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2023.12.22

この痛みは私のせいじゃない:非予測的な負の出来事に対する認知過程~ニューロリハビリテーション研究センター

「この痛みは私のせいで起こったんじゃない」「あの先生のせいでこの痛みがあるんだ」など、自分が引き起こした行為や運動に伴って痛みが誘発されたにも関わらず、その痛みは自分のせいで起こったのではないと認識してしまうことがあります。畿央大学ニューロリハビリテーション研究センターの 林田 一輝 客員研究員、森岡 周 教授 らは、非予測的な負の結果に対する認知過程について実験心理学的手法を用いて明らかにしました。この成果は、Consciousness and Cognition誌(I am not the cause of this pain: An experimental study of the cognitive processes underlying causal attribution in situations with unpredictable outcomes)に掲載されています。 研究概要 ある出来事について、それを生み出していると考えられる何らかの原因に結び付ける心理過程を原因帰属といいます。しばしば臨床では、「この痛みは私のせいで起こったんじゃない」「あの先生のせいでこの痛みがあるんだ」など、自分が引き起こした行為や運動に伴って痛みが誘発されたにも関わらず、その痛みは自分のせいで起こったのではないと原因帰属してしまうことがあります。このような患者は、他人に原因帰属をしてしまうため、患者教育が難渋する場合があります。痛みというネガティブな出来事を適切に原因帰属させることは、行動変容を促すために重要ですが、原因帰属は主観的な要素が多く科学的に扱うことが難しいため、その認知的メカニズムは不明でした。畿央大学ニューロリハビリテーション研究センターの林田 一輝 客員研究員らの研究チームは、原因帰属を客観的に測定できるtemporal bindingという現象に着目し、行為を自分の意志で選択した場合(自由選択条件)と他者に強制された場合(強制選択条件)とで原因帰属が変化するのかどうかを、健常者を対象に実験的に調査しました。その結果、行為に伴って痛みが与えられた時、自由選択条件と比較して強制選択条件で自分への原因帰属が減少することが示されました。驚くべきことに、自由選択条件と強制選択条件では、痛みの程度は同等に感じていることも示されました。これらの結果から、他者のせいにする、といった原因帰属は、ネガティブな出来事そのものよりも自分でその行為を選択したかどうかが重要であることが示されました。 本研究のポイント ■ 自由選択と強制選択が痛みの原因帰属を変調させるかどうかの認知プロセスを調べた。 ■ 強制選択に痛みを伴うと自己への原因帰属が減少することが明らかにされた。 研究内容 強制選択が痛みの原因帰属に影響するかどうかを、健常者を対象とした実験で検証しました。単純な意思決定課題と痛み刺激を組み合わせた修正版temporal binding課題を用いました。Temporal binding課題とは、認知的な原因帰属を暗黙的かつ定量的に評価できる方法として知られています。あるキーを押して(行為を実行する)、100ms時間間隔を空けて、音が鳴る(出来事が起こる)という状況おいて、そのキー押しと音の間の時間間隔を参加者に推定させる課題です。推定した時間間隔が短いほど、行為と出来事の強い結びつけを認知しており、原因帰属を定量化できるとされています。   実験参加者は、自由選択条件と強制選択条件を遂行しました。画面上の3つのキーのうち1つは音だけが出る確率が最も高いキー、もう1つのキーは音と触覚刺激が出る確率が最も高いキー、最後のキーは音と痛み刺激が出る確率が最も高いキーであることが参加者に伝えられていました。自由選択条件では、痛み刺激を避けるようにキーを選択して押すように参加者に伝えられました。強制選択条件では、強制的に選択された黒塗りのキーを押すように指示されました。実際には、各キーはそれぞれの刺激を与える確率が同じでした(そのことを参加者は知りませんでした)。つまり、痛み刺激を受ける確率は、参加者がどのキーを押しても同じでした(33.3%)。すなわち、自由に選択できるかどうかの要因のみが操作されました。この課題にTemporal binding課題を組わせた実験を行いました。(図1)   図1:実験課題 キー押しの後、数100msの時間間隔が空いて、音のみ、音と触覚または音と痛みが提示される。その後、時間間隔の推定と痛みの程度をNumerical Rating Scale(NRS)にて評価する。自由選択条件と強制選択条件の両方を実験参加者は遂行した。   その結果、行為に伴って痛みが与えられた時、自由選択条件と比較して強制選択条件で推定時間間隔が有意に長くなることが示されました(図2)。つまり他者強制された時に痛みを伴うと自分への原因帰属が減少していました。驚くべきことに、自由選択条件と強制選択条件では、痛みの程度は同等であるという結果も得られました。これらの結果から、他者のせいにするといった原因帰属は、ネガティブな出来事そのものよりも自分でその行為を選択したかどうかが重要であることが示されました。この成果は、患者教育の際に患者の自由意志を確保する重要性を示しています。   図2:実験の結果 A:時間推定の結果、値が小さい程キー押しと音との時間間隔を短く推定しており、原因帰属が強いことを表す。痛みが提示された条件において、自由選択と比較して強制選択が有意に長くなった。 B:痛みの結果、自由選択条件と強制選択条件で有意な差は認めなかった。データは平均±標準誤差を表す。*p<0.05 NRS:Numerical Rating Scale 本研究の臨床的意義および今後の展開 本研究によって、原因帰属は自由選択が重要な要因であることが示されました。今後の研究では、痛みの原因帰属の根底にある認知過程が患者の行動を変化させるかどうかを調べる予定です。 論文情報 Kazuki Hayashida, Yuki Nishi, Taku Matsukawa, Yuya Nagase, Shu Morioka I am not the cause of this pain: An experimental study of the cognitive processes underlying causal attribution in the unpredictable situation whether negative outcomes. Consciousness and Cognition, 2023 問合せ先 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 畿央大学大学院健康科学研究科 センター長/教授 森岡 周 Tel: 0745-54-1601 Fax: 0745-54-1600 E-mail: s.morioka@kio.ac.jp

