2017年5月29日の記事

2017.05.29

第60回日本糖尿病学会総会でプロジェクト研究の成果を発表!~畿央大学健康科学研究所

畿央大学健康科学研究所プロジェクト研究・課題名「アンチエイジング戦略の疫学的・実証的研究」(研究代表者:金内雅夫)の研究成果について発表しました(通算5報目)。   演題名:『地域在住高齢者における腸内細菌叢と食習慣・糖尿病の関連について』 柴田 満(健康栄養学科)、岩村真樹(大学院生・理学療法士)、藤澤弘枝(看護医療学科)、金内雅夫(健康栄養学科)   2017年5月18日~20日に名古屋市の名古屋国際会議場で開催された第60回日本糖尿病学会総会において、柴田助教が「地域在住高齢者における腸内細菌叢と食習慣・糖尿病の関連について」と題して畿央大学プロジェクト研究の成果を発表しました。   ▼ 糖尿病学会総会でポスター発表する柴田助教     本研究班は地域で元気に暮らす高齢者から健康長寿の秘訣を探る目的で、2年前から香芝市のフィールドで調査を実施してきました。1回20~25名の現地調査を行い、これまでに約100名の方のデータを集積しております。   ▼ 今年1月に実施した現地調査の様子     とくに本研究の新規性としては、食習慣の内容、運動機能、身体組成などを調査するとともに「腸内細菌叢分析」と健康長寿の関連を明らかにしようとする点にあります。これまでの研究結果から、柴田助教は高齢者での食習慣と腸内細菌叢の変化は肥満や糖尿病と関連する可能性があることを報告しました。今後さらに症例数を増やして、健康長寿へのかかわりについて詳細に検討していきたいと考えています。   健康栄養学科 教授 金内 雅夫 【関連記事】 第37回日本肥満学会でプロジェクト研究の成果を発表!~畿央大学健康科学研究所 「Atlas of Science」に健康科学研究所プロジェクト研究の成果が掲載されました! 第17回国際嗅覚味覚シンポジウムで健康科学研究所プロジェクト研究の成果を発表! プロジェクト研究の研究成果を発表~畿央大学健康科学研究所

2017.05.29

認知症高齢者の緩和ケアをテーマに「第1回 認知症高齢者の終末期ケア研修会」を開催しました。

5月22日(月)畿央大学にて「第1回 認知症高齢者の終末期ケア研修会『認知症高齢者の緩和ケア-メルボルンにおける緩和ケアの実際-』」を開催しました。 この講演会は「文部科学省 基盤研究C(代表 山崎 尚美) グループホームの終末期ケアにおける看護連携を強化する教育支援システムの開発」の助成を受けて開催しています。     講師はJulie Paul氏です。彼女はオーストラリアの緩和ケア分野のナース・プラクティショナー※1であり、メルボルンのBanksia Palliative Care Officeの施設長です。   ※1 ナース・プラクティショナー(NP:Nursing Practicioner) 大学院等において専門的な教育を受け、比較的安定した状態にある患者を主たる対象として、自律的に問診や検査の依頼、処方等を行うことが認められた看護師のこと。       当日は看護医療学科の実習施設の方や介護老人施設の方々はじめ、認知症高齢者の終末期ケアに関心のある方々約71名と本学看護医療学科学生106名、教員を加え200名近くが講演を聴かせていただきました。 日本では「緩和ケア」というと、がん患者さんを対象としたケアをイメージされる方がまだまだ多いのですが、みなさんはいかがでしょうか? 緩和ケアとは生命に関わる病気(HIV感染症、末期の呼吸器疾患や心臓疾患など)や高齢化に伴う課題に直面する(認知症など)、個人とその家族の「QOL(生活の質)」向上へのアプローチであると話されました。では「QOL(生活の質)向上」とは何でしょう? Julie氏は「何が『QOL(生活の質)』向上かはその人が決めること」と言われました。なるほど!と思いました。病気のとき、何が大切なのか、どうしてほしいのかは人それぞれです。決めるのはケアを受けているその方です。     これから認知症の方が増えてくるのは日本もオーストラリアも同じです。認知症の方は日常生活を他者に依存することが多くなること、コミュニュケーションの表現力や受容力に支障が生じやすいので緩和ケアが必要、と話されました。また、どの疾患のケアにも必要な「痛み」についても「看護師の観察」の大切さを説明してくださいました。 90分の講義の間、みなさん真剣な表情で耳を傾けられ、大きな拍手で講演が終了しました。     講演会後はJulie氏を囲んでランチを食べながらの懇親会を持ちました。Julie氏と夫のTim氏、認知症家族会の方、他大学教員、認定看護師、ケア・マネージャー、本学教員も参加させていただいての懇親会でした。     ▼懇親会の前には昨年海外インターンシップでお世話になった看護医療学科の学生がご挨拶   懇親会では、終末期に食べてもらうことがいいのか、自分の終末期について意思表示しておくこと、高齢施設への入居基準、高齢者虐待、子どもへの「死」に関する教育など、オーストラリアも日本も同じような課題を抱えていることがわかりました。そしてオーストラリアも日本も本人、家族、専門職などそれぞれが認知症高齢者その人ののぞむQoLをめざして援助していることもわかりました。   来日頂いたJulieさん、Timさん、わかりやすい通訳してくださった通訳の方、ありがとうございました。 また暑い中ご来校くださった参加者の方々、学生の皆さんにも御礼申し上げます。     看護医療学科 寺田美和子   【関連リンク】 看護医療学科 海外インターンシップ in オーストラリア 現地リポートvol.3