2017年2月7日の記事
2017.02.07
平成28年度神経リハビリテーション研究大会が開催されました!
1月28日(土)~29日(日)、信貴山観光ホテルにて、神経リハビリテーション研究大会が開催されました。この研究大会は、毎年恒例の合宿形式となっており、今年で11年目を迎えました。 本年度は、ニューロリハビリテーション研究センターの教員と大学院博士後期課程・修士課程のメンバー総勢31名が参加しました。また初めての試みとして、大学院修了生の中野英樹さん(1期生)と河村章史さん(2期生)をお招きし、それぞれ現在進めている研究について紹介して頂きました。 初日は信貴山観光ホテルにて、森岡教授の開会の挨拶から始まり、修士課程2年の最終審査に向けた予演会と上記修了生の研究紹介が行われ、様々な視点から質問応答や意見交換が繰り広げられていました。 どの発表にも明確な研究目的や臨床意義がある中、特に修了生の研究紹介では、研究の質や精度を上げるために、厳密な研究方法を検討されており、研究手続きの一つ一つに根拠を持って取り組んでおられました。また自身の研究を紹介することに対して、楽しみながら話されている点も印象的な光景でした。 夕方には3グループに分かれて、修士課程1年の研究計画に対するディスカッションが行われました。各グループのメンバー全員から、意見やアドバイスを頂くことで研究計画が洗練されていくのを感じる中、議論が白熱し過ぎて時間が超過する場面もありました。 1日目終了後の懇親会でも、白熱したディスカッションは続き、日が変わるまで議論が続きました。 2日目の合宿終了後、畿央大学に戻ってからも、ディスカッションが引き続き行われ、最後に森岡教授による閉会の挨拶で無事に全日程を終えました。 森岡教授からは、これまでの大学院修了生が残してきた研究成果を振り返り、社会の役に立つ研究成果を世の中に出していくためにも、研究を絶えず継続していくことが必要であるとのお言葉を頂きました。 社会人として臨床で働く我々の対象者を通じ、最終的には社会に貢献できるような研究成果が出せるように、今後も研究室一同精進していきたいと考えております。 最後になりましたが、このような機会を与えてくださった森岡教授をはじめとする研究センターの皆様、神経リハビリテーション研究大会の開催にご尽力頂きました関係者の方々に深く感謝を申し上げます。 畿央大学大学院 健康科学研究科 修士課程1年 平田康介 【関連サイト】 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 【関連記事】 ●「平成27年度 畿央大学神経リハビリテーション研究大会」 ●「平成26年度 畿央大学神経リハビリテーション研究大会」 ●「平成25年度 畿央大学神経リハビリテーション研究大会」 ●「平成24年度 畿央大学神経リハビリテーション研究大会」 ●「平成23年度 畿央大学神経リハビリテーション研究大会」 ●「平成21年度 畿央大学神経リハビリテーション研究大会」 ●「平成20年度 畿央大学神経リハビリテーション研究大会」
2017.02.07
大学院生の研究成果がJournal of Rehabilitation Medicine誌に掲載!~健康科学研究科
運動が脊髄損傷後の神経障害性疼痛を軽減させることを明らかに -安静時脳波解析による検証- 脊髄を損傷すると神経障害性疼痛が生じることがあります。脊髄損傷後の神経障害性疼痛は高い確率で出現し、心理的な苦痛や生活の質の低下を引き起こします。畿央大学大学院健康科学研究科博士後期課程の佐藤剛介らは、有酸素運動(車椅子駆動)により脊髄損傷後の神経障害性疼痛の緩和や負の気分状態が改善し、運動野周囲のα帯域の活性を変化させることを明らかにしました。この研究成果は、Journal of Rehabilitation Medicine誌(Effects of wheelchair propulsion on neuropathic pain and resting electroencephalography after spinal cord injury)に掲載されています。 【研究概要】 脊髄損傷後には運動麻痺・知覚麻痺・自律神経障害が生じ、神経障害性疼痛を始めとした様々な二次的障害を引き起こします。脊髄損傷後の神経障害性疼痛は様々な健康指標を低下させ、治療が難しいことが知られています。この脊髄損傷後の神経障害疼痛は、脊髄が損傷することにより脳と手足の神経を中継する視床と呼ばれる部位の機能異常を引き起こすことが原因の一つと考えられています。この視床の機能異常は脳波を測定した際にα波の変化で表され、具体的にはα波のピークを示す周波数であるPeak alpha frequency(PAF)が低下します。こうした脊髄損傷後の神経障害性疼痛に対して、有酸素運動を行うことで痛みを緩和させることが報告されており、有酸素運動による鎮痛効果は新たな視点として注目されています。さらに、健常者の実験では有酸素運動により負の気分状態が改善することやPAFが増加することが明らかにされています。しかし,これまで脊髄損傷の患者において運動による鎮痛効果と安静時脳波活動(PAFの変化)との関係は明らかにされていませんでした。 今回、研究グループでは脊髄損傷の患者さんが日常生活で使用する車椅子を駆動する運動を行うことでPAFを増加させ、神経障害性疼痛と負の気分状態への効果を検証しました。主観的運動強度で「ややきつい」~「きつい」程度の15分間の車椅子駆動の結果、足や背中の神経障害性疼痛の主観的疼痛強度の減少と負の気分状態が改善し、中心領域(運動野に相当する領域周囲)におけるPAFの増加が認められました。 この研究成果は、有酸素運動が脊髄損傷後の神経障害性疼痛や負の気分状態に対して有効であるとともに、脳波測定のような神経生理学的指標を用いて運動により視床の機能異常が一時的に軽減することを明らかにしたことになります。 研究内容の詳細については畿央大学ニューロリハビリテーション研究センターホームページでご覧になれます。
2017.02.07
大学院生の研究成果がClinical Rehablitation誌に掲載!~健康科学研究科
畿央大学大学院健康科学研究科博士後期過程の今井亮太らは、橈骨遠位端骨折術後患者に腱振動刺激による運動錯覚を惹起する(引き起こす)ことで痛みの軽減のみならず、手関節の運動機能の改善が認められたことを示しました。また、この効果は術後2ヵ月経っても持続していました。その研究成果はClinical Rehabilitation誌(Effect of illusory kinesthesia on hand function in patients with distal radius fractures: a quasi-randomized controlled study)に1月12日に掲載されました. 【研究概要】 2015年に今井らは、橈骨遠位端骨折術後患者に腱振動刺激による運動錯覚を惹起させることで、痛みの感覚的側面だけではなく情動的側面(不安や恐怖)の改善が認められたことを報告しました。またこの時、2ヵ月後まで効果が持続したことも示さました。しかしながら、理学療法において痛みを改善軽減させることは重要ですが、1番の目的は手関節の運動機能(ADL)の獲得であるにも関わらず、調査ができていませんでした。そこで本研究では、2ヵ月後まで手関節の運動機能を評価して検討しました。その結果、運動錯覚を惹起しなかった群と比較して、運動錯覚を惹起した群では有意に手関節の運動機能の改善が認められました。 詳細はニューロリハビリテーション研究センターホームページでご覧になれます。
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