2024.04.18
【学生×実習先インタビュー】実習での症例を基にした卒業研究が国際誌に!vol.2~岩佐さん×赤口さん
学外実習先の症例を基に卒業研究として取り組み、国家試験受験前の在学中にその研究成果が国際誌「Cureus」誌に掲載された理学療法学科18期生、森岡周ゼミの岩佐しおりさん。無事に国家試験にも合格し、この春から学外実習と卒業研究でお世話になった摂南総合病院に就職することになりました。 今回は岩佐さんと、摂南総合病院 リハビリテーション科 赤口諒さん(健康科学研究科博士後期課程在籍/本学理学療法学科8期生)のお二人にインタビューさせていただきました。 卒業研究を取り組んだきっかけについて教えてください。 岩佐さん) 総合臨床実習のⅡ期で摂南総合病院へ実習に行くことになり、森岡先生から学生の間から卒業研究として症例研究をできないかとお声がけいただいたのが始まりです。 卒業研究の題材としてはこれがしたいと明確に決めていたものはないですが、いろんなものを見てみたいという気持ちがあったので内容については赤口さんと相談しながら決めました。 実習と並行し、卒業研究に取り組んだことの苦労は? 岩佐さん) Ⅰ期の実習先は急性期の病院でⅡ期の摂南総合病院は回復期の病院でした。私にとっては、回復期の病院で患者さんの様子をよりじっくり観察して、プランを考える過程の方が自分に合っているなと感じました。ただ、実習と研究の両方を考えることで、途中は乗り切れるか不安になることもありました。 赤口さん) 最初は実習生の一人として来て、学生ならではの悩みもあるように感じていました。同じ病院にいる同期の実習指導者(同じく本学理学療法8期生)と相談し、実習と症例研究は全くの別物と捉え、普段の実習指導は同期が担当し、私は岩佐さんが関わっている症例の経過を計測機器データも含めて追うことを岩佐さんと一緒にしました。 結果的には当院に就職いただきましたが、根拠を持って理学療法を実践することが大前提ですので、症例研究を学生の時から実行することは、理学療法士になる上でとても大切なことと考え、協力して進めていきました。 実習先で取り組んだ症例が卒業研究として形になりましたが、どうでしたか? 岩佐さん) 考察する段階では、自分の知識だけでは不足していることもありますし、最初はどうことばで表現するか悩みました。また、卒業研究発表会で話すときは時間内で、論文化する時は決められた文字数内でどのようにして表現すればうまく伝えることができるかという難しさも経験できました。卒業研究の発表会当日は、発表を聞いていただいた先生にたくさん質問いただきましたが、自分自身発表することが苦手でもあったので、うまく返答できなかったと思うところはありますが、とても良い経験ができました。 発表後論文に仕上げていく過程は国試の勉強と並行して取り組みましたが、森岡先生、赤口さんにもかなり助けていただきました。 赤口さん) 論文化するのは複数人で取り組むことが大半ですし、岩佐さんは考察することやデータをまとめること等、英語にするまでのところをしっかりと貢献してくれたと思います。最終的に論文としての体裁を整えるために英語にする過程や国際誌に載せるような仕上げるところは私たちが進めることだと思いますので。 新型コロナウイルスによる制約がある中での入学でしたが、4年間を振り返りいかがでしょうか? 岩佐さん) コロナ禍の入学だったので最初の一年はほぼ何もなかったように感じました。授業でもグループワークで議論することはあって、最初は意見を譲ってしまうことも多かったと思っています。 ゼミで研究を進めていくと、みんながより真剣にやっているからこそ本音をぶつけ合って、意見を出しあえるようになれました。ゼミで発表の練習をしあったり、お互いに質問して仕上げる過程を経験できたことはとても良かったです。 学外実習の実習先にそのまま就職しますが、どのような気持ちですか? 岩佐さん) 実習に行って皆さん勉強熱心で様々なことに取り組まれている雰囲気を見ているので、自分自身がついていけるのだろうかという不安が今は一番大きいですね。でもその場所で一緒に働くことができるのが楽しみでもあります。 一緒に研究に取り組んだ学生が就職することへの期待はありますか? 赤口さん) 様々なプレッシャーを感じ、それを処理することは人間性を養うために重要な要素です。 理学療法士として環境に揉まれながらも適応していくことで自信をつけていき、どこでも必要とされる人材になって欲しいと思います。人物像はそれぞれ違うと思うので、これからどういう風に成長していくかを楽しみにしながら一緒に働いていきたいと思います。 卒業生・修了生として、また理学療法士の先輩という立場から見た畿央生の印象はいかがですか? 赤口さん) 自分自身は畿央大学のことが大好きでいい思い出もいっぱいあります。また大学院に通っていたり、非常勤教員として今も関わっていることだけでなく、将来関わっていきたい先生方もたくさんおられます。これからも関係が続いていけばと思っております。 毎年様々な学校から実習生を受け入れていますが、畿央生は真面目で熱心な学生も多く安心して迎えられているなと思います。毎年来てくれる学生さんを見ているので、どんな人が来るのかは楽しみですね。 理学療法学科 森岡 周教授コメント この症例は実際に岩佐さんが臨床実習で経験し、その経過を指導者と縦断的にとらえたものです。