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健康科学研究科
2018.11.28
第16回日本神経理学療法学会学術集会で教員・大学院生など5名が発表!~健康科学研究科
平成30年11月10・11日(土・日)に大阪国際会議場にて第16回日本神経理学療法学会学術集会が開催されました。本学会は「次代を担う」をテーマに開催され、2000名以上の方が参加されました。 本研究室からは信迫助教をはじめ、植田さん(客員研究員)、高村さん(博士後期課程)、藤井さん(博士後期課程)、水田さん(博士後期課程)が発表を行いました。 演題名は以下の通りです。 <口述発表> ・信迫悟志「脳卒中後失行症と視覚‐運動統合障害に共通した責任病巣―映像遅延検出課題とVoxel‐based lesion‐symptom mappingからの証拠―」 ・植田耕造「Pushingの出現に付随して自覚的姿勢垂直位の傾斜を認めた重度左半側空間無視の一症例」 ・高村優作「空間性/非空間性注意の包括的評価による半側空間無視の回復過程の把握」 ・水田直道「脳卒中後症例における運動麻痺と歩行速度からみた歩行障害の特性―運動学/筋電図学的な側面からの検討―」 <ポスター発表> ・藤井慎太郎「脳卒中患者における静止立位時の側方重心偏倚の特徴に着目した重心動揺特性分析」 たくさんの方が参加されており、フロアでは活発な議論がされておりました。 また、特別公演「私らしさを取り戻すということ―身体性システム科学の視点から―」と、シンポジウム「中枢神経障害の歩行再建を担う」では森岡周教授が情報提供をされました。どちらの講演もSynofzikの論文から、感覚運動表象、概念的表象、メタ表象という3つの階層を軸に、社会的人間としての役割も含めた「私らしさ」の重要性について、行為主体感・身体所有感の視点から説明をされていました。 2日目には第52回日本理学療法学術大会と第15回日本神経理学療法学会学術集会の表彰式が行われました。 前者の最優秀賞で森岡教授,後者の学術集会長賞で信迫助教がそれぞれ表彰されました! 近年、装具療法や電気刺激療法に加え、経頭蓋磁気刺激やロボティクスなど、様々な視点からの介入が注目されており、講演や演題発表においてもその効果やメカニズムに触れた内容がたくさんあったように思います。また、再生医療の治験に関する講演もあり、今後ますます神経理学療法の分野が広がっていくであろうことを感じました。 どの介入も有効性が報告されており、臨床応用されていくことが期待される一方、介入ありきではなく、病態特性を考慮した適応と限界についても考えていく必要があるのではないかと思いました。こういった場で時間を共有し、たくさん議論する中で、研究と臨床がつながるように方向付けしていくことが、より良い医療を提供するために重要であると感じた二日間でした。 最後に、学会運営や準備、発表や参加をしたみなさまに、貴重な時間を提供していただいたことを深く感謝いたします。 畿央大学大学院 健康科学研究科 修士課程 古賀 優之
2018.11.05
平成30年度運動器リハビリテーションセミナー「臨床実践編 (膝関節)」を開講しました。
平成30年10月28日(日)、平成30年度「畿央大学運動器リハビリテーションセミナー(臨床実践編 膝関節)」が開催されました。 「畿央大学運動器リハビリテーションセミナー」は明日の運動器リハに使える『エビデンス編』、部位ごとに基礎から臨床応用まで学べる『臨床編』、今年度からの新たな取り組みで膝関節をメインに実践的に理解する『臨床実践編(膝関節)』、臨床で得られたデータの分析方法について学ぶ『臨床研究編』の4つで構成しています。 今年の臨床実践編は理学療法士として触診や動作分析を行う中で体表解剖の知識が非常に重要であるということで、午前と午後に分けて実践的な実習形式で行いました。大学院2名によるレポートです。 午前:超音波エコーの仕組みと使い方、超音波エコーを用いた膝関節の観察 私は、超音波エコーを用いた実習の補助スタッフを担当しました。まず、福本先生に超音波エコーの仕組みや、取り扱いや読影方法についてご講義いただきました。 普段、臨床現場で超音波エコーを扱っている先生も全く扱ったことがない先生も、仕組みからもう一度学ぶことが出来てより深い理解が得られたと思います。また、エコーの読影方法も普段見慣れていないと難しいですが、イメージが持ちやすくなったと思います。 その後は、3班に分かれて実際に超音波エコーを用いて膝関節内部を観察していきました。