すべての新着情報一覧
2025.06.25
筋肉かるたで“知識”と“絆”を強化!~ 理学療法学科 2・3回生交流会レポート ~
理学療法学科2・3回生の交流会を開催! 理学療法学科では、2・3回生を対象にした特別交流イベントを開催しました。この企画は1回生歓迎のための交流会とは異なり、“知識を実践へとつなげるステージ”にいる上級生同士の学び合いを目的としたものです。国家試験や実習を意識しながら、学年の垣根を越えて互いに成長し合える、理学療法学科ならではの企画となりました。 白熱の「筋肉かるた」バトル イベントの中心はオリジナル競技の“筋肉かるた”!でした。 筋肉の起始・停止、作用、運動学など、理学療法士に欠かせない知識が詰まったこのかるたは、楽しさの中にしっかりとした学びが盛り込まれています。 ゲームは、2・3回生混合チームでの対抗戦形式で、筋肉を特定するための間違えそうなな3つのキーワードをたよりに素早く反応し、該当する札を取り合います。「早とちりで間違えると、お手付きで一回休み」ルールもあり、優勝チームは学科長からいただいた高級お菓子がゲットできるとあって、白熱した競技となり、3回生同士でも凄絶な札の奪い合いがみられました!! また、ペアを組んだ先輩が後輩にアドバイスをしながらサポートする場面もあり、知識だけでなく信頼関係も深まったのではないかと思います。 「茶話会」で絆を深めました! ゲームのあとは、チームに分かれて茶話会を実施しました。実習の体験談や試験に向けた勉強方法、日々の学習リズムなど、3回生の“リアルな声”を聞ける貴重な時間となりました。 今まであまり接点がなかった2回生たちにとっても、気軽に相談できる雰囲気がありました。2回生にとっては、1年後の自分の姿を思い描きながら、今後の学びに向けた具体的な目標を持つ機会となったのではないかと思います。 参加した2回生の声 ● 「3回生の先輩方と楽しく筋肉かるたをしたり、テストや勉強のことについてお話をしたりすることができ、とても有意義な時間を過ごすことができました。これから色々なテストが控えていますが、先輩方もこのテストを乗り越えたのだと考え、自分なりに前向きに頑張って行こうと思います!」 ● 「3回生の先輩方と様々な企画を通して交流することができ、とても貴重な時間となりました。特に筋肉かるたでは、先輩方の凄さを改めて実感し、モチベーションアップにつながりました。その他、勉強方法などもたくさん教えていただいたので、これから実践していきたいと思います!」 今回のイベントを通して・・・ 2回生は、基礎知識の定着から実践へ、3回生は、知識の再確認と後輩への支援、という2・3回生の双方向の学びだけではなく、先輩への憧れ/先輩としての覚悟という成長を刺激する機会になったのではないかと思います。 今後も理学療法学科では、こうした学びの循環を大切に、学生一人ひとりの成長を支えていきたいと思います。 理学療法学科 教授 冷水 誠 准教授 松本 大輔 関連記事 中国の理学療法、リハビリテーション事情について~理学療法学科 第15回「やさしさをチカラに変える次世代リーダー育成セミナー」 1回生・2回生交流会を開催しました ~ 理学療法学科 ~ TASK(健康支援学生チーム)活動レポートvol.97~新入生対象説明会&歓迎会を開催!
