4月7日(火)に現代教育学科の新入学生研修を実施しました。今年度から研修に関わった在学生の皆さんからレポートで報告してもらう取り組みを企画しました。2回生から4回生まで、それぞれの視点や想いがあったようです。学生主体による企画、運営による研修レポートです。今回は2回生のレポートです。 みなさん、こんにちは!新年度がスタートして少し経ちますが、新しい環境にはもう慣れましたか?新1回生の皆さんは、まだまだ緊張の毎日かもしれませんね。さて、今回は4月7日に開催された新入生歓迎会の舞台裏についてのお話です! 試行錯誤の準備期間! 実は今回のゲームは、「去年の先輩たちがしてくれたこと」や「その時自分たちがどう感じていたか」をベースに、みんなで楽しめる工夫を必死に考えて作ったものだったんです。   でも、これが本当に大変で…!   本番の規模感も、新1回生がどれくらい緊張しているかも、すべてが未知数。自分たちの経験だけを頼りに、あれこれ想像しながら形にしていくしかありませんでした。   そして、実際の準備に際しては、メンバー7人がそれぞれのゲームの担当に分かれました。ゲームバランスやルールの調整、そして実際の準備…と、やることは山積み!でも、まるで文化祭の出し物を考えるときのようなワクワク感でいっぱいでした!   「自分たちなら、どんなゲームが楽しいかな?」とか「まだ緊張していて、グループに馴染むのには時間がかかるかも…」とか、そんな風に、参加してくれる皆さんの顔を思い浮かべながら、何度も検討を重ね、試行錯誤を繰り返してきました。 リハーサルで初めて分かった「難しさ」 昨年の11月からスタートした準備期間。その中で、本当にたくさんの意見を交わしてきました。実際にリハーサルとして全体の流れを通してみると、次のプログラムへのスムーズな繋ぎ方、混雑しないための動線の確保など、「頭の中で考えていただけでは気づけなかった課題」が次々と見えてきました。200名近くの大人数を同時に動かすシミュレーション、その場に応じた臨機応変な対応。そのすべてが、私たちにとって「未経験」の大きくて新しい挑戦でした。   ▲会場の看板にビビる   そして、ドキドキの本番 繰り返しになりますが、私たちはレクリエーションを担当しました。しかし、本番では緊張して予定通りに進まない場面も多々ありました。本番直前の準備の時も、数が合わなかったり確認不足があったりと、思いがけないトラブルが沢山ありました。そして、新入生の方々を待たせてしまうこともありました。本当にすみませんでした(;;)   そんな中、救ってくれたのは…   当日、初めて出会った先輩方や先生方です✨️   7人ではできなかったことだけど、皆さんがいてくれたからできたことがありました。本当に感謝の気持ちでいっぱいです。先輩方、先生方、ありがとうございました!   ▲会場の豪華なお料理等にもビビる   ▲200人以上が一同に会してのランチタイム   トラブル満載の本番中(泣) 実際、本番中も段取りと違うことがいっぱいありました。たくさん練習したはずなのに、すごく緊張して、うまく話せない時もありました。そんな中、新入生の皆さんの方を見ると、心から楽しんでいる姿が目に入ってきました。皆さんが楽しんでいる姿を見て、私たちもとても楽しくなってきました!気づけば、さっきまでの緊張が無くなっていました!   ▲ ピンポン玉運びゲーム 昨年の同じ時期には楽しんでいた側だったけど、今年は運営側!   本番を終えて ここまで、困難を多く書いてしまいましたが、大きな問題はなく無事に終えられたと思っています!   リハーサル後は、もう確認することがないだろうというくらい話し合い、準備し、完璧のつもりでしたが、やはり本番は何かあるものだと実感しました。トラブルもありましたが、この研修会の目的は、新入生全員が「楽しかった!」と思える会にすること。当日私たちから見る限り、みんなとても楽しそうにしていたと思います!!皆さんの笑顔を見て、最後までやり切って本当に良かったと心の底から思いました!   今回の研修会、本当にありがとうございました!新入生の皆さん、そして先生方、楽しんでいただけましたでしょうか?記事に書いた通り、このレクリエーションを成功することができた裏にはたくさんの苦悩がありました。しかし、苦悩あってこその成功だと、私たちは考えています。そして私たち7人は、大きな達成感を得ました。この7人以外誰も持っていない、強い経験もゲットできました!こんな貴重な経験、滅多にありません。   ここまで読んでくださったあなた!もてなされる側からもてなす側になりませんか?   というのも、来年は皆さん2回生になり、新入生を迎えることになります。そこで皆で一緒に、この研修会を創りあげてみませんか?今年度は準備物の確認と事前の情報共有が反省点として挙げられました。その反省を活かし、皆さんの意見も聞きながら、さらに楽しんで貰えるように考えたいと思っています!200人以上という大人数を動かす機会は滅多にありません。一度きりのチャンスを掴み、経験して、将来に役立てていきませんか?     現代教育学科 2回生 阿野 彩      瀬上 和奏           東山  琥珀 湯浅 航紀 山上 弥名 柴田 杏子 西田 朱希 関連記事 ▼2026年度 現代教育学科 新入学生研修レポート 2026年度 新入学生研修 学科別レポート ~ 現代教育学科 その②|KIO Smile Blog 2026年度 新入学生研修 学科別レポート ~ 現代教育学科 その③|KIO Smile Blog   ▼他学科の2026年度 新入学生研修 学科別レポート 2026年度 新入学生研修 学科別レポート ~看護医療学科 2026年度 新入学生研修 学科別レポート ~ 人間環境デザイン学科   ▼現代教育学科についての過去の記事 ▼ 身近すぎて、その価値に気づかないものを地域全体で学習しよう! ~ 現代教育学科 小さなことからコツコツとーできることから始めるまちおこし~ 現代教育学科 畿央生が学会発表デビュー!全国地理教育学会でポスター発表! ~ 現代教育学科岡田ゼミ 学会にて奈良の魅力を案内!~ 現代教育学科岡田ゼミ 畿央大学✕野迫川村連携事業 【夏の笑顔★大集合!~ 畿央大学と野迫川村のきずな~】開催!vol.1 畿央大学✕野迫川村連携事業 【夏の笑顔★大集合!~ 畿央大学と野迫川村のきずな~】開催!vol.2 小学校一日見学を実施しました 〜 現代教育学科        