最初はプローブの扱い方に苦戦していた先生方も、扱いに慣れてくると色々と条件を変えて読影をしてみたり、ディスカッションを交えたりしながら和気藹々とした実習となりました。スタッフとして参加していた私自身も、実習形式で行うことでエコーについてより深い理解を得られたなと感じました。 畿央大学健康科学研究科 修士課程 加納希和子 午後:膝関節の機能解剖学実習①、② 私は膝関節の機能解剖学実習の補助をさせて頂きました。この講義では実際に食用の豚の膝関節を用いて膝関節の構造や動きを勉強しました。豚の膝関節は比較的人の膝関節と類似していると言われています。私もそうですが、実際に学校で学んだ解剖学は教科書での勉強がほとんどであり、どこからどこに伸びているとなんとなく知っているだけで、3次元でのイメージが完全に理解できていません。今回は実際に臨床で運動器疾患を担当されている先生方が参加して頂いたので、膝を曲げ伸ばししながら関節内の半月板の動きを観察して『本当にこんなに動いているのか』、靭帯の付着部を見て『こんなところから付着していたのか』と興味深く観察して頂きました。言葉ではなく実際に目で見て観察できたということは今後の臨床で非常に役立つのではないかと思います。 畿央大学健康科学研究科 博士後期課程 岡田圭祐 次回の臨床研究編では、臨床ですぐ使える機器やソフトを紹介し、統計手法と得られた結果の分析方法について学んでいただくといった内容となっております。研究って何からやって良いのか分からない…といった疑問をお持ちの先生方、ぜひご参加ください。 【関連記事】 平成30年度 運動器リハビリテーションセミナー「エビデンス編」を開講しました。
2018.10.05
大学院生が第19回認知神経リハビリテーション学会で最優秀賞を受賞!~健康科学研究科
平成30年9月29・30日に門真市民文化会館ルミエールホールにおいて第19回認知神経リハビリテーション学会学術集会が開催されました。大学院生の高村優作さん(博士後期課程)、舞田大輔さん(修士課程)、そして私(寺田萌 修士課程)が参加・発表してきましたので報告させて頂きます。 本学会は「病態を深化する」というテーマで行われました。台風が近付く中での開催でしたが、リハビリテーションに携わる多数の職種の方々が参加され、特別講演、教育講演、シンポジウム、一般演題発表において、脳卒中後片麻痺や高次脳機能障害、神経難病など多岐に渡る領域における、行為の異常の背景にある症例固有の病態理解を深めるための様々な検証作業の提案があり、活発な議論がなされました。 今回私は、「慢性期失行症例におけるジェスチャー観察時の視覚探索特性 ~模倣障害の回復過程における一考察~」という演題で発表を行い、一般演題発表のなかで最優秀賞に選んで頂きました。この発表は、模倣障害を呈した患者様に対して従来の行動面の観察・評価に加えて視線の動きを計測・分析したもので、模倣障害の回復過程における代償戦略を示唆するデータを報告しました。多くの演題の中から最優秀賞に選んで頂けたことは、日頃の取り組みが認めてもらえたことと大変嬉しく思っております。 認知神経リハビリテーションでは、個々の症例の認知過程への介入を基本としており、内省や内観を治療の重要なポイントとして用います。これに併せて、種々の評価結果を客観的データとして把握するために研究的手法を用いることは、正確な病態解釈やより良い介入手段の立案の一助となると感じました。今後も継続する努力を怠らず、リハビリテーションの対象者、さらには社会に貢献することができるように、ますます精進していきたいと思います。 このような経験ができたのは森岡教授をはじめとする多くの方のご指導と畿央大学の支援があってのものです。この場を借りて深く感謝申し上げます。 発表演題 【指定シンポジウム】 ・高村優作「前頭機能や空間性注意の停滞を併発する感覚性失調症例の病態解釈と介入経験」 【ポスター発表】 ・舞田大輔「視覚入力を用いた自己運動錯覚の定量化の試み~Bimanual circle line coordination taskを用いて~」 ・寺田萌「慢性期失行症例におけるジェスチャー観察時の視覚探索特性~模倣障害の回復過程における一考察~」 健康科学研究科 修士課程2年 寺田萌 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センターホームページ
2018.10.01
大学院生6名が日本リハビリテーション学会学術大会で発表!
