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看護医療学科

2021.08.16

産婦人科医に学ぶ!会陰縫合理論と縫合技術~助産学専攻科「助産診断技術学Ⅱ」

令和3年7月28日(水)に「助産診断技術学Ⅱ」の科目で、健康科学部長で産婦人科医師である植田政嗣先生に、会陰縫合理論と縫合技術について教えていただきました。     講義では、会陰裂傷の原因や処置、会陰切開の適応、会陰縫合の実際についてスライドやビデオを用いて教えていただきました。ビデオでは、会陰切開・縫合を受けたお母さんの体験談もありました。会陰切開や会陰縫合は、お母さんと赤ちゃんの安全のために行われることがあります。しかし、お母さんにとっては、大きな痛みや怖さを伴うものであり、傷は治っても記憶として残り続けてしまうことがあると改めて学びました。実際に処置を行うのは医師ですが、助産師も処置の実際について理解しておくことでお母さんに寄り添うことができるのだと学びました。     演習では、実際に会陰縫合で使用する縫合糸と針を用いて、糸結びの方法を教えていただきました。はじめは見様見真似でしたが、分からないところは植田先生が丁寧に教えてくださり、学生同士でも協力しあいながら演習に取り組みました。また、会陰縫合で使用する持針器の扱い方についても学び、糸の結び方を習得することができました。 そして、最後に一人ずつ会陰裂傷モデルで会陰縫合の練習をしました。     今回の講義や演習を通して、会陰裂傷や会陰切開、会陰縫合の負担の大きさを改めて感じました。 会陰裂傷を起こしてしまうと、会陰切開時に比べて縫合に時間がかかり、お母さんにとってより大きな負担となってしまいます。そのため、助産師には、できるだけ会陰裂傷を起こさないように努める役割があると実感し、責任の重さを学ぶことができました。     助産学専攻科 中田萌香 山下華奈   【関連記事】 熟練助産師から学ぶ分娩介助の応用「会陰保護技術と肩甲難産の分娩介助方法」~助産学専攻科 「分娩異常時の助産診断の実際(母体急変時の初期対応)」~助産学専攻科「生命倫理」 マタニティヨガ・ベビーマッサージの特別演習~助産学専攻科 児童養護施設「飛鳥学院」を見学!~助産学専攻科「乳幼児の成長・発達」 熟練助産師に学ぶ!母子のための骨盤ケア!~助産学専攻科「助産診断技術学Ⅰ」 産婦人科医に学ぶ!超音波診断法!~助産学専攻科「助産診断技術学Ⅰ」

2021.08.16

熟練助産師から学ぶ分娩介助の応用「会陰保護技術と肩甲難産の分娩介助方法」~助産学専攻科

令和3年7月15日(木)、数多くの分娩介助を経験されておられる助産師の江口美智子先生から「分娩介助の応用」について演習を通して教えて頂きました。     まず、会陰保護技術について教えて頂きました。会陰保護技術とは、分娩時に赤ちゃんの頭や体が会陰(外陰部から肛門の間)を通過する際に会陰の損傷を防ぐ目的で行われるものです。今回は熟練の助産師さんの会陰保護技術における“ワザ”を教えて頂き、演習を行いました。最初は、左右の手の力加減が難しく苦戦しましたが、練習する度に徐々に出来てきました。また、分娩台の高さを調整することも大切であることを学びました。   次に、陣痛の痛みでパニックになる産婦さんや呼吸法が上手くできない産婦さんへの対応について学びました。演習ではパニックになっている産婦さんに対してどの様な声かけをすれば良いのか戸惑いました。産婦さんに力が入り過ぎてしまうと、赤ちゃんが急速に娩出されて危険であり、また会陰裂傷の原因となってしまいます。手技だけでなく産婦さんへの声かけも意識することの重要性を学びました。 また、分娩中にパニックを起こさないよう妊娠中から呼吸法などを練習し、陣痛や出産に対する母親の不安を軽減させていくことが必要であると学びました。   最後に、肩甲難産における対処法について教えていただきました。肩甲難産は、赤ちゃんの頭が娩出された後、肩が出るのが困難な状態のことで、母子の命に関わる危険性もあります。今回はこの肩甲難産への対処法であるHELPERR(ヘルパーアール)について教えて頂きました。赤ちゃんやお母さんの危機が迫る中での人員確保や次々に方法を変えて実施・評価することの難しさを実感しました。     今回の講義を通して、手技はもちろんのこと、声かけなど産婦さんに寄り添うことの大切さを学びました。現在はコロナ禍で母親学級、両親学級など出産前の準備ができず、分娩中にパニックになってしまう産婦さんもおられると聞きました。産婦さんたちが落ち着いて分娩にのぞめるよう、妊娠中から母親に寄り添い、分娩中も声かけなどを意識して取り組むことを大切にしていきたいです。   ご指導いただきました江口先生、木内先生、安栖先生、ありがとうございました。   ※撮影時のみマスクを外しています。   助産学専攻科 木村優見 鶴岡理紗   【関連記事】 「分娩異常時の助産診断の実際(母体急変時の初期対応)」~助産学専攻科「生命倫理」 マタニティヨガ・ベビーマッサージの特別演習~助産学専攻科 児童養護施設「飛鳥学院」を見学!~助産学専攻科「乳幼児の成長・発達」 熟練助産師に学ぶ!母子のための骨盤ケア!~助産学専攻科「助産診断技術学Ⅰ」 産婦人科医に学ぶ!超音波診断法!~助産学専攻科「助産診断技術学Ⅰ」