2026.06.01

自他弁別閾値付近での運動経験は運動主体感の感度を向上させる-運動主体感の可塑性-~ニューロリハビリテーション研究センター

この運動は自分自身が引き起こしたと感じる意識経験を運動主体感といい、リハビリテーションにおいて大事な感覚とされています。畿央大学ニューロリハビリテーション研究センターの林田一輝 客員研究員(宝塚医療大学助教)と同センター長の森岡周 教授らの研究チームは、立教大学の温文 教授との共同研究において、自分の運動かどうかを判断できる境界付近での運動の繰り返し経験によって、運動主体感の感度を向上させることを報告しました。 この研究成果は、Acta psycologica誌(Near the self–other discrimination threshold, experience of goal-oriented movement increases the sensitivity of the sense of agency)に掲載されています。この研究は、CREST(ナラティブ・エンボディメントの機序解明とVR介入技術への応用)の一部として行われています。 研究概要 この運動は自分自身が引き起こしたものだと感じる意識経験を運動主体感といい、身体的な自己感を形成する上で重要な感覚と言われています。そのため運動主体感はリハビリテーションを進める上で大事な意識経験とされていますが、その可塑的変化の可能性についてほとんどわかっていませんでした。畿央大学ニューロリハビリテーション研究センターの林田一輝 客員研究員(宝塚医療大学助教)と同センター長の森岡周 教授らの研究チームは、立教大学の温文 教授との共同研究において、自分の運動かどうかを判断できる境界付近での目標志向運動の繰り返し経験によって、運動主体感の感度を向上させることを実験的に立証しました。対照実験として、自分の運動であることを容易に判断できる条件下での繰り返し経験では、運動主体感の変化は認められませんでした。この研究成果は運動主体感への介入可能性についての発見であり、リハビリテーション領域のみならず、心理学分野における発展性にも貢献しうる可能性を秘めています。 本研究のポイント ■自分の運動かどうかを判断できる境界付近での繰り返し経験によって運動主体感の感度を向上させる可能性がある 研究内容 この運動は自分自身が引き起こしたものだと感じる意識経験を運動主体感といい、身体的自己(embodiment)を形成する上で重要な感覚と言われています。運動主体感はリハビリテーションを進める上で大事な意識経験とされていますが、その可塑的変化の可能性については不明でした。例えば、脳卒中後の感覚運動障害によって感覚運動不一致が生じた結果、運動主体感は低下しますが、その回復プロセスに応じて改善が期待されます。しかしながら、ごく短期間の可塑的変化についてもわかっていませんでした。本研究では、明確に定義された外部目標を持ち、かつ自他弁別許容範囲内の感覚運動不一致の運動経験を行うことは、運動制御への注意を向けさせ、それによって運動主体感に対する感受性を高める可能性を検証しました。 実験は、健常若年者を対象に行われ、自他弁別閾値付近の運動を経験する中程度不一致群とほとんど自己の運動と判断できる運動を経験する低不一致群に分けられました。事前段階、経験段階、事後段階の3段階で構成されました。事前および事後段階では、自己他者弁別課題を行いました(図1左)。この段階では、マウスカーソルの運動に対する視覚フィードバックが自己運動制御レベル100%(他者運動混入0%)から自己運動制御レベル0%(他者運動混入100%)をランダムに提示され、その視覚フィードバックが自己の運動に基づくかどうかを判断する不一致検出課題でした。この課題によって、運動主体感の感受性の定量化および個々の不一致検出閾値を設定することができました。経験段階では目標到達運動課題を行いました(図1右)この段階で中程度不一致群は、自己運動制御が閾値レベル、閾値より10%低いレベルおよび閾値より10%高い3つのレベルを経験しました。低不一致群は、自己運動制御が80%、90%および100%のレベルを経験しました。 図1.実験課題 実験参加者は連続的に五芒星を書くように求められました。この例でモニター上のカーソルは、実験参加者自身のマウス操作に関して「自己運動制御70%」の条件を表しています。各試行の後、「コントロールできていると感じたか」という質問に対して、動きを制御できていると感じた場合は「はい」と答えるよう指示されました。図1右.目標到達運動課題:上下左右にランダムに提示するターゲットにマウスで到達させる課題です。低不一致群は一貫して自己運動制御80-100%レベルでした。中等度不一致群では、例えば不一致検出閾値が50%の場合、自己運動制御が40%、50%、60%レベルで目標到達運動を遂行しました。 実験の結果、中等度不一致群では事前段階に比べて事後段階で運動主体感の感度が向上しました(図2).これまでは不一致の経験は運動主体感を低下させるというのが定説でしたが、本研究はこれに異議を唱える結果となっています。 図2.運動主体感の感受性の変化 自分の運動か判断できる絶妙なラインでの到達運動の繰り返し経験は、自己の運動制御にほどよい注意をもたらし、運動主体感の感受性をむしろ上げたのではないかと考えられます。これはリハビリテーションにおける運動課題の難易度を設定する上で重要なキーワードとなる可能性があります。運動課題をできるかできないかという視点のみならず、その運動が自己のもと判断できるかどうかという視点も合わせて考慮することで運動学習効果やリハビリテーション効果に寄与するかもしれません。 本研究の臨床的意義および今後の展開 本研究成果によって、運動主体感の可塑的変化の可能性について言及することができました。 今回は短時間での変化でしたが、この継続効果などを検証する必要があります。 論文情報 Kazuki Hayashida, Mizuho Mishima, Miho Ohnishi, Daito Iyanaga, Wen Wen, Shu Morioka Near the self–other discrimination threshold, experience of goal-oriented movement increases the sensitivity of the sense of agency Acta Psychol (Amst). 2026 May 21;267:107095 問い合わせ先 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 客員研究員 林田一輝   畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 教授 森岡 周 Tel: 0745-54-1601 Fax: 0745-54-1600 E-mail: s.morioka@kio.ac.jp