この症例は「1リットルの涙」でも取り上げられた脊髄小脳変性症と診断された方でした。進行性の神経疾患により、運動や姿勢のコントロールに大きな困難があり、多くの患者さんがバランスを失い転倒する状況の中、岩佐さんは観察に加えて、重心動揺や筋活動を測定する計測器を用いて症状を詳細に調査しました。得られたデータに基づいて理学療法を段階的に適用し、その効果を実証する重要な成果を得ることができました。彼女の姿勢は、日々の観察記録を残し、それらをもとに最適な理学療法を選択し実行することを教えてくれます。結果として、国際誌に掲載されたことは、彼女にとって自信につながったのではないでしょうか。 関連記事 脊髄小脳失調症患者の立位姿勢制御能改善に着眼した効果的な理学療法:症例報告~ニューロリハビリテーション研究センター 【学生×実習先インタビュー】実習での症例を基にした卒業研究が国際誌に!vol.1~淡路さん×渕上さん
2024.04.17
第20回フィンスイミング日本学生選手権大会に出場! ~水泳部
こんにちは。畿央大学水泳部に所属している看護医療学科2回生 上野 心優です。 2024年3月20日(水・春分の日)に国際大会の学生代表選考の参考大会でもある第20回フィンスイミング日本学生選手権大会が千葉県国際総合水泳場で行われました。この大会は学生の日本一の選手や総合成績で大学の日本一を決めるフィンスイミングのインカレです。 この日は前日までの暖かい晴天とは打って変わり、あいにくの雨。夕方からは東京ディズニーランドでもパレードが中止になるほどの強風でした。モノフィン(ドルフィンキックで泳ぐための両足用の足ひれ)を入れるフィンバッグは幅が約30㎝で高さが75㎝。これを背負っての移動はものすごく風を受けるのでとても大変です。ですがホテルも駅も大会会場のすぐ目の前で助かりました。 この大会では、50mサーフィスと100mサーフィスに出場。サーフィスはシュノーケルを使用し、蹴伸びの姿勢で全身をウェーブさせて泳ぐ競技で、スタートとターンを除いて身体の一部が水面から出ていなければなりません。 結果は、50mサーフィスが 4位、100mサーフィスが 5位でした。直前に病院実習もあって、2週間練習ができなかったのが残念でしたが、国際大会標準タイムまであと3秒のところまでこれたので次の日本選手権で更にタイムが縮まればと思っています。 マネージャーのりんちゃんのサポートにも感謝です。今後とも応援よろしくお願いします! 水泳部 看護医療学科2回生 上野 心優 【関連記事】 第35回 フィンスイミング日本選手権大会に出場!~水泳部|KIO Smile Blog
2024.04.16
2024年度 新入学生研修 学科別レポートvol.5~人間環境デザイン学科
文化財である展示物や民家を自由にスケッチ! 2024年4月5日(金)、人間環境デザイン学科新入学生研修を実施しました。新入生58名が以下の5つの目的をもって参加しました。 大学での新たな友達づくり 教員とのふれあい 大学生活へのモチベーションを高める 美しい環境の中ではぐくまれたまちや建築に触れることにより、まちと人々の生活とのつながりを考える 見学やレクリエーションを通して、自身のキャリアを考える 研修当日は、クラス担任を含む教員7名、2回生および3回生5名がサポート役で同行しました。 研修の行先は、奈良県立民俗博物館、奈良公園です。奈良県立民俗博物館は、奈良に暮らす人々が改良と工夫を重ねながら伝えてきた、大正から昭和初期の生活用具や農具、国重要有形民俗文化財の「吉野林業用具と林産加工用具」などがわかりやすく展示されています。また、博物館が立地する大和民俗公園には、県内各地から移築・復元した江戸時代の民家など15棟があり、うち3棟は国指定重要文化財、10棟は県指定有形文化財となっています。 行きのバスでは、教員、学生全員が自己紹介をしました。個性豊かな自己紹介で、楽しい1日が始まりました。 奈良県立民俗博物館では、展示物の見学だけでなく、それぞれが関心を持ったものを自由にスケッチしてもらいました。 同じ民家を見ていても、建物全体をスケッチしている学生、屋根や家具をスケッチしている学生、一部の構造に焦点を当ててスケッチしている学生など、見る視点は様々です。後の研修でそのスケッチを見せ合い、各班でまとめ、発表をしてもらいました。自分と違う視点を持っていることの気づきを得ることができたのではないかと思います。 サポートとして参加した私たち上回生は、一回生に声をかけてみたりするうちに少しずつ仲良くなりました。午後からは、一緒に奈良公園を探索しました。大学生活の様子、授業や履修登録のアドバイスなど、入学してすぐの不安な気持ちを少しでも取り除くことができたなら嬉しいです。 新入生研修は新入生同士だけでなく教職員とのつながりを持つきっかけとなったはずです。これからの大学での学びに良い影響を与えてくれる経験になったのではないでしょうか。これからどんなアイディアや作品、提案が生まれるのかとても楽しみです。新入生の今後の活躍を期待しています! 人間環境デザイン学科2回生 熊井 想 助手 中井 千織、小松 智菜美
2024.04.15
第22回畿央祭実行委員Blog vol.1~実行委員、いよいよ募集開始!