2021.08.11

4回生から3回生へ、ホスピスケアについて学びの伝達~看護医療学科「終末期ケア論」

「終末期ケア論」は、看護医療学科3回生前期の必修科目として開講しています。この授業では、がんで大切な家族を失った遺族の体験を聴く、がん終末期の対象の療養場所やそれぞれの場でのサポートを考えるなど、看護実践の場で終末期ケアを行う医療人として学びを深めることを目指した授業構成をしています。 その一つに、病院インターンシップ実習をホスピス・緩和ケア病棟で経験した4回生から、3回生に学びの紹介を行うという授業があります。 今回は、授業の様子を4年生の学生がレポートします。   4回生は、6月に2週間の病院インターンシップ実習を経験しています。今回は、COVID-19の影響を受けて、国保中央病院飛鳥で実習予定であった3名は、オンライン中心の実習となりましたが、終末期がんの患者さんとその家族、または遺族のケアについて事例を用いた場面設定を行い、ロールプレイやディスカッションを通して多くの学びを得ました。     ■国保中央病院緩和ケアホーム飛鳥実習生から3回生へ  国保中央病院緩和ケアホーム飛鳥でリモート実習をさせていただいたグループでは、「死のシミュレーション体験」を実施しました。「死のシミュレーション体験」とは、自分の大切なものを事前に14個抽出しておきます。今回は、喉にしこりがあることに気づいた時から受診、治療を行い、死を迎えるまでのストーリーを聴き、大切な局面で大切なものを一つずつ手放しながら、自身の最期を迎える疑似体験をしました。   ▲大切なものを一つずつ悩みながら手放す様子   「死のシミュレーション体験」は、私たちが実習中に、国保中央病院緩和ケアホーム飛鳥の立ち上げ時から、数年間ホスピスで勤務をされた山崎優美代看護師(現:医療法人拓誠会 辻村病院医療介護統括室)からの講義を受けた際に経験させてもらったものです。 自分たちが、この経験で終末期患者さんのつらさに少しは近づくことができたと実感したため、この授業で3回生に紹介しました。3回生が少しでもリアルに体験してくれるよう、ストーリーも自分たちで工夫をして創り上げました。     実施後のグループ討議では、それぞれの3回生の学生がそれぞれの価値観に基づいて、喪失するものを選んだことを話し合ってくれました。このことから、患者さんにもそれぞれの価値観があるということが学べたと思います。また、たくさんの喪失体験をされる終末期の患者さんの大切なものを1つでも多く守ることができるように関わることも看護師としての重要な役割です。 短い時間ではありましたが、3回生の学生の心に何か一つでも学びや気づきがあり、それらを後期から始まる領域別実習に活かしてほしいと思います。また、看護の道をめざす人にとって、少しでも「看護師の在り方」「生と死」について考えるきっかけになれば嬉しいです。   ▲死のシミュレーション体験後に自分たちの思いを語り合う3回生   看護医療学科4回生 小柳明梨・山内蒼生・李美憂   ■市立東大阪医療センター緩和ケア病棟実習生から3回生へ  市立東大阪医療センターの緩和ケアで実習させて頂いたグループでは、一般病棟とは少し違った緩和ケア病棟の構造や特徴、実際に働く師長さんや、リーダー看護師の役割、コロナ禍の緩和ケア病棟、実習を受けての自分たちの看護観などについてお話させて頂きました。     常に患者さんの目標や思いを第1に考えている緩和ケア病棟で、人に寄り添うということの本質を学ばせて頂きました。またコロナウィルスによって患者さんは面会の制限や、季節のイベントの中止などの影響を受けています。このような状況の中で緩和ケア病棟の看護師さんは患者さんへの温かみのある関わりを常に考えられていました。これから領域別実習に臨まれる3回生の皆さんに、私たちが感じた診療の補助や療養の世話だけではない、患者さんに寄り添うという看護師の大切な役割を少しでも伝えることが出来ていれば嬉しいです。私たちも、3回生の皆さんの前でお話することで、これまでの学びをより深めることが出来ました。今後も自身の看護観について深く考えていきたいと思います。   ▲ディスカッションする3回生の学生に質問を投げかける様子    看護医療学科4回生 井藤舞咲・田渕結夏・外園舞   【関連記事】 逝去時の看護を学ぶ-エンゼルケア演習 ~看護医療学科「終末期ケア論」 看取りを体験した遺族に対する看護の課題~看護医療学科「終末期ケア論」