2026.06.01

進行期パーキンソン病患者における足こぎ車椅子と手動車椅子の持久性および効率性:予備的研究~ニューロリハビリテーション研究センター

進行期パーキンソン病(Parkinson’s disease: PD)患者では、歩行能力の低下により車椅子が必要となります。手動車椅子では直進駆動や方向転換が困難となり、移動が制限される場合がありますが、足こぎ車椅子ではペダリング動作とジョイスティック操作によりそれらの制約が軽減され、効率的かつ持続的な駆動が可能となる可能性があります。しかし、その有用性はこれまで客観的に検証されていませんでした。畿央大学大学院博士後期課程の金蔵満百合氏と岡田洋平教授らは、進行期PD患者を対象に、6分間駆動テストを用いて足こぎ車椅子と手動車椅子の持久性および効率性を比較しました。その結果、足こぎ車椅子は、方向転換を含む走行路において、手動車椅子よりも長距離を効率的に移動できる可能性が初めて示されました。本研究成果はJournal of Movement Disorders誌(Endurance and Efficiency of Cycling and Manual Wheelchairs in Late-Stage Parkinson’s Disease: A Preliminary Study)に掲載されています。 研究概要 進行期パーキンソン病(Parkinson’s disease: PD)では、歩行能力の低下により車椅子での移動が必要となります。手動車椅子では直進駆動や方向転換が困難で、移動が制限される場合がありますが、足こぎ車椅子はペダリング動作とジョイスティック操作によりそれらの制約が軽減され、効率的で持続的な駆動が可能となる可能性があります。しかし、進行期PDにおいて方向転換を含む連続的な移動におけるそれらの比較検証は行われていませんでした。畿央大学大学院博士後期課程の金蔵満百合氏と岡田洋平教授らの研究チームは、Hoehn and Yahr stage 4~5の進行期PD患者9名を対象に、足こぎ車椅子と手動車椅子の持久性および効率性を比較する予備的研究を実施しました。対象者は、方向転換を含む走行路で、足こぎ車椅子と手動車椅子の両方による6分間駆動テストを実施し、総駆動距離、駆動速度、心拍数の変化量、効率性の指標であるPhysiological Cost Index(PCI)を評価しました。PCIは、心拍数の変化量を駆動速度で除して算出しました。 その結果、すべての対象者で、足こぎ車椅子は手動車椅子と比較して、6分間の総駆動距離と駆動速度が有意に高値を示しました。一方で、駆動前後の心拍数の変化量や主観的疲労感には有意差を認めず、より長距離かつ効率的な移動を可能にすることが示されました。 これらの結果から、進行期PD患者において、足こぎ車椅子は、方向転換を含む走行路で持久性と効率性の高い移動手段である可能性が初めて示されました。今後は、対象者数を増やした検証や、生活場面における実際の使用効果を明らかにする研究が期待されます。 本研究のポイント ■進行期パーキンソン病患者9名を対象に、方向転換を含む屋外走行路で、手動車椅子と足こぎ車椅子による6分間駆動テストを実施し、車椅子駆動における持久性と効率性を比較しました。持久性は総駆動距離と駆動速度で評価し、効率性は心拍数の変化量を駆動速度で除して算出されるPhysiological Cost Index(PCI)で評価しました。 ■足こぎ車椅子では、手動車椅子と比較して総駆動距離と駆動速度が大きく、方向転換を含む連続的な走行において、より長距離の移動が可能であることが示されました。Hoehn and Yahr stage 5の患者に限定した解析でも、同様に足こぎ車椅子で駆動距離と速度が大きい傾向が示されました。 ■足こぎ車椅子では、駆動効率を示すPCIが手動車椅子と比較して低く、より効率的な移動が可能であることが示されました。一方で、心拍数の変化量や主観的疲労感には有意差を認めず、足こぎ車椅子は心負荷や疲労感を増大させることなく、進行期PD患者の自律的な移動や生活範囲の拡大に貢献する可能性が示されました。) 研究内容 本研究は、進行期パーキンソン病(Parkinson’s disease: PD)患者における足こぎ車椅子および手動車椅子の持久性と効率性を比較検証することを目的とした予備的研究です。