タグ

健康科学専攻(博士後期課程)

2018.10.05

大学院生が第19回認知神経リハビリテーション学会で最優秀賞を受賞!~健康科学研究科

平成30年9月29・30日に門真市民文化会館ルミエールホールにおいて第19回認知神経リハビリテーション学会学術集会が開催されました。大学院生の高村優作さん(博士後期課程)、舞田大輔さん(修士課程)、そして私(寺田萌 修士課程)が参加・発表してきましたので報告させて頂きます。     本学会は「病態を深化する」というテーマで行われました。台風が近付く中での開催でしたが、リハビリテーションに携わる多数の職種の方々が参加され、特別講演、教育講演、シンポジウム、一般演題発表において、脳卒中後片麻痺や高次脳機能障害、神経難病など多岐に渡る領域における、行為の異常の背景にある症例固有の病態理解を深めるための様々な検証作業の提案があり、活発な議論がなされました。     今回私は、「慢性期失行症例におけるジェスチャー観察時の視覚探索特性 ~模倣障害の回復過程における一考察~」という演題で発表を行い、一般演題発表のなかで最優秀賞に選んで頂きました。この発表は、模倣障害を呈した患者様に対して従来の行動面の観察・評価に加えて視線の動きを計測・分析したもので、模倣障害の回復過程における代償戦略を示唆するデータを報告しました。多くの演題の中から最優秀賞に選んで頂けたことは、日頃の取り組みが認めてもらえたことと大変嬉しく思っております。     認知神経リハビリテーションでは、個々の症例の認知過程への介入を基本としており、内省や内観を治療の重要なポイントとして用います。これに併せて、種々の評価結果を客観的データとして把握するために研究的手法を用いることは、正確な病態解釈やより良い介入手段の立案の一助となると感じました。今後も継続する努力を怠らず、リハビリテーションの対象者、さらには社会に貢献することができるように、ますます精進していきたいと思います。 このような経験ができたのは森岡教授をはじめとする多くの方のご指導と畿央大学の支援があってのものです。この場を借りて深く感謝申し上げます。   発表演題 【指定シンポジウム】 ・高村優作「前頭機能や空間性注意の停滞を併発する感覚性失調症例の病態解釈と介入経験」 【ポスター発表】 ・舞田大輔「視覚入力を用いた自己運動錯覚の定量化の試み~Bimanual circle line coordination taskを用いて~」 ・寺田萌「慢性期失行症例におけるジェスチャー観察時の視覚探索特性~模倣障害の回復過程における一考察~」   健康科学研究科 修士課程2年 寺田萌   畿央大学ニューロリハビリテーション研究センターホームページ

2018.10.01

大学院生6名が日本リハビリテーション学会学術大会で発表!

平成30年9月22日(土)・23日(日)に九州大学医学部 百年講堂で第23回ペインリハビリテーション学会学術大会が開催されました。 本学会は「新たなステージへの挑戦 –慢性痛の予防戦略−」というテーマで行われ、これからの慢性疼痛に対する予防策について、産業や地域、病院などの様々な観点から議論がなされました。慢性疼痛に対する心理・情動面の重要性は周知の通りですが、リハビリテーション専門職にしかできない身体機能評価を再考し、確立させていくことの必要性を感じました。 我々の演題名は以下の通りで、いずれも活発な議論がなされました。   【口述発表】 佐藤剛介「経頭蓋直流電気刺激と有酸素運動の併用介入が圧痛閾値および安静時脳波活動に及ぼす影響」 重藤隼人「中枢性感作を有する疼痛患者における疼痛関連因子の特徴」   【ポスター発表】 西 祐樹「慢性腰痛患者における運動学的な姿勢評価システムの構築 –自宅生活と外来での運動の乖離−」 田中陽一「疼痛の日内律動性と内因性要因の関連 –疾患・疼痛病態の異なる3症例での検討−」 藤井 廉「労働者の重量物持ち上げ動作時の運動恐怖と運動学的因子の関連性 −三次元動作解析装置を用いて−」 長倉侑祐「Neglect-like symptomsを呈した手指術後症例における両手協調運動の低下に対する一考察」&「骨折後急性・亜急性期患者における内受容感覚の精度と認知・情動との関連性について」     本学会を通して、慢性疼痛の病態やメカニズムが明らかとなってきている中で、今後はより具体的にどのように介入していくかを検証するとともに、有効な介入方法をスタンダードとして社会にどのように発信していくかが重要な課題であるように感じました。 今後も研究室の痛み研究メンバーと一丸となって、課題解決の糸口を見出すよう、更なる研究活動に取り組んでまいります。 このような貴重な経験ができたのは森岡教授をはじめとする多くの方のご指導と畿央大学の支援があってのものです。この場を借りて深く感謝申し上げます。 畿央大学大学院健康科学研究科 神経リハビリテーション学研究室 修士課程2年 藤井 廉

