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健康科学研究科
2018.09.11
大学院生の発表演題が「視覚科学フォーラム2018」で優秀発表賞に選出!
2018年9月5日(水)から2日間、立命館大学大阪いばらきキャンパスにて視覚科学フォーラム2018第22回研究会に参加してきました。この研究会は前健康科学研究科長である金子章道先生(畿央大学栄誉・名誉教授)が立ち上げに関わられた研究会で、網膜生理学研究の討論の場として、生理学研究所の研究会として発足されました。現在では日本全国の視覚研究者が参加・議論する場として発展されています。 今回私は、「異なる構成要素からなる動画提示時の半側空間無視の視線特性」という演題で口述発表を行い、優秀発表賞に選んでいただきました。この発表では、動画提示時の視線分析により半側空間無視の症状特性を知るために、Graph-Based Visual Saliency(Harel et al., 2006)を用いて注視点をスクリーン画像の顕著性(サリエンシー)の分布と併せて解析しました。動的顕著性にどの程度影響を受けているかを分析した結果、無視症例は右空間の顕著性に視線が惹きつけられやすいことを報告しました。 視覚研究のエキスパートの方々に選んで頂けたこと、大変うれしく思っております。 さらに、なんと受賞後には以下のようなコメントを金子先生から頂くことができました…! 『畿央大学で森岡先生や河島先生ご指導の研究成果がその領域の人たちに認められたことは、畿央大学に関係した一人としてとても嬉しく思いました。これからも優れた研究を発表されることを期待しておりますし、また学位も取れますよう祈っております。一言お祝いまで。』 金子先生の授業で、ご自身の網膜に関する研究について目をキラキラと輝かせながら楽しそうにお話しされていたことがとても印象に残っており、年齢を重ねてもいつまでも知的好奇心に溢れて楽しまれている先生の姿にとても感銘を受けたことを覚えています。そのような金子先生にも喜んで頂き、またこのようなお祝いのお言葉を頂けて、これまでにない幸せを感じております。 この場をお借りして、金子先生、森岡周教授、現職の上司である河島室長に心から感謝申し上げます。今後も精進し、これからも多くの方々に支えられながら、無視症状に悩まされる当事者の方々に少しでも還元できるような研究に取り組んでいきたいと思います。 博士後期課程 大松聡子
2018.09.10
第9回呼吸・循環リハビリテーション研究大会レポート
田平研究室(大学院)健康科学研究科修士課程の酒井です。 2018年8月25日(土)・26日(日)の2日間で「第9回呼吸・循環リハビリテーション研究大会」を奈良県奈良市の平城宮温泉かんぽの宿奈良で開催いたしました。 本研究大会は毎年、田平教授をはじめとした研究室の在学生と卒業生で行なっており、今回は計14名の参加で開催しました。 参加者は現在進めている研究についての進捗状況や今後の研究テーマについての発表などを行いました。また、修士課程・博士課程に在籍している私を含める5名は修士論文や博士論文の研究テーマについて発表を行い、研究についての今後の進め方、発表の仕方、まとめ方などについてご指導していただけました。臨床とは違い、研究での学術的な発表はデータをふまえてどのように構成するかでインパクトが変わり、分かりやすくなるので、今回のご指摘を今後の中間報告会や修士論文作成に繋げていけるようにしたいと考えています。大学や大学院の卒業生も様々な研究テーマで基礎研究から臨床研究などの発表があり、すごく有意義な研修となりました。普段私の勤務している病院では外科手術は少なく、高齢者肺炎や心不全といった疾患の患者様を診ることが多く、肺切除術や肺移植などの研究報告などでは切除範囲や薬物療法などによってリハの効果が変わるのではないかとの指摘や肺移植での知見を知る事ができ、新しい刺激を受けた研修となりました。 夜は懇親会を行いました。研究での悩みだけでなく、普段の臨床での疑問点や状況など聞くことも出来ました。それぞれの病院・施設などの現状を聞けるのは、それだけで価値のある時間と感じました。今後、診療報酬や病院機能も目まぐるしく変化する中で、情報交換ができる場があるというのは非常に喜ばしい事であり、また視野が広がるのではないかと感じました。 今後も臨床から疑問を持ち、医療・介護の動きに目を向けながら、臨床家でありながら研究者としても取り組んでいけるようにしたいと思います。次回も開催されますので、是非たくさんの参加をお待ちしております。 畿央大学大学院 修士課程 健康科学研究科 酒井 直樹