Hoehn and Yahr stage(HY) 4~5の進行期PD患者9名を対象に、足こぎ車椅子と手動車椅子の6分間駆動テストを実施しました。本研究では、屋外の平坦な走行路において、方向転換を含む条件で計測を行いました。すべての対象者は、より症状の軽い側へ方向転換する条件で走行を開始しました。持久性の指標として総駆動距離と駆動速度を評価し、効率性の指標として、心拍数の変化量を駆動速度で除して算出されるPhysiological Cost Index(PCI)を用いました。足こぎ車椅子はペダリングにより駆動し、対象者は利き手でジョイスティックを操作して方向転換しました(図1)。 図1:走行路および手動車椅子と足こぎ車椅子 その結果、足こぎ車椅子は手動車椅子と比較して、方向転換を含む走行路において、より長距離かつ効率的な移動を可能にすることが明らかになりました。一方で、心拍数の変化量や主観的疲労感には有意差を認めず、足こぎ車椅子は心拍数の上昇や疲労感を増大させることなく、より長距離の移動を可能にすることが明らかになりました。 図2:手動車椅子と足こぎ車椅子における総駆動距離および心拍数の変化量,駆動効率の比較 さらに、HY stage 5の6名のPD患者においても、足こぎ車椅子では手動車椅子と比較して駆動距離と駆動速度が大きく、PCIが低い傾向が示されました。これらの結果は、歩行能力が著しく低下した進行期PD患者においても、足こぎ車椅子がより長距離かつ効率的な移動を可能にすることを示唆しています。   以上より、進行期PD患者において、足こぎ車椅子は、手動車椅子と比較して持久性および効率性の高い移動手段である可能性が示され、今後は、対象者数を増やした検証や、生活場面における実際の使用効果を明らかにする研究が期待されます。 本研究の臨床的意義および今後の展開 本研究結果は、進行期PD患者における足こぎ車椅子および手動車椅子の持久性と効率性を明らかにし、移動手段が限られる進行期PD患者の自律的な移動や生活範囲の拡大を支援する上で重要な知見であると考えます。今後は、足こぎ車椅子の実生活場面での有用性を検証するとともに、手動車椅子における運動学的な特性についても検討し、進行期PD患者に適した車椅子移動支援のあり方を進めていく予定です。 論文情報 Mayura Konzo, Masaru Narita, Masaki Naito, Ayumi Ide, Taiyo Kai, Dai Wakabayashi, Wataru Fujita, Tomohiro Shibata, Yohei Okada Endurance and Efficiency of Cycling and Manual Wheelchairs in Late-Stage Parkinson’s Disease: A Preliminary Study J Mov Disord. 2026 Apr;19(2):203-207. 問い合わせ先 畿央大学大学院健康科学研究科 博士後期課程 金蔵満百合   畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 教授 岡田 洋平 Tel: 0745-54-1601 Fax: 0745-54-1600 E-mail: y.okada@kio.ac.jp

2026.05.29

鉢の植え替え作業を実施しました!~園芸サークル活動報告~

こんにちは、園芸サークルです。   K棟2階の廊下で育てている植物「ユッカ」が、日当たりの良さのおかげでぐんぐん成長しています。 今の植木鉢ではちょっと窮屈そうになってきたので、園芸サークルで植え替え作業を行いました。     当日は、みんなで土を入れ替えたり、根をほぐしたりしながら、ユッカがもっと伸び伸び育てるようにお引っ越しです。   作業中は「こんなに根が伸びてたんだ」「鉢が小さかったんだね」などの声もあがっていました。   新しい鉢に移ったユッカは、とても気持ちよさそう。 これからどんなふうに成長していくのか楽しみです。       ▶園芸サークルが写っている「1分でわかる畿央大学」ムービー どんなクラブ・サークルがあるの?サークル編|1分でわかる畿央大学#58