2023.12.22

【開学20周年】12/3(日)理学療法学科記念講演「PTの歩き方~PTが輝けるNew Spotを見つける旅」を開催しました。

  2023年12月3日(日)、畿央大学開学20周年記念事業 理学療法学科講演会「PTの歩き方~PTが輝けるNew Spotを見つける旅~」が開催され、1期生から17期生、教職員あわせて80名近くの参加をいただきました。理学療法学科では、医療や介護の現場以外での理学療法士の多様な働き方を知り、「臨床力以外の武器」を持つことを考える講演会を企画しました。臨床以外でも活躍の場を広げている5人の卒業生を講師にお招きし、一般的なセミナーではなかなか踏み込まない深いところまで熱く語っていただきました。 ※PTはPhysical Therapistの略で、理学療法士のことです。  第一部:講演会 P201教室で、庄本康治学科長のご挨拶からスタート。10年度、20年後、30年後…社会はどのように変化するのか、その時我々は何をすべきなのか、その変化に対応するためにはどのような武器を持つべきなのかをお話しいただきました。     「PTのこれから」(司会) 中村 潤二氏(1期生/西大和リハビリテーション病院) 理学療法学科卒業後は臨床と研究を両立しながら大学院に進学し、博士後期課程修了後も大学院の客員准教授と臨床や研究で本学と何かとつながりの深い中村さん。理学療法士が置かれている現状と今後の推測される状況をデータで示し、PTが開拓していくべき分野について説明していただきました。       「ウィメンズヘルス分野で起業して」 吉田 李沙氏(1期生/salon Fluffy代表) ご自身の出産・育児の経験から産前産後のケアに興味を持ったものの、奈良県には専門的に行っている施設がなく、最終的には吉田さんが起業するにいたった経緯(本学の松本大輔先生や梶原由布先生に相談したことがきっかけ)や、産婦人科クリニックと提携したリハ施設での骨盤底リハなど、具体的な業務内容も提示いただきました。自ら積極的に動き、仕掛けていく姿勢など、女性の健康支援や起業について多くの示唆をいただきました。       「海外で働くということ」 上野 友也氏(2期生/サンライズジャパン病院) 日本型の病院をまるごと輸出する「アウトバウンド型」の医療輸出として、カンボジアでサンライズジャパン病院の立ち上げに携わった上野さん。「新しいことに触れる機会を大切にし、積極的に挑戦すること、医療人であることに誇りを持ちながら、常に自分を成長させること」というメッセージをいただきました。       「自分らしく働く」 中田耕平氏(4期生/株式会社P5代表、津市議会議員) 起業して訪問リハビリテーションを実施しながら、三重県津市議会議員としても活躍中の中田さん。車で毎日スーツとユニフォームを着替えながら、臨床と議会を両立されています。もともと議員をめざしていたわけではなく、自分がやりたいことを追求していくうちに議員という道が拓けたそうです。「業務内容」「起業するため、政治家になるためにやるべきこと」「自分らしさを発揮することの大切さ」について語っていただきました。       「プロダクト開発に携わる魅力と課題」 吉村 和也氏(5期生/株式会社エクサウィザーズ→株式会社キズナ) 大学卒業後は京都大学大学院に進み、厚生労働省を経て医療コンサルティング、そしてAI事業会社へとステップアップしてきた吉村さん。講演の数日前に今度は福祉ベンチャー企業にフィールドを映されたそうで、参加者を驚かせました。新しいアイデアでより多くの患者さんや利用者さん、ひいては社会を変えるチャンスがあるサービス開発のやりがいやロマン、開発の具体的な内容やプロダクト開発についてご講演いただきました。また、サービス開発をめざしたい人へのメッセージもいただきました。       「プロチームに関わるトレーナーとして」 榊 彰裕 先生(8期生/セレッソ大阪フィジオセラピスト) セレッソ大阪トップチームをサポートしている榊さんはシーズン中で来学がかなわなかったため、ビデオメッセージをいただきました。プロチームのトレーナーに就任された経緯をご講演いただき、そのご経験から行動をすることの大切さをメッセージとしていただきました。     家族連れでも参加しやすいようにキッズルームを準備してZoomで中継。「周りに気を遣うことなく参加しやすかった」という声も上がっていました。   第二部:懇親会 講演会後には懇親会を行いました。Apple Watchやタブレットなどが当たるビンゴゲームで盛り上がり、卒業生、教職員と楽しく交流を深める機会となりました。新型コロナウイルスの影響で、長らくこのような対面での開催が困難でしたが、改めて、顔を合わせ、話すことの楽しみを再認識することができました。                                   卒業生の皆さんが歩んできた道が、今の理学療法学科をつくってきました。今後も定期的に同窓会と連携した講演会も企画していきますので、いつでも戻ってきてください!   【関連リンク】 畿央大学開学20周年特設サイト