2018.09.29

大学院生が国際疼痛学会(IASP 2018)でポスター発表!

国際疼痛学会が9月12日〜16日にボストンで開催されました。 世界中から集まった研究者が痛みという一つの症状を様々な視点で研究し、いたるところでディスカッションが行われていました。博士課程の片山脩さんと私(西 祐樹)もポスター発表を通して様々な意見交換を行い、有意義な時間を過ごすことができました。       また、マサチューセッツ工科大学博物館にて「The Beautiful Brain」というテーマで展示会が催されていたので行かせていただきました。ニューロン説を唱え神経科学・神経解剖学の基礎を築きあげたSantiago Ramon Cajalがスケッチした神経細胞の原画3000点以上の中から80点が展示されていました。未知の事象を当然の知識に昇華させる背景にはたゆまぬ努力と発見があることを肌身に感じ、襟を正す思いになりました。 このような貴重な経験ができましたのも森岡教授、大住助教をはじめとする研究室の方々の日頃のご指導と、畿央大学の手厚いご支援の賜物であり、ここに深く感謝致します。     畿央大学大学院博士後期課程 西 祐樹

2018.09.27

「第1回リハビリテーションのための姿勢運動制御研究会」を開催!~畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター

平成30年9月15日(土)、畿央大学にて「第1回リハビリテーションのための姿勢運動制御研究会」が開催され、総勢122名の参加者による活発なディスカッションが行われました。     本研究会は、畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター公募研究会制度の承認と支援を受けて初めて開催されたものであり、会の目的として「リハビリテーションにおける姿勢運動制御分野の若手研究者と療法士を対象としたオープンな研究会を開催し、臨床で示される現象に対する解釈や検証を、科学的態度をもって議論できるプラットフォーム構築、および今後の研究コミュニティの構築を目指す」ことを掲げています。そのため、研究会運営幹事は若手の研究者かつ理学療法士ら(代表:植田 耕造・畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター客員研究員)で構成されており、会の企画・運営についても若手が高い自由度をもって主体的に行いました。 研究会の内容は、特別講演として首都大学東京の樋口貴広 教授に「知覚運動制御の最先端とリハビリテーションへの示唆」、そして、本研究会の世話人でもある畿央大学ニューロリハビリテーション研究センターの岡田洋平 准教授からは「パーキンソン病の歩行運動制御とリハビリテーション Up To Date」と題した講演を頂きました。どちらの講演も、現在進行形で取り組んでおられる未発表の研究データや試行錯誤段階にある実験データを含むものであり、一方向的な講演として終わることなく、フロアの参加者との質疑やディスカッションが活発に交わされました。     その後は、若手講演として運営幹事ら4名より現在取り組んでいる最新の研究内容を紹介させて頂きました。 ① Lateropulsionに対する直流前庭電気刺激の影響(畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター、星ヶ丘医療センター:植田耕造) ② 脳卒中患者の前庭動眼反射と姿勢制御機能(佐賀大学,白石共立病院:光武翼) ③ 片脚立位姿勢制御の発達 -体重心と足圧中心を用いた分析-(北海道大学大学院:萬井太規) ④ 歩行学習の効果的な臨床応用に向けて ‐学習効果と神経生理学的視点からの考案‐(京都大学大学院、関西リハビリテーション病院:北谷亮輔) いずれの研究もリハビリテーションの臨床を強く意識したものであり、そして、姿勢運動制御を共通のキーワードとしつつも、多岐に渡る研究内容となっていました。各研究で掲げられている臨床課題にアプローチするための科学的な手続きまでも紹介され、得られた最新の知見とともに参加者全体で共有できたかと思います。     最後には、本研究会のメインプログラムであるポスターセッションが行われました。ここでは若手講演の内容をポスター掲示し、忌憚ない密なディスカッションを交わすとともに、25演題もの多くの一般演題が発表されました。2つのポスター会場で約1時間半もの間、非常に活発なディスカッションが繰り広げられ、参加者からは「時間がもっと欲しい」という声が出るほど有意義なものでした。     本研究会は、企画当初は40~50名の参加人数で考えておりましたが、その予想を大きく上回り、総勢122名の参加者、29のポスターディスカッション(一般演題25,若手講演のポスター掲示4)という盛会とすることが出来ました。参加者および演者の皆様に心より感謝申し上げます。今後もこのような参加者間のディスカッションやコミュニティ構築を主たる目的とした機会を設けることができればと考えておりますので、どうぞ宜しくお願いいたします。また、当初の予想を大きく上回る申込み状況から早期に受付を締め切るという事態になってしまい、ご迷惑をおかけしましたこと改めてお詫び申し上げます。 最後になりましたが、ご講演を賜りました樋口先生、岡田先生、そして参加者、演者の皆様、畿央大学および畿央大学ニューロリハビリテーション研究センターのご支援に深く感謝申し上げます。       リハビリテーションのための姿勢運動制御研究会 石垣 智也(畿央大学大学院 客員講師) 【関連リンク】 9/15(土)第1回リハビリテーションのための姿勢運動制御研究会のご案内 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター

2018.09.11

大学院生の発表演題が「視覚科学フォーラム2018」で優秀発表賞に選出!

2018年9月5日(水)から2日間、立命館大学大阪いばらきキャンパスにて視覚科学フォーラム2018第22回研究会に参加してきました。この研究会は前健康科学研究科長である金子章道先生(畿央大学栄誉・名誉教授)が立ち上げに関わられた研究会で、網膜生理学研究の討論の場として、生理学研究所の研究会として発足されました。現在では日本全国の視覚研究者が参加・議論する場として発展されています。     今回私は、「異なる構成要素からなる動画提示時の半側空間無視の視線特性」という演題で口述発表を行い、優秀発表賞に選んでいただきました。この発表では、動画提示時の視線分析により半側空間無視の症状特性を知るために、Graph-Based Visual Saliency(Harel et al., 2006)を用いて注視点をスクリーン画像の顕著性(サリエンシー)の分布と併せて解析しました。動的顕著性にどの程度影響を受けているかを分析した結果、無視症例は右空間の顕著性に視線が惹きつけられやすいことを報告しました。 視覚研究のエキスパートの方々に選んで頂けたこと、大変うれしく思っております。 さらに、なんと受賞後には以下のようなコメントを金子先生から頂くことができました…! 『畿央大学で森岡先生や河島先生ご指導の研究成果がその領域の人たちに認められたことは、畿央大学に関係した一人としてとても嬉しく思いました。これからも優れた研究を発表されることを期待しておりますし、また学位も取れますよう祈っております。一言お祝いまで。』   金子先生の授業で、ご自身の網膜に関する研究について目をキラキラと輝かせながら楽しそうにお話しされていたことがとても印象に残っており、年齢を重ねてもいつまでも知的好奇心に溢れて楽しまれている先生の姿にとても感銘を受けたことを覚えています。そのような金子先生にも喜んで頂き、またこのようなお祝いのお言葉を頂けて、これまでにない幸せを感じております。 この場をお借りして、金子先生、森岡周教授、現職の上司である河島室長に心から感謝申し上げます。今後も精進し、これからも多くの方々に支えられながら、無視症状に悩まされる当事者の方々に少しでも還元できるような研究に取り組んでいきたいと思います。 博士後期課程 大松聡子