2021.08.03

5カ国を結んで学ぶ!コロナ禍の保健医療福祉の実際と課題~看護医療学科「国際看護論」

令和3年7月30日(金)の第15回「国際看護論」の授業では、ベトナム(ハノイ市)・台湾(雲林県)・韓国(ソウル市)・スウェーデン・オーストラリア(メルボルン)と、日本(奈良:畿央大学)をZoomでつなぎ、国際的な看護の実際を学びました。 各国の看護の本質は日本と同じであるものの、実際の看護の実践の仕方や働く環境は大きく異なることを学びました。   この日は、『現地の看護職の講義を聞き、コロナ禍における先進国と後進国の保健医療福祉 の実際と課題を知る』という目標に基づき、『COVID-19は人々にどのような影響をもたらしたのか』という主題に基づき、5人のゲストスピーカーの方に各テーマに沿って紹介していただきました。   まず、世界の中のわが国(日本)の現状について山崎先生から講義をうけました。   写真:WHO 世界の感染状況より引用   世界では上記の図のような感染状況にあり、日本では2019年2月にロイヤルプリンセス号の発症からスタートしており、現在第5波が到来しています。そこで、さらなる感染予防対策の重要性とワクチン接種の促進を促していますが、なかなか進んでいない現状にあります。 さらに、医療従事者や看護職に対するコロナ差別や行動制限、病院や高齢者ケア施設では面会制限が続き、特に在宅にいる高齢者はステイホームによるサルコペニアやフレイルの進行、認知機能の低下による弊害が懸念されています。反面、看護職の仕事が国内でもクローズアップされて社会的地位を確保することにもつながるのだと思いました。当初の感染経路は国によって異なっていますが、私たち医療者は感染者の方の一日も早い回復を願うことと、医療従事者に対する偏見や差別がなくなる世の中であってほしいと思いました。   そして世界の先進国・後進国はどうなのか、現地で生活する看護職・福祉職の方に現地からの報告を聞きました。   ①ベトナム(ハノイ市) まず、リーティビッチ・ホップ氏から「コロナ禍におけるベトナムの高齢者看護」のプレゼンテーションがありました。 ベトナムでは、海外帰国者による感染拡大から始まりましたが、現在も大半は海外からの持ち込みであり現地の人の感染者数は少ないという報告でした。しかし、新型コロナワクチンの接種率が東南アジアで最も少なく、日本と比べると、高齢者の新型コロナワクチン接種が進んでいない現状があることがわかりました。そのため、現在は1日に5,000人以上もの新規感染者が発生していることから医療崩壊が起こっており、医学生・看護学生・検査学生も応援として現場にかかわっていることを知りました。 日本では学生が実習以外で実際の医療現場に関わることはないため、ベトナムとの違いに驚きました。また、集団接種が行われていますが、37℃という気温が高い中で行っているため、医療従事者の方々は疲弊しているというベトナムの現状を学ぶことができました。 コロナ対策としては、買い物チケットというものがあり、買い物チケットに記載されている日にしか買い物に行くことができなかったり、施設ではこれまで屋内で行われていたレクリエーションは屋外で行われるようになったりと密になるのを避け、人との接触をできるだけ減らすための取り組みがされていることを学びました。   ▲講義の様子(写真上)、ベトナムの買い物チケット(写真中)、ベトナムのナーシングホームでの感染防止(写真下)   ②台湾(雲林県) 次に、陳玲類氏・同時通訳 葛芝岑氏から「コロナ禍における台湾の高齢者看護」のプレゼンテーションがありました。 台湾では、パイロットの感染からはじまり、ホテルなどの観光業者から新型コロナウイルスの感染が急激に拡大しており、働き方の変化や生活習慣の変化が余儀なくされていました。しかし、台湾では、オードリー・タン氏の「高齢者を含めてだれ一人取り残さない社会を創る」ことをフレーズにデジタル化とワクチン接種のシステム化を図った官僚としての働きが世界中からも注目されており、昨年の早期からマスク配付の管理やワクチン接種を遂行されていました。 働き方の変化ではテレワークを中心に行い、仕事全体を減少させるといった取り組みが行われており、生活習慣の変化ではマスクをつける生活が日常的となり、5人以上の集まりを減らす、検温や手洗いをしっかりするなど、台湾の衛生福利部・政府や地域が感染防止に向けて、感染対策に全力で取り組んでいると学ぶことができました。 また、新型コロナウイルスの影響は看護にも大きな影響を与えていました。居宅サービスでは、実際に利用者の家に訪問することが困難であるため、リモートでレクリエーションを実施するための工夫をされていました。レクリエーションで使用する教材は利用者の家にはないため、居宅レクリエーションバックというものを作っていました。これを利用者の家にまで届け、自宅でも楽しんでレクリエーションが実施できる工夫についても学ぶことができました。その他にも居宅サービスでは、生活に関わる支援や生活の豊かさの向上、生活訓練、認知トレーニングにも視点を向けサービスの提供を行うために活動されていました。   ▲講義資料(台湾での生活の変化について)   ③韓国(ソウル市) 次に、ユン・ジェホ氏から「コロナ禍における韓国の保健医療福祉施策」の講義をしていただきました。 新型コロナウイルスの影響は、大邱の教会から感染が始まり教会の礼拝が関与していましたが、日本と感染状況はあまり変わらず、本年度の7月にもまたコロナウイルス感染者が増加してきていることがわかりました。   日本と韓国での医療の違いは、大きく3つある事を知りました。 1.健康保険と老人長期療養保険(介護保険)の保険者は1つである(国民健康保険公団) 2.混合診療可能、韓方医療も給付(行為、薬) 3.病床数が自由、療養病院あり(病院単位)、医療人ではなくても病院の開院が可能   このことから、韓国では“政府が行う給付の管理が激しい”ことや“病院の競争がより激しい”ということがわかりました。日本では、病院や診療所の開院は医師・歯科医師または助産師と限られているので、誰でも開院ができることを知って非常に驚いたと同時に、違いを学ぶことができました。 また、新型コロナウイルスにより、日本と同様に韓国でも生活が変化していたこともわかりました。例えば、出前料理や自宅で料理をすること、会食が減り一人で飲むことが増加していました。韓国での生活の変化は日本と似ていると感じました。 ユン・ジェホ氏の講義で特に印象に残ったことは、アプリケーションの変化でした。韓国では、ワクチンの予約やワクチン証明書、残りのワクチン数の確認などすべてスマートフォンのアプリで行うことができ、ITの活用がとても普及されていると驚きました。しかし、IT活用が増加したことによって、ITをうまく活用できない人も増加しているという課題もあることを学びました。   ▲韓国の感染の特徴(上)と地域別の感染状況(下)   ④スウェーデン 次に、スウェーデン在住の長谷川佑子氏から「スウェーデンの感染防止対策」を講義していただきました。スウェーデンでは、医療はチームワーク・チームケアが重視されています。「アンダーナース」といって患者さんのケアを中心に行う人がおり、看護師の介入が必要でないときはアンダーナース任せることを知りました。 また、看護師はチームのリーダーとしてアンダーナースの指導や教育を担っており、コロナ禍で働くことへの不安が募っているアンダーナースの不安を軽減することも看護師の役割であるため、コロナウイルスで疲弊しているスタッフのマネジメントをすることが大変であったとおっしゃっていました。また、日本では頑張ることが美しいとされていますが、スウェーデンでは頑張ることは患者さんやほかのスタッフのストレスとなるため、「リラックスして仕事をする」ことがベストであり、日本の医療スタイルとの違いを学びました。 現在のスウェーデンでは2回目の新型コロナウイルスのワクチン接種率が約50%と進んでおり、新規感染者も1.2人と少なく7月からはICUもほぼ通常に機能していると学びました。マスクも1割ほどしか着用していないことを知り、日本ではほぼ全員がマスクを着用しているため、スウェーデンでは感染が再度拡大しないのかとても心配になりましたが、国によって価値観の違いなのだと実感できました。   ▲スウェーデンの感染防止対策(写真上) 、現在のスウェーデン国内のホリデイの様子(写真下)   ⑤オーストラリア(メルボルン) 最後にオーストラリアのJulie.Paul氏による「コロナ禍におけるメルボルンの感染防止対策」についてです。英語でのプレゼンテーションだった為、理解する為に緊張して聴講しました。オーストラリアでは、パンデミックの影響により、合計約800人の命が奪われたことを知りました。2020年、オーストラリアでのほとんどの死因は新型コロナウイルスによるものであり、ビクトリア州では高齢者介護が大多数を占めていたそうです。不十分な感染管理、スタッフの枯渇、病理検査の遅延、契約の追跡の延長などが理由として挙げられていました。ロックダウンを阻止するために、日本と同じように「テイクアウトのみの飲食店」「病院、施設への訪問制限」「社会的距離のルール(1.5メートル)」「可能な限りリモートワーク」などを行って対策していることがわかりました。 世界的に注目されているコンタクトトレーシングの活用により、新型コロナウイルス蔓延遅延に努めていることもわかりました。パンデミックから得た教訓は、今後社会が同じような規模で惨禍に襲われたときの対策に活かす必要があると感じました。   ※コンタクトトレーシング:陽性患者と濃厚接触した可能性があることを、そのデバイスのユーザーに知らせる技術。 【引用】ICT技術を活用した新型コロナウイルス感染症対策:(2021年7月30日).   ▲講義資料(コンタクトトレーニングの紹介)   以上のように、本日のグローバルな視点での遠隔授業はとても興味深い内容であり、多くの学びを得ることができ、貴重な時間となりました。看護の本質は同じであっても、国によって取り組みの内容や医療や福祉では多くの違いがありました。しかし、どの国も人々の健康を守ることにおいて様々な取り組みをされていることは同じであると学ぶことができました。これから現場に出ていく者として日本だけでなく、世界にも目を向け学び続けていきたいと思います。   授業を受けた他の学生からのアンケートもご紹介させていただきます。(回答者からアンケートの承諾済のものを抜粋) ■ 海外からもオンラインを使用し講義をしていただけたことに驚きました。昨年度からオンライン型の講義を複数の講義で行い、対面とは異なる課題もあると思いましたが、国際的な交流をするにあたって非常に便利な点もあると思いました。 ■ 最後のシンポジウムはなかなか聞くことのできない話を聞くことができたとともに、新たな授業形式で大変興味深かったです。コロナ禍で直接は会えないからこそ、インターネットを活用して海外の方の話を聞くというのは今の時代に最適な授業だったと思いました。 ■ 国際看護論で学んだ内容は興味深いことばかりで、おもしろかったです。またこれまで知らないことがほとんどで、今後視野を広げて働くためにも海外のことを知ることはとても大切なことだと思いました。   看護医療学科4回生 下辻穂加 竹中絵理 德田真奈  冨松里帆 村上有希  

