2024.04.12
ニューロリハビリテーション研究センター開設10周年を終えて~センター長より
畿央大学ニューロリハビリテーション研究センターは2013年に設立され、2014年にはハード面であるオープンラボが完成し、それから10年が経過しました。全室ガラス張りの研究室かつ実験室と隣接する施設は、教員、研究者、大学院生、学部生の垣根を越え、その都度ディスカッションやミーティングがはじまるといった空間となりました。
このセンターは、理学療法学科や大学院健康科学研究科の教員を含む7名の研究者と客員研究員で構成されており、研究の発信、研究の指導、web・SNSを通じた情報提供、各種研究会やセミナーの開催、専門職向けリカレント教育、地域住民向け講座の実施、他の研究機関との共同研究会など、多岐にわたる活動を展開してきました。
2014年度から2023年度にかけての10年間で、センターの研究者が発表した研究成果は、学術論文が合計316編、そのうち査読付きの国際論文が189編、査読付きの国内論文が28編、招待総説が99編にのぼります。近年ではインパクトの高い雑誌だけでなく、専門領域にとっては重要な雑誌への掲載も多くなっています。また、著書は分担執筆を含めると74編に上ります。新型コロナウイルスの影響で2020年と2021年は落ち込みが見られましたが、国際学会発表は74回、国内学会発表は494回、招待講演(民間企業からの依頼を除く)は344回に及びます。さらに、学会表彰は26件、年次外部研究費の獲得件数は累積にすると93件に上ります。
事業に関しては、初期の活動は、ニューロリハビリテーション関連のセミナーやフォーラムの開催が中心でしたが、最近では主に専門領域の研究会を主催しています。こうした活動には、この10年間で合計5,000名以上の参加者に恵まれ、センター設立以前の活動を含めると約15,000名が参加され、専門職のリカレント教育に大きな役割を果たしてきました。最近では、YouTube動画やSNSを通じた研究内容のわかりやすい発信、地域住民向けの腰痛予防講座、シニア層向けの脳講座、子どもの運動発達に関する定期検査など、社会への貢献も行っています。そして、多くの研究機関(東京大学、明治大学、東海大学、立教大学、東京都立大学、武庫川女子大学、国立障害者リハビリテーションセンター研究所、フランス国立衛生医学研究所、リヨン大学病院、リヨン高等師範学校など)や臨床施設(主に大学院生が属している施設)との共同研究を通じ、多くの研究費を取得するとともに、国内最大規模のCREST獲得にもつながり、国際共同研究の主導的な役割を担うに至りました。
センターの知名度の向上に伴い、毎年、センターやその研究者の活動を知った高校生が本学に進学する例も見受けられます。
今後も研究発信と地域貢献をさらに推進し、「ニューロ」に限らず、より広範なウェルビーイングに関わる研究センターへと成長するとともに、イノベーションを生み出す場所として成長していくことを目指しています。センターのさらなる発展のため、ご協力とご支援を引き続き賜りたいと存じます。
畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター
センター長 森岡 周