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理学療法学科

2014.09.16

第19回日本ペインリハビリテーション学会学術大会を開催しました。

平成26年9月6日(土)・7日(日)、大阪産業創造館にて第19回日本ペインリハビリテーション学会学術大会を開催いたしました。 今大会は大会長を森岡周先生(畿央大学大学院健康科学研究科主任・教授)が務められました。また事務局長を前岡浩先生(畿央大学健康科学部理学療法学科助教)が、学術局長を大住倫弘先生(畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター特任助教)が、総務局長を今井亮太先生(畿央大学大学院健康科学研究科)が務められ、準備委員長を私、信迫悟志(畿央大学大学院健康科学研究科客員講師)が務めました。 そして本学大学院神経リハビリテーション学研究室の多くの院生と本学健康科学部理学療法学科の学部生にご協力頂きました。   結果的には、参加者数280名となり、19回の本学会学術大会の歴史上、最多の動員数となりました。 これもひとえに、本学に関わる皆様の優れた社会的業績とそのご協力の賜物と、深く感謝しております。この場をお借りして、ご協力下さった皆様、そしてご参集頂いた皆様に感謝申し上げます。ありがとうございました。     また内容としましても、今大会はテーマに「痛みに対するニューロリハビリテーションの確立」を掲げ、本学が推し進めているニューロリハビリテーションと本学会が綿々と積み上げてきたペインリハビリテーションとの癒合が図られた斬新かつ画期的なものとなりました。     森岡周教授による大会長基調講演では、痛みの慢性化における脳神経の構造的・機能的・化学的変化について、痛みの情動的側面と認知的側面に整理してご解説頂き、タイトル通り「疼痛に対するニューロリハビリテーションの確立に向けて」必要な情報提供をおこなって頂きました。   また今大会では、我が国において先駆けとなって痛みに対する集学的アプローチを導入された愛知医科大学より2名の先生に特別講演をお願いしました。 池本竜則先生(愛知医科大学運動療育センター)には特別講演Ⅰ「疼痛に対するリハビリテーションにおける脳機能の重要性」と題し、先生が行われてきた研究成果をご講演頂きました。fMRIを用いた痛みの可視化研究において、主観的な痛みを客観的な神経活動として捉えきれない一方で、疼痛患者さんが抱える認知変容の仕組みと、その認知を改善する取り組みの効果について、情熱的な語り口でご講演頂きました。先生は私のひとつ年上ですが、NPO法人いたみ医学研究情報センターの設立という積極的な社会的貢献も行っておられ、大変感銘を受けました。     特別講演Ⅱでは「脳と心からみた痛みの慢性化」と題して、西原真理先生(愛知医科大学学際的痛みセンター)にご講演頂きました。西原先生は精神科医という立場から、目に見える脳機能と目に見えない精神機能との関係性という観点から、痛みの慢性化に関わる様々な因子について、実際の症例報告も交えながら、ご講演頂きました。何か一つの側面に痛みの原因を求めるのは間違いであり、そのため多面的な評価が必要であるということ、そして痛みの治療は、医療従事者と患者との関係性から始まる(丸田俊彦先生のお言葉からの引用)という部分が非常に印象的でした。如何なる治療手段を選択したとしても、医療従事者側の表情・言葉がけ・態度が重要であることを改めて気付かされました。     昨年に引き続き、2つの教育講演も企画し、今大会では本学の前岡浩先生に教育講演Ⅰ「痛みの中枢機構(脊髄-脳)」と題して、痛みに関わる上行路および下行路、脳領域について基本的知見を概説頂きました。また城由起子先生(名古屋学院大学)には教育講演Ⅱ「痛みの多面的評価」と題して、痛みの感覚的・身体的因子のみならず、情動的・認知的・社会的因子についての評価手法と、それぞれの問題に対応したリハビリテーションアプローチを選択する実際についてご講義頂きました。   一般演題は、ケースディスカッション、リカレントセッションを含めて過去最多の39演題の発表が行われました。 内容は基礎から臨床まで多岐にわたるものでしたが、その中で最優秀演題として平賀勇貴先生(福岡リハビリテーション病院)の「人工膝関節置換術患者の術前、術後教育による破局的思考への効果」が選ばれました。本研究はビデオ視聴による術前・術後教育が破局的思考を低下させ、精神的健康を向上させることを明らかにしており、新規性に富み、なおかつ一般化可能な優れた研究でありました。     