2021.07.28

「薬害の実情」と「患者の人権」を学ぶ~看護医療学科「保健医療福祉システム論Ⅰ」

看護医療学科4年次生必修科目である「保健医療福祉システム論Ⅰ」では、公衆衛生と社会福祉のシステムとそのあり方を学んでおります。まだまだ収まることのない新型コロナウイルス感染症(COVID-19)についても、様々な資料を解説し、理解を深めてきました。その中には、感染者や医療従事者が差別を受けている現状を法務省のリーフレット等も用い、差別と偏見の解消に向けた方策も考えていきました。   2021年7月22日(水)の授業では全国薬害被害者団体連絡協議会 副代表世話人の勝村久司氏をお招きし、「『薬害の実情』と『患者の人権』~医療倫理や患者安全について考えながら~」と題した内容について講演いただきました。昨年度は遠隔講義でしたが、今年度は感染対策をとった上で、対面での特別講演という形をとることができました。     勝村氏は、「陣痛促進剤(子宮収縮剤)」の被害によりわずか9日間の命しかなかった、娘さんの星子さんのことがきっかけで、薬害被害に関する活動を展開されることになりました。講演の中では、薬害は人災であること、陣痛促進剤は感受性の個人差がかなり大きいがその理解が医療従事者の中でも十分ではないことを非常に懸念されておられました。     中でも、薬害等の不誠実な医療を防止するためにはリスクマネジメントがとても重要であると指摘され、情報公開や人権の尊重、副作用被害等の医療事故防止のためには健全なチーム医療によって専門性を発揮し、患者・家族を中心とした情報共有が大事であることを説かれました。その実践例として、診療報酬明細書の開示につながったことも紹介されました。     最後に、最終学年にあたる受講生に対して、市民・患者・医療被害者の立場から看護師にのぞむことは、「学問的良心」と「職業的良心」を常に持ち続けることであると話されました。 学生も今回の講演の内容を重くそしてしっかりと受け止めていました。学生たちの感想から一部紹介したいと思います。   【学生A】 夫として、父親として、そして家族としてこれまで多くの場所で講演をされてきたと思いますが、それでも悲しみと悔しさの体験を話すことはとても苦しかったのではないかと感じました。その中で、薬害がどのような事故があるのかを知っておくことにより、私たちが加害者や被害者にならないための学びの機会をいただけてとてもありがたいと感じました。臨床で働く前に、こういったことがあったと知っておくことで、患者や家族に寄り添う心の大切さ、誠意ある対応や行動がいかに重要かを改めて学ぶ機会になりました。こういう実際の声を聞く機会はほとんどないため、こういう機会が医療従事者になる前の心構えを学ぶ機会になりえるのだと感じました。医療従事者になる者として、薬害の被害が起こらないように、丁寧なインフォームドコンセントや、患者の声を聞き、その人が安心・安全な医療を受けることができるように行動していきたいと思います。   【学生B】 陣痛促進剤について、このような大きな被害が広がっていること、被害にあっていても気づかずに被害者となっていない方が多くいることを初めて知りました。講演を拝聴し、すごく胸が締め付けられるほど苦しかったというのが正直な思いです。ですが、被害を受けた当事者の方、そのご家族にとっては計り知れないほどの苦しさ辛さがあるのだということを想像すると、医療従事者を目指すものとして、なぜ防げたはずの事態を防ぐことができなかったのかと悔しさを感じました。被害が広がっているにもかかわらず、必要ではない場合にも陣痛促進剤を使用することが当たり前になってしまうことが非常に恐ろしいと思いました。患者中心に物事を考えることが大切であると改めて強く思う機会となりました。これ以上被害が増えることがないことを祈ると同時に、私自身も被害者に、加害者にならないように適切な知識を持ち、意思表明をすることの重要性を感じました。今回の講演では実際のお話を拝聴することができ、非常に貴重な機会となりました。ありがとうございました。   学生たちは、あと半年で医療の現場に飛び込んでいきます。今回の勝村氏の講演は学生たちにとって非常に大きな学びとなりました。 勝村先生にはこの場を借りて改めて厚くお礼申し上げます。ありがとうございました。   看護医療学科 准教授 文鐘聲   【関連記事】 「薬害の実情」と「患者の人権」を学ぶ~看護医療学科「保健医療福祉システム論Ⅰ」

