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2021.03.02

2021年度の授業実施方針について

  2020年度は新型コロナウイルス感染症拡大という予期せぬ事態に直面し、刻々と変わる情勢の中で、学生の皆さんの安全を確保することを最優先に授業を実施してきました。学生の皆さんには、これまでとまったく異なる授業運営に戸惑う場面も多かったことと思います。なおも予断を許さない状況はつづいており、今後も情勢の変化は予想されますが、本学では2021年度の授業を以下の方針に基づいて実施することとします。   本学での学びにおいて、対面による実践的な授業が重要であることは疑う余地がありません。そのため、2021年度はできるかぎり対面授業を中心とした授業運営を行うこととします。対面授業の実施に当たっては、特に講義系の科目において定期試験実施時における各教室の収容定員(通常の5~7割程度)に可能な限りおさめるなどの対策を講じます。また、本学はこれまで全学生へのノートPC無償貸与やOpenCEASの導入などICT機器を活用した教育の充実に取り組んでまいりました。このような本学の特色と、科目の性質や教育効果、受講者数等を十分に考慮し、オンデマンド型遠隔授業も取り入れてまいります。   現在の状況を教育改革の好機と前向きにとらえ、学生の皆さんの安全確保とより質の高い教育内容を両立させうる、本学ならではの授業運営を引き続き模索・推進していきたいと思いますので、ご理解とご協力をよろしくお願いします。※なお、今後の感染状況の拡大等により上記方針を変更せざるをえなくなる場合がありますので、その点につきましてはご了承ください。  

2021.03.02

緊急事態宣言の解除に伴う課外活動の対応について

在学生の皆さまへ   新型コロナウイルス感染症の終息については未だ先を見通すことは難しいですが、3月1日(月)に大阪・兵庫・京都を含む6府県で緊急事態宣言が解除されたことを受けて、本学では活動制限レベル指針をレベル2に引き下げることとしました。   今回のレベル引き下げにより、課外活動については、「課外活動の段階的な再開のための基準表」STEP2で活動を再開することとします。   感染防止対策については、日々の検温等の体調管理、マスクの着用(学内では不織布マスクの着用を推奨)、アルコール消毒の徹底、三密回避は当然ながら、不特定多数の人が集まるイベントや飲食を伴う長時間の会食への参加、不要不急の外出は控えるなど、引き続きリスク回避の意識を高めて行動するようお願いします。   畿央大学 学生支援センター

2021.03.02

畿央大学における就職支援の状況について

  コロナウイルス感染症の影響に鑑み、キャリアセンターおよび教採・公務員対策室では少しでも在学生の不安を解消できるよう、できる限りの就職支援を行っています。 各種進路相談・書類の添削指導 各種進路に関するご相談やご質問について、対面指導、並びに、メールやMicrosoft teamsを利用したオンライン面談など、個人に適した個別対応をしています。各学科の担当者が学生一人ひとりとつながりながら、きめ細かい個別サポートを継続しています。 面接練習 就職活動や採用試験に向けた面接についても、対面指導、並びに、Microsoft teamsを利用したオンライン面接により、選考方法に合わせた対策をしています。 ガイダンス・対策講座 一般企業・幼保施設への就職希望者対象のキャリアガイダンス、また、採用試験対策講座は、対面授業、並びに、授業支援システムOpenCEASを活用して資料・動画配信をしています。なお、対面式で行なう面接対策、実技対策等については完全予約制での支援となります。詳細はメール等で対象となる学生に連絡します。     まずは、皆さんと周りの大切な方々の健康と安全を最優先にしてください。将来何がしたいのか、自分としっかりと向き合い、納得できる就職活動や教員採用試験対策ができるように、一緒に頑張りましょう。皆さんは決して、一人ではありません。困ったら気軽に相談してください。 キャリアセンターならびに教採・公務員対策室スタッフ一同、なお一層、全力で応援していくことを約束いたします。   キャリアセンター長 教採・公務員対策室長   【キャリアセンター】     【教採・公務員対策室】  