2023.12.20

【開学20周年記念】12/2(土)看護医療学科特別講演会「看護におけるリフレクション」を開催しました。

  畿央大学開学20周年記念イベントとして、2023年12月2日(土)13時より、日ごろから臨地実習にご協力をいただいている指導者、卒業生、および元教員を対象に、第1部看護医療学科特別講演会、第2部グループワーク(もしくは卒業生交流)、そして第3部情報交換会を開催しました。   臨地実習指導者研修会はコロナ禍以前には毎年開催していましたが、ここ数年は開催を見合わせていました。今回は臨地実習指導者研修会も兼ねた対面での久しぶりの開催となり、教員一同でおもてなしを尽くしました。     第1部は順天堂大学保健看護学部教授の東めぐみ先生を講師として「看護におけるリフレクション」についてご講演いただきました。     ナイチンゲールの「看護はScienceでありArtである」という言葉で始まった講演では、「看護実践を言葉にする大切さ」についてお話がありました。東先生は看護師が自らの実践を語らない理由の一つとして、看護実践の成果がわかりにくいことを挙げられました。そこで、実践の経験から学ぶために「看護実践を語る会」を持ち、看護実践の語り手と聴き手による「実践経験を振り返り吟味する」リフレクションの機会が大切であることをお話しいただきました。そして、常に自らの実践を振り返り、「それで良かったのか」と探求を続ける看護師は「省察的実践家」であり、このような実践家が今の時代には必要であるとも教えていただきました。     また、フロアから「聴き手のあり方」について質問がありましたが、先生は「語る人の語りを妨げないことを心がけている」と応答されました。当たり前のようですが、先生の温かささえ伝わってくるその応答に会場が大きく同感する様子が伺えました。     第2部はその雰囲気を保ったまま、グループワークを行いました(卒業生は基礎看護学教員との交流会に参加しました)。       指導者と教員から成るグループに分かれ、お茶とお菓子を持ち寄ってテーブルを囲み、自らの看護実践を語り合いました。各グループでは一斉に語りが始まり、それぞれが一心に語り手に耳を傾けました。       時間はあっという間に過ぎ、語り足りない、聴き足りないという参加者は、そのまま第3部の情報交換会へと続き、各テーブルはいつまでも暖かい空気に包まれていました。東先生のご講演によってこのような語りの場が持てたことはとても貴重な経験となりました。       実習学生や新人看護師の聴き手になることが多い中堅看護師やベテラン指導者も、この日ばかりは自身の看護体験を語ることができ、「参加して良かったです」と感想を述べられていました。そして、教員はその語りをありありと情景を掴みながら追体験できたと思います。膝をつき合わせて行うグループワークの良さをようやく取り戻せたようで嬉しく思います。   畿央大学開学20周年の節目となる今回のイベントを通して、看護経験を語ることの大切さを学生に伝え、指導者とコミュニケーションを図りながら臨地における教育目標の方向性を同じくすることに努めていきたいと改めて思いました。   【関連リンク】 畿央大学開学20周年特設サイト