また優秀演題には井上雅之先生(愛知医科大学運動療育センター)の「難治性の慢性痛患者に対する認知行動療法に基づく学際的グループプログラムの有効性について」と石井瞬先生(長崎大学病院)の「保存的治療が適応となるがん患者に対する低強度の運動は身体活動量を向上させ、身体症状の改善やQOLの向上をもたらす」の2演題が選ばれました。 いずれも臨床研究であり、科学的信頼性の高い優れた研究でした。日本ペインリハビリテーション学会は今後、法人化、国会への提言、診療報酬へと進めていく予定となっていますが、その上でこの学術大会の一般演題はその学術力を担うことになります。今後の益々の発展が祈念されると同時に、自らも貢献すると心に誓いました。     今大会のフィナーレとして、「慢性疼痛に対するニューロリハビリテーション」と題したシンポジウムを開催し、本学の大住倫弘先生に加え、佐藤健治先生(岡山大学病院麻酔科蘇生科・ペインセンター)と河島則天先生(国立障害者リハビリテーションセンター研究所・本学ニューロリハビリテーション研究センター客員教授)にご登壇頂き、話題提供をして頂きました。     大住先生からは、CRPS症例を通じて、身体イメージという主観的現象を二点識別知覚、身体部位のポインティング、言語記述、描画、body perception scale、動作分析など様々な評価を屈指して理解し、その評価に基づいて適切なニューロリハビリテーション介入を選択していく手続きについてご報告頂きました。 佐藤先生からは、岡山大学病院で実践されている幻肢痛やCRPSに対するヴァーチャルリアリティ鏡治療についてご紹介頂きました。現在は簡便かつ継続意欲を高め、慢性疼痛を持つ患者さんであれば、誰でも、どこでも治療できるようにとの意図で、家庭版システムの開発にも着手されていることもご報告頂きました。 そして河島先生からは痛みという主観的体験を客観的に捉えるための新たな2つの方法と義肢やミラーセラピーによる具体的アプローチについてご報告頂きました。 とりわけ、研究の2つの指針、普遍的特性の探究とケーススタディの重要性についてのお話は、臨床しながら研究活動も行っている本学の多くの院生にとっても、私にとっても大きな方向性を与えられたと思います。しかしながら、いずれのご講演においても共通していたのは、運動・視覚・体性感覚の時間的・空間的一致性が「私の身体が私の身体である所以」であり、その身体性を取り戻すことが、痛みに対するニューロリハビリテーションの治療戦略であるということでした。 こうして考えると、身体性に関する研究は、慢性疼痛のみならず、脳卒中後の運動障害、そして病態失認・身体失認・半側空間無視などの高次脳機能障害の病態解明や治療開発にも繋がる深遠なテーマということができます。このシンポジウムでは、その重要性が明確になったものと思われます。     いずれにしましても、本学術大会は、ニューロリハビリテーションとペインリハビリテーションの癒合が行われた記念的大会となりました。 その大会に準備委員長として関われたことは、今後の私にとっての大きな糧になったと思います。 そしてこの学術大会の動員的成功は、関係諸氏から畿央大学大学院神経リハビリテーション学研究室と畿央大学ニューロリハビリテーション研究センターが非常に注目されている証となりました。この期待に応えるべく、畿央大学大学院神経リハビリテーション学研究室と畿央大学ニューロリハビリテーション研究センターは、その歩みを加速していきます。研究室および研究センターの皆さん、痛みに関わらずニューロリハビリテーションの発展・進歩に益々貢献していきましょう。 そして、痛みに携わる多くのセラピストの皆様、セラピストが直接的に貢献できること、セラピストに求められる内容も増え、基礎的にも臨床的にもペインリハビリテーションは確実に進歩しています。     次回、第20回日本ペインリハビリテーション学会学術大会は我が国における痛みに対する集学的アプローチ発祥の地・名古屋(大会長:名古屋学院大学 肥田朋子教授)にて開催される予定です。これから1年間のそれぞれの成果を持ち寄り、議論し、次の時代のペインリハビリテーションを共に創っていく機会にしましょう。 再三になりますが、本学術大会の準備・運営にご協力いただいた関係諸氏、参加していただいた皆様、協賛していただいた企業の皆様に深謝いたします。ありがとうございました。   畿央大学大学院健康科学研究科 客員講師 信迫悟志