2025.06.25
脳卒中後失行症における感覚−運動統合の障害と保持された明示的行為主体感の乖離~ニューロリハビリテーション研究センター
脳卒中後にみられる四肢失行は、運動麻痺や感覚障害がないにもかかわらず、意図的な行為が困難になる高次脳機能障害の一つです。この障害の背景の一部には、運動と感覚の統合の不具合、すなわち「感覚−運動統合」の破綻があるとされていますが、それがどのように「自分が自分の行為を引き起こしている」という感覚(=行為主体感、Sense of Agency: SoA)に影響するかは不明でした。畿央大学大学院の信迫悟志 教授、森岡周 教授らは、嶋田総太郎 教授(明治大学)、前田貴記 講師(慶應義塾大学)らと共同で、左半球脳卒中患者を対象に、「感覚−感覚統合」および「感覚−運動統合」の時間的な処理幅(=時間窓)と、明示的なSoAの時間窓を比較する実験を実施しました。その結果、失行を有する患者では「感覚−運動統合」の時間窓が著しく歪んでいる(=遅延検出が困難)一方で、明示的なSoAの時間窓は保持されていることが示されました。この研究成果は、Frontiers in Human Neuroscience誌(Distorted time window for sensorimotor integration and preserved time window for sense of agency in patients with post-stroke limb apraxia)に掲載されています。 本研究のポイント 失行症を有する患者では、「自己運動」と「視覚フィードバック」との時間的一致/不一致を検出する能力(=感覚−運動統合の時間窓)が著しく歪んでいた。 一方で、「受動運動」と「視覚フィードバック」との時間的一致/不一致を検出する能力(=感覚−感覚統合の時間窓)と「自分の行為によってその結果が生じた」と明示的に感じられる時間幅(=明示的SoAの時間窓)は保持されていた。 感覚−運動統合の時間窓の歪みは失行の重症度と有意に相関していたが、感覚−感覚統合の時間窓や明示的SoAの時間窓にはそのような相関は認められなかった。 感覚−運動統合の破綻とSoAの保持という乖離は、失行患者において高次の認知的補償機構(メタ認知や概念的推論)が働いている可能性を示唆する。 研究概要 脳卒中後にみられる失行症は、運動麻痺や感覚障害がないにもかかわらず、日常生活上の様々な意図的な動作(ジェスチャー、パントマイム、模倣、道具使用)が困難となる高次脳機能障害です。その背景には、自己の運動と感覚的な結果との統合(感覚−運動統合)の障害があるとされますが、それが「自分の行為によって結果が生じた」と感じる意識経験(SoA)にどのような影響を及ぼすかは明らかではありませんでした。 本研究では、左半球脳卒中後の患者を対象に、感覚−感覚統合、感覚−運動統合、および明示的なSoAの時間窓を定量的に測定する2つの心理物理課題を実施し、その関連性を検討しました。その結果、感覚−運動統合にのみ障害がみられた一方で、SoAの時間窓は保たれており、SoAにおける高次認知的補償機構の存在が示唆されました。 研究内容 本研究では、左半球脳卒中患者20名(失行群9名、非失行群11名)を対象に、2つの心理物理課題を用いて、感覚-感覚/感覚-運動統合と明示的SoAの時間窓を比較検討しました。失行の有無はApraxia screen of TULIA (AST)により評価されました。 遅延検出課題: この課題では、参加者には、左示指の受動運動および能動運動に対するその映像フィードバックの遅延を検出してもらいました。映像遅延は0〜600msまでの7段階(100ms刻み)で設定され、各条件下で遅延の有無を強制選択で回答してもらいました(図1)。 その結果、失行群では能動運動に対する視覚フィードバックの遅延を検出する感覚−運動統合の時間窓(能動-DDT)が有意に延長しており(遅延検出が困難),その判断の明瞭さ(能動-steepness)も緩やかであることが示されました。一方で、受動運動に対する視覚フィードバックの遅延を検出する感覚−感覚統合の時間窓(受動-DDT)とその判断の明瞭さ(受動-steepness)には群間差が認められませんでした(図3、図4)。 図1. 遅延検出課題 明示的SoA課題: この課題では、参加者のボタン押しによって、画面上の正方形の図形(□)がジャンプします。ただし、実際にはボタンを押してから□がジャンプするまでに、0〜1000ミリ秒の間で設定された11(100ms刻み)遅延がランダムに挿入されます。各試行の後、参加者は「自分のボタン押しによって□がジャンプしたと感じたかどうか」について、“はい/いいえ”で主観的に回答します。