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健康科学研究科
2025.04.23
活躍する大学院修了生vol.1~片山 脩さん(国立長寿医療研究センター勤務/健康科学研究科博士後期課程修了)
働きながら学べる畿央大学大学院を経て、現場で活躍する修了生をご紹介!大学院への進学を考えている方、あるいは研究に興味をお持ちの方に向けて、これまでのキャリアや大学院での経験、研究の魅力などを振り返っていただきました! 片山 脩さん(健康科学研究科 博士後期課程 2019年3月修了) 現在のお仕事・研究を教えてください! 国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター 老年学・社会科学研究センター 予防老年学研究部 特任主任研究員として勤務しています。 ▼ 脳波研究の様子 これまでのキャリアを教えてください! 中部リハビリテーション専門学校卒業➡医療法人瑞心会 渡辺病院で勤務を続けながら畿央大学大学院修士課程ならびに同博士課程修了➡国立長寿医療研究センター・特任研究員➡日本学術振興会・特別研究員➡コロンビア大学・博士研究員➡現職 ▼留学先のコロンビア大学の仲間たち 今は地域在住高齢者を対象としたコホート研究で非薬物療法による老年症候群、認知症、介護の予防について研究をしています。 修士課程の入学式は、上の子の保育園の入園式翌日だったことを覚えています。博士後期課程の際には下の子も生まれ、仕事と研究と子育てで大変ではありましたが、妻のサポートのおかげで無事に学位を取得することができました。また、コロンビア大学へ単身で留学した年は、上の子の中学校入学と重なりましたが、子供たちも成長してくれて妻のサポートをしてくれていたようで大変助かりました。留学中に1週間ほど家族がニューヨークに遊びに来て一緒に過ごした時間は、子供達たちにとっても良い思い出になっているようです。 ▼コロンビア大学での仲間とともに これまで取り組んできた研究、また今関心のある研究テーマ・キーワードは? 地域で自立して生活されている高齢者方を対象に老年症候群のリスクのある人を早期に発見する目的で高齢者機能健診(脳とからだの健康チェック)を実施して、参加者を対象に自治体と協力して介入研究を実施しています。 また、畿央大学大学院で学んだ脳波研究のノウハウを活かして軽度認知障害(MCI)の早期発見に向けた神経生理学的マーカーの解明や加齢や病理学的な脳の変化から予測される認知機能よりも、高く認知機能を維持することを可能とする脳の特性(認知予備能)について、第一人者であるコロンビア大学のStern教授の研究室へ留学して解析方法などを学び、今は脳波を用いて認知予備能の神経基盤の解明をめざして取り組んでいます。 【研究キーワード】脳波、認知症、軽度認知障害、認知予備能 大学院に進学したきっかけや目的は? 就職して1年目の春から担当した頸髄損傷の患者さんの痛みを軽減することができず悩んでいました。当時、畿央大学ニューロリハビリテーションセミナーをインターネットでたまたま目にして参加しました。セミナーでは痛みのメカニズムや世界中の研究について紹介がありました。 セミナーで紹介のあった脊髄損傷の患者さんの痛みに対する介入研究を参考に担当患者さんに介入を行ったところ痛みの軽減が見られました。しかしながら、私は痛みが軽減した理由を自分の言葉で論理的に説明することができないもどかしさが残っていました。そこで、介入研究のヒントをくださった畿央大学大学院へ進学して痛みが軽減したメカニズムを自分自身で解明したいと思い進学を決めました。 働きながら通えるように当時ではまだ珍しかったオンライン授業やオンデマンド授業が整備されており、愛知県で働きながら修士課程、博士課程を修了することができました。 ▼ 在学中に参加した国際学会での様子 大学院での時間を一言でいうと? 一言でいうと宝物です。 研究分野は違っていても、わからないことを明らかにしたいという思いはみんな同じで、その目標に向かって様々なディスカッションを先輩、同期、後輩の皆さんといつもしていました。その時間は今でも忘れることのない私の宝物です。 畿央大学大学院は、社会人でも学びやすい環境を教員の方々、事務の方々が丁寧にサポートしてくださることがともて魅力的だと思います。 ▼ 大学院在籍時のゼミ発表の様子 今の仕事や研究に、大学院での学びはどう活きていますか? 「他者のため、社会のためになる研究をしてください」 私の恩師である森岡 周教授から博士の学位授与式の後にいただいた言葉です。この言葉を今も常に意識しています。自分の研究は誰のために行うのか、社会にとってどのような意義があるのかを自身に問いかけながら研究を続けています。 また、今の職場の仲間ともディスカッションする時間を大切にしています。畿央大学大学院の頃から自分の研究の事ばかりではなく周りの方の研究についても知ること、意見をきちんと伝えることの大切さを学んだからこそ、今も職場の後輩にはディスカッションの時間を大切にすることを伝えています。 ▼ 現職の仲間と共に これから大学院進学を考えている方へのメッセージを! 大学院には、あなたと同じように「明らかにしたい」という思いを持った仲間がたくさんいます。一人だったり、職場の仲間だけでは解決できないこともあると思います。一歩踏み出して、大学院へ進学してみてください。そこには今までの自分にはなかった考え方や学び方、解決方法を知っている先生や先輩がいます。 畿央大学大学院は社会人でも学びやすい環境が整っており、先生も事務の方々もとても丁寧にサポートしてくださいます。同じ目標を持った仲間と必死に学ぶ大学院での時間は、その後の人生の糧となり、もう一つ上のステージにあなたを連れて行ってくれると思います。 ▶Researchmap(片山さんのページへ)
2025.03.25