第22回畿央祭開催決定! テーマは「燎~かがりび~」 畿央大学の皆さん、こんにちは! そして新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます! 本日から2024年度の畿央祭Blogがスタートします。畿央祭終了まで約半年間よろしくお願いします! そして第22回畿央祭のテーマは「燎~かがりび~」に決定しました。 「これまで畿央祭を通して紡がれてきた想いの灯を絶やすことなく受け継ぎ、一人一人が情熱を燃やしてほしい」という願いを込めて考えました!! イメージデザインについては「燎~かがりび~」ということで火をイメージし、室町時代から伝来し、今も受け継ぎ親しまれている金魚を描いています。 開催日程は 10月19日(土)、10月20日(日)の2日間です! 来週からは畿央祭実行委員の説明会も始まります! 畿央祭は学科・学年を問わず、5つの部署にわかれて実行委員が運営を一貫して行います!実行委員は例年1・2回生の5人に1人にあたる200人以上が活躍しています。 昨年の実行委員の皆さんです↓↓ 1回生は初めての畿央祭!2回生は実行委員として畿央祭に関われる最後のチャンスです!! 「畿央祭ってどんなものだろう?」「説明だけでも聞いてみようかな?」どんな方でも大丈夫です!! 畿央祭を一緒に盛り上げてくれる方、思い出を作りたい方、なにかに打ち込みたい方、仲間とのきずなを深めたい方!誰でも大歓迎です🤍 ぜひお友達をさそって、皆さんで濃い思い出をつくりましょう! 今年度は去年の先輩方の意思を受け継ぎ、さらにパワーアップした畿央祭をお届けできるように、幹部が一体となり素晴らしいものを作っていきますのでどうぞよろしくお願いいたします。 第22回 畿央祭 副実行委員長 統括 アリーナ部署担当 現代教育学科 2回生 船田 樹希
2024.04.13
【学生×実習先インタビュー】実習での症例を基にした卒業研究が国際誌に!vol.1~淡路さん×渕上さん
学外実習先の症例を基に卒業研究として取り組み、国家試験受験前の在学中にその研究成果が国際誌「Cureus」誌に掲載された理学療法学科18期生、森岡周ゼミの淡路彩夏さん。この春からは、学外実習と卒業研究でお世話になった岸和田リハビリテーション病院に就職することになりました。 今回は淡路さんと、岸和田リハビリテーション病院 リハビリテーション部副部長 渕上健さん(本学大学院健康科学研究科客員准教授/健康科学研究科博士後期課程修了生)のお二人にインタビューさせていただきました。 卒業研究を取り組んだきっかけについて教えてください。 淡路さん) 元々運動主体感に興味をもっていて、森岡先生から実習先の病院で研究してみてもいいのではないかと言ってもらいました。また岸和田リハビリテーション病院は研究も積極的な施設でもあり、是非やってみたいなと思っていました。 渕上さん) 森岡先生から淡路さんの卒業研究に対して相談がありましたが、研究が負荷になることもあるので実習の進捗を見ながらの判断でした。私自身もこのような経験は初めてだったのですが、淡路さんの実習はとても順調に進んでいたので研究のことを話してみたら、「是非やってみたいです!」と言ってくれたので取り組むことになりました。 研究計画に関しては、私と緒方さん(本学修士課程)の共同研究でもあったので、院内の手続きもスムーズに進められました。後は取り組みたい内容に沿った患者さんがおられたのも良かったと思います。当院はセラピストが研究に取り組む土壌がありますし、淡路さんが初めての研究で不足する部分を補える環境であったと思います。 実習と並行し、卒業研究に取り組んだことの苦労は? 淡路さん) 実習中は1日6人くらいの患者さんを見させていただいたのですが、それとは別で見ていました。最初はレジュメを書くときにどの患者さんの内容だったのかと混乱することもあったので、それを整理していくことも経験になりました。 総合臨床実習のⅡ期は別の病院だったので、その時期は実習に集中できるよう配慮いただき、データは共有していただきました。実習を終えた8月後半くらいから本格的に研究をまとめていきました。 渕上さん) 実習はしっかりと進めていかないといけないし、そのプラスアルファで取り組むのは大変だったとは思うのですが、そんな様子も見せず淡々と取り組んでいたのではないかなと思います。 実習先で取り組んだ症例が卒業研究として形になりましたが、どうでしたか? 淡路さん) 最初、卒業研究の話をいただいたときは概要を理解することに必死で、実際に卒業研究発表会の壇上に立つ際に一人で発表できるのか、不安が本当に大きかったです。 森岡先生や渕上先生、緒方先生にも助言いただきながら卒業研究の発表に臨み、その後に質問を受けることもありましたが、私の中で一つ自信になった経験だと思います。 新型コロナウイルスによる制約がある中での入学でしたが、4年間を振り返りいかがでしょうか? 淡路さん) 最初はオンライン中心だったので同級生との接点もほとんどなく、みんなどんな感じで勉強しているのかもわからない状態でした。ただ日々の課題をこなしていくだけで自分の中での目標も立てづらく、2回生の前期くらいまで不安がありました。2回生後期から学内での授業もより本格的になり、そこからは友達と勉強の仕方などを話せるようになって、自分なりの勉強方法をつくっていけたと思います。 