平成30年9月22日(土)・23日(日)に九州大学医学部 百年講堂で第23回ペインリハビリテーション学会学術大会が開催されました。 本学会は「新たなステージへの挑戦 –慢性痛の予防戦略−」というテーマで行われ、これからの慢性疼痛に対する予防策について、産業や地域、病院などの様々な観点から議論がなされました。慢性疼痛に対する心理・情動面の重要性は周知の通りですが、リハビリテーション専門職にしかできない身体機能評価を再考し、確立させていくことの必要性を感じました。 我々の演題名は以下の通りで、いずれも活発な議論がなされました。 【口述発表】 佐藤剛介「経頭蓋直流電気刺激と有酸素運動の併用介入が圧痛閾値および安静時脳波活動に及ぼす影響」 重藤隼人「中枢性感作を有する疼痛患者における疼痛関連因子の特徴」 【ポスター発表】 西 祐樹「慢性腰痛患者における運動学的な姿勢評価システムの構築 –自宅生活と外来での運動の乖離−」 田中陽一「疼痛の日内律動性と内因性要因の関連 –疾患・疼痛病態の異なる3症例での検討−」 藤井 廉「労働者の重量物持ち上げ動作時の運動恐怖と運動学的因子の関連性 −三次元動作解析装置を用いて−」 長倉侑祐「Neglect-like symptomsを呈した手指術後症例における両手協調運動の低下に対する一考察」&「骨折後急性・亜急性期患者における内受容感覚の精度と認知・情動との関連性について」 本学会を通して、慢性疼痛の病態やメカニズムが明らかとなってきている中で、今後はより具体的にどのように介入していくかを検証するとともに、有効な介入方法をスタンダードとして社会にどのように発信していくかが重要な課題であるように感じました。 今後も研究室の痛み研究メンバーと一丸となって、課題解決の糸口を見出すよう、更なる研究活動に取り組んでまいります。 このような貴重な経験ができたのは森岡教授をはじめとする多くの方のご指導と畿央大学の支援があってのものです。この場を借りて深く感謝申し上げます。 畿央大学大学院健康科学研究科 神経リハビリテーション学研究室 修士課程2年 藤井 廉
2018.09.29
大学院生が国際疼痛学会(IASP 2018)でポスター発表!