この回答をもとに、どの程度の時間的遅延まで「自分のボタン押しが□ジャンプの原因である」と感じられるか、すなわちSoAが保たれる時間幅(=SoAの時間窓)を定量的に評価しました(図2)。 その結果、失行群と非失行群の間で、SoAの時間窓(PSE)や判断の明瞭さ(SoA-steepness)に有意差は認められず、明示的なSoAは保持されていることが示されました(図3、図4)。 図2. 明示的SoA課題 ※Keio Method: Maeda T. Method and device for diagnosing schizophrenia. International Application No.PCT/JP2016/087182. Japanese Patent No.6560765, 2019. 図3. 遅延検出確率曲線と明示的SoA判断曲線 図4. 群内・群間比較結果 本研究の臨床的意義および今後の展開 本研究は、脳卒中後失行症を呈した患者において、感覚−運動統合に明らかな障害がある一方で、明示的なSoAは保持されているという乖離を、初めて実証的に示しました。この結果は、SoAが単一の過程ではなく、低次の感覚−運動レベル(予測誤差の検出など)から高次の認知的判断レベル(自己帰属の判断)までの階層的なプロセスで構成されているという近年の理論枠組みを支持するものです。とりわけ、低次レベルに障害があっても高次の判断が保持されうるという点は、SoAの可塑性や補償のあり方を理解するうえで重要な示唆を与えます。本研究は、失行という病態を通じて、ヒトにおけるSoAの生成メカニズムをより深く理解するための貴重な手がかりを提供するものです。 論文情報 Nobusako S, Ishibashi R, Maeda T, Shimada S and Morioka S. Distorted time window for sensorimotor integration and preserved time window for sense of agency in patients with post-stroke limb apraxia. Front. Hum. Neurosci. 2025. 問い合わせ先 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 畿央大学大学院健康科学研究科 教授 信迫悟志 Tel: 0745-54-1601 Fax: 0745-54-1600 E-mail: s.nobusako@kio.ac.jp
2025.06.24
日本リハビリテーション医学会学術集会に参加しました! ~ 健康科学研究科 瓜谷研究室
2025年6月13日(金)~14日(土)、国立京都国際会館で開催された第62回日本リハビリテーション医学会学術集会にて、ポスター発表を行いました。 今回の発表テーマは「変形性膝関節症患者の自律神経機能と痛み関連症状との関連性の検討」です。 本研究では、変形性膝関節症(OA)患者における心拍変動(HRV)を指標とした自律神経機能と、痛みに対する認知や機能障害との関連を明らかにすることを目的としました。 臨床の現場でも関心の高い「痛みのとらえ方」や「自律神経の状態」が、どのように影響し合っているかを探る内容であり、多くの先生方に関心を持っていただきました。 ポスター発表では、リハビリテーション科医師、理学療法士、作業療法士、研究者など様々な分野の方々からご意見・ご質問をいただき、非常に実りあるディスカッションをすることができました。中でも、自律神経機能と痛み認知の評価・介入について、現場での応用の可能性について多くのヒントを得ることができました。 また、昨年横浜で開催された学会でお食事をご一緒させていただいた三上教授(今大会の大会長)とも再会でき、とても有意義な時間を過ごすことができました。 ▼ 大会長の三上教授と指導教員の瓜谷教授と共に 今後も、臨床と研究をつなぐ活動を継続し、患者さんの生活の質(QOL)の向上に貢献できるよう努めてまいります。 健康科学研究科 博士後期課程 瓜谷研究室 山野 宏章 関連記事 畿央大学 運動器リハビリテーション学分野 瓜谷研究室 神経リハビリテーション学研究室の学生・教員が World Physiotherapy Congress 2025 で発表 ~ 健康科学研究科 地域リハビリテーション研究室の学生・教員が World Physiotherapy Congress 2025 で発表 ~ 健康科学研究科 第65回日本呼吸器学会学術講演会で『トラベルアワード』を受賞 ~ 健康科学研究科 変形性関節症に関する世界最大級の国際会議「OARSI 2025」参加レポート!~健康科学研究科瓜谷研究室
2025.06.19
TASK(健康支援学生チーム)活動レポートvol.98~東生駒地域包括支援センターを見学、健康増進のための畑カツも体験!
