2024年3月7日の記事

2024.03.07

小学校一日見学を実施しました~現代教育学科

「小学校一日見学」は畿央大学教育学部が独自に設置している「小学校教育実習」「養護実習」を履修するための必修科目です。早い時期に学校の現場を経験することをねらいにしています。   平成22年度より大阪教育大学附属小学校並びに大阪教育大学のご厚意により、平成30年度までは附属天王寺小学校、翌年からは附属平野小学校で受け入れていただきました。新型コロナ感染対策のため2年間オンライン形式で実施しましたが、昨年度は学校を訪問して実施することができました。例年、午前中4時間の授業参観、午後は副校長先生による講話と1日を振り返るレポート作成というプログラムで実施してきました。昨年度は午前のみの実施でしたが、今年度は午後からも実施することができました。参加者は132名でした。   3時間の授業参観と昼食をはさんでからの副校長先生による講話が主なプログラムです。地域の方や保護者の方を交えての「未来そうぞう科」の学習や地震による避難訓練にも参加させていただきました。     授業参観は1年生から6年生の配当された学級で、学習の様子を参観させていただきました。教員の立場から時間毎に異なる教科の指導を目にする、とてもよい機会となりました。グループ活動に入り込んで子どもに声かけをしている姿も見られました。       2時間目終了間際には避難訓練があり、地震発生時における教職員や児童の行動からも学ぶことがありました。午後からは、南副校長先生の講話です。まず、参観した授業から「小学校教員の魅力」「小学校教員の責務」「小学校教員の職務内容」についてお話があり、「教師の場作り・働きかけのよさ」「子どもが『光っている』瞬間」を視点としてグループ討議を行いました。そして、目の前の子どもたちの気付きから学習がはじまること、子どもの興味・関心を喚起し、自力解決できるよう支えていくことが教師の役割であること、教師の仕事には専門性と同時に人間性が求められることなど、教師の役割とやりがいについて語ってくださいました。   学生は帰宅してから1日を振り返りレポートをまとめました。今日の出来事を言葉で表現することによって、教職への思いを一層強くしたことでしょう。 1日の様子を写真と学生の感想で紹介します。 ◇授業について ●6年生社会の授業では、まず教師が教科書を使用せず、児童がノートを書かないという授業スタイルに驚いた。私が小学生だったときは毎時間教科書を使用し、ノートに板書を写すという授業スタイルであったが、児童はノートを取ることはなく、自分のipadにタイピングで自分なりのノートを作成していた。そしてこの授業も児童の意見を主体に授業が展開されていた。児童同士で意見を交換する時間を設定した際も、近くの児童同士ではなく、自由に席を移動して意見を交換し合っており、その時間内で児童同士でipadの使い方などについても教え合う様子が見受けられ、児童主体の授業展開であった。   ●3時間目の書写の時間に以下のような流れがあった。 (先生)「習字の字が上手な人は未来が見えている!〇〇さんは実はその兆しがある!」 (児童)「すごい!なんで?」→プロジェクターを用いて説明。 この、「未来が見えている」という独特の言い回しは、次の一画を意識して文字のバランスを整えるという書道の指導を、児童が興味を持ちやすくなるようにしているという点で、非常に勉強になった。 ◇教師の働きかけについて ●授静かにしてほしい場面で「静かにしましょう」「話を聞きましょう」というような声掛けではなかなか静かにならないことがよくある。しかし、2年3組の先生は静かにできている児童を見つけて「○○さん、静かにできていて素晴らしいね」「○○さん、お話聞く準備早いね」などのように、できていない児童に声を掛けるのではなく、できている児童に声掛けをしていた。それによって、周りの児童も先生に褒めてほしいという気持ちから自然と静かになっていてすごいと感じた。 ◇避難訓練について ●避難訓練を見学した際に、教師は普段の穏やかな雰囲気はなく、人数確認の時には走って報告を行っていた。このことから、避難訓練に対する意識や児童の命を守るための意識が高いと感じた。防犯の観点から学校の廊下には、刺股が置かれていた。大阪教育大学池田小学校の事件から、どこの学校でも学校安全に対する対策が行われているのではないだろうかと感じた。   ●避難訓練という貴重な行事を見学することができたのも、とても為になったと思う。