国際疼痛学会が9月12日〜16日にボストンで開催されました。 世界中から集まった研究者が痛みという一つの症状を様々な視点で研究し、いたるところでディスカッションが行われていました。博士課程の片山脩さんと私(西 祐樹)もポスター発表を通して様々な意見交換を行い、有意義な時間を過ごすことができました。 また、マサチューセッツ工科大学博物館にて「The Beautiful Brain」というテーマで展示会が催されていたので行かせていただきました。ニューロン説を唱え神経科学・神経解剖学の基礎を築きあげたSantiago Ramon Cajalがスケッチした神経細胞の原画3000点以上の中から80点が展示されていました。未知の事象を当然の知識に昇華させる背景にはたゆまぬ努力と発見があることを肌身に感じ、襟を正す思いになりました。 このような貴重な経験ができましたのも森岡教授、大住助教をはじめとする研究室の方々の日頃のご指導と、畿央大学の手厚いご支援の賜物であり、ここに深く感謝致します。 畿央大学大学院博士後期課程 西 祐樹
2018.09.27
「第1回リハビリテーションのための姿勢運動制御研究会」を開催!~畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター
平成30年9月15日(土)、畿央大学にて「第1回リハビリテーションのための姿勢運動制御研究会」が開催され、総勢122名の参加者による活発なディスカッションが行われました。 本研究会は、畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター公募研究会制度の承認と支援を受けて初めて開催されたものであり、会の目的として「リハビリテーションにおける姿勢運動制御分野の若手研究者と療法士を対象としたオープンな研究会を開催し、臨床で示される現象に対する解釈や検証を、科学的態度をもって議論できるプラットフォーム構築、および今後の研究コミュニティの構築を目指す」ことを掲げています。そのため、研究会運営幹事は若手の研究者かつ理学療法士ら(代表:植田 耕造・畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター客員研究員)で構成されており、会の企画・運営についても若手が高い自由度をもって主体的に行いました。 研究会の内容は、特別講演として首都大学東京の樋口貴広 教授に「知覚運動制御の最先端とリハビリテーションへの示唆」、そして、本研究会の世話人でもある畿央大学ニューロリハビリテーション研究センターの岡田洋平 准教授からは「パーキンソン病の歩行運動制御とリハビリテーション Up To Date」と題した講演を頂きました。どちらの講演も、現在進行形で取り組んでおられる未発表の研究データや試行錯誤段階にある実験データを含むものであり、一方向的な講演として終わることなく、フロアの参加者との質疑やディスカッションが活発に交わされました。 その後は、若手講演として運営幹事ら4名より現在取り組んでいる最新の研究内容を紹介させて頂きました。 ① Lateropulsionに対する直流前庭電気刺激の影響(畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター、星ヶ丘医療センター:植田耕造) ② 脳卒中患者の前庭動眼反射と姿勢制御機能(佐賀大学,白石共立病院:光武翼) ③ 片脚立位姿勢制御の発達 -体重心と足圧中心を用いた分析-(北海道大学大学院:萬井太規) ④ 歩行学習の効果的な臨床応用に向けて ‐学習効果と神経生理学的視点からの考案‐(京都大学大学院、関西リハビリテーション病院:北谷亮輔) いずれの研究もリハビリテーションの臨床を強く意識したものであり、そして、姿勢運動制御を共通のキーワードとしつつも、多岐に渡る研究内容となっていました。各研究で掲げられている臨床課題にアプローチするための科学的な手続きまでも紹介され、得られた最新の知見とともに参加者全体で共有できたかと思います。 最後には、本研究会のメインプログラムであるポスターセッションが行われました。ここでは若手講演の内容をポスター掲示し、忌憚ない密なディスカッションを交わすとともに、25演題もの多くの一般演題が発表されました。