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看護医療学科
2025.01.06
令和6年度「臨地実習指導者研修会」を開催!~看護医療学科
2024年12月14日(土)13時より、看護医療学科「臨地実習指導者研修会」を行いました。この研修会は、看護医療学科の臨地実習指導者および本学教員が学生の看護実践能力の向上に向けて協働し、効果的な実習指導を行うことを目的として、また日頃の学生指導を振り返るとともに相互の交流と親睦を深める機会として年1回開催しています。 当日は朝から小雨がちらつく寒い日となりましたが、コロナ禍を経て5年ぶりの開催ということもあり、本学の実習施設・病院から77名もの臨地実習指導者の方々にご参加いただき、本学教員を含めると100名を超え、盛況となりました。 第1部 講演 「実習における発達障害傾向のある学生へのかかわり」 順天堂大学保健看護学部精神看護学領域 教授 北川 明先生 本年度は、発達障害傾向のある学生をどのように理解し、どのように支援すればよいのか、実習におけるかかわり方について考えようと研修を行いました。第1部は順天堂大学保健看護学部の北川明教授にご講演いただきました。 講演は、発達障害の定義、タイプ別の特徴といった基礎知識から発達障害傾向のある学生への支援の基本と方向性、合理的配慮の考え方へと、具体例を示しながらわかりやすくご説明くださいました。 発達障害には様々な特徴がありますが、これらは「脳機能の障害であり完治はしない。生涯を通じて適応方法を学んでいく」というお話から、発達障害傾向のある学生が特性を持ちながら社会に適応できるよう関わっていくことが大事であると理解しました。 支援の基本として、本人が何に困っているのか、何ができないのか自らの特性を理解すること、そして教員や支援者がその困りごとを本人と共有し具体的対策を一緒に考えることが挙げられました。学生の自己理解を促すことに加え、困ったときの対処や助けを求めることを教育していくことが支援の充実に繋がるということを強調され、教員としての役割を強く認識しました。 また、発達障害は二次障害の併発が多いということから、障害特性への対応だけでなくメンタルケアとしてカウンセリング的かかわり(受容)の必要性にもふれられました。 さらに、学生には教育を受ける権利を保障する、看護師には職業選択の自由を保障する観点から合理的配慮の考え方を示していただき、教育目標の到達水準を下げることなく、どうすれば目標に到達できるのか、到達する方法を工夫する必要性について改めて考えさせられました。 第2部 グループワーク 第2部では、場所を畿央カフェ「カトレア」に移し、実習指導者と本学教員で混成した小グループに分かれ、グループワークを行いました。各グループで日頃の実習指導での悩みや実践方法について振り返り、第1部の講演と関連させて、今後どのように活用していくか自由に意見交換を行いました。 いくつかのグループに意見交換の内容を共有していただきましたが、教員と指導者間での情報共有の必要性、グレーゾーンの学生の見分け方、Z世代の特徴をふまえた指導に苦慮されていることや実践されていることについて検討されたことが報告されました。 最終のグループからは「大学の間に学生自身がその特性を理解し、どんなサポートが必要かをわかっておくこと、それを教員と現場で共有することで、学生の支援ができる。また、入職してからわかってもサポートが難しいので、学生時代にそれがわかっていると、入職してからのサポートにつながる。本人のやりたいことをやらせてあげるためにも何が必要なのかを準備するためにも、本人との共有が第一である」との発表があり、素晴らしいまとめとなりました。 その後、共有された内容について北川先生に総評をいただきました。 教員と施設との情報共有において注意すべき点として、個人情報でもあることから、情報を共有してもよいか本人に承諾を得る必要があることを挙げられました。障害の診断の有無は重要ではなく、どんな困り事があるのか何がうまくいかないのかを理解し、どんなサポートがあれば困難をクリアできるのか本人と一緒に考える、アセスメントすることで対処が可能になることを改めて強調されました。 「指導する側が疲弊してしまう」という意見に対し、最も身近にいる者が陥りやすいと言われるカサンドラ症候群を防ぐためにもチームで関わることが大事であり、そのためには部署や組織全体での教育、学習、サポートが必要であることから、今回の研修内容を各自の病院・施設で是非活用してほしいことを伝えられました。 今後、障害特性のある学生や看護師は増加する傾向にあるようです。その人の特性を理解し、支援の方法や内容をチームで共有しながらよりよい支援につなげていきたいと思います。 最後に、本学看護医療学科長の河野由美教授による講評があり、楽しい時間はあっという間に過ぎていきました。 研修会後のアンケートより 「発達障害に関する理解が深まった」 「学生指導だけでなく新人教育にも活用できる」 「対応のしかたを学べたことで楽になった、何か少し先が見えた気がする」 「同じように悩む人たちと情報共有できてよかった」 「安全な看護を提供するためにどうすべきかも含め職場で共有していきたい」 など多くのご意見をいただくことができました。 今後も実習指導者と教員間でコミュニケーションを図り情報共有しながら、学生を導いていけるよう努力を重ねていきたいと思います。 ご参加いただきました臨床の皆様、ご講演とご指導いただきました北川先生、ありがとうございました。 看護医療学科 基礎看護学領域 准教授 須藤聖子、小林智子 講師 中西恵理 関連記事 ボランティア活動報告!~子育て応援ボランティアサークルSmile 認知症予防講座を開催しました。~ 看護実践研究センター認知症ケア部門 看護実践研究センターシンポジウム 行政・関係機関・大学連携による中小企業の健康づくり推進―広陵町における中小企業健康経営推進の取り組み―開催報告 「前向き子育てプログラム トリプルP」真美ケ丘西小学校PTA教育講演会活動報告 ~ 看護実践研究センター 安心感の輪子育てプロジェクト
2024.12.24
ボランティア活動報告!~子育て応援ボランティアサークルSmile
お祭りに参加しました 2024年12月14日(土)、ボランティアサークルSmileの学生4名は、看護医療学科の田中先生と訪問看護ステーションアイデルと重症児デイサービスアイデルームのお祭りに参加しました。このお祭りには、ケア児40名とそのご家族、スタッフやそのご家族を含む約100名の方々が参加されました。 学生たちは、わたあめコーナーや着ぐるみに入って子どもたちと一緒に楽しく交流しました。地域の皆さんと学生たちがともに過ごす時間は、笑顔が溢れる素晴らしいひとときとなりました。 ▼ 学生たちがわたあめを作る様子や、着ぐるみで子どもたちをお見送りした場面をご紹介します。 (写真掲載のご了解を頂いています) クリスマスプレゼントを届けました また、畿央祭のウエルカムキャンパス「スマイル交流サロン」にお越しいただいた重症児ディサービス「わくわくホーム」、放課後等ディサービス「おむすび」、養護施設いかるが園の皆さんには、畿央祭でのわたあめの売り上げで購入したクリスマスプレゼントの絵本をお届けしました。子どもたちが絵本を手にした瞬間、喜びの表情を見せてくれました。 ボランティア活動を通じて、私たち学生は障がい児との遊びを通じて地域とのつながりを深め、交流を大切にしています。今後も地域と共に歩んでいけるような活動を続けていきたいと思っています。 ボランティア活動に参加しよう! 私たち「Smile」は、地域とのつながりを大切にし、障がい児との遊びを通じて交流する活動を行っています。毎回のボランティア活動では、子どもたちと一緒に遊んだり、楽しい時間を過ごすことができます!皆さま、地域の子どもたちに笑顔を届ける素敵な活動を一緒に体験してみませんか? 初心者の方も大歓迎!活動を通じて新しい友達もでき、貴重な経験を積むことができます。ボランティア活動が初めてでも、安心してください。障がい児とのかかわり方の研修会(障がい児サポーター養成講座)にも参加できます。 地域とのつながりを深め、共に成長する喜びを感じながら、ボランティアに参加してみてください!お待ちしています。 子育て応援ボランティアサークル Smile 代表 柴田あかり (JSPS KAKENHI Grant Number 24K14212) 関連記事 畿央祭ウェルカムキャンパス「スマイル交流サロン」活動レポート~ 看護実践研究センター