森岡ゼミでは好きな論文を選んでそれぞれが発表し質問しあう形式の授業だったので、論文の理解を一週間でどれくらい仕上げられるかという部分は鍛えられたと思います。 また森岡先生には発表した論文のことだけでなく、ご自身の研究の話などたくさん聞かせていただき、より深い勉強ができたと思います。 一緒に研究に取り組んだ学生が就職することへの期待はありますか? 渕上さん) 私の中では一つの卒業研究から論文にするその過程は大変だと思っているので、一緒にできたことは大きいです。その過程の中で淡路さんのことをより深く知ることができたので、就職前にできたことはプラスだと思っています。 臨床家は臨床と研究と教育の3つを行う中で、業務に追われて研究が疎かになってしまいがちになることがあります。淡路さんが入職前に研究にちょっと触れて、「これからも続けます」と言ってくれたのは心強いです。 理学療法士の先輩や院の修了生という立場から見た、畿央生の印象はいかがですか? 渕上さん) 畿央大学とは理学療法士3年目の時からのもう15年以上の関わりになるのですが、先生方が最新の論文を読み、その根拠に基づいて授業されているので、現場で新しいことがあっても学生さんはすぐに理解してくれる印象を持っています。当院も根拠に基づく医療を行うことを推して臨床をつくっていっているので、関わりやすいなと思います。 今後の目標について教えてください。 淡路さん) 基本的な検査の技術や知識を定着させていくのは勿論のこと、大学の先生方や実習で関わった指導者の皆さんのように何か自分の専門知識や得意分野を磨いていけたらと思います。 理学療法学科 森岡 周教授コメント 症例報告や症例研究をまとめることは、臨床家にとって思考を整理し、関連する先行研究を調査し、自らが関与したケースと比較する上で重要です。私が臨床実習をしていた30年以上前には、担当した症例についての報告が学術雑誌に受理されるレベルであることが求められました。時代が変わり、学生への過度な負担を避けることが望まれる現在、大学と臨床施設は協力して、学生の学習や研究に対して新たな融合を促進し、向き合うことが重要だと考えています。 淡路さんは岸和田リハビリテーション病院に入職しました。これは新しいキャリア形成の手法と考えられます。このような機会が提供されるのは、畿央大学が現場のセラピストを対象に社会人大学院をいち早く開設し、博士後期課程に至るまでの充実した教育体系を築き、多くの博士を輩出してきた結果だと自負しています。 関連記事 振動を用いた接触タイミング知覚生起が脳卒中後上肢機能に及ぼす影響:症例報告~ニューロリハビリテーション研究センター 【学生×実習先インタビュー】実習での症例を基にした卒業研究が国際誌に!vol.2~岩佐さん×赤口さん
2024.04.12
2024年度 新入学生研修 学科別レポートvol.4~健康栄養学科
テーブルマナーを学び、新入学生の仲も深まる! 2024年4月5日(金)に健康栄養学科による新入学生研修が奈良ロイヤルホテルにて行われました。新入学生99名、研修のサポートを行う在学生スタッフ6名、卒業生スタッフ1名、教員6名の総勢112名が参加しました。 今年度も「充実した学生生活・楽しい大学生活を送るために」を目的に掲げ、4年間の学生生活に向けての研修が行われました。 研修のはじめでは、学科長の栢野先生からの激励があり、続いて永澤先生から管理栄養士国家試験までの流れや、国家試験合格に向けた大学での取り組みが話されました。新入学生は真剣な眼差しで話に聞き入っていました。 その後、クラスごとに分かれて、クラスアワーを行いました。クラスアワーでは在校生スタッフと卒業生スタッフが中心となって進行を行い、新入学生がチームに分かれて自己紹介やクイズ大会、ゲーム等を行いました。とても盛り上がり、時間が足りないくらいでしたが、新入学生同士の交流が活発にでき、クラス全体の仲も深まったように思います。 昼食はテーブルマナーを学びながら洋食のフルコースをいただきました。慣れない雰囲気での食事で緊張している様子でしたが、真剣に話を聞きながらテーブルマナーに取り組んでいました。 食事の後は、岩田先生から「管理栄養士になるための心得」の講話があり、管理栄養士になるために学生生活で気をつけなければならないことや調理現場での注意点が話されました。昼食後ではありましたが、大事なところはメモを取るなどして、集中して話を聞いていました。 岩田先生の話の後は、在学生スタッフによる学生生活についての話がありました。身近な先輩の話を聞いて、より大学生活に対してより前向きになってくれたのではないかと思います。 研修の最後では、「夢をチカラに」をテーマに作文を書きました。今年からコロナが明け、マスク姿でない新入学生と会うのはとても新鮮でしたが、笑顔で楽しむ姿を間近で見ることができました。今回の研修を通して少しでも不安が和らぎ、畿央大学で充実した学生生活を送れることを期待しています。 健康栄養学科 助手 山田 華奈衣
2024.04.11
タイ ドンデーン村での教育調査レポートvol.4~学校での授業実践を通じて