2021.03.01

小学校教諭71.2%、公立幼・保94.6%、養護教諭36.4%が現役合格!~2021年3月卒業生

2021年度公立学校教員採用試験が終了しました。教育学部現代教育学科4回生のうち、52名が公立小学校教諭、8名が養護教諭、5名が特別支援学校教諭の採用試験に現役で合格しました。小学校の現役合格率は71.2%となり、厳しい環境の中、7年連続で6割を超える合格率を残してくれました。一方、公立幼稚園教諭・保育士(公務員)の試験では35名が現役で合格を勝ち取り、合格率は94.6%(3年連続9割台)となっています。 教採・公務員対策室では、教育学部教員と連携して学生を支援してきました。主役はもちろん頑張った学生諸君ですが、今年のコロナ禍、様々な手段でそれを支えていただいた先生方や対策室のスタッフに敬意を表したいと思います。講師等の採用も順調に進んでいますが、最後の一人まで応援していきます。 早くも3回生の試験対策が本格化しています。苦しい時代を乗り越えて、夢に向かって頑張れ、畿央生!   教採・公務員対策室  公立学校教員採用試験 都道府県・市別の合格者数(2021年3月1日現在 判明分) 【小学校教諭】現代教育学科 現役合格率71.2%(合格者52名/受験者73名) →7年連続で60%以上が現役合格! 都道府県・市 1次受験者 1次合格者 (辞退者) 2次受験者 最終合格者 大阪府 17 17 (1次免除含) 1 16 11 大阪市 14 11 (1次免除含) 0 11 11 堺市 6 3 0 3 3 奈良県 37 25 1 24 14 和歌山県 2 1 0 1 1 三重県 20 20 5 15 7 岡山県 8 7 4 3 3 鳥取県 30 29 18 11 7 高知県 62 44 10 34 17 愛知県 6 4 2 2 1 横浜市 2 2 0 2 2 千葉県 7 7 1 6 3   【特別支援学校教諭】現代教育学科 現役合格率83.3%(合格者5名/受験者6名) 都道府県 1次受験者 1次合格者 (辞退者) 2次受験者 最終合格者 大阪府 2 2 (1次免除含) 0 2 1 奈良県 2 1 0 1 1 鳥取県 3 3 1 2 2 高知県 3 3 0 3 2 長野県 2 2 0 2 2   【養護教諭】現代教育学科 現役合格率36.4%(合格者8名/受験者22名) →過去最多の8名が現役合格! 都道府県 1次受験者 1次合格者 (辞退者) 2次受験者 最終合格者 大阪市 3 1 (1次免除含) 0 1 1 堺市 3 2 0 2 2 奈良県 7 6 0 6 2 高知県 19 6 0 6 5   【栄養教諭】健康栄養学科 現役合格率25.0%(合格者1名/受験者4名) 都道府県 1次受験者 1次合格者 (辞退者) 2次受験者 最終合格者 大阪府 1 1 0 1 1   【中学校・高校(家庭科)教諭】人間環境デザイン学科 現役合格率100%(合格者1名/受験者1名) 都道府県 1次受験者 1次合格者 (辞退者) 2次受験者 最終合格者 愛知県 1 1 0 1 1 長野県 1 1 0 1 1    ※教員採用試験【1次選考の結果と合格率】   公立幼稚園教諭、保育士採用試験 自治体別の合格者数(2021年1月7日現在 判明分) 【公立幼稚園教諭・保育士】現代教育学科 現役合格率94.6%(合格者35名/受験者37名) →12年連続で8割以上が現役合格! 都府県・市(町)1次受験者1次合格者辞退者最終合格者 奈良県香芝市 4 4 1 3 奈良県橿原市 3 3 2 1 奈良県大和高田市 3 3 1 2 奈良県葛城市 2 2 1 1 奈良県奈良市 7 6 0 1 奈良県天理市 6 6 4 1 奈良県生駒市 5 5 1 2 奈良県大和郡山市 5 5 4 1 奈良県宇陀市 1 1 0 1 奈良県斑鳩町 4 3 2 1 奈良県三郷町 1 1 0 1 大阪府大阪市 9 7 1 6 大阪府松原市 6 5 0 5 大阪府吹田市 13 13 4 5 大阪府堺市 6 6 0 2 大阪府岸和田市 1 1 0 1 大阪府枚方市 4 4 0 2 大阪府寝屋川市 5 5 3 1 大阪府八尾市 4 4 2 2 大阪府東大阪市 4 2 0 2 大阪府泉大津市 1 1 0 1 大阪府藤井寺市 2 2 1 1 大阪府羽曳野市 2 2 1 1 京都府京都市 2 2 0 2 京都府京田辺市 3 3 2 1 兵庫県西宮市 2 2 0 1 滋賀県長浜市 1 1 0 1 三重県名張市 1 1 0 1 三重県伊賀市 2 2 1 1 三重県津市 2 2 0 1 東京都足立区 1 1 0 1 千葉県浦安市 1 1 0 1   注1. 過年度卒業生を含みません(すべて2021年3月卒業見込者)。 注2. 2021年3月1日現在の判明者数です。今後変動する場合があります。   600人以上が語る!「KIOキャリアナビ」 現役合格して夢をかなえた4回生が、キャンパスライフや合格までの道のりをレポート!     現役合格者と保護者のインタビュー動画! 教員採用試験に合格した4回生と、その過程を見てきた保護者のそれぞれの視点から畿央大学での4年間や教職サポートについて語っていただきました! 親子インタビュー(中津さん編)  親子インタビュー(志智さん編)     ▶1分でわかる畿央大学ムービーをもっと見る   畿央大学が就職に強い4つの理由 現役合格率が高く、就職率ランキングでも常に上位をキープする畿央大学。その理由に迫ります!  