こんにちは。健康支援学生チーム※の理学療法学科3回生 中山と2回生 田子・渡部・岡崎です。 ※TASKは“Think, Action, Support for Health by Kio University”の略称です。学科の枠を超えて協力し合いながら地域住民の方々や畿央生の健康支援を目的として活動しています。 今回は東生駒地域包括支援センターとのコラボイベントへ向けた見学の内容・様子についてご紹介します。 生駒市東生駒地域包括支援センターの職員の皆さまがTASKの活動に関心を寄せてくださり、このたびコラボイベントの実施についてお声がけをいただきました! 今回はそのイベント前に「地域包括支援センター」についての知識を深めるために5月27日と6月10日の2回に分けて見学に行かせていただきました。 包括の方々からの歓迎を受け、まず見学では地域包括支援センター職員の方に地域包括支援とは、またその役割・業務内容・東生駒で行われている活動内容についてお話いただきました。 東生駒地域包括支援センターでは、活動の一環として畑活動や囲碁将棋教室・男性対象の筋トレなどさまざまな憩いの場づくりとともに健康増進を目的とした活動をされていました。 ▼東生駒包括の皆さんと筋肉ポーズ 生駒市役所介護保険課の方も来てくださいました! ▼ ケアプラン作成や介護予防のための取り組みなど業務の幅広さを実感! 今回私たちは実際に畑活動に参加し、また畑活動をされている高齢者の方とお話させていただきました。参加したメンバーが自分から積極的に地域の方々とコミュニケーションをとっている様子が見られ、とても有意義な時間を過ごせました。 ▼ 畑カツに参加しました! 不整地を歩く,しゃがむなど身体機能がかなり求められることを実感しました。 ▼ 畑までの道のりも坂道があり、理学療法士をめざす学生目線で思うことも色々ありました。 ▼ 2日目は雨のため畑カツはなし。代わりに包括で地域の方々との交流会ができました。 参加学生からのコメント ● コミュニケーションを通して気づいたこと、新たな視点が得られたのではないかと思います。そして授業では学ぶ機会の少ない地域包括支援について現地で見聞きすることで、知識を深められ、イベントへ向けての体操考案のヒントにもなったと感じています。 実際に生駒市に行き、地域包括支援センターの取り組みの一つである畑作業を地域の方々と一緒にしてきました。 自分にとって地域との関わりということを今まであまり意識したことがなく、今回経験したこと全てが新鮮でとても楽しい、充実した時間でした。この経験を、学内での勉強にも活かしていきたいと思います! 理学療法学科 2回生 田子 輝 ● 地域包括支援センターが行っている健康増進のための活動内容とその活動の一環として野菜を育てている地域の人達とお話させて頂きました。皆さんとお話していく中で野菜を作るために畑に行ったりするだけで運動になっていることや、交流の場になっていることを感じました。特にその時に作りたいと思ったものをすぐに反映して作っていたことを聞いて、意見をすぐ取り込めるような柔軟な関わり方が素敵だなと感じました。このような取り組みが体の健康だけでなく心の健康にも良い影響を及ぼしているのかなと思いました。 理学療法学科 2回生 岡崎 日菜乃 ● 東生駒地域包括支援センターを訪問し、包括支援センターの役割や地域での取り組みについて学ばせていただきました。実際に地域の高齢者の方々のお話を拝聴し、学内の講義では得られない多くの気づきがありました。特に印象に残ったのは、ある出来事をきっかけに家にこもりがちになった高齢者男性が、包括センターの自立支援を目標とした活動に参加することで、次第に元気を取り戻していかれたというお話です。今では、その活動のボランティアとして他の方々を支える側に回っておられるというお話を聞き、非常に心を打たれました。 「支援される側から支援する側へ」その変化は、本人の努力だけでなく、地域生活支援センターの丁寧で温かなサポートがあってこそ実現できたものだと思います。こうした取り組みは、地域に笑顔や感謝の輪を広げる原動力になっていると感じました。 