2026.05.28

NHK奈良放送局「ならナビ」の取材を受けました!~健康栄養学科・ヘルスチーム菜良

2026年5月19日(火)、帝塚山大学にて本学のヘルスチーム菜良の学生が、NHK奈良放送局「ならナビ」による「4大学対抗ピザバトル」の取材を受けました。 ヘルスチーム菜良とは 管理栄養士養成課程を持つ4年制大学(畿央大学・近畿大学・帝塚山大学・奈良女子大学)で構成されており、食育啓蒙活動に取り組んでいます。   学生が発案したピザを紹介! 取材では学生が発案した「自然な甘さ広がる林檎と大和丸なすのデザートピッツァ」についてお話しさせて頂きました。     ピザは2026年6月13日(土)、14日(日)にイオン大和郡山店「大和郡山フェア」で開催される「4大学対抗ピザバトル」にて販売させていただきます。 ▶昨年度の様子はこちら 取材では、大和丸なすをバターで炒めるところや林檎を切るところなど実際に調理しているところや大和丸なすを使った「自然な甘さ広がる林檎と大和丸なすのデザートピッツァ」の魅力やこのピッツアのPRポイントなどのインタビューを撮影して頂きました。   ▼取材の風景     今回の取材内容は、2026年6月5日(金)18時半~19時のNHK奈良放送局「ならナビ」で放送を予定しております。私たちの開発したピッツアの工夫点と大和丸なすの魅力が多くの人に伝わると嬉しく思います! 健康栄養学科 3回生 柳瀬 美羽 関連記事 第2回みどり戦略学生チャレンジ近畿大会で「優秀チャレンジ賞」を受賞!~健康栄養学科 学園祭で販売するドーナツの試作を行いました! ~ 【ヘルスチーム菜良×TORICO】 ならコープ「らくらくお料理パック」商品開発2025が始まります!~ 健康栄養学科 【畿央大学×家族亭】香芝サービスエリア「新メニュー開発コンテスト」を開催!~健康栄養学科 「4大学対抗ピザバトル」でイオン賞を受賞 〜 健康栄養学科・ヘルスチーム菜良 ~ 奈良テレビ放送「ならフライデー9」に出演し、「ならいちばのキッチン親子料理教室」を紹介!~ 健康栄養学科 第21回「ならいちばのキッチン親子料理教室」を開催!~健康栄養学科×奈良県中央卸売市場      

2026.05.28

『認知症ケア論』で課題の成果発表プレゼンテーションを実施! ~ 看護医療学科

こんにちは、看護医療学科の桧山です。 今回は看護医療学科 1回生の選択科目「認知症ケア論」で行われた、学生たちによる熱意あふれるプレゼンテーションの様子をお届けします。 認知症ケアにおける「非薬物療法」とは? 認知症の治療やケアにはお薬に頼る方法だけでなく、「非薬物療法」というアプローチがあります。これは、患者さんのこれまでの生活、大切な気持ち、得意なことや趣味を尊重しながら行う関わりや活動のことです。   具体的には、以下のようなものが挙げられます。 音楽療法(懐かしい歌を歌う、楽器を鳴らすなど) 園芸療法(植物を育てる、土に触れるなど) アロマテラピー(香りでリラックスを促すなど)…など。 今回の講義では、学生たちがそれぞれ興味のあるテーマを自主的に調べ、発表を行いました。 発表のテーマと、初めての挑戦   学生たちは、以下の3つのポイントを中心にスライドをまとめました。 その療法がどのようなものか 期待される効果 看護に取り入れる上での注意点や、患者さんとの関わり方     実は、1回生ということもあり、「初めてパワーポイントを作った!」「人前でプレゼンするのは初めて!」という学生も少なくありませんでした。しかし、いざ発表が始まると、教員の期待を遥かに超えるクオリティに驚かされました。写真や動画を効果的に取り入れた個性豊かなスライドを作成し、自分たちが調べてきた成果を、熱意を込めて一生懸命に伝えてくれました。       発表後の意見交換(ディスカッション)も活発に行われ、お互いの発表からさらに学びを深めている様子が印象的でした。 教員から見た学生たちの頼もしい姿 一生懸命に、そして楽しそうに取り組む学生たちの姿を見て、私たち教員も「こんなに素晴らしい力を持っているんだ」と、嬉しさと頼もしさで胸がいっぱいになりました。     発表を終えた学生たちからは、「次はもっとこうしてみたい!」という前向きな振り返りの声が早くも聞かれ、次へのステップに向けた成長の兆しがうかがえました。認知症の方が、その人らしく価値ある人生を送るために、看護師として何ができるのか、これからも授業を通して、実践的であたたかいケアの方法を一緒に学んでいきましょう!   看護医療学科 講師 桧山 美恵子 関連記事 「海外インターンシップ」発表会を実施しました ~ 看護医療学科 2026年度 新入学生研修 学科別レポート ~看護医療学科 2026年度看護医療学科「へき地医療体験実習」がスタートしました! オレンジリングに込める、私たちの決意 ~ 看護医療学科「認知症ケア論」 「その人らしさ」を支える看護の可視化「生活機能関連図」作成演習~看護医療学科「老年看護学援助論Ⅱ」 看護医療学科  

2026.05.27

無印良品イオンモール橿原「あさかつ2nd」スピンオフ企画 ~無印良品で整うカラダチェック&簡単レシピ~開催!