2014.09.16

畿央大学付属幼稚園の教育講演会「園児の脳と体の発達」が行われました。

冬木学園では同一法人内の学校間の連携事業に取り組んでいます。その一つとして、9月13日(土)の畿央大学付属幼稚園の家族参観日において、畿央大学健康科学部理学療法学科の福本貴彦先生の教育講演会「園児の脳と体の発達」が行われました。     講演の中では、最初に脳の発達についてのお話をされ、子どもと大人の脳の重さはほとんど変わらないということや、脳トレによって脳の運動野を発達させることが出来るということを話されました。そして実際にトレーニングにも挑戦しました。また、足の指の握力を鍛えることは運動機能の向上と関係があり、足の握力を強化する運動方法についてもお話しされました。子どもだけでなく、参加されている保護者や祖父母の方々ご自身の足の握力を強化することの重要性をお話しされると、みなさんメモを取りながら熱心に聞き入っておられました。     保護者からは次のようなコメントが寄せられました。   「幼児期から筋力をつけることで、年を重ねても筋力の減退を防げることがよくわかりました」 「子供と一緒に運動を頑張ります」 「幼児期からの姿勢の重要性がよくわかりました。家でも姿勢に気をつけます」   付属幼稚園では畿央大学教育学部生の見学実習やボランティア活動も頻繁に行われていますが、これからも大学と付属幼稚園の連携事業をより進めていく計画です。

2014.09.12

広陵町連携 高齢者健康サポート体操教室(仮称)を実施しています。

広陵町さわやかホールに高齢者のみなさんの「輪」ができています!     広陵町は子どもから高齢者まですべての年代をカバーし、町民の健康と福祉の充実を図るため「総合保健福祉会館さわやかホール」(広陵町笠161番地2、4階建て)という総合施設を運営しています。この建物には、広陵町子ども支援課、保健センター、地域包括支援センター、社会福祉協議会、介護保険事業所、デイサービスセンターなどが1箇所に集約され、総合サービスの拠点になっています。     2014(平成26)年9月11日、3階の老人福祉センター生活相談室のスペースを利用して、畿央大学理学療法学科高取克彦准教授と協力学生による「高齢者健康サポート体操教室」(仮称)が開かれました。この3階部分には、大浴場、大広間、視聴覚室、教養娯楽室、機能訓練室などが完備され、公共施設とは思えないほど機能が充実しており、毎日各大字ごとの順番で多くの高齢者のみなさんが利用されています。この日も約30人の同センター利用者があり、体操教室には10時から約30分間、26名の方々が受講されました。     椅子に座ったままで出来る簡単なストレッチ体操やゲーム感覚の運動が主体で、来場者のみなさんの親睦を深めたり、ただ単にカラオケしてお風呂に入り飲食するだけでなく若い大学生と交流する癒やしの場にもなっています。広陵町内の全戸無線で呼びかけをしていただいたせいか、毎回30名前後の方にお越しいただいており会場が狭いと感じるほどです。     この日は高取先生と畿央大学健康サポートチームTASK(健康支援学生チーム)メンバー6名で行いましたが、ストレッチ体操やゲームの組立はTASKが考えた学生主体のメニューです。運動だけでなくリーダーと全員の「負けジャンケン」やグーパーストレッチなど脳活性化体操も取り入れており、みなさんの笑いを誘っていました。     この取り組みは、広陵町地域包括支援センターと畿央大学の連携で、お年寄りの方々の介護予防、認知症予防の簡単な体操を広めようと企画されたものです。授業に影響しない学生の夏休みを利用し、またTASKの自主性と主体性を高める学びの対外的な活動として評価できるものと思っています。