教員が真剣に行うことではじめはふざけて友達と喋り続けていた児童もその様子を見て、最後はちゃんと話を聞き避難訓練を真剣に行っていてすごいと思った。避難訓練は、児童の命にかかわるものであるためとても重要なものだと思った。避難訓練や災害に関する知識を教えていくことは、教員のとても重要な仕事の一つであり、責任がいると強く感じた。避難訓練の際にふざけていた児童を注意していた教員や、前に立ち全体に指示を出していた教員はもちろんどの教員も真剣で、教師という仕事の楽しい面だけを考えていた私は甘い考えだと感じた。   ◇子どもの姿から ●図工の授業では、自分の好きな物語を絵の具やクレヨンで画用紙に描いていくという授業であった。何人かの子たちに、「何を描いてるの?」と問いかけてみると、「桃太郎やで!」や「スイミーっていうやつ!」など、楽しそうに答えてくれ、そこからどんどん話を聞かせてくれる子もいれば、恥ずかしがってあまり喋ってくれない子もいた。先生の立場から見た時にこのような時どうすることが重要なのか考え、やはり児童が話したくない状況でどんどん質問するよりも、表情や話し方などから話しかけやすい雰囲気を作ったり、その子が興味を持って取り組んでいることの話題や行動に対して乗っかっていってあげたりすることを意識すると良いのかなと、児童たちと関わっていく上で感じた。   ●1年のクラスに見学に行った。今回の自分の中でのめあてとして、先生の話し方や表情に注目するよりも、その先生の言動を受けて、児童はどのような表情をしたりどのような行動に繋げたりするのかということに注目をして見学を行った。クラス全体として感じ取ったことは、自分の中の小学1年生のイメージと、実際に学校に通っている小学1年生の姿が大きくずれているということだった。休み時間などには、自分の気持ちを相手に伝えようとしたり楽しく話をしたりしている姿をよく見かけたが、授業が始まったとたん、人の話を聞くときはその発言者の方を向いたり、手を挙げて当てられてから発言したりするなど、想像していたよりもメリハリをつけることができていると感じた。しかし、それは児童が勝手にできるようになるのではなく、教師の日ごろの指導の仕方によっていい方向にも悪い方向にも簡単に変わってしまうのだということも再確認した。   ◇講話を聞いて ●副校長の講話では、教師・学校現場についていくつかお話して下さったが、なかでも自身が感銘を受けたのが「すべての学びは目の前の子どもたちから」というワードであった。教員の意義というのは一般的には「教育者・指導者」という立場であり子供たちが、「学習」する立場であるのだが、副校長の「子どもたちは、きちんと自身の間違いを認め、訂正することができる・子供たちの成長に学ばされる場面がたくさんある」という言葉を聞いて本当にそのとおりであり、それこそ教師というのは「共同探究者」というワードがぴったりだなと感銘を受けた   ◇全体を通して ●今回一日見学を体験させてもらい、学校という場では児童が主役であり、それをサポートするのが教員であると考えた。教員は見本にならなければならないが全て教員が正しいわけではないと思うので、時には児童から学ばせてもらう事も多々あると思うし児童の目線に立ち一緒に成長するという気持ちでいることが大切ではないかと考えた。前回の附属池田小学校から今回の附属平野小学校の経験を通して、先生方のように児童の前に立って授業を行っていけるようになるのかいう不安と教員になりたたいという欲が強まった機会でした。   ●教員は大変といったイメージが1番にありましたが、「大変」以上の魅力がたくさんあることに気づきました。1日のほとんどを学校で過ごし、家族と同じくらい多くの時間を子どもたちと過ごせることは本当に幸せなことだし、先生の影響を受けて成長していくということは、たくさんの子どもの成長の一部に自分が携わることができるのは教員の1番の魅力だと感じました。子どもたちに良い影響を与えられる人間になるために専門だけでなく様々な経験を通して人間性を磨いていこうと心に留めました。     最後に、学生に貴重な学びの場をご提供くださった大阪教育大学並びに附属平野小学校に深く感謝申し上げます。   【関連記事】 1回生が大阪教育大学附属池田小学校を訪問しました~現代教育学科 奈良教育大学と算数・数学教育のゼミ交流!~現代教育学科 椎名ゼミ 1回生131名が「小学校一日見学」に参加しました~現代教育学科 大阪教育大学附属池田小学校で学ぶ「安全で安心できる学校づくり」~現代教育学科