2018.09.03
教育学部教員による書評~森岡周教授著「コミュニケーションを学ぶーひとと共生の生物学ー」
畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター長の森岡周教授が執筆した「コミュニケーションを学ぶ -ひとの共生の生物学-」について、森岡教授が担当する教育学部3年次後期配当「発達障害教育特論」で対談形式の授業を行っている教育学部現代教育学科大久保賢一准教授より書評が届きました。 本書の目的は「人間」を理解することである。人と人との間で繰り広げられるコミュニケーションを主題としながら、社会の成り立ちや有り様を描き、「人間らしさ」とは何かということに迫る。著者は、様々なレベルにおける「相互作用」にフォーカスし、重要な先行研究を引用しつつ、巧みにそれらの知見について解説していく。 まずフォーカスされるのは、神経細胞間の相互作用である。細胞同士がシナプスによって結ばれることによって神経システムが形成され、様々な神経伝達物質や電気信号のやり取りが絶えず行われ、それが感覚や運動の基盤となっていることを理解することができる。つまり、「細胞間のコミュニケーション」が我々のあらゆる活動の土台となっているのである。専門外の読者には、一見取っ付きにくい内容に思えるかもしれないが、美しいイラストや様々な具体例が用いられ、わかりやすく解説されている。本書は、優れた生物学、あるいは生理学のテキストとしての側面を持つといえる。 次にフォーカスされるのは、人と人との相互作用である。本書においては、その基盤となる言語、メタ認知、記憶、共同注意、心の理論、共感、アフォーダンスといった重要な事項について、様々なトピックの中で、その基盤となるメカニズムについて解説されている。本書は、基礎的な心理学のテキストとしての側面を持つといえる。 フォーカスの対象は「集団」へと拡げられる。それは個人と集団の相互作用、集団内における個人間の相互作用、あるいは集団間の相互作用である。著者はアリを例にあげ、捕食されるリスクと餓死リスクを同時に最小化するために社会的分業を生み出した超個体(super organism)としての組織プロセスについて解説している。集団内において個体同士が相互作用し、連携・連動・分業を行いながらある目的を共有して組織として機能している様子は、個体内における神経システムのそれによく似ていると感じられる。本書は、先駆的な社会学のテキストとしての側面を持つといえるであろう。 皮膚の内側、対人関係、そして社会や組織といった様々な次元における「コミュニケーション」について分析し、「わたし」という自己に対する意識、「あなた」という他者の理解、そして人間社会の有り様を描き出し、さらにそれぞれが相互作用をしているというダイナミズムを体感することができる。さらに本書においては、より発展的なコミュニケーション論として、ゴシップ、文学、儀式、芸術、SNS、拡張現実、AI、機械学習などにも触れられており、現代的なトピックについても「コミュニケーション」という切り口から分析されている。 さらに本書の特徴としてあげられるのは、一見「コミュニケーション」という主題との関連性が見えづらい「身体」の役割について重点的に取り上げられている点である。これは著者の理学療法士としての経歴が影響しているのかもしれない。例えば「共感」といわれるプロセスにおいて、表情、姿勢、動きの同調が影響しており、乳幼児期における手さしや指さしといった身体の動きが、共同注意(joint attention)において重要な役割を果たしていることが指摘されている。 友人、家族、恋人など様々な対象において、あるいは学校や職場など様々な状況において「コミュニケーション」は重要な役割を果たしており、また同時にそれは我々の重大な悩みの種でもある。本書はそのようなコミュニケーションに関わる悩みに対して具体的に指南をしてくれるようないわゆる「ハウツー本」ではない。本書は「自然現象」としてのコミュニケーションを科学的に解説したものである。それは「なぜ人々がそのように行動するのか?」を知るための材料となり、様々な問題を抱える者の困難性を科学的に理解し、効果的に支援するための材料となるだろう。 現代教育学科 准教授 大久保賢一 【関連記事】 脳科学×特別支援教育で教員特別対談!~現代教育学科「発達障害教育特論」(2017年) 「発達障害教育特論」で理学療法学科と現代教育学科の教員が特別対談!~現代教育学科(2016年)