今回の経験を通して、支援とは一方的なものではなく、関わり合いの中で人が成長し、前向きになっていけるものだということを改めて実感しました。私自身も今後、誰かの力になれる存在を目指して学び続けたいと思います。 理学療法学科 2回生 渡部 寧彩 ▼ 皆さんのお話を聞いて地域における包括支援センターの大切さを感じました 担当教員からのコメント ● TASKの通常の体力測定・健康チェックイベントとは異なり、施設見学および、スタッフ・地域の高齢者の方との交流する機会をいただきました。まだ授業では学んでいない地域包括支援センターの役割を、具体的な業務・活動やある方のストーリーを含めてご紹介いただき、印象に残ったのではないかと思います。 また、高齢者の方とフリートークのお時間では、学生も高齢者の方も少し緊張がみえましたが、スタッフの方のサポートをいただきながら、楽しくコミュニケーションができていました。 今回の活動は、地域包括支援センター、地域の高齢者の皆様のご厚意で、実現することができました。学生たちにとって、授業では経験できない貴重な時間を過ごすことができましたことに、改めて感謝申し上げます。 理学療法学科/ヘルスプロモーションセンター 准教授 松本 大輔 ● 9月には東生駒地域包括支援センターの担当圏域にてTASKオリジナルの介護予防教室を計画しています。普段実施されている「いきいき百歳体操」をTASKバージョンにアレンジするように現在,3回生メンバーを中心に頑張っています。体操の中に脳トレの要素を入れることができないか検討している様です。 我々教員は前に出過ぎず,学生達オリジナリティを尊重しながらサポートしていくつもりです。皆様応援してあげてください! 理学療法学科/ヘルスプロモーションセンター 教授 高取 克彦 ◆メールアドレス task@kio.ac.jp ◆ X(Twitter) @kio_task ◆ Instagram @kio_task TASK(健康支援学生チーム)活動レポートはこちらで詳しくご覧いただけます。
2025.06.19
パーキンソン病の起立動作能力低下に関連する臨床症状および生体力学的特性の解明~ニューロリハビリテーション研究センター
パーキンソン病(PD)患者の起立動作(Sit-to-Stand: STS)障害は、上肢補助なしで評価することにより、時間延長、起立失敗、離臀(りでん)失敗へと段階的に進行しますが、それぞれの段階に特異的な臨床症状および生体力学的要因は明らかにされていませんでした。畿央大学大学院博士後期課程の岩井將修氏と岡田洋平教授らは、PD患者と健常者を対象に、上肢補助なしでのSTS動作を床反力計により評価しました。その結果、STS動作の段階的な進行には、体重移動能力の段階的な低下が関連することを示しました。また、STS動作の遅延は、臀部加速などの生体力学的異常と関連し、起立失敗は下肢寡動や足部の早期減速と、また離臀失敗は、姿勢制御機能の低下が強く関連することも示しました。本研究により、PD患者のSTSの障害の早期の進行に伴い、主たる関連要因が変化することが初めて明らかになりました。これらの知見は、動作障害の段階に応じた評価と予防的介入の基盤となるため、臨床的意義が極めて高いものです。本研究成果はMovement Disorders Clinical Practice誌(Clinical and Biomechanical Factors in the Sit-to-Stand Decline in Parkinson’s Disease)(IF: 4.0)に掲載されました。 本研究のポイント パーキンソン病患者の上肢補助なしの起立動作(Sit-to-Stand: STS)を、成功群・起立失敗群・離臀失敗群に分類し、床反力計による生体力学的要因の評価と臨床評価により各段階の特徴を検討した。 STS能力の段階的な低下に伴い、体重移動能力も段階的に低下することが示された。 各段階には特異的な生体力学的要因や臨床症状が関与しており、時間延長には臀部加速の低下、起立失敗には下肢寡動と足部早期減速、離臀失敗ではバランス機能の低下が特に関与することが示された。 