2018.09.10

第9回呼吸・循環リハビリテーション研究大会レポート

田平研究室(大学院)健康科学研究科修士課程の酒井です。 2018年8月25日(土)・26日(日)の2日間で「第9回呼吸・循環リハビリテーション研究大会」を奈良県奈良市の平城宮温泉かんぽの宿奈良で開催いたしました。 本研究大会は毎年、田平教授をはじめとした研究室の在学生と卒業生で行なっており、今回は計14名の参加で開催しました。     参加者は現在進めている研究についての進捗状況や今後の研究テーマについての発表などを行いました。また、修士課程・博士課程に在籍している私を含める5名は修士論文や博士論文の研究テーマについて発表を行い、研究についての今後の進め方、発表の仕方、まとめ方などについてご指導していただけました。臨床とは違い、研究での学術的な発表はデータをふまえてどのように構成するかでインパクトが変わり、分かりやすくなるので、今回のご指摘を今後の中間報告会や修士論文作成に繋げていけるようにしたいと考えています。大学や大学院の卒業生も様々な研究テーマで基礎研究から臨床研究などの発表があり、すごく有意義な研修となりました。普段私の勤務している病院では外科手術は少なく、高齢者肺炎や心不全といった疾患の患者様を診ることが多く、肺切除術や肺移植などの研究報告などでは切除範囲や薬物療法などによってリハの効果が変わるのではないかとの指摘や肺移植での知見を知る事ができ、新しい刺激を受けた研修となりました。     夜は懇親会を行いました。研究での悩みだけでなく、普段の臨床での疑問点や状況など聞くことも出来ました。それぞれの病院・施設などの現状を聞けるのは、それだけで価値のある時間と感じました。今後、診療報酬や病院機能も目まぐるしく変化する中で、情報交換ができる場があるというのは非常に喜ばしい事であり、また視野が広がるのではないかと感じました。 今後も臨床から疑問を持ち、医療・介護の動きに目を向けながら、臨床家でありながら研究者としても取り組んでいけるようにしたいと思います。次回も開催されますので、是非たくさんの参加をお待ちしております。   畿央大学大学院 修士課程 健康科学研究科 酒井 直樹

2018.09.03

教育学部教員による書評~森岡周教授著「コミュニケーションを学ぶーひとと共生の生物学ー」

畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター長の森岡周教授が執筆した「コミュニケーションを学ぶ -ひとの共生の生物学-」について、森岡教授が担当する教育学部3年次後期配当「発達障害教育特論」で対談形式の授業を行っている教育学部現代教育学科大久保賢一准教授より書評が届きました。     本書の目的は「人間」を理解することである。人と人との間で繰り広げられるコミュニケーションを主題としながら、社会の成り立ちや有り様を描き、「人間らしさ」とは何かということに迫る。著者は、様々なレベルにおける「相互作用」にフォーカスし、重要な先行研究を引用しつつ、巧みにそれらの知見について解説していく。   まずフォーカスされるのは、神経細胞間の相互作用である。細胞同士がシナプスによって結ばれることによって神経システムが形成され、様々な神経伝達物質や電気信号のやり取りが絶えず行われ、それが感覚や運動の基盤となっていることを理解することができる。つまり、「細胞間のコミュニケーション」が我々のあらゆる活動の土台となっているのである。専門外の読者には、一見取っ付きにくい内容に思えるかもしれないが、美しいイラストや様々な具体例が用いられ、わかりやすく解説されている。本書は、優れた生物学、あるいは生理学のテキストとしての側面を持つといえる。   次にフォーカスされるのは、人と人との相互作用である。本書においては、その基盤となる言語、メタ認知、記憶、共同注意、心の理論、共感、アフォーダンスといった重要な事項について、様々なトピックの中で、その基盤となるメカニズムについて解説されている。本書は、基礎的な心理学のテキストとしての側面を持つといえる。   フォーカスの対象は「集団」へと拡げられる。それは個人と集団の相互作用、集団内における個人間の相互作用、あるいは集団間の相互作用である。著者はアリを例にあげ、捕食されるリスクと餓死リスクを同時に最小化するために社会的分業を生み出した超個体(super organism)としての組織プロセスについて解説している。集団内において個体同士が相互作用し、連携・連動・分業を行いながらある目的を共有して組織として機能している様子は、個体内における神経システムのそれによく似ていると感じられる。本書は、先駆的な社会学のテキストとしての側面を持つといえるであろう。   皮膚の内側、対人関係、そして社会や組織といった様々な次元における「コミュニケーション」について分析し、「わたし」という自己に対する意識、「あなた」という他者の理解、そして人間社会の有り様を描き出し、さらにそれぞれが相互作用をしているというダイナミズムを体感することができる。さらに本書においては、より発展的なコミュニケーション論として、ゴシップ、文学、儀式、芸術、SNS、拡張現実、AI、機械学習などにも触れられており、現代的なトピックについても「コミュニケーション」という切り口から分析されている。   さらに本書の特徴としてあげられるのは、一見「コミュニケーション」という主題との関連性が見えづらい「身体」の役割について重点的に取り上げられている点である。これは著者の理学療法士としての経歴が影響しているのかもしれない。例えば「共感」といわれるプロセスにおいて、表情、姿勢、動きの同調が影響しており、乳幼児期における手さしや指さしといった身体の動きが、共同注意(joint attention)において重要な役割を果たしていることが指摘されている。   友人、家族、恋人など様々な対象において、あるいは学校や職場など様々な状況において「コミュニケーション」は重要な役割を果たしており、また同時にそれは我々の重大な悩みの種でもある。本書はそのようなコミュニケーションに関わる悩みに対して具体的に指南をしてくれるようないわゆる「ハウツー本」ではない。本書は「自然現象」としてのコミュニケーションを科学的に解説したものである。それは「なぜ人々がそのように行動するのか?」を知るための材料となり、様々な問題を抱える者の困難性を科学的に理解し、効果的に支援するための材料となるだろう。 現代教育学科 准教授 大久保賢一 【関連記事】 脳科学×特別支援教育で教員特別対談!~現代教育学科「発達障害教育特論」(2017年) 「発達障害教育特論」で理学療法学科と現代教育学科の教員が特別対談!~現代教育学科(2016年)

