2014年3月28日の記事

2014.03.28

「海外インターンシップ」体験レポート№12

人間環境デザイン学科3回生の樽井彰吾です。 3週目に入ると仕事内容も暑さにも徐々に慣れてきました。ここの施設のほとんどの方がボランティアでこられています。色々な方がいて年配の方もおられ同い年くらいの方もいて、そして小学生くらいの子も学校が終わってから足を運んでくれています!!とにかくボランティアの方の数がすごく多いです!これはあまりに日本ではあり得ないことだと思います!!言葉、文化、肌の色が違えど一緒に同じ目標を目指していることがすごく誇らしいと感じました。すごく心がほっこりしました。 そして今まで仕事をしてきて嬉しかったことが、人間恐怖心で近寄るだけで歯を剥き出していた犬が、私の働いているとこを見てくれていたのか今日初めて私に心を開いてくれ、なついてきてくれました…本当に本当に嬉しくて涙が出てきました。一緒にボールで遊んだり膝の上で寝るまでしてくれました。犬にも心があり一生懸命になり頑張れば私たちの気持ちも分かるんだなと痛感しました。     最初の頃は少し仕事が嫌でしたが日を負う事にあと何日しかないと思うようになりました。犬の世話をする日々が大半でしたが店の床掃除なども色々しました。私は元々掃除が好きなので今思えば全く苦ではなかったです。 最終日の日がやってきて、次の日迎えのバスが家に来るのがとても早く荷造りが全くできてなかった事もあり、いつもより1時間早く終わっていいですか?と訪ねるとこころよく返事をもらいました。その時まではいつもより早く退勤するつもりでした。 そして大きい監察用の檻の横でいつも通りシーツの洗濯をして洗い物をしていると、ある二人の女性が大きなハスキー犬を連れてきて犬と一緒に檻の中に入りました。様子を見ていると何やら泣きながら犬と遊んだり、なでてあげたり、いい子いい子と話しかけ続けていました。 その時私はその様子をみて、何らかの理由でこの施設に預け、新しい飼い主の元へ行くのかなと思い、別れを惜しんでいるのかなと感じました。すると首から聴診器を下げた獣医師が来られ犬の口に噛まない用にする金具をつけました。私はその場を離れ外に出ました。するとそのあとに飼い主の二人の女性が出てきた途端にその檻にいく通路がロープで仕切られ飼い主は泣き崩れ、立つことも出来ないくらい泣いていました。 私は本当に色々な思い出が込み上げてきて泣いているのだなと思っていました。この施設を支えているオーナーさんに、これは別れですか?と聞くと、「そうだよ。人を噛んだから。」と言われその時は又新しい飼い主が見つかるといいなと思っていました。でもいつも以上に回りの犬が騒がしくすごく吠えていたり、遠吠えをしたりしている犬もいました。その時私は薄々なにか変だなと感じました。 そして数分がたち、何人かスタッフの方がロープの向こうに行ったので私も仕事に戻ろうとロープを超え檻の中を見ると、先程まで飼い主と戯れオモチャで遊んだりしていたのに、その大きな体が地面に横たわり毛布に包まれ黒色の大きな袋に入れられる光景が飛び込んできました…。私はこの数分の間に何があったか即座に分かりました。   安楽死です。   私の目の前で起こった出来事です。 私はテレビでこのような出来事の光景を見たことはありますが目の前で起こったのは初めてですごく動揺していました。そのあと私は少し放心状態になり色々飼い主の気持ち、私の家で飼っている犬がこうなった時の気持ち、獣医師の気持ちを考えると涙が溢れでてしまいました。すごくショッキングな出来事で仕事をするどころではなかったです…。涙が止まらず何も考える事ができなくなりました。 その光景が目に焼き付きいまだに忘れられないです。決して忘れてはならないことです。あの犬は命を張ってこのような現状がある事と命の大切さを私に教えてくれたのだと思います。私は明日帰国の為、朝がすごく早く荷造りができていないので早く退勤する予定でしたが、このような出来事があり、自分に出来る事を最後までやりきろうと決め悔いの残らないように最後まで自分に出来る事と最後の仕事を終えました。 するとスタッフの方にオフィスにおいでと言われ、オフィスに行くと最後まで頑張ってくれてありがとうとメッセージカード付きのプレゼントをもらいました。最初の頃は早く仕事が終わらないかなと思っていましたがここでの思い出が甦り又涙が込み上げてきました。最後にスタッフの方と写真を取りました。サプライズに私がすごく可愛がっていた犬を連れて来てくれ一緒に最後のボール遊びをして写真を取り号泣しました…。そのあと最後の仕事を5時までやりきり、そして最後に犬の1頭1頭の小屋に行き、いい飼い主が必ず見つかるよ。元気で。又戻ってくるから。と1頭1頭に声をかけてきました。     最後にこの3週間の間暇があればキャッチボールして遊んでいた犬の所に行き別れを惜しんでいました。普段、寝るための小屋の中にはエサバコだけでオモチャは入れないのですがその犬が奥から又ボールを口に加えてきて、私にボールを投げて投げてと私の目の前までもってきたのです…。しかし柵がありそのボールを投げてあげる事が私は出来ず、ごめん。ごめん。と泣きながら声をかけ続けていました。 私は必ずここに戻って来ると決心しました。本当にこのオーストラリアと言う国に来てたくさんの人たちに出会えたくさんの事を学びました。職場をあとにする前に1頭1頭の顔を眺めいい飼い主に必ず出会えるよ、元気で!と声をかけてきました。 色々と犬には励まされ考えさせられ自分の弱いところを見つめ治させてもらいました。ただの犬と一般の人は思っていると思います。たかが犬ですが、その犬たちは心が折れた私を励ましてくれ、頑張れ、負けるな、諦めるな!と勇気をそして命の大切さを与えてくれました。犬だけでなくステイ先の家族、仕事場の人たち、自分の家族、友達にも励まされ、たくさん助けてもらいました。職場には同じインターンシップで来られていた日本人の方が1人だけいましたがその方は週3回の出勤で昼までの仕事でした。しかし私は平日は全て仕事で観光も長々出来なく初めは仕事が嫌でしたがそれだからこそ学べた事は沢山あります。今となれば本当に帰りたくありません。 そして家族との別れの日。 このインターンシップで自分はすべてにおいて変わったと胸をはって言えます。またいつの日か必ずオーストラリアを訪れこちらの家族に会い、またボランティアでこの職場を訪れ少しでも力になりたいと強く思っています。この貴重な体験をこれから先忘れることなく上手くいかなくなったときは思い出し、一人でも多くの人にこのような現状があることを伝え、これからの人生の励みにしていきたいです。   人間環境デザイン学科3回生 樽井彰吾 【関連記事】 「海外インターンシップ」体験レポートNo.9 「海外インターンシップ」体験レポートNo.1