2018.07.18
森岡教授と客員研究員がISPRMで発表!~ニューロリハビリテーション研究センター
2018年7月8日(日)~12日(木)にフランスのパリで開催された12th the International Society of Physical and Rehabilitation Medicine(ISPRM) World Congressに、森岡周教授と私(佐藤剛介 客員研究員)で参加・発表してきました。 ISPRMは学会名の通りリハビリテーション医を中心とした学会であり、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士等のリハビリテーション関連職種には関係の深い学会になります。学会では、演題発表もありつつワークショップも豊富に企画されているのが特徴的でした。取り上げられている分野も幅広く、脳卒中や外傷性脳損傷、脳性麻痺、パーキンソン病、脊髄損傷をはじめとした神経疾患や筋骨格系疾患、トピックスとしてバーチャルリアリティ等がありました。 演題発表については、森岡教授と私ともに7月9日にE-poster発表を行ってきました。森岡教授の発表セッションは、短時間のプレゼンテーションとディスカッションで構成されており、森岡教授のプレゼンテーションとディスカッションのやり取りを直にみることができ参考になりました。しかしながら、今回の学会で驚かされたことの一つとして、私の発表セッションではプレゼンテーションの時間が設けられておりませんでした。結果的には、自分の演題について他の学会参加者とディスカッションできなかったことが心残りではあります… 色々な意味で世界のリハビリテーション医学を垣間見ることができたことは、今後の私の研究人生の励みになるとともに財産になると思います。 ▲演題発表を行う森岡教授(写真左)と佐藤剛介(写真右) また、学会の合間を利用して、森岡教授・松本大輔助教、首都大学東京の先生方とフランスのサルペトリエール病院の見学に行くことができました。サルペトリエール病院は歴史が非常に古く、起源となる療養所が造られたのは西暦1650年代に遡ります。そして、現代の神経学の発展に大きな影響を与えた、Jean-Martin Charcot(ジャン=マルタン・シャルコー)医師やJoseph Jules François Félix Babinski(ジョゼフ・ジュール・フランソワ・フェリックス・ババンスキー)医師が活躍されていた病院になります。これらの医師達の名前は、学生時代から当たり前のように目にする神経疾患の病名や神経学的検査の名称にもなっており非常に身近な存在のようにも感じます。病院内には、サルペトリエール病院の歴史を物語る一つとして大きな教会が建てられていることや、日本でのリハビリテーション科がReEducationと表現されていた点が印象深かったです。さらに病院では、Myologieを専門とされているDr.Edoardo Malfattiの研究室の紹介をしていただくことができました。私の研究テーマとは離れた部分もあり、勉強不足のままでの参加となったため十分に理解できなかった点は残念に思います。しかし、実際に海外の研究室を訪問することは、初めての経験でしたので非常に良い刺激になったと思います。 今回のISPRM2018への参加では、最新のリハビリテーション医学の動向を知ることができ、加えてサルペトリエール病院を訪問し神経学の長い歴史に触れることができました。華の都パリらしく、新しいものから古いものまで私に様々な時間を与えてくれたと思います。 最後になりますが、今回の学会参加にあたり研究指導・アドバイスをしていただきました森岡周教授、大住倫弘助教、信迫悟志助教、研究室のメンバーに感謝申し上げます。そして、研究の場を提供していただきました畿央大学に感謝申し上げます。 