2つのポスター会場で約1時間半もの間、非常に活発なディスカッションが繰り広げられ、参加者からは「時間がもっと欲しい」という声が出るほど有意義なものでした。 本研究会は、企画当初は40~50名の参加人数で考えておりましたが、その予想を大きく上回り、総勢122名の参加者、29のポスターディスカッション(一般演題25,若手講演のポスター掲示4)という盛会とすることが出来ました。参加者および演者の皆様に心より感謝申し上げます。今後もこのような参加者間のディスカッションやコミュニティ構築を主たる目的とした機会を設けることができればと考えておりますので、どうぞ宜しくお願いいたします。また、当初の予想を大きく上回る申込み状況から早期に受付を締め切るという事態になってしまい、ご迷惑をおかけしましたこと改めてお詫び申し上げます。 最後になりましたが、ご講演を賜りました樋口先生、岡田先生、そして参加者、演者の皆様、畿央大学および畿央大学ニューロリハビリテーション研究センターのご支援に深く感謝申し上げます。 リハビリテーションのための姿勢運動制御研究会 石垣 智也(畿央大学大学院 客員講師) 【関連リンク】 9/15(土)第1回リハビリテーションのための姿勢運動制御研究会のご案内 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター
2018.09.21
大阪行岡医療大学池田研究室との合同ゼミを開催!~理学療法学科瓜谷ゼミ
2018年9月19日(水)、本学に大阪行岡医療大学准教授の池田耕二先生をお招きし、瓜谷ゼミの3年生を対象に「はじめての質的研究入門」というテーマでご講演いただきました。ゼミの3回生がこれから取り組んでいく研究で用いる手法について、基礎的な知識をご教示いただきました。 池田先生の専門は「質的研究」です。一般的に多くの人にもなじみのある研究は質的研究と対比させると「量的研究」と言われます。数量的なデータを測定してそのデータを統計学的に検定して変化や違いを確認するという手法をとる、いわゆる自然科学といえるものです。世の中で発生する事象、現象を対象としていると言えるかもしれません。 一方、質的研究は主に社会学の分野などで用いる手法で、特に池田先生がされている研究はインタビューや観察によって情報を収集し、それを手続きに従ってまとめていくという手法を取るものです。数値化できない(しにくい)ものを対象としており、人間科学、あるいは人そのものを対象としていると言えるかもしれません。 基礎的な内容とは言え、研究自体もスタートしたばかりで、しかも質的研究というこれまでにあまり馴染みのないテーマであったため、なかなか理解するには難しかったと思います。 今回は池田ゼミの3回生の方々も参加してくださり、瓜谷ゼミでは初めての他大学の研究室との合同ゼミになりました。私の専門と池田先生の専門は違うのですが、今回の3回生が私の研究テーマの一つである変形性膝関節症の患者さんにインタビューをして質的研究の手法を用いて、患者さんが疾病や障害をどのように体験しているのか、どのように向き合っているのかを明らかにしようと思っています。そのため、質的研究に詳しい池田先生をお招きして勉強会を開催していただきました。池田ゼミの学生さんは終末期理学療法に携わるセラピストを対象として卒業研究に取り組んでおり、卒業研究でどちらも質的研究の手法を使って取り組んでいるという意味で今後も交流を深めたいと思っています。 ゼミ終了後は場所を大阪に移し、瓜谷ゼミの卒業生も参加しての懇親会を行いました。はじめはお互いによそよそしかった学生たちも時間が経つにつれて非常に打ち解け合い、あっという間の楽しい時間となりました。今後も継続して研究室間での交流を続けていきたいと思います。 理学療法学科 准教授 瓜谷大輔 【関連記事】 理学療法学科卒業生の卒業研究が国際学術雑誌に掲載!~理学療法学科 環境省「エコチル調査」の一環で運動教室を開催!~理学療法学科瓜谷ゼミ メルボルン大学の研究チームとしてイギリスへ!~理学療法学科瓜谷准教授 瓜谷准教授の在外研究報告会兼同窓会レポート!~理学療法学科「運動器ラボ」 毎年恒例の沖縄ゼミ旅行!~理学療法学科 瓜谷ゼミ
2018.09.11
大学院生の発表演題が「視覚科学フォーラム2018」で優秀発表賞に選出!