2021.02.25

教職員対象「令和2年度 人権教育推進委員会研修会」が開催されました。

2021年2月18日(木)、本学教職員対象の「人権教育推進委員会研修会」が開催されました。   ▲人権教育推進委員長 小谷先生による挨拶   毎年恒例となっている本研修会ですが、今年度は新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点からZoomウェビナーを使用しました。同時に学内においても感染対策を行いながら少人数が参加できる会場を設けての開催となり、約90名の教職員が参加しました。今回はハンセン病市民学会共同代表、全国人権擁護委員連合会会長でもある九州大学名誉教授の内田博文先生に「コロナ禍における人権問題について」をテーマにご講演いただきました。   ▲文先生による講師の紹介   文先生から内田先生のご紹介にあたって感染症法の前文が示され、ハンセン病・後天性免疫不全症候群等の感染症の患者等に対する、言われのない差別や偏見があったことに対する教訓が活かされていないことが紹介されました。     ▲講義配信の様子   内田先生の講義では、まず新型コロナウイルス対策に係る主な法令として感染症法と特措法が紹介され、文先生の紹介にあったようにハンセン病問題の教訓が活かされておらず、今まさしくコロナ禍差別・人権侵害が広がっていることが問題提起されました。 新型コロナウイルス感染症の感染リスクはすべての人にあり、全ての人が差別・人権侵害の被害者になり得るため、国、自治体、医療界マスメディアその他各界が差別防止に取り組んでいますが、差別加害者は「社会が必要としている正しい行動をしているのだ」と信じ込んでおり、加害者意識のない差別・人権侵害が散見されているということです。1月22日には特措法が一部改正され、偏見や差別を防止するための規程、差別防止に係る国及び地方公共団体の責務規程が設けられましたが、まだ十分と言える内容ではなく、各種の政策面も含めて日本では人権が医療、経済と並ぶ新型コロナ禍対策の柱とはなっていない問題点が指摘されました。 最後にメルケル首相の国民に向けたメッセージが紹介され、今後の人権や差別に対して私たちが果たすべき役割が提示されました。   ▲学内会場の様子   ▲質疑応答   「健康と教育のスペシャリスト」を養成する本学としては、コロナ禍において起こってしまっている差別や偏見の実態を注視し、教職員だけではなく学生に対しても、もう一度どういった人権教育をするべきなのかを考える貴重な機会となりました。   【関連記事】 令和元年度 学園ハラスメント防止委員会・畿央大学人権教育推進委員会 共催研修会「LGBT(ハラスメントと人権)~多様性を認め合う社会を目指して~」 平成29年度 人権教育推進委員会研修会「LGBTって何?-つながるための第一歩-」 平成28年度 人権教育推進委員会研修「子どもの声を聴き権利を守る-子どもアドボカシーとは-」 平成27年度 人権教育推進委員会研修「ヘイト・スピーチとは何か-だれの、何を傷つけるの?-」 平成26年度 人権教育推進委員会研修「発達障害を持つ学生への対応について」