2024.12.18
難病当事者(患者会・家族会)団体活動者を講師に招いた授業を実施しました!~看護医療学科「公衆衛生看護学概論」
「公衆衛生看護学概論」は、保健師を目指す学生の2年生後期必修選択科目で、地域における保健師活動の対象となる方の理解やその方々を支援する保健師活動の実際および保健師の役割を学ぶ授業構成で開講しており、看護師を目指す学生も選択することが可能です。 今回は、難病者支援活動の授業と、住民組織活動として、同じ課題(健康状態から発生する不安や悩み)を保有する当事者(セルフヘルプグループ)活動の授業を経て、2024年12月9日(月)に難病患者会・家族会等難病者当事者による支援団体として活動されている、特定非営利活動法人奈良難病連(以下奈良難病連)の春本加代子事務局長を講師としてお招きし、難病を発症した患者および家族の現状や思い・奈良難病連活動について講義をして頂きました。 春本事務局長からは、ご子息が生後間もなく重度の先天性心疾患であると告げられたときの母親としての思いや、数回に分けた手術を受けることでの入院生活により、家庭に残された姉兄の世話ができないこと等家族への影響も多々あったことなど、小児期の入院が家庭生活に及ぼす影響についてお話して頂きました。そして成長過程での疾患から生じる課題に対し、同じ境遇の子どもたちやその家族との出会いで、多くの不安や困りごとの対応等救われた経験から、奈良難病連活動に参加された経緯をお話して頂きました。 また奈良難病連では、奈良県難病相談支援センターと連携したピアサポーター養成講座や、ピア相談、学習会、医療講演会、難病患者を取り巻く社会環境や医療体制についてのニーズを取りまとめて、奈良県と奈良市に対応のための要望書を提出されていることを説明して頂きました。 このピアとは“仲間”を意味し、ピアサポートは仲間同士の支え合い、ピアサポーターとは、養成講座に参加し、当事者が当事者の相談対応ができるようになるための聞き方や答え方等、相手の立場に立ったカウンセリング技法を含めた支援者(サポーター)としてのスキルを修得した後、ピアサポーターとして登録された方です。 学生には、事前学習として奈良難病連の広報誌「きずな」を配布し、またHPを観て、将来看護師として難病患者の看護を実践する、また地域で支援を行う保健師になるという視点から、奈良難病連の活動についての質問を1人1つ出して集約し、その質問への回答を丁寧にして頂きました。 この事前質問提出は、昨年から行っている取り組みで、講義当日に質問の時間を設けてもなかなか手を挙げて質問する学生が少ないことから、学生が理解したい質問内容を文字化することで、主体的に授業に参加することができ、なおかつ講師からその回答がなされることで理解が深まることを目的としています。大学の授業支援ツール(CEAS)のアンケート機能を活用することで、学生には質問の集約内容を開示し、自分の質問がどのように提示されているのか確認することができます。 学生は、講義内容や学生の質問への回答から、理解できたことや今後看護者になることでどのように難病の方々に関わろうと思うかを受講票に記述し、授業後講師にも観て頂きました。 難病当事者・家族としての思いの理解では、病気がわかったときの衝撃の大きさや家庭生活への影響と完治が難しく病状が進行していく難病とともに生きていかなければならない患者とその家族にとって、ピアの存在が大きくまた支援者として養成して増やしていくことが重要であることが学べたことが記載されていました。 また今後看護者となることでの関わりとして、難病の方々は、その病気の特性や進行の状況から困りごとや悩みが異なることから、その思いを傾聴してニーズを理解することが必要であること、そのニーズに応じて利用可能な相談場所や地域の支援機関などの情報提供を行うことで、そのニーズに合った支援が受けられよう関わっていきたいという記述が多くなされていました。 その受講票を読まれた春本事務局長からは、学生の理解したいことの内容からその回答を考えることやその理解をこうした受講票に示されることが今後の活動の励みになり、患者会団体やピアサポーターの減少等の課題がある中で、今後も支援活動を頑張っていきたいとのお言葉を頂きました。 看護医療学科 教授 松本 泉美 関連記事 外部講師による講義「筋萎縮性側索硬化症(ALS)の看護」~看護医療学科「慢性期看護学援助論Ⅰ」 災害ボランティア体験談―大阪急性期・総合医療センターでの災害避難訓練― ~ 看護医療学科 ハンセン病療養所を訪問し「医療と人権」を学ぶ~看護医療学科「健康学特論」 自助と共助で災害に備える~看護医療学科「災害看護Ⅱ」 2024年度 看護医療学科卒業研究発表会を開催! ~ 看護医療学科
2024.12.16
認知症予防講座を開催しました。~ 看護実践研究センター認知症ケア部門
看護実践研究センター認知症ケア部門では、認知症を持つ人とその家族の生活の安定が図られる地域における支援体制の確立、さらに認知症を持つ人自ら認知症に向き合い共存していく生活への支援を追及すべく「認知症の早期発見から早期対応への支援プロセスの構築」を目的に地域住民や介護職、医療職、福祉職と連携活動を進めています。 認知症予防講座を開催しました 畿央大学 看護実践研究センターと一般社団法人かぐや姫会(ボランティア団体)の共催で、広陵町のボランティア団体が開催している毎週介護予防講座に参加されている在宅高齢者の方を対象に認知症予防講座を開催しました。認知症予防講座は、6月末から隔週で合計5回、広陵町のはしお元気村の小ホールで開催しました。 この講座は、認知症について正しい知識を提供すること、認知症予防についての情報を提供すること、認知症へのイメージを変えていただくこと、高齢者の皆さんとその方々の家族や身近な方々に知り得た知識を伝えていただき、「何かいつもと違う」という気づきを意識していただき、皆さんでともに予防に努めていただき、何か違うと感じたときに相談できる関係性を築いていただくことを目標にしています。 この講座は、1回90分で構成されています。まず、大学教員による認知症に関する基礎的な知識を30分お話し、その後に脳トレとして歌唱療法を60分間実施するプログラムです。 この講座では、皆美 久音歌唱療法士(養成機関認定)を講師として招き歌唱療法を脳トレとして実施していきます。 歌唱療法は、集団で能動的に実施することで効果を高めます。参加者は、懐かしい歌を通して昔の楽しかった時代を思い出し回想し懐かしさに浸ります。歌詞を見ながら、文字を追い歌に集中していきます。歌に合わせて手話や手遊びをしながら、楽しみながらデュアルタスクで脳を賦活していきます。いつもは発しない大きな声で、口を開けて、声帯を震わせながら咀嚼(噛む)や嚥下(飲み込む)機能の活性化を図ります。そして、呼吸機能の活性化に繋がります。 ▼ 認知症予防講座 講座のコンセプトは「笑って、歌って、若返り」 認知症予防講座にて歌唱療法を実施 講師の皆美歌唱療法士は経験豊かで、歌う、笑うを繰り返しながら歌唱療法が進めていきます。 開催初期はどのようなことをするのだろうかと様子を伺いながら声の音量も笑い声も遠慮が見られました。講師は、歌唱を進める中で、行っている内容が認知機能に働きかけていることを説明していきます。回が進むにつれて、音量も上がり、音程も揃いとても美し歌声を醸し出していました。笑いやメリハリがある進行に脳は活性化されていきます。歌唱の終わりに必ずクールダウンタイムがあります。使った脳を休める時間です。 参加者は、それを体感します。 ▼ 認知症予防講座 : 歌唱療法 終了後の反応として、「楽しかった」という言葉と共に「すっきりした」という言葉を多く聞きます。そして、笑顔で「次が楽しみです」と言葉を添えられます。そして、「認知症が予防できる」という感覚を感じておられます。 参加者は、毎回31~43名で、全回参加された方は31名で出席者は安定していました。参加者の年齢層は、72~92歳で平均年齢は約79歳でした。参加者は、自転車や車で来られる方やどなたかに送迎していただく方で会場に来ることができる比較的お元気な高齢者ばかりでした。