2018.07.18

森岡教授と客員研究員がISPRMで発表!~ニューロリハビリテーション研究センター

2018年7月8日(日)~12日(木)にフランスのパリで開催された12th the International Society of Physical and Rehabilitation Medicine(ISPRM) World Congressに、森岡周教授と私(佐藤剛介 客員研究員)で参加・発表してきました。   ISPRMは学会名の通りリハビリテーション医を中心とした学会であり、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士等のリハビリテーション関連職種には関係の深い学会になります。学会では、演題発表もありつつワークショップも豊富に企画されているのが特徴的でした。取り上げられている分野も幅広く、脳卒中や外傷性脳損傷、脳性麻痺、パーキンソン病、脊髄損傷をはじめとした神経疾患や筋骨格系疾患、トピックスとしてバーチャルリアリティ等がありました。   演題発表については、森岡教授と私ともに7月9日にE-poster発表を行ってきました。森岡教授の発表セッションは、短時間のプレゼンテーションとディスカッションで構成されており、森岡教授のプレゼンテーションとディスカッションのやり取りを直にみることができ参考になりました。しかしながら、今回の学会で驚かされたことの一つとして、私の発表セッションではプレゼンテーションの時間が設けられておりませんでした。結果的には、自分の演題について他の学会参加者とディスカッションできなかったことが心残りではあります… 色々な意味で世界のリハビリテーション医学を垣間見ることができたことは、今後の私の研究人生の励みになるとともに財産になると思います。   ▲演題発表を行う森岡教授(写真左)と佐藤剛介(写真右)   また、学会の合間を利用して、森岡教授・松本大輔助教、首都大学東京の先生方とフランスのサルペトリエール病院の見学に行くことができました。サルペトリエール病院は歴史が非常に古く、起源となる療養所が造られたのは西暦1650年代に遡ります。そして、現代の神経学の発展に大きな影響を与えた、Jean-Martin Charcot(ジャン=マルタン・シャルコー)医師やJoseph Jules François Félix Babinski(ジョゼフ・ジュール・フランソワ・フェリックス・ババンスキー)医師が活躍されていた病院になります。これらの医師達の名前は、学生時代から当たり前のように目にする神経疾患の病名や神経学的検査の名称にもなっており非常に身近な存在のようにも感じます。病院内には、サルペトリエール病院の歴史を物語る一つとして大きな教会が建てられていることや、日本でのリハビリテーション科がReEducationと表現されていた点が印象深かったです。さらに病院では、Myologieを専門とされているDr.Edoardo Malfattiの研究室の紹介をしていただくことができました。私の研究テーマとは離れた部分もあり、勉強不足のままでの参加となったため十分に理解できなかった点は残念に思います。しかし、実際に海外の研究室を訪問することは、初めての経験でしたので非常に良い刺激になったと思います。     今回のISPRM2018への参加では、最新のリハビリテーション医学の動向を知ることができ、加えてサルペトリエール病院を訪問し神経学の長い歴史に触れることができました。華の都パリらしく、新しいものから古いものまで私に様々な時間を与えてくれたと思います。   最後になりますが、今回の学会参加にあたり研究指導・アドバイスをしていただきました森岡周教授、大住倫弘助教、信迫悟志助教、研究室のメンバーに感謝申し上げます。そして、研究の場を提供していただきました畿央大学に感謝申し上げます。     