【発表演題】 森岡 周 教授 RELATIONSHIP BETWEEN MOTOR IMAGERY ABILITY AND MOTOR FUNCTION OF HEMIPLEGIC UPPER LIMBS AND THEIR USE IN STROKE PATIENTS 佐藤 剛介 客員研究員 THE EFFECTS OF TRANSCRANIAL DIRECT CURRENT STIMULATION COMBINED WITH AEROBIC EXERCISE ON PRESSURE PAIN THRESHOLDS AND ELECTROENCEPHALOGRAPHY IN HEALTHY CONTROL: PILOT STUDY 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 客員研究員 佐藤剛介 ●畿央大学ニューロリハビリテーション研究センターHP ●畿央大学ニューロリハビリテーション研究センターFacebook 【関連記事】 大学院生が海外でポスター発表!~健康科学研究科 森岡周教授と大学院生が第40回日本疼痛学会で発表!~畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 第25回Cognitive Neuroscience Societyで研究発表!~健康科学研究科 長崎大学大学院 運動障害リハビリテーション学研究室と研究交流会を開催!~ニューロリハビリテーション研究センター
2018.07.13
大学院生が海外でポスター発表!~健康科学研究科
平成30年6月30日(土)~7月2日(月)、アイルランドの首都ダブリンで開催された第22回International Society of Electrophysiology and Kinesiologyに林田一輝さん(博士後期課程)と私(水田直道 博士後期課程)が参加・発表してきましたので報告させていただきます。 この学会は運動制御や神経生理学、生体力学、信号解析、リハビリテーションなど運動制御に関連する約600の一般演題があり、どの演題も議論が非常に活発でした。 シンポジウムでは「生体力学研究の問題点と臨床応用」や「運動パフォーマンスと生理学的指標の関連性」などが取り上げられており、基礎研究の取り組みと臨床ならびにスポーツ現場での現象と隔たりを埋めようとする内容が示されておりました。 森岡研究室からは3日目に私が脳卒中後症例の歩行の研究を、林田さんが運動主体感のポスター発表を行いました。私にとって初めての国際学会でしたが、多くの方から質問に来ていただき、2時間の発表時間はあっという間に感じました。頂戴した質問やアドバイスは非常に有益となる情報が多くあり、今後の進展へ向けモチベートされました。 写真;左:水田 右:林田さん シンポジウムや一般演題は非常にラフな雰囲気の中、議論が多いにもかかわらず時には笑いが起こるなど、良い意味で議論を行いやすい雰囲気のように感じました。マウントの取り合いのような議論ではなく、相互向上を目的とした姿勢には襟が正されました。また自身の研究領域とは異なる発表に対しても興味を持っている印象を受けました。 このような貴重な経験ができたのは森岡教授をはじめとする研究室の仲間の日頃のご指導と、畿央大学の手厚いバックアップがあったからであり、ここに深く感謝致します。 【発表演題】 水田 直道(博士後期課程) Trunk instability with shank muscle co-contraction is masking the potential of walking ability in patients with post stroke hemiplegia 林田 一輝(博士後期課程) Effects of sharing goals with others on sense of agency and perceptual motor learning 畿央大学大学院健康科学研究科博士課程 水田直道 ●畿央大学ニューロリハビリテーション研究センターHP ●畿央大学ニューロリハビリテーション研究センターFacebook 【関連記事】 森岡周教授と大学院生が第40回日本疼痛学会で発表!~畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 第25回Cognitive Neuroscience Societyで研究発表!~健康科学研究科 長崎大学大学院 運動障害リハビリテーション学研究室と研究交流会を開催!~ニューロリハビリテーション研究センター
2018.07.02
日本老年看護学会第23回学術集会に看護医療学科教員・健康科学研究科院生が参加・発表しました!
