2025.08.13
ひらめき☆ときめきサイエンス「昔の絵本で調べよう 男の子・女の子のくらし・遊び・ファッション」を実施しました。
独立行政法人日本学術振興会の採択を受けて実施されるイベントで、最先端の研究成果を未来を担う小学生と中学生、高校生に楽しく伝えることで科学(学術)の面白さを知ってもらう取り組みです。
2025年8月9日(土)小学5年生から中学生、高校生対象の体験講座『昔の絵本で調べよう 男の子・女の子のくらし・遊び・ファッション』(日本学術振興会「ひらめき☆ときめきサイエンス~ようこそ大学の研究室へ」採択事業/課題番号25HT0140))を開催しました。申込者は12名と昨年よりも増え、またジェンダーに関心のある高校生の申し込みが目立ちました。
▼▼ 昨年度実施した”ひらめき☆ときめきサイエンス”の様子はこちら ▼▼
ひらめき☆ときめきサイエンス「戦時期の絵本をみんなで分析!―歴史とジェンダー(男の子らしさ、女の子らしさ)」を実施しました。
当日は小学生3名と中学生4名そして高校生3名が大阪市、奈良県内(奈良市、大和郡山市、河合町、広陵町)から参加し、講師の現代教育学科森岡 伸枝 准教授、森岡ゼミ生を中心とした大学生9名と共に戦時期の絵本を読み解き、ジェンダーは変わることを学びました。なお、この日は保護者7名、本学教員や自治体、メディアの方などにもお越しいただき、様々な方々が児童生徒の様子をご覧くださいました。
授業「博士(研究者)って何?」では、森岡先生がクイズをしながら進めました。森岡先生は、小さいころから戦争体験者の声を聞くことが多かったこと、また大学生の時に小学校の男女別学の実態を調べることでジェンダーの実情に興味を持ったことから、科研費の研究テーマに繋がったことを説明しました。そして今も日本はジェンダーの問題が残っていること、ジェンダーは歴史的につくられるということを強調し、歴史の視点でジェンダーについて学び続けることの大切さを伝えました。
参加者は全員が博士に会ったことがないと言い、博士の世界を知ろうと耳を傾けてくれました。また、授業内で森岡先生がクイズを出すたびに、活発に手を上げる児童生徒の姿がみられました。
そして、授業の後半では、全員で戦時期のすごろくを見て、読み解くヒントをもとに全員で分析する練習をしました。そこで児童生徒が発見したのは、当時の生活の中に障害を持った兵隊さんがいたという男性の姿、ランドセルの色が今のように男女別の色分けが無いこと、母親が子どもを見守っていること等で、児童生徒は戦時期という時代とジェンダーの視点を身につけたようでした。
実習体験では、実物の古書を分析するためのマナーの指導を受け、研究者になりきって絵本の分析を行いました。参加者は、手袋を身に着けて絵本をそっと箱から取り出し、用意された「博士発見シート」を元に、絵本の秘密を読み解いていきました。その際、発見をチェキで写して、自分の分析を実証するという研究手法も疑似体験してもらいました。チェキの撮影は学生スタッフが手厚くサポートしました。
その後、分析結果を小中校のグループごとに集まり、「畿央毎日新聞」を作成し、発表し、保護者も交えて意見交換を行いました。「満州国の国旗がある」「男の子と女の子の遊びが違う」「兵隊が『かっこいい』と描かれている」など戦争の姿、そしてその時のジェンダーについてたくさんの発見がありました。児童生徒の活発な意見交換に、教育学部の森岡ゼミのスタッフがうまく対応していることも印象的でした。
講義の後の昼食タイムでは森岡ゼミスタッフと児童生徒が仲良くなり、どんな新聞を作るのかを話し合っていました。また、実習の間にはお楽しみのクッキータイムがあり、クッキーを食べながら、自己紹介や好きなこと得意なことなど森岡ゼミとみんなが笑いながら楽しく過ごしました。
「未来博士号」の修了証書授与式では、一人ずつ名前を呼ばれ、畿央大学学長冬木正彦先生から修了証書を受け取りました。また、学長先生より「今回の学びや体験をさらに高めて欲しい」とあたたかいお言葉をいただきました。
参加された児童生徒の感想
- 研究者にとてもなりたいと思った。授業がとても分かりやすかったし、とても楽しかった。
- 戦争について絞った授業を聞いたことがなかったので、戦争のことがよく分かった。
- 古い絵本に触れて、チェキで撮影できて楽しかった。大学生との交流も楽しかった。
- ジェンダーについて、学んだことがなかったので、このイベントで初めて知ることが出来た。
- SDGsの一貫としてジェンダーは学んでいたが、ジェンダーについて知らなかったことが多かった。
- 今回も楽しく学べた。また来年も来たい(去年から二度目の参加者)
- ジェンダーの関連図書をたくさん初めて見て、その内容に驚いた(保護者)。
- 去年と内容が変わっていて、来てよかった。またお願いします(二回目参加の保護者)
募集人数を絞っての開催でしたので、参加した児童・生徒のみなさんが仲良くなって一体となって活動できたことがとても良かったと感じました。森岡先生からは、「これからもいろいろなイベントや資料館に出かけて学び続けて下さい。また疑問に思ったことにはすぐに答えを出さずに調べて考え続けてください。私も一緒に考え続けていきます」と参加した皆さんに呼びかけていました。参加者からは、ぜひ研究者になりたいといった声が多く聞かれ、このイベントの目的は達成できたようです。
畿央大学では、これからも本学教員の特色ある研究成果や取り組みを地域貢献の一つとして様々な年代の方にご参加いただけるイベントを開催していきたいと考えます。冬木学長はこのイベントも大切にしておられ、準備の段階から実施に至るまでご参加下さり、参加した児童生徒はもとより学生スタッフ達も緊張しながらも喜んでおりました。今後はさらにたくさんの方がご参加いただければと願っています。
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