2024.11.27
災害ボランティア体験談―大阪急性期・総合医療センターでの災害避難訓練― ~ 看護医療学科
2024年11月9日土曜日に大阪市東住吉区にある大阪急性期・総合医療センターでの災害避難訓練に1~3回生の学生35名と教員2名が参加しました。大阪市内で震度7の地震が発生し、電気・水道が遮断され、自家発電で経過した翌日の設定で、D-MAT(災害派遣医療チーム)である看護師から説明を受け、活動に臨みました。
ボランティア当日は、病院を使用した臨場感のある災害訓練でした。ボランティア参加者それぞれに、名前や年齢などの状況設定があり、その設定に沿って演技をするということが、ボランティアの役割でした。子供役の学生は泣きながら症状を訴えたり、保護者役はパニックとなり助けを呼んだり、精神疾患のある患者は、帰りたいと訴えたり、それぞれの設定になり切って演技をしていました。
ボランティア活動に参加した学生の感想
病院のボランティアに参加したことがなく楽しそうと思ったから、参加しました。
ボランティア活動では、赤タグの負傷者を演じ、医療スタッフの指示に従いストレッチャーにて処置を受けました。ボランティア活動の中で、負傷者の数が多く一人で待機する時間が長かったため不安に感じたことから、実際の現場でも不安の中待機している人が多くいると気づくことができました。
現場は一刻を争うため不安に寄り添うことは困難であると考えられますが、チームでのそれぞれの役割や動き方について今回のように訓練を行うことで待機時間の短縮となり不安を和らげることができると考えました。
看護医療学科 3回生 川合 望花
私は、災害看護に興味があり、被災時に看護師がどのような活動を行っているのか、また、看護師が多職種とどのような協働を行っているのかと言う疑問を持っていました。そのため、訓練の患者役という視点から医療職の活動を観察できる今回のボランティアに参加したいと考えました。
ボランティア活動では、被災後の歩行時に転倒し胸部を打撲した患者役をしました。この方は、初めは自身で病院へ来院したためトリアージは緑色でしたが、受診後増悪し、最終的にはトリアージが赤色に変わるという方でした。そのため、全てのトリアージ現場の活動を身をもって体験することができました。この体験を通して、重症患者の対応のため赤・黄エリアに人員が集中するため緑エリアでは患者が長時間待たなければならないと考えられることや看護師は患者処置の補助として医師と共に対象者のアセスメントとその意見交換を実施することで、多角的に患者の状態を把握していたことを知ることができました。
また、エリアを移動し引き継ぎを行う際には、患者一人一人に配布されているIDカードを利用して、漏れなく情報を共有している様子を知ることができました。以上のように、今回のボランティアに参加して、実際の患者の気持ちや医療職間の連携、安全な医療の提供のためのICTの利用など多くのことを学ぶことができました。
看護医療学科 3回生 橋本 心春
災害時の医療従事者の連携について実際に見てみたいと思いました。また、D-MATの方々の現場での動き方、指示の出し方などを見たいと思い参加しました。
ボランティア活動では、災害を想定して、様々な症状の患者になり、医療従事者の方々の動きや連携方法について観察しました。その際、患者役ではなく、患者の家族の役にもなりきり、家族に対するかかわりかたも訓練していました。また、患者役ではなく傍観者としてみるために現場を見学しました。
初めて災害の現場の雰囲気を見学し、医療従事者間の連携が非常に大事であることがわかりました。スマートフォンでタグを読み取ることで患者の情報がわかり、情報の共有が素早く行われていました。しかし、運ばれてから処置が完了するまでに時間を要しており、その間にも次々患者が運ばれてくるため、医師や看護師が不足しているという現状を目の当たりにしました。そのなかでも、患者が安心できるよう看護師が患者のことを気に掛ける場面があり、一人一人丁寧に関わることが重要であることがわかりました。
看護医療学科 3回生 内海 茜
今回のボランティア活動に参加した目的は、災害時における患者の心情を少しでも体験し、災害医療の現場でどのような雰囲気があるのかを知るためでした。また、看護師や医師がどのように動き、患者対応を行っているのかを間近で見て学びたいという思いもありました。
活動では、まず看護師から渡された事例を基に患者役を演じました。体育館にストレッチャーで運ばれ、全身状態の確認後にトリアージを受けました。トリアージの結果に応じて色分けされたエリアに移動し、その後は医師や看護師が患者の急変がないか様子を観察していました。また、医療スタッフは次々と運ばれてくる患者を診るため、短い時間で迅速に判断や対応をしている様子が見られました。
私は赤タグに分類されましたが、その中でも緊急性がやや低い状態とされ、他の患者より搬送準備が後回しになりました。そのため、ベッドの上で待機する時間が長く、自分がどうなるのか分からないという不安を強く感じました。この経験を通じて、災害時の患者が抱える不安や孤独感を少し体感できたように思います。また、医師や看護師は限られた時間で多くの患者に対応する必要があり、患者一人一人への対応時間が短くなりがちなことも実感しました。そうした状況下で、患者は自分がどうなるのか不安に感じやすいことを理解しました。
このボランティアを通じて、患者の立場を体験するとともに、災害医療の現場での看護師や医師の動きを学ぶ貴重な機会となりました。参加して本当に良かったと思います。
D-MATやドクターヘリなど、実際に目にすることが少ないものを見学したり、救急医療の現場を体験したりすることで、災害医療や救急医療ならびに看護について学ぶ機会になったと思います。今回の経験を今後に役立ててくれることを願います。
看護医療学科 3回生 古賀 いりあ
災害看護とは、災害が発生したときに看護師が、様々な専門職と連携しながら、知識や技術を駆使して看護活動にあたることです。災害による生命や健康への被害を最小限に留めることを目的としています。看護師は被災直後だけでなく、長期にわたり被災者のケアに携わります。昨今、地震や台風などの災害が増えている現状があります。その中で、災害看護は非常に重要であるといえます。
今回のボランティア活動で被災者である患者体験から、必要な看護を考えることができたと思います。今回の経験・学びを今後の看護に活かせることを願っています。
看護医療学科
准教授 對中 百合
助手 中谷 隆太郎
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