2024.05.24 

プロジェクト研究成果発表会を開催しました!~看護実践研究センター

看護実践研究センター は、建学の精神である「徳をのばす」、「知をみがく」、「美をつくる」を基本理念に置き、保健、医療または看護を専門とする職業人、および研究者に対して、最新の看護実践に関する情報を提供し、看護実践研究を推進することを目的とし 2019年4月に開設されました。開設2年目には「その人らしく幸せに生きる」をテーマとしてプロジェクト研究の公募を行いました。

 

 

そして、2024年5月22日(水)看護実践研究センタープロジェクト研究成果発表会を開催しました。

 

指定研究「認知症高齢者のための意思決定支援ツールの開発(研究代表者 對中百合准教授/研究分担者 大友絵利香准教授、山崎尚美前看護実践研究センター長(現、四天王寺大学看護学部長))」が、3年間の計画でスタートしました。しかし、折しもCOVID-19の猛威によりデータ収集が難航し、1年の研究期間の延長を経て、成果発表に至りました。

 

今回は「軽度認知症高齢者の看取りを含めた終末期プロセスにおける意思決定支援ガイドラインの作成」について、高齢者の看護にあたる地域包括ケア病棟、特別養護老人ホーム、訪問看護ステーションの看護師を対象に実施した予備調査としてのインタビュー調査、および本調査としてのグループインタービュー調査の結果に絞り、研究代表者の對中准教授より発表されました。

 

 

この調査では、軽度認知症高齢者の看取りを含めた終末期プロセスにおける意思決定支援と意思確認の手がかりが明らかとなりました。前者については①対象者の意思を尊重、②家族の意思を支援、③地域、多職種との連携、④ACP※(アドバンスケアプランニング)の普及の4カテゴリーが生成され、後者については①生活状況から意思を推測、②チームで対象者の意思を推測、共有、③対象者の言動から推測、④嗜好から意思を推測、⑤性格から意思を推測、⑥治療や看護に拒否を示す態度、⑦家族からの情報、⑧多側面からの理解、⑨今までの様子を辿る、⑩書面に残された意思表示、⑪繰り返される言葉が手掛かり、⑫示された行動の12カテゴリーが生成されたことが報告されました。また、地域包括ケア病棟、特別養護老人ホーム、訪問看護ステーションのそれぞれの施設による特徴も見出されたことが報告されました。

※ACPとは、将来の変化に備え、将来の医療及びケアについて、 本人を主体に、そのご家族や近しい人、医療・ ケアチームが、繰り返し話し合いを行い、本人による意思決定を支援する取り組みのことです。

 

多死社会を迎える我が国において、死すべき運命にある人の尊厳ある死を視野に入れた『QOD(Quality of Death)』を高めるための医療の必要性が叫ばれ、その整備が喫緊の課題となる中、大変示唆に富んだ結果が示されたといえ、今後の発展に大いなる期待が寄せられます。

 

 

発表会には20名を超える教職員の参加があり、熱心に耳を傾ける姿がありました。また、発表後の質疑応答は時間を超過してもなお、質問が続くなど活発な討論がなされ、関心の高さが窺えました

 

 

看護実践研究センターでは、看護実践にかかわる研究拠点として、研究の活性化を支援し、地域社会への還元を進めて参ります。現在、第2期プロジェクト研究も公募中です。今後とも皆様のご理解、ご協力をお願いいたします。

 

 

看護実践研究センター長 山本裕子

 

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