2014.09.01

畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター社会神経科学部門の合同研究会

2014年8月26日(火)、27日(水)に、畿央大学ニューロリハビリテーション研究センターにおいて、明治大学の嶋田総太郎先生、筑波大学の川崎貴弘先生、そして、それぞれの研究室の大学院生、学部生の方をお招きし、畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター社会神経科学部門の合同研究会が開催されました。   合同研究会は、2日間にわたり行われ、意見交換や情報提供をする中で、新たな研究の発想を得ることができた有意義な時間となりました。   嶋田先生からは、「自己身体認識の脳メカニズム」というテーマで話題提供していただきました。自己身体の認知機能のメカニズムから、人間が他者をどう理解しているのかなどについて、自身の研究成果を通してご紹介いただきました。工学系の要素も含まれた研究内容で、ロボットハンドを使用した錯覚の研究については非常に興味深い内容でした。     川崎先生からは、「2人同時EEG計測によるコミュニケーション研究」というテーマで発表していただきました。先生には、テーマの内容に限らず、ご自身の携わっていらっしゃる多くの脳研究についてご紹介をしていただきました。様々な脳イメージング技術に造詣が深く、また研究の内容はどれも興味深く、臨床においても応用が可能なものが多く含まれていました。     お二人の先生ともに、社会に貢献できる技術としての視点をお持ちで、今後、私たちセラピストがこれらの知見を臨床上で応用し、社会に還元し、その結果を研究者にフィードバックしていく循環を作っていくことが重要であると感じました。 各研究室の院生、学部生からも研究発表を行っていただきました。普段は医療的な視点が多くなりがちであるため、工学系など医療とは異なる分野からの視点は非常に興味深く、私たちに足りない面を教えていただく良い機会となりました。     本学からは、前岡助教をはじめ、社会神経科学部門の院生(D3:大住、M2:大門、M2:保屋野)も発表させていただき、嶋田先生、川崎先生はじめ、各研究室の院生、学部生の方々から有意義なご意見をいただくことができました。     研究会1日目終了後に、懇親会でも研究の内容をはじめ様々なお話をさせていただき、時間がいくらあっても話す内容が尽きないという、非常に充実したものとなりました。 2日間の合同研究会を通して、多くの新たな知見、視点をいただくことができ、今後の研究に向けてモチベーションを高める良い機会となったと思います。脳科学は、医療的な視点も必要であるとは思いますが、それだけでは不十分で様々な分野の視点がそれぞれの方向性からアプローチし、それが融合することにより大きな知見を得ることが可能になると思います。異なる視点に触れることにより、物事を捉える新たな角度の視点を得ることができ、それにより自分が多少なりとも研究者として人間として成長してくことができるのではないかと感じています。   最後になりましたが、ご多忙にも関わらず、遠方から残暑厳しい奈良までお越しいただいた嶋田先生、川崎先生、各研究室の院生、学部生の皆様、このような機会を与えてくださった森岡教授、コーディネーターとしてご苦労をいただいた大住特任助教に深謝申し上げます。 畿央大学大学院 健康科学研究科 神経リハビリテーション学研究室 修士課程2年 保屋野健悟

2014.08.28

「第1回身体運動制御に関する研究交流会」を開催!