2021.02.16

第20回畿央大学公開講座「コロナ時代におけるこれからの認知症ケア」をオンライン開催しました。

オンラインで学ぶ「これからの認知症ケア」   令和3(2021)年2月13日(土)、午後13時から20回目となる畿央大学公開講座を開催いたしました。直前までご自身の認知機能を知ることができる「きおトレ」アプリの体験を直接参加にて実施する予定でしたが、緊急事態宣言期間の延長を受け、Zoomを用いたオンライン講座のみの実施とし、約30名の方にご参加いただきました。   【講師】山崎尚美氏(畿央大学健康科学部看護医療学科 教授)     昨年度に引き続き「認知症」をテーマとしましたが、コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、社会情勢とともに大きく変容した「認知症ケアのこれからのあり方」について、親世代の介護を控えた世代の方々を中心に学んでいただきました。   初めに、今年コロナ禍の影響で起こった認知症ケアの変化の事例として、ニュースの動画を見ていただきました。そのニュースの中では、タブレット越しにオンラインでお孫さんと久しぶりに対面し涙を流す方や、認知症のために施設に入っている妻と窓ガラス越しに面会をする方の様子が描かれていました。介護の現場で今まさに起こっている印象的なニュースでしたが、コロナ禍による制限の中においても、できることが増えたという事例でした。   医療現場においても、面会制限や遠隔診療、医師・看護師の不足と様々な変化や問題が起こっていますが、ケアがめざすべき本質は変わっておらず、高齢者への意思決定支援と家族の思いに寄り添う看護を今までよりも柔軟な考えに基づいて、止まらずに進めることが必要とされています。     また、これからの認知症ケアの分野では、デジタル化とグローバル化がさらに進んでいくという話題が提供され、AIやデータを活用した今後のケアの可能性と日本の進んだ認知症ケアのグローバルな展開事例が紹介されました。     「グローバル化」の事例の1つとして、山崎教授のベトナムにおける取組の紹介があり、実際にベトナムにいるホップさんとZoomをつないでリアルタイムで対話を行い、オンラインツール利用の可能性にも触れました。   ▼オンラインで、ベトナムのホップさんと対話の様子     コロナ禍の影響を受けて、認知症ケアだけではなくあらゆる場面で様々な変化が求められていますが、「方法が変わっていくだけで、本質は変わらない」という山崎先生の言葉は印象的でした。   ご参加いただいた皆さまからは、 「オンライン開催のおかげで遠方からも参加できました」 「実例が多く、動画もあったので分かりやすかった」 「一歩も外に出ることなく参加できて、しかもベトナムや遠隔地の方々のお話も聞くことができ、オンライン開催の良さを味わうことができた」 「WEBセミナーはどこも不慣れで手探り状態ですが、WEBだからこそできる多元中継的な展開など、すばらしいチャレンジだと思います」 「関東にいても聴講することができました。こうした仕組みのある時代に感謝」 「質問時間がもう少しあれば良かった」 など、さまざまな感想をいただきました。参加いただいた皆さま、ありがとうございました。   本学では今後も受講者の皆さまにご満足いただけるような公開講座を開催してまいります。     第19回畿央大学公開講座「感染症を知ろう~新型コロナウイルスとこれからの生活~」をオンライン開催しました。 第18回畿央大学公開講座「当事者とともに創る認知症ケア」を開催いたしました。 第17回畿央大学公開講座「認知症の正しい理解」を開催しました。 第16回畿央大学公開講座を開催しました。 第15回畿央大学公開講座B・C(2日目)を開催しました。 第15回畿央大学公開講座 講座Aを開催しました。 第14回畿央大学公開講座を行いました。 第13回畿央大学公開講座を開催しました。 第12回畿央大学公開講座「健康長寿のための食と運動」を開催しました。

2021.02.16

令和2年度 畿桜会(同窓会)役員会をオンライン開催しました。

2021.02.12

他者との目的共有が行為主体感と運動精度を変調する~畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター

他者との協力動作において、自己と他者の行動が適切に調整されることで作業が円滑に行われます。しかしながら、どのようなメカニズムで他者と相互作用するのかは明らかではありませんでした。近年の理論研究において、"目的共有"が協力動作に重要であることが提案されていますが、その実際は明らかではありませんでした。この可能性を畿央大学大学院博士後期課程 林田一輝 氏と森岡 周 教授 は 行為主体感の観点から実験的に検証しました。この研究成果は、PLOS ONE誌(Goal sharing with others modulates the sense of agency and motor accuracy in social contexts)に掲載されています。   研究概要 人間社会を円滑にするためには、他者との協力動作は不可欠です。しかしながら、どのようなメカニズムで他者と相互作用し運動の精度を向上させているのかは不明でした。近年の予測的共同行為モデルという理論研究において、”目的共有”が自己の生成行為と他者の行為観察に基づく予測プロセスに影響し、協力動作を円滑にする可能性が提案されていますが、その実際は明らかではありませんでした。本研究では、この可能性を行為主体感の観点から検証しました。 行為主体感とは、ある行為やそれに伴う結果を自己に帰属する感覚のことであり、協力動作を含む日常生活の基礎を構成する可能性があるとされています。行為主体感の惹起には、予測プロセスが強く影響することが明らかであり、目的共有が行為主体感を変調する可能性があります。本研究は、目的共有が行為主体感に影響を与え、運動精度を向上させるのかを検証することを目的としました。参加者は2人1組のペアとなった協力群(目標共有)13ペアと独立群(非目標共有)13ペアにランダムに分けられました。実験参加者は、PC画面上を反復して水平移動する円形オブジェクトがターゲットの中心に到達したときにキーを押して、円形オブジェクトを停止することが求められました。そのキー押しから数100ミリ秒後に音が鳴り、参加者はその時間間隔を推定することが求められました。この時間間隔が短く推定される程、行為主体感が増幅していることを示します(binding効果)。参加者は、自己生成行為時と他者行為観察時それぞれの時間間隔を推定しました。協力群はペアで一緒に運動課題の精度を向上するように指示されましたが、独立群はペアがそれぞれ個別に課題を実行しました。本結果は、目的共有が目的非共有と比較して、運動の精度を改善させ、行為主体感を増幅させたことを示しました。   本研究のポイント ■ 目的共有が目的非共有と比較して、運動の精度を改善させ、行為主体感を増幅させる。   研究内容 参加者は2人1組の同性ペアとなり、目的共有する協力群13ペアと目的共有しない独立群13ペアにランダムに分けられました。PCディスプレイ上にblack crossが1秒間提示された後、水平方向に3,294 px/s (画面を1秒間に1.5往復)の速さで反復運動する円形オブジェクトをできるだけ画面中央のターゲットで、キー押しによって止めるように指示されました。オブジェクトの中心と画面中央のターゲットの誤差(px)を算出し、運動精度の指標としました。この値が低い程運動精度が高いことを示しています。「オブジェクトを止める」ためのキー押し後、数100ms後にbeep音が鳴り、参加者は遅延した時間間隔の推定をしました(自己生成行為のbinding効果)。その際、観察しているもう一方の参加者も時間間隔を推定しました(他者行為観察のbinding効果)。この時間間隔が短く推定される程、行為主体感が増幅していることを示します。協力群では先攻のオブジェクトの開始位置はPC画面上でランダムとしました。横方向に反復運動するオブジェクトを先攻はキー押しによって止め、「その止められた位置」から再び縦方向にオブジェクトが動き始めました。そして後攻もオブジェクトを画面中央でキー押しによって止めた。協力群は後攻が止めたオブジェクトの位置をペアの結果として画面に提示されました(図1)。つまり、2名それぞれの参加者の頑張りが1つのチームとしての成績として提示されます。     図1:協力群における実験課題 P=participant(参加者)、つまりP1は参加者の1人で、P2はもう1人の参加者を表す。   一方、独立群は、先攻・後攻ともオブジェクトの開始位置はPC画面上でランダムとし、先攻の結果が後攻に影響しない課題としました(図2)。オブジェクトと画面中央との誤差が0の時を100点(画面中央位置)とし、1試行毎に運動精度の結果を各々提示しました。協力群はペアで協力して運動精度を向上させるよう教示され、独立群はそれぞれが100点を目指すよう求められた。本課題は10block(18試行/block)で構成されました。つまり、相手の成績は自分とは全く関係ないものとして扱われました。   図2:独立群における実験課題 P=participant(参加者)、つまりP1は参加者の1人で、P2はもう1人の参加者を表す。   結果は、独立群と比較して協力群の方が自己生成行為のbinding効果と他者行為観察のbinding効果が増幅していました(二要因分散分析、目的共有(有vs無)×行為(自己生成vs他者観察)にて目的共有に主効果)。さらに協力群の方が運動精度が高いことを示しました(図3)。このことは、目的共有が、運動の精度と行為主体感を増幅させたことを示します。     図3:Binding効果と運動精度   Binding効果が高いほど(値が低くなるほど)行為主体感がつよいことを表す。 協力群では行為主体感が高まっているのが分かる。 平均±標準誤差 黄色プロット: 協力群 青色プロット: 独立群 **p < 0.01,*p < 0.05   本研究の意義および今後の展開 本研究は他者との目的共有が行為主体感を変調させる可能性を示唆しました.協力動作の円滑化のカニズムはまだまだ不明なことが多く、本研究結果は社会的な行為結果の帰属変容プロセス解明の一助になることが期待されます。   関連する論文 Hayashida K, Nishi Y, Masuike A and Morioka S. Intentional Binding Effects in the Experience of Noticing the Regularity of a Perceptual-Motor Task. Brain Sci. 2020 22;10(9):659. Hayashida K, Miyawaki Yu, Nishi Y and Morioka S. Changes of Causal Attribution by a Co-Actor in Situations of Obvious Causality. Front Psychol. 2020 11: 588089.   論文情報 Hayashida K, Nishi Y, Osumi M, Nobusako S and Morioka S. Goal sharing with others modulates the sense of agency and motor accuracy in social contexts. PLoS ONE. 2021 16(2): e0246561.   問い合わせ先 畿央大学大学院健康科学研究科 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 博士後期課程 林田 一輝(ハヤシダ カズキ) センター長 森岡 周(モリオカ シュウ)   Tel: 0745-54-1601 Fax: 0745-54-1600 E-mail: s.morioka@kio.ac.jp

