2025.07.22
学生企画【セクソロジープロジェクト】高校生とともに性について考える~YMCAインターナショナルハイスクール性教育プロジェクト実施報告
2025年7月15日(火)、看護医療学科の学生5名が、YMCAインターナショナルスクールで性教育の参加型ワークショップを実施しました。今回の活動では、性感染症・性的同意・妊娠・避妊など多様なテーマに触れ、感染症体験ゲーム、劇、ロールプレイ、○×クイズ、コンドームの実演などを通じて、高校生とともに多角的に考える時間を共有しました。
参加学生たちの声とともに当日の様子をご紹介します。
アイスブレーク ~ 感染症はこうして拡がる!
授業冒頭、3人にしか“感染”していない状態から始まる水の交換ゲーム。みんなは水ですが3人だけアルカリイオン水です。
じゃんけんをして負けた人のコップに全部水を入れ、混ざったところでお互い半分ずつに水を戻すということを4回繰り返しました。みなさん積極的に交換してくれていて、私たち学生にも声をかけて交換してくれました。
交換後に試薬を一滴垂らすと変色する人、しない人ができ、感染が広がっている状況がわかります。結果を見た時には、「おおーっ!」と歓声が上がり、盛り上がってくれていました。また、「感染してる。Oh my god!」と知らぬ間に感染していることを体験してくれているような声も見られていました。
驚きの声が教室に響き、性感染症が“気づかぬうちに拡がる現実を体感。盛り上がりながら深く考える導入ができたことに手ごたえを感じました。梅毒について知っている生徒は多かったですが、今回なぜ若者の世代で増加傾向にあるのかについても学んでもらうことができたと思います。
○×クイズ
次に、○×クイズでは、5秒と少ないシンキングタイムでも、近くの友達と話して、考えを共有しているようで、とても積極的に参加してくれていました。
また、クイズの最後には、「性感染症になる原因について何が考えられるか?」というテーマで、ディスカッションしてもらいました。この時には、「避妊以外思いつかない。」や「関係を持つ相手のことを知ることが大事だと思う。」などの意見が出ていました。学生が話しかけても、快く意見を共有してくれていて、とても盛んな意見交換ができていました。
パーソナルスペースを体験!
次に、この距離、近すぎる?「友達との距離感」をテーマに、パーソナルスペースを体験するロールプレイです。
まずは担任の先生にもご登場いただきながら距離のとり方の寸劇で皆さんに考えてもらいました。自分の心地よさと他人の感じ方の違いに気づくディスカッション。
「私は触られるのは嫌っ!」「仲の良い友達だと近くても僕は気にならないけど、相手がどのように思っているのか本当はわからない。」「自分だったら仲良い子とボディタッチは全然いけるけど、あんま話したことのない子からボディタッチされたら嫌かな」「相手に聞いてみるのが一番。でも、聞くのって案外難しい」と様々な意見が出ていました。
距離感について、自分の価値観を振り返ってもらえたと思いますが、さらに相手の感覚は自分とは違う場合があることや人との距離感にも思いやりが必要であることが伝わっていたらいいと思いました。
妊娠について考える
次の話題は妊娠。「妊娠した彼女からすぐに逃げる彼氏」のロールプレイング。太郎くんと花子さんのLINEのやり取りから考えました。
LINEのやり取りについて考えてもらう時間を設けた際、「彼氏最低!」「彼氏ダメでしょ!」と、彼氏を非難する意見がたくさん出ていました。その上で、「私だったらすぐに親を巻き込む!」と誰かに相談するようにする意見も出ていました。ただ、人によって「すぐに親に相談できる人とできない人がいるよね。」という話題にもなり、彼氏をただ非難するのではなく、その場でどうすればよかったのかと考えてくれていました。
「男の自分から見ても妊娠させたのは自分ってわかってるのにほんまに俺?って言うのは違うなって思った」自分が太郎くんの立場だったらどうする?と問いかけると、「花子さんと一緒に病院行ってあげる」「一緒に病院行って、親とかにも一緒に話をする」と、友達同士で話したり、学生に意見をくれたりしました。想像しにくいから分からない、恥ずかしいから考えたくない、という子は1人もおらず、一生懸命考えて、話して、想像してくれました。
女の子側に立った時には、身体を大切にしたいから親に相談する、相手の親も交えて話し合いたいといった意見が聞かれました。また、男の子側に立った時には、女の子が別の男性と関係を持っているかもしれないから「俺じゃない!」と言ったのではないか、自分の子という確証が欲しいとの意見がありました。「病院に行くにしてもお金が必要。お金は誰が出すのか。」と妊娠することでカップルの間に発生する様々な問題についても気づいて貰うことができました。物事を多角的に見る視点があって素敵だなと思いました。また、「知らん人と性行為するのは、性感染症に感染するリスクがあると思う」などそれぞれ、考えたことを素直に私に伝えてくれて、共感できる部分もあったり、そんな風に考えることもできると自分の学びにも繋げることができました。
避妊の必要性について
最後にコンドームを配った時も、女子生徒の子が「これって女子も着けれるようにならないといけないんですか?」と聞いてくれた子がいました。コンドームを見るのが初めてという子も中にはいたと思うのですが、その時は「女の子も正しい着け方を知っておくことで、自分の身を守ることにも繋がるよ」と伝えると、友達と一緒に袋を開けて実際に触ってみたりしてくれました。
コンドームの実演も、率先して模型を使って試す様子も見られ、避妊の必要性を感じてくれたのかなと思っています。
また、岡先生の解説時も、真剣に聞いてくれている様子があり、とても嬉しく感じました。準備段階ではどんな生徒さんがいるのか、どんな様子で聞いてくれるのか楽しみな反面少し心配もしていました。でも、実際には男女問わずみんなが前を向いて話を聞き、質問しても恥ずかしがらずにきちんと答えてくれて、コミュニケーションをとりながら性について話せたことが、とても楽しかったです。
意見を聞いて回った際も、恥ずかしがらずに考えて沢山意見を出してくれました。アットホームな空気感で、みんなで一緒に性について考えることができたと思うので、とても良い機会だったと思います。私も今回参加させていただけて、性について考えることはもちろん、高校生に伝えるにはどう工夫する必要があるかなど、様々な視点で考えることができたので、とても良い勉強になりました。
授業が終わった後に、女の子の2人組が「いつもの授業よりは面白かった」と話しているのが聞こえて、それが個人的にとても嬉しかったです。少しでも興味をもって今後の人生に役に立ってくれたらいいなと思いました。今回は小さい教室で少人数であり、高校生もフレンドリーであったため、交流しながら性について学んでもらえたのが自分もみんなも楽しめた理由なんじゃないかなと思いました。
看護を学ぶ私たちにとっても、「伝えるとは何か」を深く考える貴重な機会となりました。
今後も学生による性教育プロジェクトを継続し、対話と実践を通じて大学生が中学生や高校生に伝え世代をつなぎ、育む活動として続けていけたらいいなと思いました。
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