2025年12月5日の記事
2025.12.05
令和7年度「臨地実習指導者研修会」を開催!~看護医療学科
2025年11 月29 日(土)13時より、看護医療学科「臨地実習指導者研修会」を行いました。この研修会は、看護医療学科の臨地実習指導者および本学教員が学生の看護実践能力の向上に向けて協働し、効果的な実習指導を行うことを目的として、また日頃の学生指導を振り返るとともに相互の交流と親睦を深める機会として年1回開催しています。 当日は小春日和の中、本学の実習施設・病院から1部63名、2部55名の臨地実習指導者の方々と、本学教員24名が参加し盛況に開催されました。 第1部 講演 「実習における発達障がい傾向のある学生へのかかわり:具体的対応と支援を考える」 順天堂大学 保健看護学部 精神看護学領域 教授 北川 明先生 本年度は、昨年度に引き続き発達障がい傾向のある学生をどのように理解し、どのように支援すればよいのか、実習におけるかかわり方について考えようと研修を行いました。第1部は順天堂大学 保健看護学部の北川 明教授にご講演いただきました。 講演は、障がいの捉え方、発達障がいの特徴、パーソナリティ障がいに関する基礎知識から発達障がい傾向のある学生・スタッフへの支援の基本と方向性、管理者の役割と環境づくりについて、具体例を示しながらわかりやすくご説明くださいました。 タイプ別にみる特徴では、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、限局性学習障害、発達性協調運動症における様々な特徴から、看護技術を習得が難しい場合、スモールステップで学習を支援していく具体的な方法を理解しました。また、発達障がいは二次障害の併発が多いということから、問題の外在化として、問題を自分から切り離して自分の外部にあるものと捉える手法を用い、自己肯定感を高め、対処方法を一緒に考える対応について説明がありました。 よくある問題別アセスメントと対応では、落ち着きがない、感情の変動が大きい時の対応、約束忘れや忘れ物、なくし物が多いうっかりミスが多い人への対応、記録が書けない人への対応、報告・連絡・相談ができない人への対応、何度同じことを教えても改善しない場合の工夫について具体例を通じて理解しました。 発達障がいの支援は、困りごとのアセスメントを行い、困りごとを共有する。学生自身が自らの特性を理解することから始め、自分が苦手なことを理解すると共に、教員と話し合う中で、助けを求めていくことを教育し、「自分でこうやってみようと思う」を引き出しながらチームで支援していく必要性を認識しました。そして、環境づくりとして、学生には教育を受ける権利を保障し、職業選択の自由を保障する観点から改正障害者差別解消法に基づく合理的配慮の考え方を示していただきました。 第2部 グループワーク 第2部では、場所を畿央カフェ「カトレア」に移し、実習指導者と本学教員で混成した小グループに分かれ、発達障害と強迫性パーソナリティ障害の事例についてグループワークを行いました。第1部の講演と関連させて、事例を通じてどのように支援していくか自由に意見交換を行いました。 グループワークの発表では、事例の特性や困りごとをアセスメントから、二次障害にも着目しながら周囲が受診行動に繋がるように支援や、複数のメンバーでサポートしていく体制づくりなどが提案されました。また、事例の強みを10個以上考え、具体的な関わり方についての工夫が発表されました。 北川先生より総評として、心理的に追い詰められている対象に関しては、叱責しないで周囲の環境を整え一緒に対策を考えていくことの大切さや、受診に繋げる必要性を考えること。障がいを抱える学生は課題が見えやすいが、強みを見つけることが重要であることについてコメントがありました。視野が狭くなっていることが多いので学生に気づきを促がしながら、あなただったらできるという信頼を伝える関わり方について改めて強調されました。 