現代教育学科 講師の岡田 良平先生が、2月16日から3月8日にかけて、タイ東北部に位置するコンケン県ムアン郡ドンハン区にあるドンデーン(Don Daeng)村にて農村部における教育についての調査や、コンケン大学でのインターナショナルワークショップなどに参加しました。ブログ第一弾ではドンデーン村の様子、第二弾ではコンケン大学でのワークショップ、第三弾では農村部の教育的課題について、そして最終回となる今回はドンデーン村の子供たちを対象に授業実践を行った様子をレポートします! 今回の調査では、ドンデーン村の学校にて、子どもたちにアンケート等の調査協力をしてもらいました。これは過去の調査と同じ質問をしてその変化を調べるものです。しかし、こうした調査が子どもたちにとっては決して面白いものではありません。調査の準備段階からこちらも「調査結果として面白く、子どもたちも楽しみながらできる授業にならないか」ということを考え続けてきました。そこで思いついたのが、「子どもたちの生活空間」を子どもたちが調べることでした。ヒントは、私が小学2年生の担任をしていた時に、子どもたちと実践した生活科の「まちたんけん」をベースにしました。 まちたんけんの学習では、子どもたちは自分の知っているお店や遊び場などをどの子も楽しそうに語って教えてくれます。そして、その場所での出来事を友達同士で思い出し、知らない子がいれば教えてあげています。単に場所がどこかだけでなく、何がおいしいとか、値段が安いとか、こういうトラブルに巻き込まれたとか、いわゆる社会認識もそこで培っていることがわかります。その姿がどの子たちも楽しくてたまらないのです。聞いている私が楽しくなってくるのです。私は「あの授業をドンデーン村バージョンでやってみよう」と思い立ちました。さあ、私の14年間の教員経験はタイの農村で通用するのでしょうか!? ▼生活科「まちたんけん」の様子(2022年撮影) ▼自主的な話し合い活動が授業をおもしろくする(2022年撮影) 実際の授業では子どもたちのつぶやきを引き出すために、子どもたちが行きそうな場所をあらかじめ聞き出し、その場所の写真を撮り、簡単な地図も作り、子どもたちが空間を認識し、共有できるように工夫するのですが、今回はそうもいきません。Google mapで集落の衛星写真を構成し、拡大印刷して大きな地図を作成して持っていくことにしました。ドンデーン村の学校での授業では、担当してくれたボー先生が児童・生徒に授業の流れを説明してくれます。学年ごとに色分けした丸シールに各自の出席番号を10個ずつ書きました。それを子どもたちに渡します。そして、拡大した地図を子どもたちの前に広げました。 もうその時点で「あっ!ここが学校だ」、「お寺だ」、「自分の家だ」と大盛り上がりです。つまり、空間認識を共有できたわけですね。「最近(1ヶ月くらい)、遊びにいったところにシールを貼りましょう」という指示を聞くと、子どもたちは、ああだこうだ言いながら的確に場所を特定してシールを貼って行きます。自分の順番が早く来ないかと待ち遠しい子、情報を交換して大笑いする子、下級生にやり方を教えてあげる子など、その様子は日本の子どもたちと全く変わりません。 ▼拡大印刷した地図に自分が最近行った場所をシールで貼ります ▼みんなで頭を突き合わせて話し合う姿は日本もタイも同じです どの子も授業参観で見せていた姿とは違い、携帯電話を触りませんでした。しっかりと授業準備と創意工夫を行い、明確な(わかりやすい)展開と的確な指示を出せば、子どもたちは「主体的で、対話的な」学習ができるのです。そして、子どもたちが貼るシールのひとつひとつに意味や理由がありました。いつも遊ぶ広場も複数あり、子どもたちの中では棲み分けがされていること、釣りの穴場や馴染みの店があること、ゲームで遊ぶためにはWi-fiのあるおうちに集まること、エアコンのあるおうちやお店に涼みに行っていることなど、子どもたちの行動にはそれなりの理由と世界観が見えてきたのです。まさに、それは村の子どもたちの空間と社会認識を示していました。 ▼中学生たちが小学生に教えてくれるので子どもたちもわかりやすい 私は今回の実践を通して、 ドンデーン村の子どもの生活空間や世界観が垣間見えたこと 日本での授業実践・研究授業が途上国でも受け入れられ、そこに子どもたちの主体的で対話的な深い学びに通じるものがあること 大きな地図をみんなで共有し、話し合い、何度もシールを貼ったり、貼り替えたりするアナログ的な授業であるからこそ異学年での学びが促進されたこと がわかりました。 私自身も教員の経験を発揮し、現地の先生方と共同で「授業」を通して子どもたちと一緒に研究成果が残せたことは意義深いのではないかと考えています。本当に素晴らしい体験になりました。 最後にドンデーン村の古い言い伝えの「ヘン・ナムカン、キン・ナムカン」という言葉をご紹介します。「ともに食べ、ともに働く」という意味です。非常に貧しい農村だったドンデーン村の村人たちはその言葉を昔からとても大切にしていました。最初の訪問から約20年を経て、再訪したドンデーン村。その地域をどのように捉え、地域と関わりながら、変化の渦中に身を投じてみてこそわかることがたくさんあります。時代を超えて、国を超えて、「ヘン・ナムカン、キン・ナムカン」の志は、私たちの生活や生き方にも問いかけているのではないでしょうか。 ▼授業後にみんなで記念撮影 現代教育学科 講師 岡田良平 【関連記事】 タイ ドンデーン村での教育調査レポートvol.3~タイ農村部の教育的課題 タイ ドンデーン村での教育調査レポートvol.2~コンケン大学でワークショップに参加! タイ ドンデーン村での教育調査レポートvol.1~22年ぶりの再訪!