2021.07.19

広陵町図書館での認知症啓発活動に参加!~認知症ケアサークル「畿央大学Orange ProjectⓇ」

Orange Project®とは、熊本県(熊本大学・熊本保健大学・崇城大学・熊本県立大学)と奈良県(畿央大学)を中心に活動している認知症啓発のための学生ボランティア団体で、“認知症になっても安心してくらせるまちづくりに貢献する”をコンセプトに、認知症啓発運動を行っている学生を中心とした団体です。2020年には、ロゴやマークが商標登録されました。畿央大学の卒業生たちは2019年から、在学中に熊本大学・熊本保健大学・崇城大学と共に、Orange Project®(認知症支援プロジェクト)に参画し、認知症になってもやさしい町づくりなどに、学生主体に取り組み始めました。そして「認知症にやさしい広陵町、認知症に強い畿央大学」となることを目的に2019年9月にサークルとして発足しています。     2021年7月13日(火)13時より、広陵町図書館での認知症啓発活動に参加し、私たちは「きおトレ」アプリ体験を実施しました。   「きおトレ」アプリ体験 参加者3名の方に、自分の認知機能を知ることができるアプリを体験していただきました。「自分の認知機能がどの程度であるか気になるわ、知りたい!」と興味を持って参加してくださる方もいました。イラストの記憶をしているときに、「前の絵なんやったっけ?」「あー、忘れた。」と話されていましたが、その後覚えたイラストを描きだすときは16問中7~10問はスラスラと思い出されていました。また、ヒントを見ると「なんやったかな。あ、あれやったわ。」と必死に思い出そうとされていました。 アプリ体験後には参加者とお話をする時間もあり、日頃からパソコンでゲームをしたり、図書館の本を借りて読んだり、脳を働かせるために意識しておられることも知りました。   ※常にマスクを着用して「きおトレ」アプリ体験を実施しました。 ※参加者のアプリ体験が終了するたびに、使用した物品はアルコール消毒をし、感染対策を行いました。   『旅のことばカード』~認知症になっても住みやすいまち~ 「きおトレ」アプリ体験の他に『旅のことばカード』による認知症の啓発活動を行いました。 『旅のことば』は、認知症のご本人、そのご家族、またその周りにいる皆さんが、それぞれの視点で簡単に実践できる「認知症とともによりよく生きるためのヒント」が書かれており、皆でちょっとした工夫をしながらよりよく生きる日々をひらがなで作っていける支援ツールです。認知症の方やそのご家族の考え方や気持ちに触れ、自分の目線でできることを考えていけるツールとして、家庭や病院、介護事業所内ばかりでなく、多くの自治体や教育機関でも使われています。 【引用】認知症とともによりよく生きるためのヒント:https://creativeshift.co.jp/product/2004/(2021年7月13日閲覧)   『旅のことばカード』は40種類あり、どの言葉も素敵で認知症の方やそのご家族だけでなく、私たち自身の心も軽くなり、前向きに生きていけるような言葉でした。 今回は、図書館を利用している地域の子どもから大人まで興味を持ってくれた10名程度の方に参加していただきました。パッと見て印象に残ったカードを選択してもらい、その内容のカードを渡しました。生活が少しずつよりよい方向へ向かっていくように、カードのことばの内容を理解し、実践してみることが大切だなと感じました。     ちなみに、偶然にも学生2名とも『今を楽しむ』のカードを選択しました。うまくできるかどうかではなく、今の一瞬一瞬を楽しもう!と考え、思い切って行動してみようと思います。   今回の認知症啓発活動を通して、広陵町で実際にどのような活動を行っているのかを知ることができました。少しでも多くの方々に認知症に対して興味・関心を抱いてもらうことが大切であり、「認知症になっても住みやすいまち」にするためには、地域住民がお互いに助け合うことがとても大事なことだなと感じさせられました。認知症の当事者が“その人らしく暮らす”ことができるように、自分にできることは何か、どのように接したらよいのか、などを改めて考える貴重な時間となりました。多くの方にご参加いただき、ありがとうございました。 この活動内容は、広陵町の広報誌「広陵(こうりょう)」に掲載される予定です。 まだまだ新型コロナウイルスの影響による活動制限はありますが、感染対策を徹底し工夫しながらOrange Project®の活動を行っていきたいと思っています。 Orange Project®に興味がある方は、ぜひご連絡ください!                                          看護医療学科4回生 德田真奈 b8615739@kio.ac.jp                                                   冨松里帆 b8617938@kio.ac.jp   【関連記事】 小学生への認知症オンライン講座に参加!~認知症ケアサークル「Orange Project®」 認知症ケアに取り組む新サークル「Orange Project in KIO」が始動! ▶オレンジプロジェクトに関連するブログ記事 KIO Smile Blog