2014年8月22日(金)、畿央大学ニューロリハビリテーション研究センターにて、県立広島大学の島谷康司先生、横浜国立大学の島圭介先生をお招き致しまして、「第1回身体運動制御に関する研究交流会」を開催しました。   研究交流会は、終始活発な意見交換ができ、今後の研究について非常に有意義で発展的な時間となりました。     島谷先生からは、臨床観察における風船把持が乳児の歩行に与える影響について、ご自身のお子様の動画映像を用いながら、非常に興味深い研究紹介をしていただきました。また、島先生からは生体信号を利用したマン・マシンインタフェースや診断支援システムについて、最先端の工学技術と解析方法を交えながら研究紹介をしていただきました。どちらの先生も、臨床応用を目標とされており、研究が臨床に繋がる非常に発展的な研究紹介でした。     本学からも、岡田助教をはじめ、私を含めた身体運動制御学部門の院生 (D3:植田、M2:石垣、M2:脇、M2:菅沼) の現在進行中の研究について発表させていただきました。先生方は、各発表に対して解析方法や研究手法について適切なアドバイスを下さり、大変勉強になりました。 交流会終了後の懇親会においても、先生方と今後の研究についての前向きな意見交換ができました。 今回、研究交流会を通じてお互いに共通意識を持って領域や専門職にとらわれず意見交流することで、創発特性が生まれ、より良い社会的意義のある研究になっていく雰囲気を体感することができました。また、このような素晴らしい環境に身を置いて勉学に励むことができる本学大学院の有り難さを痛感しています。 今後は、この研究交流会に留まらず定期的な合同ミーティングや共同研究についても予定があります。今後も畿央大学ニューロリハビリテーション研究センターの身体運動制御部門のさらなる発展を願い、研究活動に取り組んでいきたいと思います。 最後になりますが、ご多忙にも関わらず遠方からお越しいただき御指導いただきました島谷先生、島先生、このような機会を作って下さった本学大学院の森岡教授、コーディネーターの石垣さんに感謝し、締めの言葉とさせていただきます。     畿央大学大学院 健康科学研究科 神経リハビリテーション学研究室 修士課程2年 菅沼 惇一

2014.08.09

運動器リハビリテーションセミナー(応用編)を開催しました!

平成24年度からスタートした「畿央大学運動器リハビリテーションセミナー」、今年度セミナーの第二回目となる【応用編】は、平成26年8月3日(日)に開催されました。 去年・一昨年と同様に今年も全国各地からご参加を頂きました。     「応用編」では基礎知識をもとに運動療法に活かすといった内容が中心でした。 私は「ROMエクササイズの基礎と最新知見」の分野を、臨床的な視点からお話しさせて頂きました。 前回のセミナーを受講していただいた方も多く、出来るだけ多くの新しい知見を持ち帰れるよう、お話させて頂きました。聴講して頂きました方々の臨床に少しでも役立てればと思っております。     他のテーマとしては、ジョイントキネマの基礎と最新知見、筋力強化の基礎と最新知見、関節モビライゼーションの基礎と最新知見などを、テーマに取り上げ、開催いたしました。     今年度も本セミナーは10月に臨床編、来年2月に実践編を開催する予定となっております。 皆様の受講を心よりお待ち申し上げております。 これからも参加者の方々の反応やご意見も参考にしながら、さらに充実したセミナーにしていきたいと思います。   畿央大学 健康科学研究科(修士課程)修了生 奈良県総合リハビリテーションセンター 幸田 仁志

2014.07.29

健康科学部「ベーシックセミナー」の全体発表会を開催!