2024.04.10
タイ ドンデーン村での教育調査レポートvol.3~タイ農村部の教育的課題って?
現代教育学科 講師の岡田 良平先生が、2月16日から3月8日にかけて、タイ東北部に位置するコンケン県ムアン郡ドンハン区にあるドンデーン(Don Daeng)村にて農村部における教育についての調査や、コンケン大学でのインターナショナルワークショップなどに参加しました。ブログ第一弾ではドンデーン村の様子、第二弾ではコンケン大学でのワークショップ、そして今回はドンデーン村の学校を調査する中でわかった教育的課題についてです! ドンデーン村の学校では、幼稚園(3年)、小学校(6年)、中学校(3年)の9年の教育を受けることができます。さて、今回の調査で約20年ぶりに村の学校を調査し、授業の様子も含めてゆっくり見て回ることができました。今回はタイの農村社会の学校の様子をお伝えします。 まず、最初に子どもたちの笑顔と人懐っこさには心底、感動を覚えます。特にドンデーン村は60年の研究史のおかげもあって、日本人にとても好意的です。特に子どもたちは、「どこに行くの」、「日本語でこれは何ていうの」といつも聞いてきてくれますし、「給食を一緒に食べよう」と誘ってくれます。それは20年前に「オーカダー」と呼ばれ、炎天下の中、汗びっしょりになってサッカーを子どもたちとしていた頃と何も変わりません。 しかし、ドンデーン村の学校にも明らかに都市化の波は押し寄せています。自慢だった美しい木造校舎は取り壊され、コンクリート校舎になっていました。当時、薄暗いだけで黒板と机しかなかった教室には、モニターがありwi-fiも通っています。各先生には1人一台のパソコンとプリンターが配備されています。ランチタイムに金銭的な余裕がなく、欠食する子や家に食べに帰る子もなくなり、全員が給食を美味しそうに食べていました。 ▼伝統的な建築様式のドンデーン村小学校木造校舎(1981年撮影) ▼1981年のドンデーン村の子どもたち(1981年撮影) ▼アンケート調査に回答する児童(1983年撮影) ▼授業の様子(2004年撮影) ▼美しい伝統的なタイの木造校舎(2004年撮影) ▼当時の給食は全校児童に行き渡っていませんでした(2004年撮影) ▼ドンデーン村の学校の新築校舎 ▼現在の給食の様子 そうした学校施設のハードやインフラ面は目に見えて変化していました。しかし、20年前には無かった光景もありました。それはソフト面、いわゆる教育の質的な面です。中学生はみんな授業中にスマホを触っています。しかも、平気でゲームをし、音楽を聴き、動画を見ています。それを先生が注意することもありません。何度もそのような光景を目にし、それは「荒れている」というよりも日常の風景なのでしょう。なぜなら、私がカメラを向けるとスマホを隠し、授業に集中したフリをします。「悪いこと」とはわかっているようです。 小学校の教室では子どもがスマホを触っている率は減りますが、それ以上に気になることに気づきました。ほとんどの先生が黒板を書いていないことです。滞在時に複数回、小中学校ともに授業見学に行きましたが、黒板が数日間そのままのものもあれば、書いた形跡がないものもあります。授業参観をしていて、気づいたことは教科書を読むだけ、教科書にあるワークをしているだけという場面がほとんどだったということです。それは、14年間、小学校と中学校で教員をしてきた私にとって、経験値からくる「授業として成立していない」という事実とタイの農村社会の課題を最も突きつけられた瞬間でした。 ▼スマホで遊びながら授業を受ける子ども ▼授業として成立していない状況が散見される ▼モニターの問題を読むだけの授業になっている ▼机の上にはスマホがあり、授業とは関係ない利用が目立つ そして、その光景そのものがドンデーン村の学校の最大の課題でもありました。村の世帯数が増加し、家屋数も大幅に上昇しているのに、児童生徒数が極端に少ないことが明らかになりました。20年前の3分の1にまで減っています。タイでは日本のように学区外への進学に規制を設けていないため、教育にお金をかけられる家庭や村の学校の状況に危機感を感じる家庭は、コンケン市内の学校へ進学しているのです。コンケン市の都市化が拡大し、都市近郊農村に変貌したドンデーン村では、都市部へのアクセスの良さが仇となり、村人からさえも「選ばれない学校」へと舵を切っています。ドンデーン村の学校は「高学歴」「質の高い教育」という「都市化」の最前線に晒され、無惨にもその選択肢から除外されつつあるのです。 20年前、村のごく一部の裕福な家庭だけが、コンケン市内の学校に通っていました。しかし、現在では、学校側は校区内に住む就学年齢の子どもがいったい何人、村の学校に通っていないのかさえ把握できていない状況にあります。