今後、障がい特性のある学生を理解し、支援の方法や内容を臨地指導者と共有しながらよりよい支援につなげていきたいと思います。 最後に、本学 看護医療学科長の河野 由美教授による総評および閉会の挨拶がありました。臨地指導者の皆様、指導者研修会にお越しくださりありがとうございました。 研修会後のアンケートより 「発達障がいに関する特性を理解できた、今後の臨床指導にも役立つ内容であった」 「学生だけでなく、悩んでいた新人教育に生かせる方法を具体的に学べた」 「上手く現場で関われていなかったが、視点を変えてかかわる具体的な方法を学べた」 「基礎知識から事例検討まで楽しむ学ぶことができた」 など多くのご意見をいただくことができました。 今後も実習指導者と教員間でコミュニケーションを図り情報共有しながら、学生を導いていけるよう努力を重ねていきたいと思います。 ご参加いただきました臨床の皆様、ご講演とご指導いただきました北川先生、ありがとうございました。 看護医療学科 公衆衛生看護学領域 准教授 田中 陽子 関連記事 ▼ 昨年度の「臨地実習指導者研修会」について 令和6年度「臨地実習指導者研修会」を開催!~看護医療学科 ▼看護医療学科についての関連記事 2025年度 研修会 「感染症と人権 〜ハンセン病問題から問い直す〜」を開催しました ~ 畿央大学看護実践研究センター 「慢性期看護学援助論Ⅰ」卒業生による授業―筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者の看護― ~ 看護医療学科 セーフケアが関西に!「知的障がいを持つ親への子育て支援を学ぶ3日間」 ~畿央大学看護実践研究センター地域包括ケア部門母子分野研修報告~ 長島愛生園を訪問し、正しい知識を持ち、語り継ぐことの重要性を学ぶ ~ 看護医療学科「健康学特論」
2025.12.05
今年度5回目!畿央大学×ならコープのコラボ企画「こども寺子屋」を開催しました!
2025年11月21日(金)、本年度第5回目となる「こども寺子屋」がならコープ 真美ケ丘店で実施されました。「こども寺子屋」は、畿央大学とならコープ真美ケ丘店との連携事業です。「子どもの居場所づくり」と「保護者の負担軽減」を目的とした取り組みの一環として企画されました。近隣の皆さんにご好評いただき、定期的に開催しています。 今回は、現代教育学科から7名、看護医療学科から2名の合計9名の畿央学生が参加してくれました。学習の時間は、いつも通り小学生の持参した宿題のお手伝いをしました。 そしてお楽しみのレクリエーションの時間には、畿央学生が考えたクイズ大会で大いに盛り上がりました。 参加した学生の感想 看護医療学科では、疾患を持つ小児を対象として学んでいるが、今回のボランティア活動を通して、健康な小児の活動や行動を実際にコミュニケーションを取ることによって知ることができたため良かった。また、よくお話してくれる子や恥ずかしがってあまり話してくれない子など個人差もあり、その個人差に合わせたコミュニケーションの取り方も学ぶことができた。 看護医療学科 2回生 松田 蒼空 お子さんに勉強を教えるときにどのように伝えたらやる気につながるのかを考えながら補助をし、苦手としていることの改善に少しでも貢献できるようにしました。レクリエーションでは、勉強とはまた違った方法で頭を動かせるクイズ・なぞなぞを行い、お子さんも自分で問題を出してくれるなど積極的に参加してくれて、お互いに楽しく過ごすことができたと思います。 看護医療学科 2回生 太田 花凛 今回が私自身にとって初めてのボランティアであったこともあり、少し緊張していましたが、子どもたちと関われる貴重な経験をさせて頂き、良い時間を過ごすことが出来ました。また、参加したいと思います。 現代教育学科 1回生 西田 願叶 子どもたちが元気ですごくかわいかったです。