【発表演題】 森岡 周 教授 RELATIONSHIP BETWEEN MOTOR IMAGERY ABILITY AND MOTOR FUNCTION OF HEMIPLEGIC UPPER LIMBS AND THEIR USE IN STROKE PATIENTS   佐藤 剛介 客員研究員 THE EFFECTS OF TRANSCRANIAL DIRECT CURRENT STIMULATION COMBINED WITH AEROBIC EXERCISE ON PRESSURE PAIN THRESHOLDS AND ELECTROENCEPHALOGRAPHY IN HEALTHY CONTROL: PILOT STUDY   畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 客員研究員 佐藤剛介   ●畿央大学ニューロリハビリテーション研究センターHP ●畿央大学ニューロリハビリテーション研究センターFacebook    【関連記事】 大学院生が海外でポスター発表!~健康科学研究科 森岡周教授と大学院生が第40回日本疼痛学会で発表!~畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 第25回Cognitive Neuroscience Societyで研究発表!~健康科学研究科  長崎大学大学院 運動障害リハビリテーション学研究室と研究交流会を開催!~ニューロリハビリテーション研究センター

2018.07.13

大学院生が海外でポスター発表!~健康科学研究科

平成30年6月30日(土)~7月2日(月)、アイルランドの首都ダブリンで開催された第22回International Society of Electrophysiology and Kinesiologyに林田一輝さん(博士後期課程)と私(水田直道 博士後期課程)が参加・発表してきましたので報告させていただきます。     この学会は運動制御や神経生理学、生体力学、信号解析、リハビリテーションなど運動制御に関連する約600の一般演題があり、どの演題も議論が非常に活発でした。 シンポジウムでは「生体力学研究の問題点と臨床応用」や「運動パフォーマンスと生理学的指標の関連性」などが取り上げられており、基礎研究の取り組みと臨床ならびにスポーツ現場での現象と隔たりを埋めようとする内容が示されておりました。 森岡研究室からは3日目に私が脳卒中後症例の歩行の研究を、林田さんが運動主体感のポスター発表を行いました。私にとって初めての国際学会でしたが、多くの方から質問に来ていただき、2時間の発表時間はあっという間に感じました。頂戴した質問やアドバイスは非常に有益となる情報が多くあり、今後の進展へ向けモチベートされました。   写真;左:水田 右:林田さん   シンポジウムや一般演題は非常にラフな雰囲気の中、議論が多いにもかかわらず時には笑いが起こるなど、良い意味で議論を行いやすい雰囲気のように感じました。マウントの取り合いのような議論ではなく、相互向上を目的とした姿勢には襟が正されました。また自身の研究領域とは異なる発表に対しても興味を持っている印象を受けました。 このような貴重な経験ができたのは森岡教授をはじめとする研究室の仲間の日頃のご指導と、畿央大学の手厚いバックアップがあったからであり、ここに深く感謝致します。     【発表演題】 水田 直道(博士後期課程) Trunk instability with shank muscle co-contraction is masking the potential of walking ability in patients with post stroke hemiplegia   林田 一輝(博士後期課程) Effects of sharing goals with others on sense of agency and perceptual motor learning   畿央大学大学院健康科学研究科博士課程 水田直道   ●畿央大学ニューロリハビリテーション研究センターHP ●畿央大学ニューロリハビリテーション研究センターFacebook   【関連記事】 森岡周教授と大学院生が第40回日本疼痛学会で発表!~畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 第25回Cognitive Neuroscience Societyで研究発表!~健康科学研究科 長崎大学大学院 運動障害リハビリテーション学研究室と研究交流会を開催!~ニューロリハビリテーション研究センター