日仏国際共同研究CREST-ANR NARRABODY 2nd Meetingが開催されました!~ニューロリハビリテーション研究センター
2025年3月16~19日に、奈良で日仏国際共同研究CREST-ANR NARRABODY 2nd Meetingが開催されました。 ▼ 昨年度の様子はこちら ▼ 日仏国際共同研究CREST-ANR NARRABODY 1st Meetingが開催されました!~ニューロリハビリテーション研究センター CREST:国立研究開発法人科学技術振興機構による戦略的創造研究推進事業 ANR:The French National Research Agency (ANR) NARRABODY:Narrative embodiment: neurocognitive mechanisms and its application to VR intervention techniques (ナラティブ・エンボディメントの機序解明とVR介入技術への応用) CRESTは国内の競争的科学研究費としてはトップに位置するもので、本学森岡周教授らの日仏合同研究チームが2.74億円(5年6ヵ月/3研究室合同)の研究費を取得しています。 【プレスリリース】森岡周教授らの共同研究が2023年度 CRESTに採択されました。 1日目:3月16日(日) □Information Exchange Meeting 2日目:3月17日(月) Morning Session (Shogo TANAKA, Chair) □Opening (Sotaro Shiomada) □Jean-Michel ROY: The Narrabody project and the minimal/narrative self distinction <Interview Reports> □Shingo MITSUE: What is the experience of improvement in walking ability in a hospitalized person with stroke?-A descriptive phenomenological case report- □Shogo TANAKA: Interview Analysis of Patient B (a case of movement disorder in the left upper limb) □Eric CHABANAT, Shotaro TACHIBANA: (TBA) Afternoon Session (Shu MORIOKA, Chair) <Research Progress Reports> □Hugo ARDAILLON: Temporal Dissociations in the Recovery of Anosognosia: Evidence from a Longitudinal Study of Two Cases □Sébastien MATEO: Updates about the FLY study □Yuki NISHI: State transition model for freezing of gait in Parkinson’s disease □Kazuki HAYASHIDA: Embodiment during walking ▼2日目はホテル日航奈良の百合の間でミーティングが実施されました。 3日目:3月18日(火) Hospital Visit □Nishiyamato Rehabilitation Hospital Afternoon Session (Sotaro Shimada, Chair) <Research Progress Reports> □Eric CHABANAT: Self-efficacy in rehabilitation among brain-injured patients □Shotaro TACHIBANA: Cross Cultural Adaptation Method to establish the Japanese version of Self-efficacy questionnaire □Yuanliang ZHU: Prism exposure and self efficacy of upper limbs (experiment updates) □Katsuki HIGO: Distinct roles of the premotor and occipitotemporal cortices in the full-body illusion □Yoshiki FUKASAKU: Influence of VR Avatar Operation on Fine Motor Function: Investigating the Mechanism with a Focus on Character Change □Miyuki AZUMA: Integrative Measurement of the Rubber Hand Illusion: A Phenomenological Interview and Brain Connectivity Approach Online Session (Shotaro Tachibana, Chair) □Sotaro SHIMADA: Conceptual Framework for Narrative Embodiement □Discussion on Interview Reports □General Discussion ▼ 3日目は奈良春日野国際フォーラムの会議室でミーティングが実施されました。 4日目:3月19日(水) Extra Session □Discussion □Closing ▼ 奈良公園で記念撮影をしました。 