たくさん元気をもらえました。また時間が合えばぜひ参加したいです。 現代教育学科 1回生 盧 侑緯 はじめて、寺子屋に参加してみて色々なことを学べてよかったです。私は小学1年生の宿題を見ていたのですが、黄金の『金』をどうやって読み方を伝えるのか難しかったです。クイズ大会の際に1年生で答えるには難しいのが多くてあまり楽しめていなそうでした。だから、その子の漢字ドリルに出ていた『年越し』というワードを答えるクイズを私が出したのですが、惜しくも答えて貰えなかったです。子どもたちと触れ合えて楽しかったです。 現代教育学科 1回生 万庭 美夏 子どもたちと関わることができて良かったです。また参加したいと思います。 現代教育学科 1回生 村上 結菜 小学生の保護者の声 いつもみなさんとの交流が楽しいみたいで、喜んで通わせていただいています。 何より子どもが楽しく参加しているのをうれしく思います。 次回の「こども寺子屋」の実施について 次回の「こども寺子屋」は12月19日(金)に開催します。 12月はクリスマスバージョンです。レクリエーションの時間には、店舗1Fのイートインに移動して楽しいイベントを開催します。 ならコープのマスコットキャラクター「コーすけ」と「ならっぴ」も参加します。いつもと違う「こども寺子屋イベント」を小学生と一緒に楽しみましょう! 関連記事 今年度4回目!畿央大学×ならコープのコラボ企画「こども寺子屋」を開催しました! 今年度2回目となる畿央大学×ならコープのコラボ企画「こども寺子屋」を開催しました! 今年度3回目となる畿央大学×ならコープのコラボ企画「こども寺子屋」を開催しました! 国保中央病院「第13回健康フェスティバル 畿央大学コラボコーナー」活動報告 ~ 看護医療学科 西宮市苦楽園地区コミュニティ交通の時刻表&車体ラッピングデザインを担当!~ 人間環境デザイン学科 清水研究室
2025.12.05
2025年度 研修会 「感染症と人権 〜ハンセン病問題から問い直す〜」を開催しました ~ 畿央大学看護実践研究センター
2025年11月29日(土)、本学看護実践研究センター主催の研修会として、 「感染症と人権 〜ハンセン病問題から問い直す〜」をテーマに講演会を開催しました。 今年度は、看護医療学科学生による長島愛生園の訪問報告と、ハンセン病家族訴訟原告団副団長・黄 光男(ファン・グァンナム)先生によるご講演の二部構成で実施し、学生・「架け橋 長島・奈良を結ぶ会」のみなさまをはじめとする多くの参加がありました。 第1部 学生による長島愛生園訪問報告 今回の講演会に先立ち、看護医療学科の学生たちが国立ハンセン病療養所・長島愛生園を訪問しました。訪問を通して得た学びを、以下の5つのテーマに沿って報告しました。 ▶ 長島愛生園を訪問した際のブログはこちら 1 )歴史的背景と社会的偏見の理解 ハンセン病をめぐる隔離政策は、1907年「癩予防ニ関スル件」に始まり、1953年「らい予防法」によって強固な隔離政策が続きました。学生たちは、 「社会の無理解と偏見が、法制度の誤りを後押ししてきた歴史」、「無らい県運動によって強められた差別の連鎖」など、資料館での学びをもとに、時代背景と人権侵害の構造を丁寧に説明しました。 特に、家族まで差別の対象となり、偽名で生きざるを得なかった現実や、島と本土の間に橋を架けることすら許されなかった社会状況は、参加者にも強い印象を残しました。 2 )人権と医療倫理の学び 学生たちは、医療倫理の四原則(自律性・無危害・善行・公正)を用いながら、ハンセン病隔離政策で何が踏みにじられたのかを自分たちの言葉で考察しました。 「国の方針だから」「社会がそうだから」という思考停止が、医療者までも人権侵害に加担してしまった歴史を振り返り、現代の医療者が持つべき“倫理的勇気と、患者の尊厳を守る姿勢”の重要性を強調しました。 