2021.02.10

抗重力姿勢時に前庭脊髄路興奮性は増大する~畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター

ヒトは地球上で重力に抗して座位や立位のような姿勢を保っています。このような抗重力姿勢を保つ上で、前庭脊髄路という神経経路を介した抗重力筋の制御が重要な役割を果たすと考えられています。しかしながら、ヒトにおいて、抗重力姿勢を保つ際に非抗重力姿勢と比較して前庭脊髄路興奮性が増大するかどうかについてこれまで十分に明らかにされていませんでした。畿央大学大学院修士課程の田中宏明氏と岡田洋平准教授は、ヒトにおいて抗重力姿勢時に前庭脊髄路興奮性が増大するかどうかについて、直流前庭電気刺激(Galvanic Vestibular Stimulation: GVS)やH反射という神経生理学的手法を用いて検証しました。この研究成果は、Experimental Brain Research誌(Posture influences on vestibulospinal tract excitability)に掲載されています。   研究概要 前庭脊髄路は抗重力姿勢を保持する上での抗重力筋の制御に重要な役割を果たすと考えられています。しかしながら、ヒトにおいては抗重力姿勢時に前庭脊髄路興奮性が増大するかについては明らかにされていませんでした。ヒトにおいて非侵襲的に前庭脊髄路興奮性を評価する方法として、ヒラメ筋H反射を誘発する脛骨神経刺激の100ms前に直流前庭電気刺激(galvanic vestibular stimulation (GVS))を条件刺激として与えることによるヒラメ筋H反射の促通率を評価するという神経生理学的方法があります。この方法は、耳後部に電極を貼付し直流電流で経皮的に前庭系を刺激し、前庭神経、前庭神経核、前庭脊髄路を介して、脊髄の抗重力筋の運動ニューロン群の興奮性の変化を評価していると考えられています。畿央大学大学院修士課程 田中 宏明 氏 と 岡田 洋平 准教授らの研究チームは、まず実験①において本手法を用いて、抗重力姿勢である座位において、抗重力姿勢ではない腹臥位、背臥位と比較して前庭脊髄路興奮性が高いことを示しました。しかしながら、GVSは乳様突起で電極を貼付し、経皮的に電気刺激する方法であるため、GVSによるH反射の促通が前庭刺激によるものでなく、単なる皮膚刺激によるものである可能性も棄却できていませんでした。そのため、同研究チームは実験②において、背臥位と座位においてGVSと皮膚刺激によるH反射促通の差異について検証し、GVSによるH反射の促通の程度は皮膚刺激による促通の程度よりも大きいことを示しました。   本研究のポイント ■ 座位のGVSによるH反射(最大H波)促通の程度は腹臥位、背臥位より大きかった。 ■ GVSによるH反射(最大H波)促通の程度は皮膚刺激による促通の程度と比較して、背臥位では同程度であったにも関わらず、座位では大きかった。   研究内容 実験①では、14名の健常者が研究に参加しました。対象者は、腹臥位、背臥位、座位の3つの姿勢において両耳後部の乳様突起に電極(右陰極、左陽極)を貼付し、GVSすることによる右ヒラメ筋H反射の変化率について検証しました。その結果、座位におけるGVSによるH反射(最大H波)促通の程度は、腹臥位や背臥位と比較して大きいことが示されました(図1、2、3)。   