2024.03.07

次世代教育センター主催「近未来テクノロジーの生かし方」を開催!

21世紀に入って20年以上が経ち、携帯電話やお掃除ロボット、無人自動車やChatGPTなど人工知能(AI)を搭載したロボットが活躍する流れは加速しています。そこで、これからの社会を担う皆さんに「ひととAIの関係」に関する教養を身に付けてもらうことを目的として、昨年度に引き続き、冬休みにオンデマンド型の講座を実施しました。学科、学年をこえて41名の学生の皆さんが参加しました。 ※次世代教育センターは2021年4月、次世代社会のニーズに応えられる幅広い教養を身につけた人材の育成を目的として開設されました。毎年度、様々なテーマを取り上げた講座を実施しています。 今年度は、開発が進んでいる近未来のAIテクノロジーを紹介した上で、AIの使い方やAIを用いた犯罪への対策について説明しました。また、担当教員が全1回の講義動画を配信し、学生の皆さんから、質問や意見、感想を送ってもらいました。そして、全ての質問とアイデアへの回答や皆さんの感想を記したファイルを作成し、参加者全員で共有しました。   第1章の「AIで遊び、学び、働く」では、仮想空間(メタバース)や分身ロボット、ドローンなどのAIテクノロジーが遊び、学び、仕事の分野で使われはじめており、将来的には世界で100兆円を超える市場規模となるだろうことを説明しました。また、文章や絵などに関して、ひととAIが作ったものを見分ける方法を説明すると共に、声に関しては見分けるのが難しいので、なりすまし詐欺を防ぐ方法も説明しました。   ▼分身ロボットの説明   ▼AIが作る「なりすましの声」の説明   学生の皆さんからは「テクノロジーという言葉だけでは身近に感じることはできていなかったけど、講義の内容を聞いていくと親近感を感じることができました」や「AIが非常に速く発達してきており、詐欺に使われていることは早急に対処する必要があると思いました」という意見をもらいました。また「たった3秒の『あーーー』といった言葉でもAIは声紋を記録できるのでしょうか?」や「ドローンによる離島への宅配計画が数年前くらいにあったと思うのですが、それはどのようになったのでしょうか?」という質問ももらいました。そこで、声紋は「あーーー」だけでもある程度は盗まれるし、息継ぎするとさらに盗まれること、そして離島も含めたドローン宅配は2028年には日本全国で実現予定であることを説明しました。また「AIが作った文章を人間が少し手直しすることでAIの良い側面と人間の良い側面の両方が組み合わされた文章ができるなと感じました」という素晴らしいアイデアももらいました。   第2章の「AIでひとを知り、治す」では、新型コロナの感染状況や災害の予測、そして患者さんのリハビリ結果の予測などにAIが使われていることや使いやすい予測用AIアプリについて説明しました。また、映像分析用AIが空港検閲や農作物被害防止さらには義肢の作成など、様々な分野で使われ始めていることを説明しました。そして、シンプルな映像分析AIアプリも紹介しました。   ▼未来予測用AIについての説明   ▼義肢の作成に活用される映像分析AIについての説明   学生の皆さんからは「動画を通してプログラミングやAIの使い方を具体的にイメージできて有意義でした。臨床の現場に出た時に適切に活用できるようになりたいです」や「これからどんどんAIの仕事やすることが増えても、人間の仕事もなくならずに人間と共存する未来になるんだろうなと思いました」という感想をもらいました。また「リハビリを始める前に予測を提示した場合に、予測通りにいかなければ患者さんに責められる恐れもあるのではないでしょうか?」といった質問ももらいました。この質問に対しては「『どれほどの確率で』」〇〇のような予後になる」という予測の信頼指標もAIに出してもらい、その情報もセットにして患者さんに伝える必要があることを説明しました。   今年度のプログラムにおいても、学生の皆さんからの質問や意見、感想は非常に本質的かつ発展的であったため、我々教員も触発され、色々なことを考えながら回答しました。充実したプログラムになったと考えています。   畿央大学大学院健康科学研究科  冬木正紀・大住倫弘   次世代教育センター 関連記事 次世代教育センター主催「Excelスキルアップ講座~応用編~」を開催!|KIO Smile Blog 次世代教育センター主催「文章読解・作成能力検定講座」を開催しました! 次世代教育センター主催「Excelスキルアップ講座~基本編~」を開催!(今年度3回目) 次世代教育センター主催「プレゼンテーション力養成講座~PowerPointの活用~」を開催! 次世代教育センター主催「コミュニケーション力養成講座~相手に伝わる発信力強化~」を開催! 次世代教育センター主催「Excelスキルアップ講座~基本編~」(2023年度2回目)を開催! 次世代教育センター主催「Excelスキルアップ講座~基本編~」を開催! 次世代教育センター主催 「ひとの生活を支える近未来テクノロジー」を開催! 次世代教育センター主催「モバイルプラネタリウム上映会」を開催!!~協力:畿央大学サイエンスコミュニケーションサークル 次世代教育センター主催 「Excel集中講座」を開催!(今年度2回目) 次世代教育センター主催「Excel集中講座」を開催! 次世代教育センター主催「コミュニケーション力養成講座~プレゼンテーション」を開催! イベントプログラム「これからも『ひと』と『ロボット』は共存できるのか」を開催!~畿央大学次世代教育センター 次世代型情報教養プログラム「ロボットとプログラミング」を開催しました~次世代教育センター