語り部の方の実際の言葉からの、「家族から手紙が届かなかった」「帰ってくるなと言われた」といった証言は、学生たちにとって強烈な学びとなりました。 3 )医療・看護・福祉の視点から 現在、長島愛生園の入所者の平均年齢は約89歳、平均在園年数は62.4年(2024年度)です。高齢化・後遺症・社会的孤立という複合的な課題に対し、医療・看護・介護・栄養・リハビリといった多職種が連携しながら支援を行っていることが紹介されました。 学生たちは、「高齢による身体機能の低下」+「ハンセン病の後遺症」という二重の困難に向き合うケアの実際を見学し、“生活を支える看護” “多職種協働”の重要性について深く学んだと語りました。 4 )社会復帰と地域との共生 らい予防法廃止後も、偏見や差別は根強く残り、帰る場所を失った回復者が少なくありませんでした。しかし、人々は芸術・音楽・教育活動などを通して力強く生き抜き、療養所は「苦しみの場」であると同時に「人々が文化を築いた場所」でもあると学生たちは伝えました。 さらに、地域交流活動、語り部活動、世界遺産登録に向けた取り組みなど、“共生社会に向けた歩み”が現在も続いていることも報告されました。 5 )見学後の振り返り 見学前は、ハンセン病について「昔の病気」「可哀想」という印象を持っていた学生も少なくありませんでした。しかし訪問後は、 「差別の歴史を生き抜いた人々への尊敬」 「医療者としての人権感覚の必要性」 「隔離のない社会を次世代へ伝える使命」 など、認識が大きく変化した様子が語られました。 「無関心は差別を生む」という学生の言葉に、参加者の多くが強く頷いていました。 第2部 講演会「ハンセン病家族の想い」 第2部では、ハンセン病家族訴訟原告団 副団長・黄光男先生を講師にお招きし、ご家族として経験された深い苦悩と、訴訟へ踏み出した経緯、社会の無理解や偏見との闘いについてご講演いただきました。 差別されるのは患者本人だけではなく、家族もまた進学・就職・結婚など人生のあらゆる場面で困難を強いられたこと、家族訴訟で初めて国にその責任が認められたこと、そして「過去の歴史を正しく伝えなければ、偏見は形を変えて再び現れる」という力強いメッセージは、参加者の胸を強く打ちました。 学生たちは、自分たちが学んだハンセン病の歴史と、黄先生の生の声がつながることで“差別の痛み”をより深く実感し、「看護者として社会に何ができるのか」を真剣に考える時間となりました。 まとめ:私たちは差別の歴史を「終わらせる世代」になれるか 今回の研修会は、「感染症と人権」という普遍的なテーマを、ハンセン病という具体的な歴史を通して深く学ぶ貴重な機会となりました。 感染症への恐れが差別を生む構図は、現代の感染症、災害、外国人差別など、あらゆる場面に通じます。学生たちの学びと、黄先生のご講演を通じて、 「正しい知識を持つこと」 「無関心でいないこと」 「人の尊厳を守る勇気を持つこと」 の重要性を改めて確認しました。 これからも人権教育を重視し、学生とともに“差別のない社会づくり”に取り組んでいきます。 看護実践研究センター 地域包括ケア部門 看護医療学科 准教授 前田 則子 関連記事 長島愛生園を訪問し、正しい知識を持ち、語り継ぐことの重要性を学ぶ ~ 看護医療学科「健康学特論」 ハンセン病療養所を訪問し「医療と人権」を学ぶ~看護医療学科「健康学特論」 ハンセン病療養所を訪問、当事者家族の声を聴き「医療と人権」を学ぶ~看護医療学科「健康学特論」 ハンセン病療養所で、当事者家族の声から「医療と人権」を学ぶ~看護医療学科「健康学特論」 ハンセン病当事者家族から「疾病と差別」を学ぶ~看護医療学科「健康学特論」 国立療養所長島愛生園でハンセン病回復者の現状を体感する~看護医療学科「健康学特論」
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