研究概要 パーキンソン病(Parkinson’s disease: PD)患者の起立(Sit-to-Stand: STS)動作の障害は、早期から段階的に進行することが知られていますが、各段階における臨床症状や生体力学的特性の違いは十分に解明されていませんでした。PD患者のSTS動作の障害の進行を予防するためには、早期の異常を的確に捉え、その関連要因について理解することは極めて重要です。 畿央大学大学院博士後期課程の岩井將修氏と岡田洋平教授らは、PD患者と健常高齢者を対象に、上肢補助なしのSTS動作を床反力計で解析しました。その結果、PD患者ではSTS動作能力が段階的に低下し、時間延長、起立失敗、離臀失敗へと進行すること、および各段階で異なる主因子が関与することを初めて明らかにしました。具体的には、STS動作の遅延には体重移動能力の低下や臀部加速の異常が、起立失敗には下肢寡動と足部早期減速が、離臀失敗にはバランス機能の低下が関連していました。本研究は、PD患者のSTS障害の進行様式とそれに関与する要因を体系的に明示した初の研究であり、段階別の個別介入設計に資する重要な知見です。 研究内容 本研究では、パーキンソン病(Parkinson’s disease: PD)患者における起立動作(Sit-to-Stand: STS)の障害が、上肢補助なしの動作では、時間延長・起立失敗・離臀失敗と段階的に進行することに着目し、それぞれの段階に関連する臨床症状および生体力学的因子を明らかにすることを目的としました。本研究では、健常高齢者とPD患者を対象に上肢補助なしSTS動作の評価を床反力計上で実施し、健常高齢者群、STS動作成功群、起立失敗群、離臀失敗群の4群に分けました(図1)。 生体力学的指標としては、体重移動能力や加速、減速力やその発揮のタイミング、反復動作の頻度などを計測しました(図2)。また、臨床評価として、各運動症状(Movement Disorder Society-sponsored revision of the Unified Parkinson’s Disease Rating Scale part 3:MDS-UPDRS part3)、バランス能力(Mini-Balance Evaluation Systems Test: Mini-BESTest)、下肢筋力の評価を実施しました。 その結果、STS動作の段階的な進行には、体重移動能力の段階的な低下が関連することを示しました。また、STS動作の遅延は、臀部加速などの生体力学的異常とも関連し、起立失敗は下肢寡動や足部の早期減速と、また離臀失敗は、姿勢制御機能の低下が強く関連することも示しました(図3)。 これらの結果から、STS動作の早期の障害の段階的な進行には、臀部から足部への体重移動能力の低下が一貫して関与することが示されたが、各段階において、特異的に関連する運動力学的要因や臨床症状が存在する可能性が示唆されました。本研究結果は、PDのSTS障害の早期の異常を捉え、有効な予防介入戦略を検討する上で基盤となる重要な知見となると考えられます。 本研究の臨床的意義および今後の展開 本研究結果は、PD患者のSTSの早期の障害とその変化、そして関連する臨床症状や生体力学的特性に関する理解を促す基礎的な知見となり、障害の進行を予防するための介入戦略を検討する上で極めて重要な知見である。今後は、本研究結果を踏まえたPDのSTS障害に対する介入の効果検証や着座動作の障害に対する検討も進めていく予定である。 論文情報 Masanobu Iwai, Shigeo Tanabe, Soichiro Koyama, Kazuya Takeda, Yuichi Hirakawa, Ikuo Motoya, Yuta Okuda, Yutaka Kikuchi, Hiroaki Sakurai, Yoshikiyo Kanada, Mami Kawamura, Nobutoshi Kawamura, Yohei Okada. Clinical and Biomechanical Factors in the Sit-to-Stand Decline in Parkinson’s Disease Movement Disorders Clinical Practice, 2025 問い合わせ先 畿央大学大学院健康科学研究科 博士後期課程 岩井 將修 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 教授 岡田 洋平 Tel: 0745-54-1601 Fax: 0745-54-1600 E-mail: y.okada@kio.ac.jp