2023.12.18

2024年度一般選抜 前期日程、大学入学共通テスト利用選抜前期日程

2023.12.15

【開学20周年記念】11/25(土)現代教育学科記念講演&シンポジウム「デジタル社会の教育改革」を開催しました。

  2023年11月25日(土)13時より冬木記念ホールにて、畿央大学開学20周年記念イベントとして、第1部の記念講演と第2部のシンポジウムを開催しました。一般参加71名、卒業生16名、在学生17名、教職員30名の134名が出席しました。   現在、教育の現場では、デジタル社会の中で主体的に生きていくことのできる資質・能力の育成をめざした取組が進行中です。畿央大学においても、数理・データサイエンス・AI教育や次世代教育センターの設立などが進められ、教育学部では、2023年度より中高数学教員免許課程が新設されました。 今回の記念講演&シンポジウムは、開学20周年を迎え、これからのデジタル社会における教育についての知見を深める機会として実施しました。   第1部は、オリィ研究所代表取締役所長の吉藤オリィさんによる「教育形態の変化と可能性」をテーマとした記念講演でした。奈良県出身で、分身ロボット「OriHime」や分身ロボットカフェなどで有名なロボット研究者オリィさんが、どのようにロボット研究に歩まれてきたのかを、ユーモアも交えながらお話しいただきました。       「人類の孤独の解消」を研究テーマとするオリィさんのお話の中で、人との出会いがオリィさんの生き方に大きな影響を与えてくれたこと、寝たきりであった方が分身ロボットができたからこそ外に出て人と出会う機会が増えたこと、そして最大のご友人である故・番田雄太さんのビデオメッセージなどから、人と人とのつながりが、これからの社会の中で大切になってくることを強く感じさせていただきました。そして、このことは、本学の今後の歩みに大きなご示唆をいただきました。       参加者からは、「OriHimeの誕生過程を知れただけでなく、オリィさんの哲学から今後の生き方を考えさせられました。オリィさん、滅多にない機会をありがとうございました。」「オリィさんのお話は、とても興味津々に聞かせていただきました。特に、人を癒やすのは人間だ、という言葉が印象に残りました。」「オリィさんのOriHime の活動は、これからの日本を支えていく存在だと思います。」「学びが多く、よいイベントだった。心に響く活動内容に共感しました。」などの感想をいただきました。     第2部は、「数学・理科の融合と学習の多様化の可能性を探る」をテーマとしたシンポジウムでした。     我が国の情報教育現場の最前線にいらっしゃる経済産業省商務・サービスグループサービス政策課教育産業室室長補佐の柴田仁志様(文部科学省から出向)からは、「STEAM教育と教育DX」についてのお話をいただきました。柴田様は、教員の働き方改革、男女共同参画にも携わっておられ、多様な学校内外のリソースを活用した新たな「ビュッフェ型の学び」「学校内外のリソースの活用」「日本の金融資産の状況」「教育投資の増加に向けた幅広い教育の方向性」を具体例と共に分かり易く提示してくださいました。       本学の奥田俊詞教授からは「STEAM教育のいざない」と題して小学校・中学校における「物理現象を解決する教材開発」の提案、横弥直浩教授からは「数学と理科の融合の場面」と題して現場経験を基にした探究活動と生きる力の話題提供、藤井克哉講師からは「数理教育の重要性について−自身の研究領域の視点から−」と題して大学における数学、理科の教科横断的な学習の必要性と教員養成の話題提供がありました。       フロアとの意見交流は途切れなく活発に行われ、日本のデジタル教育やそのシステム投資、STEAM教育実践、児童生徒の関心事にアプローチしていく重要性についての話題が中心となりました。 参加者からは、「STEAM教育は採用試験の勉強の際に知った言葉だが、内容はよく知らなかったため、STEAM教育について深くお話を聞くことができてよかった」「IT技術を利用したSTEAM教育の様々な可能性にとても期待している」「立場の異なる視点からの提案により、教育の多様性を感じることができた」といった感想がありました。     講演、シンポジウム終了後は食堂「カトレア」に会場を移し、第3部として講師やシンポジストも交えた懇親会が開かれました。     オリィさん、柴田様とゆっくりと話ができて嬉しかったという感想の他に、久しぶりに会う本学の教員とゆっくりお話ができたこと、カジュアルな空間が良いこと、軽食としては豪華なこと等の感想がありました。           畿央大学開学20周年における教育学部イベントを通じて、今後もより一層、建学の精神のもと、教育の推進に向けた決意を新たにしました。     【関連リンク】 畿央大学開学20周年特設サイト