2018年9月5日(水)から2日間、立命館大学大阪いばらきキャンパスにて視覚科学フォーラム2018第22回研究会に参加してきました。この研究会は前健康科学研究科長である金子章道先生(畿央大学栄誉・名誉教授)が立ち上げに関わられた研究会で、網膜生理学研究の討論の場として、生理学研究所の研究会として発足されました。現在では日本全国の視覚研究者が参加・議論する場として発展されています。 今回私は、「異なる構成要素からなる動画提示時の半側空間無視の視線特性」という演題で口述発表を行い、優秀発表賞に選んでいただきました。この発表では、動画提示時の視線分析により半側空間無視の症状特性を知るために、Graph-Based Visual Saliency(Harel et al., 2006)を用いて注視点をスクリーン画像の顕著性(サリエンシー)の分布と併せて解析しました。動的顕著性にどの程度影響を受けているかを分析した結果、無視症例は右空間の顕著性に視線が惹きつけられやすいことを報告しました。 視覚研究のエキスパートの方々に選んで頂けたこと、大変うれしく思っております。 さらに、なんと受賞後には以下のようなコメントを金子先生から頂くことができました…! 『畿央大学で森岡先生や河島先生ご指導の研究成果がその領域の人たちに認められたことは、畿央大学に関係した一人としてとても嬉しく思いました。これからも優れた研究を発表されることを期待しておりますし、また学位も取れますよう祈っております。一言お祝いまで。』 金子先生の授業で、ご自身の網膜に関する研究について目をキラキラと輝かせながら楽しそうにお話しされていたことがとても印象に残っており、年齢を重ねてもいつまでも知的好奇心に溢れて楽しまれている先生の姿にとても感銘を受けたことを覚えています。そのような金子先生にも喜んで頂き、またこのようなお祝いのお言葉を頂けて、これまでにない幸せを感じております。 この場をお借りして、金子先生、森岡周教授、現職の上司である河島室長に心から感謝申し上げます。今後も精進し、これからも多くの方々に支えられながら、無視症状に悩まされる当事者の方々に少しでも還元できるような研究に取り組んでいきたいと思います。 博士後期課程 大松聡子
2018.09.10
第9回呼吸・循環リハビリテーション研究大会レポート
田平研究室(大学院)健康科学研究科修士課程の酒井です。 2018年8月25日(土)・26日(日)の2日間で「第9回呼吸・循環リハビリテーション研究大会」を奈良県奈良市の平城宮温泉かんぽの宿奈良で開催いたしました。 本研究大会は毎年、田平教授をはじめとした研究室の在学生と卒業生で行なっており、今回は計14名の参加で開催しました。 参加者は現在進めている研究についての進捗状況や今後の研究テーマについての発表などを行いました。また、修士課程・博士課程に在籍している私を含める5名は修士論文や博士論文の研究テーマについて発表を行い、研究についての今後の進め方、発表の仕方、まとめ方などについてご指導していただけました。臨床とは違い、研究での学術的な発表はデータをふまえてどのように構成するかでインパクトが変わり、分かりやすくなるので、今回のご指摘を今後の中間報告会や修士論文作成に繋げていけるようにしたいと考えています。大学や大学院の卒業生も様々な研究テーマで基礎研究から臨床研究などの発表があり、すごく有意義な研修となりました。普段私の勤務している病院では外科手術は少なく、高齢者肺炎や心不全といった疾患の患者様を診ることが多く、肺切除術や肺移植などの研究報告などでは切除範囲や薬物療法などによってリハの効果が変わるのではないかとの指摘や肺移植での知見を知る事ができ、新しい刺激を受けた研修となりました。 夜は懇親会を行いました。研究での悩みだけでなく、普段の臨床での疑問点や状況など聞くことも出来ました。それぞれの病院・施設などの現状を聞けるのは、それだけで価値のある時間と感じました。今後、診療報酬や病院機能も目まぐるしく変化する中で、情報交換ができる場があるというのは非常に喜ばしい事であり、また視野が広がるのではないかと感じました。 今後も臨床から疑問を持ち、医療・介護の動きに目を向けながら、臨床家でありながら研究者としても取り組んでいけるようにしたいと思います。次回も開催されますので、是非たくさんの参加をお待ちしております。 畿央大学大学院 修士課程 健康科学研究科 酒井 直樹
2018.09.03
教育学部教員による書評~森岡周教授著「コミュニケーションを学ぶーひとと共生の生物学ー」
畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター長の森岡周教授が執筆した「コミュニケーションを学ぶ -ひとの共生の生物学-」について、森岡教授が担当する教育学部3年次後期配当「発達障害教育特論」で対談形式の授業を行っている教育学部現代教育学科大久保賢一准教授より書評が届きました。 本書の目的は「人間」を理解することである。人と人との間で繰り広げられるコミュニケーションを主題としながら、社会の成り立ちや有り様を描き、「人間らしさ」とは何かということに迫る。著者は、様々なレベルにおける「相互作用」にフォーカスし、重要な先行研究を引用しつつ、巧みにそれらの知見について解説していく。 まずフォーカスされるのは、神経細胞間の相互作用である。細胞同士がシナプスによって結ばれることによって神経システムが形成され、様々な神経伝達物質や電気信号のやり取りが絶えず行われ、それが感覚や運動の基盤となっていることを理解することができる。つまり、「細胞間のコミュニケーション」が我々のあらゆる活動の土台となっているのである。専門外の読者には、一見取っ付きにくい内容に思えるかもしれないが、美しいイラストや様々な具体例が用いられ、わかりやすく解説されている。本書は、優れた生物学、あるいは生理学のテキストとしての側面を持つといえる。 次にフォーカスされるのは、人と人との相互作用である。本書においては、その基盤となる言語、メタ認知、記憶、共同注意、心の理論、共感、アフォーダンスといった重要な事項について、様々なトピックの中で、その基盤となるメカニズムについて解説されている。本書は、基礎的な心理学のテキストとしての側面を持つといえる。 フォーカスの対象は「集団」へと拡げられる。それは個人と集団の相互作用、集団内における個人間の相互作用、あるいは集団間の相互作用である。著者はアリを例にあげ、捕食されるリスクと餓死リスクを同時に最小化するために社会的分業を生み出した超個体(super organism)としての組織プロセスについて解説している。集団内において個体同士が相互作用し、連携・連動・分業を行いながらある目的を共有して組織として機能している様子は、個体内における神経システムのそれによく似ていると感じられる。本書は、先駆的な社会学のテキストとしての側面を持つといえるであろう。 皮膚の内側、対人関係、そして社会や組織といった様々な次元における「コミュニケーション」について分析し、「わたし」という自己に対する意識、「あなた」という他者の理解、そして人間社会の有り様を描き出し、さらにそれぞれが相互作用をしているというダイナミズムを体感することができる。さらに本書においては、より発展的なコミュニケーション論として、ゴシップ、文学、儀式、芸術、SNS、拡張現実、AI、機械学習などにも触れられており、現代的なトピックについても「コミュニケーション」という切り口から分析されている。 さらに本書の特徴としてあげられるのは、一見「コミュニケーション」という主題との関連性が見えづらい「身体」の役割について重点的に取り上げられている点である。これは著者の理学療法士としての経歴が影響しているのかもしれない。例えば「共感」といわれるプロセスにおいて、表情、姿勢、動きの同調が影響しており、乳幼児期における手さしや指さしといった身体の動きが、共同注意(joint attention)において重要な役割を果たしていることが指摘されている。 友人、家族、恋人など様々な対象において、あるいは学校や職場など様々な状況において「コミュニケーション」は重要な役割を果たしており、また同時にそれは我々の重大な悩みの種でもある。本書はそのようなコミュニケーションに関わる悩みに対して具体的に指南をしてくれるようないわゆる「ハウツー本」ではない。本書は「自然現象」としてのコミュニケーションを科学的に解説したものである。それは「なぜ人々がそのように行動するのか?」を知るための材料となり、様々な問題を抱える者の困難性を科学的に理解し、効果的に支援するための材料となるだろう。 現代教育学科 准教授 大久保賢一 【関連記事】 脳科学×特別支援教育で教員特別対談!~現代教育学科「発達障害教育特論」(2017年) 「発達障害教育特論」で理学療法学科と現代教育学科の教員が特別対談!~現代教育学科(2016年)
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