NARRA BODYプロジェクトの一環として、第2回NARRABODYミーティングが開催されました。本ミーティングには、日本側から嶋田総太郎教授(明治大学)、森岡周教授(畿央大学)、田中彰吾教授(東海大学)をはじめ、多くの共同研究者や大学院生が参加しました。フランス側からは、Jean-Michel ROY教授(ENS-Lyon)、Eric CHABANA助教授(リヨン大学)、Sébastien MATEO准教授(リヨン大学)をはじめ、Shotaro TACHIBANA研究員(リヨン大学病院)など、多くの研究者および大学院生が参加し、学際的な議論が展開されました。 今回のミーティングでは、本研究課題の核となるナラティブ・エンボディメントの概念的枠組みを筆頭に、基礎研究、パイロットスタディ、ケーススタディの報告、研究計画の共有など、それぞれの研究の詳細について活発な議論が交わされました。そして各研究には共通点も多く見出され、合同研究への発展に向けた新たな視点や洞察が得られました。これにより、日仏双方が取り組む課題の方向性がより明確になり、今後の研究の発展に向けた具体的なアプローチが再形成される重要な契機となりました。 また、西大和リハビリテーション病院における臨床見学や患者インタビューを通じて、日仏の医療制度や文化的・社会的背景について理解を深める機会が提供されました。この経験を基に、現象学的グループの主要課題であるナラティブデータを通じた患者のナラティブ遷移モデル構築に向けて、適合除外基準や測定期間の再調整に関する議論が活性化されました。特に、インタビューを用いた研究は、リハビリテーション現場への直接的な還元のみならず、「自己」や「ナラティブ」といった哲学的な探求をさらに深化させる可能性を秘めています。 さらに、フランス側の研究者たちは、科学的な議論において卓越した知見を提供してくれただけでなく、ミーティング期間中には細やかな配慮をしてくださいました。彼らの温かい人柄と深い思いやりに触れたことで、研究交流を通じた人的ネットワークの重要性を再認識する貴重な機会となりました。 本ミーティングは、NARRABODYを通じた認知神経科学、哲学(現象学)、ニューロリハビリテーションの今後の発展において、極めて重要なステップとなりました。学際的な連携をさらに強化し、今後の研究の深化と発展に向けた礎を築くことができたといえます。 ▼ Online Session時に集合写真の撮影をしました。 関連記事 日仏国際共同研究CREST-ANR NARRABODY 1st Meetingが開催されました!~ニューロリハビリテーション研究センター 森岡周教授らの共同研究が2023年度 CRESTに採択されました。
2025.03.04
第40回日本栄養治療学会学術集会でYoung Investigator Award 2025を受賞 ~ 健康科学研究科
畿央大学大学院 健康科学研究科 博士後期課程2年の守川 恵助です。2025年2月14日(金)・15日(土)にパシフィコ横浜で開催された第40回日本栄養治療学会学術集会(JSPEN)において、「低BMIを伴う間質性肺疾患患者における体重あたりの安静時エネルギー消費量の特徴」をテーマに発表し、Young Investigator Award 2025を受賞しました。 学会発表の概要 間質性肺疾患(ILD)患者は低栄養のリスクが高く、適切な栄養管理が重要です。近年、ILD患者に対する栄養療法への関心が高まっていますが、エネルギー代謝に関する知見はまだ限られており、必要なエネルギー量の設定が難しいケースが課題となっています。本研究では、低BMIのILD患者において、体重あたりの安静時エネルギー消費量が急激に上昇する可能性を示唆する結果を得ました。この成果は、ILD患者のエネルギー代謝の理解を深め、今後の栄養療法の指針となることが期待されます。今後は、この研究を論文化し、より多くの専門家へ発信できるよう努めてまいります。 本研究は、健康科学研究科の田平 一行教授のご指導のもとで進められました。この場を借りて深く感謝申し上げます。 畿央大学大学院 健康科学研究科 博士後期課程2年 守川 恵助 関連記事 第11回日本地域理学療法学会学術集会で大学院生と修了生(客員研究員)が発表~健康科学研究科| 日本小児理学療法学会学術大会で大会長賞を受賞!~健康科学研究科 第22回日本神経理学療法学会学術大会へ参加しました! 森岡研究室の同門会に院生・修了生49名が参加!~健康科学研究科 本学にて第33回奈良県理学療法士学会が開催されました。~健康科学研究科・理学療法学科 第28回 日本ペインリハビリテーション学会 学術大会で大学院生が一般口述演題奨励賞を受賞しました!~健康科学研究科 【快挙】大学院生の研究において、脳卒中患者の物体把持の測定における新しいアプローチを開発しました。 【学生×実習先インタビュー】実習での症例を基にした卒業研究が国際誌に!vol.2~岩佐さん×赤口さん 【学生×実習先インタビュー】実習での症例を基にした卒業研究が国際誌に!vol.1~淡路さん×渕上さん 健康科学研究科の記事 理学療法学科の記事
2025.02.22
障がい児かかわり方セミナー活動報告~看護実践研究センター地域包括ケア部門事業:安心感の輪子育てプロジェクト