それほどまでに、「村の学校への進学拒否が一般化」していると言えるでしょう。20年前、私は都市化によって都市部への進学はより強まるだろうと予測しました。それは教育の質そのものがボトムアップされることを前提とした予測でした。しかし、実際には教育の質が二極化され、進学先も都市部と村とに二極化するという結果をもたらしていました。 60年前、水野浩一博士(元・京都大学東南アジア研究所 教授)が東北タイの貧村として紹介したドンデーン村は、経済的な豊かさと都市化の波の中で全く違う姿を見せ、子どもたちを翻弄していると言えるでしょう。 現代教育学科 講師 岡田良平 【関連記事】 タイ ドンデーン村での教育調査レポートvol.2~コンケン大学でワークショップに参加! タイ ドンデーン村での教育調査レポートvol.1~22年ぶりの再訪!
2024.04.09
次世代教育センター主催「Excelスキルアップ講座~基本編~」を開催!
2024年度の次世代教育センタープログラムが始まりました。 そのスタートとなる今回は、「Excelスキルアップ講座~基本編~」を2024年4月5日(金)に開催しました(対象:2回生以上)。本講座はこれまで2年間開催しており、すでに60名を超える学生さんが受講してくれています。 ※次世代教育センターは2021年4月、次世代社会のニーズに応えられる幅広い教養を身につけた人材の育成を目的として開設されました。毎年度、様々なテーマを取り上げた講座を実施しています。 1回生必修科目「情報処理演習Ⅰ・Ⅱ」を担当している福森貢教授(次世代教育センター長)から「知っておくと便利なExcelの活用」について学びました。 「Excelを上手に活用できるようになるために」「就職したときのために」等、それぞれの思いのもと、2回生6名、3回生2名、4回生1名の合計9名の学生さんが参加してくれました。 ▼レジュメを参考にして、Excelの基本的な関数の使い方を思い出していきました。自分のペースで焦らず取り組めます。 ▼気になることはその場で質問し、解決。短時間でもスキルアップを実感できるのが本講座の良さです。 本講座では、MOS(Microsoft Office Specialist)資格試験で出題される中でも、特に苦手意識が強い分野を集中的に解説していきました。本講座の受講後は、「MOS資格対策講座」や「Excelスキルアップ講座~応用編~」にチャレンジする等、さらにスキルを高め伸ばしていくための講座を準備しています。次世代教育センターが展開する複数の講座を組み合わせ、継続的に学んでいくことで、自分の強みを増やしていけることを期待しています。 次世代教育センターでは、社会から求められているスキルを在学中から磨き、卒業後も社会で活躍していくことができるよう畿央生の皆さんを応援しています。今後も多くの皆さんからの参加をお待ちしています!今回参加いただいた皆さん、ありがとうございました! 【2024年度 次世代教育センタープログラム】 畿央大学 次世代教育センター 次世代教育センター 関連記事 次世代教育センター主催「近未来テクノロジーの生かし方」を開催! 次世代教育センター主催「Excelスキルアップ講座~応用編~」を開催! 次世代教育センター主催「文章読解・作成能力検定講座」を開催しました! 次世代教育センター主催「Excelスキルアップ講座~基本編~」を開催!(今年度3回目) 次世代教育センター主催「プレゼンテーション力養成講座~PowerPointの活用~」を開催! 次世代教育センター主催「コミュニケーション力養成講座~相手に伝わる発信力強化~」を開催! 次世代教育センター主催「Excelスキルアップ講座~基本編~」(2023年度2回目)を開催! 次世代教育センター主催「Excelスキルアップ講座~基本編~」を開催! 次世代教育センター主催 「ひとの生活を支える近未来テクノロジー」を開催! 次世代教育センター主催「モバイルプラネタリウム上映会」を開催!!~協力:畿央大学サイエンスコミュニケーションサークル 次世代教育センター主催 「Excel集中講座」を開催!(今年度2回目) 次世代教育センター主催「Excel集中講座」を開催! 次世代教育センター主催「コミュニケーション力養成講座~プレゼンテーション」を開催! イベントプログラム「これからも『ひと』と『ロボット』は共存できるのか」を開催!~畿央大学次世代教育センター 次世代型情報教養プログラム「ロボットとプログラミング」を開催しました~次世代教育センター
2024.04.09
タイ ドンデーン村での教育調査レポートvol.2~コンケン大学でワークショップに参加!
