2025年8月4日の記事

2025.08.04

緩和ケア病棟での実習を経験した4回生とのディスカッション ~ 看護医療学科「終末期ケア論」

「終末期ケア論」は、看護医療学科3年次前期に必修科目として開講しています。この授業では、終末期における症状緩和の援助方法や精神的ケア、全人的ケア、グリーフケア(家族・遺族への支援)を考えるなど、終末期ケアを行う看護師として学びを深めることをめざした授業構成になっています。   その一つに、緩和ケア病棟で病院インターンシップ実習を経験した4回生から、3回生に現場での学びを紹介する授業がありましたのでご紹介します。 学びの紹介 1.3回生の発表 ● 国保中央病院緩和ケアホーム飛鳥の見学 メンバー:二宮 央・山本 華・新谷 咲耶・藤田 有里・鈴木 万琴・高田 有紗・黒田 瑞姫・川上 菜央   2.4回生の発表 ● 国保中央病院緩和ケアホーム飛鳥のインターンシップ実習 メンバー:内海 茜・九十九 璃子・中西 春水   3.4回生の発表 ● 東大阪市立医療センター メンバー:車路 瞳 飯沼 虹美 橋本 心     1.では、授業を受講している3回生の有志が参加した「国保中央病院緩和ケアホーム飛鳥の見学」で、病棟紹介を主に発表してくれました。     2.3は、6月に実施された「インターンシップ実習」において、緩和ケア病棟で実習した2施設6名の4回生が実習での学びについて発表してくれました。   それぞれがパワーポイントの資料をもとに発表を行い、緩和ケア病棟の概要や行われている看護、実習で受け持った終末期にあるがん患者の看護の実際について紹介しました。     質疑応答の中では活発な意見交換がされました。飛鳥に実習に行った4回生は「ネガティブなところもその人らしさであることを知った。患者の気持ちを大切にした看護を行うことができた。その人らしさを尊重するために患者の背景を考えて、医療者の当たりまえを押し付けないことが大切だと実習を通して学んだ。死期が迫る中で生きる意味の尊さに気づいた」など率直な思いを語ってくれました。   聴講していた3回生からは「終末期の実際を知ることができた。その人らしさを学ぶことができた」など感想が聞かれました。     東大阪市立医療センターに実習に行った4回生からは「患者が何を考えているのかアセスメントすることは難しいが、私たちは患者の発言を聞いてしっかり考える必要がある。この実習では死を身近に考えた。病気が完治しないということがどういうことか知った。患者に残された時間について患者とともに考えていくことが大切である。最期に向かってどうしていくのか、患者のニードに寄り添うためにも、患者のまとまらない思いをまとめることが看護師に必要なことだと思った」と3回生に学びを伝えていました。   3回生からは「授業でその人らしさを尊重することが大事だと習ったが、患者を目の前にするとしないといけないことが多くあって、その人らしさを忘れて自分中心の看護になってしまっていた。しかし、この発表を聴講して患者の声をしっかり聴いて援助したいと思った」と意見がありました。 グループワーク 授業の後半は4回生から事前に配布された質問紙に沿ってグループワークを行いました。4回生が司会となってグループワークでは活発な意見交換がされました。     「あなたは‘‘どこで死にたい‘‘と思いますか」の質問にはついては、「病院で死にたい理由は家族に迷惑かけたくないからだ」「病院に迷惑をかけたくない。家族に看取られたいから、家がいい」など様々な意見があり、4回生からは「どんな病気で死ぬかわからないけど、がんなら緩和ケア病棟がいい。自分を尊重してくれるから」という意見がありました。   また、「あなたは人生の最期に誰にそばいて欲しいですか」という質問に対しては、「友達、どこかに遊びに行き、(友達が)トイレに行った時に、(自分が)死んで、後から気付いてもらいたい」「家族とか大切な人、好きな人にそばにいて欲しいと思います。理由は家族に最後まで大切な人に一緒にいて欲しいと思うから」「結婚していたら旦那さん。子供。理由は一番安心感がある状態で死にたい」「病院ならお世話になった看護師さんに見守って欲しい。自分の希望も聞いてもらえそうなので看護師さんを選んだ」など様々な意見が出されました。     終末期の看護について学ぶことは難しいことですが、身近な学生が実際に緩和ケア病棟を見学したり、実習を経験することで得た学びを共有することで終末期看護について考えることができました。実習を体験した4回生の思いも3回生には伝わり、それぞれの看護観や死生観を深めるきっかけとなったこと思います。   看護医療学科 准教授 對中 百合        助教 福田 都美恵 関連記事 ▼▼ 「終末期ケア論」に関する記事 ▼▼ 看取りを体験したご遺族の語り ~ 看護医療学科「終末期ケア論」 国保中央病院 緩和ケア病棟「飛鳥」の見学に行きました。~ 看護医療学科「終末期ケア論」   ▼▼ 看護医療学科に関する記事 ▼▼ 後期からの臨地実習に向けて!~看護医療学科「老年看護援助論Ⅱ」|KIO Smile Blog 先輩から後輩へ、看護のバトンをつなぐ!~精神看護学研究室の卒業生と4回生が授業に参加! 公衆衛生看護学管理論 奈良県統括保健師講義~ 看護医療学科 「フィールドワーク:自分たちにできること、共生社会の在り方を考えよう」~ 看護医療学科「認知症ケア論」    

2025.08.04

本学就任予定の教員が、マーケティングに関する書籍を出版!

  はじめまして、伊﨑です。 次年度より就任予定の村松潤一先生が編集されたマーケティング書籍『価値共創マーケティングの深化』(同文舘出版)を紹介させていただきます。同書は、2015年に刊行された村松先生編著の『価値共創とマーケティング論』の続編として出版されました。『価値共創とマーケティング論』では、サービス・ドミナント・ロジック(S-Dロジック)に基づいて、顧客との相互作用を通じた価値の共創という考え方をマーケティングに取り入れた先駆的な書籍でした。   その続編にあたるのが、今年3月に刊行された『価値共創マーケティングの深化』です。本書は理論編と事例編の二部構成となっており、前著の理論的枠組みをふまえつつ、文脈価値、資源統合マネジメント、カスタマー・ドミナント・ロジック(C-Dロジック)などの新たな視点を加えることで、価値共創の実践と応用をより立体的に捉えています。ポスト・コロナ社会やデジタル化の進展を背景に、マーケティングの枠組みを再考するうえでも重要な知見が詰まっています。     事例編に収められた第16章「ヘルスケア・ビジネスにおける価値共創」は、私が担当しました。本章では、医療・健康用品業界における価値共創の成果に着目し、共創活動がどのような変化や価値の創出につながるかを具体的な事例に基づいて論じています。特に、顧客との対話やデータ活用を通じて、文脈依存的に価値が生成されるプロセスに焦点を当て、「成果」の視点から共創を捉える重要性を示しました。   本書は、価値共創マーケティングの理論と実務を架橋する試みとして、企業実務家はもちろん、マーケティングやサービス科学に関心を持つ研究者にとっても多くの示唆を与えてくれる一冊です。またこれからマーケティングを学ぶ学生にとっても、価値創造の考え方を深く理解するための格好の教材です。単なる売買の枠を超えて、企業と顧客がどのように価値を一緒につくり上げているのかを知ることで、マーケティングの面白さと社会的意義を実感できると思います。 現代教育学科 講師 伊﨑 翼