しかし、身近に認知症の方がおられたり、介護された経験のある方がおられ、何かしらの不安を抱いておられました。 ▼ 認知症予防講座 : 歌唱療法 この講座で、「何かおかしい」と感じる内容や意味を知ることと、どのように対応したらよいのかのヒントが得られ、今後、自身や家族に起こりえるかもしれないことに前向きになられていきました。そして、仲間や交流を持ち続けることの大切さを語って下さいました。 認知症予防講座 参加者の声 久しぶりに大きな声を出して歌ってにっこりしている自分にびっくりです。自分が元気でいるのは家族が支えていてくれているからだと思った。認知症予防で聞いた高血圧の話で心配でしたがすこしほっとしました。友人との会食で認知症予防講座のことを話すと目を輝かせ話を聞いてくれました。次はハンドブック(講義資料)を持参します。 皆さんと話すことで気持ちがよくなります。身体の調子が良い限り外に出たいと思います。認知症の症状では相手を責めないでと言いますが、その場になればできないだろうなと案じています。 リズムに乗ることは楽しいことでした。歌うのは苦手です。認知症の予防はなるべく多くの人と会って話すこと。 あまり歌うことがなかったですが、声を出して楽しく歌えました。認知症の話を聞いて少しでも予防できたらと思います。 認知症を予防するために食事も気を付けてできるだけ身体を動かしたいと思います。 認知症になりたくないし世話をかけたくないと思います。何かおかしいと思ったら教えてねと言っています。 歌唱療法を続け、繋げるために。 「歌唱セラピー技法セミナー」を畿央大学看護実践研究センター主催で開催しました。 第1回の認知症予防講座は、一般社団法人かぐや姫会の住民によるボランティアメンバーの多くの協力を得て開催することができました。メンバーの方々もこの講座に参加されて歌唱療法の意義を深められました。本講座以外に地域の高齢者の皆さんに介護予防の支援活動をされています。その活動においても、歌唱は高齢者の皆さんに受け入れてもらいやすいもので、楽しい時間作りとして多く取り入れられています。歌いたい歌を歌うだけではなく、脳の活性化を意識した歌唱療法に関心を深めて下さいました。 そこで、各地域の活動に歌唱療法を広めていただき、地域の高齢者の方々に認知症予防への意識を持っていただきたいということと、第1回認知症予防講座に参加して下さった方々に継続していただくことを目的に、歌唱療法の知識と技術を学ぶ、ベーシックセミナーを本学の看護実践研究センター主催で開催しました。 研修の参加対象者は、今後地域で啓蒙活動をしていただくかぐや姫会のメンバーの5名と大学教員と学生の合計9名です。 このセミナーは、「歌唱セラピー技法セミナー」という名称です。講師は、認知症予防講座をご担当いただいた皆美 久音先生です。 特別に研修プログラムを構成していただきました。このプログラムは、地域で歌唱療法の啓蒙活動をするにあたり、1回60分の歌唱療法を実践できる知識と技術の特別プログラムです。 ▼ CSTP育成セミナー 座学風景 講座と演習で、演習が多く構成されています。最終評価として、各自が各自の活動の場で状況に応じたプログラム構成を行い実践し、その結果を発表し講師に講評していただくものです。各自、実践時間や内容、参加者数は異なりますが、個々の実践の内容と課題を報告しあいこれからの活動に向けて講師からアドバイスを受けました。10月25日に無事9名が研修を修了することができました。 講師のアドバイスは、安心して歌っていただく環境を作ること、声の調子を整え、何があっても笑顔で進めること、経験を重ねられ手遊びなどを工夫していくなど、個々にオリジナル版を製作し楽しさを構成していくことなどのアドバイスを受けました。 この研修を修了した方の呼称を、Community Song Therapy Promoter(CSTP)とし、地域で歌唱療法を推進していく者としました。第1回CSTPの今後の活躍を期待し応援していきたいと思います。 ▼ CSTP修了者と講師(中央) 歌唱セラピー技法セミナー 参加者の声 介護予防体操をする中で、参加高齢者の体力や姿勢維持が年齢を重ねるごとに衰えを観察し体操のプログラムの構成が難しくなっていました。歌唱療法を学ぶことで引き出しが広がり活動の幅が広がりました。 身近な方々と共に歌唱療法の一部をさせていただいた。とても楽しく皆さんが参加して下さったので思いきって行ってよかったです。 歌うことを楽しいと笑顔になっていかれる方が多い反面、あまり好まないことを言われる方も参加者にはおられたが、続けるうちにもう一度やらせてほしいなど関心を示されたことを経験し、少し戸惑うこともありました。 人前で行うことは疲れるけど、自分にとっては良かったです。もっと練習をして経験を積んでいきたいです。 講座を受けてよかったです。これまでの経験に学んだことを応用していくことができます。 講座を受講して歌唱療法の基礎的な知識、手法を学ぶ機会を得られてとても勉強になりました。自分自身が歌唱療法の影響を受け、何気ない日常で歌を口ずさむようになっていることに気が付きました。歌うことでリラックスしていることを感じなにより自分自身が歌唱療法の意義を体験できたことをうれしく思います。 歌唱セラピー技法セミナー に参加した学生の声 歌唱療法のセッションに参加させて頂き、実際の参加者の表情や歌唱状況を確認したことで歌唱療法による情動への影響を実感することができました。また、歌唱療法に参加している高齢者は笑ったり、積極的に身体を動かしたりしており、とても楽しそうに歌唱されている様子を伺うことができました。 歌唱療法のセミナーでは、歌唱療法におけるプログラム作成時の工夫であったり、歌唱療法で行われている手遊びやクールダウンの効果や理由などについて教わりました。他にも、皆美先生のセミナーを受けたことで歌唱は歌うことで気持ちが穏やかになるだけでなく、「手遊び」や「パタカラ体操」など脳トレや嚥下予防など効果が得られることを学びました。 最後に、エリシオン真美ヶ丘の施設で学生主体の歌唱療法を行う機会を得ました。集団での歌唱療法は、一人一人の実施状況を観察することが困難で学生だけでは目が行き届かない中、原田先生やエリシオンのスタッフの方々が協力して下さったため、円滑にプログラムを遂行することができました。今回の歌唱療法の実施により、高齢者一人一人の個別性についての配慮が足りず、一部行うことができなかった内容もありましたが、皆美先生から「時間配分や会話内容などは経験を積むことで身についてきますので、これからも頑張ってください」という助言をいただき、プログラム作成や歌唱療法の技術面など今後実践を積み重ね、修得していきたいと思いました。 歌唱療法についての学びを得る機会を設けて下さった皆美先生や原田先生、かぐや姫会やエリシオン真美ケ丘アネックスの方々に深く感謝申し上げます。今後も学んだ歌唱療法の知識を活かしていきたいと思います! 看護医療学科 4回生 原 瑛美 今回、私自身卒業研究で音楽療法についての論文を作成することがきっかけとなり、「歌唱セラピー技法セミナー」に参加させていただきました。 セミナーの前に、実際に皆美先生が実施されている歌唱療法の様子を見学させて頂き、参加者の方々がとても楽しそうに手遊びされている様子がとても印象的でした。 セミナーの中では、歌に関する知識だけでなく、歌唱療法の中で行うストレッチ、手遊びや、その効果についても教えて頂くことができました。皆美先生が実施されている歌唱療法のプログラムを思い返しながらセミナーに参加することで、参加者の皆様に楽しく過ごしていただくために工夫されている声掛けや言葉遣い、表情などセミナーで学ぶ技術を実践の様子を踏まえて理解することが出来ました。 最後には施設で歌唱療法を行ったのですが、施設でとても楽しそうに積極的に歌唱に参加してくださっている方々を見て、歌の力を肌で感じることができ、歌唱療法の凄さを今後、さらに多くの人に知ってもらいたいと思いました。 今回このような歌唱療法についての知識を学ぶ機会を設けてくださった皆様に感謝申し上げます。 看護医療学科 4回生 中田 花菜 男性の社会交流を応援しよう。 男性だけの歌唱療法の会を開催しました。 第1回認知症予防講座の参加者は、全員女性でした。女性の方々は比較的地域の交流の場に参加されやすい状況があります。そこで、男性の社会的交流の場を支援することを目的に、男性だけの歌唱療法の会を開催しました。