2026.02.25
「教育における生成AIの役割と課題」を開催しました~畿央大学大学院教育学研究科プロジェクト研究会
2026年2月8日(日)に、教育学研究科プロジェクト研究会「教育における生成AIの役割と課題」を開催しました。当日は、朝から雪が舞うあいにくの悪天候でしたが、幼児教育から高等教育機関、そして特別支援学校、教育委員会、塾などさまざまな教育関係者や保護者、卒業生、学生など100名を超える方々にご参加いただきました。
畿央大学教育学研究科では、現代的教育課題の中から「生徒指導」「特別支援教育」「ICT」の3分野に焦点を当て、教育実践力の育成と教育課題の解決に向けたプロジェクト研究に取り組んでいます。本年度の研究会は、「ICT」グループの企画によるものです。
今回の研究会は、この数年、爆発的に使われるようになった「生成AI」をとりあげ、教育における役割と課題について考え、議論することを目的としました。文部科学省は、2024年12月に「初等中等教育段階における生成 AI の利活用に関するガイドライン(Ver.2.0)」を公表するとともに、教育活動や校務において生成AIの活用に取り組む生成AIパイロット校を指定し、効果的な教育実践の創出をすすめています。
文字通り日進月歩の技術の進歩とともに、文章だけではなく画像や動画までも生成されるようになり、コンピュータやスマートフォンなど日常的に我々が使う情報端末にも生成AIが標準搭載されるなど、生成AIはもはや日常的なツールの一つになったといっても過言ではないでしょう。しかし、生成AI利用の年齢制限もあるなか、近い将来子どもたちが扱うことについては、実際にどのように授業の中にとりいれていくべきか、思考力や判断力の育成、情報モラルの醸成などもふくめ、課題はたくさんあると言えます。
前半は、小学校での教職経験が長く、文部科学省の「学校DX戦略アドバイザー」も務めておられる、安井 政樹氏(札幌国際大学)に講演講師をお願いしました。参加者の間で話し合う時間も設けていただきつつ、「知識は更新されるもの」であることや、子どもたちの「○○したい」という目的のために使うものであることをわかりやすくお話しいただきました。特に、子どもたちの発達段階に応じて、「教師が生成AIを使用した実践を行う」「児童がAIと対話する」「生徒がAIを操作する」などさまざまな段階があることをご教示いただきました。また、最後にご講演の感想を、参加者のスマートフォン経由で収集され、その場で生成AIを活用し歌詞をつくり、さらに別のAIで作曲をして披露されました。
休憩時間には、実際に生成AIを使った実践をされておられる実践者の方や、生成AIを活用したドリル作成システムを開発されておられる企業の方などのポスター発表も行われ、参加されている皆さんのあいだにも活発なコミュニケーションが行われました。
後半は、安井先生にはそのままお残りいただき、奈良県で高校の教員をされ、奈良県立教育研究所、奈良県教育委員会事務局を経て、奈良市の教育CIO補佐官もされておられる小﨑 誠二氏(奈良教育大学)、畿央大学大学院教育学研究科准教授の小山内 秀和との3人でパネルディスカッションを行いました。さらに、指定討論者として、弊学学長の冬木 正彦も加わり、生成AIの身体性、認知負債、教師の役割の変化などさまざまな視点からの白熱した議論が行われました。
このプロジェクト研究会は、一つのグループが2年にわたって担当します。よって、来年度も、「ICT」グループからの企画になる予定です。この1年間で、生成AIがどのように変化し、また、教育現場の中でどのように活用されていくかについて実践研究を行い、来年度の研究会では、学校現場の先生はもちろんのこと、児童・生徒の皆さんからも、生成AIを活用した学習の成果を是非発表していただきたいと考えています。
ご講演いただいた安井先生、パネルディスカッションに登壇いただいた小﨑先生、ご参加・ご協力いただいた皆様方に改めて感謝申し上げます。
なお、2014年に畿央大学大学院教育学研究科が開設され、12年経ちました。今回の研究会では、修士修了生諸君に本研究会の運営をご助力いただきました。さらに現在、小学校や特別支援学校などで教員をしている、弊学教育学部の卒業生も数多く参加しておりました。
畿央大学大学院教育学研究科では、今後もプロジェクト研究を深め、その成果を広く発信し、次の世代の子どもたちを育てるという使命のもと、学校現場へ研究成果を還元していきたいと考えております。
教育学研究科
教授 西端 律子
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