看護実践研究センター地域包括ケア部門では、母子分野における事業活動として、「安心感の輪 子育てプロジェクト」を展開しています。これに関連し、2月1日(土)に畿央大学で障がい児サポーター育成研修会「障がい児かかわり方セミナー」を開催しました。今年度は9月17日開催時に3名、今回9名、両日で計学生12名が参加しました。参加者には子育て応援ボランティアサークル「Smile」のメンバーや、保健師課程の学生、また将来的に子ども病院等への就職を目指している学生が含まれました。 セミナーでは、まずアメリカのグレン・クーパー、ケント・ホフマン、ボブ・マービン、バート・パウエルによって開発されたCircle of Security「安心感の輪子育てのプログラム」を一部紹介し、愛着についての理解を深めました。その後、障がい児の特徴や愛着形成支援のポイント、家族アセスメントの重要性について、教員の研究成果(科研費若手21K17446)をもとに詳しく学びました。また、演習として、プレイセラピー技法を取り入れた遊びのロールプレイを実施しました。参加者は、子ども役と支援者役に分かれ、実際に遊びながら声かけや関わり方を体験しました。 参加者からは以下のような感想が寄せられました。 「実際に遊び、声をかけてもらうことで、寄り添ってもらっていることを実感できた」 「子どもの感情を言葉にして伝えるためには、子どもの様子を丁寧に観察することが重要だと感じた」 「子どもと関わる機会が少なかったが、もっと楽しんで関わりたいという気持ちが強くなった」 今後も、在宅で障がい児をケアする支援者向けに愛着形成支援プログラムを開発し、小児在宅ケアにおける家族支援の円滑化と、実践能力向上を目指していきます。 *科研費基盤研究C24K14212 の助成を受けたものです。 畿央大学 看護実践研究センター 看護医療学科 准教授 田中 陽子 関連記事 令和6年度「臨地実習指導者研修会」を開催!~看護医療学科 ボランティア活動報告!~子育て応援ボランティアサークルSmile 認知症予防講座を開催しました。~ 看護実践研究センター認知症ケア部門 看護実践研究センターシンポジウム 行政・関係機関・大学連携による中小企業の健康づくり推進―広陵町における中小企業健康経営推進の取り組み―開催報告 「前向き子育てプログラム トリプルP」真美ケ丘西小学校PTA教育講演会活動報告 ~ 看護実践研究センター 安心感の輪子育てプロジェクト 畿央祭ウェルカムキャンパス「スマイル交流サロン」活動レポート~ 看護実践研究センター 畿央祭にて ”がんカフェ「きらめき」” を開催しました!~ 看護実践研究センター
2024.12.04
「前向き子育てプログラム トリプルP」真美ケ丘西小学校PTA教育講演会活動報告 ~ 看護実践研究センター 安心感の輪子育てプロジェクト
看護実践研究センター地域包括ケア部門の母子分野の活動として前向き子育てトリプルPプログラムの普及を進め、地域社会全体での子育て支援体制を強化していくことをめざしています。その事業として、講師依頼を受けた講演会について報告します。 ▶「安心感の輪子育てプロジェクト」についての関連記事はこちら 2024年11月16日(土)、真美ケ丘西小学校で開催されたPTA教育講演会において、**「前向き子育てプログラム トリプルP」**について紹介しました。本講演会では、オーストラリア・クィーンズランド大学のマシュー・サンダース教授が開発したこのプログラムの概要について、小学校の保護者や教育関係者、民生児童委員等64名に向けて紹介しました。 **「前向き子育てプログラム トリプルP」** とは? トリプルP(前向き子育てプログラム)は、オーストラリアのクィーンズランド大学のマシュー・サンダース臨床心理学教授が開発した、科学的根拠に基づく子育て支援プログラムです。このプログラムは、世界40か国以上で導入され、40以上の言語に翻訳されている、非常に広範囲に実践されている子育てプログラムです。 トリプルPプログラムの主な目的は、子どもの健全な成長を支援するために、親が子どもとの関係をより良いものにする方法を学び、実践することです。特に、親が子どもに対してポジティブな行動を強化し、問題行動に対して効果的に対応できるようになることを目指しています。 PTA教育講演会:「子どもの自信を育てる」 今回の講演では、「子どもの自信を育てる」をテーマに、子どもが健全な自己肯定感を持ち、他者を尊重し、問題解決力を養い、前向きな考え方を行うために親ができる具体的なアプローチを紹介しました。 参加者からは、「初めてこのプログラムを知り、非常に実践的で役立つ内容だと感じた」「家庭で実践できる具体的な方法がたくさんあったので、今すぐ試してみたい」といった感想が寄せられました。質疑応答では、参加者から積極的に質問があり、子育ての現場で直面している疑問に対する助言を行いました。 今後も地域から講師依頼を受けた際には、積極的に出向き、講演やワークショップを実施し、より多くの親や地域住民に対して実践的な子育て支援を提供していたいと考えています。またこのプログラムを通じて、地域での子育てに対する理解と支援の輪を広げ、子どもたちがより良い環境で育成されるように、引き続き地域との連携を深めていきたいと思います。 看護実践研究センター 地域包括ケア部門 看護医療学科 准教授 田中 陽子 関連記事 畿央祭ウェルカムキャンパス「スマイル交流サロン」活動レポート~ 看護実践研究センター 畿央祭にて ”がんカフェ「きらめき」” を開催しました!~ 看護実践研究センター 「アルツハイマーデー」啓発活動報告~看護実践研究センター 認知症ケア部門 「認知症の人と家族の交流会 in KIO」を開催!~看護実践研究センター認知症ケア部門 「障がい児の愛着形成支援」について研修会を開催!~看護実践研究センター プロジェクト研究成果発表会を開催しました!~看護実践研究センター 認知症予防講座「歌って、笑って若返り」を開催しました~看護実践研究センター認知症ケア部門 看護実践研究センター認知症ケア部門主催「高齢者看護・ケアに活かすホリスティック・ナーシング」講演会を開催しました。 看護実践研究センター第9回研修会「地域共生社会の実現に向けて~様々な在留資格による外国人介護職受け入れの現状と課題~」を開催しました。
2024.12.02
第11回日本地域理学療法学会学術集会で大学院生と修了生(客員研究員)が発表~健康科学研究科