講師は引き続き皆美 久音先生にお願いしました。この会は1回のみの開催で、少人数で開催する方向で進め9名の参加が得られました。参加希望者はほか数名おられました。都合により欠席されました。 参加者は、歌うことが好きな方、地域の高齢者支援に携わっておられる高齢の方々など歌唱が進むにつれ良い姿勢へと変化され、歌声もはっきり安定した状況でした。 女性ばかりの会と雰囲気が異なることを感じました。終了後は、講師の先生に感想を述べられるなど、参加したことを喜ばれていることが伺えました。 男性だけの歌唱療法の会 参加者の声 歌を歌うことは認知症予防に繋がると思います。皆さんとともに大きな声を出すことは家に閉じこもっているのとでは雲泥の差があるのでこれからも家から出て人と会う、話をするとかなるだけ多く参加しようと考えます。 ご自身が高齢者の生活支援に携わっておられること、身近な方のお誘いで参加され、その当時のことを思い出しながら懐かしい歌を声を出して歌うことは身体の活性化や脳の刺激に繋がり認知症の予防に効果があることを感じられました。よい体験をさせていただきました。今後も参加の機会があれば是非参加させていただきたいです。 歌唱療法士(講師)の声 「歌って笑って若返り!」 歌唱療法の講師 皆美 久音(みなみひさね)でございます♪ 皆さんで美しい艶声を目指して、久しく(永く続けて)音を奏でて歌で元気に楽しく、健康長寿を 目指しましょう!という思いで歌唱療法の講師名としました。もう10年も前のことになります。 平素は、神戸市の地域で歌唱療法講座を担当しています。私自身がMCI専門士(日本認知症予防協会認定)の認定を受け、認知症予防に意識を持ち、歌唱療法を行っています。 今回は、広陵町という地域で、大学と住民のボランティアグループが協働で地域住民の方々を対象に介護および認知症予防を目的とした講座を開催される活動に参加させていただき、新たな経験をさせていただきました。 さらに、地域で歌唱療法を啓蒙していただけるよう、ボランティアグループの皆様を対象に、ショートプログラムの歌唱療法の基礎的知識を構成し啓蒙活動に活用していただけるよう「CSTP」という呼称で人材の育成に関わらせていただきました。 参加者の皆様の笑顔が増え活力につながり関心を深めて下さったこと、地域に歌唱療法を推進していただくボランティアグループの方々の熱心な思いと活動に関わらせていただき、この度の一連の活動を通じまして地域の皆様と歌でふれあえた幸せを私自身も感じています。 「頑張る」という言葉があります。時には精一杯力を出すことも大切ですが、私は「顔晴る」という漢字に替えて日々を過ごすようにしています。なんだか心もやわらかく穏やかになるような・・・ 顔を晴れやかに=微笑みから笑顔に、すると、小さな幸せを感じたり見つけられるような気が するのです。そして笑顔と同様に、実は「笑声(えごえ)」という言葉があります。口角を少し上げて微笑んで声を出すと笑声になりますので、ぜひ!今日も佳い日でありますよう(*^∀^*) 終わりに… 認知症予防講座は、6月末から開催してきました。そして、地域で歌唱セラピーの啓蒙活動を行うCSTPの育成を実施してきました。 これらの活動は、一般社団法人で地域の高齢者支援を長年実践されているかぐや姫会、認知症予防講座の後方支援として包括支援センターと社会福祉協議会、地域の高齢者の皆さん、そして、歌唱療法実践者で講師である歌唱療法士、畿央大学 看護実践研究センターの企画運営、学生の参加など、異なる団体や個人が地域の認知症予防を目的に歌唱療法を通じて協働することで実践することができました。 この活動は、自治体と地域の住民、地域の高齢者支援活動を行うボランティア団体の協働による活動概念に留まらず、個人や団体、関わる全ての人々がそれぞれに持つResourceを活用し、共に新たな価値を構想し、それぞれが、その構想に向けてアクションを実行し新しい価値観を創造していくプロセスを辿っていく「共創」の概念に基づいています。 地域の課題や問題の対応に向け協働して何とかしようという概念から、共に、「介護予防・認知症予防」を地域に啓蒙するという目的に向かって、歌唱療法という手段を用いて新しい価値観を作り出すアクションを実践してきました。まさしく、「共創」です。 また、学生にとっては地域の人々と接点を持ち、同じ目標に向かいこの活動に関わる多様な人々との交流は貴重な学修経験となりました。 最後に、本活動は本年3月末に初めて開催した「歌唱療法」が基盤となっています。その後、認知症予防講座を実践するにあたり多くの方々にご協力をいただき継続されてきました。特に、講師の皆美 久音先生にはご多忙の中遠方までお越しいただき、ポジティブ精神にのっとり丁寧なご指導をいただきました。なによりも先生の笑顔が参加者に大きな影響を与えていました。皆美先生をはじめかぐや姫会の皆さん、関係者の皆様に心より感謝を申し上げます。 今後も引き続き、地域住民が、地域の住民らで支え合い、住みやすい街づくりに向けた地域における共創社会の構築に向け大学としての役割を追求できればと思います。 看護実践研究センター認知症ケア部門 看護医療学科 教授 原田 俊子 関連記事 畿央大学 看護実践研究センター 畿央祭ウェルカムキャンパス「スマイル交流サロン」活動レポート~ 看護実践研究センター 畿央祭にて ”がんカフェ「きらめき」” を開催しました!~ 看護実践研究センター 「アルツハイマーデー」啓発活動報告~看護実践研究センター 認知症ケア部門 「認知症の人と家族の交流会 in KIO」を開催!~看護実践研究センター認知症ケア部門 「障がい児の愛着形成支援」について研修会を開催!~看護実践研究センター プロジェクト研究成果発表会を開催しました!~看護実践研究センター 認知症予防講座「歌って、笑って若返り」を開催しました~看護実践研究センター認知症ケア部門 看護実践研究センター認知症ケア部門主催「高齢者看護・ケアに活かすホリスティック・ナーシング」講演会を開催しました。 看護実践研究センター第9回研修会「地域共生社会の実現に向けて~様々な在留資格による外国人介護職受け入れの現状と課題~」を開催しました。
2024.12.06
看護実践研究センターシンポジウム 行政・関係機関・大学連携による中小企業の健康づくり推進―広陵町における中小企業健康経営推進の取り組み―開催報告
看護実践研究センター地域包括ケア部門では、乳幼児から高齢者までの保健医療福祉分野における連携および他職種との連携と協働に関する活動を行っています。 今年度は、2023年7月に広陵町と広陵町商工会・町内中小企業の保険者である全国健康保険協会奈良支部(以下協会けんぽ奈良支部)の3者において、健康づくりの推進に関する包括連携協定が締結されたことを期に実施した健康経営推進実態調査(インタビュー調査含む)の結果報告と、インタビュー調査にご協力いただいた3事業場をシンポジストに迎え、働く世代の健康づくりについて、行政・職域・関係機関が連携することでの可能性を考えることを目的としたシンポジウムを企画実施しました。 第一部の調査報告では、研究代表者である松本から、コロナ禍を経た事業場の状況や健康経営に関する知識や意識・健康経営優良法人認定に匹敵する項目の実施状況の質問紙調査結果とインタビュー調査結果について、報告しました。 この調査で明らかになった産業医の選任義務がない50人未満の小規模事業場の課題として、事業場の支援機関である地域産業保健センター(地域窓口)の存在や活動が知られていないこと・高齢労働者やがん等の慢性疾患を保有する労働者の就労継続(エイジフレンドリーガイドラインや治療と仕事の両立支援)に関する内容が知られていないことから、町内の事業場の健康課題や健康経営推進上の課題を関係機関・研究者・事業場で共有しながら展開していく必要性を挙げ、今後「職域健康づくり推進連絡会(仮称)」を発足して関連企業を巻き込みながら展開していく予定であることを報告しました。 第二部のシンポジウムでは、広陵町における中小企業健康経営推進の取り組みとして、健康経営をサポートする立場である協会けんぽ奈良支部 井上芳樹企画総務グループ長、2024年度健康経営優良法人認定事業場として、社会福祉法人信和会 おきなの杜 名張裕信施設長、健康経営のステップである「健康宣言」をされた事業場として、 大和化学工業株式会社 東田誠次代表取締役、大栄工業株式会社 岡田良彦代表取締役社長をシンポジストに招きました。 