2018年6月23日(土)~24日(日)に福岡県久留米市にて行われた、日本老年看護学会第23回学術集会(約1,980名参加)に、老年看護学領域の教員4名が参加しました。 「つなぐ つくる つたえる 老年看護の創出―より豊かに生きることを支え合う-」をテーマに、様々な分野で活躍されている諸先生方の講演や一般演題発表が行われました。 認知症になっても暮らしやすい地域づくりやその人らしく生きるための意思決定支援など、高齢者が住み慣れた地域でより豊かに生きるために欠かせない倫理的な問題や課題、取り組みについての講演を拝聴させて頂きました。 また、人生の最終段階における医療・ケアについての講演、発表が多くみられました。 これは高齢多死社会の進行に伴う地域包括ケアシステムの構築に対応する必要があることや、英米国を中心にACP(アドバンス・ケア・プランニング)の概念を踏まえた研究・取組が普及してきていることを踏まえて、今年3月に「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」が改訂されたことに関連していると考えられます。 今回、畿央大学大学院生の島岡、尼﨑が示説発表を行いました。 尼﨑のテーマは「高齢者施設における終末期ケアの意思決定支援に関する文献検討」でした。 海外のACPのガイドラインがどのようなものかという質問があり、今回は高齢者施設の文献検討であったこと、イギリスではNHS主催の終末期ケアプログラムの一環としてガイドラインが開発されていることを説明しました。今後も、最期までその人らしい生き方、本人の意思を尊重したEnd-of-lifeケアの実践に向けて、研究活動を進めていきたいと思います。 島岡のテーマは「新オレンジプランにおける我が国の認知症カフェに関する研究の動向」でした(学術研究助成基金助成金 挑戦的萌芽研究 16K15979)。 発表後に今後の研究について、「認知症カフェにはいろいろなタイプがあるが、どのような方向性でまとめていくのか」と質問を受け、「認知症カフェは主に5つのタイプに分類されるが、これをベースとして更に新しい可能性を模索し、発展させたものをモデル化していこうと考えている」と答えました。このやり取りの中から自己の方向性が再確認できました。 また、今回聴講した発表の中には、認知症サポーターとなった大学生が認知症カフェを拠点にし、主体的に認知症の啓発活動を行っている紹介がありました。 Orange Projectの公式Facebookはコチラ! 若い世代の学生たちが認知症に興味を持ち、認知症を理解して当事者や家族の方たち、地域の方たちと関わることで地域のエンパワメントを高め、地域が活性化できる。また、他の同世代の若い人達に活動を紹介してくれることで更に認知症に関心を持つ若者が増えるという発表は、現在行っている認知症カフェの研究にとても役立つ内容でした。 今回の学会参加で自身の研究の発展につながる様々なヒントを得ることができ、とてもいい刺激を受けました。認知症になっても安心して暮らしていける町づくりに少しでも貢献できるように、今後も自身の研究を深めていこうと思います。 健康科学研究科修士課程 尼﨑裕子 島岡昌代 【関連記事】 川上村民生児童委員会の方を対象とした「認知症を正しく理解する講習会」を開催!~看護医療学科 平成30年度第2回「Kioオレンヂ喫茶(カフェ)分かち合いin御所」を開催!~看護医療学科 平成30年度第1回「Kioオレンヂ喫茶(カフェ)分かちあい in 御所」を開催!~看護医療学科
2018.06.22
書評~森岡周教授著「コミュニケーションを学ぶ -ひとの共生の生物学-」
畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター長の森岡教授(理学療法学科教授)が執筆された「コミュニケーションを学ぶ -ひとの共生の生物学-」が出版されました! 本書は、【社会人類学的視点からみた人間のコミュニケーション】【神経科学からみた人間のコミュニケーション】【人間のコミュニケーション行動】の3部構成になっており、人間のコミュニケーションを生物学的あるいは神経科学的に学べることはもちろんのこと、現代のコミュニケーション文化についても語られていますので、シンプルに楽しめる本です。最初のページをめくると、『人間はおしゃべり』とだけ綴られたページがあり、なんとも森岡教授らしい仕掛けとなっています。特に、コミュニケーションにおける“無駄”なことについても言及されており、我々のコミュニケーション行動の本質についても触れられているように思いました。 