2023.07.22 

ベトナムにおけるリハビリテーション人材育成プログラム導入に関するJICAプロジェクトに本学客員研究員が参加! 〜大学院健康科学研究科 地域リハビリテーション研究室

畿央大学大学院地域リハビリテーション研究室から私、仲村渠 亮(淀川キリスト教病院リハビリテーション課、畿央大学健康科学研究科健康科学専攻修士課程修了)がウェルグループにより採択されたJICAプロジェクト「ベトナム国リハビリテーション人材育成プログラム導入に関する案件化調査」の一員として現地での調査活動に参加してきました。

 

ベトナム社会主義共和国は高齢化が急激に進んでおり、日本と同じ状況になりつつある国です。しかし、国民約1万人に対して理学療法士が700人程度しかおらず、必要不可欠なリハビリテーションが提供できていない現状にあります。これに対して、リハビリテーション専門職の育成プログラム導入に向けた現地調査に参加してきました。

 

▲チャビン大学リハビリテーション学部(左から4人目が私)

 

▲Help Age International(ベトナム地域高齢者支援団体)

 

5日間で10施設の病院やリハビリテーション支援団体、大学を訪問しました。ベトナム戦争の影響もあり北部と南部では思想や取り組みが異なっており、リハビリテーションにおいても統一化されていない状況でした。

北部はリハビリテーション専門職の不足を介護士と看護師に短期プログラムを受講してもらい「リハビリテーション技術者」として患者のリハビリを実施していました。南部は大学教育が概ね確立されており、国家資格ではありませんが国から認められたリハビリテーション専門職(日本での理学療法士)として急性期病院及びリハビリテーション病院に従事していました。作業療法士や言語聴覚士の分野の必要性を考える医療者も多いですが、理学療法士がそれらを包括的に実施している状況です。

大学ではリハビリテーションや医療の基本知識は学ばれていますが、保険制度や国民の認知・古典的治療の需要が多い現状からADL(基本的動作能力)の改善に向けたリハビリテーションは実施できていない状況がありました。

 

▲チョウライ病院(国内で1番有名な公立病院)

 

日本で実施されているような入院患者への看護は文化的及び人材不足から実施されておらず、家族が泊まり込みで患者の世話をしていました。リハビリテーションだけでなく、日本の看護技術や寄り添う姿勢のレベルの高さを改めて感じることができました

 

▲ホン デュック病院

 

国ごとの文化や考えにより医療のあり方にも多様性があり、どれが正しいかの判断は難しく感じ、また今回、地域間格差という日本国内でも注目されている問題を海外で強く認識する機会となりました。私も学生時代から現在まで地域貢献活動を実施してきましたが、国際的な支援に関わるとは初めてでした。急性期病院で働く意義や楽しさを日々の臨床で感じつつも、地域や国際支援に携われる畿央大学での繋がりを大切にしたいと改めて感じる機会となりました。

地域や国際協力に興味がある学生さんはTASK(健康支援学生チーム)や地域リハビリテーション研究室に参加してもらえると嬉しいです!

 

畿央大学大学院 地域リハビリテーション研究室 客員研究員
淀川キリスト教病院 リハビリテーション課
仲村渠 亮

 

 

畿央大学 地域リハビリテーション研究室HP

 

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