2024年11月16日(土)~17日(日)の2日間にかけて第11回 日本地域理学療法学会学術大会が高槻城公園芸術文化劇場で開催されました。今年のテーマ「地域をつなぐ理学療法の役割と責任〜実践4領域の学際〜」でした。 地域理学療法学会では、実践領域を「個別-集団」という軸と、「直接-間接」という軸を直行させた4つの領域に整理しており、それぞれは独立したものではなく、包括的に考えられております。まだまだ「地域理学療法=生活期の理学療法」と理解をしている理学療法士が多い現状にありますが、医療機関も重要な地域資源の一部であり、全ての病期が地域リハビリテーションの対象となります。本学会ではこの観点から、様々なフィールドで働く理学療法士が互いの立場から意見交換を行い、地域を考える重要な機会となりました。 地域リハビリテーション研究室からは、私(高取)と博士後期課程の山本氏(宝塚リハビリテーション病院)、客員研究員の仲村渠氏(淀川キリスト教病院)が口述発表し、博士課程修了生の武田氏(北陸大学)はシンポジウムでの講師という形式でそれぞれ発表致しました。 研究内容のご紹介 <高取克彦>「地域リハビリテーション活動支援事業における理学療法士の役割とアウトカム指標に関する検討」 一般介護予防事業に含まれる「地域リハビリテーション活動支援事業」を通じたリハビリテーション専門職の活用は住民主体の「通いの場」支援へのニーズが高まっています。しかし,その支援内容は必ずしも理学療法士の専門性を発揮した取り組みになっていない場合も多いことから、本研究では地域の通いの場支援についての理学療法士の役割と、事業効果を明らかにするアウトカム指標を検討することとしました。住民主体にて「いきいき百歳体操」を毎週開催されている教室48ヶ所(参加者583名)を研究対象としました。体操指導や体力測定に留まらない理学療法士の役割として、直接評価によるフレイルや転倒ハイリスク者の抽出に重点を置くことの重要性を示しました。 また地域包括支援センターとの連携を通じて、これまで把握されていないハイリスク者数やフォローアップ結果を事業アウトカムとして取り入れることを提案する内容となっています。 <山本泰忠>「地域在住高齢者の社会参加数と中心性との関連」 地域リハビリテーション活動支援事業には、通いの場支援等が含まれており、地域在住高齢者の運動指導のみならず、新たな参加者を募ることで社会参加を促すという視点も求められています。社会参加に関わるソーシャルネットワークとの関連については、これまで主に量的観点や地域レベルで検討されてきたものの、通いの場グループ内の友人ネットワークなどの質的観点から十分には明らかにされておらず、本研究では中心性という指標を用いて社会参加数との関連を検討しました。結果、さまざまな中心性指標において社会参加数と正の関連があることが示されました。今回は通いの場参加者のみが対象でしたが、中心性という社会的文脈捉えた本研究の結果は、地域リハビリテーション活動支援事業を実践するリハ専門職や行政等の後方支援を行う実施主体に対して、通いの場の継続性や拡大への一助とすることができればと考えています。 <仲村渠 亮 > 「外来透析患者への運動指導加算算定期間内での運動効果及び終了後の自主練習継続率の調査 」 透析中患者への運動療法の重要性は多く報告されていることから、2022年診療報酬改定で透析中の運動指導に係る評価が新設されました。これに伴い更に多くの施設で透析中運動療法が実施され始めました。しかし、透析中運動療法の効果はトレーニング器具を用いた長期介入での報告や介入前後での効果のみの報告が多いことから、本研究は加算算定期間(90日)での自重トレーニング効果及び加算算定期間後の運動継続率と効果の持続性を調査しました。結果、90日間の自重トレーニングでも介入効果がみられましたが、約9割がそれ以降は中断し、効果が減少してしまう傾向が示されました。今回の結果を院内以外でも共有することで、継続したフォロー体制の確立と透析患者へのリハビリテーションの今後の発展に貢献できればと考えております。 <武田広道> シンポジウム「間接-集団」支援の視野拡大へ~人・環境との相互作用を意識した臨床疑問の生成~:通所施設での利用者同士の支援効果 通所施設では、多くの利用者様が同じ空間で時間を共有する特性を活かし、利用者様同士の関わりを支援に活用する「間接‐集団支援」の可能性が注目されています。本シンポジウムでは、この支援方法に関する実践例や研究成果を交え、その意義と課題について議論しました。講演では、通所施設における理学療法士の役割を再考し、利用者同士が互いに支え合う環境の構築に焦点を当てました。具体的には、高齢者同士の支援が身体活動量や運動継続に与える効果についての先行研究を紹介し、通所施設におけるピアサポートが行動変容を促進する可能性について話題を提供しました。さらに、博士課程在学時に実施したバディスタイル介入を例に挙げ、利用者間の支援関係を強化する意義やその成功要因についても触れました。また、本シンポジウムでは、障害者支援施設や地域住民を対象とした講演も行われ、それぞれの立場における「間接‐集団支援」に関する研究と実践例が示されました。最後に、聴講者からは多くの質問が寄せられ、「間接‐集団支援」に関する活発な議論が展開される場となりました。 本学会を通じて地域リハビリテーションの多くの領域において、理学療法士が他職種と連携する上で重要なHubとなり得ること、また通所・訪問・予防領域においても間接支援やピアサポートなどが重要であることを実感した学会でした。 期間中、多くの卒業生との再会もあり、卒業後に急性期病院へ就職した方々で、現在は地域で活躍されている人が意外に多いことや、本学術集会などアカデミックな領域にも関心が深いことに少し驚かされた二日間でした。来年度は北海道での開催となり遠方ですが、何か発表できる研究成果を準備していきたいと考えています。 