畿央大学の教育・研究・キャンパスライフをリアルタイム配信!

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2016年07月15日 一覧

2016年7月15日(金)

健康栄養学科の栢野先生および松村先生による健康科学研究所プロジェクト研究の成果が「Atlas of Science」という国際的な科学情報サイトに掲載されました。

 

奈良県南部の吉野郡周辺の吉野川流域は、日本でも有数の柿の生産地です。本研究は地域に定着している「干柿」に関するものです。

 

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要約

 

柿の果実はタンニンやカロテノイドといった健康に対して有用な成分を含有しています。本研究では干柿を対象とし、これまであまり着目されていない抽出残渣(抽出の際に溶解せずに残存する不溶物)に焦点をあて、抗酸化性の評価を行いました。抗酸化性の高い食物は肌や血管の老化を防ぎ、アンチエイジングに有効です。

 

奈良県吉野郡で収穫、加工された干柿より90%エタノールによる抽出を行い、抽出物および抽出残渣を調製しました。

 

第一の実験では、抽出物および抽出残渣の抗酸化性を試験管内で測定しました。その際、抽出残渣は不溶性なので、酸加水分解で可溶化する処理を加えました。これらの抗酸化性を測定した結果、干柿全体の抗酸化性のうち80~95%が抽出残渣に存在していることが明らかとなりました。

 

第二の実験では、動物に対しての抽出残渣の抗酸化性を評価しました。①コントロール食群、②茶カテキン食群、③干柿抽出残渣食群、と3グループのラットを2週間飼育して、血液中の血しょうの抗酸化性を測定しました。その結果、干柿残渣食群は投与1週間で血しょうの抗酸化性が1.5倍まで上昇し、比較対象とした茶カテキン食群よりも早く効果が現れました。

 

第三の実験では、抽出残渣に人工的な消化の処理を行い、内臓での消化段階における抗酸化性を測定しました。その結果、口腔、胃、小腸の消化過程ではほとんど変化は認められませんでしたが、大腸の過程においては著しく抗酸化性が上昇しました。これは抽出残渣に含まれる高分子化合物が腸内細菌の働きによって分解され、抗酸化性を有する可溶性の低分子化合物が生成したためと考えられます。

 

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これまでの多くの研究において、果物や野菜の抗酸化性は抽出物のみに焦点があてられ、抽出残渣はほとんど評価されていませんでした。本研究では、高い抗酸化性を有する干柿の抽出残渣がラットの消化管内の腸内細菌によって分解され、低分子の抗酸化物質が吸収され生体に対して抗酸化性を発揮したと考えられます。これらのデータは、他の食品素材においてもこれまで評価されていない抽出残渣が健康に対して有用な抗酸化成分を含有している可能性を示唆しています。

2016年7月15日(金)

看護医療学科4年生で保健師科目を選択している学生22名が、5月30日~7月8日まで「地域看護学実習」に行きました。地域看護学実習では、学生は「学校保健実習」または「産業保健実習のどちらかを選択し、保健所は全員実習となります。

報告会の開催は、それぞれの実習施設で体験する保健事業や活動が異なるため、学びをまとめて報告することで、共有を図ることを目的としています。

学校保健実習では、1週間の実習期間中、高校と小学校、養護学校で実習を行いました。学校保健活動や学校安全活動の実際を体験し、媒体を実際に作成して生徒の健康課題に応じた保健指導のあり方を学びました。

 

▼学生が作成した掲示物

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産業保健実習では、3つの事業場全てで、通常は立ち入ることができない作業中の職場巡視を体験しました。また個人への保健指導を実際に行い、対象者の労働と日ごろの生活や意識と健康との関連を考え、その状況に応じた効果的な保健指導のあり方を学ぶことができました。熱意あふれる指導保健師の活動を通して保健師魂を感じ、産業保健活動の魅力を感じた1週間でした。

 

▼産業保健の実習風景

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保健所実習では、県内3つの保健所で、家庭訪問や感染症対策、健康推進事業に参加しました。それぞれ参加した保健事業が異なっていましたが、個人への支援や管轄市町村への支援活動を通して、地域特性に応じて地域の関係機関との連携を図り、協働している実際の保健師活動について学ぶことができました。

 

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以下、学生の感想をご紹介します。

 

産業保健実習の報告を聞いて

今回の産業保健実習の発表を聞いて、保健師は数少ない人数で、職場で働く全労働者を対象に支援するため、広い視野、観察力などもとても重要になると解りました。また、保健師は、労働者の健康課題に対して、その職場(労働)の特性と労働者の健康状態を関連させて支援することで健康を守り、職場全体の利益につなげていると思いました。職場巡視をすることで健康課題の予防に努めることもとても重要であると学びました。

学校保健では児童・生徒またその保護者、教職員を対象に支援を行っていて、児童・生徒個人および集団としての健康課題への対応をしていました。産業保健では働く成人が対象であったので、日本では、人が生まれてから、成長・発達していく中で、学校生活を終えて社会に出ても職場で支援を受けることができるケアシステムの中にいることが理解できました。保健師は、人の一生を通して支援している専門職であることを改めて学ぶことができました。(学校保健実習学生)

 

学校保健の報告を聞いて

学校保健においては、養護教諭は子どもの成長発達に合わせて、対象者やその家族が健康に安心して地域で生活できるように、必要な健康教育や保健指導を行い、障害を持ちながらでもその子に合わせた生活が送れるようにサポートすることが大切であると思いました。そのためには、必要な関係機関と子ども、家族などの間に立ち、つなげることが必要であると思いました。(産業保健実習学生)

 

保健所の報告を聞いて

3つの保健所でそれぞれ実習内容は異なっていましたが、保健所で取り組まれている事業や、実際の事例を通して改めて保健師が地域の関係職種をつなぐ役割を担い、活動されていることを学ぶことができました。また、それぞれ地域の特徴があり、その特徴を生かした支援を保健師が他職種と連携して行っていくことが重要だと学ぶことができました。後期からは市町村実習が始まりますが、今回の実習で学んだことを生かし、頑張りたいと思います。

 

難病の家庭訪問やがんサロンでのがん患者のピアサポート、感染症発生時の防護服であるPPE着脱演習など私たちが経験できていないことも報告を聞くことで学ぶことができました。一方で保健所保健師の役割は広域的な地域支援や他職種との連携など共通点があると学ぶことができました。

 

他の保健所の実習のまとめを聞いて、保健所ごとに地域の特性に違いがあり、特性に応じた事業が行われていることがわかりました。しかし、どの保健所でも保健師の役割は保健活動の指針に基づいており、また、他職種や関係機関との連携が密に行われることで地域のネットワークの構築に繋がっていることを学びました。

 

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今回は、保健師実習5単位の中の2単位の実習でした。実習前は、少し不安げな様子でしたが、実習を通して保健師の活動と役割への理解が深まったようで、実習終了時には良い表情になり、たくましさも感じられました。9月から市町村で3週間の実習と1週間の学外演習が始まりますので、これからその準備が本格的に始まります。

 

看護医療学科教授 松本泉美

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