2017.07.05
指定難病の一つ「多発性硬化症」を学ぶ~看護医療学科「成人看護学対象論」
6月27日(火)3限目、看護医療学科2年次配当「成人看護学対象論」で、多発性硬化症友の会・兵庫県支部より講師をお招きして、講義をしていただきました。
多発性硬化症は指定難病のひとつで、中枢神経系の脱髄疾患です。若年成人の女性に発症する割合が高いと言われています。症状は視力低下・視野欠損、知覚障害、運動障害など障害される神経によってさまざまです。学生たちは多発性硬化症の病態や症状・治療について事前学習をして講義に臨みました。
講師の先生は、多発性硬化症でありながらも看護師として活躍しています。事前にその情報は学生たちに提示していなかったので、学生たちは、さっそうと登壇した方が(まさか)患者様ご本人?とは思えなかったようです。このことから、外見だけで人を判断することの危うさや、病気を抱えて社会生活を営んでいる人々への認識を新たにしていました。
講義では多発性硬化症という病気について資料を配布して説明され、多発性硬化症の診断に至るまでの経験を話していただきました。多発性硬化症と診断された時の衝撃については「一生脱げない鎧をまとったような」と表現され、そのときの医療者の配慮に欠けた対応についても話をしていただきました。また、多発性硬化症と診断された時にインターネットで目にした「寝たきり」「失明」「脳萎縮」の3つの言葉が頭を離れなかったこと、しかし入院中に医師から病気について丁寧に説明された経験を踏まえ「敵を知らないと戦えない」と病気と向き合うためには知識を持つことが大事だと話してくださいました。
先生は現在も体の正中がずれた感覚があること、常に横隔膜の周囲を柔道の帯で締めつけられている感覚があることとそのため呼吸がしづらくなること、しびれ、指先の巧緻性が低下しているなどのさまざまな症状を抱えながらも看護師として仕事もされています。今、多発性硬化症であることも看護師であることも誇りであるということも話して下さり、最後は看護師をめざす学生たちにエールを送って下さいました。
学生たちは先生がたどった経験から、病気を診断された患者様の気持ちを配慮して、自分がその立場だったら、そして看護師としてどのように接していけばよいか真剣に考えていました。そして、看護の対象者を理解し、その人にとって本当に必要な看護を導き実践することの重要性を実感していました。
先生のおっしゃった「生きる力を支える看護」は学生にとって印象深い言葉になったようです。今回の学びを忘れずに、患者に寄り添える看護師になってほしいと思います。
看護医療学科 教授 山本裕子