2012年10月1日の記事

2012.10.01

理学療法学科 田平先生の2012年欧州呼吸器学会への参加レポート

この度2012年欧州呼吸器学会に参加してきました。学会は、9月1~5日にオーストリア、ウィーンのReed Messe Wienで開催されました。この学会は、呼吸器の医師や医療従事者を対象にした学会では世界最大級であり、呼吸器の基礎から臨床まで幅広い演題の発表がありました。   私は、9/2(日)に”Exercise capacity: from elite athletes to severe impairment”セッションで”Skeletal muscle oxygenation during exercise in patients with chronic respiratory failure”という演題をポスター発表しました。ポスター発表は、ポスターの前に立って、参加者と討論するイメージがあったのですが、この学会ではほとんど(全て?)のセッションで、1演題につき質疑を含めて10分程度の口述発表の時間が設けられていました。事前情報がなかったため、セッションが始まってから口述発表の準備をしたのですが、不十分ながらも何とかプレゼンできたと思っています。   セッションのChairmanは、Romer LM、 Neder JAの2名で、特にNeder氏一派は、COPD患者の骨格筋の酸素動態に関して多数報告しており、私も研究で良く参考にしている研究者でした。私の演題では、近赤外分光法(NIRS)による酸素抽出率やその解釈について、chairmanから「大きな問題がある」と指摘を受けたのですが、承知の上で提示しており、それが本研究の解釈の限界であることを伝えました。またNIRSの指標についても質問がありましたが、脱酸素化ヘモグロビンが最も良い酸素利用の指標であることは明らかでないという点や、Fickの式から考えると組織酸素飽和度がベストの指標であると考えていると伝え、最終的には問題はあるが興味深い演題との評価をもらいました。参加者からは、発表で用いた式の理解が難しいとの質問を受け、ポスターのコピーを用いて手書きで説明しました。その他にも機器のことや、呼吸不全という表現はおかしいとか、沢山の質問やコメントをもらいました。 その他、今回一緒に参加した大学院生(D3有薗さん)や友人の発表、そして興味のある演題を聞きに行き、いくつか質問しました。印象としては、日本の呼吸器学会や体力医学会とレベルの差は感じないのですが、違いはただInternationalであり、討論するにはもっと英語力を付けなければと再認識させられました。いずれにしても、以前参加したWCPTより多くのDiscussionができ、またNeder氏とも意見交換出来て、とても充実した学会になりました。 健康科学部理学療法学科 教授 田平一行