畿央大学では、昨年10月から「無印良品 イオンモール橿原」で開催されている地域のみなさんと一緒に健康づくりに取り組む「あさかつ」に協力しています。広い店内を利用して、畿央大学の学生と教員が、軽い運動や血圧・体組成計測など測定器などを行い、その後は無印良品の食材を使って開発したスープレシピを紹介・ご試食などを行いました。 2026年度は、第2クールとして、「あさかつ2nd」としてこの取り組みを発展させ開催します。健康栄養学科の教員と学生は、「あさかつ2nd」スピンオフ企画として「食」を通じて健康についてともに考える企画を開催します。前期は、4/30、5/21、6/4、7/9(すべて木曜日)の4回で、2ヵ月ごとにテーマを変え、栄養学に基づいて学生が考えたレシピを月替わりでご試食いただけます。6月・7月のテーマは、「骨に良い食事」です、申込お待ちしています。 日時 6/4(木)16:20~17:10 ※受付は16:20~ 定員 先着15名 場所 無印良品 イオンモール橿原 〒634-0836 奈良県橿原市新堂町241番地1ウエスト・ビレッジ 申込 無印良品HPよりお申し込みください 申込フォームはこちら     イベントチラシ   申込フォームはこちら   昨年度の様子 無印良品あさかつレポート 第1弾「いきいき!ウォーキング、野菜スープ試食会」 無印良品あさかつレポート 第2弾「呼吸と姿勢で整うチェアヨガ」 無印良品あさかつレポート第3弾 「爽やかモーニングストレッチ」「おくらと生姜のスープ試食」 無印良品あさかつレポート第4弾 代謝アップでぽかぽか!冬の「筋トレ&コンボウォーク」 無印良品あさかつレポート第5弾 「効果実感!肩こり・腰痛予防のためのダイナミックストレッチ&きおまる」 無印良品あさかつレポート第6弾「からだも心も軽くなる!音楽に合わせて 楽しく健康づくり」を開催!