現代教育学科 講師の岡田 良平先生が、2月16日から3月8日にかけて、タイ東北部に位置するコンケン県ムアン郡ドンハン区にあるドンデーン(Don Daeng)村にて農村部における教育についての調査や、コンケン大学でのインターナショナルワークショップなどに参加しました。村の様子をレポートした前回に続いて、コンケン大学でのワークショップの様子をお届けします! 2月24日にコンケン大学教育学部にて、インターナショナルワークショップが開催されました。第3次のドンデーン村調査の際にお世話になったコンケン大学元教育学部長のスマリー・チャイチャロン先生(元コンケン大学教育学部学部長付き顧問)のご厚意もあって、「日本・タイ・中国の教育問題と現状」と題して、参加者から活発な議論が行われました。 今回のワークショップの参加者には、日本、タイ、中国の研究者だけでなく、タイの国立・私立小学校の校長先生、修士課程の学生、リカレントで在学している現職教員など合計24名の出席者がありました。今回の調査で通訳も務めていただいた鈴木 秀明氏(タイで日系企業のアテンドや通訳・翻訳業務を支援しているHotaru Japan Service Co.,Ltdの代表取締役)には、シンポジウムのオーガナイザーとして活躍していただきました。大学側との事前の準備(紹介状の作成や送付)や複数回の交渉はもちろん、日本語をタイ社会に合った細かなタイ語の表現やニュアンスに変換して伝えることで、現場レベルの意見を吸い上げながら3カ国の研究者と現場の教員が共通認識を深めることができたことで、予想以上の活発なディスカッションとなり、非常に有意義なシンポジウムになりました。 ▼土曜の休日にも関わらずたくさんの方が参加してくれました。 ▼日本・タイ・中国の教育問題について話し合いました。 ▼タイの学校現場の課題について意見交換。 今回は私が主賓ということもあり、基調講演を行い、それを軸に各国の共通課題や問題点の認識を共有しました。私のテーマはズバリ!「日本の教員のハードワークとなり手不足問題」です。録画していた日本の教員の1日を追った特集番組を、詳細部分はタイ語の解説を入れてもらいながら視聴し、現在、日本の小学校では、こうした課題の解決に向けて教科担任制やチーム担任制を導入する機運が高まっていることも講演しました。 VTRが非常に好評で、単に「国によって制度や文化が違う」という単純な結論に結びつくのではなく、「教員不足は我が国も同じだ」、「ランチタイムやトイレ休憩さえも取りにくい日本の教員の忙しさは異常ではないか」といった驚嘆の声が上がる一方、「子どもの成長を願う思いは同じだ」という温かい意見もありました。 その一方で、「日本の小学校教員は担任が全教科を教えることで負担が増えるという見解もあるが、全教科教えることができる質的な保証があるとも言えるのではないか」、「タイも中国も小学校教員は日本の中学校のように教科の専門性がある。規模のある程度ある学校では、全教科の教員が配置されており、教員の専門性を生かした学習が可能だが、農村部の規模の小さい学校では、教員の配置が少ないため、一度も教えたことのない教科を教えることになり、教育の質が都市部と農村部で格差を生む状況にある。日本の教科担任制導入はやめた方が良いのではないか」という意見もありました。その他にも都市部と農村部の教育格差に関する話題が出ていました。出席された校長先生たちは農村部の教育の質の向上に危機感を覚えおり、特に教員の「アクティブ・ラーニング」に関する意識改革が課題であると認識していました。私自身、「へー、そうなんだ」、「日本も似たようなもんですよ」と軽く反応していたのですが、この話題が後々の調査で大きな意味を持つことになりました。 ▼日本の教員不足や志願者の減少について解説しました。 ▼現場の教員、交換留学生など幅広い方々からお話を聞くことができました。 私が最も印象的だったことは、農村部で全校児童60人程度の小学校の校長をしている先生から「日本についての疑問だが、なぜあんなに清潔なのか、学校教育でどういった指導をしているのか」、「礼儀正しさや真面目さをどのような教科で教えているのか」といった素朴な疑問をいただきました。実は私はこの質問に良い答えが出せませんでした。確かに教科としては道徳や特別活動を通した学習があります。そして、掃除、給食指導、お道具箱の整理整頓などいくらでもその要因はあるように感じました。そもそも学校教育だけが担っているものでもありませんよね。こういった視点は、日本人の日常生活に溶け込みすぎており、気づきにくい点です。皆さんならどう答えますか? ▼タイの文化なのでしょうか?集合写真では謎のポーズを必ず求められます。 現代教育学科 講師 岡田良平 【関連記事】 タイ ドンデーン村での教育調査レポートvol.1~22年ぶりの再訪!
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