2024.03.07

旧豆山荘(旧河合町役場)の保存再生デザイン報告会〜人間環境デザイン学科前川ゼミ

2・3回生合同で地域の課題解決に取り組む人間環境デザイン学科のプロジェクトゼミ。前川ゼミでは、歴史的建造物の調査研究から、さらにその保存再生デザインの検討も進めています。その一つとして、2022年度から河合町に位置する旧豆山荘を対象に作業を進めています。旧豆山荘の活用再生デザインを、河合町役場へプレゼンテーションしに行きました。 旧豆山荘は実業家、政治家である森本千吉が大正12年に建設した住宅であり、昭和23年には河合村所有となり、その後村役場として利用されていました。新役場建設後は積極的な利用がされず、現在も倉庫のような使われかたをしている状況です。   提案は2チームに分かれ、地域の方が利用できるコミュニティースペースの案とホテルにコンバージョンする案の2案の検討を進めました。   A案:地域とともに成長し、持続する豆山荘 A案のコンセプトはDIYを通して地域住民で徐々にリノベーションを加えていきます。離れ、中廊下、母屋と空間が広いため、平日と休日で使う空間を変えることで管理しやすいように工夫。離れは河合町の観光案内所をつくり、豆山荘や河合町の歴史に触れられる空間にしました。中廊下は大きくリノベーションし、キッチン設備を加えてカフェを通して集まれる空間にしました。母屋は元の姿を活かしつつ、自由に工作できるDIYラボと地域の方で集まれるスペースとワークスペースをつくりました。         B案 :大正、昭和の歴史的価値を活かす宿泊施設 B案のコンセプトは、西洋の文化と日本の伝統的な文化が上手く融合した空間です。ターゲットはレトロや歴史的な雰囲気が好きな方、地域住民や観光客、役所で働かれている方です。宿泊施設は母屋2階と離れで、2組が泊まれるようにしました。母屋は日本の伝統的な雰囲気が味わえる空間になっています。そして、離れでは西洋の雰囲気が味わえる空間です。離れ1階がリビングで2階が寝室になっています。母屋1階では宿泊者が食事を楽しんだり宴会などのイベントにも使えます。中廊下には浴室があり、宿泊者が時間区切りの貸し切りで利用できるようにしました。         報告会には河合町町長をはじめ、役場のみなさま、森本千吉が創業した森本組のみなさまにご参加いただき、みなさまから貴重なご意見をいただきました。今後も保存再生に向けて検討を進めていきます。     なお、今回の活動は河合町役場のホームページにも掲載されました。 【河合町HP】畿央大学との連携事業:旧豆山荘の調査と検討について   人間環境デザイン学科 3回生 木村 知希、藤原 百花、中辻 優貴、濵野 悠大 2回生 奥田 望月、村上 仁美、森口 爽、佐藤 竣星 峯玉 佳音、森本 早紀、吉田 美来   【関連記事】 2023年明日香村竹テントワークショップvol.5 【完成編】~人間環境デザイン学科 陳ゼミ 河合町佐味田の居場所「佐味田みんなの縁側」の活用状況調査~人間環境デザイン学科 陳ゼミ エコール・マミで「残糸を使ったブローチづくり」のワークショップを開催!~人間環境デザイン学科村田ゼミ JIPAK 第5回デザインコンペティション2023にて「佳作」を受賞しました!~人間環境デザイン学科前川ゼミ 令和5年度「広陵町若者議会」に参加しました!~人間環境デザイン学科清水ゼミ