2026.05.27

発達性協調運動症を有する児の運動イメージ能力の低下を2種類の課題で確認~ニューロリハビリテーション研究センター

運動イメージ(motor imagery: MI)とは、実際の運動を伴わず、運動を脳内でシミュレーションする認知過程のことをいいます。MIは、運動の計画、調整、実行のイメージも含み、これらの点で実際の運動と機能的に同等であると考えられています。先行研究において、2種類のMI課題(手の左右識別課題と両手結合課題)を用いた研究では、年齢が増加するほどMI能力が向上することが分かっていますが、これらの課題を用いた発達性協調運動症(Developmental Coordination Disorder: DCD)を有する子どものMI能力については、十分に検討されていませんでした。畿央大学大学院博士後期課程の橋添健也氏、信迫悟志教授らの研究チームは、2種類のMI課題を用いて、DCDを有する児のMI能力を詳細に検討しました。この研究成果はExperimental Brain Research誌 (Impaired motor imagery in children with developmental coordination disorder: task-specific deficits and links to ADHD and ASD traits)に掲載されています。 本研究のポイント ■DCD児では、両方のMI課題においてMI能力の低下がみられた。 ■HLR課題の正答率は、DCDQおよびADHDの不注意特性と関連していた。 ■BC課題のICEは、ASD特性と関連していた。 ■DCD児では、MIを想起できるものの、その質は低下していることが示された。 研究概要 本研究では、6~11歳のDCD児と定型発達児(Typical Developing: TD)を対象に、子どもたちがどれだけ正確に手のMIを想起できるかを評価するため、2種類のMI課題を実施しました。1つ目は、最も代表的なMI課題である手の左右識別(hand laterality recognition: HLR)課題(図1)で、モニター上に提示されるさまざまな角度・向きの手の画像を見て、それが左手か右手かをMIを用いて判断するものです。この課題では、正反応時間(RT)や正答率、RTを正答率で除したMI効率に加えて、生体力学的制約(身体の動きにくさ)効果や手の姿勢の効果の有無を指標とし、子どもたちのMI使用の程度を測定しました。2つ目は、両手結合(bimanual coupling: BC)課題(図2)で、次の3条件が含まれます。 ・片手条件:利き手でまっすぐな線を繰り返し描く。 ・両手条件:利き手でまっすぐな線を描きながら、他方の手で同時に円を描く。 ・MI条件:利き手でまっすぐな線を描きながら、非利き手で円を描いているところを頭の中でイメージする(実際には非利き手を動かさない)。 BC課題では、利き手で描いた反復直線を計測し、各条件で描かれた線の歪みの程度を楕円化指数(ovalization index: OI)として算出しました。特に、MI条件のOIから片手条件のOIを減算した値(イメージ干渉効果:Imagery Coupling Effect: ICE)は、MIが適切に想起できていることの定量指標となります。さらに、4つの質問紙(Developmental Coordination Disorder Questionnaire日本語版: DCDQJ; Social Communication Questionnaire: SCQ; Attention Deficit/Hyperactivity Disorder Rating Scale-IV: ADHD-RS-IV; Depression Self-Rating Scale for Children: DSRS-C)を用いて、DCD児のDCD、注意欠如多動症(ADHD)、自閉スペクトラム症(ASD)といった神経発達症の特性および抑うつ特性とMIとの関連性も検討しました。     研究内容 6~11歳の子ども(DCD群15名、TD群15名)を対象に、HLR課題とBC課題を実施しました。得られたデータは、DCD群とTD群の群間比較、それぞれの群内での相関分析、HLR課題におけるRT、正答率、MI効率の比較、およびBC課題における片手条件、両手条件、MI条件の群内比較を通じて、DCD児のMI能力を検討するために用いられました。   HLR課題 群内比較では、TD群においてRT、正答率、MI効率のすべてで生体力学的制約効果を認めましたが、DCD群ではRTとMI効率においてのみ認めました(図3)。また、手の姿勢の効果はTD群にのみ認めました(図4)。     図3.生体力学的制約効果   図4.手の姿勢の効果   群間比較では、正答率とMI効率において、DCD群がTD群よりも有意にパフォーマンスが低いことが示されました(図5)。さらに、DCD群において、正答率とDCD特性およびADHDの不注意特性との間に有意な相関関係を認めました。   図5.HLR課題の群間比較結果   BC課題 ICE(BC課題におけるMI能力の指標)についても、DCD群がTD群よりも有意にパフォーマンスが低いことが示されました(図6)。加えて、DCD群において、ICEとASD特性との間に有意な相関関係を認めました。 図6.BC課題の群間比較結果   これらの結果から、DCD児はMIを想起できているものの、その能力は低いことが示されました。また、HLR課題では、視覚刺激がDCD児のMI想起の手がかりとして機能した可能性が示唆されました。それに対し、BC課題では、視覚刺激を用いずにMIを想起することに加え、利き手で反復直線を描きながら、非利き手で円運動を行うイメージをするといった二重注意課題であるため、BC課題の難易度の高さがパフォーマンスの低下に影響した可能性も考えられました。 本研究の臨床的意義および今後の展開 DCD児のMI能力を測定する際には、DCD特性およびADHDの不注意特性が強い子どもにはHLR課題、ASD特性が強い子どもにはBC課題を用いることで、より感度高く測定できる可能性が示唆されました。 MI能力は、前述の通り、実際の運動と認知プロセスのうえで同等の機能を有すると考えられているため、協調運動に困難さを呈するDCD児への評価において、HLR課題やBC課題が有用である可能性があります。また、リハビリテーションにおける介入効果の評価や、運動学習支援への応用も期待されます。 論文情報 Hashizoe K, Nakai A, Nobusako S. Impaired motor imagery in children with developmental coordination disorder: task-specific deficits and links to ADHD and ASD traits. Exp Brain Res. 2026 Mar 17;244(4):73. doi: 10.1007/s00221-026-07265-2.   ・関連する先行研究 Nobusako S, Tsujimoto T, Sakai A, Yokomoto T, Nagakura Y, Sakagami N, Fukunishi T, Takata E, Mouri H, Osumi M, Nakai A, Morioka S. The use of motor imagery in 6-7-year-old children is not robust: Evidence from two motor imagery tasks. Hum Mov Sci. 2025 Jun;101:103362. doi: 10.1016/j.humov.2025.103362. 問い合わせ先 畿央大学大学院健康科学研究科 博士後期課程 橋添 健也   畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 畿央大学健康イノベーション教育研究センター 教授 信迫 悟志 Tel: 0745-54-1601 Fax: 0745-54-1600 E-mail: s.nobusako@kio.ac.jp