2023.12.13

亜急性期脳卒中患者の麻痺側上肢の上肢機能に対する使用頻度の傾向~ニューロリハビリテーション研究センター

脳卒中後上肢麻痺への評価においては、運動機能だけでなく生活の中での使用頻度を評価することが重要です。上肢麻痺の評価には、Fugl-Meyer Assessment(FMA)とMotor Activity Log(MAL)の2つの評価法が広く採用されています。FMAの上肢項目(FMA-UE)とMALの間には相関があることが明らかになっていますが、FMA-UEのスコアにおける重症度と使用頻度の傾向の違いについて明らかにした研究はありません。岸和田リハビリテーション病院の平山 幸一郎氏、松田 麻里奈氏、本学客員研究員 渕上 健氏、本学 森岡 周教授らは、FMA-UEのスコアをSegment回帰分析により統計的に分割し、MALにおける麻痺側上肢の使用頻度の傾向の違いを明らかにしました。この研究成果は、BMC Neurology誌(Trends in amount of use to upper limb function in patients with subacute stroke: a cross-sectional study using segmental regression analysis)に掲載されています。 研究概要 脳卒中患者の約33-80%は、発症後3週間以内に上肢麻痺を呈し、麻痺側上肢の不使用はさらなる機能低下を招く可能性が指摘されています。そのため、麻痺側上肢の運動機能のみでなく、日常生活における使用状況の評価も重要です。麻痺側上肢の運動機能と生活における使用頻度は密接に関連することが多く報告されています。一方で、Schweighoferらは、Constraint-induced movement therapyの効果を検証する大規模RCTに参加した被験者のデータを再解析し、コンピュータシュミュレーションに基づく上肢麻痺の回復モデルを検証した結果、治療を受けた1週間後のWolf Motor Function Test(WMFT)スコアが、1年後の麻痺側上肢の使用状況を予測し、ある一定のWMFTの得点を超えるか否かで、使用状況が大きく変化する可能性を示しました。この結果から、上肢麻痺へのリハビリテーションを行う中で、ある程度の運動機能の回復を担保しなければ、生活の中で麻痺側上肢を使用することは困難であることが考えられます。しかし、麻痺側上肢の運動機能の程度に対して、それぞれの運動機能に対する使用頻度の傾向について分析した研究はありません。岸和田リハビリテーション病院の平山 幸一郎氏、松田 麻里奈氏、本学客員研究員 渕上 健氏、本学 森岡 周教授らは、FMA-UEのスコアをSegment回帰分析により統計的に分割し、MALにおける麻痺側上肢の使用頻度の傾向の違いを明らかにしました。 本研究のポイント ■ FMA-UEにおけるMAL-Aの傾向の変化および変化するポイントをSegment回帰分析によって検討しました。 ■ FMA-UE:45.3点を境にMAL-Aの回帰直線の傾きは大きく増加しました。 ■ 亜急性期の脳卒中後上肢麻痺において、FMA-UEが45.3点に達すると、麻痺側上肢の使用頻度の傾向が変化する可能性が示唆されました。 研究内容 初発の発症後3ヶ月以内の脳卒中患者203名を対象としました。対象者のFMA-UE、MALのAmount of Use(MAL-A)を評価し、FMA-UEに対するMAL-Aの傾向の変化を捉えるために、FMA-UEを独立変数、Mal-Aを従属変数として、Segment回帰分析を行いました。Segment回帰分析とは、異なるグループに分類された独立変数が、これらの領域で変数間に異なる関係を示す場合に用いられる統計手法であり、分割された独立変数における領域の区間は変曲点(Break point)として算出されます。Segment回帰分析における変曲点とは、以前に確立されたパターンから変化を示す可能性がある特定の点のことです。Segment回帰分析におけるBreak pointのフィッティングは、Akaike Information Criterion(AIC)を用いて検討しました(図1)。   研究の結果、FMA-UE 45.3点でMAL-Aの傾きが大きく変化し、45.3点以降では、MAL-Aのスコアに大きなばらつきが認められました。つまり、FMA-UE 45.3点を境にMAL-Aのスコアは大きく改善する可能性が示唆されました。   図1:FMA-UEとMAL-Aに基づくSegment回帰分析   FMA-UEとMAL-Aは有意な正の相関を示し、FMA-UE:45.3点で回帰直線の傾きは変化しました。回帰直線の勾配は、変曲点より下でx=0.03、変曲点より上でx=0.12でした。 本研究の臨床的意義および今後の展開 この研究では、初発の亜急性期の脳卒中患者を対象に、FMA-UEとMAL-Aに基づいてSegment回帰分析を行いました。Segment回帰分析では、FMA-UEのスコアを統計的に分割し、MAL-Aにおける麻痺側上肢の使用頻度の傾向の違いを明らかにしました。結果として、FMA-UE:45.3点以上でMAL-Aの傾向は大きく変化し、45.3点を境にMAL-Aのスコアは大きく改善する可能性が示唆されました。この知見は、麻痺側上肢へのリハビリテーションにおいて、機能訓練や生活への参加に向けた介入などの治療戦略を考える上で、非常に有用であると考えています。 論文情報 Koichiro Hirayama, Marina Matsuda, Moe Teruya, Takeshi Fuchigami, Shu Morioka Trends in amount of use to upper limb function in patients with subacute stroke: a cross-sectional study using segmental regression analysis. BMC Neurology, 2023 問合せ先 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 畿央大学大学院健康科学研究科 センター長/教授 森岡 周 Tel: 0745-54-1601 Fax: 0745-54-1600 E-mail: s.morioka@kio.ac.jp

2023.12.07

地域の皆様対象イベント 「天体望遠鏡使い方講座」~畿央大学サイエンスコミュニケーションサークル

  畿央大学サイエンスコミュニケーションサークル(KSCC)は、科学の面白さや自然の素晴らしさを子どもたちに伝えることを目的に活動している学生サークルです。普段から科学おもちゃを作る体験や、星空を眺めたりモバイルプラネタリウムの解説を聞いたりする体験を、地域の子どもたちに提供しています。   「天体望遠鏡があるのだけれど、使い方が難しくてほとんど使っていない」というお話を聞くことがあります。今回は、子どもが自分の手で月を観察できるように、私たち学生が天体望遠鏡を使うコツをお伝えしながらサポートさせていただきます。子どもたちが見事に月をとらえたときの笑顔がとても素敵なので、私たち学生にとっても楽しみな活動です。   また、福森教授による土星の観察や奥田教授による星のお話もありますのでぜひご参加ください。 実施要項 開催日 2023年 12月20日(水) 開催時間 18:00~19:00 場所 畿央大学 食堂テラス 対象者 小学生とそのご家族(必ず保護者の方の引率をお願いいたします。) ご家族ごとに1台の天体望遠鏡を使っていただきます。 募集人数 6家族(先着順6組で締め切らせていただきます) 申し込み s.okuda@kio.ac.jp(奥田) まで、下記内容を記入して送信してください。 小学生のお名前と学年 引率される方(代表者)のお名前と緊急連絡先   ※ 申し込みいただいたメールアドレスに、参加の可否および参加当日の詳細についてメールで連絡させていただきます。 ※ ご提供いただいた個人情報は利用状況の把握・緊急連絡等に使用します。個人情報は厳重に管理し、緊急等の特例の場合を除き同意を得ずに第三者に開示することはありません。 ※ 開催など予定が変更になる場合があります。緊急時にはメール、電話等で連絡させていただきます。 みなさまにお会いできるのを、科学サークルの学生・教員ともに楽しみにしております。 お問い合わせ 畿央大学 現代教育学科 教授 奥田 俊詞 Tel:0745-54-1601 E-mail:s.okuda@kio.ac.jp

