2024年6月25日の記事

2024.06.25

ホスピス見学実習に行きました!~看護医療学科「終末期ケア論」 vol.2

終末期ケア論は、看護医療学科3年次前期に必修科目として開講しています。   授業では、多死社会を迎える現在「死にゆく対象の理解」を深め、適切な援助技術を理解することをめざしています。また、自らの死生観について問いながら、人生の終末にその人らしさを支える看護師の役割について考える授業を展開しています。   ▶今年度の「終末期ケア論」についての記事はこちら   今回は履修している学生のうち希望者を募って、磯城郡田原本町にある国保中央病院緩和ケアホーム「飛鳥」 の見学実習に行ってきました。   3回生は後期に領域実習を控えており、前期の授業では各論の専門科目を履修しています。演習や課題提出が多く時間管理をすることが大変な時期ですが、ホスピスでの看護ケアに関心のあるメンバーが、この日を楽しみに参加してくれました。   ▼ホスピス病棟の牧野師長からの講義を真剣に聴く学生     国保中央病院緩和ケアホーム飛鳥は、20年前に奈良県初のホスピスとして設立されました。治癒が見込めない終末期がん患者のために、心身の苦痛を軽減し穏やかに時間を過ごすための症状緩和をすることが、ホスピスにおける医療の中心です。   学生はホスピス病棟師長の牧野看護師から、ホスピス病棟での終末期ケアについて講義を受けました。その中で、これまで授業で学んだ「悲嘆のケア」や「家族のケア」、「全人的苦痛を抱える対象への緩和ケア」についてうかがい、学修した内容を今一度振り返る貴重な時間となりました。   講義のあと、ホスピス病棟の構造・機能を理解するために病棟見学をさせていただきました。   ▼病棟のリビングには、季節を感じさせる笹飾りがおかれていました     緩和ケアホーム飛鳥は、国保中央病院本館と渡り廊下を経た場所に位置する院内独立型ホスピスです。病棟内は静かで、病院であることを感じさせない佇まいでした。学生は、花の名前が表示された病室や笹飾りがあしらわれたリビングルーム、テラスガーデンや看取りが近い患者の家族が宿泊できる家族室などを見学しました。   ▼病室には、すべて花の名前が付けられています。     案内してくださった師長さんから、家族室を使用された時の患者・家族のエピソードなどを聞いて、終末期の患者・家族への奥深いケアについて考える機会を持ったようです。   また見学中には、症状緩和を目的に入院してきた対象が、自宅で過ごすことを希望され、家族が自宅で介護をすることを決定し、緊急で退院する事例への対応がありました。患者・家族の決定を支え、退院の準備をする医師・看護師の働きを目にした学生は「普段学んでいる患者さん中心の医療や意思決定支援について、ホスピスでは特に大切なこと」と感じていました。   ▼見学のあと、師長さんにたくさんの質問に答えていただきました     講義や見学、遺族会の様子を画像で見せていただいたあとは、牧野師長さんに学生からの質問に答えていただきました。入院の手順や実際のケアについて、チーム医療についてなどの質問に加えて「死という場面にいつも緊張感をもって仕事をする看護師さんたちの、ストレスマネジメント」についての質問も出ていました。   後期からの領域実習で学生たちは、予後不良の対象や人生の終わりが近い対象のケアを経験することもあると思います。この見学実習で得た学びが、そのとき役立つことを願っています。また、4回生になるとホスピス実習の機会もあります。ホスピスケアに関心を持ち続けて次年度の実習にもチャレンジしてくれることを願っています。   お忙しいなか、見学実習に協力いただきました国保中央病院のみなさまに感謝いたします。   ▼玄関前で牧野師長さんと記念撮影      健康科学部看護医療学科 准教授 對中 百合 大友 絵利香   【関連記事】 外部講師による講義「看取りを体験した遺族に対する看護の課題」~看護医療学科「終末期ケア論」 フレンドリーをめざす「認知症ケア論」のご紹介!~看護医療学科 外部講師による講義「若年性認知症の理解とその支援の実際」~看護医療学科「認知症ケア論」vol.2 外部講師による講義『食べたい!』を支えるケア ~看護医療学科「老年看護学援助論Ⅱ」vol.1 『実習に活かす高齢者看護技術』高齢者の個別性に合わせた援助を考える~看護医療学科「老年看護学援助論Ⅱ」Vol.2 「どこでもシート」の魔力~看護医療学科「老年看護学援助論Ⅱ」vol.3