2021.07.12

小学生への認知症オンライン講座に参加!~認知症ケアサークル「Orange Project®」

Orange Project®とは、熊本県(熊本大学・熊本保健大学・崇城大学・熊本県立大学)と奈良県(畿央大学)を中心に活動している認知症啓発のための学生ボランティア団体で、“認知症になっても安心してくらせるまちづくりに貢献する”をコンセプトに、認知症啓発運動を行っている学生を中心とした団体です。2020年には、ロゴやマークが商標登録されました。畿央大学の卒業生たちは2019年から、在学中に熊本大学・熊本保健大学・崇城大学と共に、Orange Project®(認知症支援プロジェクト)に参画し、認知症になってもやさしい町づくりなどに、学生主体に取り組み始めました。そして「認知症にやさしい広陵町、認知症に強い畿央大学」となることを目的に2019年9月にサークルとして発足しています。   今回は、畿央大学が「多世代まちづくりプロジェクト2020コンペティション」で参加賞をいただいた企画、「絵本・紙芝居で子どもから社会へつなげよう」の活動の一環を報告させていただきます!   この紙芝居は、2020年11月に認知症フレンドシップ主催の「次世代まちづくり 学生コンペテンション」で獲得(参加者賞10万円)した助成金から、畿央大学オレプロ学生たちで作成した世界に1つしかない認知症の啓発のための紙芝居(パワーポイントで作成)です。この紙芝居は「えがおのわ」というタイトルで、認知症という言葉を使用せず認知症のことを子どもたちに伝えるという特徴があります。   "えがおのわ" の視聴 | Microsoft Stream (学内のみ視聴可能) ※学外の方で視聴を希望される方がいらっしゃいましたら個別に対応いたしますので、ご相談ください!   看護においては小児看護の場面や、広くは教育学部の学生のみなさんにも総合的学習時間や道徳の授業などにも活用していただきたい紙芝居です。   2021年6月15日(火)11時半頃より、鹿児島県にある錦江町立大根占 (おおねじめ) 小学校の4年生から6年生に対して行った「鹿児島県の小学生に認知症オンライン講座をしよう!」にご招待いただき、私達、畿央大学オレンジプロジェクトも参加させていただきました。 実は...私達が昨年から作成していた紙芝居の初めてのお披露目の場でした!     始めに、オレンジプロジェクトの活動紹介をし、次に紙芝居を披露させていただきました。 最初は子ども達がどのような反応をしてくれるのか、zoomでの活動のためうまくコミュニケーションがとれるのか…など、不安なところもたくさんありました。   しかし、始まると同時に、画面越しに子ども達が活き活きと手を振ってくれる姿を見て、不安が一気に吹き飛びました! 子ども達が質問に対して積極的に答えてくれる姿、「困っている人がいたら、助けたい!」という感想を聴き、私達が紙芝居を通して伝えたかった「困っている人がいたら手を差し伸べてほしい」というメッセージが伝わったと実感し、とても嬉しく思います。    その後、認知症当事者である丹野さんの動画を見ていただき、無事に終えることができました。     ※写真撮影の時のみマスクを外しています ※写真掲載は大根占小学校の校長先生より許可をいただいています   また今回の活動に関しては、南日本新聞においても取り上げていただきました。取り上げていただきありがとうございます。   今回の活動を通してコロナ禍だからこそ、さまざまな地域のさまざまな年代の人と繋がれることに気づくことができたと同時に子ども達に伝えることの楽しさを感じることができました。ご依頼のあった鹿児島県錦江町保健師からのお礼と子どもたちの反応について、メールをいただきましたので紹介しておきます。   <以下お礼文より> 子どもたちの純粋な反応や表情にとても癒やされたひとときでした。4年生・5年生はすごい元気な感じで、6年生は最初に音声トラブルがあって、5年生の教室へ行ったり、戻ったり恥ずかしさ??あるのかおとなしい雰囲気でした。(校長先生いわく今の6年生はずっとあんな雰囲気)学年でキャラが大きく違うとおっしゃっていました。でも、お話しは真剣に聞き入っていました。私は6年生の教室にいたのですが、ほんとに真剣でわりと学生さんのメモにもすんなり書いていました。最後に「認知症は終わりではない」という3つのキーワードのところ印象に残ったようで、メモを取っている女の子もいました。 (畿央大学の)学生のお二人や他チームのメンバーの方々、ほんとに短い期間に構成から考えてご指導頂き、画面上の一生懸命な様子に隠れているプロセスやいろんな準備があったんだろうなと思いました。最初の映像動画よりは紙芝居(世界初の披露)がさらにわかりやすかったように反応を感じました。丹野さんは、へえ~~と見ていたようですが、大根占小に今度来るの??とびっくりしていました。 遠い奈良の(畿央大学)学生のみなさんや大学の教授方、丹野さんがこうやって今の時代のICTツールでつながれたことが、今だからできたことですね。ありがとうございました。   次回の活動は、広陵町の図書館で看護医療学科4回生のメンバーが「認知症サポーター養成講座」のサポートに参加します。感染予防レベルが緩和されたこともあり、久しぶりの対面での活動なのでとても楽しみにしています。この活動内容は広陵町の広報紙「広陵(こうりょう)」に掲載される予定です。   今後もコロナ禍だからこそ生まれた強みを活かして、活動の幅を広げていけたらと思っています! Orange Project®に興味がある方は、ぜひご連絡ください!                看護医療学科3回生 浜田みゆき b9619852@kio.ac.jp                        谷﨑華穂  b9591648@kio.ac.jp   【関連記事】 「絵本・紙芝居で子どもから社会へつなげよう」活動報告ー当事者の方へのインタビュー~認知症ケアサークル「Orange Project®」 認知症ケアサークル「畿央大学OrangeProject®」、2021年度第1回ミーティングを開催! 多世代まちづくりプロジェクト2020コンペティションで「参加者賞」を受賞 ▶オレンジプロジェクトに関連するブログ記事 KIO Smile Blog