2025.06.19
卒業生が食堂の看板を制作!~ 人間環境デザイン学科
人間環境デザイン学科には、木材や金属などの材料を、切断・彫刻・穴あけなどの加工をすることができるレーザー加工機が備えられています。卒業研究での模型作りや、文字の彫刻など、様々な場面で活躍中です。事前に講習を受けた学生が使用することができます。 卒業生 山田 汐音さんが食堂の看板を制作してくれました! 食堂利用者から、「食券を購入したのはいいものの、どっちの食堂を利用すれば良いのか分からない」「なごみとカトレアの違いは何?」という声が寄せられ、「なごみ」と「カトレア」の看板制作を依頼されました。 卒業生の山田 汐音さんに制作作業を依頼し、在学中に習得した技術を活用して制作してもらいました。木材の加工はレーザー加工機を活用しています。それぞれの場所にあったデザインがレーザー加工機によって彫刻され、とても素敵な看板が出来上がりました。 なごみ 「なごみ」は、和食の印象を持たせるデザインになっています。メニューに丼ものが多いことが一目でわかるようにイラストを描いてくれました。また、「なごみ」という名の通り、優しく、朗らかな印象が伝わってきます。 カトレア 「カトレア」は、カフェのような雰囲気が伝わるデザインです。レーザー加工機で彫刻するだけでなく、特徴的な模様がくっきりとうかびあがるように、加工した木材を後から貼り付ける工夫もされています。 この看板は、今年度のスタートとともにそれぞれの食堂入口に設置されました。材料として使用したヒノキの良い香りとともに、食堂を利用するみなさんをお迎えしています。 畿央大学のキャンパスには、人間環境デザイン学科の学生が制作した作品があちこちに展示され、また、実際に利用されています。 エントランスの作品展示やホール横の階段教室「Forodam(フォロダン)」など、実際に見て、触れられるものばかりです。在学生のみなさん、ぜひ、目を向けてみてください。受験生、地域のみなさん、キャンパスに来られた際はぜひご覧になってください。 人間環境デザイン学科 助教 小松 智菜美 関連記事 人間環境デザイン学科 学内コンペ「みんなで考える学び舎」レポート vol.1~応募が完了! 人間環境デザイン学科 学内コンペ「みんなで考える学び舎」レポート vol.2~全審査が終了! 人間環境デザイン学科 学内コンペ「みんなで考える学び舎」レポート vol.3~表彰式を実施! 人間環境デザイン学科 学内コンペ「みんなで考える学び舎」レポート vol.4~製作開始! 人間環境デザイン学科 学内コンペ「みんなで考える学び舎」 レポート vol.5 ~完成&セレモニー開催!| 学生がデザインしたKIOオリジナルバッグが完成しました!~人間環境デザイン学科 学生がデザインしたKIOオリジナルバッグを制作中!~人間環境デザイン学科
2025.06.15
7/13(日)夏休み有効活用オープンキャンパス
2025.06.15
7/20(日)夏休み有効活用オープンキャンパス
2025.06.13
「4大学対抗ピザバトル」に出場します!~健康栄養学科・ヘルスチーム菜良