図1:GVSによるH反射の変化の測定と各姿勢条件   図2:各肢位におけるH反射(最大H波)の波形(GVSあり、GVSなし)(実験1)   図3:GVSによるH反射(最大H波)の姿勢間比較(N = 14)(実験1)   実験②では、実験①の座位におけるGVSによるH反射促通の程度が大きい結果が、GVSによる前庭刺激によるものなのか、単なる皮膚刺激によるものなのかについて明らかにするため、10名の健常者を対象に、背臥位と座位においてGVSと皮膚刺激によるH反射促通の差異について検証しました。GVSは実験①と同様に実施し、皮膚刺激は前庭系を刺激することなく、できる限りGVS時と近い部位を刺激するため、刺激電極を耳介後部と耳垂に貼ってGVS時と同じ方法で直流電流刺激を実施しました。その結果、背臥位、座位ともにGVSだけでなく皮膚刺激によってもH反射(最大H波)が促通されましたが、GVSによるH反射(最大H波)促通の程度は、座位においてのみ皮膚刺激によるH反射(最大H波)促通の程度よりも大きいことが示されました(図4)。     図4:各姿勢におけるGVSおよび皮膚刺激によるH反射(最大H波)の変化率 (実験2)   これらの結果は抗重力姿勢である座位では腹臥位や背臥位と比較して前庭脊髄路が増大することを意味しています。実験②を追加実験として行うことにより、座位におけるGVSによるH反射促通効果の増大は、単なる皮膚刺激によるものではなく、前庭刺激によるものであることが示され、抗重力位である座位において前庭脊髄路興奮性がより増大するという結果の解釈はより強く支持されました。   本研究の意義および今後の展開 本研究は、抗重力姿勢である座位において腹臥位、背臥位よりも前庭脊髄路興奮性が増大することをヒトで初めて明らかにしました。このことは、ヒトにおいて前庭脊髄路が抗重力姿勢の制御に重要であるという従来の説をより支持するものです。今後は、抗重力姿勢において前庭脊髄路興奮静性が増大する神経機序について非侵襲的脳刺激などを用いて検証する必要があります。また、脳卒中やパーキンソン病、前庭疾患などの姿勢制御に異常のある患者を対象にGVSを用いた前庭脊髄路興奮性の評価を行い、臨床において遭遇する姿勢制御の異常と前庭脊髄路機能の関連性について検証し、その病態の理解を深め、介入可能性を模索していきたいと考えています。   関連する論文 Okada Y, Shiozaki T, Nakamura J, Azumi Y, Inazato M, Ono M, Kondo H, Sugitani M, Matsugi A. Influence of the intensity of galvanic vestibular stimulation and cutaneous stimulation on the soleus H-reflex in healthy individuals. Neuroreport. 2018 Sep 5;29(13):1135-1139.   論文情報 Tanaka H, Nakamura J, Siozaki T, Ueta K, Morioka S, Shomoto K, Okada Y. Posture influences on vestibulospinal tract excitability. Exp Brain Res. 2021 Jan 21.   問い合わせ先 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 畿央大学大学院健康科学研究科 修士課程 田中宏明 准教授 岡田洋平   Tel: 0745-54-1601 Fax: 0745-54-1600 E-mail: y.okada@kio.ac.jp  