7月21日(月)と7月24日(木)に健康科学部ベーシックセミナーの全体発表会が開催されました。 ベーシックセミナーは大学に入学したばかりの1回生を対象とする必修科目です。 この授業のねらいは、高校までの受け身的な学修スタイルを捨て、大学で必要な主体的・能動的な学修スタイルを身につけてもらう点にあります。 ベーシックセミナーでは4学科混成で10名程度の少人数クラス(ゼミ)を編成します。 原則として健康科学部の1回生全員が受講するので、ゼミの数は全体で30にもなります。 各ゼミでは学生が主体的に研究テーマを設定し、担当の先生のアドバイスを受けつつそれぞれの研究テーマについて情報収集や調査、議論を進めていきます。 こうした作業の中で学生は情報収集の方法や議論の仕方といったスキルだけでなく、チームワークの取り方を(その難しさを含めて)学んでいくことになります。   こうして各ゼミで約3ヶ月間にわたる学生主体の学修活動がおこなわれるわけですが、その成果を発表するのが今回おこなわれた全体発表会です。     全体発表会では各教室に7~8つのゼミが集合しますので、ゼミ担当の教員を含めれば実に80~90人近くが一堂に会することになります。これだけ大勢の人たちが見ている前で自分たちのテーマについて発表するのはとても緊張を強いられることですが、どのゼミも日頃の成果を示すべく堂々と発表してくれていました。   全体発表会の翌週はいよいよ最終授業になります。全体発表会を含めベーシックセミナーを通じて得られた成果や課題について振り返り、今後の大学での学びに活かして欲しいと思います。   最後に、普段のゼミの様子と全体発表会の様子について学生がレポートしてくれましたので紹介しておきます。     【参加した学生の声】 ベーシックセミナーを通して、最初の授業は自己紹介から始まりました。定番といったらそうかもしれませんが、ゼミの自己紹介はペア紹介という、自分ではなくペアになった子を紹介するといったものでした。普段の自己紹介とは全く異なっていたので私の中にも印象深く残っています。 その後は前期最後に行われるゼミ全体発表会に向けてそれぞれ個人でテーマを決め、その後3つのテーマに絞り、最終的に1つのテーマについてゼミ全体で話し合っていくというものでした。その間にレポートを書いたり、ディベートを行ったり、発表もパワーポイントがほとんどで、慣れない作業に戸惑いながらもゼミが11人という少人数制ということもあり、リラックスして行うことが出来ました。 ゼミはいろんな授業がある中で最も多学科の学生達と交流できる場でもあり、友達の輪を広げる良い機会にもなります。話し合いをしていくたびに仲良くなっていったので、授業はとても楽しかったです。ゼミ最高! (健康科学部 看護医療学科1回生 三谷 紗彩)   7月24日(木)、毎週木曜日の1限目にあるベーシックセミナー(ゼミ)による全体発表がありました。全体といっても7つのゼミがP202教室に集まっての発表でした。各ゼミが今まで調べてきたテーマについて熱弁していました。 発表の内容については、大学内や外部でアンケートを取ったり、あらかじめ動画を挿入しておいてそれを見せたりとユニークでかつ個性的な内容で、各ゼミが努力して資料を集めたりパワーポイントを編集したり、と、頑張ってきたという感じが伝わってきました。 全体としてはすごく良い雰囲気で、発表を聞く側の人たちもそれぞれのゼミの発表内容に興味をもち、真剣に聞いていました。 発表が終わると、活発な質疑応答が始まり、発表された内容以外にも質問者が気になる詳しい内容を聞きだせる事ができて、更に発表されたテーマの内容を知ることができました。 今回の発表を通じて多くの知識を得ることができました。 (健康科学部 理学療法学科1回生 三澤 銀次郎)

