2024.02.28 

看護実践研究センター認知症ケア部門主催「高齢者看護・ケアに活かすホリスティック・ナーシング」講演会を開催しました。

看護実践研究センター認知症ケア部門では、認知症を持つ人とその家族の生活の安定が図られる地域における支援体制の確立、さらに認知症を持つ人自ら認知症に向き合い共存していく生活への支援を追及すべく「認知症の早期発見から早期対応への支援プロセスの構築」を目的に地域住民や介護職、医療職、福祉職と連携活動を進めています。

 

令和6年2月10日(土)に「高齢者看護・ケアに活かすホリスティック・ナーシング」の講演会を開催しました。

 

ホリスティック・ナーシングとは、全人的に人をとらえた癒しを目的とするすべての看護行為を指す(米国ホリスティックナース協会)とされます。

 

当日は、米国上級ホリスティックナースの安井 豊子先生のご講演、訪問看護師・臨床アロマセラピストの宮田 彩さん看護師の白井 かおりさん・古賀 香織さんの実践報告をしていただきました。医療・福祉関係者(看護師・保健師・助産師・介護福祉士・介護支援専門員など)・教育関係者(大学教員・専門学校教員など)だけでなく、アロマセラピストの方・一般の方、そして大学生の方など職種も年齢も幅広く、ほぼ申し込み定員に達する47人の方にご参加いただきました。

 

安井先生のご講演では、米国での活動や事例報告を交え、ホリスティック・ナーシングについて、とても分かりやすく説明していただきました。印象的だったのは、ホリスティック・ナーシングが患者・家族さんだけのものでなく、一緒に働く同僚や仲間をケアすることができるという事でした。また、呼吸一つでも意識する大切さ、誰かのために意識をして行うケアの大切さを学びました。講演会では、安井先生が大事にされているチベットベルの素敵な音色に合わせて、深呼吸を3回行う機会がありました。1回目は自分のため、2回目は大切な人のため、3回目は世界中のどこかで災害や戦争などで被害に遭われた方のためなどを想い、目を閉じ深呼吸を行いました。この時会場は、とても穏やかな空気に包まれ自分自身が癒されていることを実感しました。

 

 

 

宮田さんの実践報告では、訪問看護での終末期ケアとして、患者さんの症状や現状に合わせた精油の選択や施術の調整などを行い、苦痛症状の軽減をする時間をつくるためにアロマセラピーを取り入れていることを発表していただきました。限られた時間の中で、少しでも良い状態になるため、患者さんの価値観をとても大切に看護を行っている姿勢が伝わってきました。

 

 

白井さん・古賀さんの実践報告では、「時々入院ほぼ在宅」の現実をめざす中で、在宅復帰が難しくなった長期療養者さんへの生活という日常のような環境を整え、希望に寄り添う看護の発表がありました。患者さんという人でなく、私たちと同じ人生を歩んでいる生活者であることを意識し、日々看護を行っていることが伝わってきました。

 

 

どちらの実践報告も一人ひとりの想いに添った看護ケアを行っているのがとても伝わり、看護の素晴らしさを実感することができました。

 

最後の時間は、グループごとでディスカッションを行いました。ファシリテーターを任された学生さんたちが緊張した表情が印象的でしたが、参加者の方々の活発な意見交換の中で、真剣なまなざしや笑顔に変わっていくのがわかりました。また、意見をまとめ発表もしっかりと行う姿をみて、改めて学生さんたちの力を感じることができ、とても充実した時間となりました。色々と協力していただき本当にありがとうございました。

 

参加された方々からは、以下の感想が寄せられました(原文)。

 

  • ホリスティックケアやアロマテラピーなどの新しい取り組みは、現状はボランティア的な位置付けで、人手不足で忙しい医療、介護現場に置いては、したくてもできない、受けたくても対応できる人もシステムも整っていない状況と思います。でも実際には非常に大切なケアであり、これを何とか医療行政に組み込んで、費用も人もかけられる仕組みを作り上げることが、今後の医療にとって急務であると感じました。
  • 先生のベルは良かったです。みんなであの場で繋がりを感じました。自分ごとだけではなく、世界のことにも思いを馳せる広い心をもつことができました。 また、畿央大学の先生や学生さんたちが優しく和やかで、居心地よかったです。お忙しい中、アロマやメッセージなどの気配りがあり癒されました。
  • ラベンダーのアロマが炊かれており心地よかったです。ありがとうございました。

ご参加いただいた皆様ありがとうございました。

 

看護実践研究センター 認知症ケア部門

看護医療学科 助教 伊藤千春

 

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