2021.07.05

離島・へき地医療体験実習(川上村)で応急手当ポケットカードを作成!~看護医療学科

看護医療学科4回生の必修科目である「離島・へき地医療体験実習」では、新型コロナウイルス感染拡大防止のため学生が現地を訪れることができませんでしたが、5月にインターネット等様々な方法を活用して、へき地で生活されている方々や、保健・医療・福祉を支えている方々と交流をし、多くの学びを得ることができました。 吉野郡川上村での実習では、学生が「母子」「学校」「成人」「高齢者」「包括」と5つのグループにわかれて活動をし、各発達段階における健康課題に着目して媒体作成を行いました。   成人グループは、一般社団法人 吉野かわかみ社中の上田一仁様にインタビューを行い、林業に携わる方々の業務の実状についてお話を伺いました。その中で、作業中に緊急性の高い傷病者が発生した場合には防災ヘリコプターでの救助を要請されることと、作業している場所によっては携帯電話が使用できず、救助までに時間を要することを知りました。 そこで、救助を待つ間に林業従事者の方々自身で傷病者への対応ができることを目的に「安心!応急手当てポケットカード~命を守ろう~」という媒体を作成しました。インタビューで、林業従事者の方々が受傷される原因として、伐採した木に脚を挟まれることによる骨折が多いということをお聞きし、媒体では骨折・出血への対処方法と心肺蘇生法に関する内容を取り上げました。   また、上田様からのアドバイスで、山林での作業に携帯していただけるようなサイズとし、防水のためのラミネート加工を施しました。内容のわかりやすさ、文字やイラストの見やすさについても林業従事者の方々に確認していただき、完成することができました。     完成したポケットカードは、吉野かわかみ社中を通じて、川上村で働くすべての林業従事者の方々に配付していただきました。さらにご希望をいただき、令和3年7月1日(木)開催の全国労働安全週間イベントで、村内の土木建築事業所や製造事業所にもポケットカードを配付していただくことになりました。     上田様からは以下のような感想をいただきました。   「多くの林業従事者は日常作業の一貫として、立木伐採などの業務を行っておられるので、危険を伴う作業であるという認識が薄れがちになります。加えて、村内で重篤な林業事故が発生する頻度も高くないことから、突発的なアクシデントが発生した際に、自身の知識だけで冷静に対処できるかは未知数です。そのような場面で、このカードを携帯していれば手順に従って適切に処置できるので、現場での安心感は高まると思います。このカードを使う機会が訪れず、お守り代わりにカバンに入ったままというのが理想ですが…。」   また、ポケットカードを作成した学生からは以下のような感想がありました。   ポケットカードを作成時は、どのような場面、場所で活用するのかを想像し、より必要性のあるものになるように心がけました。緊急時に活用していただきたいです。   看護医療学科4回生 青木千春   ポケットカードを作成してみて、看護職だけでなく労働者の方が自分たちで救命措置を行うことができることは、とても重要なことであると考えました。初めてポケットカードを見る方でも、救命措置を行うことができるよう、絵や詳しい手順を記載することができたと思います。緊急時に活用していただきたいと思います。   看護医療学科4回生 板谷彩夏   ポケットカードを作成するにあたって、使用者のことを思いながら作成することがとても大切だとわかりました。緊急時に活用していただきたいです。 看護医療学科4回生 羽柿和也   緊急時に誰が見てもすぐに理解でき、実践できるようなわかりやすいパンフレット作成ができたと思います。林業従事者の方々が安全に働けるような環境づくりの一部に少しでも力になれて嬉しいと感じています。 看護医療学科4回生 安井優奈   今回の媒体作成では、山林での傷病者への対処ということを念頭に置き、どのような内容であれば林業従事者の方々に実践していただけるのかということを重視して作成しました。学生にとって、これまで学修した知識を、一般論ではなく対象となる方々の状況や個別性にあわせて活用することの重要性を学ぶ機会となりました。「安心!応急手当てポケットカード~命を守ろう~」が林業や建設業・製造業に携わる皆様方にとって安全のお守りとなることを願っています。   最後になりましたが、お忙しい中、離島へき地医療体験実習にご協力を賜りました皆様方に、心から感謝申し上げます。   看護医療学科 教授 松本泉美 講師 中西恵理 特任助教 松川真葵 助手 山本広大   【関連記事】 離島・へき地医療体験実習(山添村)レポート~看護医療学科 離島・へき地医療体験実習(宇陀市大宇陀地区)レポート~看護医療学科 離島・へき地医療体験実習(川上村)レポートvol.2~看護医療学科 離島・へき地医療体験実習(川上村)レポートvol.1~看護医療学科

2021.07.02

逝去時の看護を学ぶ-エンゼルケア演習 ~看護医療学科「終末期ケア論」

「終末期ケア論」は、看護医療学科3回生前期に必修科目として開講しています。 授業では、「がん患者を看取った遺族の体験を聴く」「ホスピス実習を終えた4年生からホスピス緩和ケアについて学ぶ」など終末期ケアの現場で求められている看護師の役割について考える力を養うための内容を盛り込んでいます。 今年度は、5月以降オンデマンド型の授業を行っていましたが、大阪府に発出されていた緊急事態宣言の解除後は、対面型授業を再開しました。     今回は、令和3年6月25日(金)の授業で行った「エンゼルケア演習」の様子を報告します。 この演習は、臨死期に出現する症状や逝去時のケアを理解する授業のなかで行われています。   ▲学生は、ユニフォームを着用し身だしなみを整えて演習に臨みました   エンゼルケア(逝去時に身体や頭髪をきれいに整え、故人の生前の表情や血色に近いメイクを施し、「旅立ちにむけた整え」を行うこと)は、逝去時の看護技術であり残されたご遺族への心のケアにつながるといわれています。 授業では、闘病による苦しみから解放された方の表情を柔らかくするためのマッサージや汚れを除去し血色の良いお顔になっていただくためのエンゼルメイクを実施しました。   ▲フェイスマネキンを使って、表情を柔らかくするマッサージをする様子   学生のなかには、毎日化粧をする習慣のある人と習慣のない人、また男子学生もおり、化粧への関心や思いは様々です。しかし、共通していたのはご遺体を想定したメイクには微妙な色合わせや表情のなかに生前の面影を残すなど、これまでに触れたことが無い対象を思い浮かべながら、メイクすることの難しさでした。 実際に、死の直後から経時的にご遺体に起こる変化を具体的にイメージしながら、「顎関節が硬直しないうちに義歯を装着して、口が閉じられるように頭部を挙上する」「死後硬直がすすまないうちに旅立ちの衣装に着替える」「エンゼルケアを行って葬儀を終えて出棺するときまでには2日程度の時間があるので、そのときに最高の表情で旅立てるようにメイクをする」などの学びがあったようです。   ▲逝去後の経時的な変化を予測して表情を作っていきます   ▲日ごろはメイクをしない男子学生も慣れない手つきで丁寧なメイクを施します   授業の中では、実際ご遺体をきれいに清拭し旅立ちの準備をする動画も視聴しましたが、学生は「いのちが終わってからも生前と同じように声をかけたり、プライバシーに配慮しながら、旅立ちの準備をすることが大切と感じました」と逝去後も対象を大切にケアすることの重要性を学んでいたようです。 また、エンゼルケアの目的の一つとしてご遺体の感染予防があります。感染を予防するために体液や排せつ物が漏れ出さないような処置を行うときに用いる物品なども手にとってみました。 感染予防という視点から「COVID-19 」によって逝去された対象のご遺体の扱いについてとりあげ、ご遺体と対面することができない遺族の苦悩について考えました。   ▲エンゼルケアの実際を動画で学ぶ様子   先輩たちは、この演習の経験を活かして、病院実習の場で逝去された患者さんへのエンゼルケアをさせていただいたことがあります。卒業後どのような領域で看護師として働いた場合にも必ず看取りの場に直面する機会があります。そのようなときに、「ご遺体に尊厳を持った態度でケアする」姿勢を忘れないでほしいと思います。   ▲同じ顔をしたマネキンへのメイクですがグループによって少しずつ表情が違っています   「最期の数時間に起こったことは、残された者の記憶に留まりつづける」といわれているように、お別れの時に穏やかな表情で送ることは、遺族ケアの第一段階であることを学生と共有できた貴重な演習となりました。                       看護医療学科 講師 大友絵利香   【関連記事】 看取りを体験した遺族に対する看護の課題~看護医療学科「終末期ケア論」 第15回 奈良県認知症ケア専門士会オンラインセミナー「〜コロナ時代におけるこれからの看取り〜」参加者レポート~看護医療学科 国保中央病院「緩和ケアホーム飛鳥」での見学実習!~看護医療学科「終末期ケア論」