2026.05.27

転倒歴のある高齢者を姿勢のゆらぎから捉える-重心動揺の時間的構造に着目した探索的研究~ニューロリハビリテーション研究センター

高齢者の転倒は、けがや活動量の低下、生活の自立度の低下につながる重要な課題です。これまで、重心動揺計を用いた評価では、動揺の大きさや速度などの量的指標が主に用いられてきました。しかし、姿勢制御の変化は、「揺れの大きさ」のみでは十分に捉えられない可能性があります。畿央大学大学院博士後期課程の若林汰氏と岡田洋平教授らは、公開データを用いて高齢者の重心動揺データを解析し、従来の線形指標に加えて、ゆらぎの複雑性や規則性を示す非線形指標を算出しました。さらに、これらの指標と転倒歴との関連を検討しました。この研究成果はSensors誌 (Non-linear Center-of-Pressure Features Associated with Fall History in Older Adults: An Exploratory Analysis)に掲載されています。 本研究のポイント ■高齢者の重心動揺データを用いて、転倒歴と姿勢動揺指標との関連を探索的に検討した。 ■従来の動揺速度や動揺面積に加えて、マルチスケールエントロピーや再帰定量化分析など、姿勢動揺の時間的構造を示す非線形指標を解析した。 ■単一の指標では明確な群間差は認められなかったが、探索的な多変量解析では、非線形指標が転倒歴に関連する情報を補足する可能性が示唆された。 研究概要 高齢者の転倒は、骨折や活動量の低下、生活の質の低下につながる重要な健康課題です。転倒リスクを評価する方法の一つとして、立位時の重心動揺を測定する方法があります。従来は、重心の移動距離、動揺速度、動揺面積など、主に「どれだけ大きく揺れているか」を示す量的指標が用いられてきました。しかし、姿勢制御は視覚、前庭感覚、体性感覚、筋骨格系など複数の要素が相互に関わる動的な制御過程であるため、同じような揺れの大きさであっても、その背景にある制御戦略は異なる可能性があります。 そこで本研究では、公開されている高齢者の重心動揺データを用いて、転倒歴のある高齢者と転倒歴のない高齢者を比較しました。解析では、従来の線形指標に加えて、マルチスケールエントロピー、再帰定量化分析、フラクタル次元、Stabilogram Diffusion Analysis,Sway Density Curveなど、姿勢動揺の時間的構造や複雑性を捉える非線形指標を算出しました。また、年齢や身体特性、疾患、服薬状況などの背景因子の影響をできるだけ調整するため、傾向スコアマッチングを用いた解析も行いました。その結果、マッチング後の単一指標の比較では、転倒歴の有無による有意な差は認められませんでした。一方で、SHAPを用いた探索的な多変量解析では、姿勢動揺の時間的構造や複数の時間スケールに関わる非線形指標がモデル出力に比較的大きく関与する傾向が示されました。これは、転倒歴に関連する情報が、単一の動揺量指標として明確に現れるのではなく、複数の指標を組み合わせた姿勢制御の「質的な特徴」として反映される可能性を示すものです。 研究内容 本研究では、高齢者の転倒歴と立位姿勢動揺との関連を検討することを目的に、公開されている重心動揺データベースを用いました。対象は60歳以上の高齢者で、過去12か月間の転倒歴に基づき、転倒歴あり群と転倒歴なし群に分類しました。解析対象は、硬い床面上での開眼条件および閉眼条件における60秒間の静止立位データとしました。 まず、重心動揺の大きさやばらつきを評価するため、平均動揺速度、95%信頼楕円面積、前後方向・左右方向の速度、速度の標準偏差などの線形指標を算出しました。次に、姿勢動揺の時間的構造を評価するため、マルチスケールエントロピー、再帰定量化分析、フラクタル次元、Stabilogram Diffusion Analysis、Sway Density Curveなどの非線形指標を算出しました。これにより、単なる動揺量だけでなく、動揺がどのような時間的パターンで変化しているのかを評価しました。 背景因子の影響を調整するため、年齢、性別、BMI、ADL、疾患の有無、服薬数、障害の有無、装具使用の有無を用いて傾向スコアマッチングを行いました。その結果、マッチング後の単一指標の比較では、開眼・閉眼条件ともに、転倒歴の有無による有意な差は認められませんでした。一方で、SHAPを用いて各指標がモデル出力にどの程度寄与しているかを検討した結果、動揺速度などの従来指標に加えて、マルチスケールエントロピーや再帰定量化分析など、姿勢動揺の時間的構造を反映する非線形指標が比較的高く寄与する傾向が示されました(図1)。研究グループは、転倒リスクに関わる姿勢制御の特徴は、単一の指標では捉えにくく、動揺量と時間的構造を組み合わせて評価する必要があると考察しています。   図1.SHAP解析による姿勢動揺指標の寄与と安定性 本研究の臨床的意義および今後の展開 本研究の臨床的意義は、高齢者の転倒歴に関連する姿勢制御の特徴を捉えるうえで、従来の動揺速度や動揺面積などの量的指標だけでなく、姿勢動揺の複雑性や規則性といった「ゆらぎの質」に着目する重要性を示した点にあります。一方、本研究は公開データを用いた探索的解析であり、対象者数や転倒歴の情報には限界があります。そのため、本結果は臨床で直ちに使用できる判定指標を示すものではなく、今後の大規模研究に向けた仮説生成的知見として位置づけられます。 論文情報 Wakabayashi D, Okada Y. Non-Linear Center-of-Pressure Features Associated with Fall History in Older Adults: An Exploratory Analysis. Sensors (Basel). 2026 Apr 8;26(8):2298. 問い合わせ先 畿央大学大学院健康科学研究科 博士後期課程 若林 汰 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 教授 岡田 洋平 Tel: 0745-54-1601 Fax: 0745-54-1600 E-mail: y.okada@kio.ac.jp ページト

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