2021.06.22
「絵本・紙芝居で子どもから社会へつなげよう」活動報告ー当事者の方へのインタビュー~認知症ケアサークル「Orange Project®」
Orange Project®とは、熊本県(熊本大学・熊本保健大学・崇城大学)と奈良県(畿央大学)を中心に活動している認知症啓発のための学生ボランティア団体で、“認知症になっても安心してくらせるまちづくりに貢献する”をコンセプトに、認知症啓発運動を行っている学生を中心とした団体です。2020年には、ロゴやマークが商標登録されました。
畿央大学の卒業生たちは2019年から、在学中に熊本大学・熊本保健大学・崇城大学と共に、Orange Project®(認知症支援プロジェクト)に参画し、認知症になってもやさしい町づくりなどに、学生主体に取り組み始めました。そして「認知症にやさしい広陵町、認知症に強い畿央大学」となることを目的に2019年9月にサークルとして発足しています。
今回は、畿央大学が「多世代まちづくりプロジェクト2020コンペティション」で参加賞をいただいた企画、「絵本・紙芝居で子どもから社会へつなげよう」の活動の一環を報告させていただきます!
この企画では、認知症の当事者の実体験をもとに紙芝居を作成するため、当事者の方からのお話をとおして、情報を得る必要がありました。
そこで、Orange Project®では、
・2021年5月6日(木)18時より、若年性アルツハイマー病と診断された丹野智文さん
・2021年5月8日(土)13時より、若年性認知症と診断された竹内裕さん
に、ZOOMでインタビューをさせていただきました。
【丹野智文さんへのインタビュー】
はじめに、畿央大学「Orange Project®」の活動紹介を行い、多世代の紙芝居を作成していることをお伝えしました。紙芝居は、学生が一から手書きで作成しています。
ぜひ皆さんも、完成をお楽しみにしていてください!
次に参加学生の紹介後、丹野さんより自己紹介を行っていたただいた後、学生から丹野さんへのインタビューTIMEとなりました。
特に3回生は以前に、丹野さんが執筆された書籍『丹野智文 笑顔で生きる-認知症とともに-』を拝読させていただいていたため、実際にお話ができるということで、とてもわくわくしていました。
インタビュー時に出た主な質問内容としては、
・若くに認知症と診断されたときの心情
・現在の日常生活で工夫していること
・認知症の方に対してどのようなサポート(声掛け)をするべきなのか
というような内容でした。
認知症と聞けば、忘れることが多くなる、できないことが多くなるというようなマイナスなイメージに目を向けがちではありますが、できることはたくさんあります。
その人ができることに目を向け、一緒に考え、一緒に日常生活を工夫してゆくことが大切であると学ぶことができました。
そして丹野さんはオレンジドアという活動も行われています。
認知症と診断されてから引きこもりがちになる方が多く、社会とのつながりが失われることが多いそうです。そのような方が少しでも減少するよう、診察室の近くに丹野さんなどが待機し、認知症と診断されてからすぐ当事者同士でお話する場があり、社会とのつながりをつくっておられます。
また、多くの参加学生が、認知症の人には優しくしなければ、何かしてあげられることはないか、と思っていました。
ですが、それは反対に認知症の方ができることを先回りして支援することになり、できることを奪っていってしまうのだということが、参加学生にとってとても印象に残ることでした。
【竹内裕さんへのインタビュー】
開始前に竹内さんがZOOMに参加できていない!というような、少しハプニングもありましたが、、、(笑)
開始後は、初めに「なんでもきいてください!」とおっしゃってくださり、楽しくインタビューを実施することができました。
質問内容としては、
・認知症と診断された時の心情
・認知症と診断されたときの家族の反応
・日常生活で工夫していること
・どのようなサポートがあると良いか
というような、内容を質問させていただきました。
竹内さんは、認知症と診断された後、引きこもることが多くなったそうです。そのような状況から抜け出すきっかけが、旧友との還暦祝いのパーティでした。すなわち、家族以外の人との繋がり、社会との繋がりです。
また、紙芝居についても、幼稚園生や小学生にもなにか認知症の人にできることはないかと考え、その対応の仕方などの意見をいただくことができ、本当に楽しい時間を過ごすことができました。
最期に、丹野さんと竹内さんとのインタビューに共通して、認知症の人が住みやすい、暮らしやすい環境を作るうえで、いかに”人との繋がり”が大切であるのかを実感することができました。
コロナ禍ということもあり、ZOOMでの実施となりましたが、積極的に学生は質問を行い、丹野さんや竹内さんは、快くお答えくださいました。
学生にとっては、認知症に対しての理解を深め、今の私達には何ができるのかを考える良い機会となり、貴重な時間を過ごすことができました。
これからも、認知症についてさらに学び、少しでも多くの認知症の人との繋がりを作り、認知症の人が住みやすい街づくりに貢献できるよう、コロナ禍でもできる活動を続けてまいりたいと思います!
Orange Project®に興味がある方は、ぜひご参加ください!
看護医療学科3回生 谷﨑華穂
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