健康科学部 理学療法学科 健康科学研究科 地域リハビリテーション研究室 高取克彦 関連記事 地域リハビリテーション研究室 第34回日本呼吸ケア・リハビリテーション学会 学術集会での医療の質特別賞を受賞 ~ 健康科学研究科 日本小児理学療法学会学術大会で大会長賞を受賞!~健康科学研究科 第22回日本神経理学療法学会学術大会へ参加しました! 森岡研究室の同門会に院生・修了生49名が参加!~健康科学研究科 本学にて第33回奈良県理学療法士学会が開催されました。~健康科学研究科・理学療法学科 第28回 日本ペインリハビリテーション学会 学術大会で大学院生が一般口述演題奨励賞を受賞しました!~健康科学研究科 【快挙】大学院生の研究において、脳卒中患者の物体把持の測定における新しいアプローチを開発しました。 【学生×実習先インタビュー】実習での症例を基にした卒業研究が国際誌に!vol.2~岩佐さん×赤口さん 【学生×実習先インタビュー】実習での症例を基にした卒業研究が国際誌に!vol.1~淡路さん×渕上さん 健康科学研究科の記事 理学療法学科の記事
2024.11.27
第34回日本呼吸ケア・リハビリテーション学会 学術集会での医療の質特別賞を受賞 ~ 健康科学研究科
健康科学研究科 修士課程2年の城山 潤です。2024年11月15日(金)および16日(土)に名古屋で開催された第34回日本呼吸ケア・リハビリテーション学会学術集会において、「間質性肺疾患患者の退院時の歩行能力に影響する因子の検討 - BIA指標を中心に -」というテーマで発表し、医療の質特別賞を受賞しました。 学会発表内容のご紹介 呼吸器疾患患者は多くの合併症を抱えており、これが疾患の臨床経過や患者の予後に大きな影響を与えます。近年、特にサルコペニアが注目されており、これは単なる体重減少ではなく、骨格筋量と筋力の減少を意味します。サルコペニアの有病率は健常者と比較して呼吸器疾患患者において高く(約30%)、筋肉量とその機能を維持することは、運動能力および生活の質(QOL)の維持に非常に重要です。田平研究室では、BIA法を用いた骨格筋評価の研究を進めています。 今回の発表では、間質性肺疾患患者の退院時の歩行能力に焦点を当て、入院時および退院時のBIA法による骨格筋量、浮腫値(ECW/TBW)、位相角(Phase Angle)の変化量を評価しました。結果として、急性増悪患者の退院時歩行能力には、入院時の体重、BMI、骨格筋量、ならびに入院中のPhase AngleとECW/TBWの変化量が影響を与える可能性が示唆されました。 本研究は健康科学研究科の田平 一行教授の指導のもとで進められ、この場を借りて深く感謝申し上げます。 健康科学研究科 修士課程 2年 城山 潤 関連記事 日本小児理学療法学会学術大会で大会長賞を受賞!~健康科学研究科 第22回日本神経理学療法学会学術大会へ参加しました! 森岡研究室の同門会に院生・修了生49名が参加!~健康科学研究科 本学にて第33回奈良県理学療法士学会が開催されました。~健康科学研究科・理学療法学科 第28回 日本ペインリハビリテーション学会 学術大会で大学院生が一般口述演題奨励賞を受賞しました!~健康科学研究科 【快挙】大学院生の研究において、脳卒中患者の物体把持の測定における新しいアプローチを開発しました。 【学生×実習先インタビュー】実習での症例を基にした卒業研究が国際誌に!vol.2~岩佐さん×赤口さん 【学生×実習先インタビュー】実習での症例を基にした卒業研究が国際誌に!vol.1~淡路さん×渕上さん 健康科学研究科の記事 理学療法学科の記事
2024.11.09
日本小児理学療法学会学術大会で大会長賞を受賞!~健康科学研究科
大学院健康科学研究科修士課程の橋添健也です。2024年11月2-3日に福島県立医科大学(福島県)において、第11回日本小児理学療法学会学術大会が開催されました。 本学術大会において、私たちの発表演題が大会長賞を受賞いたしました! 演題名:発達性協調運動障害を有する児における運動イメージ能力-2種類の運動イメージ課題を用いた検証- 演者:橋添健也、中井昭夫、信迫悟志 本研究は、大学院健康科学研究科の信迫悟志准教授によるご指導の下で進められた研究であり、この場をお借りして心より感謝申し上げます。 本研究の内容 発達性協調運動障害(DCD)を有する児の運動イメージ能力は、定型発達児と比較して低下していることが知られております。現在までDCDを有する児における運動イメージ研究では、主にHand Laterality Recognition(HLR)課題が使用されてきましたが、本研究では、HLR課題に加え、より明示的な運動イメージが必要なBimanual Coupling(BC)課題の2つの運動イメージ課題を用いて、DCDを有する児の運動イメージ能力を調査しました。その結果、DCDを有する児では、両課題において運動イメージ能力が低下していることが示されました。また、HLR課題とBC課題で測定された運動イメージ能力の間には重要な関係性があることも示されました。 本学理学療法学科出身の峯耕太郎さん(2011年度卒、6期生)も優秀賞を受賞されました。また、信迫准教授が「神経発達障害の病態理解と重要な評価」というテーマで教育講演をおこなわれました。 今後も神経発達障害分野の研究に力を注ぎ、小児理学療法のさらなる発展の一助となれるよう、引き続き研鑽を重ねてまいりたいと思います。 関連記事 第22回日本神経理学療法学会学術大会へ参加しました! 森岡研究室の同門会に院生・修了生49名が参加!~健康科学研究科 本学にて第33回奈良県理学療法士学会が開催されました。~健康科学研究科・理学療法学科 第28回 日本ペインリハビリテーション学会 学術大会で大学院生が一般口述演題奨励賞を受賞しました!~健康科学研究科 【快挙】大学院生の研究において、脳卒中患者の物体把持の測定における新しいアプローチを開発しました。 【学生×実習先インタビュー】実習での症例を基にした卒業研究が国際誌に!vol.2~岩佐さん×赤口さん 【学生×実習先インタビュー】実習での症例を基にした卒業研究が国際誌に!vol.1~淡路さん×渕上さん 健康科学研究科の記事 理学療法学科の記事