協会けんぽ奈良支部では、連携協定に基づく広陵町内事業場に対する健康経営支援とともに県内事業場の健康づくりとして、35歳以上の方を対象とした生活習慣病予防健診の受診費用低額化を行い、胃・肺・大腸・乳・子宮頸部のがん検診と定期健康診断・特定健診のセット受診を可能にしていることと健診受診機会が少ない家族への受診拡大活動を展開していることが報告されました。 ▼ 協会けんぽ奈良支部 井上 芳樹 企画総務グループ長 3つの事業場からは、それぞれの業種や事業形態での特性からの健康課題対応として、健康で働き続けられることを念頭にした雇用確保による事業継続の工夫やその効果について報告されました。 ▼ 社会福祉法人信和会 おきなの杜 名張 裕信 施設長 ▼ 大和化学工業株式会社 東田 誠次 代表取締役 ▼ 大栄工業株式会社 岡田 良彦 代表取締役社長 具体例としては、健診は年齢に関係なく血液検査を含めた全項目実施(人間ドック受診もあり)で全員受診をめざし健康状態の把握に努めていることや、残業減のための定時終業のルール化、有給休暇取得率が高いとさらに特別休暇付与をする、15時終業日の設定など、ワークライフバランスを徹底することで仕事と生活上の楽しみを両立できるようにしていること、従業員間や経営者との間でコミュニケーションを活性化し働きやすい職場づくりを行っていることが報告されました。 また支援関係機関である葛城地域窓口(葛城地域産業保健センター)矢倉弘一コーディネーター奈良県よろず支援拠点 山内竜也コーディネーターにも活動紹介をして頂きました。 ▼ 葛城地域窓口(葛城地域産業保健センター)矢倉 弘一 コーディネーター ▼ 奈良県よろず支援拠点 山内 竜也 コーディネーター シンポジウム後半には、山村吉由広陵町長も別の公務を終えて参加してくださいました。 その後の質疑応答では、健康経営に取り組んでいることで自慢できる強みとして、離職が少なく雇用継続が図られ、それが事業展開にも良い効果となっていることが回答され、健康経営の理念につながるものであることが示されました。 残念ながら、町内事業場の方の参加がなかったのですが、働く人の支援を行う方々である参加者からは、協会けんぽのがん検診を付与した健診展開や、地域窓口・よろず支援拠点などの支援機関活動について関心が寄せられました。 そして、最後に本調査の共同研究者である理学療法学科 福本貴彦教授と健康栄養学科 野原潤子講師の挨拶をもって閉会としました。 今後、共同研究者とともにこれらの情報を提供する場および町内事業場と行政・支援機関との連携による協働の場としての「職域健康づくり推進連絡会(仮称)」の活動開始に向けた広報を行っていきたいと思います。 町内事業場・支援人材である産業医・産業看護職(看護師・保健師)でこの活動に関心がある方は、下記QRコードに入力をして頂きますと情報提供をしますので、よろしくお願いします。 看護実践研究センター地域包括ケア部門 看護医療学科 教授 松本 泉美 文 鐘聲 関連記事 畿央大学 看護実践研究センター 認知症予防講座を開催しました。~ 看護実践研究センター認知症ケア部門 畿央祭ウェルカムキャンパス「スマイル交流サロン」活動レポート~ 看護実践研究センター 畿央祭にて ”がんカフェ「きらめき」” を開催しました!~ 看護実践研究センター 「アルツハイマーデー」啓発活動報告~看護実践研究センター 認知症ケア部門 「認知症の人と家族の交流会 in KIO」を開催!~看護実践研究センター認知症ケア部門 「障がい児の愛着形成支援」について研修会を開催!~看護実践研究センター プロジェクト研究成果発表会を開催しました!~看護実践研究センター 認知症予防講座「歌って、笑って若返り」を開催しました~看護実践研究センター認知症ケア部門 看護実践研究センター認知症ケア部門主催「高齢者看護・ケアに活かすホリスティック・ナーシング」講演会を開催しました。 看護実践研究センター第9回研修会「地域共生社会の実現に向けて~様々な在留資格による外国人介護職受け入れの現状と課題~」を開催しました。
2024.12.04
「前向き子育てプログラム トリプルP」真美ケ丘西小学校PTA教育講演会活動報告 ~ 看護実践研究センター 安心感の輪子育てプロジェクト
看護実践研究センター地域包括ケア部門の母子分野の活動として前向き子育てトリプルPプログラムの普及を進め、地域社会全体での子育て支援体制を強化していくことをめざしています。その事業として、講師依頼を受けた講演会について報告します。 ▶「安心感の輪子育てプロジェクト」についての関連記事はこちら 2024年11月16日(土)、真美ケ丘西小学校で開催されたPTA教育講演会において、**「前向き子育てプログラム トリプルP」**について紹介しました。本講演会では、オーストラリア・クィーンズランド大学のマシュー・サンダース教授が開発したこのプログラムの概要について、小学校の保護者や教育関係者、民生児童委員等64名に向けて紹介しました。 **「前向き子育てプログラム トリプルP」** とは? トリプルP(前向き子育てプログラム)は、オーストラリアのクィーンズランド大学のマシュー・サンダース臨床心理学教授が開発した、科学的根拠に基づく子育て支援プログラムです。このプログラムは、世界40か国以上で導入され、40以上の言語に翻訳されている、非常に広範囲に実践されている子育てプログラムです。 トリプルPプログラムの主な目的は、子どもの健全な成長を支援するために、親が子どもとの関係をより良いものにする方法を学び、実践することです。特に、親が子どもに対してポジティブな行動を強化し、問題行動に対して効果的に対応できるようになることを目指しています。 PTA教育講演会:「子どもの自信を育てる」 今回の講演では、「子どもの自信を育てる」をテーマに、子どもが健全な自己肯定感を持ち、他者を尊重し、問題解決力を養い、前向きな考え方を行うために親ができる具体的なアプローチを紹介しました。 参加者からは、「初めてこのプログラムを知り、非常に実践的で役立つ内容だと感じた」「家庭で実践できる具体的な方法がたくさんあったので、今すぐ試してみたい」といった感想が寄せられました。質疑応答では、参加者から積極的に質問があり、子育ての現場で直面している疑問に対する助言を行いました。 今後も地域から講師依頼を受けた際には、積極的に出向き、講演やワークショップを実施し、より多くの親や地域住民に対して実践的な子育て支援を提供していたいと考えています。またこのプログラムを通じて、地域での子育てに対する理解と支援の輪を広げ、子どもたちがより良い環境で育成されるように、引き続き地域との連携を深めていきたいと思います。 看護実践研究センター 地域包括ケア部門 看護医療学科 准教授 田中 陽子 関連記事 畿央祭ウェルカムキャンパス「スマイル交流サロン」活動レポート~ 看護実践研究センター 畿央祭にて ”がんカフェ「きらめき」” を開催しました!~ 看護実践研究センター 「アルツハイマーデー」啓発活動報告~看護実践研究センター 認知症ケア部門 「認知症の人と家族の交流会 in KIO」を開催!~看護実践研究センター認知症ケア部門 「障がい児の愛着形成支援」について研修会を開催!~看護実践研究センター プロジェクト研究成果発表会を開催しました!~看護実践研究センター 認知症予防講座「歌って、笑って若返り」を開催しました~看護実践研究センター認知症ケア部門 看護実践研究センター認知症ケア部門主催「高齢者看護・ケアに活かすホリスティック・ナーシング」講演会を開催しました。 看護実践研究センター第9回研修会「地域共生社会の実現に向けて~様々な在留資格による外国人介護職受け入れの現状と課題~」を開催しました。
2024.11.27
外部講師による講義「筋萎縮性側索硬化症(ALS)の看護」~看護医療学科「慢性期看護学援助論Ⅰ」