2021.06.22

「絵本・紙芝居で子どもから社会へつなげよう」活動報告ー当事者の方へのインタビュー~認知症ケアサークル「Orange Project®」

Orange Project®とは、熊本県(熊本大学・熊本保健大学・崇城大学)と奈良県(畿央大学)を中心に活動している認知症啓発のための学生ボランティア団体で、“認知症になっても安心してくらせるまちづくりに貢献する”をコンセプトに、認知症啓発運動を行っている学生を中心とした団体です。2020年には、ロゴやマークが商標登録されました。   畿央大学の卒業生たちは2019年から、在学中に熊本大学・熊本保健大学・崇城大学と共に、Orange Project®(認知症支援プロジェクト)に参画し、認知症になってもやさしい町づくりなどに、学生主体に取り組み始めました。そして「認知症にやさしい広陵町、認知症に強い畿央大学」となることを目的に2019年9月にサークルとして発足しています。   今回は、畿央大学が「多世代まちづくりプロジェクト2020コンペティション」で参加賞をいただいた企画、「絵本・紙芝居で子どもから社会へつなげよう」の活動の一環を報告させていただきます! この企画では、認知症の当事者の実体験をもとに紙芝居を作成するため、当事者の方からのお話をとおして、情報を得る必要がありました。   そこで、Orange Project®では、 ・2021年5月6日(木)18時より、若年性アルツハイマー病と診断された丹野智文さん ・2021年5月8日(土)13時より、若年性認知症と診断された竹内裕さん に、ZOOMでインタビューをさせていただきました。   【丹野智文さんへのインタビュー】   はじめに、畿央大学「Orange Project®」の活動紹介を行い、多世代の紙芝居を作成していることをお伝えしました。紙芝居は、学生が一から手書きで作成しています。 ぜひ皆さんも、完成をお楽しみにしていてください!   次に参加学生の紹介後、丹野さんより自己紹介を行っていたただいた後、学生から丹野さんへのインタビューTIMEとなりました。 特に3回生は以前に、丹野さんが執筆された書籍『丹野智文 笑顔で生きる-認知症とともに-』を拝読させていただいていたため、実際にお話ができるということで、とてもわくわくしていました。   インタビュー時に出た主な質問内容としては、 ・若くに認知症と診断されたときの心情 ・現在の日常生活で工夫していること ・認知症の方に対してどのようなサポート(声掛け)をするべきなのか というような内容でした。   認知症と聞けば、忘れることが多くなる、できないことが多くなるというようなマイナスなイメージに目を向けがちではありますが、できることはたくさんあります。 その人ができることに目を向け、一緒に考え、一緒に日常生活を工夫してゆくことが大切であると学ぶことができました。   そして丹野さんはオレンジドアという活動も行われています。 認知症と診断されてから引きこもりがちになる方が多く、社会とのつながりが失われることが多いそうです。そのような方が少しでも減少するよう、診察室の近くに丹野さんなどが待機し、認知症と診断されてからすぐ当事者同士でお話する場があり、社会とのつながりをつくっておられます。   また、多くの参加学生が、認知症の人には優しくしなければ、何かしてあげられることはないか、と思っていました。 ですが、それは反対に認知症の方ができることを先回りして支援することになり、できることを奪っていってしまうのだということが、参加学生にとってとても印象に残ることでした。     【竹内裕さんへのインタビュー】   開始前に竹内さんがZOOMに参加できていない!というような、少しハプニングもありましたが、、、(笑)   開始後は、初めに「なんでもきいてください!」とおっしゃってくださり、楽しくインタビューを実施することができました。   質問内容としては、 ・認知症と診断された時の心情 ・認知症と診断されたときの家族の反応 ・日常生活で工夫していること ・どのようなサポートがあると良いか というような、内容を質問させていただきました。   竹内さんは、認知症と診断された後、引きこもることが多くなったそうです。そのような状況から抜け出すきっかけが、旧友との還暦祝いのパーティでした。すなわち、家族以外の人との繋がり、社会との繋がりです。   また、紙芝居についても、幼稚園生や小学生にもなにか認知症の人にできることはないかと考え、その対応の仕方などの意見をいただくことができ、本当に楽しい時間を過ごすことができました。   最期に、丹野さんと竹内さんとのインタビューに共通して、認知症の人が住みやすい、暮らしやすい環境を作るうえで、いかに”人との繋がり”が大切であるのかを実感することができました。   コロナ禍ということもあり、ZOOMでの実施となりましたが、積極的に学生は質問を行い、丹野さんや竹内さんは、快くお答えくださいました。 学生にとっては、認知症に対しての理解を深め、今の私達には何ができるのかを考える良い機会となり、貴重な時間を過ごすことができました。   これからも、認知症についてさらに学び、少しでも多くの認知症の人との繋がりを作り、認知症の人が住みやすい街づくりに貢献できるよう、コロナ禍でもできる活動を続けてまいりたいと思います! Orange Project®に興味がある方は、ぜひご参加ください!   看護医療学科3回生 谷﨑華穂   【関連記事】 認知症ケアサークル「畿央大学OrangeProject®」、2021年度第1回ミーティングを開催! 多世代まちづくりプロジェクト2020コンペティションで「参加者賞」を受賞 ▶オレンジプロジェクトに関連するブログ記事 KIO Smile Blog