2024.10.24
”Society for Neuroscience: Neuroscience 2024” においてポスター発表を行いました ~ 健康科学研究科
2024年10月5日(土)~9日(水)にアメリカのシカゴで開催された Society for Neuroscience - Neuroscience 2024 (以下、 SfN2024) にて、私、田中智哉 (博士後期課程2年) と寺澤雄太さん (博士後期課程3年)が以下の演題名にてポスター発表を行いました。 ■ T. Tanaka, S. Morioka: Temporal Relationship between Bodily Self-Consciousness and Acute Pain Following Knee Arthroplasty (10月6日発表) ■ Y. Terasawa, S. Morioka: Gait factors related to walk ratio in Parkinson’s disease (10月9日発表) SfNは神経科学の研究を広く扱い、 Journal of NeuroscienceやeNeuroを発刊する学会です。 今回のSfN2024においても、私の研究領域である身体性や痛み、 寺澤さんの研究領域であるパーキンソン病や歩行をはじめ様々な研究領域の発表が行われていました。 SfN2024の参加者は現地参加21,716人、 バーチャル参加632人 (開催最終日発表) であり、 かなりの活気に満ち溢れていました。私は日本において、理学療法関連や痛み関連の学術集会に参加することが多いのですが、SfN2024は明らかにそれらとは異なる学会であると感じました。 それは、日本では講演やシンポジウムに多くの参加者が聴講し、立ち見が出ることもよくあると思いますが、SfN2024はポスター発表が中心となっていたのです。SfN2024のポスター発表は開催期間の5日間を通じて毎日午前4時間と午後4時間で張り替えが行われ、主催者によって指定された1時間フリーディスカッションを行う形式が取られていました。ここまでは日本でも一般的だと思います。しかし、いざSfN2024に参加してみると、多くの発表者はポスターが貼り付けられている4時間常にポスター前でディスカッションが行われていたのです。 一方、講演やシンポジウムにも参加しましたが、かなり空席が目立っており、ほとんどの参加者はポスター発表に参加していることがよくわかりました。なお、以下の写真はポスター会場を撮ったものですが、実際にはこの2~3倍の広さでポスターが張り出されていました。このような風習が日本の学会でも広がれば、学会発表・参加がより有意義な時間となるのではないかと感じました。 私は、 TKAの術後痛と身体性の関係性について発表を行いました。 TKAの身体性に関する発表は他にはなく、 他疾患における身体性との違いなどを意見交換することができ、 有意義な時間となりました。 その意見を取り込みながら論文化を進めていこうと思います。 また、 森岡教授が進められているCREST研究において、 共同研究を行っている明治大学 嶋田教授の研究室に在籍する大学院生 鈴木さん、木室さん、石津さんとも情報交換をすることができました。リハビリテーション分野のみならず、 工学などの他分野と共同して研究を進めていかなければならないことを実感しました。 また、余談ですが会場の隣にはミシガン湖があり、私の地元にある琵琶湖とは比べ物にならないほど非常に大きく、圧巻でした。宿を取ったシカゴ市街地から会場までは少し離れており、MetraやCTAという電車で約20分、ミシガン湖の沿岸を30~40分かけて徒歩で移動したりしていました。 徒歩で移動すると様々な発見がありました。公園では日本では見かけないリスや巨大なカモに遭遇したり、フィールド自然史博物館やソルジャーフィールド (現在のNFLチームにおいて最も古いスタジアム) など歴史ある建物を見ることができました。何よりもミシガン湖と公園の緑、近代的な高層ビルを一望することができ、とても非現実的で、非常に感動しました。 それに加え、アメリカの人々は身長が高く、まるで自分が小さくなったかのような感覚を覚え、はじめの数日は自分自身がそこにいる感じが少し失われている感覚 (身体所有感が少し奪われたような感覚?) を体験することができました。環境との相互作用の中で、私たちの身体の感覚は形成されることを実感しました。 最後になりましたが、今回このような大変貴重な機会を設けていただいた森岡教授、大学関係者の皆様に感謝申し上げます。今回のSfN2024に参加した経験を十分活かしていけるよう精進して参ります。 畿央大学 大学院 健康科学研究科 神経リハビリテーション学研究室 博士後期課程2年 田中智哉 関連記事 第22回日本神経理学療法学会学術大会へ参加しました! 森岡研究室の同門会に院生・修了生49名が参加!~健康科学研究科 本学にて第33回奈良県理学療法士学会が開催されました。~健康科学研究科・理学療法学科 第28回 日本ペインリハビリテーション学会 学術大会で大学院生が一般口述演題奨励賞を受賞しました!~健康科学研究科 【快挙】大学院生の研究において、脳卒中患者の物体把持の測定における新しいアプローチを開発しました。 【学生×実習先インタビュー】実習での症例を基にした卒業研究が国際誌に!vol.2~岩佐さん×赤口さん 【学生×実習先インタビュー】実習での症例を基にした卒業研究が国際誌に!vol.1~淡路さん×渕上さん 健康科学研究科の記事 理学療法学科の記事
2024.10.16
第22回日本神経理学療法学会学術大会へ参加しました!