「慢性期看護学援助論Ⅰ」は、看護医療学科2年後期に必修科目として開講しています。 この授業では、臨床現場で勤務する看護師を外部講師として招き、最新の筋萎縮性側索硬化症(以下、ALS)患者の看護の実際について講義を受けるというプログラムを組み込んでいます。 令和6年11月5日(火)の授業では、講師として本学の看護医療学科7期生である富本尚寛さん(大阪急性期・総合医療センター脳外科・神経内科病棟勤務)から、ALSの病態や最新の治療法や看護および意思決定支援についてご講義いただきました。また、卒業生の視点から後輩へのアドバイスとして3年次後期からの臨床実習における心構えなども話していただきました。 ALSとは、脳や末梢神経からの命令を筋肉に伝える運動ニューロン(運動神経細胞)が侵される病気で、難病の一つに指定されています。筋肉そのものの病気ではなく、筋肉を動かし、運動をつかさどる神経が主に障害をうけるため、脳からの命令が伝わらなくなることにより、筋肉がやせていきます。その一方で、体の感覚、視力や聴力、内臓機能などはすべて保たれることが普通です。病気が進行するに伴い、コミュニケーションが取れなくなったり、嚥下ができなくなったりします。そのため、患者様やご家族様に対する意思決定支援が重要になってきます。授業では、ALSの病態、病期別のアセスメント・看護について、実際の事例をもとに講義していただきました。 ALSは看護師だけが関わるのではなく、看護師が中心となって多職種と連携を図っていくことが必要であること、難病であることから難病支援センターの職員と連携し患者支援をおこなっていくことなど、多職種連携の重要性について、実際のカンファレンス状況を通して説明していただきました。さらに、この疾患の患者様は8割以上が自宅療養となるため、退院支援が必要であり、家族指導を行うとともに多職種とのケア会議や退院前カンファレンスによって、情報の共有が必要であると説明していただきました。 検討課題として2年生に「患者が病状説明を聞いて、死ぬかもしれないと話されたとき看護師としてどのように声かけをするか」、「患者と家族の意見(希望)が違う時、どのような対応をするか」の2点について質問されました。難しい内容の質問でしたが、学生は真剣に取り組んでいました。なぜそのような話をするのか、患者様の理解が大切であること、患者様ご家族様の思いを明らかにすること、話し合いの場を作るなどお話しいただきました。 受講した2年生からは、「ALSの知識が深まり、とても興味深かった。」、「ALSについてどのような看護ができるのか、個別性に合わせて実施することが非常に重要であると理解できた。」、「伝の心など専用の機器などを使った専用のコミュニケーションの取り方を知ることができました。症状が進む中での暮らしなど難しいことが多いと思いました。」、「意識があっても自分の意思で思うように動かせない、死ぬかもしれないという否定的な感情になりやすいなど精神的苦痛が大きくなる疾患で、看護師のコミュニケーションひとつで状態が変わるため気を付けなければいけないと感じました。」などの意見がありました。 2年生は、本学の卒業生であり、臨床で活躍している先輩の今回の講義から学んだことを心に刻みケアの対象者である患者様ご家族様に丁寧に向き合い、支援できる看護師を目指してほしいと思います。 看護医療学科 教授 山本 裕子 准教授 對中 百合 助手 中谷 隆太郎 関連記事 ハンセン病療養所を訪問し「医療と人権」を学ぶ~看護医療学科「健康学特論」 自助と共助で災害に備える~看護医療学科「災害看護Ⅱ」 広陵町防災訓練に参加しました!~ 看護医療学科 海外インターンシップメンバーで、畿央祭に参加!~ 看護医療学科 2024年度 看護医療学科卒業研究発表会を開催! ~ 看護医療学科 2024年度「地域包括ケア実習」が無事終了!~看護医療学科 2024年度「地域包括ケア実習」がはじまりました!~看護医療学科 令和6年度「チーム医療ふれあい実習」実践発表会を開催しました~看護医療学科 「若者とともに超高齢化社会を考える」 in森ノ宮医療大学 ~看護医療学科「認知症ケア論」vol.4
2024.11.27
災害ボランティア体験談―大阪急性期・総合医療センターでの災害避難訓練― ~ 看護医療学科
2024年11月9日土曜日に大阪市東住吉区にある大阪急性期・総合医療センターでの災害避難訓練に1~3回生の学生35名と教員2名が参加しました。大阪市内で震度7の地震が発生し、電気・水道が遮断され、自家発電で経過した翌日の設定で、D-MAT(災害派遣医療チーム)である看護師から説明を受け、活動に臨みました。 ボランティア当日は、病院を使用した臨場感のある災害訓練でした。ボランティア参加者それぞれに、名前や年齢などの状況設定があり、その設定に沿って演技をするということが、ボランティアの役割でした。子供役の学生は泣きながら症状を訴えたり、保護者役はパニックとなり助けを呼んだり、精神疾患のある患者は、帰りたいと訴えたり、それぞれの設定になり切って演技をしていました。 ボランティア活動に参加した学生の感想 病院のボランティアに参加したことがなく楽しそうと思ったから、参加しました。 ボランティア活動では、赤タグの負傷者を演じ、医療スタッフの指示に従いストレッチャーにて処置を受けました。ボランティア活動の中で、負傷者の数が多く一人で待機する時間が長かったため不安に感じたことから、実際の現場でも不安の中待機している人が多くいると気づくことができました。 現場は一刻を争うため不安に寄り添うことは困難であると考えられますが、チームでのそれぞれの役割や動き方について今回のように訓練を行うことで待機時間の短縮となり不安を和らげることができると考えました。 看護医療学科 3回生 川合 望花 私は、災害看護に興味があり、被災時に看護師がどのような活動を行っているのか、また、看護師が多職種とどのような協働を行っているのかと言う疑問を持っていました。そのため、訓練の患者役という視点から医療職の活動を観察できる今回のボランティアに参加したいと考えました。 ボランティア活動では、被災後の歩行時に転倒し胸部を打撲した患者役をしました。この方は、初めは自身で病院へ来院したためトリアージは緑色でしたが、受診後増悪し、最終的にはトリアージが赤色に変わるという方でした。そのため、全てのトリアージ現場の活動を身をもって体験することができました。この体験を通して、重症患者の対応のため赤・黄エリアに人員が集中するため緑エリアでは患者が長時間待たなければならないと考えられることや看護師は患者処置の補助として医師と共に対象者のアセスメントとその意見交換を実施することで、多角的に患者の状態を把握していたことを知ることができました。 また、エリアを移動し引き継ぎを行う際には、患者一人一人に配布されているIDカードを利用して、漏れなく情報を共有している様子を知ることができました。以上のように、今回のボランティアに参加して、実際の患者の気持ちや医療職間の連携、安全な医療の提供のためのICTの利用など多くのことを学ぶことができました。 看護医療学科 3回生 橋本 心春 災害時の医療従事者の連携について実際に見てみたいと思いました。また、D-MATの方々の現場での動き方、指示の出し方などを見たいと思い参加しました。 ボランティア活動では、災害を想定して、様々な症状の患者になり、医療従事者の方々の動きや連携方法について観察しました。その際、患者役ではなく、患者の家族の役にもなりきり、家族に対するかかわりかたも訓練していました。また、患者役ではなく傍観者としてみるために現場を見学しました。 初めて災害の現場の雰囲気を見学し、医療従事者間の連携が非常に大事であることがわかりました。スマートフォンでタグを読み取ることで患者の情報がわかり、情報の共有が素早く行われていました。しかし、運ばれてから処置が完了するまでに時間を要しており、その間にも次々患者が運ばれてくるため、医師や看護師が不足しているという現状を目の当たりにしました。そのなかでも、患者が安心できるよう看護師が患者のことを気に掛ける場面があり、一人一人丁寧に関わることが重要であることがわかりました。 看護医療学科 3回生 内海 茜 今回のボランティア活動に参加した目的は、災害時における患者の心情を少しでも体験し、災害医療の現場でどのような雰囲気があるのかを知るためでした。また、看護師や医師がどのように動き、患者対応を行っているのかを間近で見て学びたいという思いもありました。 活動では、まず看護師から渡された事例を基に患者役を演じました。体育館にストレッチャーで運ばれ、全身状態の確認後にトリアージを受けました。トリアージの結果に応じて色分けされたエリアに移動し、その後は医師や看護師が患者の急変がないか様子を観察していました。