2018.07.02

日本老年看護学会第23回学術集会に看護医療学科教員・健康科学研究科院生が参加・発表しました!

2018年6月23日(土)~24日(日)に福岡県久留米市にて行われた、日本老年看護学会第23回学術集会(約1,980名参加)に、老年看護学領域の教員4名が参加しました。      「つなぐ つくる つたえる 老年看護の創出―より豊かに生きることを支え合う-」をテーマに、様々な分野で活躍されている諸先生方の講演や一般演題発表が行われました。 認知症になっても暮らしやすい地域づくりやその人らしく生きるための意思決定支援など、高齢者が住み慣れた地域でより豊かに生きるために欠かせない倫理的な問題や課題、取り組みについての講演を拝聴させて頂きました。 また、人生の最終段階における医療・ケアについての講演、発表が多くみられました。 これは高齢多死社会の進行に伴う地域包括ケアシステムの構築に対応する必要があることや、英米国を中心にACP(アドバンス・ケア・プランニング)の概念を踏まえた研究・取組が普及してきていることを踏まえて、今年3月に「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」が改訂されたことに関連していると考えられます。   今回、畿央大学大学院生の島岡、尼﨑が示説発表を行いました。 尼﨑のテーマは「高齢者施設における終末期ケアの意思決定支援に関する文献検討」でした。 海外のACPのガイドラインがどのようなものかという質問があり、今回は高齢者施設の文献検討であったこと、イギリスではNHS主催の終末期ケアプログラムの一環としてガイドラインが開発されていることを説明しました。今後も、最期までその人らしい生き方、本人の意思を尊重したEnd-of-lifeケアの実践に向けて、研究活動を進めていきたいと思います。     島岡のテーマは「新オレンジプランにおける我が国の認知症カフェに関する研究の動向」でした(学術研究助成基金助成金 挑戦的萌芽研究 16K15979)。 発表後に今後の研究について、「認知症カフェにはいろいろなタイプがあるが、どのような方向性でまとめていくのか」と質問を受け、「認知症カフェは主に5つのタイプに分類されるが、これをベースとして更に新しい可能性を模索し、発展させたものをモデル化していこうと考えている」と答えました。このやり取りの中から自己の方向性が再確認できました。     また、今回聴講した発表の中には、認知症サポーターとなった大学生が認知症カフェを拠点にし、主体的に認知症の啓発活動を行っている紹介がありました。     Orange Projectの公式Facebookはコチラ!   若い世代の学生たちが認知症に興味を持ち、認知症を理解して当事者や家族の方たち、地域の方たちと関わることで地域のエンパワメントを高め、地域が活性化できる。また、他の同世代の若い人達に活動を紹介してくれることで更に認知症に関心を持つ若者が増えるという発表は、現在行っている認知症カフェの研究にとても役立つ内容でした。 今回の学会参加で自身の研究の発展につながる様々なヒントを得ることができ、とてもいい刺激を受けました。認知症になっても安心して暮らしていける町づくりに少しでも貢献できるように、今後も自身の研究を深めていこうと思います。   健康科学研究科修士課程 尼﨑裕子 島岡昌代   【関連記事】 川上村民生児童委員会の方を対象とした「認知症を正しく理解する講習会」を開催!~看護医療学科 平成30年度第2回「Kioオレンヂ喫茶(カフェ)分かち合いin御所」を開催!~看護医療学科 平成30年度第1回「Kioオレンヂ喫茶(カフェ)分かちあい in 御所」を開催!~看護医療学科