2023.12.05

小学校教諭74.0%、養護教諭50.0%、公立幼稚園・保育士100%!〜2024年3月卒業生

教員採用試験で137名(実数81名)、公立幼稚園教諭・保育士採用試験で40名(実数33名)が現役合格! 2024年度公立学校教員採用試験が終了しました。教育学部 現代教育学科4回生は、小学校教諭57名、養護教諭5名、特別支援学校教諭9名、中・高教諭(英語)6名が現役合格をはたしました。健康栄養学科からは栄養教諭3名、人間環境デザイン学科からは中・高教諭(家庭科)1名が現役合格を達成しています。 教員採用試験の現役合格者は137名(実数81名)となります。 また公立幼稚園教諭・保育士採用試験でも、40名(実数33名)が現役合格しています。 教員採用試験の結果 公立幼稚園教諭・保育士試験の結果 現役合格者の声を見る   小学校教諭は5年連続で7割以上が現役合格を達成!今年は過去4番目に高い74.0%となりました。   小学校教諭 現役合格率 受験者 合格者 2024卒 74.0% 77 57 2023卒 85.4% 82 70 2022卒 77.8% 90 70 2021卒 71.2% 73 52 2020卒 75.6% 82 62   難関の養護教諭でも50.0%と、毎年安定した現役合格率を維持しています。   養護教諭 現役合格率 受験者 合格者 2024卒 50.0% 10 5 2023卒 64.7% 17 11 2022卒 35.7% 14 5 2021卒 36.4% 22 8 2020卒 46.2% 13 6   また特別支援学校教諭も3年連続全員合格、中・高教諭(英語)でも過去最多となる6名全員が合格し、採用試験を受験した英語教育コース1期生受験者も全員が合格を手にしました。教育学部以外でも健康栄養学科で栄養教諭が30%、人間環境デザイン学科で中・高教諭(家庭科)100%と健闘してくれました。   公立幼稚園教諭・保育士採用試験でも2年連続で全員合格、6年連続で現役合格率9割以上という快挙を達成しています。 公立幼・保 現役合格率 受験者 合格者 2024卒 100% 33 33 2023卒 100% 25 25 2022卒 97.0% 33 32 2021卒 94.6% 37 35 2020卒 100% 27 27 教採・公務員対策室では、学科教員と連携した「ダブル担任制」で学生をサポートしています。一人ひとりの学生に合わせて、情報提供と対策、個別指導を行い、オーダーメイドの支援を実施し伴走してきました。入学時からコロナ禍に突入し、難しい時期も経験しながら走り続けた現4回生の頑張りはもちろん、できる限りの教育と支援を尽くしてくださった先生方にも敬意を表します。 今後は講師等の採用も含め、畿央生を最後の一人まで応援していきます。夢に向かって頑張れ、畿央生! 教採・公務員対策室 公立学校教員採用試験 現役合格率ならびに都道府県・市別の合格者数 公立小学校教諭 74.0% 合格者57名/受験者77名(現代教育学科) ➡5年連続で7割以上の現役合格率をキープ! ※のべ合格者97名(併願合格含む) 都道府県・市 1次受験者 1次合格者 (辞退者) 2次受験者 最終合格者 奈良県 32 30 - 30 8 大阪府 19 17 1 16 11 大阪市 11 8 - 8 5 堺市 6 6 - 6 6 豊能地区 1 1 - 1 1 京都府 3 2 - 2 2 兵庫県 3 3 - 3 2 神戸市 2 2 - 2 1 和歌山県 3 3 1 2 2 愛知県 13 13 1 12 7 岡山県 10 9 7 2 1 鳥取県 27 24 15 9 6 高知県 63 62 24 38 25 愛媛県 2 2 1 1 1 東京都 1 1 - 1 1 神奈川県 1 1 - 1 1 横浜市 1 1 - 1 1 川崎市 2 2 - 2 1 千葉県 16 16 3 13 12 北九州市 4 4 3 1 1 長崎県 1 1 - 1 1 沖縄県 1 1 - 1 1   公立学校養護教諭 50.0% 合格者5名/受験者10名(現代教育学科) ➡受験者の半数が狭き門を突破! ※のべ合格者8名(併願合格含む) 都道府県・市 受験者 1次合格者 (辞退者) 2次受験者 最終合格者 奈良県 7 5 - 5 1 大阪府 2 1 - 1 1 三重県 4 1 - 1 1 岡山県 2 1 - 1 1 鳥取県 7 4 - 4 2 高知県 10 6 3 3 2   特別支援学校教諭 100% 合格者9名/受験者9名(現代教育学科) ➡3年連続で全員合格! ※のべ合格者20名(併願合格含む) 都道府県・市 受験者 1次合格者 (辞退者) 2次受験者 最終合格者 奈良県 4 4 - 4 2 大阪府 3 3 - 3 3 京都府 2 2 - 2 2 滋賀県 3 3 - 3 3 福井県 1 1 - 1 1 広島県 1 1 - 1 1 鳥取県 6 6 1 5 5 福岡県 1 