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2025.01.31

教職員対象「令和6年度人権教育推進委員会主催学内研修会」を開催しました。

2025年1月23日(木)、本学教職員対象の「人権教育推進委員会主催学内研修会」を開催し、60名以上の教職員が参加しました。

今年度の研修では、アルビノ・ドーナツの会」代表の藪本舞先生を講師にお招きし、「素顔の私はダメですか?~多様な見た目が受け入れられる社会にするために~」をテーマにご講演いただきました。

 

 

藪本先生は、アルビノ(アルビニズム・眼皮膚白皮症)として生まれ、ご自身の経験からアルビノの人たちが交流するための場所の必要性を感じ、「アルビノ・ドーナツの会」を設立、アルビノの当事者やご家族のネットワークづくりに尽力してこられました。また、「アルビノについて」や「見た目問題」に関する講演を各地で実施し、情報発信に努めておられます。

アルビノの人は、先天的な遺伝性疾患により皮膚や毛、瞳の色素が欠乏し、紫外線過敏や視力低下といった症状を抱えておられます。髪や肌の色が白い(薄い)という「見た目」の特徴から、「外見差別(ルッキズム)」や「見た目問題」に直面し、悩み苦しむ方もおられます。当事者である藪本先生ご自身の経験を交えながら、お話をしていただきました。

 

 

『外見差別(ルッキズム)』とは、人を外見で判断し、一方のみに不利益を与えること、『見た目問題』とは、病気やケガを理由に見た目に症状を持つ人が生きていく上で直面する様々な問題のことであり、そういった人たちが世の中に受け入れられづらいという社会問題です。藪本先生ご自身も、アルバイトへの応募や就職活動で差別や不利益を受け、「どういう容姿であれば受け入れられるのだろう」と悩み、ファッションやメイクを武装のように考えていたという話を伺いました。また、自身の抱える見た目問題は個人の問題だと考えてしまい、身近な人にも相談できず悩んだ時期を過ごされました。一方で、「自身の素顔を大切にしてもらった」という経験がそれまでの自分を解放してくれたというお話もありました。現在に至る人生の中で、アルビノという見た目の特徴を抱えて揺れ動いてきた心の有り様がとても印象的でした。

また、商業的に作られた「見た目の基準」がメディアやスマートフォン、街中に溢れ、無意識のうちに若者の目に触れているという話もありました。若者の中には、そういった情報に晒されることで、その基準との差に悩み、コンプレックスを抱く人も多くいます。多様性を謳う世の中に逆行し、「人と同じ見た目でないといけない」という価値観を商業優先の社会が生み出し、外見至上主義が作られています。こういった風潮が、色々な見た目の人が受け入れられづらい社会に繋がってしまうことも危惧します。

 

 

最後の質疑応答では、見た目問題を抱えている学生への関わり方について、「当事者が困っていることを伝えるには時間が必要。本人が自ら話をするまでは待ってほしい。」というお話がありました。問題解決のためには、当たり前ではありますが、人と人との信頼関係が前提にあり、その上で当事者の方の気持ちに寄り添い、対話の中で時間を掛けて進めていく必要性があります。また、「見た目問題を触れてはいけないものとしてしまうと理解が遠のいてしまう。」というお話もありました。今回の講演のように当事者の方からの話を聞く機会は大変貴重です。当事者のことを正しく知り、理解を深めることが、当事者を含むあらゆる人が生きやすい世の中や環境づくりの礎であると思います。

本学に集う人々が多様な人々を受け入れ、大学があらゆる人にとって安心できる場所になる、そうありたいと強く思うことができた貴重な機会となりました。

 

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