2014.07.15

Kio元気塾 前期クールが終了!!~理学療法学科~

4月から始まったKio元気塾の前期クールが終了しました!   「Kio元気塾」とは、近隣の病院を退院された方々に対し、本学理学療法学科と健康栄養学科の教員と学生が共同で運動と栄養指導することにより、心身機能や活動レベルの向上を目的とした取り組みです。学生にとっては参加されている方々の障がいを評価し治療するという模擬実習を経験できる貴重な機会です。     今回は理学療法学科3回生約60名が参加者の方々の評価と治療を経験させていただきました。 学生たちは座学で学んできたことを実際に当てはめていきましたが、初めての経験で右も左もわからないまま、まだ学んでいなこともあったりと、いろいろつまづくこともありました。それでも、自分たちのできる精一杯の努力を尽くしてくれました。 先日、その努力を学生同士そして教員で共有するため、まとめとしての「症例発表」を行いました。当然、症例発表も初めてのため、「ぎこちなさ」や「たどたどしさ」はありましたが、自分たちが評価したこと、考えたことを発表してくれました。学生同士での質疑応答も活発となり、症例発表は3時間も続きました…。     学生たちは初めての評価を悩みながら進んできたと思います。 そして自身の成長を感じると同時に、出来なかったこと、反省点もいっぱい感じているはずです。 それでも、参加者の方々からは元気塾最後の日に「ありがとう」という言葉を頂きました。おそらく、出来なかったこと以上に、学生たちの「一生懸命な努力」が伝わった「あかし」だと思います。 この4ヶ月、日々の授業での勉強をしながら、このKio元気塾でも学び続けてきた学生には頭が下がります。 これからの勉強も、今回の反省を踏まえて一生懸命頑張ってもらえればと思います。   最後に、まだまだ未熟な学生たちにこのような機会を与えて頂いた参加者のみなさまに本当に感謝しています。 我々教員も、参加して頂ける方々がますます元気になるように、そして学生が理学療法士として成長できるようこれからも一生懸命取り組んでいきたいと思います。   このKio元気塾は、スタートして5年以上が経ちます。個人的に、毎回、元気塾の最終日が大好きです。 参加者の方々も元気になろうと一生懸命参加して、学生たちも「自分たちのできるだけのことを」と一生懸命努力してくれます。 そんな最終日、参加者と学生全員のお話が名残惜しいのか、いつまでも終わりません。 お互いの「想い」が繋がって、溢れてくるのでしょうね。ほんと、人間って素晴らしい!!     理学療法学科 准教授 冷水 誠  

2014.07.11

大学院生の国際学会への参加レポート!

2014年6月29日~7月3日にカナダのバンクーバーで開催されたThe 2014 International Society for Posture & Gait Research World Congress(国際姿勢と歩行学会)にて、森岡研究室の大学院生3名(修士課程2名、博士課程1名)が参加・発表をさせて頂きました。 現地のバンクーバーまでは関西国際空港から羽田を経由し、移動に14時間程度かかりましたが、バンクーバーは日本よりも少し気温・湿度ともに低く、非常に過ごしやすい気候でした。また、何よりも景色が特徴的で、都市部の高層ビルと山や海辺の自然が綺麗に融合しており、非常に感銘を受けました。     このような美しい場所で開催された「国際姿勢と歩行学会」は、名前の通り姿勢やバランス、歩行の研究を専門とする世界各国の研究者が一堂に会する学会です。今回の学会には世界27ヵ国から503名が参加し、日本からは35名が参加していました。その中でも、本学会はリハビリテーションの対象となる歩行や姿勢に関するものであるため、日本に限らず多くの理学療法士が参加し、研究と臨床の双方において積極的な意見交換がなされていました。学会で扱われていたテーマは、生体力学から脳科学、そして整形疾患から神経疾患までと広く、ヒトの運動に関する研究発表やシンポジウム、講演があり、どれも最新の知見を示すものであり非常に勉強になりました。特に今回の学会では前庭感覚(耳の中にある三半規管という体の傾きを感知する器官により生じる感覚)に関する報告が多くありました。日本でもこの前庭感覚を利用したリハビリテーションに関する研究は行われておりますが、その最新の研究成果を知れたことは非常に貴重で、自身らの今後の研究や臨床に対して示唆に富むものばかりでした。 私たちがこの学会に参加した目的は、自身の大学院における研究結果をポスター発表するためです。 博士課程3年の植田耕造は「Influence of cognitive demand on center-of-pressure sway and coactivation of ankle muscles during quiet standing in individuals with stroke」の演題名にて、脳卒中後遺症患者における認知負荷が立位バランスに及ぼす影響について検討したものを発表しました。     修士課程2年の石垣智也は「Influence of different standing conditions on Light Touch effect which focus on the relation between subjective attention strength」の演題名にて、ヒトの立位バランスにおける注意の影響について検討したものを発表しました。     修士課程2年の菅沼淳一は「Influence of visual target distance on body sway and muscular coactivation at the ankle joint under conditions of fear」の演題名にて、恐怖心の生じる立位バランス条件における視覚情報による影響について検討したものを発表しました。     どの発表も世界各国の研究者と積極的な意見交換をすることができ、今後の課題や新たな仮説を得ることができました。学会発表の目的は、単に研究結果を発表することではなく、発表をすることで他の研究者からの意見をもらい、更により良い研究活動につなげるためです。もちろん、日本国内での学会発表でも同様に意見交換をすることが出来ますが、広く自身の研究結果を問い、それが世界基準でどのような立ち位置にあるのか、改善すべき点は何なのかということを知れることは、国際学会における発表のメリットです。また、学会の雰囲気として非常に意見交換が活発であり、私たちが行ったポスター発表も2時間の発表時間の間ずっと質問や意見交換が行われました。このような活発な意見交換は海外の学会特有のものであり、少し控えめな国内の学会(文化的な影響かも知れませんが)においても、このような前向きな態度や雰囲気は学ばなければいけない点であると実感しました。     国際学会は知らない海外に行くことや、英語での発表や意見交換など、緊張するとともに非常に新鮮な経験で、学会期間全てを通して充実した日々を過ごすことができました。このような貴重な経験ができたのは、畿央大学の研究活動に対する手厚い支援と、森岡教授をはじめとする多くの方々のご指導や、ご協力があってのものです。このような環境で学ばせて頂いていること、心より感謝申し上げます。そして、この経験を糧に、より良き研究成果を公のものにできるように、日々の研究に励んでいきたいと思います。     畿央大学大学院 健康科学研究科 神経リハビリテーション学 修士課程2年 石垣智也 (理学療法学科4期生)