2025年6月14日(土)・15日(日)、イオンモール大和郡山にて開催される「4大学対抗ピザバトル」に、本学のヘルスチーム菜良※が出場します! ※ヘルスチーム菜良…管理栄養士養成課程を持つ4年制大学(畿央大学・近畿大学・帝塚山大学・奈良女子大学)で構成されており、食育啓蒙活動に取り組んでいます。 ピザバトルでは、ヘルスチーム菜良に所属する4大学の学生が大和丸なすを使用したオリジナルピザの開発に取り組み、その完成度を競い合います。大和丸なすは、奈良県の伝統野菜の一つで、しっかりとした食感を楽しめるのが特徴です。しかし、その認知度はまだ低く、日常的に食べる機会が少ないという課題があります。そこで、大和丸なすの美味しさを広く知っていただくため、大和郡山市およびイオン大和郡山店様との産官学コラボ企画「ピザバトル」が始まりました。 今年、畿央大学は「梅しそ薫る 大和丸なすとじゅわっとハラスのピッツァ」を開発しました! 販促用ポスター ▼ 梅しそ薫る 大和丸なすとじゅわっとハラスのピッツァ 畿央大学では、ピザ開発にあたりコンペ形式をとり、3つのグループに分かれて、それぞれピザを考案しました。開発は学生のみでなく、大和郡山市にある石窯焼きピッツェリアサンプーペー様にもご協力いただきました。また、大和郡山市およびイオンのご担当者様が4大学合同で試作&試食をする機会を設けてくださりました。ご協力くださったすべての関係者の皆様に改めて感謝申し上げます。 学内試作の様子 事前に考案したコンセプトをもとに、試作を行いました。特にソースはどのグループも苦戦しましたが、グループ同士でアドバイスをし合ったり、先生からのご意見を参考にしたりしながら、理想のピザに近づけました。 石窯焼きピッツェリアサンプーペー様での試作の様子 学内試作を重ねたレシピを持参して、ピザを作り、シェフからアドバイスをいただきました。食材の良さを活かす工夫を教えていただいたり、どんな味のバランスにすれば食べた人に満足してもらえるかを一緒に検討したりしました。そうして、どのグループもワンランク上のピザに仕上げることができました。 4大学合同試作会&試食会の様子 イオン様からそれぞれのピザに対するご意見をいただき、さらに改良を加えました。また、プレゼンテーションを通して、自分たちのピザの魅力やこだわりのポイントをアピールしました。 そして後日、イオン様からのフィードバック、ピザバトルの審査項目をもとに、参加メンバー全員にどのピザが相応しいかアンケートを実施しました。その結果、「梅しそ薫る 大和丸なすとじゅわっとハラスのピッツァ」に決定しました。 店舗試作の試食会の様子 ここで、初めて商品化されたピザの姿を見ました。自分たちのピザだけでなく、他大学様のピザも試食させていただき、意見交換を行いました。実際に見たり食べたりして感じたことや他大学様からいただいたご意見を参考に、食材や調味料の分量を最終調整しました。 これまで、お客様の手に届くことを楽しみに準備を進めてきました。 このピザは、梅、しそ、大和丸なす、ハラスといった和の食材を組み合わせ、幅広い世代の方にお楽しみいただける味わいとなっています。「ピザ=洋風」という固定観念をくつがえす、和風の新感覚ピザを、ぜひこの機会に手に取って味わっていただければ嬉しいです! 皆さまのご来場を心よりお待ちしております。 レシピ 健康栄養学科 3回生 薮田 真歩 関連記事 大阪・関西万博で万博BENTOを販売!26日の販売を終えて~健康栄養学科・ヘルスチーム菜良~ 新入生歓迎会を行いました!〜健康栄養学科・ヘルスチーム菜良 万博BENTOの売れ行き好調!19日、20日を終えてのレポート~健康栄養学科・ヘルスチーム菜良~ 大阪・関西万博にて販売する万博弁当の開発に参加!~健康栄養学科・ヘルスチーム菜良~ ラジオ「FMヤマト」で、4大学対抗ピザバトルを紹介!~健康栄養学科・ヘルスチーム菜良
2025.06.13
教員採用試験本番に向けて
近畿の教員採用試験の一次試験がいよいよ今週末となりました。 教採・公務員対策室で実施している筆記の教採対策講座も一部を除き先日終講し、あとは筆記本番を迎えるのみ、というところまできました。最終講では、本番に向けての激励も行いました。 一次試験が終わると次は二次試験に向けて面接練習が本格化します。学生は、数多くの教員から面接の指導を受けることで、本番の面接試験で様々な質問に対して自信をもって受け答えができるようになっていきます。また、面接だけでなく、模擬授業対策や実技試験対策も並行して実施していきます。 採用試験を控えている学生の皆さん、体調に気をつけながら、頑張っていきましょう!教採・公務員対策室は皆さんを全力でサポートします!