また、医療スタッフは次々と運ばれてくる患者を診るため、短い時間で迅速に判断や対応をしている様子が見られました。 私は赤タグに分類されましたが、その中でも緊急性がやや低い状態とされ、他の患者より搬送準備が後回しになりました。そのため、ベッドの上で待機する時間が長く、自分がどうなるのか分からないという不安を強く感じました。この経験を通じて、災害時の患者が抱える不安や孤独感を少し体感できたように思います。また、医師や看護師は限られた時間で多くの患者に対応する必要があり、患者一人一人への対応時間が短くなりがちなことも実感しました。そうした状況下で、患者は自分がどうなるのか不安に感じやすいことを理解しました。 このボランティアを通じて、患者の立場を体験するとともに、災害医療の現場での看護師や医師の動きを学ぶ貴重な機会となりました。参加して本当に良かったと思います。 D-MATやドクターヘリなど、実際に目にすることが少ないものを見学したり、救急医療の現場を体験したりすることで、災害医療や救急医療ならびに看護について学ぶ機会になったと思います。今回の経験を今後に役立ててくれることを願います。 看護医療学科 3回生 古賀 いりあ 災害看護とは、災害が発生したときに看護師が、様々な専門職と連携しながら、知識や技術を駆使して看護活動にあたることです。災害による生命や健康への被害を最小限に留めることを目的としています。看護師は被災直後だけでなく、長期にわたり被災者のケアに携わります。昨今、地震や台風などの災害が増えている現状があります。その中で、災害看護は非常に重要であるといえます。 今回のボランティア活動で被災者である患者体験から、必要な看護を考えることができたと思います。今回の経験・学びを今後の看護に活かせることを願っています。 看護医療学科 准教授 對中 百合 助手 中谷 隆太郎 関連記事 自助と共助で災害に備える~看護医療学科「災害看護Ⅱ」 広陵町防災訓練に参加しました!~ 看護医療学科 堺市総合防災センターで体験学習をしました~看護医療学科「災害看護II」 外部講師による講義「筋萎縮性側索硬化症(ALS)の看護」~看護医療学科「慢性期看護学援助論Ⅰ」 ハンセン病療養所を訪問し「医療と人権」を学ぶ~看護医療学科「健康学特論」 2024年度 看護医療学科卒業研究発表会を開催! ~ 看護医療学科 2024年度「地域包括ケア実習」が無事終了!~看護医療学科
2024.11.08
ハンセン病療養所を訪問し「医療と人権」を学ぶ~看護医療学科「健康学特論」
畿央大学健康科学部看護医療学科では、2015年度より保健師対象科目「健康学特論」において、受講者とともに岡山県瀬戸内市にある国立療養所 長島愛生園に直接赴き、納骨堂に献花し、往時に使用されていた収容施設や監房跡等も見学、そして、現在も入所されている回復者の話に耳を傾けて参りました。今年度は10月26日(土)に44名の学生と2名の教員で訪問しました。 国立療養所「長島愛生園」見学 瀬戸内海に浮かぶ島、長島は1988年まで本州との橋がかかっておらず、まるでハンセン病療養所を完全に社会から断絶するようでもありました。写真の1枚目は、架橋されて36年を迎えた邑久長島大橋です。人々はこの橋を「人間回復の橋」と呼んでいます。 ▼邑久長島大橋 私たちは到着後、2023年4月に園内に開設した「むつみ交流館」という研修施設にて、長島愛生園歴史館主任学芸員の田村朋久さんからハンセン病と長島愛生園に入所する人々に関するお話を聴きました。 ▼ むつみ交流館での講演の様子 昼食後はまず、「長島愛生園」歴史館 を見学しました。 ▼ 「長島愛生園」歴史館 こちらの建物は、1930年の開園当初からあった建物で事務本館として長く使用されてきました。現在は歴史館として多くの方々が見学に来ています。 ▼ 歴史館で田村主任学芸員の解説を聞いている様子 田村主任学芸員の解説の後、歴史館を自由に見て回りました。ちょうど見学の翌日が衆議院議員選挙であったこともあり、今回のブログでは「投票箱」を紹介します。1996年まであった「らい予防法」には、ハンセン病患者が使用・接触した物件の消毒に関する規定がありました。この投票箱には側面に穴があいており、内部の投票用紙を蒸気で消毒したのでした。すでに感染症としてのハンセン病が治癒していても消毒が必要という、「らい予防法」の理不尽さの一端がわかる展示物でした。 ▼ 投票箱 その後、園内の見学に移りました。当時の患者専用の収容桟橋、収容後すぐに入れられた回春寮(収容所)、その中の「消毒風呂」、収容所内の病室を見学しました。 ▼ 収容桟橋 ▼ 回春寮(収容所) ▼ 回春寮内にある消毒風呂 ▼収容所内の病室 次に、監房跡を見学しました。 ▼ 監房跡 その後、亡くなっても「社会復帰」が叶わなかった方々が眠る納骨堂と、1996年まで続いた旧優生保護法による強制堕胎の胎児を祀る水子地蔵の前でそれぞれ花を捧げ、手を合わせました。 ▼ 納骨堂 ▼ 水子地蔵 最後に、田村主任学芸員から総括的なお話を聴き、長島愛生園を後にしました。 注:ハンセン病を理由とする断種・堕胎手術は、旧優生保護法施行以前にも、法的根拠がなく行われていました。 長島愛生園を訪問した学生の感想( 抜粋 ) ● 私は長島愛生園を訪問したことで、学芸員の方やハンセン病元患者の方からの話を聴くことができ、授業では知ることができなかったハンセン病元患者の苦悩やその人たちの生活について知ることができた。そして、ハンセン病やほかの障がいについても正しい知識を持ち、正しく理解することが偏見をもたなくするうえで、大切だということがわかった。 ● 普通に奈良で過ごしているだけでは修学旅行や課外学習で訪れない場所だったので、この授業を通してハンセン病問題について知ることができて本当に良かったです。実際に長島愛生園を訪問して住民が暮らしている場所や資料館、納骨堂を見学し、住民の高齢化とハンセン病問題が風化しかけているということについて実感しました。このような問題は今後一切世界で起きてほしくないのに、国による人権侵害のせいで2世、3世がいないということから広島、長崎のように語り部活動が続けられなくなる。その言葉を聞いて、今私達が語り部の話を聞けて、私達の子どもの世代が聴けないのかもしれないと思うと、2世、3世ではなくても私達がこの問題をしっかりと学んだ世代という立場で後の世代に伝えていかなければならないのだと、改めて私達がこの授業を履修した意義について考えることができました。 ● 私は、今回の訪問を通して子供たちの作った詩や作文が印象に残っている。詩や作文には、家族に会いたい、お母さんに会いたいという気持ちを表した内容ばかりであった。当時の間違った政策によって、子供たちが家族や友だちと一緒に過ごせる時間を奪われたと考えるとすごく胸が痛くなった。家族と離れてまで強制隔離する必要があったのか、なぜハンセン病を患っただけでこんなにつらい思いをしなければならないのかなど、詩や作文を読んで、たくさんの疑問が浮かび上がったのと同時に、このようなことは二度と起きてはならないと強く感じた。 また、長島愛生園内の学校では、生き延びるためにハンセン病患者であったという事実を隠し、「ウソ」をつくことも必要であると授業で教えられていたということを知った。これを聞いて「ウソ」をつかないと社会で生きていけないほど、世間ではハンセン病患者に対する差別は根強く残っていたのだと感じた。 これから先、同じような差別や差別によって辛い思いをする人が二度と出てこないようにするためにも、今回の訪問や今までの学びを自分だけでなく、周りの人にも伝えていかなければならないと感じた。 ● 授業でハンセン病のことについて学んでいたのですが、実際に人間回復の橋を渡り、島や建物をみた時、ハンセン病患者は差別されこの場所で隔離されていたのだと実感しました。歴史館では当時の生活がよくわかり、1番印象に残っているのは、視覚障害を持つ入所者が中心となりハーモニカバンドを結成し、演奏を行うことで他の入所者へ生きる希望を与えていたことです。入所者はとても前向きに強く生きていたと知ることができました。 ● 実際に行われていた現場を見て自分が今まで学んできた以上に壮絶な歴史で、でもそこに暮らしている人はすごく穏やかそうなお顔をしているそのギャップに驚きました。長島愛生園に訪れて、自分の物事の考え方の未熟さが明らかになり、考えを改める良い機会になりました。 