2021.02.10

ひらめき☆ときめきサイエンス「身体と脳との不思議な関係~身体運動の脳科学~」をオンライン開催しました。

オンラインで学ぶ「脳と運動」の関係性   令和3(2021)年2月6日(土)、『ひらめき☆ときめきサイエンス~ようこそ大学の研究室へ~』を実施しました。 「ひらめき☆ときめきサイエンス」は、文部科学省所管の独立行政法人日本学術振興会からの助成を受けて実施されるイベントで、本学ではこれまで小学校高学年の児童を対象に平成21年から毎年実施しており、昨年度に引き続き高校生を対象に開催いたしました。大学は教育研究機関として、国の科学研究費の助成を受けて社会に役立つ様々な研究を行っています。その成果を高校生にも知ってもらい、未来の科学者を育てていくのがこのイベントの目的です。   通算12回目の開催となる今回は新型コロナウイルス感染症拡大の防止のため、対面式での講座ではなく、Zoomを用いて「オンライン」での初開催となりました。     この日のプログラムは「身体と脳との不思議な関係~身体運動の脳科学~」と題し、畿央大学ニューロリハビリテーション研究センターの信迫悟志准教授、大住倫弘准教授が講師を務め、脳と運動との密接な関係性を学んでもらいました。   はじめに事務局からZoomの動作確認とこの事業の目的と科研費についての説明、その後信迫先生からも視聴画面の確認や音声の確認を行ったあと、「身体運動の脳科学」と題して脳の構造や簡単な運動を通して“脳科学”の導入を講義してもらいました。     2時間目からは学生スタッフにも登場してもらい、様々な実験機器を使用した実験をLive配信し、画面越しに参加者の皆さんに実験を“疑似体験”していただきました。まず実験1として「映像遅延下運動課題」「両手干渉課題」「運動観察干渉課題」「スプリット・トレッドミル歩行課題」、実験2として「ラバーハンド錯覚課題」「腱振動錯覚課題」「視線計測課題」、最後の実験3は「運動中の脳活動測定」と題し、fNIRS(機能的近赤外分光法)と脳波を使用した運動中の脳活動実験を行いました。1つ1つの実験が終わるごとに画面上で実験の解説を行い、時折専門用語も混ぜつつ、高校生の皆さんにも理解できるように分かりやすく丁寧に説明しました。   ▼Live実験の様子   ▼Live配信の画面(視聴者側)   ▼その他実験の様子   全ての講義が終了した後は参加者にも声を出してもらい、質問タイムのコーナーを設けました。担当教員からは、今後の進路を選択する高校生へ向けて自身の昔話や、高校と大学での学修の違い、また大学生の先輩でもある学生スタッフからも実際の大学での学生生活について話をしてもらいました。     参加者からは「(オンラインではなく)実験などを実際にしてみたかったが、説明もわかりやすく映像での実験も様子がわかりやすかった」「高校生にも理解できるように噛み砕いて教えて下さったので理解しやすかった」等の感想をいただきました。コロナ禍においてほとんどの大学で授業形態の1つとなった“遠隔授業”も、今回の講座を通して高校生のみなさんに体験していただけたのではないでしょうか?   今回の体験を通して参加者の皆さんが科学に対してさらに興味を深めてくれることを願うとともに、次回はぜひ対面でのイベントが開催できるようコロナウイルス感染症が終息していることを祈っています。 ぜひまた畿央大学でのイベントにご参加ください!     【過去のひらめき☆ときめきサイエンス】 2019年「運動と脳との不思議な関係~運動の脳科学~」 2018年「運動中のからだのしくみ」 2017年「運動中の体の不思議を探る~健康をつくる運動と栄養のサイエンス入門~」 2016年「運動中のからだのしくみを発見しよう~健康をたもつ運動と栄養の科学~」 2015年「運動するとからだの中はどうなる?~健康をつくる運動と食事のサイエンス~」 2014年「運動中のからだの不思議を科学する~健康を支える運動と食事を学ぼう~」 2013年「世界から注目される『日本料理』のおいしさをサイエンスするーおだしの文化の調理科学実験ー」 2012年「お母さんの手作り料理の味は一生忘れないってホント?調理科学の不思議体験」 2011年「食から環境を考える」 2010年「食べ物の『おいしさ』と『こく』をサイエンスする」 2009年「食育をサイエンスする」