本書は、現代社会のコミュニケーションについて考える機会を与えてくれるものになっており、医療・教育・経営などの分野で幅広く読まれることになる一冊と思いますので、ご一読いただければ幸いです。 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 助教 大住倫弘 【畿央大学教員執筆図書の紹介】 ・DVDで学ぶ助産師のわざ「母乳育児支援」に執筆協力!~助産学専攻科教員 ・書評~教育学部西端律子教授執筆「誰でも使える教材ボックス」 ・書評「看護学生のための疫学・保健統計」(看護医療学科松本泉美教授 編著) ・書評『教育の質の平等を求めて―アメリカ・アディクアシー学校財政制度訴訟の動向と法理―』 ・『サルコペニアとフレイル』書評 ・書評:森岡周教授執筆「発達を学ぶ~人間発達学レクチャー」 ・「養護教諭のための発達障害児の学校生活を支える教育・保健マニュアル」をご紹介! ・書評『リハビリテーションのための神経生物学入門』 ・書評「おいしさの科学シリーズ~生きていくための味覚の役割」 ・書評「Pain Rehabilitation(ペインリハビリテーション)」 ・石川裕之著『韓国の才能教育制度』を読む
2018.06.20
森岡周教授と大学院生が第40回日本疼痛学会で発表!~畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター
平成30年6月15日、16日に長崎で開催された第40回日本疼痛学会に健康科学研究科の森岡教授と私(博士後期課程:片山脩)で参加してきました。学会では細胞や分子レベルでの基礎研究から薬理学、そしてリハビリテーションまで多彩な演題発表とシンポジウムが組まれており大変勉強になりました。 森岡教授はシンポジウム「幻肢痛のメカニズムと新規治療戦略」にて座長および演者として講演を行われました。講演では、森岡研究室の研究成果を紹介しながら「幻肢痛を含んだ身体性変容のメカニズムとニューロリハビリテーション」についてお話しされました。 私は博士後期課程で行っている「感覚運動の不一致による身体性変容の脳内情報処理メカニズム」についてポスターセッションにて発表を行いました。発表は自由討論形式でしたので多くの方々とゆっくり議論することができました。以前からお話をしたかった先生も内容を聞きに来てくださり、今後の研究につながる様々なアドバイスを頂けました。 1日目の夜には、長崎大学の沖田教授、神戸学院大学の松原教授の研究室の方々との懇親会が開催されました。学会会場とは異なり、和やかな雰囲気の中で情報交換を行うことができました。このような貴重な経験をさせて頂いた森岡教授と畿央大学に深く感謝申し上げます。 今回の発表内容を論文としてまとめ、今後も研究活動に取り組んでいきたいと思います。 健康科学研究科 博士後期課程3年 片山脩
2018.05.22
平成30年度 運動器リハビリテーションセミナー「エビデンス編」を開講しました。
平成30年5月21日(日)、平成30年度「畿央大学運動器リハビリテーションセミナー(エビデンス編)」が開催されました。 今年のエビデンス編は『バイオメカニクスからみたリハビリテーション』『骨と振動刺激』『下肢関節へのメカニカルストレス』『免疫系への理学療法アプローチ』という4つのタイトルで9時から16時まで講師陣の熱い講義がありました。 私は1限目のバイオメカニクスを担当しました。 臨床の先生方から「節の運動軸の論文を読んでも臨床応用できない」「三次元動作解析の文献は意味不明」などの声を聞くことがあります。正常関節の動きを知ることで、変形性関節症者の異常な関節運動を知ることができます。また、三次元空間の表現には国際基準でのルールがあり、「論文にはその基準に従いますよ~」と書いてあるだけで一般的に詳細は表記しません。このようなちょっとしたコツでバイオメカニクスという難解な分野もぐっと臨床に近づいてきます。 他の3つの講義に関してもなかなか壮大なテーマですが、わかりやすくご講義いただきました。 2限目の峯松先生には、臨床では目にすることのない骨のミクロ構造を図や画像を用いてご講義いただきました。 3限目の瓜谷先生は昨年のオーストラリア在外研究で得た知識をご披露いただきました。 4限目の免疫に関しては、今北先生のアメリカ留学での実験をもとに、実際に唾液を用いたストレスと免疫の関係について受講者の唾液から簡単な実験をしていただきました。 今後の運動器セミナーは臨床編、臨床実践編、臨床研究編と続きます。 今年で7年目を迎える運動器セミナー、今年の臨床実践編では動物標本を用いた解剖実習や超音波エコーの使用について。臨床研究編では本学の理学療法学科に所属する統計関連ソフトの開発がご専門の福森先生にご登壇いただきます。 リカレントを主眼に置き、明日の臨床に活かせるコンテンツを揃えて各教員お待ちしておりますので今後の運動器リハビリテーションセミナーにもぜひお越しください。 理学療法学科 准教授 福本貴彦
