2024.10.31
自助と共助で災害に備える~看護医療学科「災害看護Ⅱ」
看護医療学科4年次後期に配当される「災害看護Ⅱ」の授業では、災害の種類と健康被害の特徴、災害サイクルに応じた災害看護活動、他職種との連携体制の構築、災害時に必要な医療と看護技術による災害看護の実践、災害に備えた減災・防災マネジメントなどの体験や演習を通して、災害看護の機能と役割について学びます。2024年10月22日(火)には、学外実習として担当教員引率のもと、堺市総合防災センターに足を運びました。
自然災害に備える
地震大国である日本は、数年に一度大規模な地震が発生しており、東日本大震災や本年元日の能登の地震は記憶に新しいです。また、近年の異常気象により経験したことのない風水害の被害も多くなっています。しかし、私たちはそれらの災害を映像で見るばかりで、実際に経験したことがありません。
近い将来必ず起こると予測されている南海トラフ巨大地震に備え、自分たちの力で何ができるのか、自然災害についてより実践に近い形での学びを得るため、堺市総合防災センターでの学修を行いました。
心肺蘇生
心停止の要救助者に対する、胸骨圧迫・AEDによる除細動の訓練を行いました。大学の講義で行ったこともあり、全員スムーズに行うことができていました。
地震体験
直下型地震(阪神淡路大震災)と海溝型地震(東日本大震災)を体験しました。震度6を超えると手すりを掴んで立つのがやっとでした。
火災体験
消火器の使用と煙・暗闇体験を行いました。消火器の使用では、火の根本を狙って消火することや、見た目に火が消えていても必ず通報する必要があることを学びました。
煙・暗闇体験では煙が充満した部屋の中を壁伝いに出口まで進みました。体験では無害の煙を使用しましたが、それでも視界を奪われ、呼吸の不快さを感じました。実際の火災では煙に含まれる一酸化炭素は天井から充満していくため姿勢を低く保ちながら移動することが重要です。また、完全な暗闇になると方向感覚を奪われ、短時間でも恐怖を感じました。
がれき救助体験
最後に、がれき救助体験です。阪神淡路大震災では救助された人の大多数が家族や近隣住民によって救出されています。災害発生時の公助には限界があり、自助や共助が必要となります。限られた資材や人員で安全に救出するための方法について学びました。
周りの人と協力し、ジャッキや、木材、長い棒などその場にあるものを活用して重たいものを持ち上げる方法や毛布を使用した担架の作り方を学びました。
参加した感想
地震や煙・暗闇の体験を通して、被災者が経験する恐怖について考えることができました。災害発生以降、被災者の看護を行う際には身体的な状態だけでなく心理状態も考慮し、ケアを行う必要があると改めて学ぶことができました。
また、がれき救助の体験では自助・共助の力で救助を行うことができると実感することができました。より多くの人の命を守るためには、要救助者と自分自身や、周囲の人々の安全を確保した上で救助を行うことが必要だと学びました。
いつ起きるかもわからない災害に備え、看護師として、また地域住民の一人としてより多くの命を守ることが自分たちの役割だと感じました。
看護医療学科 准教授 酒井 啓子
4回生 辻野 晴菜
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