1 - 1 1 福岡市 1 1 - 1 1 北海道 1 1 - 1 1   公立中学・高校教諭(英語) 100% 合格者6名/受験者6名(現代教育学科) ➡英語教育コース1期生も全員合格! ※のべ合格者8名(併願合格含む) 都道府県・市 受験者 1次合格者数 (辞退者) 2次受験者 最終合格者 奈良県 6 5 - 5 4 大阪市 1 1 - 1 1 高知県 4 3 - 3 1 東京都 1 1 - 1 1 宮崎県 1 1 - 1 1   公立学校栄養教諭 30.0% 合格者3名/受験者10名(健康栄養学科) 都道府県・市 受験者 1次合格者 (辞退者) 2次受験者 最終合格者 大阪府 3 3 - 3 1 堺市 1 1 - 1 1 北海道 7 7 4 3 1   公立中学・高校教諭(家庭科) 100% 合格者1名/受験者1名(人間環境デザイン学科) 都道府県・市 受験者 1次合格者 (辞退者) 2次受験者 最終合格者 大阪府 1 1 - 1 1   公立幼稚園教諭・保育士採用試験 現役合格率ならびに自治体別の合格者数 公立幼稚園教諭・保育士100% 合格者33名/受験者33名(現代教育学科) ➡2年連続で全員合格!6年連続で90%をこえる現役合格率! ※のべ合格者40名(併願合格含む) 都府県・市(町) 1次受験者 1次合格者 辞退者 最終合格者 奈良県香芝市 15 15 9 4 奈良県奈良市 2 2 0 1 奈良県生駒市 4 3 1 2 奈良県大和郡山市 22 22 1 4 奈良県橿原市 15 14 5 4 奈良県王寺町 4 4 1 2 奈良県天理市 9 7 1 2 奈良県明日香村 2 2 1 1 奈良県大和高田市 2 2 1 1 奈良県河合町 2 2 1 1 大阪府大阪市 8 7 0 7 大阪府吹田市 10 10 5 3 大阪府豊中市 10 10 5 3 大阪府藤井寺市 1 1 0 1 大阪府河南町 3 3 2 1 大阪府岸和田市 1 1 0 1 大阪府寝屋川市 2 2 0 1 兵庫県尼崎市 1 1 0 1   注1.過年度卒業生を含みません(すべて2024年3月卒業見込者)。 注2.2023年12月5日現在の判明者数です。今後変動する場合があります。 注3.一部試験での1次試験免除者を含みます。 現役合格者の声(KIOキャリアナビより) 奈良市/公立幼・保に現役合格!   現代教育学科4回生 山口 紗永さん 大学生活は、授業や実習、ボランティア、部活動とたくさんの経験をすることができ、とても楽しい4年間でした。授業や実習をするうちに、小さい頃からの夢だった保育者に近付いていることを実感できたり、その大変さや楽しさを共有する友達ができたりしました。授業や部活動を通してたくさんの出会いがありましたが、何事にも一生懸命に取り組む尊敬できる人ばかりでした。採用試験で辛いときもありましたが、励まし合いながら一緒に頑張ってくれる周りの人のおかげで乗り越えることができました。畿央大学に来て本当に良かったと感じています。 ➡記事全文を読む(KIOキャリアナビ) 奈良県/養護教諭に現役合格!   現代教育学科4回生 大野 萌さん 私が畿央大学を選んだ理由は、養護教諭の合格率がとても高かったからです。そもそも関西圏で養護教諭の教員免許を取れる大学は少なく、看護学部ではなく教育学部で教員免許を取りたいと考えていたので、その中でも合格率の高い畿央大学を選びました。 とても楽しい学生生活を過ごすことができました。人数が他の大学に比べて少ないこともあり、学生同士だけでなく先生方とも深い関わりがありました。私は部活やサークルなどには属していなかったのですが、それでも同じ授業や教員採用試験の勉強などを通してたくさんの友人ができました。仲間がいたからこそ、いろいろなことに頑張れました。 ➡記事全文を読む(KIOキャリアナビ) 三重県/養護教諭に現役合格!   現代教育学科4回生 竹本 香純さん 新型コロナウイルスの影響で入学してすぐパソコンを使っての遠隔授業だったのが残念でしたが、とても充実した毎日を過ごすことができました。友達にも恵まれ、何より同じ目標に向かって頑張れる仲間に出会えてよかったです。先生方もいつでも相談に乗ってくださり、心強かったです。規模や担任制、アットホームな雰囲気が自分にぴったりの大学で、心から畿央大学でよかったと思っています。 私は、心身の不調や不安、悩みを抱える児童生徒にいち早く気づき、再び明るく笑顔で学校生活を送られるよう支援できる養護教諭になりたいです。また、生涯心身ともに健康に過ごせるように様々な角度から指導・支援できるような養護教諭になるため頑張ります。 ➡記事全文を読む(KIOキャリアナビ   KIOキャリアナビでもっと見る   現役合格者の声はYouTubeでも配信中! 関連リンク 2023年、教育学部がさらに「深化」! 小学校教諭85.4%、養護教諭64.7%、公立幼稚園・保育士100%!〜2023年3月卒業生 