2024年9月28,29日に福岡国際会議場にて第22回日本神経理学療法学会学術大会(以下、第22回学術大会)が開催されました。 日本神経理学療法学会は、森岡 周教授が副理事長、私、佐藤(ニューロリハビリテーション研究センター客員准教授/奈良県総合医療センター)が理事を務めており、毎年の学術大会参加者が2000人を超える大規模な学会になります。神経理学療法学会では、脳卒中や脊髄損傷、パーキンソン病をはじめとした神経筋疾患、脳性麻痺といった疾患に対する理学療法についての議論が様々な事業を通して行われています。 第22回学術大会の参加者は、2,000人を超えており、畿央大学大学院、ニューロリハビリテーション研究センターからも多くの大学院生や修了生、研究員、教員が参加しました。今回は、第22回学術大会での畿央大学大学院、ニューロリハビリテーション研究センター関係者の活躍をご紹介したいと思います。 第22回学術大会では、「創始 次代への超克」をテーマとして、特別講演やシンポジウム、特別企画等が企画されていました。特別講演では、「人機一体の時代に知性はどこへ向かうのか」というテーマに理化学研究所の入來 篤史先生を講師に迎え、森岡 周教授が司会として深い議論が行われました。最近では、PCやAI、スマートフォン、他の電子機器を使いこなすことが当たり前になっている背景をふまえ、人間の知性がどのように進化していくのか、非常に興味深い内容でした。特別企画1の「感覚障害に対する新たな理学療法研究」では、客員研究員の西 祐樹さん(長崎大学 生命医科学)が講師、信迫 悟志准教授が座長を務められ、異常感覚に対する介入について畿央大学大学院での研究成果を紹介されていました。特別企画2では森岡 周教授が登壇され、「間主観性と身体同調:患者と療法士の共同経験による自己の再構築」をテーマに講演されました。基幹シンポジウムでは、大住 倫弘准教授が司会を務め、ニューロリハビリテーション研究センターの高村 優作研究員がシンポジストとして「神経理学療法の高精度化に向けて」というテーマで情報提供が行われました。 また、複数の企画シンポジウムも準備されており、テーマは異なりますが修了生の脇田正徳さん(関西医科大学)、林田 一輝客員研究員(宝塚医療大学)、修了生の尾川 達也さん(西大和リハビリテーション病院)、大学院博士課程の乾 康浩さんがシンポジストとして情報提供を行い、宮脇 裕客員研究員(国立研究開発法人産業技術総合研究所)が司会をされていました。モーニングセミナーでは、平川 善之客員准教授(福岡リハビリテーション病院)が司会、私佐藤が「神経障害性疼痛に対するリハビリテーション」というテーマのもと、これまでの畿央大学が公表してきた多くの疼痛関連の研究成果を含めて講演し、立ち見が出るほどの盛況ぶりでした。 また、公募型シンポジウムや一般演題発表でも畿央大学の活躍は目覚ましく、岡田 洋平准教授をはじめ、大学院生、修了生、客員研究員も研究成果を公表し、非常に活発な議論が行われていました。表彰対象となるセレクション演題では、大学院生の乾 康浩さん、三枝 信吾さん、修了生の藤井 慎太郎さん(西大和リハビリテーション病院)、赤口 諒さん(摂南総合病院)、宮脇 裕客員研究員の演題が選出されました。そして、宮脇 裕客員研究員が最優秀賞に選ばれる、大変喜ばしい結果になりました。さらに優秀賞や奨励賞も複数名が選ばれています(表彰についてはこちら)。 この他にもスキルアップレクチャーでは大松聡子研究員が海外よりリモートで講演され、植田 耕造客員准教授も司会をされていました。ランチョンセミナーでも企業と連携して培ってきた成果を修了生の藤井 慎太郎さん、赤口 諒さん、脇田 正徳さんが講師を務め公表されていました。どの会場も満席で本当に多くの方が参加していました。 教育講演では、岡田 洋平准教授がパーキンソン病、私が脊髄損傷に関して講演を行い、研究成果の報告だけではなく、現役理学療法士の方々への教育目的の企画にも携わっていました。 第22回学術大会では、森岡研究室、ニューロリハビリテーション研究センター関係者の多くの素晴らしい活躍を目にすることができました。これも学生の間だけでなく、修了してからも継続的に患者さんの回復、神経理学療法分野を発展させるために、日々努力しているからこそだと思いました。神経理学療法には幅広い分野がありますが、それぞれの分野で意義のある情報発信ができることは本当に貴重であり重要なことだと実感しました。今後も、畿央大学大学院とニューロリハビリテーション研究センターが神経理学療法、そして社会に貢献できるよう、臨床・研究・教育ともにさらに発展していくことを楽しみにしています。 畿央大学 大学院 客員准教授 佐藤 剛介 関連記事 森岡研究室の同門会に院生・修了生49名が参加!~健康科学研究科 本学にて第33回奈良県理学療法士学会が開催されました。~健康科学研究科・理学療法学科 第28回 日本ペインリハビリテーション学会 学術大会で大学院生が一般口述演題奨励賞を受賞しました!~健康科学研究科 【快挙】大学院生の研究において、脳卒中患者の物体把持の測定における新しいアプローチを開発しました。 【学生×実習先インタビュー】実習での症例を基にした卒業研究が国際誌に!vol.2~岩佐さん×赤口さん 【学生×実習先インタビュー】実習での症例を基にした卒業研究が国際誌に!vol.1~淡路さん×渕上さん 健康科学研究科の記事 理学療法学科の記事
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