2014.07.10

宇陀市連携「子ども元気体操づくり・子ども体力測定」プロジェクト、進行中!

畿央生が中心となり、体操の動作や音楽づくりが本格化しています!   2014(平成26)年6月に宇陀市と包括連携協定を締結した畿央大学では、健幸都市「ウェルネスシティ宇陀市」構想の具体策を実施するため、『子ども元気体操づくり・子ども体力測定』に取り組んでいます。   5月24日(土)宇陀市最大の約180名規模の幼保児童を擁する大宇陀幼児園で、隣接する交流ドーム体育館内で25m走・テニスボール投げ・足指握力等の測定を行いました。当日は保護者参観日とし保護者に対して、畿央大学の理学療法学科福本貴彦先生、健康栄養学科柴田満先生による講演会も実施しました。子どもたちは宇陀市内のあちこちから送迎バスに乗って通園しており、また普段から保護者の車に乗っての生活習慣になっているようで、足腰の弱さが体力測定結果に出ています。 この測定結果を踏まえて、体力向上に有効な「幼児向け体操」および体操の「音楽」づくりに取り掛かっているところです。     2014(平成26)年7月8日(火)小体育館に、現代教育学科辰巳智則先生、理学療法学科福本貴彦先生、音楽の非常勤講師吉田はるみ先生、教育学部生4名が集まって体操と音楽のラフイメージづくりを行いました。 ホワイトボードに各自が思いついたダンスアイデアと楽曲の骨組みを記録していきます。このダンス・音楽部会は学生7~8名の構成とし、この日は2回目の集まりで4名が参加しました。小さなパーツをいくつか作って組み合わせて、子どもたちと保護者らが無理なく楽しく繰り返し踊れるダンス体操づくりをめざします。     辰巳先生からは幼児体操の特性について話して頂き、学生たちは思いつきを次々に書きとめ体操の動作として表現してみます。その一部始終をビデオ録画や写真に収めて、次回の打合せに活かしていくことにしています。   【関連記事】 2014年5月24日 宇陀市連携「子ども元気体操づくり・子ども体力測定」 TASK(健康支援学生チーム)活動レポート vol.2 ~幼児園での体力測定に協力!