2023年11月29日の記事

2023.11.29

看護実践研究センター第9回研修会「地域共生社会の実現に向けて~様々な在留資格による外国人介護職受け入れの現状と課題~」を開催しました。

看護実践研究センター地域包括ケア部門では、乳幼児から高齢者までの看護分野における連携および他職種との連携と協働からのケアシステムおよびケアのあり方を探求するとともに、それらに関連する情報を提供し、健康増進に寄与することを目的としています。   令和5年11月25日(土)に「地域共生社会の実現に向けて~様々な在留資格による外国人介護職受け入れの現状と課題~」をテーマとしてパネルディスカッションを開催しました。       世界に類をみない超高齢・超少子社会を迎えた日本では、要介護者の急増によるケアの担い手不足から、外国籍介護士の本格的な参入が進められ、ケアに必要な資格を取得するため技能修習生として現場で学びながらケア実践能力を獲得する方が増えています。 そこで、本研修会では、外国人介護職のケア実践に向けた受け入れ施設の現状と課題を理解し、そういった外国籍の方を理解し受け入れる地域共生社会の実現に向けて必要な要素を考える機会とし、以下の4名のパネリストの方にご登壇いただきパネルディスカッションを開催しました。     【受け入れ施設として】 社会福祉法人兵庫県社会福祉事業団 あわじ荘 所長 米田知弘様 社会福祉法人六心会 地域密着型特別養護老人ホームきいと 施設長 高口誠様 社会福祉法人六心会 介護老人保健施設ここちの郷 生活課課長 小菅知子様   【生活支援団体として】 NPO法人ガルーダ・ジャパンコミュニティ 代表理事 西口和寿様 実際に技能修習生を受け入れている施設で行われている支援としては、まず受け入れる目的を全スタッフで共有し、ケアマニュアルを見直し、修習生に説明ができる内容に更新することをはじめとして、生活支援としては、日本での生活がスムーズになるように住まいの確保、行政や銀行の手続き、コミュニケーションとして必要な日本語の学習、特に修習生は「ちょっと」「こまやかに」といった日本語特有の曖昧な表現が理解できにくいので、理解ができるような具体的な説明が必要であること、そしてケア技能の学習を技能性の特性に合わせて工夫してできることを増やし、困ったときに「助けてほしい」と言える自立を目指されていました。 受け入れたメリット(実感)としては、アジア諸国から来日した修習生は、真面目で礼儀正しく、視線の合わせ方やケアの丁寧さから、施設入所者や利用者の方々からは、日本人スタッフよりも好評だとのことで、日本人スタッフにも見習ってほしいとのことでした。   課題としては、住まいの確保として外国人だからという理由で入居を断られることが多々あり、地域で外国籍の方を受け入れる意識の土壌創りが必要だとのことです。その対応策として、地域の祭りや行事に積極的に参加し、お互いに理解しあえる機会を増やすように工夫しているとのことでした。また技能修習生が資格を取得した後、継続して就労してくれるかは未知数で、今後の法改正により短期間で転籍が可能になると、便利な都会に移動してしまい、地方では人材確保がさらに困難になることが予想され、せっかくの定着支援が功をなさない可能性があると危機感を持たれていました。   インドネシア人の方々の生活支援をしている西口様からは、宗教や文化・風習の違いを理解することが必要であること、その機会をバザーやお祭り・食事会などのイベントを通して創り、他NPO法人との情報交換や連携を図っているとのことでした。 そういった意味から「つながる」ことについての意見交換が行われました。 これらのことから、技能修習生の来日の目的や目指すことを理解したうえで、人材育成として成長を促す支援と私たちにできることとして、宗教や宗教による食べ物の違い・文化を尊重し理解しようとすること、そして今後の課題として、日本で長く定住できるような行政の関わりや支援も必要であることが明確になりました。   対面とオンラインのハイブリッド開催でしたが、オンラインでは、北海道や鹿児島からの参加やベトナムなど外国籍の方、また院内研修としてスタッフで参加された医療機関がありました。     参加された方々からは以下の感想が寄せられました。 言葉や文化の違いのある外国の方の受け入れには入念な準備が必要だと思いました。些細なことでもいいからコミュニケーションをとることでつながるきっかけにしていきたいと思います。 外国人が地域に根付くこととそれを受け入れることは、日本が苦手としている分野であり、目的の共有、という点、なるほどなぁ、と納得しました。 組織をあげて受け入れされていることが、良い実習につながっていると感じました。その根底に、双方の目標意識の共有があると思います。 地域の行事や日本の文化、日常の生活での声かけから学ぶ点が沢山あるし、積極的に声かける人は沢山の事を学ぶと感じました。 最後は、人と人のつながり、個人の有り様とまわりのつながりが、大切ということですね。   ご参加いただいた皆様ありがとうございました。       看護実践研究センター地域包括ケア部門           看護医療学科 准教授 前田則子   【関連記事】 畿央大学 看護実践研究センター 新たな産育コミュニティをめざして「マタニティクラス」を開催しました!〜看護実践研究センター 2023畿央祭・ウェルカムキャンパスで、がんカフェ「きらめき」開学20周年記念拡大版を開催!~看護医療学科 看護実践研究センター「親子のつどいサロン秋祭り」を開催しました 看護実践研究センター第8回研修会「医療的ケア児と家族が安心して暮らせる地域づくり」を開催しました。 2022畿央祭・ウェルカムキャンパスで、がんカフェ「きらめき」 を3年ぶりに対面実施!~看護医療学科 畿央大学看護実践研究センター第7回研修会 「地域で・笑顔で 生きるとは」を開催しました。