2018.05.01
メルボルン大学の研究チームとしてイギリスへ!~理学療法学科瓜谷准教授
昨年度メルボルン大学で1年間にわたり在外研究を行っていた理学療法学科瓜谷准教授が、同大学の研究チームとともにイギリスを訪問!現地のレポートを寄稿いただきました。 2018年4月22日(日)~4月29日(日)の日程で、客員研究員として1年間所属したThe University of Melbourne, Centre of Health, Exercise and Sports Science (CHESM)のメンバーとしてイングランドに行ってきました。 初めにKeele University Primary Care Centreを訪問し、Krysia Dziedzic教授が率いる研究チームとの研究交流会を行いました。Dziedzic教授とお会いするのは、私のメルボルン滞在中にDziedzic教授がCHESMを訪問された時以来2回目でした。研究交流会ではイギリス、オーストラリア、オランダの研究者が会し、各国の変形性関節症の現状や、それぞれの研究者の研究内容の紹介とディスカッションを行いました。 私は「Burden of Osteoarthritis in Japan」というテーマで、日本の特に変形性膝関節症の現状を、欧米の研究や文化などと比較しながら20分ほどプレゼンさせてもらいました。日本ではほとんどの場合、海外のエビデンスを援用することで理学療法の評価や治療が行われていますが、日本と海外の疫学的な違いや生活習慣、文化的な背景による心理的特徴の違いなどをお話しし、日本でのエビデンスを構築していくことの重要性をお話ししました。Dziedzic教授からは、Keele Universityが中心となってヨーロッパの複数の国をまたいで進められているような実践的研究を日本でも推進していくことを勧められました。 次にリバプールへと移動し、4月26日(木)~29日(日)まで、変形性関節症に関する世界最大の国際学会であるOARSI2018に参加しました。 こちらでは「The association between physical activity and psychological characteristics in people with knee osteoarthritis」という題で、メルボルン大学滞在中に行った、変形性膝関節症患者の日々の身体活動量と心理的な特徴との関係についての研究結果を発表しました。我々の研究に対して欧米や南米の研究者の方が興味を持ってくださり、深いディスカッションをすることができました。 学会では変形性関節症に関する基礎研究からリハビリテーションに関する研究まで、幅広い研究が紹介されていました。日本人で発表者として参加していた理学療法士は他にも数名いらっしゃったようですが、リハビリテーションあるいは理学療法分野での研究は残念ながらまだまだ日本は諸外国と比べて圧倒的に遅れを取っていると言わざるを得ない状況だと改めて痛感しました。 それと共に今回のKeele University訪問とOARSIへの参加を通じて、これからやりたいこと、やらなければならないことが少し見えてきたような気がしました。CHESMのKim Bennell教授やKeele UniversityのDziedzic教授との共同研究という形で、日本でも諸外国に負けない水準で日本に合ったエビデンスを構築していきたいと考えています。 理学療法学科准教授 瓜谷大輔 【関連リンク】 平成29年度在外研究~メルボルンからの現地レポート メルボルン大学で4回生が卒業研究発表+ラボ見学レポートPart1~理学療法学科 メルボルン大学で4回生が卒業研究発表+ラボ見学レポートPart2~理学療法学科 理学療法学科教員が「運動器の10年・優秀賞」を受賞しました。 WCPT Congress 2015で、本学理学療法学科教員が日本人初受賞!
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