2023.11.29

地域在住ロバスト高齢者における新型コロナウイルス流行下での運動実施と基本チェックリストの下位項目との関連~健康科学研究科

新型コロナウイルスの感染拡大により、身体活動量が減少し、フレイル*の新規発生率が増加しています。フレイル予防には運動習慣などの健康的な生活習慣が重要で、コロナ禍でも同様に運動や社会性の確保、十分な栄養補給が推奨されています。高齢者の運動実施に関する要因は、数多く報告されていますが、コロナ禍のような社会生活が制限された環境下での運動実施の可否に関する要因についてのエビデンスはまだ十分ではありません。 また、わが国では各地方自治体において、要介護状態のリスクが高い高齢者を抽出するために基本チェックリスト**が用いられています。しかし、多くの基本チェックリストを使用した研究では、総該当数によるフレイル判定に用いられており、実際に行政が活用している基本チェックリストの下位項目に着目した報告は少ないのが現状です。 本学大学院健康科学研究科修士課程の中北智士、健康科学研究科の松本大輔准教授、高取克彦教授は、地域在住高齢者を対象にした調査を行いました。その結果、ロバスト高齢者であっても、抑うつ項目(基本チェックリストの下位項目の一つ)に該当する者は、コロナ禍のような社会生活が制限される環境下において運動を実施することが難しいことを明らかにし、その内容を地域理学療法学に発表しました。   *フレイル:健康から障害に至る前段階の状態と位置付けられ、機能予後や要介護度に影響し、早期の死亡リスクを高める。フレイルの段階として、ロバスト(健常)、プレフレイル、フレイルに分けられる。 **基本チェックリスト:二次予防事業対象者の選定のために厚生労働省が作成した。全25項目7つのドメイン(生活機能、運動機能、栄養状態、口腔機能、閉じこもり、認知機能、抑うつ)で構成されている。 研究概要 A市在住の高齢者3,698名を調査し、2018年の基本チェックリストの下位項目と2020年のコロナ禍での運動実施の有無の関連について検討しました。 本研究のポイント 高齢者に対する調査によって、年齢、性別、家族構成、主観的健康感、痛みによる制限、各下位項目を調整しても、抑うつ項目該当者は、該当しない者と比べて、コロナ禍で運動を実施できていない割合が約1.5倍高いことが明らかとなりました。   図1:コロナ禍での運動非実施と抑うつとの関連(オッズ比)   図2:抑うつ者における運動実施・非実施群でのフレイル新規発生率の比較   また、ベースライン時に抑うつ項目該当者であってもコロナ禍で運動実施できている者では、運動実施できていない者に比べてフレイル発生率は有意に少なく(運動実施群14.0% vs 運動非実施群29.4%)、抑うつ該当者でも適切な支援を実施することでフレイルを抑制できる可能性が示唆されました。 本研究の臨床的意義及び今後の展開 本研究は実際に行政が活用している基本チェックリストの下位項目に着目した数少ない研究です。ロバスト高齢者であっても抑うつ傾向にあるものは、コロナ禍のような環境で運動実施することが難しいことが明らかになりました。介護予防に認められている予後予測に基づいた明確な目標設定や支援方法の選定の一助になると考えられます。今後もより地域施策に還元できるような研究に発展させていきたいと思います。 謝辞 研究にご協力いただきました住民の皆様、役場の方々に感謝申し上げます。 論文情報 中北智士,松本大輔,高取克彦. 地域在住ロバスト高齢者における新型コロナウイルス流行下での運動実施と基本チェックリストの下位項目との関連. 地域理学療法学. 公開日2023/11/03. DOI https://doi.org/10.57351/jjccpt.JJCCPT23002   問合せ先 畿央大学大学院健康科学研究科 修士課程 中北智士 准教授 松本大輔 Tel: 0745-54-1601 Fax: 0745-54-1600 E-mail: d.matsumoto@kio.ac.jp

2023.11.24

【開学20周年】人間環境デザイン学科 大卒業研究・作品展を開催します。

2023年度の人間環境デザイン学科 「卒業研究・作品展」は、本学の20周年記念と合わせた『大卒業展』と銘打ち、初めて大阪で開催します。会場は国指定重要文化財でもある大阪市中央公会堂です。当日は卒業生による55点の作品が展示されます。あわせて在学生による設計演習での優秀作品や、過去の学長賞のパネル展示も予定しています。 どなたでもご参加いただけます。みなさまのご来場を心よりお待ちしております。   【参考】昨年度の卒業研究・作品展の様子(2022年度)     開催日 2024年2月29日(木)12:00~21:00 ※17:00~19:00は本学科の教員が必ず滞在しています。2024年3月1日(金)10:00~17:00 会 場 大阪市中央公会堂 3F 中集会室 ※ご来場の際は、公共交通機関をご利用ください。 アクセス 参加費 無料 問合せ先 畿央大学20周年記念事業係 電話:0745-54-1601 E-mail:20th@kio.ac.jp   畿央大学開学20周年記念事業のご案内   関連リンク 人間環境デザイン学科「2022年度卒業研究・作品展」を開催しました。 人間環境デザイン学科「2021年度卒業研究・作品展」を開催しました。 令和2年度 卒業研究講評会および学内展示会を開催しました。 人間環境デザイン学科「2018年度卒業研究・作品展」を開催しました。 …コロナ前のイベントレポート 人間環境デザイン学科 作品ギャラリー …過去の卒業作品をまとめた特設サイト