元ハンセン病家族訴訟原告団副団長を本学にお招きしました。 長島愛生園訪問の翌週11月2日(土)には、元ハンセン病家族訴訟原告団副団長の黄光男(ファン・グァンナム)さんに大学にお越しいただき、貴重なお話を伺うことができました。 ▼ 元ハンセン病家族訴訟原告団副団長の黄光男(ファン・グァンナム)さんの講演 黄光男さんは2021年から畿央大学にて講演をいただいています。 ハンセン病は当事者のみならずご家族にも甚大な差別があり、黄さんは、ご自身の家族の事例を挙げながら、その差別について切々と語られました。また、ギターを手にされ、ご自身が作詞作曲した「閉じ込められた生命」、「思いよ とどけ」などの弾き語りを披露していただきました。学生たちはその歌、その思いに聴き入っていました。 講演会を聞いた学生の感想( 抜粋 ) ● 黄光男さんの講義をきき、強制的に長島愛生園に連れていかれただけでなく、家中を消毒され家にもう住めなくされたことが衝撃的に感じ、より残酷だと感じた。また、ハンセン病に感染したことで、家族を離れ離れにされただけでなく、光男さんがとても幼く1番家族形成が重要である期間に家族といられなくなり、家族と再会し一緒に住み始めたときに、家族と住み始めたはずが、他人と住んでいる気持ちになっていたことに、より残酷で毎日が心から本音を話せる人がいない状態での生活にとても不安に感じていたのだろうと思った。 ● 外部講師の方の講演を受け、ハンセン病で苦しい思いをした家族について詳しく知ることができた。また、外部講師の方が歌われた「閉じ込められた生命」の歌が心にしみた。今後、ハンセン病のような問題が起こらないように、私たちはハンセン病問題を後世に伝えるなど、努めていかなければならないと強く感じた。この講義を受けて、ハンセン病問題について詳しく知ることができて本当に良かった。 ●「閉じ込められた生命」の歌詞がすごく胸に刺さりました。 「同情ではなく、行動できる勇気をもつ」と聞いて、二度と同じような差別が起きないように、私も今まで学んだハンセン病のことを、1人でも多くの人に伝えていきたいと強く思いました。 社会に残る差別の解消に向けて この授業の締めくくりでは、学生たちが11の班に分かれ、それぞれ真剣にディスカッションを行い、その成果を発表しました。 受講生たちの感想をお読みいただいたように、本科目の主たる内容である「医療問題と人権」の一端を深く学び、胸に刻むことができました。新型コロナウイルス感染症のパンデミック時においても、感染症を理由とする差別が横行していましたが、私たちはこのようにいまだ社会に残る差別の解消に向けた取り組みにかかわり、人道・人権尊重を主体とした医療従事者養成に寄与していきたいと考えております。 また、来たる11月24日(日)の午後には、近隣の大和高田市総合福祉会館(ゆうゆうセンター)において、「第4回 架け橋交流・講演会 ~ハンセン病問題から学ぶ~」が開かれ、ハンセン病療養所入所者、退所者、ご家族の方々がそれぞれお話をされます。本記事をご覧のみなさまで、ハンセン病問題に関心をもたれた方はぜひご参加いただければ幸いです。 最後に、黄光男さん、田村朋久さん、長島愛生園のみなさまには貴重なお時間をいただきありがとうございました。改めてお礼申し上げます。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。 看護医療学科 教授 文 鐘聲 関連記事 ハンセン病療養所を訪問、当事者家族の声を聴き「医療と人権」を学ぶ~看護医療学科「健康学特論」 ハンセン病療養所で、当事者家族の声から「医療と人権」を学ぶ~看護医療学科「健康学特論」 ハンセン病当事者家族から「疾病と差別」を学ぶ~看護医療学科「健康学特論」 国立療養所長島愛生園でハンセン病回復者の現状を体感する~看護医療学科「健康学特論」 ハンセン病療養所長島愛生園を見学~看護医療学科
2024.10.31
自助と共助で災害に備える~看護医療学科「災害看護Ⅱ」
看護医療学科4年次後期に配当される「災害看護Ⅱ」の授業では、災害の種類と健康被害の特徴、災害サイクルに応じた災害看護活動、他職種との連携体制の構築、災害時に必要な医療と看護技術による災害看護の実践、災害に備えた減災・防災マネジメントなどの体験や演習を通して、災害看護の機能と役割について学びます。2024年10月22日(火)には、学外実習として担当教員引率のもと、堺市総合防災センターに足を運びました。 自然災害に備える 地震大国である日本は、数年に一度大規模な地震が発生しており、東日本大震災や本年元日の能登の地震は記憶に新しいです。また、近年の異常気象により経験したことのない風水害の被害も多くなっています。しかし、私たちはそれらの災害を映像で見るばかりで、実際に経験したことがありません。 近い将来必ず起こると予測されている南海トラフ巨大地震に備え、自分たちの力で何ができるのか、自然災害についてより実践に近い形での学びを得るため、堺市総合防災センターでの学修を行いました。 心肺蘇生 心停止の要救助者に対する、胸骨圧迫・AEDによる除細動の訓練を行いました。大学の講義で行ったこともあり、全員スムーズに行うことができていました。 地震体験 直下型地震(阪神淡路大震災)と海溝型地震(東日本大震災)を体験しました。震度6を超えると手すりを掴んで立つのがやっとでした。 火災体験 消火器の使用と煙・暗闇体験を行いました。消火器の使用では、火の根本を狙って消火することや、見た目に火が消えていても必ず通報する必要があることを学びました。 煙・暗闇体験では煙が充満した部屋の中を壁伝いに出口まで進みました。体験では無害の煙を使用しましたが、それでも視界を奪われ、呼吸の不快さを感じました。実際の火災では煙に含まれる一酸化炭素は天井から充満していくため姿勢を低く保ちながら移動することが重要です。また、完全な暗闇になると方向感覚を奪われ、短時間でも恐怖を感じました。 がれき救助体験 最後に、がれき救助体験です。阪神淡路大震災では救助された人の大多数が家族や近隣住民によって救出されています。災害発生時の公助には限界があり、自助や共助が必要となります。限られた資材や人員で安全に救出するための方法について学びました。 周りの人と協力し、ジャッキや、木材、長い棒などその場にあるものを活用して重たいものを持ち上げる方法や毛布を使用した担架の作り方を学びました。 参加した感想 地震や煙・暗闇の体験を通して、被災者が経験する恐怖について考えることができました。災害発生以降、被災者の看護を行う際には身体的な状態だけでなく心理状態も考慮し、ケアを行う必要があると改めて学ぶことができました。 また、がれき救助の体験では自助・共助の力で救助を行うことができると実感することができました。より多くの人の命を守るためには、要救助者と自分自身や、周囲の人々の安全を確保した上で救助を行うことが必要だと学びました。 いつ起きるかもわからない災害に備え、看護師として、また地域住民の一人としてより多くの命を守ることが自分たちの役割だと感じました。 看護医療学科 准教授 酒井 啓子 4回生 辻野 晴菜 関連記事 広陵町防災訓練に参加しました!~ 看護医療学科 海外インターンシップメンバーで、畿央祭に参加!~ 看護医療学科 2024年度 看護医療学科卒業研究発表会を開催! ~ 看護医療学科 2024年度「地域包括ケア実習」が無事終了!~看護医療学科 2024年度「地域包括ケア実習」がはじまりました!~看護医療学科 令和6年度「チーム医療ふれあい実習」実践発表会を開催しました~看護医療学科 「若者とともに超高齢化社会を考える」 in森ノ宮医療大学 ~看護医療学科「認知症ケア論」vol.4 「認知症の人と家族の交流会 in KIO」を開催!~看護実践研究センター認知症ケア部門 「死のシミュレーション体験」から学ぶ終末期ケア~看護医療学科「終末期ケア論」vol.5 外部講師から学ぶ「薬害の実情」と「患者の人権」~看護医療学科「保健医療福祉システム論Ⅰ」 緩和ケア病棟の実際―病院インターンシップ実習を経験した上級生とのディスカッション~看護医療学科「終末期ケア論」vol.4 前期の最後は高齢者疑似体験!~看護医療学科「老年看護学援助論Ⅱ」vol.4
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